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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章
122
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2019/05/23(木) 13:09:24
>ほやったら召喚された協力者やのうて地球の代表として、この場であんたさんを倒してしまえば話早いんやあらへんの?
王様は随分耄碌しているようやし、あんたの首持って二ヴフレイムに行けば歴史は分岐されるやろうしなぁ
みのりが周到に準備していたスペルカードを発動させ、臨戦体勢に移行する。
「ちょっ!? み、みみみのりさんっ!?」
さすがにこの状況はなゆたにとっても予想外だった。
バロールが信用できるかわからない――というのはなゆたも同感だが、まさかみのりがここまで警戒心を抱いているとは。
いや、警戒心などという生易しいものではない。それはもう敵対心、殺意とさえ言ってもよかった。
しかし。
「勘違いしないでもらいたいな。地球に侵攻することを決定したのは私じゃない、アルフヘイムの総意だ。
彼らが地球に攻め込む決定をしたころ、私も鬣の王もとっくに死んでいたのだからね。
それとも、私の首を手土産にニヴルヘイムへと渡って――君が魔王になるかい? 『五穀豊穣』君……。
かつて、私が鬣の王の首を持ってそうしたように。私の代わりに」
一触即発などという状況はとっくに過ぎている。
すでに明確な敵対行動を取られているというのに、バロールは相変わらず泰然とした表情を崩さない。
よほど肝が据わっているのか、それとも――
みのりの行動が虚仮脅しに過ぎないと看破しているのか。
>浸食をどうしたら止められるのか、ブレイブにしかでけへん事を
「生憎だけれど、現段階では何も確かなことは分かっていない。侵食の正体も。メカニズムも、どうすれば止められるのかも。
私たちの立っている場所、ここがスタートラインだ。だから、一刻も早く我々は侵食に対する知識を得なければならない。
もちろん、考えられることは無数にある。こうすればいいんじゃないかな? これは有効では? という作戦もね。
ただ――今の状況では、それはどれも机上の空論、妄想、画餅に過ぎない。
だからこそ、君たちに働いてほしいんだ。
我々アルフヘイムの者たちでは、制約が厳しすぎてできないこと。動けないことが、君たちにはできる。
君たちは私たちに課されている制約に囚われることなく、自由に行動することができるんだ。
君たちを世界を救う希望と言ったのは、つまりそういうことなのさ」
>……はぁ〜〜〜〜〜〜〜……大した御仁やわ
「分かってもらえたかな? いやぁ、血の気の多いお嬢さんだなぁ! はっはっはっ!」
実力行使による激突は避けられたと、バロールが笑う。
しかし、みのりは舌鋒鋭くバロールの言葉に指摘を重ねる。
>バロールさんなぁ、『機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)』は不完全な言うたけど、それおかしない?
「うん……確かに。そこは私の説明が悪かったね、素直に誤りを認めよう。
正しくは『時間をやり直す魔法』……か。過去へと立ち戻り、本来の望むべき未来へと軌道修正する魔法――。
それならば、私やイブリースが記憶を持ち越して蘇ったのもバグではないのかもしれない。
とはいえ、『機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)』にそれ以外のバグが多いのは変わらないけれどね」
>バロールはんは自分が魔王でもある記憶があるんやろ?
ほやったらイブリースさんがどれだけ魔王バロールに心酔していたかも知っているはずやん?
イブリースさんは記憶の混濁があるようやし、さっさとあんたが魔王になって首輪付けてこればええんちゃうの?
一巡目の記憶があって、同じ轍を踏まない。そう云うんやったらさっそく行動を見せてほしいわぁ
「いい質問だね。……でも、私が魔王になるというのはそれこそ悪手だ。
それでは一巡目と同じ末路を辿ることにしかならない。違うかい?
それに、イブリースが私に従っていたのは忠義心からなんかじゃない。私ならニヴルヘイムを救えると踏んだからだ。
だが結果的に私は敗北し、ニヴルヘイムは滅びた。彼はその結末を知っている。
希望に添えなかった私に従う理由は、今の彼にはないよ」
手指を組んでテーブルの上に乗せ、バロールは小さく息をついた。
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