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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章
138
:
明神
◆9EasXbvg42
:2019/06/02(日) 23:07:10
エンバースが火を点けた導火線は、もの凄い勢いで燃え上がる。
なゆたちゃんと言う名の爆弾に、消火の甲斐なく炎を運んだ。
>「なによ。文句でもあるの」
>「なんだ。文句がないとでも思ってたのか?」
ほらぁ、言わんこっちゃない。始まるぞ激おこムカ着火インフェルノが。
俺もう知ーらね。身内同士のレスバトルとか見てらんねーよマジでさぁ。
なんでこうギスギスしちゃうかね。戦闘民族の気持ちは分からんばい。
……何言ってんだ俺。
こういうギスギス、荒らし・諍い。混乱の元は、俺の最も好むところだったはずだ。
野良パで穏やかに解散できたことなんてないくらい、他人を攻撃するのに躊躇はなかったはずだ。
他ならぬ俺自身が、パーティに争いを持ち込む張本人だったんだから。
空気を読んで、和やかに立ち回る大人なプレイなんざ、クソくらえのはずだ。
だのに俺は今、ギスギスの火種を必死こいて揉み消さんとしていた。
普段なら大喜びで燃料注ぐ怒りの炎に、目を覆って距離を取ろうとしていた。
自分でも意外な心変わりだった。どういう風の吹き回しなのか、まるで判断がつかない。
俺は……こいつらが争う姿を、見たくないと思ってる。
そりゃもちろん、この場は掲示板でのやりとりみたいな、顔の見えない一時限りの関係じゃない。
だけど俺はこんなパーティ、出ようと思えばいつでも出ていける。
バロールもパーティ単位で動けとは言ってなかったんだからな。
この関係は、いつでも――どんな理由でも解消できる、曖昧で不確かなもののはずだ。
>「大っっっっっっ嫌い!!!!」
>「………なんだよ、口さがないのはお互い様だろ」
蟠りを残したまま喧嘩別れのように論戦を終えた二人。
どちらに加勢するでもなく、議論を引っ掻き回すでもなく、俺は黙ってそれを見ていた。
『パーティの空中崩壊』という、俺にしてみりゃ午後ティーくらいの日常茶飯事が、
それでも引き起こされなかったことに……心底安堵した。
「……まぁアレよ、どっちが悪いとか仲直りしなさいとかそういう帰りの会みたいなことはこの際言わねえよ。
こんなとこでギスってる場合じゃねえってのは、お互い分かってるみたいだしな」
マジで何を言ってるんだ俺は。
所体のなくなった視線を、助けを求めるように、石油王へ向けた。
>「ほ、ほうやねぇ。浸食の事結局何もわかってへんのやし
手探りで攻略していくしかないし、やれる事からやっていくしかあらへん……よ、ね」
俺の提案に同意を返す石油王だったが、その口調には妙に覇気がない。
どころか、何度かフラフラしたかと思うとその場に崩れ落ちてしまった。
「お、おい!石油王!?」
咄嗟に支えようと一歩踏み出す、それより先に彼女を受け止める手があった。
ジョン・アデルとか名乗ってた謎の外人ブレイブだ。
>「大丈夫!?」
>「あはは、堪忍なぁ〜立派な王宮で緊張して貧血になっちゃったみたいやわ〜
少し座らせてもらうわ〜」
ジョンに抱きかかえられる形で五体投地を免れた石油王は、力なくそう答える。
緊張して貧血?まことに?お前がそんなタマかよ。
鉱山スイスイ登る健脚や、カジノで見せたあの胆力はどこ行った。
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