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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

84崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/05/01(水) 12:13:51
「バ……、バロール……!?」

宮廷魔術師の名乗りに、なゆたもまた双眸を見開いた。
『創世の』バロール。大賢者ローウェルの直弟子、十二階梯の継承者のロストナンバーであり、第一の使徒。
そして魔界に君臨し、プレイヤーたちと血で血を洗う死闘を繰り広げる――魔王バロール。
その名を冠する者が、目の前に座って優雅な所作でお茶を飲んでいる。
むろん、魔王の名を騙っているだけの真っ赤な偽者という可能性も……いや、ない。
虹色の瞳孔、世界を改変する魔眼を所有する存在は、アルフヘイムとニヴルヘイムを合わせても一人しかいない。
それは、単に名を騙っただけでは誤魔化しようのない彼の顕著な特徴なのだ。

『創世の』バロールに関して、プレイヤーが持ちうる情報は多くない。
かつて、大賢者ローウェルの一番弟子であった。
ローウェルからすべての智慧を伝授され、世界をも改変する技術を得た。
ローウェルの死を契機として闇に堕ち、鬣の王を殺害してニヴルヘイムに渡った。
瞬く間に魔界を掌握し、兇魔将軍イブリースを筆頭とする魔族たちを従えて、アルフヘイムへ侵攻した。
プレイヤーたちに手勢を次々と撃破され、居城である天空要塞ガルガンチュアまで攻め入られると、最終決戦ののち敗北。
最期に『これはすべての序章に過ぎない』と言い残して死亡――
この程度だ。

バロールがかつて何をしていたのか、どういった外見の、どういった性格だったのか。
何を考えて闇に堕ち、魔王に変貌してしまったのか……。
そのすべては説明されておらず、謎に包まれている。
魔王が斃れたことで、世界は束の間の平和を取り戻す――というのが、現在までのストーリーモードの流れだ。
バロール討伐までを第一章とするなら、今後のアップデートで続編の第二章が配信されるのではないかと噂されている。
しかし。
プレイヤーである『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の知らないバロールが、今ここにいる。
むろん、Wikiを編纂するほどゲームに精通しているなゆたにとってもこの展開は予想外だ。
けれども、そんな予想外の展開よりもなゆたの心を支配したのは、烈しい怒りだった。

『君たちは恵まれている』――

『異邦の魔物使い(ブレイブ)』がこの世界に召喚されたのは、完全にアルフヘイムの都合だ。
ならば、せめて自分たちの都合で召喚したのなら、出来得る限りの厚遇をすべきではないのか。
だというのに、そんなことを恩着せがましく言われて、いったい誰がありがたいと思うだろう?

バァンッ!

気付いたときには、なゆたはテーブルの盤面を手のひらで思い切り叩き、立ち上がろうとした。

「あな―――」

あなたには、人の心が分からないの!?
そう言おうとした、その刹那。
その出鼻は隣にいたみのりによって挫かれた。

「みのりさん……!」

なゆたは咄嗟にみのりを見た。が、みのりによって肩をがっしりと押さえ込まれている。
一見ただ肩に手を置かれただけだが、凄まじい力だ。赤城家で剣道を嗜み、それなりに鍛えている自分がまるで抵抗できない。

>まだ、あかんよ〜?

みのりの囁きに、なゆたは幾許か冷静さを取り戻した。仕方なさそうに居住まいを正し、バロールの様子を見る。
その視線に不満がありありと浮き出ているのが、他のメンバーにも見て取れるだろう。


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