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優良の探偵物語
6
:
優良の探偵物語6
:2017/10/07(土) 05:23:56
「今週末、ご主人は闇金業者から都内の秘密クラブに呼び出されています」
「秘密クラブ?」
「ええ、ショー形式で卑猥な行為が行われているそうです。ただ、ご主人がショーに出るのか、裏方なのかまでは残念ですが掴めていません」
「そんな・・・」
麗しい人妻は次々に突きつけられる残酷な現実に、再び心が折れそうになっていた。
最愛の夫が借金のカタに他の女性と肉体関係を持つかもしれない。
考えただけで気が狂いそうだ。
そんな最悪の状況を想像し居ても立っても居られなくなった優良は、悲壮な決意を固めると丸岡に意外な提案をしていった。
「丸岡さん。私も、そのクラブに連れて行ってもらえませんか?」
「えっ?それは可能ですけど、かなり危険な場所ですよ。貴女みたいな女性がいくようなところじゃありません」
丸岡は優良の意外な申し出を困惑しつつも、冷静に跳ね付けた。
しかし、「貴女みたいな」という探偵の言葉が、優良の妻としての意地に火を点ける。
美貌の人妻は椅子に座り直すと、矢継ぎ早に決意を紡いでいった。
「いいえ、行きます。お願いだから、連れて行ってください。絶対に足手まといになることはしません」
もし本当に真がそのクラブに顔を出すのならば、現場で取り押さえて事実を追及してやる。
そうすればきっと真は全てを打ち明けてくれ、そこから打開策が見つかるはずだ。
優良は静かに闘志を燃やし、真っ直ぐに丸岡を見つめ決断を迫っていった。
「分かりました。奥さんがそこまで仰るなら連れていきましょう。ただし、絶対に現場では私の指示に従ってください。いいですね」
「はい。ありがとうございます」
優良は丸岡に深々と頭を下げた。
一刻も早く全てを明らかにして、できることなら以前のような健全な夫婦に戻りたい。
優良は期待と不安を同時に抱えながら、来たる日の打ち合わせに集中していった。
そして、土曜日。
丸岡と優良は秘密クラブのある都心の商業ビルへとやって来ていた。
そのクラブは地下にあるらしく、駐車場の奥にある黒いドアを開け、不気味な照明が灯された階段を二人はゆっくりと降りていく。
道中では、正装しているものの目つきが堅気ではない黒服が何か所かに立っており、通行所の提示を求められた。
その度に、タキシードを着込み目元をバタフライマスクで隠した丸岡が、左腕で優良を守りながら通行所をボーイに示していく。
そんな様子を見て、最愛の夫がとんでもない状況にいることを、優良は改めて思い知ったのであった。
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