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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

99embers ◆5WH73DXszU:2019/05/08(水) 22:19:56
【炎の向こう(Ⅰ)】


「■■■■。このマルグリットとかいうイケメン、何度挑んでも勝てないぞ。どうなってる」

気が付けば――焼死体は記憶の中にいた。
蛍光灯の真白い光に眩む視界/その奥から聞こえる声。
懐かしい声だ。かつて愛した――今も愛している者の声。

「……確かにそいつは面倒なやつとして有名だが、それは初見殺しが煩わしいって意味だ。
 注意すべきはセイレーンの子守唄だけだろ。『ナイトヴェイル』が何度も負ける訳がない」

「いや、あらゆる手を尽くしているんだが、どうしても一手足りない。知恵を貸してくれ」

「冗談はよせって。ナイトヴェイルなら、マルグリットくらいオート戦闘でも勝てる……
 ……ちょっと待て。そいつの頭にくっついてる、ヒラヒラした布切れは一体なんだ?」

体が勝手に動く――己の意思で動かす事は叶わない。
これは記憶なのだ。起こらなかった事は起こせない。
悪戯な笑みを浮かべる過去に触れる事は、出来ない。
どれほど愛おしいと、取り戻したいと願っていても。

「これか?これはリボンと言うんだ。かわいいだろう?」

「悪かった。その布切れの正式名称が聞きたい訳じゃない。
 何の為にそんなものを装備させてるのか、その意図を尋ねてるんだ。
 異教避けの鉄頭巾はどうした?城郭の道中で拾える、あの露骨なお助け装備だ」

「ああ、あれなら捨てたよ。今後に有効な装備だとは分かっていたが、あまりにも見た目がよくない。
 私のオウルにも、こんな装備を無理矢理着せられるなんてあんまりだと、泣きつかれてしまってね」

「呪いの子守唄で何度も殺されるのはあんまりだって、喰らいつかれるのも、そう遠くないと思うぜ」

「だからそうなる前に、知恵を貸してくれと言っているのさ」

ぱちぱちと響く音/近づく炎の息遣い。
炎が芽吹き/燃え広がり/全てを塗り潰していく。
ここは記憶の中――起きた事しか、起こってくれない。


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