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仮投下スレ
339
:
◆X8NDX.mgrA
:2015/09/16(水) 22:02:26 ID:o7ANydZE0
確かに理屈は通っていると、リゼは思った。
女の子の頭部を潰していたのはゲームの筐体で、かなりの重さがありそうだった。
あれを持ち上げて落としたのだとしたら、それこそ巨体の蟇郡でもないと不可能な芸当だ。
「どうかな、信頼して貰えたかい?」
「えーっと……」
「なるほど。あの女の子が誰に殺されたかは、俺も興味がある」
リゼの背後から、階段を下りてきた雄二が臨也に声をかけた。
片手には支給品のキャリコを油断なく構えている。
戻ってこないリゼを心配してか、それとも蟇郡の声が聞こえたからか、様子を見に来たらしい。
「それじゃ、情報交換といこうか」
そう呟いた臨也の声を、リゼはとても愉快そうだと感じた。
■
ゲームセンターの五階。
五人の参加者の情報交換は、切嗣が予想したより遙かに早く終了した。
というのも、風見雄二と天々座理世の二人は他の参加者と遭遇していないらしく、情報らしい情報は知り合いの名前しかなかったのだ。
一方の切嗣たちが持つ情報は、主に臨也が伝えた。
空条承太郎、一条蛍、そして香風智乃。ラビットハウスで待っている三人の名前。
「本当か!?ラビットハウスにチノが!?」
「間違いない。俺は香風にコーヒーを振る舞われた」
「そうか……よかった……生きてて……」
そんなやりとりをしてから、次に臨也と蟇郡の知人の名前が伝わった。
臨也から園原杏里と平和島静雄の、蟇郡から針目縫の危険性について強く語られたリゼは、安堵した表情を一転して恐怖に曇らせていた。
その後は、遺体となっていた少女の名前が越谷小鞠であること、支給品は盗難を懸念して預かっておいたことを切嗣が説明した。
さらにそれが終わると、臨也が再び平和島静雄を貶すことに終始した。
「じゃあ、その静雄って人がゲームの筐体を投げて……」
「ああ。そうに違いないよ。
外の暴風が通ったみたいな破壊の跡は、間違いなくシズちゃんだ。
監視カメラでもあればよかったんだけどね……生憎ここのはダミーみたいだし」
臨也は話しながら、静雄の危険性をオーバーに言いながら、ときおり切嗣と視線を合わせてくる。
なにもこの瞬間だけでなく、ゲームセンターについてから、臨也はまるで切嗣に協力するかのような行動を取っていた。
蟇郡が筐体を持ち上げたときには、灰皿の破片が発見されないか焦ったが、臨也が過剰な反応をして、全員の視線が頭部に集中したお陰で事なきを得た。
遺体に適当な毛布がかけられて、砕けた灰皿が再び筐体の下に隠れてから、臨也がこちらを見てきたのは偶然ではない、と切嗣は考える。
臨也は切嗣の所業を理解しており、自分に協力する意思があると切嗣は確信していた。
「生身の人間なのに、あれだけの破壊を行えるのか?」
「ああ、池袋でもことあるごとに大暴れしてるよ。
“最強”って呼ばれてるくらいだ。
放っておいたら、この殺し合いでどんな被害を出すか分からない」
ラビットハウスを出てから、折原臨也の動向を観察していた切嗣は、一つの結論を出していた。
それは臨也が「同盟関係を組むのに相応しい相手である」ということ。
至極冷静な人物で頭の回転も速い。コミュニケーション能力も申し分ない、そして口がよく回る。
切嗣が交渉材料を持ち出すより早く、切嗣の犯罪を擁護するという形でフォローを入れる駆け引きの上手さもある。
協力できれば心強い人間だ――裏を返せば、引き留めておかなければ利用されかねない。
(そうなると、折原臨也と対話したいところだ)
目下のところ、切嗣が欲しいのは臨也と二人きりで対話をする機会だった。
とはいえ都合よく事態は進まないもので、情報交換が終わり、臨也は雄二と行動方針について熱心に話し合っている。
無理に二人きりになろうとすれば、怪しまれる可能性があるために、切嗣は動き出せなかった。
そして、全員でラビットハウスへ向かうことで話が固まりつつあったとき。
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