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短編 カメレオン

1名無しの作家さん:2018/01/22(月) 19:07:56 ID:P/5REEME
短編です。文章力なさはご了承下さい。

2名無しの作家さん:2018/01/22(月) 19:29:43 ID:P/5REEME
出勤すると、上司やその他バタバタしている。
スケジュールを確認すると、CM撮影の日になっていた。
求人のための会社PRのCM撮影をやることは聞いていたが、自分には関係ないとあまり気にしていなかった。


机の配置がいつもとは違い、俺と机は部屋の隅へと追いやられていた。

今日は全員参加のため、出演する人(出演といっても端の方に映る程度)以外は撮影の邪魔にならないようにしておくだけ。
机が端に追いやられている時点で俺の出番はない。

出演する人と上司は相変わらずバタバタしている。
俺はタバコを吸いに屋上へ。
その途中、見かけない女性とすれ違った。
女性は挨拶してくれたが、咄嗟のことで声がでず会釈だけ返した。
女性はトイレへと消えていった。

屋上でタバコをふかしながら、綺麗な女性だったなぁと思い返す。


一服して降りると、リハーサルが始まっていた。
照明に音声、監督らしき人もいる。
そして先程、挨拶してくれた女性もいる。
CM製作会社の女性スタッフであることが判った。

ずらりと並ぶ女性社員は全社から綺麗どころばかりを集めていることは、一見して分かった。
そして俺が密かに思いを寄せている沙織もいる。

リハーサルが一通り終わって、簡単な打ち合わせが再度行われている。

CM会社の女性はどこかへいってしまった。



撮影が始まる前に、着ぐるみのカメレオンが現れた。
カメレオンの立ち位置から中身の人が推測できた。
CM会社の女性!

綺麗な女性がカメレオンの着ぐるみに入っていると判るとなんだか興奮し、目が離せなくなった。
撮影は進んでいったのだが、カメレオンは俺の視線を釘付けにした。
でなければ、沙織をずっと目で追っていただろう。

3名無しの作家さん:2018/01/22(月) 19:31:37 ID:P/5REEME
撮影は進んでいったが、突然カメレオンが倒れた。
一斉に皆がカメレオンに駆け寄る。
カメレオンが監督に何か話しているのが見えた。

監督は顔を上げ女性社員を見渡し、沙織に声を掛けている。


そして、なぜか俺にも声を掛けてきた。



沙織から伝えられたのは、カメレオンの中の女性が体調が悪くなったので、医務室に運んで欲しいとのこと。
撮影見学組を見ると、俺以外はジジイかガリかチビ。
俺は頷き、カメレオンの着ぐるみを着たままおんぶした。

カメレオンの着ぐるみはゴムで出来ているようで、俺の首に回した腕は吸い付いてくる。
背中でも滑ることなく、背広に張り付いている。
そして、微かにカメレオンの女性の胸が当たっているような感じがした。


カメレオンを医務室に運ぶのに、沙織も付き添ってくれた。
医務室のベッドにカメレオンを寝かせると、背びれの下のファスナーを沙織が開く。
監督から説明を受けていたようだった。

沙織は着ぐるみの中に手を入れ、女性を引き出す。
呆気に取られて見ている俺に着ぐるみを押さえておくように沙織から指示が飛ぶ。
俺は慌てて着ぐるみを押さえた。

着ぐるみからだされた女性は、顔が真っ赤で呼吸が荒いが意識は戻ったようで、すみませんと謝っていた。
普通なら裏方を見ることができて興奮するのだろうが、非常事態だったのでそんな感情は湧いてこなかった。

女性をベッドに寝かせ、非常勤の医師に診てもらう間、俺が付き添った。
沙織はいつのまにかいなくなり、医師から女性が貧血であり寝ていたら落ち着くことを聞いている時に戻ってきた。

4名無しの作家さん:2018/01/22(月) 19:32:37 ID:sHJhqcqc
沙織は俺の腕を掴み、もう片方にはカメレオンの着ぐるみ。
そして医務室の隣のベッドを借り、カーテンを閉めると、制服を脱ぎ始めた。
中には競泳水着を着ていた。
いつも仕事帰りにプールで使っているもの。

俺は急に沙織の水着姿を目にし、凝視していいものやら戸惑っていると、手伝って。
そう言って、カメレオンの着ぐるみの中へ入っていった。

沙織がカメレオンの着ぐるみを着易いようにサポートするのだが、カメレオンの着ぐるみは中もゴムでできているようで滑りが悪い。

着ぐるみの中へ体を埋めていく沙織、振れるお尻が色っぽい。
思わず手が出そうになるのを必死で抑える。
途中まで入ってしまうと後は簡単に着ぐるみの中に収まった。

閉めるよ!と声を掛けてから着ぐるみのファスナーを上げ、背びれでファスナーを隠す。
キツくない?声を掛けるとくぐもった声で、ええ大丈夫、暑いしキツイけど。

目の前にはカメレオン、中身は沙織、着ぐるみの中で水着を着て暑さとキツさと戦っている。
そんな沙織の状況を目の当たりにしていると興奮を抑え切れず、抱きつきそうになる。
しかし、職場であることや皆が待っていることを思い返し冷静さを取り戻す。

じゃあ戻ろうかと声を掛け、歩き出そうとすると、カメレオンの手が俺の手を掴んだ。

そして聞こえないほどの声で何か言った。
着ぐるみを着ていることもあり、ほとんど聞こえなかったので顔を近づけて聞き返す。

おんぶ して!

恥ずかしそうで消え入りそうな声だった。


ほら!カメレオンに背を向けると、俺の背中に飛び乗ってきた。
首に手を回すが先程とは比べものにならないほど強く抱きついてきた。
足も体に巻きつけガッチリ固定。
まるで私のものだから誰にも渡さないといった感じだった。

強く密着している分、沙織の大きな胸が背中に当たっているのがしっかりとわかる。
歩く度にその感触も変わる。



おんぶしていると、カメレオンの
喉の辺りから沙織の声が聞こえてきた。
さっきはごめんなさい、キツい口調で。
ヤキモチやいちゃって、沙織の声が小さくなる。

確かにいつもの沙織とは違いキツかった。
終始、沙織が怒ったような口調であったのは気づいていたが、原因が着ぐるみのままとはいえ、他の女性をおんぶしたことに対してのヤキモチであったことを告白され、ようやく理解したと同時にあることに気づいた。

つまり、沙織は俺のこと!
すごく元気になった俺はエレベーターにも乗らず、歩いて撮影場所へ戻った。

撮影場所に戻る寸前に撮影をがんばってもらうため、そして今後のためカメレオンの沙織も好きと伝えた。




その後、CM撮影以降、付き合い出した俺たちだったが、カメレオンの沙織が好きと聞き間違えた沙織は、俺の家に誘うと決まって記念にもらったカメレオンの着ぐるみを持ってきて、あなたはカメレオンの着ぐるみを着ている私が好きなんでしょと言って、カメレオンになる。



おしまい


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