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オリロワA番外編スレ

50ある囚人とGPAエージェントの話 ◆VdpxUlvu4E:2026/01/02(金) 15:29:24 ID:DBxxZzyE0

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 時を遡る事半年前。
 貴族の血を引く、イタリアでも有数の名家にして資産家でもある、ファルネーゼ家の当主ジュリオ・ファルネーゼから、GPAイタリア支部に要請が有った。
 内容は、『娘であるルクレツィアを捕縛してほしい』というものだった。
 幼少期に使用人を酷く傷つけて、父から厳罰を受けたルクレツィアは、その後は攫ってきた孤児や難民を殺害する様になり、今ではイタリア半島に覇を唱える“バレッジ・ファミリー”から人間を調達しては惨殺しているという。
 父親は何もしなかった訳では無い。人並みの感性を持つ様に教育し、倫理を教え、道徳を説き、良識を学ばせた。
 父の教育に娘も応えた。良識を身につけ、道徳を識り、倫理を弁え、そして他者への慈愛と良心は遂に持ち得なかった。
 娘の凶行を止める為に、涙を流して訴えるジュリオの要請で、GPAはルクレツィアの捕縛に向かい、最初に派遣された一個分隊10名が皆殺しにされた。
 次いで数を三倍に増やし、一個小隊分の人数が送り込まれ、半数以上が殺害され、生還した者も全て負傷していた。
 事此処に至り、GPAはエージェントの派遣を決定。ジュリオの証言から判明しているルクレツィアの超力と、生き残りの報告から確定した超力強度を元に、派遣人員を決定。
 ソフィア・チェリー・ブロッサム及び嵐求士堂に命が下り、二人はイタリアへと飛んだ。
 超力社会に於いて、己の五体のみで、数多の強者を葬ってきた無銘を下した士堂と、超そのものが通じ無いソフィアは、身体強化系が相手ならば適任と言えた。
 かくしてイタリアの地に赴いた二人は、狂気の令嬢と交戦。
 二人の捕縛対象であるルクレツィアは、士堂の前蹴りで内臓を潰されながらも、士堂の足首を掴んで捩じ折って戦闘不能にし、次いでソフィアに全く歯が立たずに殴り倒され、関節を極められた。
 妙に嬉しそうなルクレツィアに引きながらも、二人はルクレツィアを連行し、この一件は幕を下ろしたのだった。

 そこで終われば良かったのだが。

 ルクレツィアを捕縛してから一週間後。呼び出されたソフィアを待っていたのは、GPAの英雄である乃木平天。
 乃木平曰く、年々激増の一致を辿る超力犯罪と、強力になっていく超力犯罪者に、現在のGPAの人員では対処が困難になりつつある。
 優秀な人員でなければ務まらないが、任務の度に死者が出ていると言って良い現状。更に、強力な超力を有するエージェントも数が限られている。
 投入できる人員の数も、対処できる能力を持った人材も、双方が不足している。
 新たなる人材の育成や確保を行なっているが、育成には時間が掛かり、確保といっても優秀な人材は、既に何処かしらの組織に所属していて、そこで必要とされている為に登用は難しい。
 という訳で、既に実力が明らかで、尚且つ死んでも惜しく無い戦力として、“アビスの囚人”を使うことにした。
 当然の事だが、全員にタグ付けは行われている。逃亡しても即座に再度の捕縛が出来る。
 今はまだテスト運用の時期だが、上手くいけば、GPAの戦力不足を補えるだろう。
 
 此処でソフィアはピンと来た。要は自分が此処に呼ばれたのは、テスト運用に用いられる囚人の管理役をやらされるのだろうと。
 厄介な任務だと思っていたら、乃木平が更に厄介な事を言い出した。
 曰く、何人かの扱いやすそうな囚人に声を掛けて、その内の一人が管理役としてソフィアを指名したと。
 ソフィアは眉を顰めた。ソフィアが捕縛した囚人が、報復の機会を得る為に、ソフィアを指名したのだろうか?
 いや、そんな手合いだったら、要望は即座に却下されるだろう。
 考え込んでいたソフィアの背中を、誰がが突いた。
 振り返ってみれば、銀の髪に白い肌、鮮血色の瞳を持つ少女。一週間前に捕縛した殺人狂。
 血相変えて後ろへ飛んで身構えたソフィアへと、白い少女は艶然と笑い掛けた。

 乃木平曰く、ソフィアに危害を加える意志は無いことは証明されている。その上での指名だと、ソフィアが管理役になることが、ルクレツィアの出した条件だと。
 心底嫌そうな顔をしたソフィアだが、任務は任務である。苦虫を一兆匹程噛み潰した様な顔で、ルクレツィアの管理役を引き受けたのだった。

 尚、殺しがいのある相手に困らなさそう。という理由で協力を決めた小鳥遊仁花の管理者には、無効化能力者であるソフィアと組んでいた経験を買われて嵐求士堂が任命され、長らく続いたソフィアと士堂のコンビは解散となったのだった。

 小鳥遊仁花とルクレツィアは昔馴染みなんだから、この二人を組ませれば良いだろうというソフィアの抗議に対して、乃木平は答えて曰く。

 「だったら貴女がトングと袋を持って、肉片(ミンチ)を回収して下さい」

 ソフィアは何も言い返せなかった。

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