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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章
142
:
明神
◆9EasXbvg42
:2019/06/02(日) 23:10:01
「……マジかよ。すげえなバロール」
皮肉の一つも垂れようと思っていたのに、口をついて出たのは素直な称賛だった。
メアド。さらっと言ってるけどこいつはとんでもねえことだ。
当然っちゃ当然だけど、アルフヘイムにスマホやそれに類似する通信機器はない。
遠距離通信は念話オーブとか音信巻貝とかその手のマジックアイテムを使うアナログ世代だ。
つまり――バロールは、電子メールなんて概念すらない中、おそらく召喚したブレイブからの伝聞のみで。
"魔法の板"と連携できる独自の通信魔術を一から創り上げたってことになる。
これがどれほどの偉業なのか、多少でもプログラムに触れた俺にはよく分かる。
『創生の』バロール。十三階梯筆頭にして、王宮お抱えの魔術師。
――アルフヘイムで一番魔術が上手い男。
その面目躍如が、このたった十数文字のメールアドレスに込められていた。
こいつがニブルヘイムに渡ったのは旧史における最大の痛手だよなぁ。
>「間違いなくファンタジー世界にいるはずなのに、いまいちそう感じられないのはなんでかしら……。
それはともかく、はい。登録しましたよ、あとでメールしますね」
その時俺は、バロールの魔術の巧みさに、純粋に舌を巻いていた。
なんとなく緊張感のないなゆたちゃんとバロールのやりとりも、特に気にはならなかった。
だが……バロールの口からもたらされる衝撃は、これだけに終わらなかった。
>「いやあ、よかったよかった! 安心したよ! 本当によろしくお願いするね。モンデンキント君!」
――――は?
こいつ今、なんつった?なんでその名前がこのタイミングで出てくる?
いや。そんなことは問題じゃない。バロールは今、『誰に向かって』その名を呼んだ?
>「任せといて下さい! ランカーの意地にかけて、必ず!
モンデンキントと呼ばれて、なゆたちゃんは一切憚ることなく返事をした。
まるでそう呼ばれるのが当然であるかのように。ずっと前から、そう呼ばれてきたように。
なゆたちゃん?モンデンキント?え?は?え?うん?んんんんんんん????
バロールは俺たちパーティに順番に、一言ずつ声をかけていく。
奴が呼ぶのは本名ではなく、ブレモンのプレイヤーネームだ。
そりゃまぁ、バロールに俺たちの本名を知る機会なんかなかったしな。
>「君も。改めてよろしくお願いするよ。私は君たちがここに来るまでの一部始終を、この魔眼で見ていた。
むろん、君たちひとりひとりの力が頭抜けているというのは疑いようがない。
でもね……私はその中でも、君の力こそがこれからの戦いの鍵になると思っている」
だから。今にして思えば俺はどうにかして、こいつの口を塞ぐべきだった。
決定的な言葉が、致命的な名前が、バロールの口から出る前に、どうにかすべきだった。
いきなり横っ面をぶん殴ったって良いし、なんなら咳払い一つでこいつは色々察するだろう。
「『ブレイブ&モンスターズ!』のルールにとらわれない、その自由な発想は私たちには――
いや、他の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』にもできない、君固有のものだろう」
それができなかったのは……多分、俺も冷静じゃなかったからだろう。
モンデンキントの名を呼び水にして情報の洪水が頭を埋め尽くして、何も考えられなかった。
上滑りする思考を止められないまま、バロールが俺の名を呼ぶ。
「君の欲しいものは用意する。あくまで報酬目当ての付き合いで構わない……だから、頑張ってほしい。
期待しているよ。『うんちぶりぶり大明神』君」
――この世界に放り出されてから今の今までひた隠しにしてきた、
俺のプレイヤーネームを。うんちぶりぶり大明神の、忌まわしき名前を。
同時に頭の処理がようやく追いついて、なゆたちゃんの正体がイコールで繋がる。
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