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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第三章

249embers ◆5WH73DXszU:2019/03/03(日) 06:23:29
失意/後悔――煮え切った脳髄に未だ焼き付く死のフラッシュ・バック。
項垂れ/微動だにしない四肢――まさしく生ける屍。

『失態だな、ミハエル・シュヴァルツァー。帰りが遅いと思っていたが、まさか負けるとは思わなかったぞ』

不意に耳に届く声――厳しく/遠い過去に聞き覚えがある――顔を上げた。
目に映る、漆黒の甲冑――ただの防具ではない/恐ろしく重厚/凶器そのもの。
闇色のマント――夜の帳を切り抜いたかのよう/色合いではない/織り込められた魔力が。
猛毒色の竜尾――巨大/自由自在/筋肉の塊。
黒き赫眼/それらを飾る魔紋/巨大な捻れ角――その容貌に、焼死体は見覚えがあった。

「……なるほど。あれだけの余裕は、後詰がいたからこそか」

『負けてない! 僕が負けるものか!
 万が一、億が一そうだったとしても……ここでおまえがこいつらを皆殺しにすれば済むことだ!
 さあ……こいつらを殺せ! おまえなら造作もないことだろう――イブリース!!』

『……なんてこと……』

「……望みは果たしたな。なら逃げろ。果たしてなくても逃げろ。ここは俺が時間を稼ぐ」

仲間の形見を鞄ごと投げ渡し/直剣を抜く。
左手を前に/敵の先手を捌き――右手は引き絞る/突き刺す構え。
流れるような所作――望まずとも体に染み付いた初動。

「ああ、そうだ。折角の機会だ。これを言っとかないとな。
 ……別に、あれを倒してしまっても構わんのだろう?」

スマホは壊れ/得物は半ばまで溶け落ちた直剣。
勝ち目などない――だがそれで良かった。
――ここで彼らを守って死ねるのなら、『結末』としては悪くない。

『どうした!? イブリース! さっさとやれ! 魔法でも、武器でも、なんでもいい!』
『勘違いするな、ミハエル・シュヴァルツァー。オレはおまえのモンスターではない。
 オレの行動は、オレ自身とあの御方だけが決める』

しかし脳裏に描いた敗北の幻想は、現実にはならなかった。
仲間割れ――ではない。
――元から利害の一致以上の関係性がなかったと見るべきか。

『自己紹介が遅れたな、『異邦の魔物使い(ブレイブ)』ども。オレの名はイブリース――兇魔将軍イブリース。
 と言っても、貴様らはオレのことなどよく知っているのだろう。ならば……こう言った方がいいか?
 『ゲームの中のオレが世話になっている』と――』

「……なるほどな。お前達も、その事を知っているのか……。
 なら、ソイツを呼んだ理由もそういう事なんだろうな」

『世界最強のプレイヤーだというので召喚したが、少し目を離した隙にまさか敗北しているとはな』

「……ちょっと待て。『世界最強のプレイヤーだから召喚した』だと?
 お前達は、向こうから誰を召喚するのか選べるのか?
 いや、それだけじゃない……『向こうの世界が見えている』のか?」

問いの答えは――ない。


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