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短編 カメレオン

4名無しの作家さん:2018/01/22(月) 19:32:37 ID:sHJhqcqc
沙織は俺の腕を掴み、もう片方にはカメレオンの着ぐるみ。
そして医務室の隣のベッドを借り、カーテンを閉めると、制服を脱ぎ始めた。
中には競泳水着を着ていた。
いつも仕事帰りにプールで使っているもの。

俺は急に沙織の水着姿を目にし、凝視していいものやら戸惑っていると、手伝って。
そう言って、カメレオンの着ぐるみの中へ入っていった。

沙織がカメレオンの着ぐるみを着易いようにサポートするのだが、カメレオンの着ぐるみは中もゴムでできているようで滑りが悪い。

着ぐるみの中へ体を埋めていく沙織、振れるお尻が色っぽい。
思わず手が出そうになるのを必死で抑える。
途中まで入ってしまうと後は簡単に着ぐるみの中に収まった。

閉めるよ!と声を掛けてから着ぐるみのファスナーを上げ、背びれでファスナーを隠す。
キツくない?声を掛けるとくぐもった声で、ええ大丈夫、暑いしキツイけど。

目の前にはカメレオン、中身は沙織、着ぐるみの中で水着を着て暑さとキツさと戦っている。
そんな沙織の状況を目の当たりにしていると興奮を抑え切れず、抱きつきそうになる。
しかし、職場であることや皆が待っていることを思い返し冷静さを取り戻す。

じゃあ戻ろうかと声を掛け、歩き出そうとすると、カメレオンの手が俺の手を掴んだ。

そして聞こえないほどの声で何か言った。
着ぐるみを着ていることもあり、ほとんど聞こえなかったので顔を近づけて聞き返す。

おんぶ して!

恥ずかしそうで消え入りそうな声だった。


ほら!カメレオンに背を向けると、俺の背中に飛び乗ってきた。
首に手を回すが先程とは比べものにならないほど強く抱きついてきた。
足も体に巻きつけガッチリ固定。
まるで私のものだから誰にも渡さないといった感じだった。

強く密着している分、沙織の大きな胸が背中に当たっているのがしっかりとわかる。
歩く度にその感触も変わる。



おんぶしていると、カメレオンの
喉の辺りから沙織の声が聞こえてきた。
さっきはごめんなさい、キツい口調で。
ヤキモチやいちゃって、沙織の声が小さくなる。

確かにいつもの沙織とは違いキツかった。
終始、沙織が怒ったような口調であったのは気づいていたが、原因が着ぐるみのままとはいえ、他の女性をおんぶしたことに対してのヤキモチであったことを告白され、ようやく理解したと同時にあることに気づいた。

つまり、沙織は俺のこと!
すごく元気になった俺はエレベーターにも乗らず、歩いて撮影場所へ戻った。

撮影場所に戻る寸前に撮影をがんばってもらうため、そして今後のためカメレオンの沙織も好きと伝えた。




その後、CM撮影以降、付き合い出した俺たちだったが、カメレオンの沙織が好きと聞き間違えた沙織は、俺の家に誘うと決まって記念にもらったカメレオンの着ぐるみを持ってきて、あなたはカメレオンの着ぐるみを着ている私が好きなんでしょと言って、カメレオンになる。



おしまい


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