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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

141明神 ◆9EasXbvg42:2019/06/02(日) 23:09:21
「そんで仮にこいつがニブルヘイム側のスパイだとしたら、流石にキャラ作り間違え過ぎだろ。
 全然溶け込めてねーもん。裏工作が目的なら、こんなPTリーダーの反感買うような言動かますかよ」

エンバースを擁護してやる義理なんざぴくちりもない。
ただ……こいつみたいな一家言あるプレイヤーと議論すんのはぶっちゃけすげえ楽しかった。
このままPTを放逐すれば、もう二度とその機会はない。そう思った。

>「ま、それはいいさ。君たちがエンバース君を仲間と信じるのなら、私もそうしよう。
>「別に、信じてもらう必要はないけどな。俺は、俺がすべき事をするだけだ」

「な?こういうこと言うだろ?こいつに良い子ちゃんの装いなんか無理無理の無理だってばよ。
 そこまで含めて逆張りおじさんの心擽るスパイテクニックだってんなら、もうシャッポを脱ぐしかねえけどよ」

>「名簿は参考程度にしてほしいと言ったのはそういうことさ。私も万能じゃない、取りこぼしがあるかもしれない。
 もし、そういうはぐれ『異邦の魔物使い(ブレイブ)』を見つけたら、彼らも確保してもらいたい」

「万能じゃないたぁ謙遜するじゃねえか"創生の"。魔眼が泣いてるぜ、眼だけにな」

俺の戯言を華麗にスルーした元魔王は、今度こそいい感じに話をまとめ始める。

>「クリスタルは明日、君たちが出発するまでには用意しておくよ。他にも装備など、欲しいものがあれば言ってほしい。
 レアリティの高すぎるアイテムや期間限定の品は難しいが、恒常ドロップのアイテムなら融通できるはずだ」

「食料だな。試掘洞で喰った歯ブラシみてーな肉はもう御免だ。
 保存が効いて、油っ気がたっぷりで、過酷な旅を頑張ろうって思えるようなメシを所望する。
 あ、話変わるけどトンカツって知ってる?豚さんのお肉にパン粉付けてラードで揚げた料理なんだけど……」

>「了解! じゃあ、今日はゆっくり休んで、明日さっそくアコライト外郭へ向かいましょ!
 みんなで力を合わせれば、今度のクエストだって絶対乗り越えられる!がんばろうっ! おー!!」
>「おーっ!!」

「お、おぅ……」

このノリだきゃあどうにかなんねえかなぁ……。
これ毎回やるけどさぁ、手ぇ挙げんの俺とカザハ君くらいじゃん。
こーゆう陽キャな感じ嫌いじゃないけど好きじゃないよ。好きじゃないよ!!!
あーでもジョンとかいう大型パリピ新人入っちゃったから多数決で不利になりそう。

つうか逆にカザハ君の順応力はなんなの?人当たり良すぎじゃないこいつ。
なんならカザハ君がスパイだって言われたほうがエンバースの百倍説得力あるわ。
でもこいつがスパイだったら俺もう何も信じられなくて心折れそう……。

>「ありがとう。……じゃあ、これを渡しておこう」

バロールの袖から出てきた羊皮紙には、なんか見覚えのある書式で一行の文字列。

>「そう。これは――私のメアドだ」

「メアド……だと……?」

ライン全盛の時代にあってはめっきり交換する機会のなくなったメールアドレス。
羊皮紙の文字列は、まさにメアドそのものだった。

>「まっ、メアドと言っても見た目をそれっぽくしただけでね。魔術のひとつさ、地球のそれとは根本的に異なる。
 ともかく……今後は私の後方支援も必要になるんじゃないかと思うし、持っていて損はないと思うよ!
 ということで、みんなメアド交換しよう!」

ふええ……仕事以外で連絡先交換すんのなんて五年くらいぶりだよぉ……。
いやそれよりも、そんなことよりも、もっと重大な衝撃が俺を襲った。


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