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第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

56名無しさん:2019/05/20(月) 20:17:28





「――――というわけで、ムーンセルの英霊システムはこんな感じかな」

それからしばらく、赤霧火々里は、図書室にて、ケイ・ミルカストラより……聖杯戦争について、ムーンセルについて、英霊について、というものを学んだ。
なにか本当に教師でもやっていたのか、教え方はとても分かりやすいもので、すらすらと内容が入ってくる。彼からすると、"師の教え"の一部であるそうだが。
……その間。セイバーは、世界史資料の棚を険しい表情で見つめている。何か探しているのだろうか。

「それで、これらは本来、サーヴァントと同様に、ここに来た時点でムーンセルから与えられる情報なわけなんだけど……なんで知らないんだ?」

「さぁ……」

そうは言われても、分からないものは分からない。そのうち戻るという話だから、あまり重要視はしていないが。
ケイは額に手を当てながら、やれやれと首を振った。疲れはないようだが、訳が分からない、ということらしいが……。

「まあいいさ。続けよう。それで、僕達は……ムーンセル・オートマトンに聖杯戦争へ招待されたわけだが……それ以前。
 何故、ムーンセルは……"世界線を問わず"、"無理矢理に"、"無差別に"、聖杯戦争の参加者を集めなければならなかったのか」

――――――――そう、問題はそれだ。
何故私達は、この戦いに招聘されたのか。何故、私達は殺し合わなければならないのか……それだけが、未だに濃霧に包まれている。
生唾を飲み込む。緊張が走る。心なしか、彼の表情も強張っているように見えた……少しだけ間を開けてから、ゆっくりと、言葉が開かれていく。


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