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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章
67
:
明神
◆9EasXbvg42
:2019/04/24(水) 02:27:43
問いに意味なんかない。ただ魔術師の言葉に何かしら反論を挟みたかった。
そういうつもりでいないと、俺の中の敵対心というか戦意というかそういう原動力がどんどん鎮まっていきそうだ。
>「ただ、それでも君たちは恵まれている……と言わせてもらうよ。メロとウィズリィを遣わせ、魔法機関車も出した。
召喚した『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の中には、なんのケアもしてあげられなかった者も数多くいたから。
彼らは……可哀想なことをした」
――ただ。魔術師のこの物言いには、霧散しようのない熱を腹の底に感じた。
カップを握る手に無意識に力が籠もる。こいつを浴びせかけてやりたいが、流石に俺もそこまで迂闊じゃない。
アルメリアとの協働関係を、潰すわけにはいかない。
>「そうそう、自己紹介がまだだったね? いや、すっかり忘れていたよ! ごめんごめん!
私はご存じの通りの、アルメリア王国の宮廷魔術師。と言っても普段は何もしてない、ただの無駄飯喰らいだけどね!
ま、それはいい。先だっては、私の弟弟子と妹弟子が世話になったね。私は――」
「あ?弟弟子と妹弟子?お前は一体――」
魔術師がこちらを見据える。
相貌の色は、虹。極彩色の瞳孔は、その眼が只人のものでないことを意味している。
――魔眼。魔を宿し、この世の法則を覆す、人越者の眼。
俺が知る限り、魔眼を持つのはこの世界にただ一人だけだ。
>「私の名はバロール。十三階梯筆頭継承者……『創世の』バロールだよ」
「なんだと」
俺は思わず素で聞き返した。それくらい、衝撃的な事実だった。
バロール。かつて十三人居たローウェルの直弟子、その筆頭。第一階梯の継承者。
『創世の』バロールは、ブレイブ&モンスターズにおけるメインシナリオの、最後の宿敵。
――ラスボスだ。
師・ローウェルの死を契機として闇に墜ちたバロールは、アルメリアの王を殺してニブルヘイムに渡った。
そこで三魔将を従える魔王に君臨し、部下と共にアルフヘイムへ自分自身を再召喚。
キングヒルを火の海に変えて……エカテリーナや『詩学の』マリスエリスを始めとするメインキャラが何人も死んだ。
シナリオが一気に薄暗いシリアスなものになる、転機とも言える存在だ。
プレイヤーは、闇墜ちする前のバロールの姿を知らない。
本編に登場した時には、既に魔王の異形にその身を変えていたからだ。
人間体のグラフィックなんて存在しないし、最新パッチでも未だ過日のバロールは語られていない。
つまり……俺たちは、今目の前で茶をしばいているバロールが、どういう存在なのか何も分かりゃしないのだ。
確かに闇落ちするきっかけはローウェルの死だったが、本当は師匠が死ぬずっと前から狂っていたのかもしれない。
一方で、ローウェルの死さえ食い止められるなら、バロールはアルフヘイム最強の守護者のままで居てくれるかもしれない。
状況を類推する根拠はあまりに足らず、俺はしばらく硬直していた。
どうする?いますぐコイツを仕留めるか?油断してる今ならクリティカル取れるんじゃないか。
だが下手打ちゃ返り討ちだし、仮に首尾よく仕留められたとして、アルフヘイムの強力な駒を一つ失うことに変わりはない。
気になるのはイブリースの存在だ。
バロールが育てたんじゃなけりゃ、奴らの糸を操ってるのは一体誰なんだ。
ミハエルはイブリースの操り手じゃなかった。ニブルヘイムも一枚岩じゃねえってのか?
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