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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

90崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/05/01(水) 12:35:03
そもそも、バロールの言葉が真実かどうかを裏付ける証拠など何もない。
しかし、本人は至って真面目に言葉を紡いでいる。
ライフエイクばりのとんでもない詐欺師なのか、それとも本気で突拍子ないホラ話を語る誇大妄想狂なのか――。

「君たちの知る物語は、そこでおしまいだろう?
 魔王の脅威を退け、アルフヘイムには平和が訪れました。めでたしめでたし……ってね。
 でも、『この世界』では物語はそれでは終わらなかった。それは滅亡のプレリュードでしかなかった」

ローウェルの死を契機にバロールが魔王となり、アルフヘイムへ侵攻を開始した、というのがストーリーモードの骨子だ。
そこに、侵食に関することは一切記述がなかった。従って魔王は単に世界征服が望みだと思われていた。
だが実際のところ、そこにはふたつの世界の熾烈な生存競争があったのだ。
 
「私が討伐されたことで闇の勢力は崩壊し、ニヴルヘイムという世界も消滅した。
 だが、侵食はその後も広がり続けた。アルフヘイムは消滅の危機に瀕し、誰ひとりそれを止められなかった。
 それでも、アルフヘイムの者たちは生き残らねばならなかった……生き残ることを願った。
 その結果――」

すう、と魔王が目を細める。
なゆたは寒気を覚え、我知らず自分の身体を自分で抱きしめていた。
自分が生き残るべき場所。周囲を見回してみて、一番先に目につくのは――

「そう。アルフヘイムの者たちは、君たちの世界へと侵攻を開始したんだ」

異世界の人間を召喚する方法があるのなら、自分たちが異世界へ行く方法も当然あるだろう。
自分たちの住まう世界の消滅に対して、アルフヘイムの者たちが取った手段は極めて簡単。
ニヴルヘイムを滅ぼしたように地球の人間も攻め滅ぼし、自分たちの居場所を確保する――。

「そんなバカな! そんなのデタラメよ!」

耐え切れず、ついになゆたは立ち上がってそう叫んだ。

「アルフヘイムの人間が、地球に攻め込んだ!? そんなことあるわけない!
 もしそれが事実だとしたら、どうしてわたしたちにはその記憶がないの!?
 わたしたちの住む世界が侵略されるなんて、どんなに小さな出来事だったとしてもニュースにならないわけないじゃない!」

「それにも理由がある。アルフヘイムの者が君たちの世界、地球に攻め入ったことで、地球は火の海に包まれた。
 地球の人々も当然、抵抗したからね。それは地球すべてを舞台とした戦争だった。
 だが……このままではアルフヘイムの者も、地球の者も滅ぶ。このルートは間違っている……。
 そう考えた者がいたんだ。そして、その人物が用いたのさ。『究極の魔法』をね」

「究極の……魔法……?」

「ああ。究極の魔法――名を『機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)』という」

バロールは軽く右手を空に掲げた。
しかし、バロールの語った突拍子もない物語と同様、機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)にも聞き覚えはないだろう。

「究極の魔法、機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)とは、時間遡行の魔法だった。
 この魔法によって、世界は元に戻った――侵食が発生したころまで時間が巻き戻った。
 死した者たちは蘇り、消滅した世界も元に戻った。だけど、なにも事態は好転していない。巻き戻っただけだ」

「それって、つまり……」

「当然、何も対策をしなければ同じことが繰り返される。再び世界は侵食に呑まれ、アルフヘイムの者たちは地球に攻め込む。
 君たちにも他人事じゃない、と言ったのは、つまりそういうことなんだ」


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