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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

145明神 ◆9EasXbvg42:2019/06/02(日) 23:15:08
「悪いなバロール。アコライト行く前に、どうしても付けとかなきゃならねえ話があるんだ。
 いやマジでごめんね?全部済んだらちゃんと世界救いに行くから許してね。
 ……ちゃんと、明日からの日程には食い込まねえようにするからさ」

庭園の階下にある広場。そこは多分、城仕えの兵士や文官が集会に使う場所なんだろう。
石畳を張り巡らせた体育館くらいのスペースに、彫像と植木がまばらに立っている。
俺は地面の感触を確かめるように革靴で小突いて、スマホを取り出した。

「さて、挨拶が遅れちまったな。俺がうんちぶりぶり大明神だ。説明は……要らねえよな。
 俺の名前呼ぶときは明神とか勝手に略すんじゃねえぞ?そういうのすっごい失礼だと思うの。
 ちゃんとフルネームでうんちぶりぶり大明神って呼んでね。じゃないと返事しねえかんな」

もうずっと開いてなかったフレンド欄を見る。
そこにはこの世界に放り出されたあの日、送信されてきたフレンド申請が残ってる。
ベルゼブブ戦に乱入するときに、名前も見ずに承認したフレンドリストの一番上。
『モンデンキント』と――確かにそう、記されていた。俺あいつとフレンドになっちゃったよ。

「まさかこんな形でツラ拝む羽目になるとはな。だけど一応、お前に言おうと思ってたことがあるんだ。
 ――会いたかったぜ、モンデンキント。寝ても覚めても、てめーのことばっか考えてた。
 いけ好かねえてめーをレスバトルで叩きのめす日を、俺はずっと待ってた」

そしてその日は、多分もう二度と訪れない。
レスバは相手の顔が見えないからこそ、呵責なく叩きのめして一方的に勝ち誇ることができた。
でももうダメだ。俺はあいつを知っちまった。モンデンキントの中の人と、仲良くなっちまった。
だから……今からするのはレスバトルじゃない。ただの、バトルだ。

「しかしまぁがっかりだなぁ?みんな大好き月子センセーが、こんな小便くせえガキだなんてよ。
 あいつの垢乗っ取った熱心なモンキンチルドレンってオチの方がまーだ説得力あったぜ。
 どうよ?ホントはお父さんのスマホ借りてるだけの女子高生だったりしない?」

だとしたらこんなでかいお子さんいるパパがあの煽り耐性皆無なモンデン野郎ってことになるから、
それはそれでなんというか闇が深すぎるんだけれども。
まぁこんなのは戯言だ。なゆたちゃんがモンデンキントだってことに、もう疑いの余地はない。
だからこそ、俺はそこを軸に煽る。

「どーもお前とモンデンキントが結びつかねえんだよな。
 だってモンデンキントは人望人徳の塊みたいな聖人君子の血液サラサラ大明神だったけど……
 お前リーダーシップだめだめじゃん。たかだか6人ぽっちのパーティも纏め切れてねえもんなぁ?
 俺の知ってるブレモンの大先生は、この5倍の30人パーティだってきっちり纏めてたぜ」

くけけ、と俺は引き笑いした。
すごい気持ち悪い声が出てたと思う。

「気付いてっか?リバティウムを出てからこっち、俺たちがみんな別々の方を向いてるの。
 真ちゃんが居た頃はみーんな足並み揃ってたのに、なんでだろうね?
 焼死体とのギスギス、諍い、煽り合い……いつまで経っても話が進まねえ。
 これは問わざるを得ませんなぁ?なゆたちゃんのリーダーの資質って奴をよぉ」

嘘だ。

ゲームの世界に放り出されるなんていう、常軌を逸したこの状況で、なゆたちゃんはうまくやってる。
真ちゃんがパーティを抜けて、重要な推進力を失ったパーティがそれでも空中分解せずに要られたのは、
他ならぬなゆたちゃんが欠けた穴を埋めんと必死に努力してくれたからだ。
荒野からの長い付き合いで、俺はそれを見てきた。真ちゃんを除けば誰よりも、近い場所で。

本当は……年端もいかない女子高生じゃなく、大人の俺がやらなきゃいけなかったこと。
なあなあの空気に甘えて、一回り近く年下の少女に、ずっと押し付けてきたこと。

俺は、こいつらの蟠りを、もう見たくはない。


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