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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

136embers ◆5WH73DXszU:2019/05/29(水) 06:29:41
【トランキライズ・プロトコル(Ⅲ)】

『女性は自分の体を一番大事にしないとだめだよ・・・本当はこれ以上女性を戦場に立たせること自体、止めさせたいけど――』

「それが実現可能かどうかはともかく……いい事言うじゃないか。なあ、バロール?」

『僕の事は信用できないだろうけど・・・これからの行動で信用できる男だと、証明してみせるよ、だから――』

「……おい、待て。なんか雲行きが怪しくなってきたぞ。
 お前、パーソナルスペースって概念がないのか?」

『あれなんか変な雰囲気・・・?』

「そりゃそうだろ。TPOの概念もまとめて、元の世界に置いてきちまったのか?
 ジャパニーズ・奥ゆかしさはどうだ?空気を読むって言葉の意味は分かるか?」

『僕やっぱり臭う感じ!?ごめん!牢屋に長くいて着替える事もできなくて?!』

「確かに臭うよ。だけど俺の言ってる空気ってのは、それを媒体に伝播する微粒子の事じゃない。
 振動の方の話をしてるんだ。つまりお前の言動について……なあ。それ、素でやってるのか?」

『えと話終わってからでもいいので・・・着替えか洗濯か・・・後お風呂も・・・お願いできませんか?』

「……よし、話を再開しよう。ええと、何の話をしてたんだっけな……ああそうだ、アコライト外郭だ。
 明神さんとみのりさんは救援に賛成……カザハは、聞くまでもないか。俺は正直気が乗らないが……」

『よし! じゃあ、決まりね!
 わたしたちはアコライト外郭へ向かい、そこにいる『異邦の魔物使い(ブレイブ)』を救出する!
 ついでにニヴルヘイムの連中を撃退できればよりベター! って感じね!』

いっそ小気味いいほどのシカト/述べ損ねた所感が黒煙混じりの溜息に換わる。

『ああ、よかった! 感謝するよみんな。
 もし、ヤダ! 力なんて貸してやるもんか! とか言われたらどうしようってハラハラしてたんだ!」
 ……あ、そうそう。さっき君たちに私の召喚した『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の名簿をあげると言ったけれど』

焼死体へと向けられる虹色の視線/それを無言で睨み返す赤火の眼光。

『名簿はあくまで参考程度……としてもらえるかな。申し訳ない。
 ひょっとしたら、世界には私の把握していない『異邦の魔物使い(ブレイブ)』がいるかもしれない。
 なぜかって言うと、ジョン君は確かに私の召喚した『異邦の魔物使い(ブレイブ)』だけれど――
 エンバース君。君は私の記憶にはないからだ』

「驚いたな。お前、まだ自分の記憶が頼りになるものだと思ってたのか?」

『君がいったい誰に召喚されて、どこにいて、何故そうなったのか――私の魔眼をもってしても見通せない。
 エンバース君……君はいったい何者なんだ?』

「……一つ言えるのは、お前は俺の答えなんか期待してなくて、既に考え得るパターンの推察を終えてるって事だ」

『ま、それはいいさ。君たちがエンバース君を仲間と信じるのなら、私もそうしよう――』

「別に、信じてもらう必要はないけどな。俺は、俺がすべき事をするだけだ」

『おっと、でも当座は心配しなくてもいいよ。少なくとも、アコライト外郭の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』はこちら側だ。
 でなければ、ニヴルヘイムの連中だって攻め落とそうとは考えないしね。だから、心おきなく救出に向かってほしい!』

「言われるまでもないさ……誰にも、俺と同じ轍は踏ませない」

瞳が宿す炎/敵愾心には変化のないまま、ようやく焼死体はバロールの意見に同意を返した。


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