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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

68明神 ◆9EasXbvg42:2019/04/24(水) 02:28:46
>「よろしくね、バロールさん。知ってるかもしれないけどボクはカザハ、こっちはカケルだよ」

「おまっ――」

まんじりともせず沈黙が支配する空気をぶち破ってカザハ君が自己紹介に応じた。
俺は思わず止めようとして……思い直した。や、これで良い。
むしろ空気を一切読まないカザハ君のムーブに助けられた。

俺たちがバロールについて、何を知ってて何を知らないのか……情報の手札を悟られたくない。
だからここは、あえて何も知らない体で応じるのがベスト。カザハ君が満点回答だ。

バロールがもしも『ブレイブがバロールの正体を知ってる』ってことに感づいてりゃ、
何かしら訝しがるなり、カマかけるなりしてくるだろう。案外普通に認めるかもしれない。
いわば情報戦における威力偵察は、既に始まってて……立ち止まるのは隙を見せることになるだけだ。

カザハ君に続いてエンバースも質問を投げかける。
奴らが稼いでくれた時間で、俺は考える。
こっちの情報はなるだけ与えず、かつ不審にならない範囲でバロールの真意を掴むには、どうすべきか。

「……なるほどな、てめーが十三階梯筆頭のバロールか。ツラを見るのは初めてだ。
 まぁツラの話なんかどーだって良い。虚しくなるだけだしな。とりあえず言っときたいこと言って良いか」

俺は浮きかけた腰をどっかり椅子に降ろして、なるべく見下す感じでバロールを睥睨する。

「頭湧いてんのかテメーらは」

バロールに目立った反応はない。怒りの矛先を向けられるのも覚悟済みってわけだ。

「生き残る為に手段を選んでられなかった?知ったこっちゃねえんだよそんなもん。
 てめーらが異世界から拉致して見殺しにした人間にゃ、帰りを待つ家族だって居たんだ。
 そいつらは今でも待ってる。ある日突然消えちまって、死体も見つからない家族をずっと。
 人手が足りてない?だったら初めから呼ぶんじゃねえよ。人命を無意味に浪費してるだけじゃねえか」

懐からスマホを出す。ロックは解除せず、机の上に置く。

「それともてめーらが本当に欲しいのはこいつか?
 魔法の板さえ回収できりゃ、付属品のブレイブなんざその辺で野垂れ死んでも構わねえのか?
 喚ばれた連中にはズブの素人も居る。初手で荒野に放り出されたら、早晩サンドワームの餌食だ。
 俺たちだって、運良く他のブレイブと合流出来なけりゃハエに消し飛ばされてた」

そして、ウィズリィちゃんが居なけりゃ仲良く荒野で干からびてたことだろう。
そうやって知らないフィールドで人知れず死んでいったブレイブは少なくないはずだ。
アルフヘイムが回した十連ガチャのハズレ枠達。俺も含むそいつらの末路がそれだ。

「何が可哀想なことをした、だ。勝手に納得してるようだから改めて言うぜ、『創世の』バロール。
 死んでいったブレイブ達はな、てめーらが殺したんだ。掛け値なく、てめーらのせいで死んだ。
 何の罪もない、ただゲームをプレイしてただけの、善良な連中を殺したんだっ!」

俺の批判は、多分バロールに何も響きはしないだろう。
こいつも自分の世界を救うのに必死だ。言葉通り、手段を選べはしなかった。

俺だって、アルフヘイムと現実世界どっちが大事って聞かれたら迷わず後者を選ぶよ。
俺自身の安否はともかく、親父もおふくろも向こうにいる。死なせたくない。
いいように弄ばれた怒りとは別のところで、妙な納得があった。

――だから、せめてこの怒りを俺は最大限利用する。
ブレイブとして持って当然の憤りをぶつけることで、御しやすい直情型の人間だと認識させる。
「納得いかねーけどしょうがないから今だけ力を貸してやる」ってスタンスは、向こうにとっちゃ望むところだろうからな。


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