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仮投下スレ

1名無しさん:2015/07/15(水) 00:22:03 ID:YFA/rTa20
作品の仮投下はこのスレでお願いします

304低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:15:35 ID:eQQbHSfc0

「なるほど……しかしそれでは、チヤという少女はホノカ嬢の差し入れに毒を盛った後で、さらに念を入れて射ち殺すような真似をしたことになります。
いったいどうしてそこまで……」
「こいつは仮説だが……何も強力な毒物だからといって即死するわけじゃねぇ。
ヴィヴィオの嬢ちゃんには格闘技の心得があったようだし、毒で苦しみながらも、暴れるなり体術を使うなりして足掻こうとしたんじゃあねぇか。
そして、相手の方も思わぬ抵抗にびびって銃を持ち出してしまった……」

そんな解説なり考察なりを語って時間を費やしたりしながら、二人はラヴァレイたちの待っている事務室へと足を戻すことにした。

「もっとも、これから嬢ちゃんから黒いカードのチェックと身体検査はさせてもらうがね。、もし青酸カリを持っていたんならコトだ」
「身体検査を……?」
「……おい、いぶかるような眼で見なさんな。もちろんもう一人のお嬢ちゃんにやってもらう」


◆  ◇  ◆  ◇  ◆


本部以蔵の失敗は、あまりにも矛盾が生じないよう徹底的に理詰めで考え過ぎたことだった。
神の視点から見れば、それは単なる穂乃果のうっかりミスに過ぎない。
日頃から推理ドラマなどあまり見ない穂乃果は、青酸カリがそこまで即効性の毒であるというイメージが無かった。
しかも、高坂穂乃果は自他ともに認めるおっちょこちょいな少女である。
いくら冷静に毒殺計画を立てたとしても、おっちょこちょいな人間がおっちょこちょいで無くなるなんてことは有り得ない。
さらに言えば、穂乃果は基本的にあれこれ計画を立てて行動することに弱い。
現在のμ'sメンバーを勧誘していった時だって、基本的に押せ押せで、かつその場に応じての対応だったように、『相手がこう出てきたら自分はこうしよう』とあらかじめ想定して動くのは大の苦手だった。
だから、本部に二人の毒殺死体が露見する可能性をうっかり失念していた。
それだけのことだった。

(どうしたんだろう……私)

だから、色々な偶然が重なったおかげで計画が破綻しなかったことを、穂乃果は未だに自覚していない。
証拠品となる3個目のサンドイッチはホームに向かう途中で落としてしまったことにしたし、問題はない。
皆がホームへと向かった時にはひやりとしたけれど、ヴィヴィオの死体は銃殺されたようにしか見えなかった。
だからほっとすると同時に、やっぱり自分の行動は間違っていなかったんだと自信をつけた。
毒で殺すまでもなく、最初から千夜は危険人物だったのだと、証明されたのだから。
やっぱり、殺さなきゃいけない人だったんだ。そう思おうとした。

それなのに、ヴィヴィオの死体を見てから、ずっと身体が震えている。
寒気のような、痙攣のような何かが、体に染みついて離れようとしない。

(やだ……これじゃ私、今さら殺したことが怖くなったみたいだよ……そんなはず、ないのに)

ゴロリと転がった少女の遺体は、仰向けになっていた。
虚空を見る目は、ぎょろりと穂乃果を向いていた。
ライブの時の観客のキラキラした素敵な目とはぜんぜん真逆の、これ以上ないほどに絶望しきった目だった。

305低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:16:34 ID:eQQbHSfc0

(もう殺した人に怯えるなんて……まだ一人しか殺せてないのに、そんなはずない)

当たり前のことだ。
頭でいくら殺してやると凶暴に念じても、実際に殺人を実行して結果を背負うとなると全く違ってくる。
もし、つい昨日まで人を傷つけたり殺したりするようなことなど考えもしなかったような女子高生が、
愛の黒子を受けた結果とはいえ自分で毒殺した『はじめての死体』を見ても平然としていたりすれば、それは『暴走』を通り越して『人格改造』でしかない。

(そう……これは、怖気付いたわけじゃなくて。
きっと、さっきラヴァレイっておじさんに変なこと言われたからだよ)

しかも、本部の殺害に失敗しただけでなく、新たな来客が三人も訪れたことが穂乃果を不安にさせていた。
このタイミングでまた青酸カリの差し入れをして皆を殺せるかどうかは怪しい。
それだけでなく、三人の中のラヴァレイという男は、もしかしたら何かに気づいているのではないかという感じもする。
事務室に穂乃果と戻る最中に、意味深なことを話しかけられた。

『ヴィヴィオ君は、君の大切な友人だったのかね?』

そんな風に尋ねられた。
なぜ出会ったばかりの、それもかなり年下の少女を『大切な友人』呼ばわりするのか。
その意図がわからず、穂乃果は曖昧に否定すると理由を尋ねた。

『君の様子が、とても悲しんでいるように見えたものだからね。
かつてニコール――大切な方を失った時の私を見ているようだと思ったのだよ』

ぎくりとした。見抜かれたと思ったから。
そう、今の穂乃果は一生でいちばん深く悲しんでいる。
ランサーを、穂乃果が足でまといになったせいで本部に殺されてしまったのだから。
ランサーが心配だと言ってついて行きながら、ランサーとのデート気分で浮かれきっていただけで、何の役にも立てなかった。
真っ先に気絶して、足でまとい以外の何ものでもなく、目覚めたらすべてが終わっていた。

(それに……)

ついさっき、晶とかいう少女に今後の方針を問われた時の言葉。
それを聞いて、胸がざわざわとした。

『少なくとも、放送を聴けば無事かどうかは判断できるだろう。
もっともモトベ殿の話では、今のランサー君ならばそうそう死にはしないと自信がある様子だったがね』

306低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:18:11 ID:eQQbHSfc0

そう、放送を聞けば、ランサーの生死は確定される。
いくら本部がランサーは生きて別行動をしていると言っても、放送で名前が呼ばれたら騙せない。
『おそらく追っていったセイバーに殺されたのだ』とかなんとかごまかすつもりかもしれない。
けれど、本当にそれだけで、全員をごまかし切れると思っているのだろうか……。

(ダメ。考えちゃだめだ……優勝すれば、ランサーさんは生き返る。生き返らせるんだから)

ぶるぶると内心で首を振って、穂乃果は気分の切り替えにつとめようとした。
たしかに、人を殺したことで罪の重さはあったかもしれない。
でもそれは『ランサーを死なせてしまった』という過ちを償うためでもある。
考えなきゃいけないのは、今、怪しまれないことだ。
ラヴァレイの目から見ても、穂乃果は悲しんでいるように見えたらしい。
これは問題だ。穂乃果はまだ放送で『知り合いの誰も呼ばれていない』ことになっている。
それなのに悲しんでいたりしたら怪しいと思われ――



(…………………………知り合い?)



放送で呼ばれるかもしれない知り合いの名前。
それが頭をよぎった時に、思考の渦に『何か』が出現した。
今までモヤがかかっていた部分が、急にくっきりとしてきたように。

知り合いとは誰だ。考えるまでもない。
思い出したのは、ランサーと初めて出会った時の約束だ。
『良かったらライブ見に来てください』と。
なんのライブ?
決まっている。
高坂穂乃果にとっていちばんの自慢であり、好きな人ができたら胸を張って見せられる9人の勇姿。

(そうだ、なんで思いつかなかったの……?)

307低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:18:41 ID:eQQbHSfc0

大好きなライブ。
『僕らのLIVE、君とのLIFE』。

(そうだよ……ランサーさんが生き返るなら、μ'sの皆だって生き返らせれば良かったのに……)

殺し合いに乗ろうと決めた時は、『ランサーの命』と『μ'sの皆』をぼんやりとしか天秤にかけなかった。
でも、そもそも天秤にかける必要などなかったとしたら。
優勝すれば、好きな人は生き返る。その考えを信じているし、この手も汚している。
ならば、この先にμ'sの誰かが死んでしまったとしても、ランサーと同様に蘇生を願うことに躊躇いはない。
ランサーのためにμ'sの絆を捨てることはない。どちらも助ければいい。

(ランサーさんのために、皆を見捨てる必要なんて無かったんだよ……)

そんなに何人も生き返るのか、なんて疑問を挟む余地はない。
最善の結果があるなら、絶対にそれを目指す。
高坂穂乃果は、そういう性格だった。

(そうだ……私は絶対に、絵里ちゃん、にこちゃん、希ちゃん、それにことりちゃんを殺すなんて、できっこなかったんだ……)

ランサーへの好意が消えてしまったわけではない。
いや、今この瞬間にも消えつつあるのかもしれないが、その好意はもはや『本来の高坂穂乃果』を圧迫するところにいない。
何者にも塗りつぶされない思考。それを発見したことによる開放感が、穂乃果の胸をいっぱいに満たそうとしていた。



――ザザッ



その濁ったような音は、テレビのたてる砂嵐だった。



「此度の放映をご覧頂けた幸運なる皆様。私、キャスターのサーヴァント、ジル・ド・レェと申します」

308低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:19:53 ID:eQQbHSfc0


あまりにも聞き覚えのある声――この島でいちばん最初に目撃した『恐怖』が、テレビ画面の向こうに姿を現した。

「……………え!?」

腐乱死体を引き連れ、高坂穂乃果を殺害しようとした男。
ランサーはキャスターと呼んでいた、あのランサーでも逃亡を選択する絶対的な危険人物。

「皆様、各々方の知己朋友の消息を案じ気が気でないことでしょう。
 一体どこにいるのか、今も健在なのか、確かめたくて仕方がないことでしょう」

その放送に動揺したのは、高坂穂乃果だけではなかった。

(ジル・ド・ㇾェだと……!?)

偶然による同性同名にしては、よくある名前ではない。
それはまさに、複数の名前を使い分けてきたラヴァレイ――その正体の、真の名前である。
その名前を騙る、魔術師らしき男。
滅多にないことだが、彼の意識にはその男にばかり目が向くという隙ができた。

「さぁみんな、入っておいで」

ブラウン管のなかで口上を述べていたキャスターは、画面の外に待機していたらしき『何者か』を招く仕草をする。
そして、それぞれに痛々しく血止めの布を巻いた少女が三人、その映像へと映し出された。

「アキラ君。この映像は、遠見の水晶玉のようなものかね?」
「えっと、これはテレビって言って……あ〜、どう説明したらいいんだろ」

それまで『原理のよく分からない娯楽製品』ぐらいにしか思っていなかった『テレビ』とはどういう仕組みなのか、ラヴァレイは晶へと問い詰めていた。
だから、穂乃果の小さなつぶやきを、その時ばかりは聞き逃した。


「ことりちゃん……」


せっかく思い出せたのに、なぜその彼女が『そこ』にいるのか。

その放送は穂乃果にとって、『最悪』が形になったようなものだった。
それは、ずっと一緒にいたいと思っていた親友の姿で。
その親友は、首元に怪我でもしているみたいにきつく布を巻いていて。
その親友は、キャスターの危険性などなにも知らないかのように、淡々とキャスターの招きに従っていて。

高坂穂乃果は、たしかにキャスターの操るゾンビを目撃していた。
しかし、そのゾンビは墓から蘇ってきた亡者――誰が見ても腐乱死体だと分かる容貌だった。
だから、穂乃果の中では『キャスターの操るゾンビ』と『南ことり』は繋がならない。

「不肖ジル・ド・レェ、僭越ながらこの可憐な少女達を保護させて頂いております。
 ご友人の方々は是非とも放送局までお越し下さい。彼女達もきっと喜ぶことでしょう」

『怪我をした南ことりは、極悪人であるキャスターに騙されて連れてこられている』という光景にしか受け取れない。

309低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:20:53 ID:eQQbHSfc0



「…………助けなきゃ」



少しだけタイミングが遅ければ、躊躇したかもしれない。
座り込んでいたままだったかもしれない。
あるいは、千夜やヴィヴィオを平気で殺そうとしたように、『なにも感じない』ように錯覚していたかもしれない。
しかし、今の穂乃果に『一番の親友を見捨てる』という選択肢はない。
死んでも生き返らせればいいとか、今から行ってどうなるという理屈なんて欠片も浮かばなかった。
本部以蔵の敵なのだからつぶし合わせればいいとか、そんな計算すらできなかった。

即断、即決。
すぐに立ち上がる。
すぐに走り出す。

「どうした、ホノカ君!」

その挙動が開始されてから、やっとラヴァレイは背後を振り向き、呼び止めた。
しかし、高坂穂乃果には聞こえていない。
追いかけようにも、テレビについて聞き出すために晶に詰め寄った格好になってしまい、かえって晶が進行方向を邪魔する位置にきてしまった。

そしてラヴァレイにも予想外のことだったが、高坂穂乃果はアイドルのために急な石階段走り込みという過酷なトレーニングを日夜こなしている。
もちろん、それは人間の域を出るものではないし、仮に駅にいる人間で徒競走でもすれば晶を除いて穂乃果が最下位となるだろう。
しかし、ラヴァレイが『ただの少女なら、このぐらいの動きだろう』とたかをくくっているよりは、はるかに早い。
こうして伸ばした手は、あまりにも遠い位置で空振りをした。

「おい!いったい全体何があった!?」
「ラヴァレイ殿!? 今走っていった人影は――」

事務室を出ると、本部とカイザルがホームから駆け戻ってくるところだった。

「理由は分からないが、ホノカ君が急に動転して逃げ出してしまった。
私の責任だ。すぐに追って連れ戻――」
「それより、入口のところにスクーターあったじゃん!
あれに乗った方がすぐ追いつけるってば」

事務室から飛び出してきた晶が、駅階段の下を指差す。
たしかにそこには、本部以蔵が鍵付きで止めていた原動機付自転車があった。

310低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:21:19 ID:eQQbHSfc0

「あれは――たしか馬よりも早い乗り物だったか?」
「そう! アキラなら無免許だけど運転大丈夫だから!
ここはアキラに行かせてください! バイクなら捻挫は関係ないし」

ここぞとばかりに志願し、真っ先に階段を降りる。
何も、殺人の成果をあげられそうになくて焦っていたのは穂乃果だけではなかった。
ここで、見るからに『何か』を知っている穂乃果を取り逃がせば、皆殺し狙いとして致命的に出遅れてしまう。
そんな焦りが、晶を奮い立たせていた。
それに、ここで穂乃果が逃げ出してしまえば、むさいオッサン三人組の中に取り残されることになる。
それは、すごく、嫌だ。
元から蒼井晶には、ボールペンで人を刺して病院送りにするぐらいの火事場の馬鹿力はある。
スクーターぐらい、運転をやってみてできないことはないと思う。

「アキラ嬢! ならばせめて私も一緒に。私は貴女を守ると約束しましたので」
「カイザル君、ここは私が――」
「いえ、自分の方が駅で起こったことについては詳しいですから、ホノカ嬢の話を聞けることがあるかもしれません。
それに、ラヴァレイ殿もモトベ殿の話から状況を把握していただかねばなりませんし」
「……じゃあ、リドさんとアキランデブーで」

正直言えばアキラ一人の方が都合が良かったけれど、ここは『盾』を連れて行った方がいいかもしれない。なので、折れた。

その時、本部が忘れられては困ると言わんばかりに声をあげた。

「おい、やる気を削ぐようで悪いが、そのバイクは俺のもんだ。
それに約束っつうなら、俺だって嬢ちゃんたちのことをディルムッつあんからよろしく守護るようにと――」

アキラは、ただでさえイライラしていた。
そんな時に、この発言だ。

「――何、言ってんだよ」

こいつにだけは言われたくないと思った。
だから、言った。

311低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:22:21 ID:eQQbHSfc0






「アンタに守護らせた結果がこれだから!!」






正論を言ったと思う。
アキラはウリス以外皆殺しにするつもりなので『お前が言うな』だが、それでもアキラの方がたぶん一理ある。


◆   ◆ 


「モトベ殿。ずいぶんときついことを言われましたな」

晶とカイザルが二人乗りで遠ざかっていくのを見届けて、ラヴァレイはもう一人の留守番に声をかけた。
アキラに同行できなかったことは残念だが、ラヴァレイにとってはそれでも好都合だった。
ラヴァレイに背中を向けたままの柔道着に向かって、追求する言葉をかける。

「しかしアキラ君の問いかけは、今の貴殿が直面しなければならないことだ。
もし仮にここにランサー君が戻ってきたとしたら、申し開きのしようもないのだから。
貴方は、『この駅にいたすべての参加者を護れず、殺され、逃げられた』という事実を、どう受け止めていくのか」

好都合のひとつは、この『本部以蔵』なる人物が有用なのかそうでないのかを、見極めることにあった。
なるべく多くの心を壊したいという欲求はあるけれど、その嗜好にかまけて殺し合いでの立ち回りを疎かにするつもりはない。
『キャスターを討伐する』と言っていた本部以蔵。
それをなし得るほどに有用な戦力であるならば利用するだけの価値はあるかもしれないが、
それを任せられない、それこそ『一般人の少女たちに翻弄され、すぐ近くでの殺人を許してしまう』ほどの道化だったのならば、生かしておく必要性は薄い。
幸いにも、カイザルたちがこの場を離れてくれた。
殺したあとで、『モトベ殿とは情報交換を済ませたあと、キャスターの討伐に先行して出発した』とでも言えば、気がつかれることはない。

「いずれお聞かせいただきたい……もちろん、ホノカ君から目を放してしまった私にも言えることだが」

そしてもうひとつは、まさにそのキャスターに関する情報を引き出すことだった。
『キャスターのサーヴァント』を名乗ったジル・ド・ㇾェ。
本部が討伐を頼まれているという、『南方の墓地にいるやもしれぬキャスター』。
放送局と墓地の位置と移動時間を考えても、二つの『キャスター』は同一存在なのだろう。

まずは『キャスター』に関する情報を引き出し、その後で始末するかどうかを決定する。

「いや、結論をせかすつもりもない。まずは先ほど起こったことについて説明いたしましょう。
それにモトベ殿にも話していただきたいことがある。
貴方のいう『キャスター』なる人物かもしれぬ者が、先ほど映像に映ったのですからな……」

【B-2/駅構内/早朝】

312低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:22:59 ID:eQQbHSfc0

【本部以蔵@グラップラー刃牙】
[状態]:確固たる自信???
[服装]:胴着
[装備]:黒カード:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:こまぐるみ(お正月ver)@のんのんびより、麻雀牌セット@咲-Saki- 全国編
[思考・行動]
基本方針:全ての参加者を守護(まも)る
1:――
2:南下してキャスターを討伐する
3:騎士王及び殺戮者達の魔手から参加者を守護(まも)る
4:騎士王、キャスターを警戒
[備考]
※参戦時期は最大トーナメント終了後

【ラヴァレイ@神撃のバハムートGENESIS】
[状態]:健康
[服装]:普段通り
[装備]:軍刀@現実 、猫車(蒼井晶乗車中)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0〜1枚
[思考・行動]
基本方針:世界の滅ぶ瞬間を望む
1:『キャスター』に関する情報を引き出し、モトベを今のうちに始末するかどうか決定する
2:蒼井晶の『折れる』音を聞きたい。
3:カイザルは当分利用。だが執着はない。
4:本性は極力隠しつつ立ち回るが、殺すべき対象には適切に対処する
[備考]
※参戦時期は11話よりも前です。
※蒼井晶が何かを強く望んでいることを見抜いています。


【B-2/駅付近/早朝】
【カイザル・リドファルド@神撃のバハムートGENESIS】
[状態]:健康、原付に同乗中
[服装]:普段通り
[装備]:カイザルの剣@神撃のバハムートGENESIS
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品1〜2枚(確認済、武器となりそうな物はなし)
[思考・行動]
基本方針:騎士道に則り、繭の存在を挫く
1:アキラ嬢を守りつつ、ホノカ嬢を連れ戻す
2:俺と、ファバロが……。
3:アキラ嬢を守りつつ、アナティ城へと向かう。ラヴァレイ殿も居る以上、体制は万全だ。
4:リタ、聖女ジャンヌと合流する(優先順位はリタ>>>ジャンヌ・ダルク)
5:アザゼルは警戒。ファバロについては保留
[備考]
※参戦時期は6話のアナティ城滞在時から。
※蒼井晶から、浦添伊緒奈は善良で聡明な少女。小湊るう子と紅林遊月は人を陥れる悪辣な少女だと教わりました。
※ラヴァレイから、参戦時期以後の自身の動向についてを聞かされました。

313低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:24:09 ID:eQQbHSfc0
【蒼井晶@selector infected WIXOSS】
[状態]:健康、左足首捻挫(湿布済み)、スクーター運転中
[服装]:中学校の制服
[装備]:原付@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(9/10)
    黒カード:不明支給品1〜3枚(武器があるらしい?)
[思考・行動]
基本方針:ウリスを勝ち残らせるために動く
0:利用できそうな参加者は他の参加者とつぶし合わせ、利用価値が無いものはさっさと始末する。
1:高坂穂乃果を捕まえる。いざとなったらカイザルを盾に。
2:カイザルとラヴァレイを利用しつつ、機会を見て彼らと他の参加者を潰し合わせるなり盾にするなりする。
3:ウリスを探し出し、指示に従う。ウリスの為なら何でもする
4:紅林遊月、小湊るう子は痛い目に遭ってもらう
5:カイザルたちに男(本部)を始末してもらいたい
[備考]
※参戦時期は二期の2話、ウリスに焚き付けられた後からです
※カイザル・リドファルドの知っている範囲で、知り合いの情報、バハムートのことを聞き出しました。




愛の黒子による効果は、ランサーがそばにいないことで一分一秒刻みに失われていく。
今はまだ、『親友を助ける』という意識と並列して存在しているけれど、それもゆくゆくは。


「ことりちゃん、ことりちゃん、ことりちゃん、ことり、ちゃんっ…………」


彼女は、まだ気がついていない。
そもそも最初に殺意を抱いて、高町ヴィヴィオを殺してしまったその理由が、手の中の砂のようにこぼれ落ちつつあることを。

そしてもうすぐ、最初の放送が流れることを。
そして、その放送で、『南ことりと矢澤にこが呼ばれ』て、『ランサーが呼ばれない』可能性を。


【B-2とC-2の境界付近/早朝】

【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:動揺
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:ヘルメット@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(6/10)、青カード(10/10)
     黒カード:青酸カリ@現実
[思考・行動]
基本方針:優勝してランサーとμ'sの皆を生き返らせる
1:今はただ、ことりの元へ
2:本部を殺害する
3:参加者全員を皆殺しにする(μ'sの皆はこの手で殺したくない)
[備考]
※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか(2期1話以降)。
※ランサーが本部に殺されたという考えに疑念を抱き始めました
※ランサーが離れたことで黒子による好意は時間経過とともに薄れつつあります。また、それに加えて上記の疑念によって殺意が乱れ、『ランサーだけでなくμ'sの皆も生き返らせよう』という発想を得ました。

314低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:24:45 ID:eQQbHSfc0
投下終了です
ヘルメットが状態表から消えていたので、穂乃果が持っていることにしましたがよろしかったでしょうか

ほかにも指摘等ありましたらお願いします

315名無しさん:2015/09/13(日) 23:47:44 ID:s7RPp1Qg0
投下お疲れさまです
穂乃果の心理描写と移り変わりがよく表現されていて、クリスとヘルメットなども含め上手くフォローされていました
一気に爆発しましたねえ
本投下に問題はないと思います

それと今回の投下作品に限った事ではないですし、修正要求ではないのですが、一応指摘
ことりとマコの魂はカードに封じられていないから、当ロワイアルのシステム次第では二人の名は放送で呼ばれない可能性があるんですね
撮影にミスがあれば小蒔の腕輪でゾンビとばれる可能性はありますが、とすると小蒔のカードは放置中かな?
意見は以上です

316低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/14(月) 01:02:08 ID:5uypBbP60
>>315
ご意見ありがとうございます

ことりの名前がよばれない可能性については失念しておりました
ただ、現状放送で魂喰いによってカード化を逃れた参加者が呼ばれるかどうか分からないこともありますので
最後の一行については修正なしでいこうかと思っています

神代さんの腕輪については、今回のSSだと小型旧式のブラウン管テレビということで、
腕輪がアップにでもならない限り腕輪にカードがあるかどうかまでは判別できないだろう、くらいのつもりです
他のテレビや端末だと神代さんの腕輪がどう見えるか(気づかれるか)については、その書き手さんの判断しだいということでひとつ

317低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/14(月) 02:23:48 ID:5uypBbP60
すみません>>303に痛恨のミス…

>ヴィヴィオって嬢ちゃんはまず最初に毒の入ったおにぎりを食わされた。

申し訳ありませんがおにぎりをサンドイッチに訂正させてください。

318名無しさん:2015/09/14(月) 07:14:19 ID:5litZW.Y0
>>316
解りました
本投下楽しみにしてます

319名無しさん:2015/09/14(月) 16:18:49 ID:ZoILGqKUO
投下乙です。
アキラッキーも中々やりますね。

320名無しさん:2015/09/14(月) 22:58:09 ID:gijmv1V20
仮投下乙です
内容は問題ないと思いますが、2つほど細い指摘を
1つ目は「ジル・ド・レェ」が所々「ジル・ド・��ェ」になっている点
2つ目はラヴァレイの状態表の猫車がアキラ乗車中のままになっている点です

321低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/15(火) 07:29:57 ID:3E/mXmTc0
>>320
ご指摘ありがとうございます。
どうやら「レ」が環境依存文字になっていたようで申し訳ありません
指摘いただいた箇所を修正して、今夜にでも本投下したいと思います

322 ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 01:14:47 ID:SlnygLWY0
支給品に関することがあるため、一旦仮投下します。

323こんなに■■なことは、内緒なの ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 01:15:41 ID:SlnygLWY0
男に対し、悪寒を感じたのは事実だ。
考え過ぎ。そう一蹴した筈であった。
……そうであって、欲しかった。

 * * *

休憩を終えて、駅へ向かう道中のことだった。
龍之介と心愛、そしてリタは、互いに持っている情報を交換していた。
分かったのは、全員揃って他に出会った人物はいないということだけ。

龍之介はその本性については当然触れなかったし、リタもあまりペラペラと語る口ではない。
この場の主導権を握っていたのは、能天気でお喋りな心愛も同然であった。

「…………結局、見つからなかった最後のピースはティッピーのすぐ近くにあったんだよね〜。あの時はビックリしたよ」

彼女の口からは住んでいる街、知り合った人々、起こった出来事などなど……。
次から次へと言葉がマシンガンのように撃ち出され、2人は時々相槌を打つことくらいしか出来ない。
リタは興味無さそうに、それでも一応の情報源として聞いておく。
どちらかと言うと彼女が気になったのはそちらではなく、龍之介の態度だ。

龍之介は、熱心に心愛の話を聞いていた。
相槌を打っているだけではあるが、その顔は妙に活き活きしている。
まるで彼女の言う友人たちにも興味がある、といった顔。
何故だ? 何故赤の他人である筈の龍之介が、そこまで。

324こんなに■■なことは、内緒なの ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 01:16:41 ID:SlnygLWY0
「…………それでね、チノちゃんったら私の居ない間にマヤちゃんメグちゃんと内緒でプールに行ってたんだよ〜。あ、リゼちゃんも一緒にね」
「お喋りはいいけれどあなたたち、自衛の手段くらいあるんでしょうね」

リタは口を挟んだ。
龍之介に一抹の不安を感じたのは事実だし、心愛の長話にうんざりしたというのもある。
どちらの意味合いが強いかは……考えなかった。

2人は顔を見合わせる。
言われてみれば、碌に支給品を確認していない。精々狸が一匹出てきた程度だ。
それも今は「モフりたいけど歩く時はさっきみたいにコケちゃうし」とカードにしまっている以上、龍之介と違って心愛は丸腰。

「でも私、これしかないよ?」

心愛が取り出したのは、ライターと携帯ラジオ。

「火なんてヘタに使うと危ないし、ラジオはここじゃ……」
『此度の放映をご覧頂けた幸運なる皆様。私、キャスターのサーヴァント、ジル・ド・レェと申します』

ノイズ混じりに、突然ラジオが音を発した。
誰もが動揺する中、1人だけ違った反応を見せた人物がいた。

「あれ、旦那?」
「え?」

龍之介は、旦那=キャスター=ジル・ド・レェということを知らなかった。
キャスター自身が彼に『青髭』と名乗った程度で、その上互いに聖杯戦争に一切興味を示さなかったからだ。

『皆様、各々方の知己朋友の消息を――』

突然プツンと声が途絶え、ラジオはうんともすんとも言わなくなってしまう。

「あれ、壊れちゃった?」
「ちょっと見せて心愛ちゃん。……あー、これ手回しで充電するタイプだ。全く回してないから充電切れたんだよ」

ラジオの側面に付いていたハンドルをしばらく回す。
ある程度充電を終えた頃には、既にキャスターの放送は聞こえなくなっていた。

「終わっちゃったね。何を言ってたんだろ」
「んー……まあいいんじゃない? とりあえず駅までもうすぐだし、早いとこ行っちゃおうか」

そうだねーと返し、2人はその場を後にする。
後ろではやや彼らから少し距離を取りつつ、リタが龍之介を睨み無言で付いて来ていた。

 * * *

325こんなに■■なことは、内緒なの ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 01:17:23 ID:SlnygLWY0
「どうするの、これ」

駅に着いた一行は、無防備にもベンチで寝ている少女の処遇に困っていた。
死んでいるようではなさそうだが、青いカードも赤いカードも持っていない。
誰かに襲われ意識を失った後カードを奪われ、犯人は電車で逃走。

駅周辺に見える戦闘の痕跡から、そう考えるのが自然なのだろうが。
何分この少女、なかなか目覚める気配がないのだ。
無闇に起こすのも悪いと考え、そっとしておくことにする。

「それで、2人はこれからラビットハウスとやらに向かうのよね」
「そうだよ。んじゃ俺ちょいとトイレ行って来るから、電車来たら待ってて」
「……」

ホームを去る龍之介を尻目に、リタは考える。
果たして彼は安全と判断しても良い人間なのか。
先程の出来事から、そうではないとはっきり理解出来た。
彼はキャスター……『ジル・ド・レェ』のことを確かにこう言った。

“旦那”と。

これだけで、危険だと決め付けても何ら問題はないだろう。
200年も生きている(?)と、流石に名前くらいは聞いたことがある。
リタは“ジル・ド・レェ”に関して、悪趣味な魔術を使うことが出来る、程度には把握している。
そのジル・ド・レェと龍之介が、知り合いの関係にある。
それだけでも十分厄介なのに。

「ねえ……心愛って言ったかしら」
「何? リタちゃん」
「あの男、『作品を作って、旦那に見せたい』……そう言ったのよね」
「うん。龍之介さんの旦那って人、呼ばれてたんだね〜。作品を見せたいって願ってたみたいだし」

更に厄介なのがそれだ。
彼の支給品までは把握していないが、彼が刃物の類を現地調達していることはリタも知っている。
それも、見る限り木や石を切るといったものではなく、肉を切るのに適したような刃渡り。

「(こんなこと、想像したくはないんだけどね……)」

彼の言う“作品”の“題材”。
それはもしかしなくても、我々参加者なのではなかろうか。
それも、かなり悪趣味なやり方で。

心愛は底なしの能天気、悪く言えば単純な馬鹿。
ベンチでくたばっているとおぼしき少女に至ってはまだ名前すら聞いていない。
雨生龍之介という男の魔の手から逃れる為には、私がどうにかしなければいけないらしい。

カイザルたちとも合流したいのに、すぐ傍にとんでもない脅威がいる。
今後のことを思うと、思わず頭を抱えたくなるのであった。

 * * *

326こんなに■■なことは、内緒なの ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 01:18:25 ID:SlnygLWY0
3人から一度離れた龍之介は、改めてそのカードを見る。
他のカードは現状使えないものばかりだったが、そのカード――ブレスレットだけは、非常に価値が高かった。

そのブレスレットは、かつて龍之介がキャスターからプレゼントとして受け取った代物。
これを使って次々と冬木市の子供たちを誘拐、“パーティ”を執り行おうとした。
結局邪魔が入って破壊されてしまったのだが、どういう因果かそれが再び龍之介の手中にある。

カードに書かれた説明を見る限り、当時のそれより大幅に制限は掛けられている。

①:使用者より年齢が下の者にしか通用しない。
②:並行して催眠を掛けられるのは2人まで。
③:対象を夢遊病患者のようにするだけで、意のままに操れるわけではない。
④:洗脳の効果は一度につき2時間程度。
⑤:魔力の消費は少し大きめ。

主催者の設けた“パワーバランス”なのだろうが、それらの制限があってなお、龍之介にとっては魅力的だった。

心愛、リタ、そしてホームで出会った名も知らない少女。
彼女たちを連れてラビットハウスへ向かい、“お茶会”を開こう。
やがて心愛の友人なども、その“お茶会”のメンバーに加えよう。
無論作品の延命など課題は幾つも残っているが、その時になってから考えればいい。

若干気掛かりなのは、携帯ラジオの放送を聞いてからのリタの態度だ。
何だか自分のことを疑っている、そんな視線だった。
恐らく、旦那がジル・ド・レェと名乗ったことが原因だろう。
まあでも、いずれそんなことを気にしなくてもいいようにすればいいだけだ。
そう結論付け、ホームに戻る。

時計を見る限り、もうすぐ定時放送とやらの時間だ。
4人で軽い朝食にするのもいいかも知れない。
もっとも、4人目がいつ起きるかなど分かったものではないが。


【C-6/駅/早朝】
【雨生龍之介@Fate/Zero】
 [状態]:健康、少年のようなワクワク
 [服装]:普段着
 [装備]:手術用のメスやハサミ(現地調達)
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0〜1枚(本人確認済)、ブレスレット@Fate/Zero、医療用具(現地調達)
[思考・行動]
基本方針: 心愛と一緒にラビットハウスを目指して心愛の友達を探す。
   1: 旦那ともいずれ合流し、作品を見てもらいたい。
   2: リタに激しい興味。彼女もいずれ作品とする。
   3: 心愛、心愛の友人、少女(蒔菜)で作品を作り、“お茶会”を開く。
   4: 作品を延命させる方法を探す。
 [備考]
  ※キャスターが龍之介の知る青髭ということに気付きました。
  ※心愛の友人に関する情報を得ました。


【保登心愛@ご注文はうさぎですか?】
 [状態]:足に擦り傷(処置済、軽度)
 [服装]:ラビットハウスの制服
 [装備]:なし
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:具@のんのんびより、ライター@現実、携帯ラジオ@現実
 [思考・行動]
基本方針:龍之介たちと一緒にラビットハウスを目指して友達を探す。
   1:怖いけどお姉ちゃんとして頑張る。
   2:リタちゃんは不思議ちゃんなんだね〜。
   3:この子(蒔菜)何があったんだろ?

327こんなに■■なことは、内緒なの ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 01:18:47 ID:SlnygLWY0
【リタ@神撃のバハムートGENESIS】
 [状態]:健康
 [装備]:アスティオン@魔法少女リリカルなのはvivid
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0〜2枚(本人確認済)
 [思考・行動]
基本方針:カイザルとファバロの保護。もしカイザル達がカードに閉じ込められたなら、『どんな手段を使おうとも』カードから解放する
   0:とりあえずはラビットハウスへの道のりに同行しつつ、人探しを並行させる
   1:カイザル達の捜索。優先順位はカイザル>ファバロ
   2:繭という少女の持つ力について調べる。本当に願いは叶うのか、カードにされた人間は解放できるのかを把握したい
   3:アザゼルは警戒。ラヴァレイも油断ならない。
   4:龍之介を警戒。心愛たちを彼から逃がしたい。
 [備考]
 ※参戦時期は10話でアナティ城を脱出した後。
 ※心愛の友人に関する情報を得ました。


【入巣蒔菜@グリザイアの果実】
[状態]:健康 睡眠中
[服装]:制服
[装備]:ヤブイヌのポーチ@グリザイアの果実
[道具]:腕輪と白カード。
[思考・行動]
基本方針:帰る。
0:……zzz
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後。
※ルールを聞いたのは白のカードの説明までです。ですが、それもうろ覚えです。
※赤、青、黒、のカードは流子に渡りました。
※名簿は見ていません。

【支給品説明】

【ライター@現実】
保登心愛に支給。一般的なジッポライター。

【携帯ラジオ@現実】
保登心愛に支給。充電は手回し式で、回しておかないと割とすぐに電池が切れる。
放送を受信する以外の用途は今のところ不明。

【ブレスレット@Fate/Zero】
雨生龍之介に支給。
アニメ1期10話で出てきたもので、龍之介はこれを使って子供を何人も誘拐した。
このロワでは以下の制限が掛けられている。
①:使用者より年齢が下の者にしか通用しない。
②:並行して催眠を掛けられるのは2人まで。
③:対象を夢遊病患者のようにするだけで、意のままに操れるわけではない。
④:洗脳の効果は一度につき2時間程度。
⑤:魔力の消費は少し大きめ。

328 ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 01:19:40 ID:SlnygLWY0
仮投下を終了します。
洗脳系の支給品があるために一度こちらに投下させて頂きました。
指摘等あればお願いします。

329名無しさん:2015/09/16(水) 07:12:45 ID:rM8/t0dw0
投下乙です
不穏さがますます増してきましたね、いまだ暢気な心愛と警戒を強めるリタとの対比がよくできていたと思います
龍之介のたちの悪さもまた。今回蒔菜が起きなかったのもいい兆候じゃない感じですねえ
ところでブレスレットへの魔力による抵抗は可能ですか?
対象が限定されているだけに効果は強くなるのは自然だと思いますが、
修正要求ではないけどその辺気になりました

330名無しさん:2015/09/16(水) 07:51:11 ID:k4cltWfQ0
投下乙です
腕輪の支給自体は問題ないと思います
ただ
>対象を夢遊病患者のようにするだけで、意のままに操れるわけではない
このあたりの説明がどの程度なのかは少し気になりました
「おーいいくぞー」と声をかけられたらついて行っちゃうレベルなんでしょうか
いや、それは洗脳だという意見も、先日のランサーパート(実質騒いでいたのは少数かもしれませんが)のようなことも、あるかもしれませんし
「ぼーっとさせる程度(正気は残っているか否か)」「意識不明に近い状態に陥らせる程度」のようにそこそこ具体的な説明にした方がやや分かりやすいかと思います

あと、これは重箱の隅かもしれませんが
>それも、見る限り木や石を切るといったものではなく、肉を切るのに適したような刃渡り
「(怪我をした時のためだとの言い分で現地調達された)手術用のメスやハサミ(刃渡りもさほど大きくないはず)」に対して抱く感想としては少々不自然かと思いました
龍之助に民家等から更なる刃物を現地調達させるとか、護身用に心愛に刃物を持たせようとしたら断られて不信感を覚えるとかの方が自然かな、と
腕輪支給議論のついでに、のような形ですが言ってみます

331 ◆DGGi/wycYo:2015/09/16(水) 16:57:12 ID:SlnygLWY0
>>329
使用者より強い魔力で防御可能のくだりを追加しておきます

>>330
前者の指摘は、『使用者に声を掛けられれば付いて行く』『対象をぼーっとさせる(その間本人の記憶はない)』のつもりです。
後者の指摘は完全に失念していました。纏めて修正します。

332 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 21:30:38 ID:o7ANydZE0
仮投下乙です

遅れて申し訳ありませんでした。
自分も仮投下したいと思います。

333 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 21:36:50 ID:o7ANydZE0
 夜道を三人の男が歩いている。
 先頭は蟇郡苛、その少し後ろに衛宮切嗣と折原臨也。
 各々デザインは違えども黒を基調とした服装をしており、傍目から見るとかなり怪しい。
 それどころか、黒ずくめの服装と独特な風貌が合わさって、非常に近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
 
 先頭を往く蟇郡苛。彼の眼光は鋭く、しっかりと前を見据えている。
 本人にしてみれば進行方向を見ているだけなのだろうが、その視線は一般人を委縮させるのには十分なものだ。
 二メートルはあろうかという大男なのも、誤解を生む原因足り得るだろう。

 次に衛宮切嗣。一見すると普通の男性だが、その眼は明らかに死んでいる。
 虚無を感じさせる黒々とした双眸から、感情の類を読み取ることは難しい。
 これが正義の味方を目指した男だと、誰が想像するだろうか。

 最後に折原臨也。彼は一見すると整った顔立ちの青年だ。
 威圧感も虚無感も持ち合わせておらず、ただその内心では、人間への貪婪な好奇心を膨らませ続けている。
 一見すると危険性に気付かない、という意味では一番危険な男である。

 そんな三人が、行動を共にしている。
 目的地はゲームセンター。殺人事件の現場に向かい、現場を調査するのが主な目的だ。
 もっとも、三人のうち二人は別の目的を持って動いているのだが。

「ねえ蟇郡君、腕輪探知機の反応はどう?」

 ラビットハウスを出てから会話らしい会話をしていなかった三人の間に、きっかけを作ったのは臨也だった。
 といっても、腕輪発見器の人数を確認するだけのこと。
 形式的と言えばそれまでだが、どうやら蟇郡は忘れていたらしく、慌てたように探知機を取り出して操作した。

「む?これは……」

 立ち止まり、怪訝な声を出した蟇郡に、臨也と切嗣は近づいていく。
 蟇郡は振り返ると、二人に人数の表示を見せた。
 しかめっ面の蟇郡に対して、臨也は興味深そうな声を漏らし、切嗣は眉を僅かにひそめた。
 ラビットハウスで確認した際には「7」だった数字が、「9」に増えていたのだ。

「参加者が増えたか……平和島静雄と遭遇していなければいいが」
「このエリアに来たってことは、当然目指すのはゲームセンターかラビットハウスだろうし、もしかしたら承太郎君たちの方に行ったかもね」
「なんにせよ、危険人物でないことを願いたいな」

 名も知らない参加者の身を心配する蟇郡。
 不安を煽るような言葉を吐く臨也。
 嘆息と共に結論付ける切嗣。
 三者三様の反応を示して、三人は再び歩き出した。





 蟇郡たちが腕輪発見機を操作する十数分前。

「あれがゲームセンターか……結構大きいんだな」
「エリアは……G-7だ。間違いないな」

 ゲームセンターの外観を見上げながら、二人の参加者が小声で会話していた。
 風見雄二と天々座理世。
 学生服とメイド服という奇妙な組み合わせの二人だ。
 二人は幸か不幸か、他の参加者とは遭遇せずに、このゲームセンターまで辿り着いていた。
 支給品の確認をして以降、石橋を叩いて渡りながら来たため、時刻はすでに黎明になって、三十分以上が過ぎている。
 そのことにリゼは少なからず焦りを感じているようで、雄二へと早口で話しかけた。

「風見さん、早く入ろう。誰かがいるかもしれない」
「ああ、だが少し待て。……見ろ、あれを」

 雄二が指し示す方向を見たリゼは、その惨状に唖然とした
 剥がれた路面に、変な方向に曲がったガードレール。果ては倒れた自動販売機。
 交通事故のニュースで流れているような映像が、そのまま雄二たちの目の前にあった。

「恐らくは戦闘があったのだろう。遠目からでは詳しくは分からないが、銃火器が使われた可能性が高いな」
「……じ、じゃあ、まだ近くに……!?」

 口を開けたままだったリゼは、雄二のその言葉で現実に引き戻された。
 銃火器を持って、しかも戦闘を行うような参加者がこの近くにいる。
 リゼも武器は保持しているが、戦闘目的で使用した経験がない以上は素人も同然だ。
 危険人物に恐怖が湧いてくるのは必然だった。

(まさか、この近くで待ち伏せをしているんじゃ?)

 戦争で警戒するべきなのは、待ち伏せと急襲。その程度の知識はリゼにもあった。
 それ以上の恐ろしい想像までしたようで、リゼは恐怖を振り払うように頭をぶんぶんと振る。

(弱気になるな、いざというときには、私がチノやシャロたちを守るんだからな!)

334 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 21:40:55 ID:o7ANydZE0

 そう自分に言い聞かせるリゼをよそに、雄二は惨状に近づいていった。
 地面に落ちた破片を拾ったり、ガードレールの曲がり具合を見たり、抉れた地面をなぞったりしている。
 躊躇なく惨状に近づいて行った雄二の後を、リゼは恐る恐るついていった。

「ちょ、ちょっと」
「しっ。……静かに。周囲で何か聞こえるか?」

 唇に人差し指を当てた雄二の言葉に、リゼは目を閉じて耳をすませた。
 そして十数秒後、ゆっくりと目を開ける。

「……いや、聞こえない」
「そうだな……この近くにはいない、と見るべきか」

 こればかりは二人にとって幸いなことに、平和島静雄はこの場にはいなかった。
 少なくともこの時には、破壊衝動を器物損壊という形で表現することではなく、宿敵折原臨也を探し回ることに集中していたのだ。
 結果として、ニアミスした雄二たちは噴火の余波を受けることはなかった。
 それでも、姿なき破壊者の存在は、雄二たちに危険だという意識を植え付けた。
 とりわけリゼには、その意識が強く植え付けられた。

「その人物がここに戻ってくる可能性もある。それまでにゲームセンターの中を調べよう」
「ちょっと待ってくれ、その危険人物に知り合いが襲われているかもしれない。
 私の知り合いは……襲われたらまず助からない!」

 破壊の痕跡を見たためか、リゼは焦りを隠せないでいた。
 チノやシャロたちを守ると誓ったリゼにしてみれば、その心配は当然のものだ。
 そんなリゼと対照的に、雄二は全く焦った様子はなく、コンクリートの破片が落ちている辺りに屈んで付近の地面を探っていた。
 そしてリゼの言葉に、その体勢のまま返事をした。

「落ち着け。よく考えるんだ、居場所も分からない相手をどうやって探す。
 それにこんな破壊をやってのける奴に、焦って挑んだところで勝ち目はない」

 その雄二の言葉には、説得力が感じられた。
 圧倒的な武力の前に、何の対策も講じずに立ち向かうのは、勇気ではなく無謀である。
 もしこの惨状が銃火器やそれに類するもので行われたのだとすれば、現在の手持ちの装備では対応しきれない。
 このような説明を受けたリゼは、いくらか冷静になって、周囲の破壊の痕跡を確認した。
 改めて見ると、破壊の爪痕はただの拳銃程度では再現できそうもないほどに大きい。

「確かに、こんな破壊をするには、バズーカでもないと……」
「いや、もしかすると銃火器は使用していないのかもしれない」
「え?」

 前言撤回した雄二の言葉に、リゼは疑わしげに首を傾げた。
 リゼにしてみれば、この破壊跡はどう考えても激しい戦闘が行われた結果である。
 そのことを反論しようと口を開きかけるリゼだったが、雄二の真剣な眼差しに口をつぐんだ。
 雄二は立ち上がって辺りを見渡すと、確信を持った口調でリゼに向けて話し始める。

「この辺りには破壊された跡はあるが、弾痕も無ければ薬莢も無い。
 硝煙の臭いが全くしないのも不自然だ。
 それにあの倒れた自販機だ。ぶっ倒れて配線は引き千切れているのに、倒れたときにできた傷以外には凹み一つ見当たらない」

 銃撃や爆発で倒されたにしては綺麗すぎるのだ、と。
 雄二に促され、リゼは二人で倒れた自動販売機を見下ろした。
 リゼの目から見ても、弾丸が撃ち込まれたり、刃物で傷つけられたりといった傷は無かった。
 そして、その事実がリゼを更に困惑させる。
 
「でも、それってつまり、素手で自動販売機を倒したり、電信柱を砕いたりしたってことだよな……。
 そんなのありえるのか!?」
「俺は実際に目の前にある事象は、何であれ信じることにしている。
 ……詳しいことは、あの破壊された壁のあるフロアに行けば分かるかもしれないな」

 「破壊された壁」と言いながら雄二が指し示した方を見て、リゼは再び驚愕した。
 ゲームセンターの壁に、爆弾で破壊されたような大穴が開いていたのだ。
 あの破壊も生身の人間によるものなのだろうかと考えて、リゼは背筋が凍るような感触を覚えた。
 ありえない。そう考えたかったが、雄二の意見も否定することはできない。

「もしかすると、『魔術』とやらが関係しているのかもしれないが……」

 リゼが混乱の極みにいる中で、雄二はぽつりと呟いた。
 アゾット剣の説明にあった魔術という単語が、雄二の心に引っかかっているのだろうとリゼは察した。
 とはいえ、雄二にもリゼにも魔術に関する知識が無い以上、それが現実においてどう作用するのかは想像の域を出ない。
 雄二もそれ以上は考えを保留にしたようで、リゼに向けて顔を上げた。

335 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 21:43:53 ID:o7ANydZE0
「思わぬ時間を食ってしまったな。さっさと探索を済ませよう」
「ああ。……だが、一つ謝らせてくれ。
すまない、雄二さん。私はまた動揺してしまったらしい……」

 顔を伏せて落ち込む様子を見せるリゼ。
 大切な友人たちを心配するあまり、焦って冷静さを欠いていたのはリゼ自身も理解していた。
 そして、それを責めずに窘めた雄二に、リゼは申し訳なさを感じていた。
 余計な時間を取らせてしまったことは明白だったからだ。
 だが、雄二は特に気にした様子もなく、こんな言葉を返してきた。

「ネガティブなイメージが沸くのは、危機管理が出来ている証拠だ」
「え?」
「危機管理が出来ている方が、俺としても守りやすい。そのままでいてくれ」

 返ってきた発言の意味を噛み砕いて、それがある種の慰めの言葉であるらしいと気付いたリゼは、雄二に対する認識を改めた。
 冷静なのは確かだが、その一言で言い表せる人ではない。

「……ありがとう」
「よし、行くぞ」

 照れながら発した言葉には反応せず、雄二は早足でゲームセンターの入口へと向かう。
 リゼは急いで、雄二の背中を追いかけた。





「そういえば、蟇郡君とは情報交換してなかったよね?」

 ラビットハウスからゲームセンターへの道中。
 数分間続いた無言を破ったのは、またしても折原臨也であった。
 先頭の蟇郡に対して情報交換を持ちかけるその顔は、臨也を詳しく知る人物からすれば胡散臭さを感じるものだったろう。
 しかし、顔を合わせて一時間と経っていない蟇郡に臨也を警戒するという発想はない。

「む、そういえばそうだな」
「衛宮さんとはもう済ませたんだ。君も知り合いとか、もし危険人物がいたら教えてよ」
「了解した。ではまず……」

 鬼龍院皐月、纏流子、そして満艦飾マコ。
 蟇郡は名簿にある知り合いの三人を、簡単な特徴と共に告げていく。
 皐月を紹介するときには些か誇らしげに、マコを紹介するときには些か複雑な面持ちで。
 臨也はそこから、蟇郡の心情の機微を少なからず感じ取った。
 もちろん、それを口に出すことはしない。

「俺も含めた四人は、本能字学園の生徒だ」
「本能字学園?確かこの島にもそんな名前の施設があったよね?」
「ああ、全く同じ名前だ。実際に見ていないからなんとも言えんがな」

 それから、と蟇郡は危険人物についての話をし始めた。
 前置きとして鬼龍院財閥について説明が始まり、その内のREVOCSコーポレーションについて特に詳細を語った。
 ようやく針目縫の名前を出したところで、臨也が一旦蟇郡を遮った。

「ちょっといいかな?
 俺、その鬼龍院財閥とか、REVOCS社?っていうの、初耳なんだよね。
 君の話だと、世界に誇るレベルで相当に有名な会社みたいだけど」

 その言葉に、蟇郡は振り向いて臨也に詰め寄った。
 巨体が覆いかぶさるようにして、臨也にプレッシャーを与える。

「なんだと?REVOCS社は世界各国に進出している大企業だ、知らぬということはあるまい。
 鬼龍院財閥とて同様、遍く世界に名の轟いている財閥だぞ」
「いや、僕もそんな会社は聞いたことがないな」
「なっ!?」

 臨也のみならず切嗣にも否定され、蟇郡はひどく動揺した様子を見せた。
 蟇郡からしてみれば、世界の常識を否定された気分なのだから当然だろう。
 そしてこの反応は、臨也にある推測をさせるのに充分だった。

「どう思う?衛宮さん」
「……文字通り、住む世界が違うということなのかな」
「そう思うよねぇ、やっぱり」
「どういうことだ?」

 臨也と切嗣が頷き合うのを見て、蟇郡は首を傾げる。
 それを見た臨也は、口元に笑みを作り、得意げに推論を話し始める。

「蟇郡君にとっての常識と、俺や衛宮さんにとっての常識が違ってる。
 これってつまり、“世界が違う”か“時代が違う”って考えるしかないんじゃない?」
「……?」

 意味が分からないという顔をする蟇郡を尻目に、臨也は再び歩き出した。
 それを見た蟇郡は、思い出したように臨也の後を追ってくる。

336 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 21:47:35 ID:o7ANydZE0

「君と俺の住んでいる世界は、異なる世界ってこと。
 平行世界(パラレルワールド)とか、そういうのを想像すると理解しやすいかな」
「馬鹿な……?タイムマシンでも使ったというのか?」

 蟇郡はにわかには信じがたいようで、臨也に不審そうな目を向けている。
 そんな視線を受け流し、臨也は蟇郡に向けて単語を列挙し始めた。
 ひとつひとつ、ゆっくりと、蟇郡の反応を横目に見ながら口にする。

「『首無しライダー』『平和島幽』『聖辺ルリ』『殺人鬼ハリウッド』……」
「ん?なんだ突然」
「今挙げた単語で聞いたことのあるものは?」
「どれも知らないな。殺人鬼など聞いたことも――」
「あれー、おっかしいなぁ。どれも俺の世界では常識なんだけど」

 臨也の言葉に、蟇郡は言葉を詰まらせた。
 蟇郡の世界での常識を臨也が知らないだけならば、蟇郡にとって臨也は単なる世間知らずな人間である。
 だが、臨也の世界の常識を蟇郡が知らないということになれば、双方向に未知の事実が存在していることになり、臨也の平行世界説を補強する。
 蟇郡の反応は、そういう意味で臨也の思惑通りであった。

「……納得はできんが理解はできた。
 つまり、あの少女には異なる世界を移動する手段があるということだな」

 だが、直後の蟇郡の適応の速さは、臨也にとって少し予想外だった。
 もともと蟇郡は、風紀委員長を務めるだけあって堅物なのは間違いないが、だからといって柔軟な思考ができないわけではない。
 極制服や生命繊維など、一般的な感性からすれば超常の存在を知識として持っている。
 パラレルワールドという超常現象も、理解しようとすればできるのだ。

「ま、タイムマシンっていうのも可能性としてはありだよね。
 となると俺からしてみれば、蟇郡君は未来の人ってことになるんだけど。
 ……衛宮さん、時間や空間を移動する、魔法めいた方法に心当たりはない?」

 臨也は軽い調子で、ほとんど喋っていない男性に問いかける。
 臨也にとって、この質問自体に大した意味はない。
 むしろ“切嗣がどう返答するか”を期待するところが大きい。
 切嗣が臨也の性質を見極めようとしているように、臨也も切嗣を観察し分析しようと試みていた。
 この島に来てから、既に空条承太郎という面白い『人間』を見つけていたが、それはそれ。
 飽くなき探求心にも似た貪欲さを発揮して、臨也は切嗣が『人間』なのか否かを観察して判断する。
 その手段として、映画館で承太郎にしたように、カマをかけた。
 とはいえ、まだ切嗣は底が知れない相手であったから、先刻のようにナイフを向けたりはせず、言葉の上での問答を用いたのだ。

「……どうかな。ただ、僕としては折原君の意見を尊重したいと思うよ」

 そんな意味を含んだ問いかけに、目を伏せて答える切嗣。
 第三者からすれば肯定とも否定ともつかない曖昧な返答であったが、臨也は言外に切嗣の意志を感じ取った。
 それは“尊重”という一つの単語だ。
 この単語、出会って間もない相手に使うには非常に違和感があるし、かといって、いい大人が誤用をしてしまうような難単語ではない。
 つまり、臨也に対してプラスの感情を抱いていることを、切嗣が婉曲的に表現した、と臨也は考えた。
 好意的で楽観的な解釈ではあるが、臨也は半ば確信していた。

(出来ることなら、二人だけで話したいね……)

 ただ、切嗣をより深く理解するには、二人きりでの対話が必要だと臨也は判断する。
 返答が曖昧であったのも、一対一の状況ではなかったことが原因であると推測できる。
 ゲームセンターで対話の場が設けられれば万々歳、臨也はそう考えた。

「それより、そろそろゲームセンターだ。ほら、あの――」

 歩く速度はラビットハウスを出た直後に比べれば落ちていたが、それでも歩みを進めていた以上、目的地には辿り着く。
 三人の目の前には、周りの建物よりひときわ高い、ゲームセンターがあった。




337 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 21:52:31 ID:o7ANydZE0


 ゲームセンターの探索を始めてからしばらく経った雄二は、些か拍子抜けしていた。
 三階までくまなく探索したが、期待した成果は何も得られていない。
 プライズゲームが主な一階では、リゼがUFOキャッチャーの景品に目を奪われてしまい多少時間を喰ったが、肝心の探索は緊張感を持ちつつ淡々と進んだ。
 それなのに、参加者はいない。目立った箇所もない。
 時計を見ると、既に三十分以上を費やしている。
 ここの探索が無駄足で終わるのではないかという不安が、雄二の頭にはよぎり始めていた。

「意外と何もないな。普通のゲームセンターって感じだ」

 近くにいたリゼも、緊張感を失ったのか、だいぶ表情が柔らかくなっている。
 無駄に緊張しすぎるのもよくないため、これは良い傾向だと考えた。

「そうだな。例の壁に開いた大穴は、おそらく次のフロアだろう。
 なにかしら手がかりが残されていればいいんだが」

 言いながら階段を上って行き、新たなフロアへと足を踏み入れる。
 そこは紹介文によれば『』が中心のフロアであり、今までと同様に騒がしさはあったのだが、それとは別のことを雄二は感じ取った。
 風が入り込んでいるのは、開けられた大穴からだろうと推測できる。
 その風に乗って、何かが鼻腔を鈍く刺激する。

(これは――血の臭い!?)

 戦場で何度も嗅いだ臭いに、雄二は足を止め、緊張を募らせた。
 しかし、リゼは今までのフロアで緊張してきた反動か、さして警戒した様子もなく、機械的に探索を進める。
 それは一種の“慣れ”であり、リゼ自身が気づいて抑制することはできなかった。

「リゼ、不用意に進むな!」
「でも壁を壊した犯人は外にいるんだろ?
 だったら平気で…………っ、いやああああっ!!?」
「くっ!」

 悲鳴と同時に、きれいに腰を抜かすリゼ。
 雄二は急いで駆け寄ると、リゼが見ている方向へと視線を向けた。
 そこにあったのは、頭がゲーム筐体の下敷きになっている人間の姿だった。

「……」

 それがもはや動き出さないことは、誰が見ても明らかであった。
 全く動けない様子のリゼは落ち着くまで放置することにして、雄二は遺体の元へと歩み寄る。
 顔は見えずとも、体型から遺体が少女だということは簡単に判別できた。
 遺体はメイド服を着ている。汚れたり破れたりはしていないが、何故か下着を“はいてない”ことには流石の雄二も困惑した。

(いや、落ち着け。こういう趣味ということも考えられる)

 雄二は冷静に死体を検分することを続けた。
 まず、頭部以外の肉体には傷らしき傷がない。
 手足を殴ったり刺したり、あるいは暴行したりといった跡も存在しなかった。
 そして、頭部を潰している凶器は、百キロはあるだろうゲームの筐体だ。
 これで頭部を潰すのは、そうとうな力がなければできないと予想できる。

「な、なあ……ちょっといいか……?」
「ん?……あぁ、気を付けて行ってくれ」

 後ろを振り返ると、そこでは顔色の悪いリゼが口元を押さえていた。
 死体を見たことで嘔吐感に襲われたが、かろうじてその場で吐くことを留まったのだろう。
 雄二はそう判断して、すぐにリゼをお手洗いのマークがある方へと促した。
 リゼは矢も盾もたまらずといった様子で駆け出した。
 そしてその瞬間に、電流が走ったような感覚に襲われる。

(まさか、この少女が下着を付けていない理由は――!)

 雄二はフロアの中をくまなく探索した。
 そして、雄二の仮説を裏付けるものが、このフロアには存在した。
 サイズからして少女の物と思われる、下着を含めた脱ぎたての衣服である。
 雄二はそれをまじまじと見つめながら、これがこのフロアにある意味について考えた。




338 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 21:56:12 ID:o7ANydZE0



 ゲームセンター内のトイレにて。
 リゼの脳内では、先程見た死体がフラッシュバックしていた。
 力なく床に横たわった小さな身体と、周囲に飛び散った赤黒い血液。
 ゲームセンターという日常に近い場所で、殺人が行われたという事実は、平凡な日常を過ごしてきたリゼに強い衝撃を与えた。

(チマメたちと同い年くらいの女の子が、頭を、潰されて――!!!)
「うぶっ……」

 あまつさえ、リゼ自身や知り合いが物言わぬ死体となった瞬間を想像してしまい、リゼは堪え切れず嘔吐した。
 そうして胃液まで出し切って落ち着くのには、数分間を要した。

「はぁーっ……はぁ……」

 洗面台を汚した吐瀉物を水で流して、リゼは鏡を見た。
 その顔は自分の目から見ても酷いもので、リゼは両手で顔をぴしゃりと張った。

「チノやココアたちを、あんな風に死なせちゃいけない……!」

 自分への戒めの言葉を呟いて、リゼはトイレを出た。
 一番近いトイレは二階にあったため、雄二のいる四階に戻るには階段を登らなければならない。
 そのことに多少の疲れを感じながら、階段に足をかけようとしたその瞬間。

「そこの女子!貴様も参加者か!?」

 質量を持ったような声が、リゼを背後から襲ってきた。

「ひっ!?」

 いくら自分を戒めようが、背後から突如大声で呼びかけられたら、緊張に身体を震わせてしまうのは当然だろう。
 リゼは後ろをゆっくりと振り返る。
 そこにはリゼよりも、同行者の雄二よりも更に大きい男が立っていた。

(まさか、この人が……?)

 蟇郡の巨体を見て、ゲームセンター前の破壊活動を行ったのはこの人物ではないか、とリゼが考えるのもまた、道理であろう。
 なにせ蟇郡は、自動販売機よりも大きい身の丈をしているのだから。
 しかし、リゼが抱いたその不安は、良い意味で裏切られた。

「あのさぁ……どうして怖がらせるようなことするの?」
「え……」

 黒服の巨体の背後から、別の人間が現れたことで、リゼは叫んで雄二を呼ぶことを思い止まった。
 未だに警戒は解かないものの、相手の話を聞くことに集中する。

「いやぁ、ごめんね怖がらせちゃって。この人いつもこんな感じなんだ。
 俺は折原臨也。こっちは蟇郡苛。あともう一人いるんだけど、その人は周囲を捜索してから来るみたい。
 俺たちは目的があってここに来たんだけど……。
 って、いきなりすぎたかな。よかったら名前を訊かせてくれるかな?」
「……私は天々座理世だ」

 両掌をリゼに向けながら、笑顔を見せて警戒を解こうとする臨也。
 実際のところ、臨也の整った容姿と丁寧な対応、優しい声音によって、リゼはこの時点で半ば信頼しかけていた。
 同時に、相手の状況を把握したことから冷静さが生まれて、普段の調子で返答が出来るまでに回復していた。

「そっか、リゼちゃんっていうんだね。
 随分顔色が悪いけど、どうしたのかな?
 ……もしかして、女の子が死んでいるのを見ちゃった、とか?」
「っ!?」

 このとき、リゼは緩めていた警戒を再び引き締めようとした。
 具体的には、距離を取って拳銃に手を伸ばそうとしたのだ。
 だが、こと言葉の上での駆け引きにかけて、情報屋はあまりに有利であった。

「ああ、警戒させちゃったみたいだね。
 実は俺たちがここに来た理由の一つが、その女の子の遺体を調べることなんだ。
 あまり大声じゃ言えないんだけど、俺の知り合いが殺したかもしれなくってさ」

 拳銃に伸ばしかけた手を硬直させ、リゼは臨也の語る内容に耳を傾けた。
 臨也はリゼに気付かれないように薄い笑みを浮かべ、すらすらと淀みなく話し続ける。
 “立て板に水”とはこのことである。

「リゼちゃんも見ただろう?ここの近くが、めちゃめちゃになっていたのを。
 自販機が倒されていたり、このゲーセンの壁に大穴が開いていたり。
 あれをやったのも、そいつの仕業なんだよ。
 だから俺たちは、その女の子の遺体を調べて、確固たる証拠を見つけたいんだ」

339 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:02:26 ID:o7ANydZE0

 確かに理屈は通っていると、リゼは思った。
 女の子の頭部を潰していたのはゲームの筐体で、かなりの重さがありそうだった。
 あれを持ち上げて落としたのだとしたら、それこそ巨体の蟇郡でもないと不可能な芸当だ。

「どうかな、信頼して貰えたかい?」
「えーっと……」
「なるほど。あの女の子が誰に殺されたかは、俺も興味がある」

 リゼの背後から、階段を下りてきた雄二が臨也に声をかけた。
 片手には支給品のキャリコを油断なく構えている。
 戻ってこないリゼを心配してか、それとも蟇郡の声が聞こえたからか、様子を見に来たらしい。

「それじゃ、情報交換といこうか」

 そう呟いた臨也の声を、リゼはとても愉快そうだと感じた。





 ゲームセンターの五階。
 五人の参加者の情報交換は、切嗣が予想したより遙かに早く終了した。
 というのも、風見雄二と天々座理世の二人は他の参加者と遭遇していないらしく、情報らしい情報は知り合いの名前しかなかったのだ。
 一方の切嗣たちが持つ情報は、主に臨也が伝えた。
 空条承太郎、一条蛍、そして香風智乃。ラビットハウスで待っている三人の名前。

「本当か!?ラビットハウスにチノが!?」
「間違いない。俺は香風にコーヒーを振る舞われた」
「そうか……よかった……生きてて……」

 そんなやりとりをしてから、次に臨也と蟇郡の知人の名前が伝わった。
 臨也から園原杏里と平和島静雄の、蟇郡から針目縫の危険性について強く語られたリゼは、安堵した表情を一転して恐怖に曇らせていた。
 その後は、遺体となっていた少女の名前が越谷小鞠であること、支給品は盗難を懸念して預かっておいたことを切嗣が説明した。
 さらにそれが終わると、臨也が再び平和島静雄を貶すことに終始した。

「じゃあ、その静雄って人がゲームの筐体を投げて……」
「ああ。そうに違いないよ。
 外の暴風が通ったみたいな破壊の跡は、間違いなくシズちゃんだ。
 監視カメラでもあればよかったんだけどね……生憎ここのはダミーみたいだし」

 臨也は話しながら、静雄の危険性をオーバーに言いながら、ときおり切嗣と視線を合わせてくる。
 なにもこの瞬間だけでなく、ゲームセンターについてから、臨也はまるで切嗣に協力するかのような行動を取っていた。
 蟇郡が筐体を持ち上げたときには、灰皿の破片が発見されないか焦ったが、臨也が過剰な反応をして、全員の視線が頭部に集中したお陰で事なきを得た。
 遺体に適当な毛布がかけられて、砕けた灰皿が再び筐体の下に隠れてから、臨也がこちらを見てきたのは偶然ではない、と切嗣は考える。
 臨也は切嗣の所業を理解しており、自分に協力する意思があると切嗣は確信していた。

「生身の人間なのに、あれだけの破壊を行えるのか?」
「ああ、池袋でもことあるごとに大暴れしてるよ。
 “最強”って呼ばれてるくらいだ。
 放っておいたら、この殺し合いでどんな被害を出すか分からない」

 ラビットハウスを出てから、折原臨也の動向を観察していた切嗣は、一つの結論を出していた。
 それは臨也が「同盟関係を組むのに相応しい相手である」ということ。
 至極冷静な人物で頭の回転も速い。コミュニケーション能力も申し分ない、そして口がよく回る。
 切嗣が交渉材料を持ち出すより早く、切嗣の犯罪を擁護するという形でフォローを入れる駆け引きの上手さもある。
 協力できれば心強い人間だ――裏を返せば、引き留めておかなければ利用されかねない。

(そうなると、折原臨也と対話したいところだ)

 目下のところ、切嗣が欲しいのは臨也と二人きりで対話をする機会だった。
 とはいえ都合よく事態は進まないもので、情報交換が終わり、臨也は雄二と行動方針について熱心に話し合っている。
 無理に二人きりになろうとすれば、怪しまれる可能性があるために、切嗣は動き出せなかった。
 そして、全員でラビットハウスへ向かうことで話が固まりつつあったとき。

340 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:07:41 ID:igNLH62o0

「あの、なんか変な声が聞こえるような……?」

 この場でただ一人の女性であり、萎縮したのか知り合いの情報を話すとき以外は黙っていたリゼが、ここで口を開いた。
 切嗣が耳をすますと、確かにそれまではしなかった音がBGMに混じって聞こえる。

「声?……ああ、確かに。上のフロアかな?」
「ならば俺が見て来よう」

 臨也が天井を仰ぎながら言うと、それに対して蟇郡が腰を上げた。
 流石は風紀委員長といった堂々とした様子で、声のする上階への階段へと向かう。

「いや、全員で行った方がいい。……何があるか分からないからな」

 結果的に雄二の提案通り、五人は蟇郡を先頭に階段を上がった。
 当然のことながら、広さや奥行きはそれまでのフロアと変わらないが、それまでと違い、ゲームのBGMなどが響く中で、耳に残る声がする。
 雄二たちも未踏だった『ギャンブルゲーム』のフロアの壁に、本来ならばゲームに使用されているのであろう大きな画面がある。
 そこに映っていたのは、ゆったりとしたローブを幾重にも重ねて着ている、長身の男であった。
 遠目から見える不気味なインスマス面にも、独特な抑揚のためか芝居めいて聞こえる話し方にも、切嗣は嫌というほど心当たりがあった。
 画面に近づいて確認するまでもなく、その男は自ら名乗りをあげた。

『此度の放映をご覧頂けた幸運なる皆様。私、キャスターのサーヴァント、ジル・ド・レェと申します』

 切嗣以外の人間は、不快感と好奇心が入り混じったような表情をしている。
 キャスターが口上を述べ終えると、三人の少女が映像に映された。
 少女たちは、明らかな不審人物を前にしても微動だにせず、不自然に身体の一部を隠されていた。
 キャスターによる放送という時点で、切嗣はある程度予想をしていたが、少女たちの様子からある確信に至った。

(あの少女たちは生きて帰れないだろう)

 切嗣はキャスターの主従が冬木市において、聖杯戦争とは無関係の連続殺人を行っていたことから、その危険性を理解している。
 しかも、キャスターがセイバーとアイリに接触した際に名乗った名は、放送でも本人が名乗ったように“ジル・ド・レェ”だ。
 百年戦争の終結に貢献しながら、その後は黒魔術に耽溺、大勢の少年を虐殺したことで知られる、フランスの英雄の一人。
 異常な人物であることは疑いようもない。
 更に、それが聖杯戦争において魔術師(キャスター)の英霊として呼ばれたのだ。
 純粋な戦闘力だけであれば最弱のクラスであるキャスターが、勝利するために取る手段は一つ。

「罠クサいねぇ、これ」

 映像を見て呟いた臨也の言葉に、切嗣は心中で頷いた。
 魔術師のクラスはその特性上、強力な魔術工房と権謀術数を駆使して戦争を勝ち抜かなければならないのだ。
 霊力の強い土地に自らの陣地を作り、その場に他の英霊を誘き寄せて、圧倒的に有利な場所での戦闘を行う。
 キャスターの放送で映された三人の少女は、いわば食虫植物が放つ甘い匂いのようなもの。
 それに釣られて寄って来た参加者を、新たな犠牲とするつもりに違いない。
 切嗣はこの時点で、準備もなしに行動することは危険だと判断していた。

『不肖ジル・ド・レェ、僭越ながらこの可憐な少女達を保護させて頂いております。
 ご友人の方々は是非とも放送局までお越し下さい。彼女達もきっと喜ぶことでしょう』

 切嗣や雄二が地図を確認して、放送局の場所を確認する。
 とはいえ、キャスターの口車に乗って放送局に向かおうと提案する者はいなかった。
 たった一人を除いては。

「間違いない……あれは満艦飾だ!」

 切嗣が階下に戻ろうと歩み始めたそのとき。
 映像が途切れても画面を凝視していた蟇郡が、ゲームの音声をかき消すほどの大声で叫んだ。
 どうやらキャスターが引き連れていた少女たちの中に、知り合いがいたらしい。
 それを聞いた切嗣は、蟇郡の次の発言、及び行動が予想できた。

341 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:13:48 ID:o7ANydZE0
「風見、俺はラビットハウスには行かず、直接放送局へと向かう!」

 薄々感づいてはいたが、切嗣は蟇郡の思考があまりに単純なことに溜息をついた。
 騎士道精神を持つセイバーやランサーよろしく、誰かのために忠義を尽くすタイプの人間であるらしい蟇郡は、友人の保護を選択した。
 しかも、単騎で魔術師の陣地に突入するというのだ。
 サーヴァントの脅威を知る切嗣はもとより、そうでない者でも無謀だと感じるだろう。
 蟇郡の瞳は決意に燃えており、前言を撤回する様子は微塵もない。
 キャスターの連れてきた子供たちを守ろうと、強く切嗣の名を呼んだ騎士王の姿を思い出し、切嗣は舌打ちをしたい気分になった。





 蟇郡の頭の中は、満艦飾を救うということでいっぱいだった。
 蟇郡は同じ四天王の犬牟田と違い、思慮が浅いことは自覚しているが、それでもキャスターの放送が罠であることは理解できた。
 しかし、それを差っ引いても満艦飾を保護するべきだと考えたのだ。

「風見、香風への言伝を頼めるか。『放送局に行き友人を保護してくる』と」
「……了解した」
「それと、これを渡しておこう。元は香風の支給品だが、俺が持つよりはいいだろう」

 頷いた雄二に、蟇郡は腕輪探知機の入ったカードを手渡した。
 雄二はそれをポケットにしまうと、はやる蟇郡に対して尋ねた。

「移動手段はどうするんだ?」
「む……」

 この雄二の質問には、それまで即決してきた蟇郡にも迷いが生まれた。
 放送局があるエリアと、現在地との距離を鑑みるに、徒歩ではどう考えても時間がかかりすぎる。
 一刻も早く放送局に行きたい蟇郡は、迷ったような視線を切嗣に向ける。
 切嗣がコシュタ=バワーを保持していることを知ってのことだ。

「構わないよ。蟇郡くん、これを」
「だが、それでは俺が一方的に好意に甘んじることに……」

 視線に、切嗣は快く応じた。
 一方、コシュタ=バワーの入った黒カードを渡された蟇郡は、少し引け目を感じて受け取ることを渋った。
 蟇郡の支給品は本人支給の極制服のみ。お返しにと切嗣に渡せる道具はなにもないのだ。
 無意識に物欲しげな視線を送ってしまった自分自身を、恥じる気持ちもあった。

「いや、君の支給品はその学生服……極制服だったかい?
 それしかなかったんだ。気にすることはないよ」

 しかし、蟇郡の心配をよそに、切嗣は気遣う言葉さえかけてきた。
 蟇郡は思う。衛宮切嗣のような親切な人間と出会えたことは幸運であったと。

「……恩に着る。では、俺はこれで」

 蟇郡はコシュタ=バワーを取り出すと、念じて愛用の車の形にした。
 念じただけで変化する不思議な物質に興味を抱くこともなく、蟇郡は西を見据えている。

「待っていろ、満艦飾……すぐに行く」

 満艦飾はよくわからない人物だが、こんなところで殺されていい人間ではない。
 本能字学園の風紀部委員長は、大事な生徒を保護するために、一路放送局を目指す。


【G-7/ゲームセンター付近/一日目・早朝】

【蟇郡苛@キルラキル】
[状態]:健康、顔に傷(処置済み、軽度)
[服装]:三ツ星極制服 縛の装・我心開放
[装備]:コシュタ・バワー@デュラララ!!
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
   黒カード:三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル
[思考・行動]
基本方針:主催打倒。
   0:放送局に行き、満艦飾と合流する。待っていろ。
   1:平和島静雄が殺し合いに乗っている人物だと皐月様に報告せねばならない。
   2:皐月様、纏、満艦飾との合流を目指す。優先順位は皐月様>満艦飾>纏。
   3:針目縫、平和島静雄には最大限警戒。
[備考]
※参戦時期は23話終了後からです
※主催者(繭)は異世界を移動する力があると考えています。
※折原臨也、風見雄二、天々座理世から知り合いについて聞きました。




342 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:23:22 ID:o7ANydZE0

 勢いよく放送局へと走り去った蟇郡を見送ると、臨也は雄二たちに向けて言った。
 その顔には、情報交換の頃からずっと、柔和な笑みが浮かんでいる。

「じゃあ、ここは俺と衛宮さんで探索しておくから、風見君たちはラビットハウスに行ってよ」
「え、いいのか!?」

 リゼはこの提案に二つ返事で承諾した。
 知り合いを心配していたリゼならば、当然の反応だろうと雄二は考える。
 しかし、雄二は違う。ある懸念事項が雄二の心中に渦巻いていた。

「できることならもう少し探索したいんだが」
「やだなあ、この島に来てからずっと一緒なんでしょ?一緒に行ってあげなよ。
 俺や衛宮さんが一緒に行ってもいいけど、それはリゼちゃんにとっても負担じゃない?
 さっき知り合ったばかりの大人と一緒にされるよりは、風見くんが一緒の方がいいと思うけど」

 ところが、ゲームセンターに残るという案は臨也によって否定された。
 その反対意見の理屈も通っている以上、無碍にすることもできない。
 リゼを保護するというのが最初の目的であったことも、雄二にそれ以上食い下がることをさせなかった。

「それに、もうこの上の階層には、参加者はいないはずだから、そんなに人手もいらないしね」

 そう言って手をひらひらと振る臨也。
 口調だけでなく動作も軽いが、しかし隙らしい隙は見せない。
 情報屋というのは、そういった技術も必要なのだろうかと雄二は考える。

「そうか。なら言葉に甘えて、俺たちは先にラビットハウスへと向かう」
「ああ。リゼちゃんは一刻も早くチノちゃんに会いたいだろうしね」

 口元に笑みを絶やさずに喋る臨也の姿は、雄二に胡散臭さを感じさせた。
 とはいえ、相手が胡散臭いというだけで食って掛かるのは、短絡的が過ぎる。
 雄二の背後でリゼがそわそわとしていることも手伝って、最期まで雄二には効果的な反論が思いつかなかった。

「それじゃあ、俺たちもすぐ追いつくからさ!承太郎君たちによろしくね」
「道中は気を付けてくれ」

 そう言うと、臨也と切嗣は再びゲームセンターの店内へと入って行った。
 雄二はリゼを促して、共にラビットハウスへと歩き出す。
 ゲームセンターから少し離れたところで、リゼが雄二に話しかけた。

「風見さん、どうしてゲームセンターに残ろうとしたんだ?」

 心から不思議そうな声で問うリゼに、雄二は質問で返した。

「越谷小鞠を殺害した犯人は誰だと思う?」
「え?平和島静雄って人なんだろ?」
「どうしてそう思った?」
「どうしてって……それは……ゲーム機を投げられる馬鹿力があるらしいし……。
 それに、衛宮さんは壁を壊して出てくるところを見たって言っていたじゃないか」

 リゼの意見はもっともだった。
 平和島静雄について、折原臨也は危険性を証言し、衛宮切嗣は壁を破壊したことを証言した。
 二人の発言を全て信じるならば、越谷小鞠の殺害犯は確定したのも同然だ。
 しかし、雄二は蟇郡一行と情報交換をしてから、ある一つの可能性を思い浮かべていた。

「そこが引っかかるんだ。
 平和島静雄が殺人犯だと判断できる情報は、現状では伝聞されたものしかない」

 例えば、犯行の瞬間を捉えた映像や音声。
 或いは、被害者の越谷小鞠によるダイイングメッセージ。
 平和島静雄の凶行を証明する、物的証拠が存在しない。

「あくまで可能性の話だが……全部が全部、嘘ということも考えられる」
「まさか!?」

 リゼは大きな声を出して、それが早朝の街に響いたことに驚いて口を噤んだ。
 しかし、困惑した視線を引き続き向けてくるのは変わらない。
 困惑しているのは雄二も同様だった。
 ただ越谷小鞠の遺体が置いてあるだけなら、悩むことはなかった。

(ただ、あの濡れた下着と、プリクラの試着室からメイド服から考えられる仮説がある。
 『平和島静雄が下着を濡らした越谷小鞠のため、メイド服を上階から調達した』
 この仮説がもし正しいとしたら、平和島静雄はそもそも殺人を行うような人物とは思えない)

 平和島静雄は本当に犯人なのか?という疑い。
 それは殆どが雄二の推測であり、確実性は臨也や切嗣から伝え聞いた情報と大差がない。
 “平和島静雄の犯行ではない”ことを証明するのは、悪魔の証明に近いものがある。
 だからこそ、雄二は三人の前で言い出さなかった。
 殺人を犯していようがいまいが、平和島静雄が危険であるという事実は、ゲームセンター周辺の惨状から見て明らかだ。
 それを徒に覆して場を混乱させるのは、得策ではないと判断した。

343 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:33:17 ID:o7ANydZE0
申し訳ありません、前レスの途中から続けて投下します

 リゼは大きな声を出して、それが早朝の街に響いたことに驚いて口を噤んだ。
 しかし、困惑した視線を引き続き向けてくるのは変わらない。
 困惑しているのは雄二も同様だった。
 ただ越谷小鞠の遺体が置いてあるだけなら、悩むことはなかった。
 少女の服と、その後に探索した上の階層で、不自然に荒らされていたプリクラの衣装が、雄二の頭を悩ませた。

(あの濡れた下着と、プリクラの試着室から越谷が着ていたものと同じメイド服が漁られていたことから考えられる仮説がある。
 『平和島静雄が下着を濡らした越谷小鞠のため、メイド服を上階から調達した』
 この仮説がもし正しいとしたら、平和島静雄はそもそも殺人を行うような人物とは思えない)

 平和島静雄は本当に犯人なのか?という疑い。
 それは殆どが雄二の推測であり、確実性は臨也や切嗣から伝え聞いた情報と大差がない。
 “平和島静雄の犯行ではない”ことを証明するのは、悪魔の証明に近いものがある。
 だからこそ、雄二は三人の前で言い出さなかった。
 殺人を犯していようがいまいが、平和島静雄が危険であるという事実は、ゲームセンター周辺の惨状から見て明らかだ。
 それを徒に覆して場を混乱させるのは、得策ではないと判断した。

「とはいえ、現状では平和島静雄にだけ気を付けていればいいだろう」
「そ、そうだな。なんたって壁を壊すほどの奴だからな……」

 そう言いながらも、雄二は仮説を打ち立てていた。
 平和島静雄が壁を破壊したときに、それを目撃していたということは、即ち近辺にいたということになる。
 腕輪発見機の反応のことを考慮に加えると、越谷小鞠を殺害できるのは二人だけなのだ。
 平和島静雄を除けば、あと一人。

(衛宮切嗣――この男が平和島静雄に罪を着せた……?)

 雄二はこの仮説を、リゼにすら話さない。
 雄二は目の前の事象は信じることを決めているが、翻せばそれは不確定な情報で思考を縛ることをしないということだ。
 切嗣が越谷小鞠を殺害したとして、その動機も殺害方法も、何ひとつ判明していない。
 そこまで考えると、雄二はかぶりを振って思考を断ち切った。
 雄二は切嗣への疑念を、あくまで一つの可能性として、留めておくだけにした。

(それにしても、あのキャスターとかいう男……)

 雄二は続けて、ジル・ド・レェと名乗った男について考えを巡らせた。
 テレビ放送を流すことで、参加者を誘き寄せようとしている危険人物なのは明白だった。
 だが、それ以外にも雄二の心に引っ掛かるものがあった。
 ある男と声が似ていたのだ。
 雄二の父親と絵画を通じて関係があり、身寄りを失った幼少の雄二を引き取って人形めいた扱いをした男。
 雄二の殺人マシンとしての才能を見込んで、少年兵を育成する施設に送り込んだ男。
 雄二の師匠、日下部麻子らによる襲撃で姿を消した男。

(似ていた……ヒース・オスロ、あの男に……)

 このとき、雄二の中の心的外傷(トラウマ)が疼き始めていたことに、雄二自身もまだ気付いてはいなかった。


【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[服装]:美浜学園の制服
[装備]:キャリコM950@Fate/Zero、アゾット剣@Fate/Zero、腕輪発見機@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0枚、マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ
[思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   1:天々座理世を護衛しながら、ラビットハウスに向かう
   2:入巣蒔菜、桐間紗路、香風智乃、保登心愛、宇治松千夜の保護
   3:外部と連絡をとるための通信機器と白のカードの封印効果を無効化した上で腕輪を外す方法を探す
   4:非科学能力(魔術など)保有者が腕輪解除の鍵になる可能性があると判断、同時に警戒
   5:ステルスマーダーを警戒
   6:平和島静雄、衛宮切嗣、キャスターを警戒
[備考]
※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛の三人と情報を交換しました。
※キャスターの声がヒース・オスロに似ていると感じました。

344 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:35:45 ID:o7ANydZE0

【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[服装]:メイド服・暴徒鎮圧用「アサルト」@グリザイアの果実シリーズ
[装備]:ベレッタM92@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:不明支給品0枚、越谷小鞠の服(下着込み)
[思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   1:ラビットハウスに向かう
   2:チノたちが心配
   3:風見さんと一緒にチノたちを探す
   4:外部との連絡手段と腕輪を外す方法も見つけたい
[備考]
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛の三人と情報交換しました。





 蟇郡苛が去り、風見雄二と天々座理世が去ったゲームセンター内。
 騒がしいフロア内で、二人の男が相対している。
 かたや笑みを浮かべており、かたや一貫して無表情を崩さない。

「さて、と。衛宮さん、やっと二人でお話しできますね」
「ああ……こればかりはあのジル・ド・レェに感謝しないといけないな」

 切嗣は軽口を叩いて臨也と相対する。
 有用な人物に協力を取り付けるせっかくの好機を、逸する訳にはいかない。
 幸いなことに、臨也にも切嗣と対話をするつもりがあるようだ。
 切嗣は噛み煙草を口に含みながら、どう交渉したものかと思案を巡らせた。


【G-7/ゲームセンター内/一日目・早朝】

【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]:健康、緊張感
[服装]:いつもの黒いスーツ
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(20/20)、青カード(20/20)
     黒カード:エルドラのデッキ@selector infected WIXOSS
          蝙蝠の使い魔@Fate/Zero
          赤マルジャンプ@銀魂
          越谷小鞠の不明支給品0〜2
     噛み煙草(現地調達品)
[思考・行動]
基本方針:手段を問わず繭を追い詰め、願いを叶えさせるか力を奪う
   1:折原臨也を利用する。そのために臨也と対話。
   2:1の後、ラビットハウスの一団からも改めて情報収集をする
   3:平和島静雄とは無理に交戦しない
   4:有益な情報や技術を持つ者は確保したい
   5:セイバー、ランサー、言峰とは直接関わりたくない
[備考]
※参戦時期はケイネスを倒し、ランサーと対峙した時です。
※能力制限で魅了の魔術が使えなくなってます。
他にどのような制限がかけられてるかは後続の書き手さんにお任せします
※空条承太郎、折原臨也、一条蛍から知り合いと危険人物について聞きました。
※風見雄二、天々座理世と情報交換しました。


【折原臨也@デュラララ!!】
[状態]:健康
[服装]:普段通り
[装備]:ナイフ(コートの隠しポケットの中)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0〜2
[思考・行動]
基本方針:生存優先。人間観察。
  1:とりあえず衛宮切嗣は『人間』なのかどうか観察。そのために切嗣と対話。
  2:俺が何もしていないのにシズちゃんが自分から嵌められてくれた。
  3:空条承太郎君、面白い『人間』だなあ。
  4:DIOは潰さないとね。人間はみんな、俺のものなんだから。
[備考]
※空条承太郎、一条蛍と情報交換しました。
※風見雄二、天々座理世と情報交換しました。

345 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:41:47 ID:o7ANydZE0
仮投下を終了します。
タイトルについて失念していたので、本投下の際までに考えておきます
ひとまず指摘等あれば、よろしくお願いします。
といいながら、早速以下のように訂正します

>>337
そこは紹介文によれば『ビデオゲーム・対戦ゲーム』が中心のフロアであり、今までと同様に騒がしさはあったのだが、それとは別のことを雄二は感じ取った。

346名無しさん:2015/09/16(水) 22:47:38 ID:k4cltWfQ0
>>345
仮投下乙です
広まっていく静雄の誤解と、着々と根を広げつつある外道コンビにハラハラさせていただきました
ガマ先輩は放送を聞いたらそりゃあこうなる、そんな先輩を冷淡な目で見つつも、貸しだけは作っておく切嗣が抜け目ない…
そしてこの外道二人の対談、絶対に面白くなる…!

指摘というよりは確認なのですが
同じエリアには早朝に紅林遊月が出入りしているのですが、
今回腕輪発券機の人数が9人となっていたので、遊月はこの話の直前、
もしくは会話中で誰も気づかない時、あるいはこの話の直後にラビットハウスに出入りしたということで良いのでしょうか

347 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/16(水) 22:55:27 ID:o7ANydZE0
>>346
感想ありがとうございます。

この話の冒頭でガマ先輩が発見器を作動させたとき、時間帯はまだ「黎明」のつもりでした。
それ以降は発見器を作動させないことで、遊月が「早朝」のどのタイミングでラビットハウスを訪れたとしても整合性が取れるようにしたつもりです。
質問の答えとしては、紅林遊月は「会話中で誰も気づかない時、あるいはこの話でガマ先輩が発見器を確認した後にラビットハウスに出入りした」ということでお願いします。
上記の点は地の文を追加することで誤解のないようにします。

348名無しさん:2015/09/16(水) 23:06:21 ID:k4cltWfQ0
>>347
了解です
細部への解答ありがとうございます

349名無しさん:2015/09/17(木) 14:07:44 ID:ExKxbFDY0
投下乙です

>>333などで言われている「ゲームセンター周辺の破壊跡」は静雄とジャックの戦闘跡のことでしょうか?
そうなると、雄二リゼの到着が黎明、ジャック静雄の戦闘が早朝なので時間軸が矛盾してしまいます

350名無しさん:2015/09/17(木) 15:53:06 ID:ADvXlpeI0
細かいことですが、首なしライダーってあの世界では誰でも知るほど有名でしたっけ?
確かテレビに写ったことはありましたが、むしろ地元民で有名な存在だったような
イザヤが登場話でセルティを紹介した時も「あの有名な首無しライダーだよ」という感じではありませんでしたし

351 ◆698HDQ.GME:2015/09/17(木) 22:57:21 ID:4DGxGwwQ0
ご指摘ありがとうございます。

>>349
ゲームセンター周辺については、静雄が苛立って破壊したものと考えていました。
根拠としては「噴火する平和」内の以下の文章があります。

>バーテンの後ろに広がっている、所々がぐしゃぐしゃになったアスファルトや標識を見れば尚更だ。 
>状況証拠だけでも典型的な激情家と分かる、そんな単細胞が見せる反応にしては大人しすぎる。平和すぎる。 

ここから、静雄はジャックとの戦闘を行うよりも前に、道路に破壊の痕跡を残していたと判断しました。
ですが、黎明の雄二たちがゲーセンに訪れた時点よりも前かどうかは判断できないので、本投下の際には、そう判断できる描写を加えたいと思います。

>>350
本投下の際に、『首無しライダー』を削除したいと思います。
その他の三つは問題ないということでいいでしょうか。

352 ◆X8NDX.mgrA:2015/09/17(木) 22:58:14 ID:4DGxGwwQ0
トリップを間違えました。
>>351は自分です

353 ◆45MxoM2216:2015/09/17(木) 23:03:13 ID:Ax634QW60
初作品で色々と不安な点もあるので、仮投下します

354 ◆45MxoM2216:2015/09/17(木) 23:05:26 ID:Ax634QW60
ぐ…うう…ゲホッ、ゲホッ」
アザゼルの手刀により気絶させられ、あまつさえ空中から放り投げられた浦添伊緒奈ことウリスは口の中になんとも言えない不快感を感じ、柔らかい土の上でなんとか目を覚ます
反射的に咳き込むと、偶然彼女の口の中に入ってしまっていた土が吐き出された

(最悪だわ…)
お世辞にも寝覚めが良いとは言えず、全身がズキズキと痛む伊緒奈は、思わず歯噛みする…
まだ口の中に若干土の味が残っており、彼女の機嫌はさらに悪くなる

――余談だが、人が気絶するほど強く首に手刀を打つと、頸動脈が圧迫され血流障害を起こしたり、延髄が刺激されて脳震盪を起こしたりと、下手をすれば空から放り投げられる以上に死の危険がある
だが、幸い彼女にそれらの症状は見られないようだ――

(一体…何が…)
彼女が戸惑うのも無理はないだろう
伊緒奈にしてみれば、上空の敵に銃口を向けて今にも引き金を引こうとした瞬間、その敵にいつの間にか背後に回り込まれ、何がなんだか分からないうちに気絶させられたのである

全身が痛むが、特に首の痛みが凄まじいことから、おそらく首を殴られたのだろうか…
とりあえず伊緒奈は地面に手をついて起き上がろうと…

355 ◆45MxoM2216:2015/09/17(木) 23:07:23 ID:Ax634QW60
(ん?地面?)
そこまで考えて彼女は気付く…
そう、先ほどまで歩いていた地面と今自分が横たわっている地面が、明らかに違うのだ

(おかしい…さっきまで私は市街地にいたはず…)
市街地のアスファルトを踏みしめていたのに、柔らかい土の上で横たわっているなど…
あまつさえその土が口の中に入っていたなど…
――最も、彼女が落ちたのがアスファルトの上だった場合、確実に彼女は死んでいたのだが――

(ち…あの翼の男…)
しかも、先ほどまで所持していたサブマシンガンがなくなっている…
あの男に奪われたのは明らかだった

どうやらあの男は武器を奪った後、自分をここに移してから去ったようであると彼女はあたりを付けた

(だけど何故、サブマシンガンだけ奪って私を殺さなかった?)
せっかく手に入れた強力な武器…アドバンテージを奪われて腸わたが煮えくりかえりそうになるが、なんとか抑えて思考を続ける伊緒奈

そう、無力化させた相手を殺さない…ウィクロスで例えるなら、相手のライフクロスを全てクラッシュし、いつでも相手のルリグに止めのアタックができるにも関わらず、アタックをしないという愚行だ
意味のない行為の上、そんなことをしてはクラッシュによってエナゾーンに送られたライフクロスを元手に、次のターンに手痛い反撃を受ける可能性がある

これが人殺しを厭うような人間にやられるならまだ分かるが、あの男はどう考えもそのようには見えなかった

(殺す価値もないと舐められた? でも仮にそうだとすると他の支給品…まぁ本やペンはともかく、水や食糧を奪わない理由にはならない…
そもそもなぜわざわざ気絶させた相手をこんな所に運んだの?
気まぐれ…というのもありえないこともないけど、それはいくらなんでもお気楽が過ぎる…
他に理由として考えられるのは…)
と、彼女の思考が堂々巡りになりかけた瞬間、伊緒奈はそれよりも重要なことがあったことを思い出した

356 ◆45MxoM2216:2015/09/17(木) 23:11:03 ID:Ax634QW60
(そうだ、現在地…それに定時放送!)
どうやら覚醒したばかりで頭のキレがいつもより鈍っていたらしい
本来真っ先に確認すべき現在地と時間を後回しにして、あの翼の男について延々と考えてしまっていた

――あるいは、彼女自身が考えている以上にアザゼルへの怒りが強かったのだろうか――

慌てて白いカードで時間を確認すると、現在の時刻は5:57…放送の三分前だ
どうやら、気を失っていた時間は思っていたよりも短いようだ
偶然口の中に土が入ったというのはなんとも不快な話だが、そのおかげで早くに目が覚めたらしい

同じく白いカードで確認したところ、現在地はG―4
先ほどの市街地――G-6から、さほど離れていない森林地帯だ
近くには城のような建物がある
(放送が終わったら、あそこでしばらく休むのもいいかもしれないわね…)
少なくともこんな所よりは居心地よく休めるだろう…
さらに城ともなれば、何か武器になるような物が置いてあるかもしれない

(あの男のもう一つの支給品は、とんだ外れだったし…)
彼女の脳裏に浮かぶのは、もはや顔も朧げなサングラスの男から奪ったもう一つの支給品ーーレーザーポインターだ
何の因果か、またもや文房具である
一応、目に当てれば牽制にはなるかもしれないが、殺傷力は皆無だ

どうやら自分はまだ運に見放されていないらしいと感じた伊緒奈は、青いカードから取り出した水で手早く口を洗ってから、放送に備えた

彼女は身体的に傷つけられたものの、内心に潜む"心”を壊す欲求を失ってはいない
敗北の屈辱は確かにあるが、彼女にとってはそういった屈辱を受けた者が他にいないかどうかの方が重要なのだ
もしそんな者がいたら、あの昌のように依存させたり、敵への憎悪といった"負の感情”を燃やさせるのも面白い

そんなぐちゃぐちゃでドロドロになる"心”を想像しながら、浦添伊緒奈ことウリスは妖しく微笑した…

357 ◆45MxoM2216:2015/09/17(木) 23:13:32 ID:Ax634QW60
【浦添伊緒奈(ウリス)@selector infected WIXOSS】
 [状態]:全身にダメージ(大)
 [服装]:いつもの黒スーツ 土が付着
 [装備]:なし
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(9/10)
     黒カード:うさぎになったバリスタ@ご注文はうさぎですか?
          ボールペン@selector infected WIXOSS
      レーザーポインター@現実
 [思考・行動]
基本方針: 参加者たちの心を壊して勝ち残る。
   0: 放送を聞く
   1: アナティ城に入り休息 あわよくば武器も手に入れたい
2:使える手札を集める。様子を見て壊す。
   3:"負の感情”を持った者は優先的に壊す
   4: 使えないと判断した手札は殺すのも止む無し。
5:蒼井晶たちがどうなろうと知ったことではない。

 [備考]
※参戦時期は二期の10話で再び夢限少女になる直前です。
※E-6の川底に長谷川泰三の死体が沈んでいます。

支給品説明
【レーザーポインター@現実】
赤い光が出てくる、一般的なレーザーポインター
超時間連続して使用すると熱に耐えきれず故障するが、基本的には電池切れの心配はない

358 ◆45MxoM2216:2015/09/17(木) 23:16:44 ID:Ax634QW60
仮投下終了です
何か指摘があればお願いします

タイトルは「その覚醒は重畳」を考えています

359名無しさん:2015/09/17(木) 23:30:58 ID:iFnOEacI0
乙です
ウリスもタフな女ですね。セレクターとしての面も描写されていて惹きつけられるものがあります
現状最弱クラスのマーダーである彼女が武器を入手できる機会はあるのか先が気になりました
本投下に問題はないと思います

360名無しさん:2015/09/17(木) 23:31:09 ID:Yp4SB45g0
投下乙です 備考の長谷川さんのところは削除してもいいんじゃないかと

361名無しさん:2015/09/17(木) 23:59:36 ID:F97d7Whc0
仮投下乙です
なんだかここ最近、はずれ支給品の割合が高いような…違う意味で主催の悪意を感じます
アナティ城と言えば密かにラヴァレイの研究室があったりもするのですが、ウリスは再起を図ることができるのか

一箇所、晶の名前が昌になっている箇所がありますね

362 ◆45MxoM2216:2015/09/18(金) 00:03:33 ID:ogTzEWp.0
>>359
ありがとうございます
ではこのまま致命的な問題が指摘されなかった場合、明日の夜に投下したいと思います

>>360
そうですね
本投下の時に削除したいと思います

363 ◆45MxoM2216:2015/09/18(金) 00:10:37 ID:ogTzEWp.0
>>361
指摘ありがとうございます
そこは自分の凡ミスですので、本投下の時に修正します

ウリスにまた強力な武器を与えることも考えたのですが、そうすると長谷川さんの支給品が強力すぎるかと思いまして
またアナティ城を目指すキャラが他にいないのでしばらくは武器なしでも問題ないと思い、このようになりました
アナティ城の内部については後続の書き手さんに任せるつもりなので、その旨も本投下の時に追加しときます

364名無しさん:2015/09/18(金) 00:21:46 ID:6NMI.TYA0
>>363
あ、そこ指摘のつもりはありませんでした……すみません

ちなみに、今回のSSに対する修正要求とかではなくロワでのルール上の話ですが
強力な武器ばかりを支給されたキャラがいること自体に問題はないですよ
強力な武器ばかりあたった参加者がいても、その格差も含めての「ランダムに支給される」というルールなので

365名無しさん:2015/09/18(金) 00:33:54 ID:cEHNnNRw0
投下乙です
内容は問題ないと思いますが、現在位置と時刻を追加したほうがいいかと

366 ◆45MxoM2216:2015/09/18(金) 00:50:06 ID:ogTzEWp.0
>>364
すいません、変な勘違いしちゃいました
そうですね、なるべく公平な方がいいという固定概念に囚われすぎてました
今後の課題にしたいです

>>365
おっと、そこもうっかりしてました
G-4/アナティ城周辺/一日目早朝
を本投下の時に追加しておきます

367名無しさん:2015/09/18(金) 12:13:03 ID:7Tyiu/QE0
>>351
良いと思います

368 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:01:43 ID:AkjnIptk0
初ということもありますので、こちらに仮投下させていただきます

369 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:04:33 ID:AkjnIptk0
申し訳ありません、コピぺが何故か出来ないので、上は無しでお願いします

370「作戦会議を始めよう」 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:36:35 ID:AkjnIptk0
成功したので、仮投下させていただきます
また失敗するかもしれないので、投下が長くなるかもしれません

既に夜が明け、朝を迎えようとする平野で、六人の男女が南へと歩いていた。
鬼龍院皐月を始めとする、この殺し合いに抗うという志を共にする彼等の次なる方針は、この先にある駅から電車を用いて移動し、旭丘分校を経由して放送局を目指すというもの。
キャスターによる放送の結果満艦飾マコや南ことりが狙われる可能性もあると考えた皐月の判断により、本来なら定時放送を待つはずだったその移動は、無理をしない範囲で早まる事となった。
未だ目を覚まさない友奈を運ぶ為に半壊した病院から先程銀時と桂によって発見されていた担架を運び出し、持つ人間を交代しながらその足を進める。
そうやって、何とか病院から駅までの半分ほどを移動した頃のことだった。

「皐月殿、友奈殿の担架を持つ係も一周した。そろそろ休憩を入れても良いのでは無いだろうか」

そう声を上げたのは、殿を務めていた桂。
最後尾にいた彼には、周囲を警戒している皐月が時折僅かによろめいていた事に気付いていた。
注意深く無ければ見逃してしまいそうな鬼龍院皐月によるほぼ完璧な虚勢も、流石に数多の戦場を潜り抜けてきた攘夷志士の目を誤魔化し切れるものでは無い。

「…ふむ、そうだな」

その進言に、皐月も思考を巡らせる。
鮮血に血を吸わせ流子との戦闘を行い、更には短時間でひとり橋を調べる事までした彼女の身体に未だ大きな負担が掛かっているのは事実。
これ以上の進軍の強行はそれこそ無理をする事になるし、いざという時に力を発揮しきれない可能性も出てくる。

「その通り、か。
よし、全員、一度休息を取る。皆しっかりと身体を休め、これからに備えるように。
それと」

出来れば早々に駅まで着きたかったが、先に言ったように無理をしない事が重要。
まだ幼いれんげの事もある、早めの小休止も重要な要素の一つだ。
そう考えた皐月は、その進言を聞き入れた。
だが、休息を取る事に賛同した理由に、もう一つ。

「そろそろ定時放送だ。聞いたら出発をする、各々しっかりと聞いておくように」

真実を伝える鐘が既に迫っていた事も、確かに存在していた。

時間も頃合いだった為に、同時に朝食も済ませてしまう事となった。
友奈の担架を傍に置いて円を描くように座り、全員が赤カードを使用するわ。
周囲の警戒自体は怠っていないが、それでも空腹の身体に食べ物が入る事でその緊張が和らいでいた。

「生命繊維に魔法…どれも俄かには信じられぬものばかりだな」
「いや、江戸が宇宙人に攻め落とされたってのも大概でしょ」

食べながら、六人はそれぞれの知っている事について改めて情報の交換を行った。
当初こそ様々な世界の話ーーーとりわけ「生命繊維」「天人」「魔法」についてが噛み合わずに泥沼と化しかけたが、コロナから語られた「管理外世界」についてにより一応の収集がついた。

「…ふむ」
「どうかしたか、皐月さんよ?」

ふと、皐月が何かを考えるように顎に手を当てる。
それに気付いた銀時の言葉に「ああ」と返し、彼女は改めて地図を呼び出した。
そしてその更に数秒後、顔を上げて彼女は皆に呼び掛けた。

「すまない、少し気になる事が出てきた。…全員で意見を出し合いたいと考えているが、いいか?」

この殺し合いについて、だと。
後に続いたその言葉で、れんげ以外の全員が顔を引き締めた。
だが、誰も顔を落とそうとはしない。
殺し合いに抗うというその意思を肯定と同義と捉え、皐月は話を始めた。

371「作戦会議を始めよう」 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:38:34 ID:AkjnIptk0
「まず気になるのは、この殺し合いという舞台について。
とりわけ、施設の名称だ」
「めいしょう…名前ってことなん?」
「そうだ、れんげ殿。しかし、名称の何が気になるのだ?」

そう聞いた桂に、皐月は幾つかの施設を指差す。
『DIOの館』。
『ラビットハウス』。
『アナティ城』。
『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』。
『万事屋銀ちゃん』。
そして、それぞれの島に設置された三つの学校。

「これらの施設は、何れも固有名詞。恐らくは、それぞれの世界で重要な施設なのだろう。
ならば、だ。それらと他の施設の違いは何だ?」

あ、という声。
皐月は頷くと、それ以外の施設とも見比べながらこれらを見返す。

「名前がある施設は、それを知っている者にとって目印となろう。
それ以外にも、駅や放送局…或いは武器がありそうな基地。これらには殺し合いの中でも利用価値が存在する」
「だけど逆に言えば、それ以外…映画館やゲームセンター、公園などが何故明記されて地図に載っているのか。
拠点とする場所の強調にしては、南東に多過ぎる気がしますし…確かにおかしいですね」

施設の存在に、何らかの意味がある。
そうやって考えてみると、この地図には何か重大な事実が隠されているのではないだろうか。
そんな考えが、全員の頭に浮かんだ。

「学校が三つもあることについては、皐月殿はどう考える?」
「恐らくは、それぞれの島での目印だろう。
学校は得てして人が集まりやすそうな施設だ。固有名詞があるなら、最終目的地や仲間との集合を目指しそこに進むことも考えられる」
「案外、学校にワープポイントでもあるかもしれないですね。
実際橋が壊れている以上、行き来できなくなった時に人が集まる場所に行けば動ける、というのも考えられます」
「成る程…まあ、そんな不確かなものの為に戻る訳にはいかないがな」

実はこのコロナの提案は実は的を射ていたりするのだが、それはまた別の話。

「この中で一番怪しいのは…やはり砲台だな」
「ああ、俺に関係がある施設だけ二つあるってのはなんかありそうだ」

鮮血の発言に同意するように、銀時が言葉を続ける。

「放送局からも近い。調べてみる価値もありそうだな」

皐月もそれに続く。
ここについては実は彼女も思うところがあった

(…だが、今はそれよりももう一つ存在する疑問を提示する方が先決だな)

心の中でそう考え、皐月は再び皆に向き直る。

「それと、もう一つ。
この殺し合いにおける、黒幕の存在についてだ」

一瞬、皆の息が止まる。
その中で最初に口火を切ったのは、銀時だった。

「根拠は?」
「今ここにいる七人、数にすれば実に全参加者の十分の一。それに各々の知り合いの存在なども加味すれば、殺し合いに牙を剥く人数は少なくとも倍はいると見ておかしくない」
「殺し合いに積極的には乗らない人間を此処まで多く集めている意味、か。
単なる殺し合いが目的では無く、その過程か何かに狙いがあるとそう言いたいのだな?」

続く桂の言葉に皐月が頷く。
何もあり得ない話では全くない。そもそも、戦えない絵里やその友人が招かれている事には違和感があるし、幾ら超常の力を持っていようと子供が行うには些か
尚も話を続けようとしたが、その前にふと絵里が口を開いた。

「…でもあの女の子、それこそ誰でもいいみたいな言い方だったわよ。
望んでいるのは他人の不幸だけで、幸せそうなら誰でも良かったんじゃないかしら。言っていて、嫌になるけれど」
「ああ、そうだ。先の施設の話も、子供の遊びで適当に選んだといっても合点はいく」

372「作戦会議を始めよう」 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:41:40 ID:AkjnIptk0
子供は時に残酷な遊戯を楽しむ。
もしそういったものの一環で、繭が単に幼いなりの知恵と見合わぬ力を行使したとしても、この会場の違和感は拭いきれるものではある。

「だが、それにしてはこの殺し合いのルール自体は徹底している。
禁止エリアや腕輪、願い事を叶えるなど、『戦うに足る理由』を周到に用意してある所が顕著だ」

だが、このゲームのルールはどうか。
子供が一人で思いつくには、あまりに綿密に作り込まれているように感じる設定。
決して『殺し合いに乗らざるを得ない』状況にはなっていない点を見ると、子供の遊びにありがちな行き過ぎもない絶妙なラインとも言える。
抜け出さんとするには難しく、だが、かといって全員が全員殺し合いに乗らざるを得ない状況は作り出さないルール。
この絶妙なバランスを、あの精神的にも大人には見えにくい少女が考えついたとはどうにも思えない。

「あの繭ってヤローは、あくまで傀儡に過ぎねえって訳か」

繭を倒せばいいとだけ考えていたが、それは確かに早計に過ぎた。
背後にいる存在の思惑、その正体を看破しなければ、恐らく完全な脱出は有り得ないと見ていい。
面倒事が増えたと舌打ちする銀時の傍、ぽつりと絵里が呟く。

「…それでも、人を殺し合わせて、死んだらこんなカードに閉じ込めて楽しむなんて…」

人を喜ばせる為。
そういって輝かしい笑顔を振りまいていた友人達を思い出し、彼女は小さく怒りを燃やした。
何で、そんな形でしか喜べない人間がいるのか。
何で、自分達が巻き込まれなければならなかったのか。

「どんな理由があるにせよ、しているのは外道の所業。あの少女も、然るべき報いは与えなければならん」

そんな絵里の内心の衝動を抑えるように、桂が凛とした声で言い放つ。
それに同意するように頷くと、皐月は改めて皆を見回した。

「それで、だが。
その殺し合いの黒幕、心当たりがある人間はいるか?」

唐突な質問。
顔を見合わせた三人の女子は、揃って首を振る。
当たり前か、と皐月は考える。彼女達はあくまで一般人。
そして、二人の侍の方へと視線を向ける。

「どうやら、心当たりがあるようだな」
「まあな」

銀時と桂は共に嘆息する。
天人が闊歩する江戸の町は表面こそ平和そのもののようだが、過去のものも含めれば様々な暗躍が犇いていた。
中でもこんな事を出来そうな輩と言えば、神威も所属する宇宙海賊『春雨』や高杉率いるテロリスト集団『鬼兵隊』、或いは幕府そのものが怪しいか。
更に過去に遡り言うなら、それこそ夜王鳳仙などの復活も考えられる。
頭が痛くなりそうだと思いながら、銀時は皐月を見返す。

「テメーも、心当たりがありそうなツラしてんな」
「ああ、ある。先にも話したが、鬼龍院羅暁という女だ。
私と流子の母親にして、地球を生命繊維で覆い尽くす事を目的としている」

そりゃあ大したババアだ、と言葉を漏らしつつ、銀時は他の心当たりを頭の中で探す。
一方の桂は冷静に話を聞き、その語り口に一つの疑問を覚えた。

373「作戦会議を始めよう」 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:42:33 ID:AkjnIptk0
「だが、皐月殿自身、確信が持てていないように見えるが?」
「…ああ。最初はずっと羅暁の仕業だと考えていたが、他の世界の可能性も踏まえて考えると違和感がある事に気付いた」

彼女自身、こんな事が出来るのは羅暁だけだと考えていた。
だが、異なる世界や敵の存在を知った今考えてみると幾つか不審な点が見えてきている。

「針目縫や純潔を着た流子が居て、ヌーディスト・ビーチの面々や蟇郡いが「オイ待てェェェェ!何だヌーディスト・ビーチって!どんな変態集団!?」
…煩い。蟇郡以外の四天王が居ない。全力で私だけを殺しにきたとしても、満艦飾や鮮血、蟇郡がいる事が説明出来なくなる」

途中に銀時のツッコミが入りつつも、その疑問点を語る皐月。
だが、同時に気になる事もあった。
先程話題に出た『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』。
砲台という点で一つ気になっているのは、原初生命繊維の事だった。
先程本能字学園には存在していないようだった、天種繭星の為にそれを打ち上げる砲台の役目をしているのはここではないか。
そんな事を考えながらも、そちらはどうか、と銀時に視線で促してみるが、彼もまだ決め手に欠けているようだった。

「理由…どいつもこいつも腹ん中に一物抱え込んでるヤローばっかだからな」
「まだ出会った事の無い参加者もいる。決め付けるには早計か」

とはいえ、状況の整理も出来た。
今後の方針にも役立つし、他の脱出を目指す参加者とも共有して考えるべき問題を提示出来たのは一つの進歩。

「話は大体コイツでシメーか?」
「ああ…しかし、まだ数分近い時間があるな」

どうしたものかとそう考えていた時、おずおずとコロナが声を上げた。

「…あの、もしよければ、みんなの仲間について話してみませんか?
まだお互い、他にどんな人が来てるのか聞いてなかったと思って」
「…あ」
「そう言えばそうであったな。
よし、では私達の知り合いから話をしようか…ん?」

コロナのその提案を受け入れいざ話を始めようとする桂。
だがその直後、何やら怪訝な目つきで彼女の背後を眺めると同時に変な声を漏らす。

「何なのん、あれ?」

更に、その隣にいたれんげの声がそれに続く。
どうしたのかと皆がそちらを向けば、赤カードから取り出した食料が、何時の間にか表れた謎の白い何かに全て食べられていた。

「オイ、何だこのポケ○ンのパチモンみたいな奴は。ふてぶてしいツラしやがって、ノーマルタイプですかコノヤロー」
「いや銀時、これは噂の妖○うぉっちとかいうアレだろう。ほれ、メダルを寄越せメダルを」
「流石に黙れ貴様等。…しかし、本当に何処から」

すぐさま漫才を始める銀時達を一蹴しつつ、謎の生物の出処を探す皐月。
だが、それを見つけるより早く、彼女は吉報を見る事となった。

「目覚めたか、結城友奈」
「……あ、はい!ご心配お掛けしました!」

これまで力を使い果たし眠っていた少女の、目覚め。
その場にいる全員が安堵したような表情を見せ、とりわけ彼女に守られた絵里とれんげは大層喜んで歓声を上げた。

374「作戦会議を始めよう」 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:43:30 ID:AkjnIptk0
「言うまでもないと思うが、我等はこの殺し合いを打倒せんとする者だ」

代表して皐月が立ち上がり、簡単にこの団体と現状を説明する。
本能字学園からの脱出、病院での放送、それによって出来た目標。
元々他人に不信感を滅多に抱かない友奈もそれを信用し、すぐに結束を固めた。

「さて、起きて直ぐですまないが、放送も近い。簡単でいい、貴方がこの殺し合いに来てから何をしていたか聞かせてもらおう」
「はい、分かりました。ええっと…」

そうして友奈も、また説明を始めようとした。
だが。

「ゆうなん!」
「うわっ!?あ、あ痛たたたた!」

突如左側から飛び出してきたれんげの突進に、なす術もなく倒れてしまう。

「こ、こら!れんげさん、怪我人ですから止めてあげて下さい!」
「あ…ご、ごめんなさいなのん」
「ううん、大丈夫大丈夫!れんげちゃん…だね?よろしくね!」

すかさずコロナがれんげを抑え、それにより落ち着いたれんげが友奈に謝罪した。
友奈もそれを素直に受け止め、普通に仲良くしようと手を伸ばす。
何の変哲もないように見える一幕だが、それを見て怪訝な面持ちをしている人間が二人。

「銀時」
「ああ、分かってらァ。神威のヤロー、やってくれやがって」

歴戦の猛者たる二人には、その違和感が理解出来ていた。
今のれんげの突進は、今の友奈の位置ならば「見えていた筈」。
それならば、受け止めるなりなんなりの行動を反射的にしていた筈だろうに。
だが友奈は、それをせずただ彼女の体当たりを受けてしまっていた。
恐らくは、左目の視力低下か或いは失明。
『散華』を知らぬ二人は、それは神威との戦闘が残した後遺症と受け取った。

「それでなお、おくびにも出さず気丈に振る舞うか…確かに、勇者と呼ぶに相応しい少女だな」

桂はそう呟き、ふと友奈と目が合う。
その気丈さに一抹の不安を抱えつつも、彼はその視線を切り上げた。

(…もしかして、気付かれちゃったかな?)

そして結城友奈もまた、そんな二人の変化を見逃してはいなかった。
勿論、友奈自身が異常に気付いていない訳がない。
目覚めてすぐに普段より視界が狭い事が分かり、満開の代償が支払われた事を理解した。
だが、それを悟らせては皆に影響が出かねない。
ならば、それは自分だけが抱え込んでいればよい。他人にわざわざ心配を掛けるような事は、断じてあってはならない。
結城友奈は、元来そういう性格だった。
だから、彼女はまるで何処にも問題が無いかのように振る舞い、皆を不安にさせぬように話す。
それこそ、幾ら傷を受けても前を向く勇者のように。

「では、改めて聞こう、結城友奈。これまで、どのような行動をしていた?」
「はい、ええと…」

そして、友奈は一先ずここまでの話をした。尤も特筆すべき事と言えば、ジャンヌとの出会いとそこで得た情報、そして本能字学園での戦いへの乱入程度だったが。

「それで、ジャンヌさんは…やっぱり」
「…私を逃す為に、一人残った。
彼女も簡単には死なぬだろうが…妹が負ける姿もまた、想像が出来ん」

苦々しくそう呟く皐月に、友奈は少し驚いたように問いかける。

「…妹さん、なんですか?」

あの時、皐月が戦っていた相手。
遠目にしか見えていなかったが、かなりの殺気を伴った人だと感じた。
そんな人間が目の前の人と姉妹だとは、俄かには信じ難いと思ってしまう。

「ああ、今は『純潔』というものに取り憑かれていてなーーー助けなければいけない相手だ」

だがそれを聞いて、友奈も顔を落とす。
彼女が知っている姉妹、犬吠埼風と犬吠埼樹の二人はいつも仲睦まじい姉妹だった。
彼女達のよう、とまでは言わないけれど、それでも友奈は歯痒く思う。

(姉妹で戦わなきゃいけないなんて、間違ってる)
「絶対に、止めましょう。
残ってくれたジャンヌさんの為にも、皐月さんや流子さんの為にも」

思いの外強い友奈の決意の言葉に、皐月は少し驚かされる。
この少女は、他人の為にここまでの感情を迸らせる事が出来るのかと。
勇者たる友奈の力強さに驚かされながらも、今度は自分達の説明を始めようとする皐月。
だがーーー

「…時間か」

375「作戦会議を始めよう」 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:46:28 ID:AkjnIptk0
会場全体に、異音が広がり始める。
放送が、始まろうとしていた。

【B-5/平野/1日目・放送直前】

【坂田銀時@銀魂】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)
[服装]:いつもの格好
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0〜3枚(本人確認済み)、包帯とガーゼ(残り10分の7)、担架
[思考・行動]
基本方針: ゲームからの脱出
 1:駅、旭丘分校、放送局の順で移動する
 2:新八、神楽、長谷川さん、ついでに土方と合流したい
 3:神威、流子、DIOは警戒
 [備考]
※【キルラキル】、【ラブライブ!】、【魔法少女リリカルなのはVivid】、【のんのんびより】の世界観について知りました
※友奈が左目の視力を失っている事に気がついていますが、神威との戦闘のせいだと勘違いしています。
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(中)、疲労(中)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(9/10)
    黒カード:不明支給品0〜2枚(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
 1:放送局に行ってことりを助けたい
 2:μ'sのメンバーと合流したい
 3:エリザベス変身セットを着てみる…?
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。
※【キルラキル】、【銀魂】、【魔法少女リリカルなのはVivid】、【のんのんびより】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。

【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)、こめかみに擦り傷
[服装]:神衣鮮血@キルラキル
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)、 黒カード:神衣鮮血@キルラキル
[思考・行動]
基本方針:纏流子を取り戻し殺し合いを破壊し、鬼龍院羅暁の元へ戻り殺す。
1:駅、旭丘分校、放送局の順で移動する。その後、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を調べてみたい。
2:鮮血たちと共に殺し合いを破壊する仲間を集める。
3:襲ってくる相手や殺し合いを加速させる人物は倒す。
4:纏流子を取り戻し、純潔から解放させる。その為に、強くなる。
5:神威、DIOには最大限に警戒。
6:刀剣類の確保。
[備考]
※纏流子裸の太陽丸襲撃直後から参加。
※そのため纏流子が神衣純潔を着ていると思い込んでいます。
※【銀魂】、【ラブライブ!】、【魔法少女リリカルなのはVivid】、【のんのんびより】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。

【桂小太郎@銀魂】
[状態]:疲労(大)、胴体にダメージ(中)
[服装]:いつも通りの袴姿
[装備]:晴嵐@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
    黒カード:トランシーバー(A)@現実、鎮痛剤(錠剤。残り10分の9)、抗生物質(軟膏。残り10分の9)
[思考・行動]
基本方針:繭を倒し、殺し合いを終結させる
   1:駅へ向かう。
   2:コロナと行動。まずは彼女の友人を探す
   3:神威、並びに殺し合いに乗った参加者へはその都度適切な対処をしていく
 [備考]
※【キルラキル】、【ラブライブ!】、【魔法少女リリカルなのはVivid】、【のんのんびより】の世界観について知りました
※友奈が左目の視力を失っている事に気がついていますが、神威との戦闘のせいだと勘違いしています。
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。

376「作戦会議を始めよう」 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:48:08 ID:AkjnIptk0
【コロナ・ティミル@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:疲労(中)、胴体にダメージ(中)、魔力消費(小)
[服装]:制服
[装備]:ブランゼル@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(10/10)
     黒カード:トランシーバー(B)@現実
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを終わらせたい。
   0:みんなの知り合いの話をしたい。
   1:みんなと駅へ向かう。
   2:桂さんたちと行動。ヴィヴィオたちを探す
   3:ルーちゃんのデバイス……なんだか、ルーちゃんが助けてくれたみたい。ちょっと嬉しいな。
[備考]
※参戦時期は少なくともアインハルト戦終了以後です。
※【キルラキル】、【ラブライブ!】、【魔法少女リリカルなのはVivid】、【のんのんびより】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。

【結城友奈@結城友奈は勇者である】
[状態]:疲労(中)、胴体にダメージ(回復中)、味覚・左目が『散華』、前歯欠損、顔が腫れ上がっている、満開ゲージ:0
[服装]:讃州中学の制服
[装備]:友奈のスマートフォン@結城友奈は勇者である、エリザベス変身セット@銀魂(未着用。毛布として使用中)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)、黒カード:なし
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止め、主催者を打倒する。
   1:勇者部のみんなと合流したい。
[備考]
※参戦時期は9話終了時点です。
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。

【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(中)
[服装]:普段通り
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
     黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り五個)@キルラキル、バタフライナイフ@デュラララ!!
[思考・行動]
基本方針:うち、学校いくん!
   1:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
   2:こまちゃん、ほたるん、待ってるのん。
   3:あんりん……。
[備考]
※骨が折れない程度に手加減はされました
※杏里と情報交換しましたが、セルティという人物がいるとしか知らされていません。
 また、セルティが首なしだとは知らされていません。
※魔導師としての適性は高いようです。
※【キルラキル】、【ラブライブ!】、【魔法少女リリカルなのはVivid】、【銀魂】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。

377 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 14:50:20 ID:AkjnIptk0
仮投下を終了します
何も問題がなければ、明日の夜あたりに本投下させていただきます

378名無しさん:2015/09/27(日) 15:16:52 ID:7hI3AKcs0
仮投下乙です
特に問題はないかと思います

379名無しさん:2015/09/27(日) 15:21:43 ID:cyUpDepI0
仮投下乙です

流石に「学校のワープ装置」の存在をピンポイントに推測させるのはどうかなぁと思いました
それ以外は特に問題ないと思いました

380名無しさん:2015/09/27(日) 15:34:32 ID:4j.hi0Ik0
仮投下乙です

ワープポイントの件は「何かあるのでは」程度に抑えて置いた方がいいのでは
あと、白い生物がせめて何なのかはっきりさせておくべきかと
無論状況が状況ですから後続の書き手さんに任せることも出来ますが

気になったのは以上のポイントです。

381名無しさん:2015/09/27(日) 15:41:01 ID:cyUpDepI0
一点いい忘れてましたが、友奈の満開による精霊の増加は無しということですかね?

>>380
普通に友奈の精霊(牛鬼)では?

382名無しさん:2015/09/27(日) 15:45:02 ID:4j.hi0Ik0
>>381
そういうことでしたか 失礼

383名無しさん:2015/09/27(日) 16:14:14 ID:ZDzB8WXU0
投下乙です

文章で気になる箇所があったので指摘します。

>>370
>友奈の担架を傍に置いて円を描くように座り、全員が赤カードを使用するわ。

「わ」が余計だと思います。

>>371
>何もあり得ない話では全くない。そもそも、戦えない絵里やその友人が招かれている事には違和感があるし、幾ら超常の力を持っていようと子供が行うには些か

文が途切れています。

384 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 16:28:46 ID:AkjnIptk0
>>379-380
そうですね、確かにそこはメタ要素が強すぎたかもしれません
本投下時に当たり障りのない程度に描写を変更しておきます

>>381
友奈の参戦時期が9話終了時点なので既に火車が出ており、なおかつルールで「精霊を二体以上付けるのは禁止」とあるので、これ以上は精霊が付かないと思っています

>>383
見逃していました、こちらも本投下の際に修正しておきます

385名無しさん:2015/09/27(日) 16:59:39 ID:VIu/o0fQ0
仮投下乙です

ひとつ気になったのは時間経過です

前々話である「本能字の変」の時点で、彼らの時間帯は既に早朝でした
そこから、「One for All , All for One」の時点で、2マスほど離れている病院まで移動します
そしてそのSSのなかで『皐月による橋付近の偵察』『病院の捜索と薬の発掘』『負傷者の手当』『テレビ放送』『放送への反応と作戦会議』といった出来事を順番にこなしています
それに加えて、今回のSSのなかで『駅から病院への移動を半分ほどすませる』『朝食を摂りながらの、互いの世界の情報交換(5世界分)と、さらなる作戦会議』をして
それらが終わってもまだ『放送まで数分の猶予がある』というのは、ちょっと時間の流れが不自然ではないかという印象を受けました
これまでのSSでも、ひとつの時間帯の中で何話も描かれるといったことはありましたが
それらはすべて『ひとつの場所にとどまっている間の話』だったり『せいぜい隣のエリアと往復する程度』であったりと、時間経過を曖昧にすることが可能な範囲でした
しかし今回のSSの場合、(前々話からも含めれて)早朝の間に、何度もエリアを超えての移動などのイベントをこなしているように思います

病院で作戦会議の続きをしたとかならまだしも、ここまで進むと『放送後にこなしていいイベント』を今のうちに進行させているようにも見えかねませんので、ご一考いただけないでしょうか

あと、これは指摘というよりも改めて確認したいことなのですが、
結奈の散華する順番は左目からでよろしいのでしょうか
原作にも散華していく順番はランダムのように描かれていますが
原作12話だと友奈は味覚の次に両足を失っていましたので、いちおう『散華する箇所は(原作と違っていても)書き手の自由』で確定なのかを確認したいと思いまして

長文レス大変失礼しました

386 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 18:03:00 ID:AkjnIptk0
>>385
こちらの時間把握としては、本能字学園出立を4:00過ぎとして、
・病院までそこから40分程
・病院捜索ならびに完了、皐月帰還、キャスター放送までで30分
・移動に30分程、そこから会話・考察で15分程
と、結構カツカツではありますが辻褄は合うかな?といった感じです
学園から病院までの距離と病院から橋までを往復するまでだと往復の方が短い、という点などを考慮した上でこのくらいならギリギリ入るかな、と考えましたが、やはり詰め込み過ぎでしょうかね
今少し考えてみた感じだと、
・「One for All , All for One」で皐月が鮮血疾風を使った為に、病院の滞在時間は短かった、という補完描写を入れる
・その為皐月の疲労が濃く、桂の発言を「想像以上に皐月が疲れていそうだから」という理由のみにして移動距離を短くし、かつその移動中に各々の世界の話をした
くらいの短縮はすぐに入れられると思います
それ以外でも入れられる場所は探してみますが、いかがでしょうか

友奈の散華については、一応これまでの話の状態表で「後続の書き手にお任せします」とあったのでこちらで自由に決めさせていただきました
もし原作で散華した場所が確定している友奈、風、夏凜の三人について場所を確定する、という方向にするのならばそれでも構いません

こちらも長文となってしまい、申し訳ありません

387 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 18:06:10 ID:AkjnIptk0
>>386
皐月が鮮血疾風を使ったという補完は、病院から橋までの往復にです

388名無しさん:2015/09/27(日) 19:11:02 ID:VIu/o0fQ0
>>386
「本能字の変」を読む限りDIOが離脱した時点(この時点で未だ戦闘は継続中)で既に早朝になっているので、
学園を4時前後に出発したというのはだいぶ危ういかなぁと思いますが、
個人的には移動時間を短縮する案(移動した距離を短くする等)を出してくださるというなら問題はないかと思います
(病院への移動に40分は短すぎる、いや充分だとか言い出すと、移動時間を細かく審議することにもなりかねませんし)

今回に関してはおそらく個人的に、同じ距離を移動したはずの龍之介組(小休憩やリタとの接触ありとはいえ)が、
深夜に病院を出発してもうすぐ放送という時間になってから駅に着いている(駅で放送を迎える予定)というのが違和感の元だったのでしょう
氏の挙げられた修正案(さほど移動していないことにする等)のような形を取れば、その違和感もある程度は解消されるかと思いますし

389 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 19:21:59 ID:AkjnIptk0
>>388
ご指摘ありがとうございました

390 ◆NiwQmtZOLQ:2015/09/27(日) 19:25:20 ID:AkjnIptk0
途中送信失礼しました

>>388
ご指摘ありがとうございました
では、上に挙げた修正案を元に、もう少し削る事ができる部分がありましたらそこも修正しつつ調整して本投下したいと思います

391管理人:2015/10/07(水) 22:37:46 ID:???0
■第一回放送案募集テンプレ案 改訂版


アニメキャラ・バトルロワイヤル4thの第一回放送案(リレーSS)を募集します。
以下をよく読んだ上でここのスレに第一回放送案を仮投下スレで投稿してください。
他の人の投下に割り込まないように気をつけて下さい。
後に修正要求される可能性があるのでトリップをつける事をお勧めします。

今回は禁止エリアの存在の明言と3エリア分の禁止エリアの発表を行います。
読み上げられる死者名に南ことりと満艦飾マコを含むかどうかは作者さん方にお任せします。


企画の進行に問題がある内容の場合は修正要求されます。
問題の度合いによっては修正要求の前に破棄になる可能性もあります。
もし修正作業が修正期間までに間に合わないと自動的に破棄になるのでご注意下さい。



【募集期間】10/08(木)00:00〜10/14(水)23:59の7日間。
      修正期間は10/15(木)00:00〜10/16(金)23:59の2日間です。
      10/18日(日)00:00から23:59に投票を行います。
      もし10/15(木)23:59までに各放送案や本投下の修正作業が終わりましたら10/17日(土)に前倒しで投票が行われる可能性があります。
      投票で1位になった作品がアニメキャラ・バトルロワイヤル4thの第一回放送SSとして採用されます。
      募集期間中の放送前のパートの予約投下は可能です。修正は修正期間まで可能です。
      
     
※注意
第一回放送話は主催サイドのキャラが出るとはいえ、あくまで通過点に過ぎません。
話もまだ序盤を過ぎたところ、その事を念頭に投稿して下さい。
主催サイドの新キャラを出すのは構いませんが、黒幕など繭より上位のキャラや外部からの観察者
別組織の同盟者など、扱いに困るキャラを出すのはご遠慮ください。

392 ◆NiwQmtZOLQ:2015/10/11(日) 22:54:10 ID:VzMUQVf20
放送案を投下します

393第一回放送 ◆NiwQmtZOLQ:2015/10/11(日) 22:55:26 ID:VzMUQVf20
そこは、白亜の部屋だった。
規模だけで言えば、そこは三つもの小さな島に相当する。
学校があり、病院があり、その他にも様々な施設が存在する島々。
けれど、建物や樹木といった全て白い箱で凸凹と歪に象られており、随所に窓が存在している。
普通に考えれば、そんな窓の向こうには何がある筈も無く、それは開く事のない只のアンティークに過ぎない。
───けれど、この白い空間が普通ではないのは、誰の目にも明らかな事で。

『う……あ、ぁッ…………――――――!』

───窓が開く。

『死……にたく……ない……し……』

───窓が開く。

『ぢや、ざん……なん…で…』

───窓が開く。
───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。───窓が開く。
窓の向こうに広がる風景から、様々な人々の感情が流れ込んでくる。
憎しみ、怒り、哀しみ───負の感情が、窓を通して此方へと伝わってくる。

「………ふふ」

そんな流れ込んでくる感情を、少女───繭は笑いながら聞いていた。
ここから見える、窓の向こうの場所で行われる殺し合い。
そこで死んだ者は、永遠に昏く寂しいカードの中で、未来永劫を過ごす事となる。
嘗ての彼女と、同じように。

「ふふ、あはは」

間違っているのは分かっている。
けれど。
これまで希望に包まれ、選択する自由を持っていた人間達が、選ぶことすらも出来ない自分のようになっていく様は。
そして、そんな現実に押し潰されて悲痛な感情を溢れさせる人々が嘆き悲しむ様は。
彼女にとって、とても心地良いものに映っていた。
だから彼女は、そんな嘆きの瞬間を繰り返し繰り返し見続ける。
その他の場所は、彼女が望まない限りその風景を映す事は無い。
彼女が望むのはあくまでも、『カードに囚われる人間達の絶望』なのだから。
だが───。

「…やっぱり、いるんだ」

再び彼女が手を翳した窓が開き、また新たな場所を映し出す。
そこに映ったのは、その瞳に希望を残した参加者達。
繭を打倒する為に、或いは徒党を組み、或いはその一人の力で以って牙を突き立てんとする者達。

「───気に入らない」

この逃げようのない殺し合いから、脱出してみせようと言うのか。
彼女が漸く見つけた、歪んでいながらも唯一の娯楽を、無情にも奪い取ろうと言うのか。

「出来るものなら、やってみなさい」

その表情にドス黒い感情を滾らせ、彼女は立ち上がる。
そう言えば、そろそろ頃合いだ。思い上がっている彼等にも、再び思い知らせるべきだろう。
この殺し合いでは、全てはこの繭というが絶対である事を。
殺し合いという現実から、目を背ける事など出来ない事を。
救いなんて、存在する筈も無い事を───────

394第一回放送 ◆NiwQmtZOLQ:2015/10/11(日) 22:57:36 ID:VzMUQVf20



おはよう、皆。
ふふふ、繭が憎らしい人もいるかしら?こんな殺し合いをさせられて、怒っている人も一杯いるでしょうね。
でも、ダーメ。出してなんてあげないんだから。
最後の一人になるか、死んでカードの中に囚われるか───選択肢があるだけ、いいと思いなさい。
さて、それじゃあそろそろ重要な話に移る?
まずは、禁止エリアからだね───もしかして、私が言ってないから知らない人もいる?でも、ルールを見れるのに知らないなんて言わせない。そんな人は、真っ先に狙われちゃうんだから。
今回の禁止エリアは───

B-3
D-7
F-2

───この三つ。しっかり覚えておかなきゃダメだよ?
何処かに書いて、残したりしておかないと。でないと───ふふ、どうなるでしょうね。
それじゃあ次は…これまでで死んじゃった人の名前を呼ぶね。
ふふ、こっちの方が気になる人は多いでしょう?
それじゃあ、言うわね。

宮永咲
神代小蒔
範馬勇次郎
池田華菜
土方十四郎
長谷川泰三
犬吠埼樹
越谷小鞠
間桐雁夜
園原杏里
ジャンヌ・ダルク
高町ヴィヴィオ
矢澤にこ
志村新八
ヴァローナ

…今呼んだ、15人が今の脱落者。
知り合いが呼ばれちゃった?友達が呼ばれちゃった?
さっきも言ったけど、優勝すれば、何でも一つ願いを叶えてあげるから───その人の大事な人くらいは、ご褒美に出してあげるかもしれないわ。
それじゃあ、頑張ってね。

395第一回放送 ◆NiwQmtZOLQ:2015/10/11(日) 22:58:28 ID:VzMUQVf20


繭に失敗があるとすれば、彼女がカードに魂が吸い込まれる、そこだけを見ていた事だ。
彼女が嘗て生み出したカードゲーム───WIXOSSにおいて、ルリグとなる少女に語りかけたように。
そのせいで、彼女は二人の死を見逃していた。
満艦飾マコ、そして南ことり。
彼女達は、この殺し合いに招かれた英霊であるサーヴァントにその魂を喰らわれた。
喰らわれた魂はカードに閉じ込められる事は無く、その為に繭が二人の死を知る事は無かったのである。
だから、正確には17人。
それが、この6時間で失われた正確な命の数だ。
また、先の二人の死が正しく伝わらない事は、彼女達の知り合いにとっては仮初めの希望であり、そして最悪の絶望の起爆剤ともなり得るもの。
だが、そんな事とは関係無しに、殺し合いは再び動き出す。
繭も再び窓を開け、その景色を眺め静かに笑う。
彼女が言った、カードから魂を解放するというのは───いや、願いを叶えるというそれさえも。
真実かどうか確かめる術は、今は無い。
広くも狭い、白亜の部屋で。彼女と出会うまでは───

【17人死亡 残り53人】

※繭は殺し合いの世界を覗く事が可能です。
ですが、何らかの理由が無い限りは、『カードに魂が閉じ込められる周辺』しか覗いていません。

396 ◆NiwQmtZOLQ:2015/10/11(日) 22:59:21 ID:VzMUQVf20
放送案投下を終了します。

397 ◆DGGi/wycYo:2015/10/12(月) 11:20:20 ID:eyzFBoNE0
投下乙です こちらも放送案を投下します。

398第一回放送 -この声は冒涜- ◆DGGi/wycYo:2015/10/12(月) 11:21:33 ID:eyzFBoNE0
白い部屋。

無機質なその部屋は、沢山の窓に囲まれている。
開いているそれらの窓は、殺し合いの全てを映し出す。

「ふふ」

少女は笑う。
ゲーム開始から6時間。最初の放送が始まる。


 *  *  *


『――おはよう。午前6時、定時放送の時間よ』

このゲームの生存者全てに等しく与えられる声が、会場全体に響き渡る。
その声は、生者全ての腕輪からも発せられていた。

『ここまでにあなたたちは誰と出会った?
誰を殺した? 誰と闘った?
今はただ、私の声に耳を傾けなさい

まずは、大事な話をしましょう。
腕輪で確認出来るルールに明記したけれど、あの場所で説明していないことがあったわ。
そう、禁止エリアについてよ』

数秒時間を置き、少女は続ける。

『本当はルールを見るべきなんだけど、今回は特別に教えてあげる。
当然、殺し合えば人数は減っていく。すると当然、他の参加者との遭遇率も下がるわ。
それじゃあつまらないから、禁止エリア――エリアを封鎖しちゃうの。
今から3時間後、午前9時になってもそのエリアに居たら、もれなく魂をカードに閉じ込めるわ。そこで何をしていたとしても、問答無用。


【C-4】
【D-7】
【F-3】


これらの3箇所のエリアが、9時になったら入れなくなるの。
でも、鉄道に乗っている間は特別に入れるようにしてあるわ。
今そこに居る人たちは、死にたくないなら出発準備を始めた方がいいかも知れないわね。

それから、これも大事なお話。A-4……北部に設けた橋が壊されちゃったの。
だからここも9時から一時的に禁止エリアにするわ。
次の放送までには直して入れるようにしておくから、それまでの辛抱。

399第一回放送 -この声は冒涜- ◆DGGi/wycYo:2015/10/12(月) 11:22:14 ID:eyzFBoNE0
さあ、次はお待ちかね、ここまでに命を落とした方々の発表といきましょう。
一度しか言わないから、よく聞くことね。


【宮永咲】
【神代小蒔】
【範馬勇次郎】
【池田華菜】
【土方十四郎】
【長谷川泰三】
【犬吠埼樹】
【越谷小鞠】
【間桐雁夜】
【園原杏里】
【ジャンヌ・ダルク】
【高町ヴィヴィオ】
【矢澤にこ】
【志村新八】
【ヴァローナ】


まだいるわ。魂がカードに閉じ込められていないけど、死んだとはっきり分かる子もいる。
私はここからゲームの全てを見ているの。
誰かが魂を食らうだなんて不思議な行動をとっているところも、丸見えよ。


【満艦飾マコ】
【南ことり】


さあこれで全員、残りは53人。マスターカードで名簿をご覧なさい。
脱落した人の横に、赤いバツ印が付いているはずよ。
あなたの大切なお友達が死んでしまったのなら、その子のために頑張りなさい』

クスリ、薄ら笑うような声がする。

『ここまでで17人、素晴らしいペースよ。余程叶えたい願いがあるのね。
でも、無理をして自分が死んでしまったらそこまでよ。それだけは承知しておきなさい。
それじゃあ、これで放送を終了するわ。次は正午、また私の声が聞けるといいわね』

ノイズ混じりの笑い声が途絶え、やがて静かになる。
まだ、呪われたこのゲームは始まったばかり。


 *  *  *

400第一回放送 -この声は冒涜- ◆DGGi/wycYo:2015/10/12(月) 11:22:35 ID:eyzFBoNE0
ため息を吐き、繭は用意しておいた椅子へと腰掛ける。
窓の向こうからは、参加者たちの様々な表情が窺い知れた。
驚きを隠せない者、涙を流す者、淡々と今後の方針を決めようとする者――。

今のところ、殺し合いは順調に進行している。

徒党を組んでゲームの破壊、脱出を目論む者もいるが、あの腕輪がある以上島から出られないのは明白。
もし仮に腕輪を破壊出来たとしても――既に対策は練ってある。

この窓から全てを見ている。
ああは言ったが、魂が吸い込まれなかった2人のことは“そいつ”が教えてくれなければ気づけなかった。
繭にとっては想定外だった橋の破壊も、“そいつ”の用意した提案によって無事解決した。
円滑に進められないゲームなど面白くない、それには同意する。
ただ一つ、問題を挙げるとするなら。

「(なんで……?)」

タマが支給品として紛れ込んでいることだ。
元々、ルリグをアイテム用に調整して支給しようだなんて言い出したのも“そいつ”の提案だ。
繭もそれに賛成こそしたが、タマを支給品にした記憶はない。

ちら、と“そいつ”の方を見る。
命の恩人ではある。この島だって、“そいつ”が用意してくれた舞台だ。
繭に逆らえないようにお膳立てしてくれているのだって。

ルール制定等も含め、“そいつ”がこのゲームの進行に大いに役立っているのは事実である。
だが、少しばかり疑った方がいいのかも知れない。

白い部屋に2人の声は聞こえない。聞こえてくる音は、窓の向こうからばかり。
“そいつ”は何も言わず、ただ……貼り付けたように笑った表情をしていた。


※A-4が橋修理のために一時的に禁止エリアに指定されました。
次の放送までには入れるようになります。
※禁止エリアに指定されている場所も鉄道に乗っている場合はその限りではありません。

401 ◆DGGi/wycYo:2015/10/12(月) 11:22:51 ID:eyzFBoNE0
投下を終了します

402名無しさん:2015/10/12(月) 21:45:53 ID:bWHPeM8A0
お二人とも仮投下乙です

403 ◆WqZH3L6gH6:2015/10/14(水) 23:47:57 ID:n2PrJxpc0
今から仮投下します


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