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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第三章

256明神 ◆9EasXbvg42:2019/03/10(日) 19:26:48
なゆたちゃんはイブリースの言葉を何度も咀嚼し、その意味を掴み取らんとしていた。
奴らの真意は俺にだって分かりゃしねぇし、情状を酌量しようとも思わん。
結局のところ、俺たちにできることは一つっきりしかない。

>「……頑張らなくちゃ」

「……そうだな。頑張ろう」

頑張る。努力する。必死に足掻く。
右も左も分からないままこの世界に放り出された俺たちにとって、選択肢はあまりに少ない。

だけど、『頑張る』『頑張らない』の二つから選べるのなら、俺は迷わず前者を取ろう。
雛鳥みてえに口開けて待ってたって、棚からぼた餅は降ってきやしないのだから。

>「君達がミドガルズオルムを消えさせてくれたんだよね、本当助かったよ!
 カザハ、こっちはカケル。良かった〜、会えて。
 メロちゃんに君達に合流するように言われて……丸投げでどっか行っちゃうんだから。
 ホント無責任だよね!あとトーナメント見てた! マジで恰好よかったよ!」

なんかいい感じに話が終わったあたりで、空気を読んだのかお馬さんと妖精さんがシュバババっと駆けてきた。
そしてめっちゃ早口でまくし立てる。
メロちゃん?ああなんかいましたねそんな感じのチョイキャラ。
あいつどこ行ったの。ベルゼブブ戦あたりから顔見てねーぞ。

>「他にもいたんだ……こっちに来た時に異種族になっちゃった系異邦の魔物使い《ブレイブ》!
 ボクだけだったらどうしようかと思った。いや、まあ、こっちの姿の方が気に入ってるんだけどさ!」

「あっ?他にもって、お前もブレイブなの?何だよ今日はマジでブレイブの大安売りだな。
 モンスターになってんのも意味わかんねーし、俺の知らない間に新パッチでも当たったのかよ」

ほんでこいつら馬と妖精どっちが本体よ?主に喋ってんのは妖精だけど。
なんかこう、INT値高そうなのは馬の方だよな……見るからに妖精はIQ低そう。
ワっと言葉の洪水を浴びせかけられた燃え残りは、いかにも陰キャっぽい反応を見せる。

>「……俺は、一回死んだんだよ。そしてこうなった」

「……元ブレイブ、ってのはそういうことか。
 するってえとお前はアレか、俺たちより前にこの世界で活動してたブレイブなのか?
 ほんでどっかでおっ死んで、燃え残りとして蘇ったと。
 アンデッドなら、しめじちゃんと同じやり方で蘇生できるんじゃ――そうだ、しめじちゃん!」

やべえ、色々ありすぎて完全に思考の外だった。
そもそもこいつしめじちゃん放ったらかして何やってんだよ!
俺は燃え残りの炭化した両肩を掴んで揺さぶった。

>「……君達に任された通り、しめじちゃんは安全な場所まで逃しておいた。
 もっとも、柱に縛り付ける訳にもいかなかったからさ。
 そろそろ……あぁ。噂をすれば、追いついてきたな」

焼死体の白濁した目がぐるりと動き、視線の先を示す。
しめじちゃんが街の方から駆け寄ってくる姿を見つけて、俺は腰が砕けそうになるくらい安堵した。
というか砕けた。みっともなく地面に尻を付ける俺を横目に、燃え残りはなゆたちゃんに歩み寄る。
女子高生大好きマンかよこいつ。

>「俺は何度でも言うよ。君達は、物語に関わるべきじゃない……君だって分かってるはずだ。
 今回死なずに済んだのは、たまたまだ。運が良かっただけ……次はどうなるか分からない」

燃え残りの言葉は……正論だった。
今日俺たちは、何度死んだっておかしくなかった。
しめじちゃんに至っては実際に一回死んですらいる。
正直言って、もうこんな思いはゴメンだ。死にたくねぇし、死なせたくもない。

>「だけど……奴らの方から、君達を狙ってくるなら仕方がない。
 大丈夫だ。君達は、俺が守ってみせる……捨てゲーはしない主義なんだ」

「へっ、一回死んでる奴が吹かすじゃねえか。喋って動くだけの焼死体に何が出来るんだ?
 紙防御の肉壁にでもなろうってのかよ」

燃え残りの宣誓に、俺は憎まれ口を叩いた。
実際こいつどうするつもりなの。元ブレイブってこたぁゲーム知識はあるんだろうが、それだけだ。
ミハエルとの戦いでもこいつがやったのは槍を身体で受け止めるくらい。
今のこいつはスペルも使えなきゃ、サモンもできない、単なるモンスターでしかない。

「俺は認めねえぞ。こんなよく分からん、自分の名前も思い出せねえような死体の世話になるなんざ。
 旅についてくるのは勝手だけどよ、足引っ張ったらその時はウジ虫の餌にしてやるぜ。げひゃひゃ」

『グフォフォフォフォフォ……!』

俺の肩の上でマゴットが悪っぽい笑い声を上げた。
この子生まれたばっかの頃は純真だったのに最近なんか凶悪じゃない?
やあねえ。誰に似たのかしら。

かくして、リバティウム全土を巻き込んだ一夜限りの大騒乱は幕を下ろす。
両手一杯の謎と、一握りの暖かなものを残して。


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