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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

86崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/05/01(水) 12:23:44
「ま……いずれにしても、我が師がそう言っていたというのなら願ったりだ。私は私のすべきことをしよう。
 徘徊老人のことは、今はいいさ。どこにいるのかなんて、考えたところで仕方ないからね。
 聖灰たちには指示を出しているみたいだし、師は師で侵食に対していろいろ考えているんだと思うが――」
 
お茶を飲みながら、バロールは小さく息をついた。
みのりがスペルカードを使って庭園の土に豊穣の加護を与えると、薔薇の色艶や芳香が一層増す。
スペルカードは通じる。正真、この薔薇園はただの無害な薔薇園ということだ。
もしみのりがコンボを使うつもりなら、それも効果を発揮することだろう。
カザハが能天気に自己紹介し、エンバースが罠を張る。
なゆたは怒りを押し殺して黙り込み、みのりが周到に戦いの準備を進める中――
まず爆発したのは、明神だった。

>頭湧いてんのかテメーらは
>生き残る為に手段を選んでられなかった?知ったこっちゃねえんだよそんなもん。
 てめーらが異世界から拉致して見殺しにした人間にゃ、帰りを待つ家族だって居たんだ。
 そいつらは今でも待ってる。ある日突然消えちまって、死体も見つからない家族をずっと。
 人手が足りてない?だったら初めから呼ぶんじゃねえよ。人命を無意味に浪費してるだけじゃねえか

「…………」

バロールは虹色の虹彩で、じっと明神を見詰めている。

>それともてめーらが本当に欲しいのはこいつか?
 魔法の板さえ回収できりゃ、付属品のブレイブなんざその辺で野垂れ死んでも構わねえのか?
 喚ばれた連中にはズブの素人も居る。初手で荒野に放り出されたら、早晩サンドワームの餌食だ。
 俺たちだって、運良く他のブレイブと合流出来なけりゃハエに消し飛ばされてた

ゴトリ、とテーブルに置かれるスマートフォン。
『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の証にして生命線。

>何が可哀想なことをした、だ。勝手に納得してるようだから改めて言うぜ、『創世の』バロール。
 死んでいったブレイブ達はな、てめーらが殺したんだ。掛け値なく、てめーらのせいで死んだ。
 何の罪もない、ただゲームをプレイしてただけの、善良な連中を殺したんだっ!

明神は忌憚ない怒りをぶつける。
そして、それはなゆたが感じた憤りとまったく同じものだった。
自分が爆発しなくとも、言いたいことはすべて明神が言ってくれた――。
そのことに、なゆたは胸がすく思いだった。
が、仲間が自分の気持ちを代弁してくれることと、それが相手に伝わるかどうかは別問題である。
バロールは眉ひとつ動かさず、

「そうだよ。私が殺した」

と、それがさも当然であるかのように答えた。

「私のしたことに対して、緊急避難であるとか。これもまた正義だとか。そんなことを言うつもりは毛頭ないよ。
 私は罪を犯しているし、そもそもこのやり方が正しいのかもわからない。望みの結果が得られるかどうかも。
 だから、君たちの怒りは尤もだと思う。ふざけるな、と思う気持ちもね」

テーブルの上に組んだ両手を置き、バロールは語る。

「それを踏まえて……だからこそ君たちにも私を信用してほしいとか、そういうことは求めない。
 良いパートナーシップと言ったのは、友情だとか。信頼だとか。そういうものはこの際必要でない――ということさ。
 あくまで、使い使われる関係。ビジネスライクな関係でいいということ……。私はこの世界を救いたい。
 君たちが協力してくれるなら、私はそれに見合った対価を払う。たったそれだけのシンプルな関係さ。
 なんて言うと、また君たちの神経を逆なでしてしまうかもしれないけれど」

バロールはテーブルの上の明神のスマホに手を伸ばすと、それを明神の方へと押しやる。
それは、スマホ自体が目的ではないという意思表示だった。


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