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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

85崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/05/01(水) 12:20:53
>よろしくね、バロールさん。知ってるかもしれないけどボクはカザハ、こっちはカケルだよ

「ああ、よく知っているとも……おかえりカザハ、カケル。ううん、違うな……今は初めましてと言うべきかな。
 まぁいいさ、どっちでも! とにかく会えて嬉しいよ、また……じゃない、どうか力を貸してほしい」

カザハのまったく空気を読まない挨拶に対して、バロールが微笑む。
なんでも質問に答えるというバロールの言葉に対して、カザハは早速疑問をぶつけてきた。

>じゃあまず……世界を救ったら元の世界に返してもらえるの?

「もちろん。異世界から来た『異邦の魔物使い(ブレイブ)』は、ことが終われば必ず元の世界に送り返そう。
 その術は私の頭の中にある。それは約束しよう、心配はいらないよ。
 もっとも、君たちふたりにその必要はないと思うけれどね」

バロールは荘重に頷いた。
異世界の人間をアルフヘイムに召喚する方法があるように、アルフヘイムの人間を異世界に送る方法もあるという。
これで、帰還を望む者たちは少なくともこの世界への永住を余儀なくされる、という心配はなくなった。

>それから……元の世界に返してもらう以外の選択肢はある?
 たとえばちょっといい条件で永住させてもらったり……ボクの場合多分転移じゃなくて転生なんだよね!

「永住。それもいい。アルフヘイムが平和を取り戻した暁には、我々にできる限りの希望を叶えよう。
 キングヒルに居を構えるもよし、リバティウムやハイネスバーグ、バルディア自治領……風光明媚な場所はいくらでもある。
 ついでに言うと、君は転生じゃなくて混線、と言えばいいかなぁ? まっ、それもおいおい説明しようとも!」

カザハとカケルについて、バロールは何か知っているらしかった。
しかし、それは今言うべきことではない、とばかりに次の質問へ意識を向けてしまう。

>……ローウェルの事なんだが
 今は、何処にいるんだ?さっきは手が足りないなんて言っていたが……
 どうも話を聞く限りじゃ、王国と大賢者の間に意思疎通が見出だせない

カザハに次いで、エンバースが口を開く。
バロールは一口紅茶を飲んで喉を湿らせると、ゆっくり語り始めた。

「師ローウェルについては、私たちもその消息を追っている最中だ。ご指摘の通り、我々と師の間では意思疎通ができていない。
 君たちも知っていると思うけど、我が師はひどい放浪癖の持ち主だからね。
 どれだけ厳重に監視していても、ふらりと姿を消してしまう。まったく困ったご老人さ!」

やれやれ、とバロールは大袈裟な身振りで肩を竦めた。
ゲームのブレイブ&モンスターズの時間軸ではローウェルは既に死んでいるため、プレイヤーが生前の本人に会うことはない。
が、その人となりは継承者たちの話などから知ることができる。
大賢者ローウェルは漂泊の賢者。アルフヘイムの各地を転々とし、有事に備えて見込みのある者を弟子とし、教えを授けた。
それが十二(十三)階梯の継承者である。

>だがローウェル曰く『次にすべき事はあんたに託してある』だそうだ。
 こりゃ一体どういう事だ。なんでこんなややこしい事になってるんだ?

エンバースは次の質問を投げかける。次は引っかけだ。
巧妙なエンバースの言葉に対し、しかしバロールは怪訝な表情を浮かべた。

「え? そうなの? どこでそんな話を聞いたんだい? ご老人に会った……んじゃないよね?
 おかしいなあ。私がここにいることを彼が知っていても変ではないけど、そんなことを言うとは思えないんだけど……?」

緩く腕組みし、右手で顎に触れて考え込む。本当に分からない、という様子だ。
その問いがエンバースの張った罠であるということさえ気付いていないように見える。


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