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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

143明神 ◆9EasXbvg42:2019/06/02(日) 23:11:23
>「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!????」

「はあああああああああああああああああああああああああああああ!!!??!?!?!??」

ほとんど同時に、俺たちは叫び合った。
お互いの正体に対する衝撃を吐き出して、それはぶつかって跳ね返ってきた。

誰に押されたわけでもないのに、俺はふらふらと後ずさりする。
物理的なそれを錯覚するほどの衝撃だった。

モンデンキント。人呼んでスライムマスター、月子先生。

ブレモン界にエポックメイキングをもたらしたレイド級召喚コンボの開発者であり、
品行方正な立ち振る舞いと新規への慈愛溢れる教育姿勢、なによりその強さから、
一プレイヤーでありながら多数のファンを獲得する界隈の有名人だ。

同時にクソコテであるこの俺の、親の仇より憎き敵。
正道で脚光を浴びる、日陰者にとっては鼻持ちならない目の上のたんこぶ。
夜通しのレスバトルで翌日仕事に支障が出たことなんざ両手じゃきかない。
俺という名の雑菌を眩しい光で消毒しやがる、紫外線のような野郎だ。

そして――ガチ勢だった俺が挫折を経験し、ブレモンを辞めたきっかけを作ったプレイヤー。
ただバトルで負けただけの、完全な逆恨みではあるけれど……俺はこいつに根深い恨みを抱いていた。
いつか、陰湿な手口で失脚させてやろうと、ずっと思ってた。

そいつが、今俺の目の前に居る。

いやいや、は?ウソやん?モンデンキント?なゆたちゃんが?
んな馬鹿な。あのいけ好かねえクソッタレの正論厨、月子先生とか呼ばれて悦に入ってるモンデン野郎が?
理路整然とした論調と、柔らかな物腰とは裏腹な頑固さから、俺は絶対あいつ結構な歳だと思ってた。

クソコテ相手に朝までレスバかますいい年こいたおっさんだって、それだけが反抗心の拠り所だったのに。
そんなのってないだろ。みんなから愛される有名プレイヤーが現役女子高生とか、流石に盛りすぎだろ。

でも。言われてみれば納得してしまう。考えるほどに腑に落ちる。
なゆたちゃんは……モンデンキントの戦術に、精通しすぎてる。
GODスライム召喚コンボを、あの完成度で再現できた奴を、俺はこれまで二人しか見たことない。

……なゆたちゃんと、モンデンキントだ。
二人が同一人物だとするなら、全てに辻褄が合ってしまう。
あのコンボを使いこなすには、豊富な知識と緻密な計算だけでなく、なにより愛が必要だ。
クソザコスライムを、それでも最強に仕上げんとする、時間も金も全て費やす前代未聞の濃度の愛が。

モンキンチルドレンとか呼ばれるファン連中みたいな、ミーハーな愛じゃ到底届かない。
いっそ狂人めいた偏愛だけが到達できる、至高の領域――。

「そっっっっっっかぁー。うううーん。なるほどね、そっかそっか。ははあ。なるほどなぁ」

俺は片手で顔を覆う。どんなツラしてるのか自分でも分からない。
しかしなるほど、合点が言った。なゆたちゃんの頑固さも、負けず嫌いなところも、確かにモンデンキントのそれだ。
俺には分かる。多分今年は親より多く言葉を交わしてきた相手だから。
真ちゃんが居ない以上、モンデンキントがどういう人間か、きっと俺はこの場の誰よりも知っている。

覆った指を少しだけ開けて、俺はなゆたちゃんを見た。
叩きつけられた衝撃をようやく噛み砕いて、何が起こったかを理解した、そういう顔だ。

「………………そうか」

そろそろ潮時だな。
後方大人面も、仲良しパーティごっこも、これでおしまいだ。


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