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オリロワA雑談スレ

1名無しの囚人:2025/01/26(日) 17:29:13 ID:IJm/JE0s0
雑談スレです

2名無しの囚人:2025/02/13(木) 23:10:53 ID:CLNXfPlc0
皆さん、種々の理由でボツになった候補キャラとかいますか?

3名無しの囚人:2025/02/14(金) 10:59:39 ID:ouUGyXo.0
未来が舞台という事で宇宙関係の存在しない犯罪を考えようとしたけど宇宙規模に影響のある超力は規模がデカすぎるので止めた

4名無しの囚人:2025/02/14(金) 19:59:03 ID:F6ek8GWo0
幻覚系の能力を考えて、制限無しだと塩になり、制限つけると山岡さんの鮎になったんでヤメた

5名無しの囚人:2025/02/14(金) 23:16:42 ID:wtzKgtUE0
韓国の財閥系のキャラを考えていたんだけど、
アビスに送られるくらいの罪状を考えていったら乗り物事故と切り離せなくなって、
ちょっとそれはよくないのでやめた

6名無しの囚人:2025/02/15(土) 16:11:39 ID:a7ylqJ1I0
>>2
です。候補キャラ投下期間を逃したボツキャラを供養のために投げます。

7名無しの囚人:2025/02/15(土) 16:14:08 ID:a7ylqJ1I0
【名前】アミーラ=スレイマン
【性別】女
【年齢】推定18〜19
【罪状】大量無差別傷害致死罪
【刑期】終身刑(無期懲役と同等)
【服役】3ヶ月
【外見】身長150cm、体重38kg
 細くしなやかな肢体。上質な木炭を思わせる真っ黒な肌は、光の加減によっては表情の判別さえ困難である。
 ネグロイドの形質を色濃く示す肌の色に対し、顔かたちはモンゴロイド系の雰囲気が強い、幼気を残す美少女。
 遠目からは真っ黒い顔に青白い瞳がやたらと目立つ。頭髪は銀色で、腰まで伸びている。
 肉体の成長は12〜13歳の時点で止まっている。もしや後述の超力による影響では、とは本人の談。

【性格】理知的で中性的な口調で話す。
一見すると、とても殺人に手を染めたとはとても思えない穏やかな雰囲気をまとうが、
それは後述する生い立ちによって身につけざるを得なかった厭世的な思考の裏返しである。

【超力】金剛不壊の鏡(アルマース・ミラー)
 常時発動型能力。
 彼女に降りかかる悪意による攻撃を跳ね返し、不運を退ける。
 彼女に向けて引金を引けば銃が暴発し、指を失う。
 彼女に振るった刃は、持ち主に突き立てられる。
 たとえ彼女の存在を知らずとも、彼女のいる場所の爆破を試みれば、砕け散るのは爆弾を置いた側である。
 とにかく、彼女に向かって悪意を以て行動すれば、被害を受けるのは仕掛けた側となる、強力な因果律操作能力である。
 悪意なき事故や自然災害も彼女の生命を奪うことはない。
 この超力があるかぎり、彼女は不死身である。



【詳細】
 アフリカ東部、某国の紛争地帯の難民キャンプで産み落とされ、アミーラと名付けられる。
 彼女の生まれについてわかっているのはそれだけで、ファミリーネームも、母親の国籍さえも不明である。

 以前から、憎いために殺し、食うために殺し、奪うために殺し、守るために殺し、
生きるために殺し、殺すために殺していたそこの住民たちだったが、
せいぜいが小火器や棍棒で殺し合う程度の”のどかな”地域であり、国際社会からも半ば見捨てられていた。
 しかしそこは開闢の日を経て、大量破壊系の超力が飛び交う地獄と化した。

 真っ先に死の嵐が吹き荒れたのが、殺し合う意思のない者が身を寄せ合う難民キャンプであった。
 辛うじてキャンプの人々の命を繋いでいた国際機関は情勢の悪化に伴い、真っ先にこの地から手を引いた。
 アミーラのいた、正確には、アミーラを身ごもった女性のいたキャンプだけが、
なぜか誰の攻撃にも晒されずに無事であった。
原因は言うまでもなく、母親の胎内にいたアミーラの超力が襲撃者の悪意を跳ね返していたのだ。

しかし、アミーラが推定6歳の頃に平穏は終わる。
大量破壊の超力に頼らない、昔ながらの小火器と棍棒による強盗団が、
まるまると“肥え太った”難民キャンプを襲ったのだ。
アミーラ自身は無事でも、母親も、キャンプの知り合いも皆殺しに遭った。
 アミーラはひとりサブサハラの荒野に放り出された。
 以来、アミーラはサバナやステップをさまよい歩き、渇きや飢えで倒れかけるたびに
 親切な通行人に救われたり、幸運な“襲撃”に遭遇しては意識せずに返り討ちにしたりして、生を繋いできた。
 このころ彼女はたびたび自殺を試みていたが、失敗に終わっている。

 彼女の転機は10歳のころに訪れた。
 開闢の日以後に中東の某所で興った小国の元首・スレイマン家の御曹司に見初められたのである。
 スレイマン家の御曹司に匿われた彼女は、そこで初めて教育を受けた。
 開闢の日をはじめとする一般常識。超力という概念。そして、自身の超力が何なのかについて。
 なお、10歳から教育を受け始めた彼女であるが、現在はすでに大学卒業相当の知識を有している。

 御曹司改め首相とその妻に第二夫人として正式な婚姻を持ちかけられたころ、彼女の平穏はまたも破られた。
 クーデターによりスレイマンの政権が崩壊したのである。
 首相夫妻は亡命を試みるも失敗し、政治犯として逮捕。
アミーラだけは難を逃れたが、彼女はあえてクーデター政権に出頭、つまり自首を行った。
囚われた彼女は自ら志願してアビスへと送られ、自主的に今回の”刑務作業”に従事することとなった。

 その育ちから、彼女はアサルトライフルやハンドガンなどの小火器の扱いに長けている。
 銃器で威嚇することで、無駄に失われる生命を減らすことができるためである。
 また、サバイバル技術もひととおり会得している。
たぶん死なないとわかっていても、飢えや渇きは苦しいからである。
 自動車の運転もできるし、整備もできる。但し砂漠ばっかり走ってきたので交通マナーは知らない。

 大学卒業程度の教育を受けており、アラビア語、日本語、英語、スワヒリ語などを流暢に操る。

8名無しの囚人:2025/02/15(土) 16:16:41 ID:a7ylqJ1I0
【名前】ナジム=スレイマン
【性別】男
【年齢】31
【罪状】侵略戦争罪
【刑期】死刑
【服役】3ヶ月
【外見】身長183cm、体重75kg
 太い眉と切れ長の目、口ひげとあごひげを整えた細面のアラブ人。美丈夫。

【性格】
 開闢の日以降に興った中東の某国を、日の出の勢いで発展させたカリスマ首相。
 その拡大志向を隠そうともしない野心は、周辺国に警戒される一方で、彼の手腕に期待を向ける者も多い。
 辣腕を振るう政治家としての合理性を有する一方で、個人としての彼は情にあつい。
押し付けがましい父権主義者ともいう。
 ムスリムであるが、さほど厳格に戒律を守ってはいない。
 1日5回の礼拝は欠かさないが、豚肉は食べる。時代に沿わない教義まで無理に守る必要はないと考えている。

【超力】旧き王の神秘・序列三十一
 手にしたモノの効果を”全体化”する。
 その超力を発動しつつ振るった剣は、視界に収める限りの敵全体を切りつける。
 味方に益する器物も、視界に収める限りの味方全体に益をもたらす。
 但し、リソースの消費もその分だけ増える。
 銃を”全体化”して撃てばあっという間に弾切れに陥る。自分自身の消耗は基本的にない。
 なお、この超力は手で触れた他人の超力に対しても発動可能である。
 但し”全体化”された超力が代価を要するタイプの場合、もちろん代価をその分だけ支払うことになる。

 “全体化”の範囲はある程度、使用者自身の認識で操ることができる。
 敵の四肢を”全体化”の対象と認識して攻撃する、などの応用が可能。
 他者の超力を”全体化”する場合、対象との精神的な結びつきによって、手を離してからの効果時間の延長、
 “全体化”範囲の際限なき拡大が可能であることが確認されている。


【詳細】
 元より国際情勢の不安定だった中東諸国は、開闢の日における混乱をモロに被った地域であった。
 当時、中東のある一帯をまとめるいち首長に過ぎなかったスレイマン家は、その混乱に乗じて独立国家を立ち上げた。
それだけであれば開闢の日以降の中東においてありふれたことであり、特筆すべきことではない。
だがナジムが弱冠22歳にして首相の座に立って以降、スレイマン家の治めるその小国は異常な発展を遂げ始めたのだ。
分裂と併呑を繰り返し、国境を巡る小競り合いが続く中東において、ナジムが統治するその国だけが、無風だった。

ナジムは未だ重要な資源である化石燃料の収入を元手に、石油化学産業、エンターテイメント産業、
リゾート産業などへと投資を拡大。
足の引っ張り合いを続ける周辺諸国を横目に、いわゆる開発独裁という体制をとりながら、
開闢の日以前の産油国の発展ルートを悠々と歩み始めていた。

ナジムはそうして抜きん出た経済力の一部を軍事力へと振り分け、周辺国の併呑を始めた。
当然、軍事力を以て抵抗する国も現れたが、その試みは決して叶わない。
ナジムが首相の座に立って以来、彼の治める国に対する軍事的な攻撃行動は必ず失敗するのである。
彼の国への攻撃を目的として使用した兵器は、必ず、あり得ない理由で故障し、
超力を有する兵士による攻撃も、絶対に、何らかの理由で失敗に終わる。

しかし超力を超えた何かによって守られていたとしか思えない彼の国の栄華は、ある日一夜にして潰えた。
今まで必ず失敗していたクーデターがその夜に限って成功し、その元首たる彼はアビスへ送られることとなったのだ。

タネを明かせば、それまでナジムの国に対する攻撃が不可能だったのは、ナジムの第二夫人が有する、
『悪意による攻撃をすべて跳ね返す』超力を、ナジムの超力で国全体に対象として”全体化”していたためであった。
クーデターが成功したのは、ナジムがかの第二夫人と初夜を遂げようとした際に、
第二夫人に気の迷いが生じ、”全体化”の効力が一時的に極端に低下したためであった。

ナジムには夢があった。
第二夫人の『悪意による攻撃をすべて跳ね返す』超力を、全世界に”全体化”し、
社会を脅かす悪意を全て駆逐することで、世界に平和と安定をもたらすという夢であった。
それは彼自身の野心も多分に含まれているが、紛れもなく世界平和を願う善意による夢であった。

なお、ナジムは第二夫人との初夜を失敗した際に睾丸の片方を失っている。

9名無しの囚人:2025/02/15(土) 16:19:45 ID:a7ylqJ1I0
【名前】イザベル=C=ホシカゲ
【性別】女
【年齢】19
【罪状】傷害致死罪、公共物損壊罪(いずれも過剰防衛による)
【刑期】5年
【服役】1ヶ月
【外見】身長172cm、体重70kg
 アングロサクソン系と日系のハーフ。長い黒髪は手入れが行き届いておらず、ややパサついている。
 整った顔立ちであるが、主として寝不足による不摂生で目には深いクマが刻まれており、元の良さを台無しにしている。
 (1ヶ月の規則正しい刑務所暮らしで多少はマシになっている)
 ネイティブ世代としては珍しい強度の近眼であり、瓶底のようなメガネが欠かせない。

【性格】
 夢見がちなオタク女子。
 特に宇宙にまつわるSFを好んでおり、古典的かつハードなものから、
娯楽映画やアニメのようなポップカルチャーまで、その守備範囲は広い。
 自身の有する超力も、ゆくゆくは父の進める宇宙開発事業の役に立てることができれば、などと考えていた。


【超力】未知なる隣人たち(Side to Side of Encounters)
 変身型の超力。
 地球上の生命体と起源を共有”していない”、SF創作上の生物に変身することができる。
 変身条件は以下の通り。

 ・地球の生命体を起源としていないこと。異星人であっても、地球の生物と共通した起源を持つものはダメ。
 ・いわゆるサイエンスフィクションに分類される作品に登場した生物であること。
  地球と全く違う異世界を舞台にした作品でも、そのジャンルがファンタジーではダメ。
  この分類は、イザベルの認識に依存する曖昧なものである。
 ・地球由来の生命が存在しないSF作品であっても、地球の生物と酷似した生物はダメ。
  たとえばスターウォーズに”地球人”は存在しないが、アナキンには変身できない。ヨーダ爺にならなれる。
 
 エネルギー消費の大きい生物に変身した場合、解除後に体力を消耗する。
 また、急激なエネルギーの消費によって変身が強制的に解除されることもある。
 彼女が逮捕・収監される原因となった後述の『架空の素粒子による荷電粒子砲撃』を行った際は
 たった一射で変身が解除され、丸一日の間昏倒することとなった。
 ネイティブとして強化された生命力を有するにもかかわらず、である。


【詳細】
 イザベル=クラウディウス=ホシカゲ。
 開闢の日以降の世界的な治安の悪化にもかかわらず、
アメリカ西海岸の地方都市で平穏に生まれ育つことのできた彼女は幸運だった。
 父親は人類に芽生えた『超力』にいち早く目を付け、宇宙開発技術で起業。順調に事業を成長させていた。
 彼女がそのような父親の姿に憧れて、宇宙にまつわるサイエンス・フィクション作品に傾倒するのは自然な流れであった。
 そうして宇宙に対する憧れを心に抱きながら、いずれは自身も宇宙に旅立つことができればと考えていた。

 地元の大学に通っていた彼女はある日、強盗の襲撃を受けた。
 信号待ちの間に、銃や超力を構えた一団に取り囲まれたのである。
 荒事に慣れていない彼女は、慌てふためき、とっさに思いついた中で最も強力な生命体に変身した。
『Extraterrestrial Livingmetal Shapeshifter』(地球外変異性金属体)、通称・ELS(※1)である。

ELSとなった彼女はさらに作中で登場する人型ロボット兵器に擬態、
『架空の素粒子による荷電粒子砲撃』で強盗の一団を蒸発させるが、
直後に激しいエネルギー消耗で自身も昏倒、そのまま逮捕されている。
「結局人型ロボット兵器なんて、こんなありきたりなモノに頼るなんて」と、昏倒する直前に彼女は語っている。

なお、善良な市民が自衛のために加減できずに超力を振るって襲撃者を殺害し、結果として過剰防衛となるのは、
開闢の日以降では”よくあること”であり、執行猶予などの措置がとられることも多い。
しかし彼女はその能力の特異な拡張性が当局の目を惹き、”刑務作業”目的でアビスに送られる羽目となった。

(※1 劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- に登場)

10名無しの囚人:2025/02/16(日) 22:01:12 ID:aT2.9VHE0
今の所はマーダースタンスが半分くらいだろうか

11名無しの囚人:2025/02/16(日) 22:36:31 ID:ALN38QUI0
思ったより対主催っぽいキャラや訳ありの善人が多い印象はある

12名無しの囚人:2025/02/23(日) 10:10:27 ID:mSOvqwrk0
スタンスまとめ

【対主催】
<刑務拒否・反抗>
宮本麻衣
只野仁成
エンダ・Y・カクレヤマ

<真相究明>
ジョニー・ハイドアウト
ルメス=ヘインウェラード
イグナシオ・"デザーストレ"・フレスノ
北鈴 安里

<他者救済>
葉月りんか

<危険対主催>
トビ・トンプソン

<方針未定>
ジャンヌ・ストラスブール


【マーダー】
<生存優先>
ルーサー・キング

<恩赦狙い>
エネリット・サンス・ハルトナ
ディビット・マルティーニ
ドン・エルグランド
バルタザール・デリージュ
鑑日月
ジェイ・ハリック
エルビス・エルブランデス
氷月蓮
スプリング・ローズ

<闘争優先>
無銘
大金卸樹魂
征十郎・H・クラーク

<無差別>
ギャル・ギュネス・ギョローレン
ジルドレイ・モントランシー
ルクレツィア・ファルネーゼ
内藤四葉
本条清彦
フレゼア・フランベルジェ
銀鈴


【危険人物】
<生存優先>
舞古沙姫
アルヴド・グーラボーン
ヤミナ・ハイド
呼延光

<扇動・暗躍>
恵波流都

<自己目的優先>
ネイ・ローマン
夜上神一郎
ドミニカ・マリノフスキ

<刑務協力者>
ハヤト=ミナセ


【その他】
<保身・自衛>
交尾 紗奈
ジェーン・マッドハッター
セレナ・ラグルス

<捜索・調査>
氷藤叶苗
メリリン・"メカーニカ"・ミリアン

<帰還>
アイ

<方針未定>
ソフィア・チェリー・ブロッサム
メアリー・エバンス

13名無しの囚人:2025/03/11(火) 20:34:10 ID:TWeobN2Q0
【ブラックペンタゴン入り】
脱獄王&四葉

【ブラックペンタゴン目指してる】
ジャンヌ、メカーニカ&マッドハッター、エンダ&仁成&ヤミナ、ソフィア&ルクレツィア

【ブラックペンタゴンから出発】
エルビス

14名無しの囚人:2025/03/12(水) 00:21:14 ID:lyH7a9.c0
実は知り合いだった系の人間関係が増えてきたからその辺も整理したいね

15名無しの囚人:2025/03/19(水) 20:39:11 ID:0xC/i4hA0
本編中で「ネイティブ世代はエネルギーの消耗が激しい」的な言及があってふと気になったので年齢まとめ

92:ルーサー・キング

65:ドン・エルグランド

53:バルタザール・デリージュ

48:アルヴド・グーラボーン、恵波 流都
45:大金卸 樹魂
41:ディビット・マルティーニ

39:氷月 蓮
38:ジェイ・ハリック
37:征十郎・H・クラーク
35:ジョニー・ハイドアウト
34:呼延 光
32:夜上 神一郎
30:無銘

29:メリリン・"メカーニカ"・ミリアン
27:アンナ・アメリナ
26:イグナシオ・"デザーストレ"・フレスノ
25:ジルドレイ・モントランシー、只野 仁成
23:ヤミナ・ハイド
22:フレゼア・フランベルジェ、舞古 沙姫
21:ソフィア・チェリー・ブロッサム、トビ・トンプソン

20:並木 旅人(最後のオールド)

〜〜〜ここから下がネイティブ世代〜〜〜

20:銀鈴(始まりのネイティブ)、エルビス・エルブランデス(恐らくネイティブ?)

19:ジャンヌ・ストラスブール、ネイ・ローマン、ハヤト=ミナセ、北鈴 安理、ルクレツィア・ファルネーゼ
18:ドミニカ・マリノフスキ、内藤 四葉、氷藤 叶苗、宮本 麻衣
17:エネリット・サンス・ハルトナ、鑑 日月、羽間 美火、ルメス=ヘインヴェラート
16:ジェーン・マッドハッター
11:エンダ・Y・カクレヤマ
13:スプリング・ローズ、セレナ・ラグルス
10:交尾 紗奈

6:アイ、メアリー・エバンス

不明:ギャル・ギュネス・ギョローレン(最低でも10年以上の活動)、本条 清彦(複数の人格)

16名無しの囚人:2025/03/19(水) 20:45:15 ID:0xC/i4hA0
>>15
11と13前後間違えてたすまん

17名無しの囚人:2025/03/20(木) 21:26:01 ID:yNSpyA4M0
>>15
まとめ乙です
フレゼアとジルドレイ、お前らジャンヌより年上だったのか……

18名無しの囚人:2025/03/21(金) 07:26:59 ID:8IuEIa220
>>15
15:葉月りんか

りんか抜けてた…すまん

19名無しの囚人:2025/03/26(水) 13:54:56 ID:UlBeLqg20
子供がいそうな刑務者

牧師:アメリカ時代に何人か居そう。でも認知してないし知っていても何とも思わない
ドン:一緒に海賊やっていそう。海賊団壊滅した時に死んでそう
征十郎:シェーンみたいな感じで立ち寄った先で暴力沙汰解決して土地の女性と懇ろになって…という流れで居そう。でも当人は存在を知らない
エルビス&ネイ:居たとしても妊娠中で未だ知らされて無さそう

でも一番居そうなのはジャンヌさんですね(溢れるクズ市民感)

20名無しの囚人:2025/03/26(水) 19:26:53 ID:tzxonENw0
ディビットは愛人くらいならまぁ何人かいそう
ジェイはなんか童貞であってほしい

21名無しの囚人:2025/03/27(木) 01:00:37 ID:xPUthsZQ0
アルヴドももしかしたら子供いたかもしれないが、仮にいたとしたらテロリストになる動機だよなあ
絶対に刑務所に入る前に死んでるパターン

22名無しの囚人:2025/03/27(木) 01:34:22 ID:xPUthsZQ0
最新話まで書くにはペースが速すぎる、ちょっとずつ

0.OP.ドブ底の金貨
new AのAはAbyssのA。きっといい未来が待ってるよ、で〆た未来を覗いたところ、これだよ!
治安最悪の巨大監獄を出されて、珠ちゃんきっと泣いとるわ。
ヤマオリの名前がおかしな広まり方して村長たちも草葉の陰で泣いとるわ。
たぶん1000年くらい後の未来でガキがうんこの話をできてたことこそが、この世界の希望。字面ひどいが。

Z計画→開闢の日とか、異能→ネオスとか、Zの最終回を知ってればにやりとする単語がいっぱい出てくるなあ。
アメリカの超人計画とかステイツらしくて妙に印象に残っているので、あ〜この設定がここに生きてるんだとか思ったり。
なんなら中国は地下都市、オセアニアなんかは海洋基地とか作ってたりしたわけで、そのどこかにアビスがあるんですかね?
Zと続きものなのだから、監獄舞台だから出ないだけでネオス持ったクジラとかヒグマとかゴリラいるんだろうな。

オリガの第一印象、すっげーエッッラッッそーーーーって感じ。
この男、いちいち一言嫌味付け足してきそう。
こんなやつの言う恩赦・救済・慈悲だのという言葉ほど信用できないものはない、と言っていいんじゃないですかね?
悪の主催者ではないのに、主催陣営らしい厭味ったらしさが出ていていいと思います。

24時間で終了ルールが他と比べると緩めな一方で、管理者のオリガが思考まで覗けるのがやばすぎる。
転移のネオス自体も極めて強力、これ反乱とか脱出ルートは本当に可能なんです?
対主催が機能しなさそうな舞台の最底辺の殺し合いということで、楽しみにしてます。

1.TERMINATED
対主催同士の出会い、っぽく見えるけど、ところどころの描写が何かと物騒。さすがはアビス。
麻衣は刑期も長くはないし逃げ回るだけでもいけそうな立ち位置なのだが、このスタンス自体が少数派なんですよね。
無銘も麻衣も経歴が物騒なんだけど、これで受刑者の中では穏当な上澄みなのだから狂っている舞台よ。
麻衣の眷属たちはキャラシを見る限りは相当強いイメージがあるけれども、
この強さと数の暴力で無銘に敗れる可能性が浮かぶ時点で、無銘は相当のものなんだなあ。
今となってはだいぶ状況も動いたけれど、一通り出そろったあたりで無銘のまわりは光やら樹魂やらバルタザールやらのフィジカル強者が大量にいたので、
割とすぐに満足するバトルができそうねとは予想してましたね。

2.少女の祈り
ルーサー・キング、最高ですね。期待していた『悪』ですよ。
ジャンヌとルーサーの関係はムショ入りする前から一貫して、
君臨する者と挑戦する者、見下ろす者と見下ろされる者、支配する者と抗う者の関係だと一目で分かる関係性がいい。

どっしりと腰を据えて構えていて、相手の悲喜こもごもなんて一切意に介さないふてぶてしさ、
その場から一切動かずに挑戦者の猛攻を軽々と払いのける余裕、若者を諭すような風格すらあって、
看守長がオリガなら囚人のトップはこの男だろうと思えるほどの貫禄が出てた。

私物の葉巻というアイテム一つ加えるだけで、この男の強大な社会的影響力と高い戦闘力を説得力あるものにするのもとてもよい。
入手ルートについても、ここ、そこら辺の刑務所じゃなくてアビスですからね。
普通の刑務所でも嗜好品の横流しなんて相当な影響力が必要だろうに、各国政府にすら知られていない地の果てにまで及ぶ社会的影響力ってどんなものだよ、と。
喫煙なんて命の取り合いと比べれば些事なのに、このためだけに片手を封じる、封じられるだけの実力があるという描写。
そしてその葉巻を握りつぶす行為。
彼の格を一切落とさずに本気度が一段上がった――だがまだ底は見せていないのだということが分かって、とても粋な描写だと思う。

ジャンヌもまた、ルーサーに片手であしらわれているけれど、一切折れることがない。
仮に観客が取り巻きがいたらバカの一つ覚えみたいな突撃と揶揄しそうなスタイルだけど、これは、彼女の決して折れない生き様の象徴と解釈できるなあ。
殺し合いなのだから、突撃せずに頭を使って出し抜く手もあるんだろうけど、
そんな小細工はせずに出力をさらに上げて挑み続けるその潔さ。
彼女の一途な生き様が途中でその燃え尽きることなく、ルーサーの位置にまでたどり着けるのだと示唆しているのがとても美しいですよね。

23名無しの囚人:2025/03/27(木) 01:37:01 ID:xPUthsZQ0
3.アビスの契約
企画主さん恒例のチュートリアル回。
VRとかZはチュートリアルキャラがいたので分かりやすかったのだけれど、今回は誰が来るんだろうと予約の前から気になっていた。
エネリットもディビットもなかなかトリッキーなネオスの持ち主なので、これをどう王道につなげてくるのか、と思ったのだけれども。
拳正、ロレちゃん、圭ちゃんあたりと比べるとカロリーがだいぶ高い話だ、とも思った。

この作品は終始、受刑者たちが、本質を隠しながら互いに見せ札を切り合うヒリつくような緊張感が流れていると思う。
最初の握手でそのまま同盟を組んで終われるところを、さらにもう一歩踏み込み、エネリットの真意を引き出す暴力を伴った交渉術に持ちかける展開。
駆け引きがここでもう一段階転換することによって、
ディビットが金庫番として培った用心深さとマフィアの世界で磨かれたその価値観、そしてエネリットが声をかけるに値すると判断した『見どころ』がしっかり掘り下げられてるなあ、感じた。
ついでに、一つ前の話のキング評に違わないのもあって、彼の株も間接的に上がったと思う。タバコの件の軋轢も含めて。

そんな彼に命を握られるところまで行きながら、一度も目に見える動揺を出さずに交渉を進めていくエネリット。
アビス育ちと言われてるだけあって、彼にとってはこの程度は日常なんだろうな、と察せる。
彼の言葉はウソではないが全部を包み隠さず話しているわけではない、というまさに食わせ物ながら、
刑務官と確かな信頼性を築いているあたりに秩序側の一面も見え隠れする二面性ぶり。
彼もまたアビスの住人に相応しいなあ、と感じた。

脅しも暴力も人を殺害することさえも、目的を達成するための一手でしかない。
そして欲望のために命を踏みにじることに一抹の罪悪感すら抱かない無法ぶりがスタンダード。
弱肉強食を極限まで突き詰めた、騙しも裏切りも蹂躙もどんとこいな世界観がよく伝わってきた。
看守のネオス設定をこう使うのか〜、みたいなところも提示されているのもまたいいですね。

4.彼女はキラー・クイーン
戦犯ちゃんいきなり逝ったあ!
彼女に限ったことではないけど、集団戦前提とか武器持ち前提のネオスは最初の1キルがきついですねえ。
ネオス割れてて因縁持ちで開幕遭遇となれば、そりゃあもうどうしようもありませんわな。

回想で十分に強さを見せており、死に際までずっとふてぶてしいので弱キャラという印象はまったくない。
アンナの投入された戦線では負けなしだろうと思える凄みがある。
命乞いにすらある種の上から目線が見えるの、すごく好き。
むしろギャルはどうやってアンナ一味から逃げ切れたのか不思議なくらいで、あの状況、相当ピンチでしたよね?
オリロワAの主目的の一つ、戦争のシミュレーションもこの回想を見れば、そりゃあ各国指導者は震え上がるよな、と納得ですねえ。

アンナのアジテーションに応える民兵諸君、声に出して読みたくなるようなテンポのよさでいいですね。
最初の二回の:2、2、5と7、5のテンポ、『である』でスパッと区切ってくるのが声に出してみて、異様に気持ちいい。
このアジテーションでアンナ=豚も強烈に印象付けられますねえ。
ルクレツィアの出る話も結構豚が多いのだが、今のところはアンナが優勢か。
この後もアンナが何回か出番あるのだが、突き抜けたキャラ立ちにキャッチーな単語が使えるという二点で、使いやすいんだろうなあ。

ギャルもまたアンナに負けない強烈なキャラクターだと思う。
紛れもない悪人なんだけど、めちゃくちゃフレンドリーに話しかけてくるのもあって全然憎めない。
使い捨ての小物まできちんとデコってるあたりに並々ならぬこだわりが見えて好き。

他から見えないところにまで徹底したギャルスタイルを貫き通す独自美学らしきものと、
底が見えない……というか底がどこにあるのか掴ませない立ち振る舞いと、これも一つの大物犯罪者のカタチというイメージ。
理想も正義も根底すらもない、と語られているけど、本当に何もなければジョーカーも特に考えずに受けると思うので、
敢えて持たない、みたいな何らかの軸はありそうに見える。
あるいは女の子は秘密を着飾ってなんとやらというやつなのかもしれないが。
あとギャル語、確かにギャル語だなあ、と思うのだけれど、みんなこういうのはどこからインプットするのだろう、と思ったりはする。

タイトルがあまりに某漫画の横に立ってるヤツすぎて笑っちゃった。そうですよねキラークイーンですよね。

24名無しの囚人:2025/03/27(木) 01:38:21 ID:xPUthsZQ0
5.1536℃
最初、このタイトルが何か分からなくて調べたら、なるほど鉄の融点。
アイアンとホトコルのぶつかり合いと、そこからの変遷、ということなのかな。

ネイのネオスは殺意やストレスが高まると出力が上がる、キャラシに書かれている通りなんだけれど、
『ストレスの源泉となりうるものは自分の不甲斐なさも当てはまる』という補助線を一本入れるだけで、
一気に主人公ポジションも狙える気持ちのいいキャラになったなあ、と思う。
限界にぶち当たったことを認めたときに、限界を超える強力な一撃を放てるキャラは作劇上おいしいポジションにいますものね。

ネイがキングの命を狙うのはそりゃそーだろうなと思うんだけれど、
キング以外にもルクレツィアやミナト、ローズみたいに狙うべき敵、狙ってくる相手や宿敵なんかがいて、いろんなキャラとの絡みが期待できそう。

樹魂、いろんな二面性を持った面白いキャラだな、と思う。
見た目は言わずもがな、バトルスタイルも『暴』の極致でありながら、乙女の繊細さや鋭い洞察力も兼ね備えていて、ただのパワーキャラには分類できない。
アビスの住人らしく欲望に忠実だけど、アビスの住人にしては漢女自身は素直で純粋すぎる、というのも憎めないポイントだと思う。
強くなかったら悪いヤツに食われてたんだろうな、というのも想像に難くない。

ゴリラ野郎と男扱いだったのに、認め合ったあとはちゃんと漢女として扱っているのが好き。
ゴリラ呼ばわりに傷付いた樹魂にバツが悪そうに返してるの好き。
樹魂に浮気性を指摘されたとき、さらりと相手を傷つけないような返しをできてるのが好き。
ネイは善人じゃないけど、ちゃんと筋通せる面倒見のいい兄貴分、みたいなの根底が垣間見えて好き。

6.ツインスター・サイクロン・ランナウェイ
ドンの生き生きとした戦闘美学がいいですね。
一度書かせてもらいましたが、まあこのキャラ書きやすい書きやすい。
本人がまず強くて、必ず偶然が絡むバトルスタイルを明示されていて、
欲望に妥協しなくて、けれどもその欲望の向かう先もいっぱいあるのでどんな方向にも転がせる、そんなキャラ付けがとにかく動かしやすかったです。
ネオスはバクチ要素が大きいけれど、幸運も不運も全部ひっくるめて全部己の利にしようとする果てのない強欲さが実に海賊。
駆け引きはするし卑怯も卑劣もなんでもアリ、なバトルだけれど、不思議とバトルが気持ちよくていいキャラだと思います。

ジョニーはキャラシからして、裏の世界の何でも屋っていうオールマイティな立ち位置。
ギャグもできる、カッコいい活躍もできる、リアクション役もニヒルなキメ顔もなんでもござれな、読者視点でも何でも屋。
そんなだけに、どんな立ち位置でくるかは気になってました。何でも屋のベテラン仕事人方面できたかー。
本人のハードボイルド感に、ルビ読み満載のちょっと気取った地の文がいい感じに噛み合ってて、渋カッコいいです。
そしてルメスはアビスに似つかわしくない青い善意の塊、ある意味青くて若いだけに、酸いも甘いも嚙み分けたジョニーと噛み合うな、と。

すごく漫画の『一話』って感じで、ドンの後まで出てくる悪役感とジョニーの主人公感、ルメスのヒロイン感がすごいんですよね。
主人公、ヒロイン、悪役に、現実主義と理想主義の邂逅、だいたい一話の王道。
ルメスの掴んだ秘密とかジョニー収監のきっかけの大物とか、意味深な単語がたくさんあって、どうつながっていくんだろう、となりますね。

25名無しの囚人:2025/03/27(木) 01:39:24 ID:xPUthsZQ0
7.真・地獄新生 PRISON JOURNEY
後の話で分岐したけど、この時点だとエンダがすごくあの子っぽく見える。
ネオスの名前もそうだし、闇の中から聞こえるくすくす笑いとか、隠山とか、白い髪とか、言い回しも含めて見た気がする。
タイトルとラストのセリフからして『女神』『転生』のパロディだものね。

旅人はヤマオリの否定者で教祖で秘匿受刑囚っぽい危険度なので因縁ありそうな感じはするが、
欧州のジャンヌと話す機会があったり、ギャルやルーサーのこと知ってたりと、軟禁された飾り御子というには彼女だいぶ耳聡いな。
というか日本のヤマオリカルトに攫われたと思ってたんだけど、もしかしなくても彼女を攫ったカルトは欧州にあるんだろうな。
でないと上記三人とそこまで関わり持たないもんね。

人間と呼ぶにはだいぶ怪しいエンダと組むのは、どこまでも人間である仁成という対比。
というか後の話で本当に人間じゃないことが確定したので、これもまた王道コンビという印象。
エンダはあまりに擦れ過ぎてるが、このコンビはどこかVRの正義とロレちゃんの組を思い出す。

今回の企画上、超レアな脱出系対主催。
状態表を見るオリガのネオスを食い破るのは相当難儀そうだけど、どう動くんだろう? 状態表をのり弁にでもするのだろうか?
そして公務やってるだけなのにこの子に目を付けられるケンザキ係官、素がずぼら配信者っぽいので割とかわいそうですよね。


8.巡礼者と殺人者
> このままでは殺されてしまう。何よりルクレツィアは死刑判決を受けた身だ。
> 戦闘が不得手な死刑囚のルクレツィアは、得られる点数が最大で、殺す際のリスクとコストが少ない。
> 絵に描いたようなローリスク・ローコスト・ハイリターン。ルクレツィアを狙わない者など、此処には居ないのでは無いだろうか。
あまりにもこの辺の行が白々しすぎてにっこりしてしまう。
ここの小節、意図的にツッコみどころを凝縮していると思うのだけれど、それにしてもルクレツィアが暴れるたびに永遠におもちゃになるのが好き。
紗奈あたりに言ったら、『は?』の一言で返されそうである。

ルクレツィアを描写するナレーションさん、最初のあたりはずっと、彼女は殺し合い強くないですと必死に訴えてくるんですよね。
胡散臭さしかないんだけど、実際に戦い出したらやっぱりテキトーぶっこいてやがったよ!ってなる。
絶対にルクレツィアに買収されて偏向記載してるでしょ。
ジルドレイもなんか印象的に取るに足らない小物のように書いてるけど、やっぱり偏向ナレーションじゃないか!
ともあれ、二人とも最初の印象ともう一段階掘り下げたところの印象が変わってきていて、ここのギャップでインパクトを一段階深めているのかな、と。

ジルドレイは分かりやすくトンでる精神性だけれども、ルクレツィアも精神性はだいぶ逸脱してますね。
ジャンヌに組み打ちなど死にに行くようなものだとありながらさっさと殺せばいいやで片付けられるのはなんなんだよ、なのだが、
ナレーションの信用できなさとルクレツィアの暴れっぷりで実際にできそうに見えるのがまた恐ろしい。
そしてこれだけ大暴れしてジルドレイに余裕そうに対処しておきながら敗けてるの、お前本当になんなんだよ感がものすごいw

ルクレツィアのやりたい放題ぶりをいったん脇に置くと、
ジルドレイは最初こそ発狂してるだけの小物に見えたのだが、ここが効果的に作用してルクレツィアが敗れるシーンが際立ってくる。
ルクレツィア視点で読んでたからこそ、読者も同様に彼の狂気の度合いや理解を見誤り、ルクレツィアの敗北という形でその答えを突き付けてくるように感じられる。
まあタイトルで答え書いてあるんですが、だからこのタイトルなのかと腑に落ちました。
ジャンヌになりたいのだったら、模倣者と殺人者になりますもんね。

時速300kmの散弾、今の人類はなんとかなるんだ……と分かったのは割と衝撃的だった。

26名無しの囚人:2025/03/27(木) 01:45:28 ID:xPUthsZQ0
9.このまま歩き続けてる
ああ、オープニング!
ソフィアが改名して特殊部隊に所属するまでの流れは、村焼き系オープニングって感じですね。
ここからもう一回村焼かれるのか。
キャラシを見ると何回も拠り所を焼かれてる、そりゃ燃え尽きる。
ヴァルケンライト家で虐殺繰り広げた犯罪者も相当だけれど、このソフィアを堕とした政治家も相当で、この世界ほんと大丈夫なのか?
この悲壮な決意を見せたソフィアを堕としてしまえる悪性、控えめにいってカス以下の以下だと思うんですわ。

ソフィアに喝を入れた流都は完全に愉快犯だけれど、ソフィア個人で見れば少し救われたんだろうか、と思ったり。
犯罪者とか政治家が流都の関係者だったらさすがに天を仰ぐしかないのだが、まあ服役期間からしてそこまで救いのないことはなさそうか。
流都が綺麗に終わった以上、この辺は野暮よね。

流都のやってること、主催乗っ取る系の対主催。
死亡話まで読むと、出会った人がみんな前向きになるという結果に終わったのだが、この時点だと色々とタチが悪すぎる。
言ってることがとても正論っぽく見えるのがまたタチが悪い。

ただ、後のほうで書かれた背景まで鑑みると、お前本当にその言葉ウソだったのか?
実は本当にソフィアを買ってたんじゃないのか? みたいな読み方もできますよね。
というか昔はこういうことを素で言えてたんだろうな……。
後の二話を読んだ後にここを読み返すと、流都の言葉が全部自分に帰ってくるのが芸術点が高いと思います。

10.ウスユキソウ(薄幸想)
薄雪草もユキヒョウも見たことはないので画像を見たのだが、もふっとしてるのなあ。思ったよりも白毛っぽくてふわふわそうだった。
お約束の花言葉を見ると、大切な思い出とか高潔な勇気とか出てくる。
アビスに潜り込んだのが勇気なのか蛮勇なのかはさておき、なんとなく叶苗と通じるところもある気がするが、
それよりも漢字ルビ側のほうがこれからの叶苗って感じで趣深い。

共感性と責任感が人一倍強くて、悪の巣窟で出会った他人に他人にずぶずぶ入れ込んでいく叶苗、根が善良なのは分かるがあまりに危うい。
アイママと叶苗ママの守り守られの関係が、薄氷の上に成り立ってるようなヒヤヒヤ感ありますよね。
ポジションとしては復讐者だが、彼女、動機に義務感が入ってない?
実際に本人にも思うところはあるのだろうが、殺された家族に共感して、彼らを鎮めるために復讐してる面がありそうなんだよなあ。
たぶん麻衣と違って、個人的な復讐には向いてないよ……。


叶苗の一人称思考がすごく生きた人間らしくて、このキャラがここで生きてるんだな、と感じられる。
改行と空白多くて接続詞や単語で止めてぶつ切りになってたり、
迷ったり先延ばしたりしたりあっちゃこっちゃに飛んでいく思考の傾向、結論がどこに落ち着くのか自分でも分かってなさそうなふわっとしてる部分、
すごく生きている人間の心の声って感じがする。
うちらがモノ考えてるときだいたいこんなもんだもんな。

叶苗視点から見たらワケ分からんアイの行動の数々、幼児ですねえ。
ニョロニョロで身体ぶん投げられるの、子供あやそうとする親と本気で嫌がる子の構図ですわ。
首輪外しちゃダメだよを伝えるのは苦労が偲ばれる。
デジタルウォッチはケンザキ係官ががんばったパターンなんやろなあ。

ゴリラの生態って全然知らないので、へえー、と思いながら読んでた。
最近の僕のゴリラの知識なんて、ゴリラは怒ってなどいない! をアップデートした程度やしな……。


ーここまで

27名無しの囚人:2025/04/02(水) 22:11:28 ID:Uq4AwxFs0
ー続き

11.剣が無ければ枝を振るえばいいじゃない
オリロワZを読んでると、八柳新陰流の印象が悪すぎるんですよね……。
アビスに生息する、あのジジイの関係者とか大丈夫かよ? 今度は囚人鏖殺かァ? とかいう色眼鏡がどうしても入ってしまう。
八柳新陰流には哉太という光の剣士もいたのだが、なにぶん征十郎は若き日の藤次郎くささがあってなあ。
棒振ることにギラギラしてる感じが完全に死合の人だ。

八柳新陰流の懐かしい技が色々出てくるね。
超人と化した現代人なら『ゴリ八艘』もできるんだろうな……。
八柳新陰流といえばこれ!な『這い狼』さんと『天雷』さん乙乙、『雀打ち』は実際に使われたのは初めてだっけ?
八柳新陰流ってあの爺が開祖だったはずだし、山折村滅びたしでマイナーな剣術だと思うんだけれど、これを一発で見抜くあたりに沙姫のマニアぶりが見えますね。

征十郎が強いのは当然だろうけど、そこに食らいつく沙姫も実力高いよなあ。
一流派を極めた征十郎と色んな流派をかじった沙姫、
征十郎が枝を使って八柳新陰流の技で果敢に攻めるのに対して、沙姫はひらひら舞いながら一刀、二刀、手刀と色々変えてくる対比が面白い。
征十郎のネオスは開示タイミングが重要なテクニカルさがあるけれど、
さらっと手刀でネオス使えるよと開示されたことで、ハイリスクハイリターンの手札が一枚増えて、駆け引きと札の切り時が面白いキャラになったね。

別に笑うところでもないのだが、いい感じの木の枝という単語が個人的にウケてしまったんだよな。
でもこいつらの武器いい感じの木の枝なんですよね? 葉っぱがふぁさっと付いてるんですよね? みたいな調子で。
実際は葉っぱ落とした丸太のようなごんぶと枝なんでしょうけど、それはそれでごんぶと二刀流の絵面面白いので。
征十郎のネオス、斬撃保証判定があるおかげで枝を拾いまくって斬撃ちまくるのがある種の解なんだろうけど、
リュックに枝詰め込んで歩く征十郎は柴刈りから帰ってきた人っぽくてちょっと笑ってしまいそうだ。

12.あなたの枷はどんな形?
章の区切り文字が『§』になってるの、枷マークがあるのかと思っていた。
セクションマークっていうのね、節分けでちゃんと従来の使い方なのね、見た目鎖マークだわ。

紗奈のネオス、すごいピーキーな効力してますね。
死神と呼ばれるに足る強力なネオスなのに、紗奈に下卑た欲望を向けずに、一直線に命を奪いに来る相手には通じない、というのが絶妙にいやらしいバランス。
何起きてるか相手に分からん初見殺し、効かなければ拘束デバフで一転大ピンチのハイリスクハイリターンの超一発芸。
気になる相手のピンチに勇気を奮い立たせて繰り出した必殺技、まったく通用しなくて急転降下、顔を青くして取り乱す様から取れる栄養素がある。
一発逆転枠にも、踏みにじられる一般人枠にも、どっちにも転がせられる、多彩な領域に手が届くキャラだなあと思う。

りんかの善性、とても安心できる。太陽みたいに光と暖かみに溢れている。
叶苗と同じく守られるべき子供を守るポジションについているというのに、やっぱ復讐者と救済者の違いなのか。
少し恥ずかしがりながら役を演じているような口調が初々しくてとてもかわいいのだ。
紗奈は刺々しくてすれていて、バルタザールは無口、放っておくと地面にめり込んでいきそうな重い空気の中、一手にニギヤカ引き受けて、空気を軽くしてくれている。
タイトルの『枷』を考えるならば、その誰に対しても発揮される善性こそが枷だと思うのだが、むしろ彼女をより高みに上り詰めさせてくれるものに思えるなあ。
それと不思議なことに、りんかの行動に共感性羞恥が生まれないな……。
高潔な善性と使命感、折れない心を最初にバチっと定義してくれていたからだろうか、ただただ応援したくなるキャラ。

> この能力が発動している間は姉そっくりの姿となる。
> バルタザールの鉄球ほどに大きい乳房を除き、りんかの全身はぐるぐるに巻き上げられてギチギチと締め上げられる。
……姉の自前か?w

少女たちの触れ合いの場に空気読まずに出てくるバルタザール、悪気がなさそうなあたりも含めて百合に挟まる男。
そして彼、根っこから悪いヤツではないな……? みたいなイメージを持ってしまう。
見た目もネオスもネオス名も、すべてがたいそう不気味だけど、彼の随所の行動からは慈しみや思いやりが感じられる気がする。
紗奈に欲情しないところもだけど、最初に不意打ちせずにりんかとコミュニケーション取って、首輪の文字見てから戦いだすあたりが、個人的なポイントが高いのだ。
殺人未遂と強姦未遂で前者が善人に見えるのってバグっぽい認知なのだが、まあでも描写全体を通して根っからの悪党であるという印象は薄いね。

28名無しの囚人:2025/04/02(水) 22:16:37 ID:Uq4AwxFs0
13.神様はいずこに。
門倉くんなんでテロリスト相手に無双できてんだとは思うけど、哉太もテクノクラート新島でテロリスト集団制圧してたな……。
勝子も謎に強かったし、おそらくこの世界の日本人高校生は素で強いのだ。
なのでアルヴドは自然と山折村の一般村人〜中堅村人くらいの強さとなり、銃器調達が必須のネオスなのでこれまた難儀ですね……。
のっけから不利な立場だからこそ思考を諦めずに、神一郎の説諭を最後まで聞けたんじゃないかとすら思っている。
彼はかなり敵を作る言葉遣いをするが、ラストの問答で『うちはうち、外は外』を実践しているあたり、根本は理性的に思えるのだ。

信教や神学には疎いので、無視できない事件起こして神に気付いてもらうという考え方もきっとあるんだな、と思いながら読んでたのだが、
『信仰ない者』の血を捧げて神に訴えるってのは、戦争まっしぐらなやべえ宗教なので現実の宗教をベースに考えて読むのはやめました。
……というか宗教というよりはガチモンのテロリストとかカルト教団の考え方だよな、神のところを政治家や大衆に置き換えると今の日本でも通用するわ。

ただ、この世界本当に女神も魔王もいて、本当に神がご利益与えてくれる可能性があるので、一概に的外れな教義ともいえないのがまたなんとも……。
ドミニカという謎の神の言葉を聞く人間もいますしねえ。
まあ関係ない国の子供ぶっ殺して捧げるのはだいぶ人類の敵なんですが……。

宗教のヤバさは置いておくとしても、崇敬していたからこそ憎らしいという感情は理解できる。
心の大半を占めていたものが失望方向に向いたときの空虚具合、本当に生きる気力がなくなりますからね。
アルヴドの投げやり感と刺々しさ、そういうところがだいぶ出てるなあ、と思ってる。


神一郎はこれまたいい性格してる、だいぶ黒い。
徹底して自分が問いかける側であり、相手を裁く側だと思ってそう。
ちゃんと理性の抑えが効き、独善的ながらも倫理を兼ね備えているので、表層上の付き合いの相手から信頼を勝ち取れそうというのもまた分かる。
過度に信者に寄り添わず、自分の軸を見失わない彼は、その思想を実行に移さなければ神父に向いてる性格なんじゃなかろうか。
まあ実行に移している時点で適正ゼロではあるんですが……。

そして相手の逆鱗に触れるだろうな、と予測してる問答を投げ込むの、火遊びがお好きか?
お前、本当に苦労してアルヴド説得したのを自分で台無しにするつもりなのか……?
アルヴドが純粋で素朴な分、神一郎は
こ、こいつ……! な部分が引き立ちますよね。

29名無しの囚人:2025/04/02(水) 22:18:47 ID:Uq4AwxFs0
14.ジャンクドッグ
"いい男"の定義という「つかみ」でぐいっと読み手を引き込んだ後、話の締めで"いい男"を実演してみせる。これだけでも構成がうまい。
トビは醜男であり、小男であり、醜悪で不潔と、一般的な"いい男"からはかけ離れた容姿だけれど、
その恵まれない容姿描写が対照的に彼の内面の"いい男"さを引き立ててくる。
てか彼の描写、カッコよさしか感じないものな。

――この刑務作業は看守からの挑戦状である。
――どうせヴァイスマンには何もかもバレるのだから、小細工せずに堂々と脱獄を狙えばいい。
――首輪で命を握られているスリルがあるからこそ、ギリギリまで見極めて踏み込むべきアクセルを踏み込んでいく。
この考え方、あまりに気持ちよくて大好き。
やっぱ思考に一本筋を通してるキャラってかっこいいし、巨大な敵に真正面から立ち向かう挑戦者は応援したくなるよ。
ドンやキングとはまた違った世界の最高峰を魅せてくれている。

作中描写ではふてぶてしいとあるが、言い換えれば胆力とも取れるわけで、その意味でこの男の右に出るものはいないのではないだろうか?
窮地に笑うという所作自体、その端的な表れですものね。
永遠の不自由という強力なフレーズと、これを喜ばしいことと感じるまでの説得力。
いろいろ相まってすさまじく印象に残る。

アビス側もトビが脱獄に動く前提で参戦させてる、言われてみればそりゃそうだ。
まあアビス側からしたら、プロ直々のセキュリティホール点検になるしな……。
司法取引持ち掛けてるんだろうなと思うし、絶対断ってるんだろうなとも思う。

四葉、きっと笑顔がかわいくて怖い。かわこわい。
喉が渇いて水を飲むように、殺せばいっかで片付けられるのは大分ぶっとんでる精神性だと思うのだが、それを典型的と評するトビ、ここもまた肝が据わってる。
彼女は話してるとテキトーそうで不安になるけど、常識はちゃんと知っていて、その上で常識を平気で踏み越えてくるキャラクターっぽいなあ。
話が通じるコミュ強狂人って文字だけで見るとどんなヤツだよってなるけど、大体そんな感じですよね。
凶悪な殺人犯なのだが、まったくそのように感じさせない人懐っこさがあって憎めないキャラクターをしている。
どぅ、どぅ、どぅが通じているあたりが本当にわんこ。尻尾振ってそう。そもそもなんで宥められるのだw
しっかり利を説いたトビの手腕と、それを聞き入れられる四葉の対人関係の巧もあるのだろうが、
スリル好き同士、最後は通じ合うものを持って手を組む流れが好き。

トビが脱獄をしたいだけの悪党だというキャラ付けは、最初のキャラシート見た時の印象からは意表を突かれた。
その上で、脱獄こそが至上目的だという点に着目して、最終目的を異ならせることで受刑者同士の結託にスムーズに持っていく手腕は見事だと思いました。

30名無しの囚人:2025/04/02(水) 22:20:57 ID:Uq4AwxFs0
15.すばらしき世界の寄生虫
小市民という概念とショットガン強盗という言葉が合わさってエラーを引き起こす。
そもそも闇バイトする前から搾取しかしていないので小市民になってすらいない気もする。
ヤミナ・ハイドの名前はまあ順当に闇バイトですが、日の光を浴びたら崩れ去るような名前にも見えますね。
彼女のネオスがやたら壮大なのは、ここまでの時点でみんな想像以上に強かったので解釈早めて底上げしている。
山折村なら朝方くらいに出る解釈だった。

どっちも割と後先考えなしでその場のノリで動くドンとヤミナ、たぶん根底の性質は似てる。
ドンはキャラシに部下への言及があったので、掛け合い書きやすそうなのと、ヤミナが恭順も裏切りもどっちもルート取れそうなので絡ませました。
ヤミナはドン相手に100%負けるだろうし、ドンは酒の優先度高そうなので、彼女を殺さずに下っ端に収める方法考えるのはわりかし大変だった。
ゲーム思いついてくれて助かったです。実際やりそうだもんなデスゲーム。

突如生えてきたICNCなる組織。見た目と名前だけはかっこいい団体。
見世物裁判思いついたのは投下直近で10時間会見やってたアレなんですが、治安悪化した世界での見世物裁判はリアリティラインだと思います。
たぶん裁判官はまともだけれど、変なネオスが跋扈するわ各国が介入してくるわで大変ですね。
一国の裁判所なら三権分立守れよだけど、国際裁判所なのがまたややこしくしてくる。
色々課題も歴史も盛ったけど、ぶっちゃけアンナに対してノリよく死刑三連呼をやらせたかったがためだけに生えてきた組織。治安が悪くて好き。
超A級戦犯というどっかのフレーズを言わせたかったがためだけに生えてきた、治安の悪いモブヤジ三連星も好き。

本当はキング相手に年貢の納め時と言い出す傍聴席のモブマフィアを書きたかったんだけど、キングを正面から言い負かせる判決を時間内に書く負担ががが……。
彼はまじめに裁判受けてたと思いますが、裁判所にソファ持ち込んでどっかり座る偽キング概念が湧いてしまう。

16.光と影の、『アイドル』
悪しかいないアビスで、ジャンヌが為す正義とは何なのか?
ジャンヌに突き付けられた至上命題だ。
読む側としてはとても面白いのだけれど、この答えは商業漫画でも根幹となりうるテーマなだけに、
答えを出すのは相当な自信と度胸が必要だよな、と思うのです。

日月がジャンヌに最初にかける言葉、なんか好き。
私様の憧れのアイドルがこんなところでくたばるワケないよな? みたいな期待と挑発とが含まれてる気がする。
後の話で、彼女もジャンヌに心まで灼かれたが、この時点でもなかなか厄介なファンガールですよね。
泥を啜ることをちゃんと受け入れられるあたり、スターの業界知識があって理解あるファンガポジを気取っている気がする。

そして『正義の味方(アイドル)』という解釈は膝を打った。
言われてみればその通りなのだが、アイドルの側から正義の味方への矢印を引いたことはなかったので、あー、と腑に落ちた。
ジャンヌ本人にはその辺の自覚なさそうなの、彼女はその辺天才肌だよなあ。負けたくないよなあ。

没部分の水泥のキャラ大好きです。こういう凝縮した三下キャラは楽しい。
そのゲスっぷりと強力なネオスで二人の引き立て役に適任すぎる。
一人称が俺ちゃんでブヒャヒャと笑うブタっぷりは嫌いじゃない、美少女とみれば即おもちゃ決定なあたりも、なんか景気のいい悪役になってて好き。
なんというか、こいつのセリフは絶対に書いてて楽しかっただろうなと思うのだ。
そしてゲス野郎に欠かせない最期の見せ場はやはり、みっともない命乞いですよね。
命乞いにすらゲスさを隠せていない突き抜けたカスっぷりがいいと思います。
こいつ、ネオスない時代だったら絶対クラスの隅でぶつぶつ言いながら大人しくしてただろうなあ。
彼の精神面を予想するに、二人の引き立て役にされるという末路は本人めちゃくちゃ怒り出しそうだわ。

31名無しの囚人:2025/04/02(水) 22:23:31 ID:Uq4AwxFs0
17.砲煙弾雨
15回くらい読んで見えてきたのだけど、これ家族と孤独を共通点として三人を繋いでいるのか。すごい。
血縁に基づいて確かな家族愛を見せるハリックの一族と、それに気付かずに独り苦しむジェイ。
血縁こそないが、共通の目的と強固な精神で結びついていたはずの飛雲帮と、彼らに裏切られ彼らを自ら葬って孤独となった呼延。
価値観を塗り替える身勝手な生態ではあるものの、確かにそこに愛も祝福も在る群体と、本質的には独りである清彦。
それぞれ異なった家族関係において、三人ともが異なる意味での孤独につきまとわれていて、それぞれに哀れみを感じてしまう。


清彦が書き手枠だけれど、彼を起用したところがまず慧眼だなあ、と思う。
弾丸の1人と呼延で因縁を構築して、さらにほかのキャラとも関係性を構築できる余白を持たせられるのはリレーものの出し方としてうまい。
結構把握が難しそうなキャラだと思ったのだが、実際に動いているのを見ると面白い面白い。
牛の股の間から覗き込めばシリンダーの皆さんが見えるのではないだろうか。牛の獣人の参加者はいないのだが……。

>『それで暗殺者気取りか? 目も当てられない手管だな、恥を知れよ』
個人的にこのロワで一番印象に残っているセリフ。
呼延のジェイへの辛辣な態度があまりに怖い。
自分の職業に置き換えて言われたら過呼吸になる。
> 『速やかに死ね、小蝿野郎』
も辛辣、本人がストイックすぎるのか、小物相手に言葉がきついきつい。

それはそれとして、過去をずっと引きずる疲れた大人ぶりは好みである。
二度目の決着に言葉すら発しないのに、精神的には多大なダメージ受けてるの分かるのほんと好き。
回想始めるのなんてその証拠ですよね。ジェイと同じく、呼延も過去に戻れるなら戻りたいんだろうな……。
そして星宇を失った虚しさが清彦と光の間にある共通した感情なの、天を仰ぎたくなるような感傷に溢れている。

ジェイは言葉遣いも、本条といったん組んで気を見て機を見て裏切ろうとしてるところもかなり三下っぽいんですが、
別に弱いわけじゃないんですよね。ちゃんと急所に当てるし外さないので。
呼延のネオスと相性が悪すぎたというだけなので。
ただ、呼延からすれば鉄を切り裂けないナイフ使いは三流なんだろうな……。
必殺の一撃外した後はかわいそうなくらいにボコボコにされてて、哀愁しかない。
かつては下らないと蔑んでいた予言を芯に生きているジェイだけど、この予言したのって母親か、いるなら姉貴よな?
彼は本当に偉大なことを成し遂げるのか、それともジェイが膝を折らないように、家族として作り上げた優しい予言(ウソ)なのか、どちらだろう? みたいなのはある。

未来視を逆さにして表現するのはすさまじい演出だ。
これは思いつかない、これ一つでこの作品を忘れられないものにするだけのパワーがある。

32名無しの囚人:2025/04/02(水) 22:27:00 ID:Uq4AwxFs0
18.新世界の嬰児
すごい、旅人の結構謎の多いキャラシートの内容をほぼすべて回収している。回収されていないの、システムAのエラーだけだった。
何かと普通を自称する旅人だが、彼の普通は異常者が『これって普通だよな?』と言い出すタイプの普通だと思う。
まさに、異常事態の中で正常を保っていることこそが異常である、の体現だと思うのだ。
そして『普通』の意味がどんどん異常の領域に踏み込んでいる。もうそれは異常なんだよ。
なんとなーく『クレーの絵本』を連想するような使い方されてるなあ。

眠っているだけで被害が広がるメアリー、どこまでいくのたろうか。
どうもOPではほぼ寝てたらしいが、絶対ケンザキ係官がデジタルウォッチをがんばって着けたよね。ヤマオリ記念特別国際保育所概念。
彼女のネオス空間はこの時点でもだいぶ殺意が高い気がするので、
次話で書かれるまでは、さらに攻撃的な現象の発生する領域ってなんだよ? みたいなイメージを持ってはいた。
メアリーは一応罪を犯しているのだが、罪人というよりは被害者側だよね。
悪気もなければ責任も問えない、過失までもいかず、事故のようなもの。それだけに身勝手に彼女を災厄に仕立て上げる旅人はやはりカスである。

> 世界の悪意の多くはこの男から発せられたものだった。
もう黒幕ポジションよ。
ドンやらキングやらは自分が悪だと自覚していると思うのだが、旅人はたぶん自分を悪だと自覚していないな?
『普通』だの『美しい』だの『想いを託す』だの、きれいな言葉を着飾るように使って人間の言葉の表面をマネしているだけに見える、
エンダにヒトではないナニカ呼ばわりされるのも納得の悪の煮凝り。
彼、絶対アンチヤマオリカルトの一つや二つは興してると思うしね。

誰にも認知されずに、殺意すらない偶然の出来事で落命し誰にも知られず死体すら残らない、後の話で首輪の100Pすら消え失せた。
世界から『お前は消えてくれ』と言われているのでは?
超力社会の否定者が世界に否定される構図として考えている。
まあ置き土産が最悪なんですが。

最期の言葉が『コールヘヴン』なのは、そうですよね、僕もそうだろうなと思いました。
これほどまでに最期の言葉に相応しく力強い一言はない。
最期の言葉に絶対あるべきパワーワードだもんよ。

33名無しの囚人:2025/04/02(水) 22:28:14 ID:Uq4AwxFs0
19.魔女狩り
アクションゲームばりのアクロバティック移動、ピュンピュン鳴ってそうで好き。
破壊や殺人にしか使えないというが、その割にはめちゃくちゃ使いこなしてる。
たぶんコントローラで彼女動かすと気持ちいいぞ。

信仰こそが至上であり、法律なぞ知ったことかなドミニカと神一郎、割と似たもの同士なのだろうか。
その上で物を知らないのがドミニカ、物を知ってるのが神一郎というイメージだ。
『聖務』とかいう、一発狂信判定クラスの言葉が飛び出てきたが、ドミニカの実態は柔軟な狂信者って印象だなあ。
多分アルヴドみたいな神に失望した人間には丁寧に寄り添えると思う。アルヴドのほうは嫌いそうだが。
この刑務作業に携わる神の狂信者たち、意外にも間違いを認められる性質で、今のところ狭量さは見えないね。
なおジャンヌの狂信者たちはあれはあかん。

ドミニカ基準だとジャンヌはアウト、だけど世間的にはこちらが普通なんだよなあ。
みんな割とナチュラルにジャンヌを聖女認識してるのでドミニカの認識は逆に新鮮である。
ジャンヌをシロだと見抜ける悪党センサーがすごいのかもしれない。
情報リテラシーの高い犯罪者が多い中、この世界の等身大の平均的な一般人重犯罪者という貴重さが見える。

20.正しく死にたい、正しく死ねない
低テンションと高テンション、ネオスも殺すためのものと生み出すためのもの、確固たる目的を持つ者と持たない者……。
あと女性最年長と未成年みたいな感じで他にもいろいろあるけど、ぱっと見は対照的な二人組に見える。
実はキャラシを見るとダウナーコンビなのだが、あまりメリリンがそう見えないのはやっぱり無理してるよなあ?

殺したいやつがいて、死刑囚の殺し屋に声をかけて、殺しを依頼して。
残業とか徹夜とかでよくある高ストレス高テンションにも見えてくる。
実際、ジェーンの視点では表情は硬いし言葉の裏表を読み取りづらい、
メリリンの視点でも各所で体を震わせたり汗を背筋を伸ばしたりして、日常的な会話をしているわけではないのが伝わってくる。
何か所もそういうところはあるんだけど、どれもさりげないのでパッと読んでたら読み飛ばしてしまうよね。

あちこちに散りばめられた僅かな違和感がはっきりと形を為してくるのがサリヤ殺害の依頼部分であり、
これを念頭に置いて読むとまた違った印象が出てきて二度おいしい。
ときおり言及されているメリリンの光のない目も、いい感じに彼女の内面を彩ってくれる。
わずかな期間で大きくメリリンの印象を覆してくるような一話で、面白いなと思う。

そして清彦の人格がまたうまく活用されていて、彼本当においしいキャラだなあ。
地味に17話が投稿されてから24時間経っていないので、当初のプロットから変わっているのだろうけど、いやでも違和感一切なくうまく書けているなあ、と思いました。


―今回はここまで

34名無しの囚人:2025/04/08(火) 21:32:24 ID:eFPLSpzw0
■恩赦Pの取得状況(65話時点)

アンナ・アメリナ(99pt):ギャル・ギュネス・ギョローレンが取得
並木旅人(100pt):宮本麻衣が取得
羽間美火(100pt):銀鈴が取得
舞古沙姫(100pt):征十郎・H・クラークが取得
ドン・エルグランド(80pt):ヤミナ・ハイドが取得
宮本麻衣(20pt):未使用、メアリー・エバンスが保持
恵波流都(100pt):未使用、D-3の森のどこかに放置
無銘(30pt):本条清彦が取得
フレゼア・フランベルジェ(100pt):未使用、セレナ・ラグルスが保持
アルヴド・グーラボーン(100pt):ギャル・ギュネス・ギョローレンが取得
呼延光(100pt):バルタザール・デリージュが取得
スプリング・ローズ(18pt):本条清彦が取得

35名無しの囚人:2025/04/09(水) 21:34:25 ID:9JWPrrHA0
■最終登場話(65話時点)

【黎明】
42話:メアリー・エバンス
48話:エネリット・サンス・ハルトナ、ディビット・マルティーニ
50話:ネイ・ローマン、ジョニー・ハイドアウト、ルメス=ヘインヴェラート
52話:ジルドレイ・モントランシー、セレナ・ラグルス、ハヤト=ミナセ
53話:葉月 りんか、交尾 紗奈
54話:ドミニカ・マリノフスキ、ジェーン・マッドハッター、メリリン・"メカーニカ"・ミリアン
56話:ソフィア・チェリー・ブロッサム、ルクレツィア・ファルネーゼ
60話:本条 清彦
65話:大金卸 樹魂、イグナシオ・"デザースト"・フレスノ、北鈴 安理

【早朝】
55話:ジャンヌ・ストラスブール
57話:内藤 四葉、エルビス・エルブランデス、トビ・トンプソン、ヤミナ・ハイド、エンダ・Y・カクレヤマ、只野 仁成
58話:バルタザール・デリージュ
61話:征十郎・H・クラーク
62話:鑑 日月、氷藤 叶苗、アイ、氷月 蓮
63話:ルーサー・キング、ギャル・ギュネス・ギョローレン
64話:夜上 神一郎、ジェイ・ハリック、銀鈴

36名無しの囚人:2025/04/09(水) 23:36:52 ID:d08HRypw0
>>34-35
まとめ乙です。黎明のキャラが感覚よりも割と多いですね。

37名無しの囚人:2025/04/10(木) 00:56:53 ID:l4U55wNE0
―続き

21.Rise
オリロワAのキャラクターたちの中で、エルビスほど孤高という言葉が似合うキャラはいないのではないか。
彼は恋に落ちることで一度は孤高を脱して人間になったのなら、恋人から引き離されて独り戦い続けるその在り方はまさに孤高そのもの。

荒廃した世界にたった一輪咲く美しい花に想いを馳せる裏格闘技界のチャンピオン。
『――チャンピオンの復活だ』という力強いモノローグと共に、確かな足取りで刑務会場に入場するエルビスの姿が息を呑むほどにかっこいい。
誰もいない夜の試合会場で、眩しいスポットライトと孤高なチャンピオンを迎え入れる幾多の歓声、そんな栄光の影を見てしまう。
どこにも書かれていないのに、廃墟を栄光の記憶で上書いたようなセピア色の美しい情景が浮かんでくるのだ。
ラストでダリアを敢えて天竺牡丹と表現するのもいいですね。
西遊記の影響か、天竺は最終目的地であり楽園、というイメージがあるので、天竺牡丹=ダリア=欲する幸せな未来の図、とすんなりつながっていく。

>歓喜は無くとも、その静寂が王の生還を歓迎する。
この概念、好き。好き。好き。大好き。
静寂と熱狂を合一して、心地よい涼しさと滾るような熱さとを同時に感じられるような単語選び、大好き。

無口で飾り気のない男が、一途に愛を語る。
こんなに胸が熱くなるシーンはない。
これほど悲劇への導入にふさわしい演出はない。
必ず生き残るという決意に心打たれずにはいられない。
約束を守るという言葉の重みに気圧されずにはいられない。
一人を徹底的に魅力的に掘り下げた登場話。この話大好き。

ずっとエルビスばっかり見てたので、茜がいたことに僕は気付きませんでした。

22.ハイイロノヨル
(たぶん日本)学術会議によると青年は15歳〜40歳らしい、確かに蓮は青年である。
蓮は初登場から現在までおっさんくささが一切見えないんだよな、ボイスも甘そう。
名前のモダンさもあるのかもしれない。

フレゼアが生まれる前から収監されていた蓮が彼女のことを知ってるのは、やっぱ模範囚ネットワークがあるからなのか。
受刑者に取り入って中から殺してやろうと計画を立てる蓮、だがどうせフレゼアに会話なんて通じないので、ここぞとばかりに煽る煽るw
無意識に煽るヤツが一番煽リスト適正高いって何かで読んだ。
フレゼアは話通じないけど反応は人一倍返してくれるので、おちょくりがいはあるんだろうな。
フレゼアの反応が火に油なので命懸けすぎるのはそう。
無感情なぼくの心を溶かす熱いパッション……もしかして、この感情って……愉悦?

正面から相手取るのが厳しすぎる相手は挑発して崩す、定石パターン。
まあ彼は実際には無感情なので、彼女を殺す方法を見てたら、煽りまくって怒らせて隙を作り出せば殺せるかもねって書かれていたんだろうと思ってる。

38名無しの囚人:2025/04/10(木) 01:01:35 ID:l4U55wNE0
23.「災害」
イグナシオも安里も、この時点だと一筋縄ではいかなさそうなキャラクターをしている。
キャラシでうさんくさいと書かれているイグナシオ、いや確かにうさんくさいです。
踏み込んだら即死しそうな領域を再現して、子供相手にバトル楽しんでそうなやつが、冤罪の人間や子供を守りたいってウソじゃろって思ってしまった。
話が進むにつれてそれが本心なのだと分かったけれど、この時点だと戦闘狂で死刑囚である彼と、子供や弱者の庇護者である彼の断絶が深くて、どんなキャラクター性なんだろうと思ってた。
そして『災害の開闢』を読んだ後でもう一度読むと一貫してたなあ、と最初に抱いた印象を撤回するばかり。
子供相手に姿勢を低くして目線を合わせる描写は、子供に真摯に向き合える鉄板描写だと思っているので、それができる彼は誠実な人間だと読み取るべきだった。

スプリングの暴言っぷり、彼女の言動からして治安が悪い。
口も態度もとんでもなく悪いし、凶悪な犯罪者なのもそうなんだけど、
彼女は言動も暴言もストレートで素直なので厭味ったらしさは感じないですね。
安里への暴言が平和ボケのナヨナヨホモジャップなの、まあ、言ってること分からなくもないので……。
イグナシオに抱いた印象が安里と同じなので、僕もスプリングには平和ボケのナヨナヨジャップって言われてしまいそうだわ。
そして個人的ながら、最初の演技から本性を明かした時、変身途中でもう飛び掛かってくるのが迫力があって好きなんですよね。
けんかっ早くてカラッとしてる彼女の性格と、見敵必殺の場数を多数踏んできたこととを、その一手で両方表してるのがいい。

安里とスプリングの会話は、コミュニケーション苦手な人の話の続かなさが妙にリアリティあって、さ……。
中学生くらいの女の子にセックスの話振って、やばいねと反応返したっきりで話続かないの、傍から見ててめちゃくちゃ気まずい。
安里とスプリングの会話ほど、すごすごという副詞が似合う状況はもうこのロワには出ないかもしれない。

安里の自己犠牲の精神は結構もやもやする。
凶悪犯の刑期が短縮されて悪事をはたらくことを恐れているのに、スプリングが子供だというだけでその懸念が頭から消えてしまう。
これは思考の安易さとか浅はかさというよりは、彼の悪癖たる他人の理想化の結果なんだろうなあ。
ドミニカのようなものを知らない感じと、旅人のような理想に他人を巻き込む感じが合わさって、そうじゃないんだよと言いたくなってしまう。
彼の犯した罪はまさにそこから起因するものなので、ベクトルの向きが逆になっただけで同じ過ちを繰り返そうとしているのではないか?
これがもやもやする理由なのだろうと思ってる。

だから人生経験の深いイグナシオが隣にいるのは安里にとっては幸運であり、
暴走してしまう感情から引き戻すことができる安里がいるのもイグナシオにとっては幸運。二人は噛み合っているのかもしれない。
イグナシオの救済も、安里の贖罪も、どちらもままならない茨の道ながら、その行き先を見届けたいものだ。

39名無しの囚人:2025/04/10(木) 01:05:12 ID:l4U55wNE0
24.深淵
銀鈴のキャラシのもりもり具合は、これからバットで叩き割る高級壺の価値説明のようなものだと思ってました。
高級壺じゃなくて封印札めいいっぱい貼り付けた厄だまりみたいな壺になっていました。
僕は彼女を虫だと思っていた側なので、目玉切りつけられて顔をぐちゃぐちゃにされるでしょう。
彼女の目、ちゃんと具体的に描写されてるのに、黒目で瞳孔が光ってるイメージしか湧かない。たまに眼孔に目玉が複数入ってそう。

超力のない受刑者は羽をもぎ取られた羽虫も同然とOPで定義づけられているところに、"超力を失った程度"では劣らないとぶち込んでくるのは底が見えなくていいですね。
ルーサーの刑期10年とかもそうなのだが、定量評価最低なのを逆用して格の高さに繋げる手法は、定量評価最高とするよりもさらに別格感が出る粋な描写だと思うのだ。

Zの乃木平は犠牲者の生き様を背負って進む儀式として名前を覚えてたが、銀鈴は絶対そんな殊勝な理由じゃない。
殺した人の名前をみんな憶えていますよと名前を列挙する儀式、既視感あると思ったらこれ定期放送なんですよね。
100Pをショッピング感覚で使い切り、酒を試飲してはポイ捨てする彼女は、正しく命を啜って生きている。

美火はその実力を発揮できないまま脱落したが、
超力持ちのチンピラ刺客15人を当然のように倒せる上に殺人罪が冤罪=殺さずに追い払える=隔絶した実力がある、なので、
正面戦闘なら工業地帯のフィジカルおばけたちと張り合えそうなんだよなあ。ガタイもいいし。
それだけの実力があっても、戦いの土俵にも上がれない。
そして、後の話で言及された初期位置がヴァイスマンの指示という話を考えると、銀鈴と美火の邂逅は意図されたものと推察できる。
ヒーローごっこをする普通の善良な強者では、人間ごっこをする『無力』な少女すら殺せないというのは象徴的であり、アビス側のある種の確認作業だったのかもしれない。

美火の不憫さと銀鈴の邪悪さで二人のキャラをバチっと立てた上での登場人物全員悪人再宣言、
映画やドラマの予告CMのような構成の良さがあってカッコよかったです。

25.墜落点:B-2
前話で全員悪人宣言が出た後、満を持して現れた一周目のトリが、刑務官側の息のかかった受刑者というのは、イレギュラープラスワンって感じで好き。
この話出るまでなんとなく参加者の初期位置はランダムだと思っていたんだけど、一個人の超力が絡む時点で意図的である。確かに言われてみれば当然よな。

ハヤトの兄貴の末路を調べてくれたのは、キャラシにある刑務官の人なのだろう。
23話に出てたAG-1や磊福も含めて、個々の刑務官は刑務作業には色々と思うところがありそうなんだよな。
それでもより大きな流れには逆らえずに刑務作業へのハイエナ・ジョーカーとしての参加打診を求めていくの、ディストピア感がある。

自分の身を第一に考えろ、と何度も自分に言い聞かせている男が、利用してくださいとばかりに用意された刑務者に思うところを隠せないのが好き。
ハヤト自身、信頼する人間に利用されてしまった側で、不満はなくとも使い捨てられることのやるせなさを知っている。
そんな関係であっても、また元に戻りたいと思うくらいの情があるのも認識している。
だからこそ、今度は自分が利用する立場として送り込まれたという事実が、ハヤトの心をちくちくと刺すんだろうなあ。
彼は考えを止めないが故に、自分の転送位置とセレナとの邂逅が仕組まれたものだと分かるのだという構成も、お〜ってなった。

> 自分の身を第一に考えなきゃいけないなんて、ストリートじゃ常識だ。
この辺、ネイに関してはだいぶ仲間のために体張ってそう。
単に将来有望なギャングだからなのか、自分=組織みたいなところがあるからなのかは分からないけれど、
ネイに関しては兄貴が頭下げて頼んでいればハヤト救出に協力してくれてそうな気もするので、この辺はネイが異質なのかもしれない。
そして作中で何度も繰り返されたこのフレーズに基づいて動くハヤトというキャラに対して、その方向性で進んでいくのか、それとも別の道を選ぶか?
セレナという協力想定者と、アビスという異常環境と、異なる状況に置き直すことで、あらためて見つめ直させる構成がうまいと思う。
頭のいい人間じゃないことを自覚して、彼なりに最良を考え続けている彼を応援したくなる。

40名無しの囚人:2025/04/10(木) 01:10:32 ID:l4U55wNE0
26.chang[e]
少女相手に主導権を握る悪党の構図、流都も38話のキングもどこか通ずるものがある。
手段が巧みな話術なのか、重厚な威圧なのかの違いはあれど、正論で場を支配して、圧倒してくるんだよな。
おそらく万人に納得のできる論法を以って、堂々と悪事を為せるからこその大悪党なんだろうね。
りんかも後の叶苗も、悪い大人に翻弄されるがままだったということを考えれば、紗奈の勇気の一かけらは値千金だったなあ。

わずか10歳で裏社会のありとあらゆる汚濁に塗れて、諦めた女の子が、差し伸べられた手を取ってもう一度立ち上がろうとする。
ある種、挫折からの復活なのよね。こんなの掛け値なしに応援したくなる。
りんかを後ろから食い入るように見つめる紗奈は、観客であると同時に、幼い日にヒーローに憧れていたりんかの投影でもあるんだろう。
そしてりんか自身はあのとき憧れたヒーローになって、子供に勇気を与える側にまわる。
憧れの輪廻がまわっていくのは美しい。
それは流都からすれば眩しくて愚かしくて、とても放ってはおけないんだろうなあ。

後ろから読むと引き続きとても味のある流都。
生意気な若造を裏から締め上げるなんていくらでもできるのに、怪人らしくヒーローと正面から戦うまでの流れがたいそうナイスミドルである。
てめぇおっぺぇでけぇもんなァ、とかいう流都の茶化しを真正面から受け止めて、熱量込めてブン殴り返すりんかのカウンター啖呵はいいなあ。
外せば失笑を誘いかねないのに、熱量ありすぎて茶化した側がなんか居心地悪くなるのいいですよね。
そこから続いてお約束を求める流都と、それに応えるりんかはエンタメというものをよく分かっている。

> 「お決まりの台詞だぜ。当然知ってるよな?」
> 「勿論、ですとも」
> 「「変――――身ッ!!!!!」」

この口上と様式美、アツいですねえ。
ぐっと手を握って、身を乗り出して、うおおっと叫びたくなる。

人生に疲れてやさぐれた大人が、若造の青い理想を聞いて、笑い飛ばしてやるつもりで一回だけならと付き合ってやる場面はいつ見ても心のほっぺが緩くなる。
僕の中の好きな展開発表ドラゴンがにこにこしながら語り出してきます。
これに続く41話もすばらしかったので、26話と41話の面白さが相乗効果で倍々になるんだよね。

27.嵐時々鋼鉄、にわかにより闇バイト
ドン、一応部下ができて楽しそうで何より。間違いなく宴席でセクハラやるオヤジ。
ジジイの接待めんどうです〜みたいなOLの雰囲気出してるヤミナだが、ここ殺し合いの会場だかんね?
ご機嫌取りしとけばヤバい犯罪者のメイン相手全部引き受けてくれるドンは同行者として大当たりですからね?

2メートル超えるマッチョなジジイ二人のタバコ休憩。
台詞と地の文読んでるだけだとイケオジ二人の渋いたばこ休憩なんだけど、歳見たらだいぶ老人会だったなあ。
大物同士の悪巧みをはえーで流すヤミナとの温度差がひどすぎて風邪引きそうです。

戦い方も信条も所作も悪としての在り方も、なんなら肌の色まで何から何まで対称的。
準備を怠らないキングに対して、運を味方に取り込んで戦うドンという対称的なバトルスタイルは、正反対のツリー伸ばして行ったんだな、と。
一方で実力は互角、犯罪者としての格も互角、なんならドンとキングという名前すら互角よね。

キングの強さはよく分かっていたけれど、登場時から立て続けに暴れまくって全然体力が尽きる気がしないドンも相当なもの。
ヤミナ飛ばされてるだけだが、人の認識を狂わせるネオスがドンのその場その場でラックをつかみ取りに行く戦い方との相性が妙によくて、
逆にキングにとっては埒外を引き起こすからめちゃくちゃ相性悪いんだろうなあ、みたいな印象。
ドンのバトルはラックが乱高下するので、優勢劣勢が目まぐるしく変わってめちゃくちゃ読み応えがあって面白い。
この二人の戦いで、だいたい戦力バランスがどんな感じなのかが明確になってきた。
あのキングに効くヤミナのネオス、ドンはバトルスタイル上デバフがかからないってだけで、こいついるだけですげー厄介なんだな、と。

キングが狙う旨味が薄いのはその通りなんだけど、
今回の極悪ぶりを見ると、ドンはなんでたった80年で済んだんだ……? という気もしないでもない。

41名無しの囚人:2025/04/10(木) 01:16:43 ID:l4U55wNE0
28.地獄行き片道切符
ルクレツィアは超回復を持っているのでどれだけ破壊しても問題ありません、みたいなボーナスタイム理論が始まっている。
ルクレツィアのイメージは、ゴシックホラー系のゲームとか映画にいる、最初は見た目麗しいのに体どれだけ破壊されても起き上がって追ってくるゾンビみたいなやつ。
頭蓋砕いて首折っても起き上がってくるわ、痛みで怯まないわで、この子はだいぶ人間を辞めていると思う。
このなりで人間を人間見る目で見られるのは結構怖いよ。

バトルに迫力を乗せてくる作者さんで、人体破壊を詳細に書いてくるので、ルクレツィアのバトルは読んでてすごく痛い。
鼻に指ひっかけて地面に引きずり倒すところとか、なんか妙にリアルに痛みを想像できてしまうので、うぇってなる。
とにかく攻撃がことごとく容赦ないし、損壊した体で高速で追いかけてくるの、どう切り取ってもホラー創作の怪異だよ。
本当に、この子を"絵に描いたようなローリスク・ローコスト・ハイリターン"とか評したナレーションはどこを見てたんだろう。

ルクレツィアを例えるならば毒花、というかねっとりした感じなので毒蜜。
儚げな雰囲気と、深窓の令嬢みたいな落ち着きのある口調と、獲物に追いすがってくる性質とがキメラ合体を起こしていて、めちゃめちゃに湿度が高い。
話の口調と内容が背筋ぞくぞくするような気がして、彼女は性犯罪者じゃないのに随一の性犯罪者くささがある。
この子と対峙すると命の危険と同時に貞操の危険を感じる気がするんだよなあ。
ソフィアとて殺しも性行為もそれなりに経験ありそうなのに、
ルクレツィアがあまりに犯罪者くさい雰囲気を出しているので、対照的にソフィアが初心な雰囲気になっている気がする。

ソフィアはソフィアで、彼氏にもう一度会いたいという気持ちは真っ当なものなのだが、ルクレツィアに引っ張られるのか、やっぱり湿度が高いですね。
根っこが常識的ソフィアが、ルクレツィアと組むことを本心から選択できる時点で、だいぶ精神的に追い込まれたところにいると思うのだ。
ソフィアはこの先何度となく振り回されるに違いないけれど、がんばってほしいものです。

29.エンカウント・クレイジー・ティーパーティ
冒頭でさらっと流されたトビの15回目の脱獄はだいぶ狂ってるなあ。
トビのジャンキーぶりをナメてた、ライフワークのためなら本当に命以外のすべてを投げ出せてしまえるんだ。
全自動脱獄計画、成功した後計画通りとゲス顔で笑ってそうである。
その有りようはまさにマッドハッターのごとき気狂いで、ジョニーの命名センスが光る。
そのジョニーはガンヘッドの次はアイアンマンと、見た目が特徴的すぎるからって好き放題呼ばれててにっこりしちゃう。

トビがうまいことメリリンの捜索依頼を掴ませて、ルメスがぶーたれてるけど、ルメスも割と人のことは言えないような……?
トビが脱獄目的のために他人をとことん利用する性質だとすれば、ルメスも人助け目的のためにまわりを巻き込むことを諦めない性質に思えるので。
四葉は意外と個々に対してはそこまでの執着はなさそうに見えるけど、出し得の精神でとりあえず戦闘吹っ掛けてみるの好き。
そしてジョニーは一歩引いたところで俯瞰して、紛糾したときにブレーキをかける調整役って感じに見えるね。
ネイティブとほぼネイティブに囲まれた中でこういう立ち回りができる大人、裏社会を生き抜くベテランって感じだし、隣にいて安心感がある。
ルメスのメンタルケアを忘れないのが好感持てるね。

ルメスは一応罪人ではあるのだが、ヘタな娑婆の住人よりも善性に満ち溢れてるなあ。
救いのない世界で、救いを乞う者を救わずにはいられない。
そんな気質の彼女を、トビの口から自分以上に不自由だと言わしめることで、彼女の善性と非凡さが伝わってくる。

そんな世話焼き気質の彼女だが、オリガ看守長が初期位置を決定していたことから逆算すると、
ルメスとジョニーを最初に会わせることで、刑務作業参加のうまみがほぼないジョニーの逃げ切りを封じていないか? みたいな推論が立てられてしまう。
ルメスがいろんなところに首を突っ込むことは分かり切っているだろうし、ジョニーも情に厚くて面倒見がいいから、
この二人を組ませて刑務回そうとしてたんだろうなあ、とか考えてしまう。

42名無しの囚人:2025/04/10(木) 01:20:33 ID:l4U55wNE0
30.裁かるるジャンヌ
ジャンヌどいてそいつ殺せない!

バトルとして起こった事実だけを書きならべると、ジャンヌがフレゼアをワンパンした、で終わる。
けれども、その一閃にふんだんにリソースを注ぎ込むことで、この一瞬に絶大なインパクトを残している。
こういう、山場のワンシーンのために積みあげて積みあげて、満を持して炸裂させる手法、大好きです。

フレゼアの圧倒的な脅威と暴威。
ジャンヌへの狂信という分かりやすく付け入る先がありながら、交渉も説得が一切通じないその精神の異形さ。
絶体絶命の危機に陥った日月と、そこに現れる、まさに降臨としか言いようがないほどに神々しいジャンヌの登場。
そして同じ炎の翼を生やしての、同系統の二人の激突。
丁寧に積み重ねた上でのワンシーンは、漫画なら大ゴマ、アニメならスローモーな線画、ゲームならムービー挿入、のような山場を演出してくれている。
ジャンヌの一振りの表現が息を呑んでしまうような圧倒感と共に描写されていて、ジャンヌというキャラクターの格が大きく上がった。

そしてジャンヌの格が上がれば上がるほど、フレゼアや日月がジャンヌに憧れる説得力が否応にも増していく。
文字で読んでいてもかっこいいんだぜ? 目の前でそれを見たなら心灼かれて然るべきじゃないか。

日月の理想とするジャンヌ像を正面から受け止めて、彼女の期待に誠実に応えようとするジャンヌの姿。
ファンの声援を受け、その偶像たろうとするアイドルとされるのも納得の光源である。
偶像(アイドル)の域を飛び越えた、神像(アイドル)と呼んでいい。

正義の第一人者が、正義に問いを投げかけてくれてありがとうと真正面から礼を言うのは、怖いというか畏れ多い。
日月の問いかけは、日月自身のエゴもいくらか含まれたシニカルなものだったと思っている。
それを真正面から余す所なく受け止め、あまつさえその問いかけに礼を述べる行為は、そのままジャンヌの器の大きさに繋がるよなあ。
噂に聞く聖女とやらの器を確かめてやろうとしたらその器の大きさで殴り返された感じがある。
日月に、正義を問うてくれてありがとうございますと言い切るジャンヌ、これはあまりに強すぎる。レベルが違う、王者の風格がある。
そして、この器の持ち主に負けたくないと吼えられる日月は、紛れもない挑戦者。
王者に挑むアイドルの器だと思いました。


―ここまで

43名無しの囚人:2025/04/12(土) 08:25:55 ID:Dtk8lWrU0
67話時点

【対主催】
<刑務拒否・反抗>
只野仁成
エンダ・Y・カクレヤマ
ジャンヌ・ストラスブール

<真相究明>
ジョニー・ハイドアウト
ルメス=ヘインウェラード
イグナシオ・"デザーストレ"・フレスノ

<贖罪>
北鈴 安里

<他者救済>
葉月りんか

<危険対主催>
トビ・トンプソン


【マーダー】
<恩赦狙い>
エネリット・サンス・ハルトナ
ディビット・マルティーニ
バルタザール・デリージュ
ジェイ・ハリック
エルビス・エルブランデス

<闘争優先>
大金卸樹魂
征十郎・H・クラーク
内藤四葉

<無差別>
ギャル・ギュネス・ギョローレン
ルクレツィア・ファルネーゼ
本条清彦
銀鈴

<ステルス>
氷月蓮

<未確定(恩赦狙い?)>
鑑日月


【危険人物】
<生存優先>
ルーサー・キング
ヤミナ・ハイド

<目的優先>
ネイ・ローマン
夜上神一郎
ドミニカ・マリノフスキ

<特定人物の恩赦狙い>
ソフィア・チェリー・ブロッサム

<刑務協力者>
ハヤト=ミナセ


【その他】
<生存優先(非戦・消極派)>
ジェーン・マッドハッター
セレナ・ラグルス

<捜索・調査>
メリリン・"メカーニカ"・ミリアン

<特定人物との行動>
氷藤叶苗
アイ
交尾 紗奈

<方針未定>
メアリー・エバンス
ジルドレイ・モントランシー

44名無しの囚人:2025/04/12(土) 18:18:01 ID:38dR1fmY0
【ブラックペンタゴン1階組】
エンダ、仁成
四葉、トビ
エルビス

【ブラックペンタゴン2階組】
ヤミナ

【ブラックペンタゴン到着組】
ルクレツィア、ソフィア
メカーニカ、ジェーン、ドミニカ

【ブラックペンタゴン向かってる組】
征十郎
銀鈴、ジェイ

【ブラックペンタゴン向かうかも組】
ギャル(征十郎追うなら)
ジャンヌ(キング優先になりそう)

45名無しの囚人:2025/04/12(土) 18:43:46 ID:uQLFDmSM0
まとめ乙です。

【ブラックペンタゴン向かってる組】には、
ネイ(50話)
本条(60話)
もいますね

46名無しの囚人:2025/04/17(木) 01:35:15 ID:dm/C5g7o0
―続き

031.爆炎、斬と誓ふ
征タンが思った以上におもしれーヤツであった。こやつだいぶ図太くないか?
めんどくせーちょいパワハラ上司みたいなことを言ってやがるw
興味ないヤツに宿敵の話を嬉しそうに話す征タン、宴席で武勇伝語り出すオッサンと同じなのでは?
倫理も常識もあるけど全員斬りたいのでマッチポンプします、そんなの外に出したらダメじゃーん!
きっと八柳真陰流の開祖もこんな感じで人斬ってたんだろうな……。

沙姫っちより強いヤツと聞いて目の色変えて喰らいつく征タン、こいつ荒ぶってるぞ……。めんどくさいオタクのそれだぞ剣オタだったわ。
沙姫っちは完全に手玉に取られてんじゃん。
征タンのこと内心棒振り猿だろとナメてたのにいいように転がされるの面白すぎる。
沙姫っちはリアクションがだいたい面白いので征タンのおもちゃにされてる感がある。

征タンは果たし合いでも割と試合巧者というか、相手を転がすの結構巧いよね。
ぶっとい木の枝ウケるwと小馬鹿にしてたギャル戦、意趣返しのように、ただのぶっとい木の枝にビビり散らかさざるを得ない状況に持っていったり。
別にギャルの取った行動はその場での最適行動なんだけれど、ただの木の枝にビビらされたのは割と屈辱だろうなあ。
パキ、と音立てて踏み抜くあたりにその辺の感情が出てるの好き。たぶん怖い顔してる。
今話ではしてやられてるせいか、ギャルの仮面の下の顔がちょくちょく覗いてるよな。怖い。
一方で恩赦ポイントを争奪する戦いで迷わず趣味の服を選びに行けるギャルは強キャラ感が出てるよなあ。
全員似た格好してる中で独りだけ異質な恰好してるのはやはり強い。

現象ならば木の枝でも何度でも切れる、だがそもそも征タンの技量に耐えられないというのが、征タンに余力がまだまだあると明示してていい感じ。
そしてあれだけ人間を斬るぞ斬るぞと言っておきながら、致命傷食らった囮役の沙姫っち連れて離脱を選べるところに情の厚さが垣間見えて好き。

032.風に乗りて歩むもの
ヤミナの三下ぶり、話進むごとに磨きがかかってくる。哀れに見せているがお前は小さくてかわいいやつじゃないからね?
最大出力で恨みが乗りに乗ったエンダは、ヤミナの超力にも惑わされないそうだけど、ぶっちゃけ素のほうで効いてますよね?
ヤミナは二人を得体の知れない者に分類しているけれど、向こうもヤミナを理解の外にある者だと分類していると思うぞ?
取るに足らなさを指数関数的に積み下げてアンダーフローを起こしてしまった、エンダですら気圧されてるのがひどすぎる。
これはもう気迫と言っていいんじゃないかな……。
27年前の与田センと恥も外聞も尊厳もどこまで捨てられるか対決をしてほしい。

秘匿受刑囚。刑務所の奥底に封じられている得体の知れないもの。
牢獄の奥底に封じられて実験されている得体の知れない存在って、ワクワクしますよね。ある種お約束。
エンダも仁也も実験体だったり不可解な思惑の末にアビスに収監されていて、まさに秘匿された者って感じですね。
それはそれとしてドンは普通に地力で仁也に勝利しているので、彼はやはり別格に強いですね。
それに引きかえ仁也がそう見えないのは、強さというよりも凄みなんだろうな。
他三人のような飛び抜けた凄みがまだ描かれてないので、普通な感じがしてしまいますね。

逆にエンダは子供のような横暴さと底の見えなさが相まって、神秘的な人ならざる者というイメージが確立している。
この時点ではめちゃくちゃ幼神の生まれ変わりっぽく見えるのはそう。

自分の命と引き換えにしてでも、目の前の宝を奪い取ろうとする大海賊の強欲ぶり。
在りし日の魔の海域の巨人が何者なのかは分からんけれど、エンダに対してそれと同じものを見るドン。
ある意味、正体には当たらずとも遠からずといえなくもない。
神だろうが怪物だろうが一切怯むことなく、最期の最期まで享楽的で己の欲望とプライドに忠実な生き様は、悪党であり大海賊の称号に相応しいなあ、と思う。

47名無しの囚人:2025/04/17(木) 01:35:56 ID:dm/C5g7o0
033.超人武闘
タイトルに武闘とつくだけあって、これこそ武闘であるというべき濃い比武回。
元々強キャラだった大金卸と呼延光だが、強さが一段階跳ね上がった気がする。
こいつらつええわ!

>「靴が無くなった」
>「悪い事をした」
ここの掛け合い、好き。ここに限らないが、二人の掛け合いは引き算の手法が使われている?
超常的な武闘を短い言葉で端的に表現し、その返しを用いてキャラの内面を描写している。
センスに溢れていると思う。

ほかも会話は少ないながら、そこに挟まれる一つ一つの掛け合いが粋でいいですね。
刑務を悪趣味と嫌悪する呼延光と、己の闘争心は善悪など超えたものと断じることで大金卸の魅力を披露し。
埃に刻まれた足跡に気付かないことで、呼延光の不調さを示して。
そして浮気だと分かっていながら、己を抑えきれずに呼延光と闘争に興じてしまう大金卸のキャラが良すぎる。
あまりに純粋で貪欲な闘争心に触発されて、沈み込んでいた光の心が徐々に満たされていくのはさらに良き。

武闘自体は非常に濃密、されど読み応えに反して文量は至極短い。
同じ作者氏の別作品と比較しても、一文を、用語を、成る丈短い単語で表すことを意識してそう。
されども多用するのは意味の把握が容易な二字熟語で、熟語や単語の引き出しに乏しくとも苦なく読めるような配慮が見える。
武術用語に疎い身からしても、固有の拳法の型以外はイメージ付くので、争う二人が、攻め側は何を意識して攻め、守り側は何を脅威として捉えているのか分かる。
熟語を多用することで一行ごとに膨大な情報量が飛び込んでくるので、翻って戦いの密度、スピード感に繋がり、
比武が目まぐるしい速度で繰り広げられていると感じ取れるのだ。
環境破壊描写の派手さも作用して、二人の圧倒的な実力が余すところなく感じ取れる。

殺し合いのバトルは相手をどう殺すかの駆け引きが繰り広げられるが、
これは試合なので、駆け引きはすべて武術のぶつかり合いでおこなわれる。
故に闘争にノイズが一切なく、乱入者もないので純粋な比武として楽しめる。
大金卸から、武闘は楽しいぞと訴えかけられているような試合は、呼延光もまた漢女に灼かれた一人なんだなあと感じさせてくれる。

……こいつらを止めた日本の官憲って何者よ?

034.Lunatic Dominion
麻衣&眷属5体VS四葉&鎧4体+銀鈴+トビの総勢13人バトル、予約したあと、やらかしたかな、と思いました。
全員その場で戦っているので、管理がバカ難しい。
昆虫は人間と声の出し方たぶん違うし、新キャラ祭りの混乱避けるためにカギかっこ変えてさせてもらおうか……みたいな。
銀鈴出た後は無言のガチ殺し合いに移行するのですが、それより前はレジャー刑務程度にべらべら喋りながらわちゃわちゃ動かしてますねえ。
適当にサボるやつがいるのもレジャー刑務っぽい。

四葉と銀鈴は勝手に暴れてくれるので、トビを意識して動かすようにしています。
大金卸に憧れる戦闘狂の四葉が自分で戦わないのはもったいないなと思っていたのですが、鎧の中身空っぽじゃんと気付いたのは褒めてあげたい。
これ着れるぞと分かったときのワクワク感はきっと四葉とシンクロしていた。

麻衣はどう動かそうか困ったのですが、そもそも復讐系キャラシなので、手を出すよりはいっそ徹底的にアビスの洗礼を受けてもらう方向へ。
この子は放っておくとガン逃げで刑務終えそうなので、積極的に関われるようにという思想です。
麻衣の眷属については、ムカデのメアリーは最後の砦なため、麻衣が自分で戦わない今回は欠席です。二人いるメアリー、和幸と和之か?

銀鈴と四葉がいつまで経っても戦いを辞めてくれないため、死亡以外で着地させる方法を考えた結果、トビとギガンテスに頑張ってもらいました。
トビは最初戦闘中に見てるだけの人になったのでなんとか出番を作ろうとした結果、なんか縁の下の力持ち的なポジションに収まってよかったと思います。
全員に配られてる基本支給品を利用して場を切り抜ける展開いいよね……。

『秘匿受刑囚』とかいうワードが前日に飛び出してきたため、アビスの最深部にいる銀鈴がそうじゃないのはウソだろってなるので相乗りしてます。
64話で言われているとおり、刑務所って別に人体実験をするところではないので……。
前話で危険度も盛られまくったので、考え付いていた盛り方の中で矛盾が出なさそうなものは全部ぶち込みました。
美火に正面から挑むと蹂躙されるぜ設定がなければ、原理的に使えそうなパチモン消力のような何かも使っていたかもしれない。
さらっと出した姓捨てたよ設定は、被害でかいのに誰も名前知らないのどうして、の後付けではある。

48名無しの囚人:2025/04/17(木) 01:36:31 ID:dm/C5g7o0
035.神の試練
アーくん先輩いきなり気失ってんじゃん、ウケる by 後輩ギャル

広範囲高威力の超力で周囲を蹂躙するジルドレイ、レスバで蹂躙される。
強敵に精神攻撃は基本、これこそが私の弱点ですと言わんばかりにジャンヌ信仰をさらけ出しているので、徹底的に狙われてしまう。
ジルドレイは今まで暴力で押し通してきたのだろうけど、神一郎はその手が使えないので結果として口撃に持ち込まれざるを得なくなってしまう。
数多くの懺悔を聞き、祝福を授け、徹底的に他人の心の奥底に触れてきた神一郎を、
暴力つきの狂気でゴリゴリ押し通してきたジルドレイでは勝てないのも道理だなあ。
彼、なんとなく返しパターンが少なそうだしな……。

舌戦自体は神父の圧勝だけど、こういうのってしっかりインプットしていないと書けないと思うので、二人の会話は素直にすごいと思った。
問答か説法か告解か、こういう考え方してるやつにはこう返しなさいみたいなのも神学として体系化されてるのかな、とかちょっと思った。

ただ、神一郎の言ってることは正しいが、あらためて読み返すとこいつの話運びって詐欺師っぽくないか? みたいな印象を抱いた。
一歩踏み出すは誰にでもできうること、それはその通りだと思ったのだが、その一点だけを焦点に当てて、ほかを煙に巻いている気がする。
0→1にすることがすごいことであることと、0→1の難易度がピンキリであることは両立するものだし、
ジャンヌの決して折れずに進み続ける正義と、その他大勢の踏み出しを、同じ『一歩』という言葉に押し込めて、同等扱いするのはいろいろと話術ですよねえ。
もっとも、この辺はジルドレイ本人が、自分は巡礼をしているのだと言ってしまったことがそもそもの付け入る発端になっているので、
まあ結局のところジルドレイが舌戦に弱いんですよね。
ジルドレイの右目つかみ取って、ジャンヌを神で上書きしていくシーンは凄味がある、やはり信仰の格が違う。

そして盲目的にジャンヌを信仰して罪を積み重ねるジルドレイには戒めを、神に疑念を抱いて自らの所業に迷うアルヴドには導きを。
本性はどうあれ、彼は神父してるなあ、と思う。

036.祈りの奇跡
神の試練と来た後に祈りの奇跡と続くの好き。内容的には全然関係ないのだが……。
オリロワZのミーティング回あたりで出てきてた、異能のカテゴライズから連なる系譜なんだろうなあ。
なんとなくHE-028のレポートZ計画っぽい。著者の■■■ ■■は長谷川真琴ではないかと思っている。

空間対象とか概念対象って、超力ガチャのSSRみがあるね。
空間対象の常時発動型は最レア、まあ別に珍しいから人権超力というわけではないのだが……。
レア度でいえばヤミナのアレが概念対象の常時発動とかいう影響力だけはイレギュラーすぎる代物っぽいw
そして今話で起こってる大項目8は8.1と8.2だけだが、その根本は8.3、概念対象の旅人超力がメアリー超力に干渉したアレですよね。
最も危険なケースとか言われてる8.3、ほんとあの人、最悪をピンポイントで踏み抜いていくな。

ドミニカが神さまキメてますねえ。
人間の穢れなき信仰こそがすべてを上回るのだと言わんばかりに、旅人+メアリーの二人分の超力を信仰で拮抗しおった。
タイトルは祈りの奇跡というけれど、奇跡というか根性のゴリ押しでしょ。
信仰を継ぎ足し継ぎ足ししてメアリー空間に対抗するの、自転車操業じみた末期感がありますね。

ドミニカは人間は正しくなけりゃあ生きる価値なしの苛烈な信仰心を存分に発揮している。
メアリーからしたら『何それ知らん……』になるのだが。
超力が強力すぎて本人の与り知らぬところでまわりが騒ぐことになる構図なのだが、
そもそもドミニカに怒られてる涜神行為は全部旅人のせいなので、メアリー本人が蚊帳の外すぎるんですよね。
一晩寝て起きたら人類の敵みたいな扱いされてるメアリーはさすがにかわいそうである。

メリリンとジェーン、いい性格してますね。
お願いしますよ先生、と調子よく仕事させようとするメリリンと、お前がやれと投げるジェーンの決断パス回しがなんか好き。
暗殺者に対する先生呼び、なんかものすごい三下感出るのでジェーンが眉をしかめてそう。
刑務にも乗ってない二人だけに、トラブルめんどくせーなーの精神で押し付け合う二人の掛け合いが楽しいし、
明らかにトラブルしか呼び込んでこなさそうなドミニカ拾ってどうなるかなーみたいな続きになるのいいですね。

49名無しの囚人:2025/04/17(木) 01:37:01 ID:dm/C5g7o0
037.幼魚と逆罰/Your dream.did it satisfy or terrify?
麻衣、対人運があまりになさすぎたなあ。
分からん殺し仕掛けてくる銀鈴とメアリーに立て続けに出会うのもそうだけど、
離れればとりあえず被害からは免られるメアリーに対して、負けん気と復讐心を抱いた結果が落命というのはなんとも……。
それはそれとして、麻衣は普段の価値観は一般人なのだが、
地雷を踏み抜くとスイッチがバチッと劇的に切り替わって復讐モードに入るので、思ったよりやべーやつだったな感が滲み出てますね。

メアリーの空間、いきなり破裂する石と、ジョニーとルメスの逃げっぷりから、どんだけヤバいんだろうと思ってた。
今回の描写をみるに、対処不可とまでは言えなさそうね。
肉体操作狂わされた無重力空間でナイフやら大岩がぶっ飛んでくるのは大分理不尽ではあるのだが……。
ただ、最後の致命打は分からん殺しすぎる。
マンティズの斬撃が捻じ曲げられて麻衣のほうに来たんだろうか。
それとも、そもそも超力社会の新人類への復讐が旅人の改変動機なので、超力に頼るとこれに応じて攻撃も苛烈になるんだろうか。
初見殺しを乗り越えてこの子を救おうとしてるルメスは、ほんとがんばれとしか言えない。

038.パブリック・エナミー
うわあああ、ルーサーが怖すぎる。
牧師と関わってはいけない、の言葉がいかなる意味なのか。
本物の闇の帝王というものをお見せしましょうとばかりに知らしめて来た。
『取り返しがつかない』という言葉が、これほどまでに生々しく適合している状況はロワだとそうそう見ないですね。
叶苗の転落は、ドキュメンタリーとかノンフィクションとか、それこそ不動産投資やらMLMやら闇バイトやらのそっち系でありそうな転落ぶり。

キングが話し出してから完全に雰囲気が変わったなあ。
声なんてついてないのに、低い声で押しつぶしてくるような圧が文章から感じられる。
淡々と社会について説いているだけなのに、一挙一動の主導権を握られたことがどうしようもなく伝わってくる。

何が怖いって、キングは仕事の内容以外は正論しか言ってないのが本当に怖い。
しっかり寛大さを見せて、適正な報酬と公正な契約を提示して、キング側の付け入る隙をすべて潰して逃げ道を封じてくるのが怖い。
なんなら自分から引き込んだわけではなく、自分から裏の世界に入り込んできた志願者に相応の仕事を与えたという大義まで立たせてる。

やっぱ辞めますが通用しないコミュニティに自ら飛び込んでいってしまった叶苗があまりに不憫。
助けてくれる家族がいない、助けるべき人間がいる、生真面目、コミットメント効果を自分でつけてしまう、と抜ける手立てが思い浮かばない。
そして自縄自縛でしかないので、正しく『未来が閉ざされた』状況。
叶苗、味覚は大丈夫なんだろうか? 景色の色とか感じられるんだろうか?
五体満足なのにこれほどまでに終わった風景はそうそうないな、と思ってしまう。

社会に根ざす悪党として哲学もしっかり持っていて、筋を通すことで付け入る隙も作らず、社会の上から下まで知ってそうなので、そりゃあ欧州を牛耳れるだけの器はあるよと思ってしまう。
力とは仕組みを掌握すること、億稼いでる経営者なんかも似たようなこと言ってますよね。
報酬きっちり払うのも、責任を自覚させるロジックだしなあ。

ディビットとの取引もまた同じで、短期的に見ればディビットには受けておくメリットしかない。
そしてここで断れば、それを口実に揺さぶってくるのが明らかな状況を作り出してくる。
叶苗を生贄にしたとはいえ、こいつの魔の手から逃れる一手を打ったエネリットの慧眼が光るよなあ。
それはそれとして、ディビットがキングに気に入られてることもなんか分かる掛け合い。
昔語りを始めるキング、完全に爺さんですもんね。

満を持して出てきた葉巻、明らかにキングとディビットの力関係を端的に示してる小道具なんだけれど、
ディビットにとって至宝みたいな扱いになっているのが本当に好き。
絶対邪悪で神々しい威光エフェクトが付きまくった大仰な御開帳シーンになったんだろうなあ。

50名無しの囚人:2025/04/17(木) 01:37:38 ID:dm/C5g7o0
039.業火剣嵐
フレゼア爆暴れ回。笑ってしまうくらいの暴れっぷり。
ジャンヌ直々のお言葉(解釈違い)バフがもりもりに乗って絶好調なのは分かるんですが、
ジャンヌなんでこの娘をワンパンできたんですかね……?
征十郎が達人の技量を披露→フレゼアが火力ゴリ押しで押し戻す、の応酬なんですが、
なんか終始フレゼアの勢いがすごいので、征十郎の怪物退治みたいな感じで楽しく読める。
フレゼア、この出力でオールドなんですよね……。

征十郎のネオス自体は本人の技量も相まって相当強いと思うのだが、そもそも接近できないのではどうしようもない、それはそうだ。
安全な場所から炎だのビームだのをバラ撒きまくるヤツはチートだって何かで見た。
ずっと後で、超力犯罪者にはまずは遠距離攻撃がセオリーと明言されたけど、ある意味このセオリーを忠実になぞってますね。
『 斬 』だって空飛んで超高火力の炎で焼き尽くせばなんにも怖くない。いや当たり前だがひどすぎるw

デカい剣持って高速で接近戦仕掛けてくるフレゼアは、普通なら大ピンチな状況なのに、そこに勝機を見出すのは達人らしくて大好き。
傷口から噴き出す炎カウンターとか、束ねすぎて刀で切り裂けない高密度の炎とか、
こんなんどう倒せばいいんだよ、なバケモノスペックがぽろりと出てきてさらにピンチになってるのもっと好き。
フレゼアが人間やめすぎてて、化生扱いしたのはいいすぎだったわギャルすまぬと征十郎が謝り出すのは独特の味がある。
僕も、ドミニカの信仰やばぁこいつ神サマキメてんだろと言ってたんで、ごめんドミニカお前まだ理性的だったわと謝らなければならない。

フレゼアの身体、業火しか流れてない、業火が人間の皮まとって襲いかかって来てるようにしか見えない。
怪我するたびになんか出力上がって人間からかけ離れていく、なるほどこれがバケモノか、いやバケモノだわヤバすぎる。
> 振るった刃が、フレゼアの顔に斬線を刻んだだけに終わった ←まあでもちゃんと攻撃当たったし……
> 仕損じたっ! ←まあそんなこともあるよね
> フレゼアが燃え盛る火柱と化した。  ←こいつなんでパワーアップしとるんなんなんこわぁ
> なんでみんな私をバケモノって言うの ←残当すぎる……
顔斬られたときの絶叫が完全に人間じゃなくて怪異のそれだもんなあw
最早手に負えぬと匙を投げる征十郎の気持ちに共感できてしまうのヤバすぎ、面白すぎ、マジでこれ手に負えない。
話が通じないだけでなく勝負も成立しないこの女は無敵の人すぎる。
逆にたった三名の犠牲でこれを無力化できるGPAの層は厚すぎないか……?

040.PSYCHO-PASS
やばい、名前は知ってるけど内容は覚えてない本がいっぱい出ている。学がないのがバレる。

冒頭の週刊誌っぽいキャラ紹介は、いかにもって感じの大衆娯楽なのだが、蓮の描写は浮世離れしているというか、近寄りがたい雰囲気がありますね。
エネリットと蓮の議論は、インテリたちの有料サロンって味があるなあ。
蓮は書生という形容が似合うのではなかろうか。
模範囚になってからずっと道徳本や哲学書、古典を読み続けてもいればそうもなるのか。
ヘタに討論に割り込もうとすれば、即座に両方から言葉攻めにあいそうだ。
表面と本質がまるで違う男に、信頼を向ける範囲を自分の意志で選んで内外を交わらせない王子、
どちらもとてつもない曲者だけど、表面上はとても穏やかで平和に会話が進むんだろうな、と思った。

危険な超力持ちの自分が社会に出たらどうなるのかを知りたいという欲求。
24時間をやり過ごすことを目的とした、殺してもいい獲物に出会ったときにどうなるのかを知りたいという欲求。
自分の人生ですら衝動的な興味の向き先に落とし込んでしまう。
自身ですら衝動を満たすための観察対象に見てしまうんだろうな。
蓮のパーソナリティは日常に溶け込む異常者という感じで、サイコパスの悪人なのも間違いないのだけれど、
その性を抑えきれないのに好奇心だけを刺激されるのは気の毒でもある。
食べられないごちそうが毎日目の前に置かれるようなものでしょ?
そういったところで苦しんでいるのはどことなく同情をしてしまいますね。

小動物や虫が全然いないのは気付かなかった。
読み返してみたら小動物の足音も虫の声もしないは確かに書かれてたけど、虫のほうは言ってるヤツがヤミナだったのであまりに言葉に信用がなかった……。
動物はいなくて人の痕跡はあり、地形と植物だけ残ってるなんて、入り込みミラーみたいな島だな。
あと全然この話と関係ないんですが、蓮を中心として、蓮に近いところからどんどん黎明になっていくのはちょっと笑ってしまった。
あの当時の最新予約も、深夜組で蓮に一番近い場所にいるグループだったよなあ。

51名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:35:09 ID:xzFO03fk0
―続き
041.[E]volution 〜 Evolution Hop[e]
王道は誰にとっても面白いからこそ王道であり、王道を面白く書けるからこそ名作である。

どれだけ痛めつけられても決して折れないヒーローに、悪辣なマイクパフォーマンスで心を折ろうとしてくる悪党。
無力な聴衆=ヒロインの声援で一度は折れかけたヒーローが立ち上がり、かつて憧れた人の魂を受け継いだ二人分の新必殺技で逆転する。
作中でも言われている通り、あまりにも使い古されていて、あまりにもお約束の展開。
これに真正面から取り組み、真摯に彼ら彼女らの戦いを紡ぎきり、三人のキャラクター性を一つの高みにまで完成させた筆力を賞賛したい。
有り体にいえばめちゃくちゃアツくてめちゃくちゃ面白いということです。

戦いとは各々の生き様の激突、という面があちこちに散りばめられている。
嘲弄を大得意とする流都が、りんかの生き様を徹底的に貶めて踏みにじるところからの復活までの流れが特に好き。
りんかが赦しを求めている面があるのは本質の一つだし間違っていない。
人は何のために戦うのかという討争のとおり、己のエゴを満たして、飢えを満たすために戦う一面もあるのだろう。
読者としても、確かにその言い分は間違ってないかもしれないね、とある種の理解が生じる。
だからこそ、紗奈の一言が強い。
流都は多弁を弄してりんかの心を折りかけていた。
それが紗奈のただ一つの言葉、ありがとうの一言だけで流都の目論見ごと粉砕したのは痛快でさえある。
100の言葉よりもたった1つのありがとうがりんかを救う、美しい。
この関係を流都に対比的に転換すれば、彼は育てあげた子供たちが堕ちる前にそれを言えなかったのかな、と思ってしまう。
子供たちが帰る場所を用意して、おかえりと声をかけていたのに、それでは届かなかったのかな、と考えるとこれは哀しくなる。
そんな描かれていない背景も、想像しさえすれば無限に味わい深い。

26話から引き続き、もう一回出てきた暗黙のお約束。
必殺技の激突が見られて心の中の男の子がにっこりよ。
そして、ヒーローは観客の声援を浴びて強くなる!
りんかと流都、二人の必殺技のぶつけ合いで、紗奈のがんばれの一言がりんかの劣勢を覆す最後の一押しになるのもまた素敵。

ちゃんと二人に対して独りなんですよね。決着のときも、死に直面した時も、りんかの隣には紗奈がいて、流都の隣には誰もいないんですよね。
そんな彼だからこそ、羨ましい、の一言に含まれる幾層にも積み重なった感情が心を揺さぶってくる。
そこから語られる、彼が悪となった根源の開示で、恵波流都というキャラが完成したと思うのだ。
これまでの人を食ったような秩序・正義側への干渉は、流都自身が救いを求めて精一杯に手を延ばしていた証なのだと、解釈を逆転させてくる手法は文句なしに秀逸。
26話から受け取ったパスを見事に昇華しきった一作。
読者=観客として、正義と悪を演じ切った二人に惜しみない拍手を。

タイトルは直訳であれば『進化する希望』だし、実際にそうなっているのだけれど。
進化とは世代を超えて連綿と続いていくものであり、人から人へと渡っていくもの、受け継がれて洗練されていくもの、みたいに解釈をしたい。
かつてのテレビの中のヒーローたちからりんかが受け継いだものが、紗奈へと受け継がれていく。
そんな一連の流れをあらわしたものだと考えたいなあ。

52名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:39:47 ID:xzFO03fk0
042.閑話:御伽噺
Zのラストで山折村をゾンビのワンダーランドにした首魁がありすたちにボコボコにされ、ゾンビ散らばっちゃったよ、くらいの理解。
闇のアリスは茶子、光のアリスはアニカ、わるいかみさまは某魔王で闇の騎士は哉太と読み替え。
茶子はZでまんまアリスに例えられてた一方で、あいつヒール役似合うもんな……。
でも絶対茶子のヴィラン度合いは割増したでしょ。リンちゃんはやくきてくれー!

アニカは茶子帝国でよく肉体が残ってたな……。
なんか見せしめ的に、死んだときのまま放置されてた可能性が微ほどある。
死んでもこの地獄の三角関係に巻き込まれる哉太はちょっとかわいそうすぎる。
哉太にいったい何の業があるというのだ……。

刑務参加者で関わりあるのはギャルかな、ギャルだと明言はされてないけどこんなギャルが二人もいてたまるか。
なんで彼女が来ているのかは不明ながら、ギャルが歳を取っていないのはありすかネバーランド山折繋がりなのだろうか。
おじさんは間違いなくキャラシのシビトなんだろうけど、こいつも設定見ると秘匿受刑囚そのものだった。
キャラシ見る限りは一切話が通じなさそうなんだが、この時点だと表面的にはだいぶ話せるおじさんになってるね。
ギャルとおじさんがどういう話をするのか全然想像つかないが……。
あと偶然だろうけど監修の亜座香のペンネームは縁起が悪すぎる。

御伽噺なので血生臭い描写が徹底的に排除されてる、きれいなものしか存在を許さないグロテスクさがある。
> 違う違うわ! あなたの永遠はただの身勝手よ!
> みんながみんなあなたと同じ永遠を望んでいない!
これ絶対ブーメラン帰ってくるセリフでしょ……。
きれいなものしか存在を許さないのがゾンビの村と化したネバーランド山折だったので、この御伽噺とネバーランド山折はどれも五十歩百歩感がある。
なんなら死体を消してしまうメアリーの無重力空間も同じ穴のムジナ感がある。

風呂敷が大きく広げられているのと、登場人物たちの目的が未知なので、現段階で難しい話なのはそう。
光のアリスは流れの観光してるだけかもしれないけど、ギャルとシビトは、村に何しに来てこれから何しようとしてるかは分からないもんな。
登場人物たちの思惑も全貌は見えないので、色々とこれからの掘り下げ次第というところなのでしょう。


043.流星の申し子
大阪万博にはベネズエラも出るそうですね。
Mi Amigo Felix、スペイン語の歌は聞く機会なんてないのではじめて聞いたけど、牧歌的な雰囲気のする歌だった。
ベネズエラは国名しか知らない国なので、中盤の社会情勢は初級ベネズエラ講座のような感じで読んでいた。

次話がちょうど変身型超力者の世界的な傾向に触れる話なので、
セレナはアビスで刑務しているとはいえ、だいぶ幸運の星の元に生まれた子なんだな。
ローズの生い立ちと比較するとまわりが暖かい、まさに生きる世界が違っている。

> 「ハヤトさんとわたしが無事に過ごせますように!」
セレナを利用するべきか、誠実に接するべきかとハヤトが揺れ動いているときにこの願掛け。
ハヤトの自己定義を揺るがすだけの強さがあっていいですね。
似ているようで違うセレナとの交流で、ハヤトは自分が何をしたいのか、何をすべきなのかを考え考え考え抜いて答えを出していく、
そんな迷いある若者ぶりが微笑ましくて青春していると思う。

また、自分のことを第一に考えろと言っていたハヤト、まあ守秘義務のあるジョーカーと違ってハイエナはそこまで縛りはなさそうなんですけど、
セレナに役割を少し話した時点で彼女を利用するのは大方放棄してしまってるような。
セレナに安易に見捨てないと言えないハヤト、絶対に生き残ろうと言えないハヤト、
彼、たぶん人を利用する仕事向いてないよ……。
ストリートギャングもだいぶ向いてなさそうだけど、因縁を抜きにするとネイには気に入られそうな人物ではある。

> いいな、似合ってるよ。月と星ってことじゃねえか
何気なく発したこの言葉に顔を赤らめる二人はとてもじれったいし、
言葉の取りようによってはセレナとミナセがお似合いだという示唆のようにも聞こえて、ここだけ恋愛ドラマの世界なんですよね。
流れ星デートだよ、そりゃギャルも美味しくゴチれるよ。
ハヤトは外見的にも内面的にもセレナに徐々に惹かれてるし、セレナはセレナでハヤトに好意を持っているんだよな。
過酷な刑務作業なだけに悲恋に終わる可能性も十二分にあるけれど、彼らのドラマがどのような結末を迎えるかには注目したい。
メリリンから渡されたアクセサリーが作中でどういう役割を果たしていくのかも気になるところ。

53名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:44:43 ID:xzFO03fk0
044.ランブルフィッシュ
さらっと出てきたモブ三人、とても自然に世界観に馴染んでいたので、名前が脇役とエキストラとモブキャラのもじりだと分からなかった。
ワキヤ・クーランなんて声に出して読めば一発で分かるはずなのに分からなかった。
治安の悪いクソガキ感満載のワキヤ、気の利く言い回しで話を〆るスートラ、物腰柔らかながら怖い者知らずで自分が一番上だと思ってそうな妃星、みんなキャラ立ってていいですね。
そんな彼女らからもドン引きされるスピード懲罰を受けた戦犯殿に敬礼!
戦犯殿本当にキャラが立ちすぎていてにこにこしちゃう。

あるキャラの他人からの評価って大体面白いんですが、"飼い犬の、更に飼い犬"はパンチの効いた侮辱でいいですねえ。
このときの妃星の解、絶対にムカつく笑い顔してるぜ?
ローズの地雷をストンピングするかのごとき勇気ある挑発に敬礼!

> 自らのネオスと共に生を受けた新時代の子供達は、誰もが生まれながらにして暴力への切符を持つ。
この一文、ほんと好き。印象的なワードすぎて、ローズのキャラシと、この回でしか出ていなかったことが信じられないくらい。
オリロワAにおけるネイティブの在り方を端的に突いていて、最初はいまいち分からなかったネイティブとオールドの差異の明確化に大きく寄与してると思う。
そして超力とアイデンティティが結びついているということを明示しているからこそ、ローズや安里といった変身型超力持ちが抱える共通の不安定さが浮かび上がってきますね。
姿形に限らず、在り方やプライドの問題、幾重にものしかかる自分は何者なのかという葛藤。
開闢によって、あらゆる垣根が取り払われた結果、大海原に投げ出されて道を見失い、途方に暮れてしまう、そんな状況に陥っているんだろうな。
種族も性別も分からない安里の自己肯定感の希薄さに作中であらためて言及されたことで、
人狼の姿に誇りを持ち、気に入らなくても自分の立ち位置を正しく理解できているローズはまだマシなほうなのでは……? とすら思ってしまう。
たぶん、イースターズの中にも安里みたいな仲間はたくさんいて、ローズは彼女たちに不器用な激励をしてきたんだろうな……。

安里はローズを自由な人間と見ているが、イースターズの実態は閉ざされた世界でしか生きられない不自由なもの。
そして、彼女らを見ると、己の中からくる不自由さを肯定するルメスやトビがものすごく自由に見えてしまうし、
叶苗やセレナの恵まれた家庭環境が得難いものだったんだと改めて思い知らされる。
そんな過酷さを前提として、あらためて、安里がイグナシオとお互いに肯定し合って引き戻し合える関係を構築できたことに、ほっとしてしまう。
常に仲間と己のために気を張り、暴力に明け暮れてきたローズからかけられる激励もまた、臓腑に染み渡るような深い味わいがある。
前話で垣間見えた彼ら三人の関係を、キャラ性を生かしながら肉付けしていく感じがとてもいいですね。

54名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:45:35 ID:xzFO03fk0
045.名無し(ノーネーム)vs多重名(マルチアカウント)
タイトルすごい。
無銘と群体が戦う回にこのタイトルはとても言い回しが洒落ている。

武術の構えについて言及して、闘争の枠というものを説明した後、
あらためて超力戦のセオリーについて書き記している構成が好き。
『速攻』か『遅攻』を選択し、理不尽を受け入れることこそがファーストステップであるという言い切り。
Zでもよく言及されてた初見殺しに対してどうアプローチするかが言語化されているの、
世界として見識が深まっていることが分かると同時に、世界の解像度を大きく深めてくれていいですね。
Zの薩摩を彷彿とさせる指鉄砲は当然のように初見殺しからは外れていたw

オリロワはそれなりに読んだので、何者にも揺るがされない精神性の持ち主が強いのは当たり前、
敵に一発撃たせる前提で向かってくるやつが強いのもそう。
剛田がダーティーな実戦派の武道家というのもあって、どこかVRの笠子 VS 我道の対決を思い浮かべる一戦。
超力を織り交ぜた激しい技の応酬と読み合いは、読み応えのある闘争ですね。
無銘の精神耐性という超力をきっちり生かしているのは、話の作り方がうまいと思う。
杏の初見殺しを精神耐性の逆初見殺しで完封するまでの流れがよく組み立てられている。
人格弾を腕をもぎ取って防ぐのは凄まじいと思うけれど、戦闘狂かつ何事にも動じない精神の持ち主であれば、なるほど……と思ってしまうラインなのが巧いな。

> 「人の大切な家族を奪うなんて…………ひどいッ!!」
ここ、かなりどの口ポイントが高いですね……。
これを言い放った後に人格弾丸放ってるので、価値観が一般的な人間からかけ離れていて大変不気味。
そしてその後にファミリーとして仲良くしだすの、こいつ善悪超えた人類の敵では?
前話でアイデンティティについて触れられていたけれど、安里よりもさらに自己肯定感の薄そうな清彦、
自己の立ち位置を見失った帰結がこれなのでは? みたいな印象も少しある。
なお、読み返すまで本条本体が指鉄砲を撃ってたの気付かなかった、てっきり本体は気絶している間に終わったものだとばかり……。

無銘の死体は消えたのだけれど、剛田の超力が引力関係だったからそうなっただけで、消えないパターンがあるのかもしれない。
でないと、サリヤを生き埋めにして、生き残ったと知って殺し屋を差し向ける極悪メリリン概念が爆誕してしまう……w

55名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:50:06 ID:xzFO03fk0
046.交わらぬ二つの希望
一回目はりんかと紗奈が解体されないかと戦慄しながら読んでいたのだが、
二人が無事だと分かってから読み直すと、ルクレツィアの厚顔無恥っぷりに嫌悪とか軽く通り越して感心してしまったんですよね……。
ヒーローのお約束も解さないので秒で紗奈を狙ってくるド外道っぷりなんですけど、
ナレーション君とソフィアがボコボコにしてくれるのでギリギリでヘイトの臨界点を行ったり来たりしているヘイト管理の匠。
具体的に言えば、『なんなんこいつwww』と『なんなんこいつ……』の感情を反復横跳びさせてくる女がルクレツィアである。
彼女のマイクパフォーマンスと行動原理はだいぶ露悪的なので、ヒーローがこんなやつに負けてしまうのはだいぶ絶望感があるんですが……。
そこんとこ、誰かケアしてあげてね、みたいな気持ちもある。

今回もナレーション君とルクレツィアの気の置けない仲が垣間見えますね。
前話みたいな殴り合いで仲良くなるのはよくある展開じゃねーんだわ。
ルクレツィアはふてぶてしいので、地の文で常時ファイティングポーズ取っておいて、
寝言抜かしたらナレーションで殴るくらいでちょうどバランス取れるやろ、くらいに考えられてそう。

今回もキレッキレなルクレツィアのどの口ぶり。ソフィアは打てば響くので面白いんだろうな……。
ソフィアがルクレツィアのお母ちゃんみたいになってるが、ルクレツィアは割と本気で友人として扱ってそうではある。
それはそれとしてソフィアをダシにしてりんかと紗奈襲っているので、お前はもう一度ソフィアに一度殴り飛ばされておいたほうがいい、というのはそうです。
なんならりんかと紗奈も20発くらい殴り飛ばす権利はあると思います。

ルクレツィアと話すたびに、ソフィアが「も〜〜〜っ!!」って頭掻きむしってそうなの、同情する気持ちもあるんですけど、自業自得感も強い。
世に出しちゃいけない巨悪を狙って殺そう作戦とか、こいつら殺すのはよそうぜリストとか、なんかしょっぱい……。
たぶんそういう陰謀の真似事みたいなムーブは慣れてないんだろうなあ、と思いました。
色々ソフィアなりに考えてるけど、ルクレツィアは悪党なので、敢えてその理由を推察したうえで意図的に破ったりできる人間でしょ。
そして、りんかと紗奈の心を踏みにじるルクレツィアを秒で止めようとしなかったので、ソフィア自体は確実に堕ちてきてますよね。
一線の上でタップダンスする程度で済んだのと、りんかたちがヒーロー側だったので今回は土下座で許された感じですが、着実に地獄へ進んでいる気がします。

ところでルクレツィアもネイティブなんですよね。
どんだけ殴られてもすぐに復活する超回復力がメンタルに影響して、このふてぶてしさと白々しさが構成されてしまったのでは、というイヤすぎる仮説ができてしまった。

56名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:51:58 ID:xzFO03fk0
047.耐え忍べ、生きている限り
ジェイの兄貴はたぶんプレジデントオンラインを読んでいる。
秩序側は安定はするが、仕事を選べないので死亡を命じられることがあるのが欠点。
まあでも予知がすごい兄貴なので、死ぬことは織込済みできっと血筋は存続していくでしょう。
ソフィアとかの所属してた対超力の特殊部隊のはしりかなあ、その辺は曖昧。
なお稼いだ時間441秒=21(魂の重さ)×(20+1)、なので最後の1がジェイになるんですけど彼この後すぐ死ぬかもしれないので特に言及はしてないです。

バルタザールは掘り下げようと思ったのだが、服役30年かつ正体不明はなかなか外との絡みが難しい。
そもそも30年前は生まれてないキャラも多いんですが、Zでいうと与田センセと同い年なんすね……。
たまたま収監年齢がジェイと同じだったので、類似箇所と対比で繋げていく方向に。
元ネタ? の鉄仮面の男からして、王族説あるし上流階級かなあ、くらいの匂わせで。
エネリットとの噂話は、特に決まってなさそうな彼のターゲット候補その1くらいのイメージですね。

使いこなせば間違いなく強い超力を持ってるのに、15年のブランクがでかくて死にまくるジェイ。だんだん悲しくなってくるな。
フィジカルお化けと怪人にしか会わないので、ちょっと対人運がなさすぎるが、このロワどこを見ても怪人だらけなので平常運転である。
ジェイの鬱屈は、中年男性ならああアレね、くらいに思いつく人もいると思います。

銀鈴、割と観光気分でちょっかいかけてくる女。
即死選択肢だらけのギャルゲーらしいが、こいつを攻略できるルートがあるのかは僕にはわからない。
彼女はがんばると褒めてくれるイメージがあるので、トビとか美火とか出会った人全員褒めるシーンも考えたんですがねじ込める場所を時間内に作れなくて省きました。
ちなみにやばいやつと友人になるパターン、めっちゃソフィアのところとかぶっとるやん、と投降した後に気付きました。

予知演出のrevertとcommitはgitとかsubversionあたりのアレ、まあ確定するのはpushなんで混ぜてる。
ただこの演出、独自にしたい欲が出て歯抜け文章にしたのだが、これ17話の通りに素直に巻き戻しにしたほうがよかったかも……。
読めなくならない箇所を伏字にしたのだが、脳の文字保管がいまいち効かなくて再読で余計なカロリー消費が発生する。ここは失敗かもしれないです。

57名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:55:46 ID:xzFO03fk0
048.殺害計画/衝動
タバコを持たせると無限に味の出る男、ディビット。
> 後悔と達成感が入り混じった複雑な表情を浮かべていた
かっこよく決別を演出するはずのシーンでこれは恰好がつかなすぎるw
普段の頼れる男ぶりとは対称的に、タバコが絡んだ時に残念になるのがチャームポイントになってて好感が持てますね。
彼の状態表にある苛立ちが消える日は来るんだろうか。

たった10年の刑期と圧倒的な強さで、私怨以外で狙う旨味がないキング。
確実に勝てる手を打つ慎重派かつ、他人を使って事を為すのでたどり着くことすら困難。
この男のそんな強みを、ポイントを無理に稼ぐ必要がない→ポイントによる恩恵を得る機会がないという弱みに反転させたこと、着眼点が美しい。
ポイントが死蔵されやすいこの刑務の特徴、ポイントが欲しい刑務者ほど後半になるほどに得難くなっていく性質をいち早く分析して、未使用のポイントそのものに価値を見出すエネリットの慧眼。
物事を多面的に見た解説自体が面白く、色々と驚くと同時にその広い視点に膝を打つ。

ネイティブとオールドの違いも徐々に明らかになってきたけど、ネイティブの燃費が悪いというのは大きな情報ですね。
ディビットと同じく、24時間くらいなら飲まず食わずでもなんとかなるんじゃないかと思ってた。
食事シーンと睡眠シーンは端折られがちと言われますが、長いスパンで見たときに誰をいつ休ませるかの選択はなかなか悩ませるものがありそう。
水場の少なさとこれによる拠点の重要性も全然意識していなかったのだが、シミュレーションとして見たとき色々予想外の方向から課題が降ってきた感じだ。

エネリットと蓮、横から見るとすっごいピリピリしてる。
二人とも物腰柔らかなのに、導火線を火が辿っているような一触即発の雰囲気で、張り詰めた緊張感に溢れてる。
のっけから、その服どうしたんだよ=お前人殺してんの? みたいなやりとりをにこやかにやってるの怖すぎて震えてしまう。
蓮の超力を知った上でぐいぐい踏み込んでいくエネリットの言動は、傍目から見るとチキンレースとか度胸試しに見えるんだけど、本人はしっかりラインを見極めてるんですよね。
彼の人間力は、裏稼業の人間や怪異のような連中とはまた別軸の底知れなさがある。
エネリットのそんなアプローチを、微笑を湛えて称える蓮もまた、一筋縄ではいかない人間だということがしっかりと明示されていていいですね。

049.憑き物
僕はオリロワZに最後までいたので、土地神!? とめっちゃほっこりしたんですよね。
なお、Zの彼女に対して土地神と定義する箇所自体は一回しかないので、実はかぶっていない説もある。
祟り神なので似たようなものかもしれないが。

仁也はキャラシ上では人間不信だったはずなのだが、素の人当たりの良さがどんどん出ているな。
エンダの行儀を注意する仁也、完全におとんですからね。
エンダはこの時点までは隠し事も多そうで人間味を感じないミステリアスな人物だったのだが、
仁也が彼女を信じたいと自分から言い出したのは、やはり同じ秘匿カテゴリであることに気づいていて、心なしか共感を持っていたからなんだろうか。
本来のエンダが紛れもない善人であること、神という看板に似つかわしくない弱さを見せたこと、思いの外彼女が人間くさかったこと、
色々合わさって仁也の保護者感が確立しましたね。

ドンに楽に勝てたんじゃないか、の印象を、勝たなきゃいけなかった、と改めるのはうまいこと印象を転換させた、と思う。
ドンの格を高い地点に保ったと同時に、エンダを挑戦者の側に位置付けることで、超然としていた彼女に強い人間味を付与して魅力を引き上げてる。
懺悔をする神、秘密の交換を約束する神、人間味を感じないどころか思いっきり人間界に染まってますからね。
こういうところも、仁也がエンダを放っておけない存在だと認識を改めるまでのプロセスとして有効に機能している。

ドンの航海日誌、苦笑というか二度見しそうな文豪ぶり、割と衝撃だった。
言われてみればタフでめちゃくちゃやってるだけで、頭が悪そうな描写はなかった気がする。
いやでもこれはちょっと面白いですわ。

そしてオチに使いやすすぎる女、ヤミナ。
因果律操作という世界層に干渉できる超力があるので第四の壁を超えてくるし、結果、なんか書き手にまで侮られる無限のポテンシャルがあると信じてる。
ブラックペンタゴンが拠点に使えそうという話の直後にトイレ探し出すの、絶対なんか”持ってる”よ。

58名無しの囚人:2025/04/23(水) 23:59:24 ID:xzFO03fk0
050.若きギャングスター
薬物に人生を狂わされたネイの壮絶な生い立ち。
回想の中で両親のウェイトが意外と大きくて、怒り、憎んでいたと同時に愛情も確かにあったんだろうなあ、と推察できてしまう。
満を持してキングス・デイとルーサーの名前が出て来たとき、思わずネイを応援したくなるような感情が湧き上がったし、
絶対悪たるルーサーを圧倒的に印象深いものにするいい回想だったと思います。

ネイは攻撃的で熱くなりやすい割には柔軟で冷静な面があるな、という印象。
感情と超力が直結するネイティブであるということ、そして感情を攻撃に転化する超力であるということ。
その割に、感情と行動を切り離すことができるので、彼はだいぶ理性的な人間に見える。

そして薬物撲滅を掲げるネイだけに、一本筋が通っていて、知識も、それをベースにした俯瞰力も卓越したものがあるなあ。
キャラシの『所々妙な教養を感じさせる』という一文が、対話相手に一歩先んじる会話力として描かれているのはなるほど、と思った。
ここで動いたことが後々世界にどんな影響を与えるかを常に考えて、常にアンテナを張っている。
ビジョンを掲げる経営者や政治家にそういう人が多い印象で、ネイもまた人の上に立つ器があるんだなあと感じさせてくれる。

ルメスがネイに言い負かされたのは、まさに視野の広さですよね。
今まさに苦しんでいる弱者への救済という個人に対する療法をおこなうルメスは短期的視点になり、
薬物の撲滅という社会に対する療法を掲げるネイは、遥か遠くの未来を見据えている必要があるので長期的視点を持つようになる。
ネイは薬物関連については一家言あるのだから、そりゃあ彼のホームで説得は無理よ。
ルメスは説得の際にも結構小細工してる印象なので、ネイと対立する立場だったらキレられてたんだろうな……。

そんな二人の討論を一歩引いたところから見守り、お互いの共益のラインを提示できるジョニーはまさに大人。
> 世の中の悪い奴がちょぉっと強かっただけだ。
この言い回し、粋でとてもよい。
人の繊細な心を労わる言い回し、この一言でジョニーの好感度が上がっていきますね。

メカーニカまわりの件に対して自分の要求をストレートにぶつけるルメスと、そこからお互いに納得できるラインを提示するジョニー。
このコンビの要求がドアインザフェイスの手法になってて、ジョニーがこれを狙ったのならなかなかの食わせ者。
一人でやるには卓越した交渉力が必要になるこの手法、ルメスを挟むことでさりげなく話をまわせてる、こういうの作者さんの腕が出てて面白い。


――ここまで

59名無しの囚人:2025/04/28(月) 07:44:51 ID:XtcY/n9c0
36話「祈りの奇跡」で書かれた超力の分類に沿って受刑者定義
発動条件など曖昧な部分を想像で補完してる箇所もあるので、あくまで個人的な妄想リスト

対象:自対象・他対象・空間対象・概念対象
条件:任意発動・条件発動・常時発動

【自対象】
①任意発動
アイ
ギャル・ギュネス・ギョローレン
スプリング・ローズ
大金卸 樹魂
トビ・トンプソン
羽間 美火
北鈴 安理

②条件発動
鑑 日月

③常時発動
セレナ・ラグルス
只野 仁成
氷藤 叶苗
呼延 光
無銘


【他対象】
①任意発動
アルヴド・グーラボーン
エルビス・エルブランデス
ジェイ・ハリック
ジャンヌ・ストラスブール
ジルドレイ・モントランシー
征十郎・H・クラーク
内藤 四葉
バルタザール・デリージュ
フレゼア・フランベルジェ
宮本 麻衣
メリリン・"メカーニカ"・ミリアン
夜上 神一郎
ルーサー・キング
ルメス=ヘインヴェラート

②条件発動
交尾 紗奈

③常時発動
ジェーン・マッドハッター
氷月 蓮
舞古 沙姫


【空間対象】
①任意発動
ドミニカ・マリノフスキ

②条件発動


③常時発動
メアリー・エバンス


【概念対象】
①任意発動
イグナシオ・"デザーストレ"・フレスノ

②条件発動
並木 旅人

③常時発動
ソフィア・チェリー・ブロッサム
ヤミナ・ハイド

60名無しの囚人:2025/04/28(月) 07:45:32 ID:XtcY/n9c0
【対象や条件が複合】
①自対象ベースと思われるもの
ジョニー・ハイドアウト
→自己改造という点では自対象・任意発動、物質吸収という点では他対象・任意発動

ディビット・マルティーニ
→基本は自対象・任意発動だが、運に干渉できるので部分的に概念対象の要素あり

ルクレツィア・ファルネーゼ
→黒煙は自対象・常時発動、紫煙は他対象・条件発動


②他対象ベースと思われるもの
アンナ・アメリナ
→自軍と武装の強化なので自対象・他対象の複合で任意発動

エネリット・サンス・ハルトナ
→他者との契約による能力譲渡が肝なので基本は他対象・条件発動。自己に能力を付与するので自対象の要素あり

エンダ・Y・カクレヤマ
→現象を操っているので基本は他対象・任意発動だが、超力干渉が可能なので部分的に概念対象

恵波 流都
→基本は他対象・任意発動だが、ブラッドストークは自対象・任意発動に該当

葉月 りんか
→基本は他対象・常時発動だが、シャイニング・ホープ・スタイルは自対象・任意発動に該当

本条 清彦
→他者の人格簒奪は他対象・任意発動。その後の人格維持は自対象・常時発動に近い

ネイ・ローマン
→他対象なのは間違いないが、感情を原動力にするため任意発動か条件発動か定かではない

ハヤト=ミナセ
→エネルギーに干渉する超力と考えれば他対象?自身にエネルギーを蓄積させる超力と考えれば自対象?特定の予備動作が必要なので条件発動


③空間対象と思われるもの
ドン・エルグランド
→嵐の領域を展開してるので空間対象?あくまで自然現象操作なので他対象?

銀鈴
→特定の領域内で身体常時増強+他者の超力と身体能力無効化なので、自対象・他対象・空間対象・概念対象すべてに引っ掛かる。条件発動・常時発動も重なってる

61名無しの囚人:2025/04/28(月) 07:50:24 ID:XtcY/n9c0
>>59
投稿してから気付いたけどアルヴドさん、征十郎みたいな特定の武装が必要な人達は条件発動になるかもしれない
後から申し訳ない

62名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:12:20 ID:hrh4SOIQ0
―続き

051.花の監獄
ブラックペンタゴンから長らく不動であったエルビス、一体何をしていたのかと思いきや、納得のキリングフィールドができあがっていた。
前話であれだけ孤高と哀愁とを漂わせていた彼がやっていたことが、キリングフィールド作成というのはミスマッチ感があるのだが、
このらしくなさを恩赦への本気度と転換することで覚悟の度合いを何倍にも高めていくやり方がうまいですね。
ネオシアン・ボクスの無敗のチャンピオンが、誰よりもその在り方に誇りを抱いているはずのエルビスが、拳闘士としての矜持をすべて投げ捨てるという異常さ。
捨てたものが輝かしく、偉大であるからこそ、エルビスの意志の強固さが浮き出してくる。
一途で不器用そうなエルビスのキャラだからこそ、そこに不退転の覚悟がうかがえるのも強い。

無機質な建物に一面に広がる花畑もまた、異質さ極まっていて、舞台として映えますね。
監獄らしき巨大建造物を舞台に密室デスマッチってものすごく”らし”くて、好き。
そんな監獄の密室にて、脱獄王の動きがその絶体絶命の危機をひっくり返すカギとなるというシチュエーションもいい感じですね。

初期位置の調整については、ここで言及されて目から鱗が落ちた気分だった。
確かにゲームではなくて目的付きの刑務作業なので、ランダムにする理由がないんですよね。
BPの造りも含め、ヴァイスマンの悪辣さと抜け目のなさが光ってますねえ。
トビと四葉の運命の出会いに言及することでオチもしっかりついている。

> 「別に、アレを倒しちゃっても構わないんでしょ?」
> 「さぁ、遊ぼうぜぇ〜。チャ〜ンピオーーン…………ッ!」
チャンピオン相手にこれだけ大見得を切れるの、ほんとに好き。
やはりこの女は紛うことなき狂犬よ。

そして数時間程度の付き合いの男性にうんこ行きたいの待っててあげるよといえてしまう四葉くん。
恥じらいなく、ぐいぐい行けるその気っぷのよさこそがコミュ強たる証なのか……。

63名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:13:04 ID:hrh4SOIQ0
052.Dies irae
ジルドレイ VS フレゼア、みんなが期待していた(悪)夢の対決。
勝ったほうが我々の敵になるだけです案件にバチっとハマっている。
ジャンヌ信者同士というだけでなく、奇しくも両者ともボコボコにされて怒りのままに超力を強化しており、いろいろと似た者同士感がある。
ジルドレイ、フレゼア、それとギャルがそれぞれ出てくるときに肩書きと共に裁定が語られるの、ボス登場の決めゴマっぽくてとてもかっこいい。

信者二人の戦闘は氷と炎という映えがあり、その余波だけでも軽く命が失われる状況、スケールが大きく、脅威として描写が十分。
そのうえで、神一郎がその目で平静に戦場を見渡してくれるので、二人の戦いで何が起こっているのかが非常に分かりやすい。
次に何が起こるかをその観察眼で捉えて全員に伝えてくれる神一郎、彼は実況の才能もあるのではないだろうか。
逃亡劇から続く氷炎の激突からの包囲網、ギャルの乱入からの混戦、ハヤトとアルヴドの参戦による逆転と目まぐるしく変わる状況は冗長さを感じさせず、
そこにヒューマンドラマが幾重にも混ぜ込まれていて最初から最後まで読み応えがありました。
ハヤトとセレナなんて、主人公力とヒロイン力が天井を突き破ろうとしてますからね。
そしてギャル、青春見つけて氷炎のところに舞い戻るワケの分からないヤツなんですけど、ギャルなら納得できてしまう謎のハマりっぷりがある。

ジャンヌに抱いた恋焦がれる感情を間違った受け取り方をして、怒りのままに道を踏み外したフレゼア。
怒りと共に立ち上がったはずなのに何の救いも得られず、失望のままに燻り続けたアルヴド。
顛末は対称的だけれど、どちらも己の怒りを正しく昇華して、穏やかに生を終えたように思える。
フレゼアが最期にジャンヌと同じ高みに登り、導かれるようにアクセサリの中に意志の火を残す最期はとても美しい。
彼女を本当に進みたかった方向に導いた言葉が、ジャンヌの物語を開いた言葉と同じなのはにくい演出。
夜明けの描写もまた、精神の袋小路からの解放のように見えますね。

そして、怒りが最重要なファクターだけれどそれだけではなくて、
並行して己の声を正しく受け取れているのか≒迷いと向き合えているのかを、神一郎を除く全員に対して問いかけられている気がする。

アルヴドは自身の声、自身が抱いている原初の怒りの声を思い出したことで、
フレゼアは自分が最初にジャンヌの何に恋焦がれたのかを思い出し、己の歪められていない声に向き合ったことで、迷いから解き放たれた。
セレナについては、仲間を残して一人だけ助かってしまった後悔と、
だからこそ生き延びたことに意味を求めずにはいられないという揺らぎの中にいるように思っている。
ハヤトは二点、兄貴分のカズマに見捨てられてしまったことについて、仕方のないことだと割り切りつつも揺れ動いていたこと。
ハイエナ役を引き受けたことで、セレナを巻き込むべきか巻き込まないべきかで揺れ動いていたこと。
この二つが折り重なって迷っていたけれど、彼はセレナの飾らない正直な気持ちを聞いたことで、一つ落ち着きどころを見つけられたように思う。
二人のそれは怒りとして描かれてはいないけれど、理不尽さや罪から目を背ける行為に対する感情の発露ではあるので、
アルヴドやフレゼアのそれと重なるところがあるような気がしていますね。
そして、このバランスを崩したときに悪に堕ちる、というようなものはあるのではないかなあ。

神の声に苛まれ続けているジルドレイは途上だけれども、
ギャルだって、アルヴドとの最期の会話で何かしら思うところがあったのを、享楽の仮面で塗りつぶしたように見える。
物言わぬしかばねとなったアルヴドに対して、一行だけギャルの無言が差し込まれるのがとても味がある。

そして神一郎、この人だけは異質な存在感を出している。
刑務者の一人であるはずなのに、語り部のような立ち位置なんですよね。
狂言回しの役割なのだけれど、どうにも観察者とか注視者といったようなステージの次元が違っている存在に思えてしまう。
最初に銃持っていないよと言いながらアルヴドに銃を餞別として送るくだりはある意味シーンとして映えるし、それはそれとして苦笑するしかないのだけれど、
実際神一郎一人であれば脱出できたんじゃないだろうか、そのうえで自らの欲望を優先したとも読み取れる。
なんなら、ギャル参戦で混戦になってもゆったりと無傷で脱出してきそうな異質さがありますよね。

ヴァイスマン・レポート、看守長なのに自分で事務レポート書いて、ちゃんと検閲まで済ませてるあたりがいかにも神経質で生真面目そう。
付箋での叱責がいちいちらしくていいですねえ。
事務作業やれる人はほかにもいそうなんだろうけど、ヴァイスマンがやるほうが出来がいいからやってるみたいなのありそうなんだよな……。

64名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:14:58 ID:hrh4SOIQ0
053.超人幻想/親愛なる始まりの君へ
ヒーローが無垢なるものを守り、無垢なるものがヒーローを守る。
紗奈の未熟さをりんかが包み込み、りんかの重圧を紗奈が支える。
ヒーローにおんぶにだっこするだけじゃなくて、紗奈にしかできないこととして、りんかに寄り添う。
紗奈の前で、りんかはヒーローではなくて一人の悩める人間に戻ることができる。
そんな二人の関係が健気で、見守りたくなる印象。

すべての大人に敵意を示していた紗奈が、りんかに心を救われて、りんかの心を癒す側へと変遷する。その光景がとてもいいですね。
大人に食い物にされ、大人を信じなかった紗奈の口から発せられる信じたいという言葉が心に染み渡る。
彼女に信じられると言わせられたこと。本当に欲しかった人が見つかったと言わせられたこと。
この命は誰かを救うためにある、そんなりんかの信条がついに報われた瞬間でしみじみとしてしまった。
命のリレーを発端とした、希望のリレー。淡いタッチで描かれていそうなその輪廻は、とても美しい光景だと思います。

ただ刑務作業を生き残って、独房に入りたいというのが願いだった紗奈が、りんかを守れるようになりたいという欲求を抱いた。
これを、紗奈の人生が再び始まると形容するのは粋ですね。
新しい人生を歩む契機となったあなたという概念を、タイトルの親愛なる始まりの君と受け取りました。
希望の結実と共に彼女らの変化と成長が確かに描かれていくこの話はだいぶ読後感がいいです。

054.落下速急行
初登場と次話で目の血走ってそうな狂信者っぷりを見せつけたドミニカ。
いざ他者と絡んでみれば、純朴な田舎の聖職者って感じだった。
ドミニカは危険人物だけど危険ではなかったので、全体的にコメディタッチである。
微妙に話が通じてないようで話が通じるドミニカと、戦力は欲しいがめんどくさそうで辟易してるメリリンとの対話のすれ違いがなんか笑える。
オリロワAってZやVRあたりと比べるとみんな生真面目というか、刑務に真摯でコメディやぼの展開やるキャラが少ないので、彼女らは貴重な要員だと思うのだ。

ソフィアなら確かにメアリー空間を突っ切れそうだけど、素直に協力してくれるかというと怪しそう、具体的には隣にいるお嬢様が何をやらかすかわからない。
そして隣のお嬢様を見てドミニカが平和的に解決するかというととても怪しいので、目的地に着いたら別れるは正しいのかもしれない。

ドミニカは見た目美人という設定だけど、彼女は垢抜けない印象がある。たぶん内陸州育ちだと思っている。
ルーサーを黒人公民権運動の指導者と勘違いしたのをこりゃアカンと匙投げられてたけど、
そもそも裏社会に縁のないアメリカ人って普通にそっちを連想する気がする……。
ジャンヌだって、裏社会に縁がないなら凶悪犯罪者としか考えない気がする……。
征十郎なんかと同じく、表世界出身の囚人ですよね。

危険な領域型超力者の征伐にメリリンたちを巻き込もうとしないし、ちゃんとタクシーになってくれるし、タブーに触れなければ思った以上に話が分かる印象。
そして超力であなたたち山の向こうまで運べますのドヤ顔宣言して、二人の三半規管壊滅をやらかして、ヘコむドミニカはドジっ子そのものである。
雰囲気で誤魔化しているが内心大分わたわたしてるので、この子ひょっとしなくてもかわいいのではないだろうか。

65名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:15:33 ID:hrh4SOIQ0
055.少女たちの罪過
他人を悪い意味で巻き込む系のノルマ課されたときってびっくりするほど気力が失われるんですよね。
人間の一貫性の性質を利用しているのだとは思うけれど、なんで逃げ出せないのかはよく分からない。
できそうなできなさそうなラインを提示してくるアップってほんと怖いですよね……。
性根が悪党だったりサイコパスだったりすると平気で抜け出せるのだが、叶苗は性根が善寄りなので禁忌を侵す恐怖に吞まれそうになっている。
そして、恐怖に呑まれて立ち尽くす彼女は感性があまりに一般人。
叶苗が苦しめば苦しむほど、ソフィアに、お、お前……、となってしまう玉突き事故が発生するのだが……。
アビスにナチュラルに搬送されたソフィアと、アビスに搬送されるように努力した叶苗とではやはりアビス適性が違うのか。

ジャンヌは光の人なのだが、強すぎる光が、各々の影を浮き上がらせていますね。
彼女が傍にいると、誰もかれもが自分の罪をあぶり出されて怯え始め、狂気をまとう英雄とされるだけのことはあるなあ。

たぶんアイにはジャンヌもキングも同じように見えてたんじゃないかなあ。
アイの暴走とか、個で見ると突発的なものなのだが、
ジャンヌとキングは方向性が反転しているだけの正義/悪の体現者と考えると、双方等しく脅威を感じるのは道理。
キングに怯えて襲い掛かったアイがジャンヌに襲い掛かるのも当然なんだろうなあ。
そしてこれまで周りに翻弄されるがままに色々選択を間違ってきた叶苗だけれども、アイとの接し方だけは正しい方向だったことは救いかな。

日月にしても、光の形をした"畏"にあてられてしまい、その身を守るために強く当たっているところがあるのでは?
ジャンヌに強く惹かれ、光をより多く受け取るようになり、それに呼応するように悪態をつく場面が増えたような気がする。
そして悪態をつくたびにジャンヌの英雄然とした在り方を見せつけられて気圧されるスパイラルに陥っている気がする。
日月は矛盾した在り方が根幹を為すキャラなのだと思っているけれど、
キングやジャンヌが悪と善の体現だとすれば、日月は善にも悪にもなりきれない矛盾だらけの常人を体現したようなキャラになっていますね。
ジャンヌに感謝されて喜ぶことを受け入れた時点でその他大勢に堕ちるが、ジャンヌに勝つという道のりはあまりに長く険しく道のりで途方に暮れる。

>「貴女は、親切な人ですから」
色々画策している相手に対してこの言い方、まさに絶句であり、存在のステージが違ってそう。
ジャンヌはキングに一人挑む選択を取ったけれども、他の選択肢をいくらでも選べる中で孤高に一人挑むジャンヌ、崇高にして高潔にして異常。
やはり正義と悪以外の第三者がいるとジャンヌの特異性は際立つなあ。

66名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:16:33 ID:hrh4SOIQ0
056.いっそ最初から出会わなければ──
刑務官の真、刑務者側の何人かにだいぶシンパシー感じてそう。
彼女はボタンを掛け違えていれば刑務者側に来ていた人間だと思う。

アビス到着直後のソフィアはだいぶひどいですね。
ソフィアという個から色が失われ、目から光が失われ、唇が乾き切ったという様子に思える。
ルクレツィアを事あるごとにしばいてる今の状況は割と笑えるのだが、これも皮を一枚めくると虚無が出てくるんだろう。
あらためて薄氷の上にいる人間だと感じる。

ルクレツィアの面の皮の厚さがいきなり炸裂してますね。シリアスブレイカーしている。
この回のルクレツィアはたぶん一人だけ二頭身であり、ソフィアが悲壮な顔して語っている後ろでぴょこぴょこ動いているやつだと思う。
ソフィアの欠落箇所を話すまでのくだり、絶対ルクレツィアが知りたいだけなんだけど、
当人としてはどしたんつらいん言うてみ? くらいのノリで聞いてたら思ったよりシリアスだったな、くらいに感じてそう。
恋人からの愛称を勝手に拝借してぐいぐい距離を詰めてきた挙句、スパコーン!くらう流れは芸術的ですらある。
正直いきなりソフィ呼ばわりしだすルクレツィアは面白かった。

恋人のことを語りだすとたぶん無意識にのろけが入り始めるソフィアと、ずけずけ踏み込んでいくルクレツィア。
結果、話の内容はだいぶ重いはずなのになんとも反応に困る雰囲気を作り出してしまっている。
まあ、ソフィア一人が語り出すとだいぶ辛気臭くなって、そのまま気分が沈み込んでまた色を失いそうなので、
適度に脱線させまくって現実に引き戻してくれるルクレツィアはいい感じの触媒になってるんじゃないですかね?
そもそもこの話題ふったのがルクレツィアだという点を除けば。

オンラインRPGばりに気軽に世界の敵が出てきて滅亡に見舞われる世界。
一人の超力で引き起こされた自体は一人の超力で破られるのもまた道理。
泥を啜ることになろうとも士堂との思い出をひたすらに求めるソフィアの様子は、光に灼かれる虫のようで、
士堂がジャンヌに近いというのもどことなく納得感がありますね。

67名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:17:47 ID:hrh4SOIQ0
057.BUY OR DIE?
群像劇ゆえに全員主役と言わんばかりに、登場人物たちの魅力が際立つ。
チャンピオンベルトにふさわしい強さと、内に秘めた決して揺るがない愛を魅せつけてくれるエルビス。
アクション映画の俳優のように、ニヒルな言動と窮地への飽くなき挑戦を魅せ続けてくれるトビ。
エルビス相手に何度も立ち上がり、作中でバトルジャンキーと定義され続けるその所以を見せつけてくれる四葉。
確かな信頼を育み、爪弾き者同士の強い絆で結ばれた仁成とエンダ。
みんながみんな、推したくなる魅力にあふれている。

明らかに文字数を絞って静かに始まるエルビス VS 四葉の死合。
花びら舞い散るような静寂から、画面いっぱいに躍動感あふれる激突シーンのギャップが鮮やか。
なんというか、見せ場から各々の表情まで、想像の中で彼らの動きを漫画のように再現できるんですよね。

無口なエルビスと饒舌な四葉という対称的な二人。
そんなエルビスのモノローグとセリフは、ダリアへの想いでほぼ占められているから、彼の愛がさらに引き立つ。
無口な男が愛を堂々と正面から語れるのはくっそかっこいいですよね。
誰よりも愛に殉じるエルビスの原動力を聞き、その愛情の深さを知り、その程度では私の命には届かないとばかりに、もっと殺す気で来いと不敵に挑発する四葉。
彼女は本当に盛り上げ上手、第二ラウンドのゴングが鳴ったのを聞いた感じがする。
そして口数少なく拳で語り、そして圧倒的に強いエルビスには憧れのような何かを感じる。
彼の戦いは、リアルで強い格闘家の試合を見て興奮するときのような面白さがありますね。

そして、そんな強敵を前に一歩も引かず、あんなふうになりたい、目の前のこいつに勝ちたい、という意志のままにどんどん強くなる四葉。
その成長ポテンシャルは見ていて気持ちいい。
拳闘士なのだから一発拳をブチ込みたい。そんな純然たる欲望を糧に、漢女の技をものにして反撃の一発をブチかます。
大歓声が浴びせかけられていそうな気がしてきますね。
あの一瞬だけ、チャンピオン相手に、挑戦する側される側の立場を逆転させたというその一点が格をぶち上げてきましたね。
そこまで盛り上げておいて、くるっと前言撤回できるフットワークの軽さは素敵である。

トビについても、秘匿受刑囚の危険性を最大限理解したうえで窮地に飛び込んでいく心持ちが見ていて格好いい。
ビジネスライクな関係を強調しながらも、彼なりに同盟者に対してエールを送るのはハードボイルドでいいですね。
エンダは別に敵対的なわけじゃないんだけど、あのくすくす笑い、明らかに空気変わってるんですよね。
エンダは初見の得体の知れなさが一級品なのでちゃんと窮地を演出してくれて、ちゃんとトビがかっこいい。

カクレヤマのルーツは、Zを読んでるとだいたいあの辺だな、みたいなのが分かりますね。
ヤマオリ・レポートを思い出す様な文献、隠山もよく覚えてるし、厄の村外排出システムなんかもありましたからねえ。
ただ、このカクレヤマを最古のヤマオリ・カルトと位置付けるのは要素の拾い方がうまい。
言葉少なながらもお互いを信頼し合う関係。
飾り立てるような言葉は不要とばかりの確かな信頼関係が見えるのがおいしいですね。

そして、秘匿の面々の底知れなさが敵幹部四天王初登場シーンっぽさがある。
エルビスと仁成のエンカウントはボス登場演出みたいでめちゃくちゃワクワクするし、四人の紹介は見開きブチ抜いてアオリ文がついていそうである。
エルビスの素の強さがこれでもかと描写された上で、秘匿の保証とともに鳴り物入りで現れた人類の究極、なかなかに絶望感強いです。
まあ、次話でエルビスをまだ侮っていたことを思い知らされたんですが、この時点だとそうでした。

ナレーションさんがヤミナのときだけナメ切ってるの好き。
ヤツのネオスは第四の壁を超えて世界を侵食している。
タヌキ顔のヤミナはひどい、こいつ本当にオチとして使いやすすぎる。
あんなに強くてかっこいいエルビスを変な半裸男扱い、まさしく別次元を生きている女ですね。ちゃんとお花畑だよ。

68名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:19:00 ID:hrh4SOIQ0
058.灰塵に立つは鉄塔
刑務者の中でもトップクラスの肉体と技量を誇る呼延光とバルタザールの激突。
バルタザールが鍛錬を怠らなかったとはいえ、果たして勝負になるのか? というのが読み始める前の疑問だった。
序盤は間違いなくバルタザールの側が挑戦者だったのだけれど、彼の暴走からその立場が逆転していた印象。

バルタザールってデカいし筋骨隆々だし武器が物騒だしで、見た目だけならパワー系そのもの。
けれどその外見に反し、だいぶテクニカルで搦め手要素の強い戦いを繰り広げていましたね。
ワイヤーフックのように伸び縮みして三次元の空間を自在に動き回る高機動な戦闘は迫力があるし、
捕縛・防御・攻撃とあらゆる局面で活躍する彼の超力、それを有効活用させられる作劇構成に舌を巻く。

怪物に立ち向かっていく呼延光、なんとなくドラゴンに立ち向かうシャを思い出してしまう。
スターシステムで彼の名前出てたのもあるのだが、あいつも「――――龍(ロン)!!」とか嬉しそうに言ってたし、なんなら別の龍相手に一回満足死してたもんな……。
本人たちの性格全然違うのに、中国黒社会の凄腕はみんなそういうの好きなのかな、というとりとめのない考えが浮かんでくる。

強さを極めた代償か、武も仲間も生きる意味すら失っていたはずの呼延光が、
まだその先があるのだと知り、歓びを取り戻す様な構図になっているのがいい。
どんなに肉体や異能が強靭でも理性を失えば生き残ることはできない、というようなイメージがあったのだが、今回は暴走したバルタザールが勝負を制した。
これは、ある意味で呼延光も理性を放棄して、内部から湧き出してくる情動に突き動かされるままにバルタザールに立ち向かっていた、その結果とさえ思う。
呼延光は試合に負け、生存競争には負けたけれど、最後に確かにつかみ取ったものがあったのだなあ。
登場からずっと沈み込んで下を向いていた彼が、最期に少しだけ前を向けたのは感慨深いものがある。

そして漢女に出会い、闘争の醍醐味を取り戻した呼延光が、それゆえに命を落とすという構図。
次話でその在り方に惹かれ、彼女のように為ろうとして命を落とす者が大勢いたという漢女の功罪ならびにカリスマ性が語られると、
まさに呼延光はその一人なのだなあと感じてしまう。

69名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:20:17 ID:hrh4SOIQ0
059.災害の開闢
ベネズエラの万博参加は50年前だったという大ポカぶりを先週披露した。
エルサルバドルも外務省のリストに名前がなかった。この辺の国は本当に馴染ないので解説が初見初見で、ほえ〜って思いながら読んでいる。
テロリスト監禁センターはちょっと前にMSNのネットニュースで見た。
なるほどこれが中米超力治安危機の舞台かと思うと少しだけ解像度上がる。

イグナシオのキャラ立てがものすごく巧いと思いましたね。
彼の二面性はなかなか解釈が難しくて、戦闘狂と探偵という二つが結びつきづらかった。ここに、漢女を一挟み。
それだけで戦いを楽しいと感じる一面、真実を解き明かしたいという一面、真実を押し通すために力を得なければならないという一面、
噛み合いにくそうな個々の要素が練り合わされ、確立した一個のキャラクター性として大成したと思う。

豊富な知識から延々と描かれる地獄は読んでいてかなりきつい。
だからこそ、子供や無実の人を守りたいという思いも、傷つけ合い力を解放したいという欲望も、自分のような倒錯した存在をもう生みたくないという思いも、理解ができる。
この世の地獄と解放と体験した彼の生い立ちを考えると、彼の複雑な内面をすっと受け入れられる。

漢女が先代"デザーストレ"であるということは驚いたけれど、
確かにその強さと神出鬼没さ、そしてまわりに与える影響は"災害"の名にふさわしいですね。
キングやジャンヌとはまた別軸で、善悪関係ない強さという概念の体現者になっている。
この世の地獄にふらりと現れて収奪者たちを一蹴し、虐げられていた者たちを結果的に開放し、
命を拾った彼らに『強くなれ』と言い残して去っていくその行動。
世俗的な欲望からかけ離れて見えるその個のすさまじさは、仙人か修羅か、人間とはかけ離れた在り方をしていて、強く惹きつけられるものがあるのも納得。

一方で、戦いを拒否するイグナシオを焚き付け、巧みに戦いの道に再度引き込もうとする漢女がアビスに収監されるにふさわしいというのもその通り。
平和を求める人間を戦いの場にいざなおうとする誘惑者のようにも見えますね。
漢女に招かれて揺れ動くイグナシオの前にすっと立ち、引き下がらせる安里はかっこいいぞ。
同時に自信のなさと自己評価の低さも見え隠れするので、ここを逃したらもう後はないと自分を奮い立たせて出てきたんだろうなあ。
明らかに迷い恐れているのに、イグナシオの引き留めにも動じずに漢女に啖呵を切ってみせる安里、殻を破った第一歩という感じで応援したくなる。
そんな安里を見て体を震わせるイグナシオには感じ入るものがありますね。

70名無しの囚人:2025/04/30(水) 23:20:56 ID:hrh4SOIQ0
060.復活
清彦が何もしないまま、気絶して起きたら全部終わってるイメージ付いたのはたぶんこの回のせい。
金的とケツ穴、有効なんですけど絶対痛いので想像すらしたくないですね。
一発通報の笑顔だとか変なクスリだとか、清彦がかわいそうになるのだが、
清彦で油断させ、無銘がその隙を突いて制圧、万が一無銘が負けてもサリヤがバックアップに控えるという構成はなかなかに合理的だと思う。
無銘の超力が外からは分からないので、サリヤの存在がギリギリまで消えてるのもいい感じのトラップになってますね。
安全を取るなら清彦形態のときにケツまくって逃げるのが一番有効な気がしてくる。
ローズの罵倒ボキャブラリは今回も景気がいいのですが、メタクソに言われる清彦にはちょっと元気出せよと言いたくなるw

動物変身系の超力は異常なタフさがウリなのだと言わんばかりのローズの野生的な猛攻。
これに対する無銘は勝負を制するのは理性だと言わんばかり堅守で、対称的でいいですね。
理性こそが人を人たらしめると言わんばかりの無銘こそが人間辞めてるのが倒錯的で好き。
一瞬でも隙を晒せば地に伏せているだろうと予感させる、ヒリつくような息もつかせぬ攻防は見所だと思います。
一度転がったローズがリスキルのような転がし方されてますしね。
サッカーボールのように頭蹴り転がしまくるあのシーンはちょっとコミカルで好きだった。

焦れによる無理な攻撃、その演技、体毛による威力吸収、そこに再度焦れを狙った攻防と、
最初の肉体のぶつかり合いだけでも無数の読み合い騙し合いがあり、読み応えは抜群。
ずっと優位を取っていた無銘が競り負けるローズのタフさが正しく脅威であり、
そんな彼女が必殺技を使わなければ倒せない無銘の強さもしっかりと書かれていて、お互いに強さという観点での株が大きく上がった。
そして最後に出てくるサリヤ、ここぞというシーンで出ることは分かってはいたけれどまさに切り札ですね。
佇まいとしてもサリヤが一番怖いですね。
こいつはあの世に送り返さないとダメだ、みたいな感じがある。

復活祭を冠するイースター、彼女が弾丸として復活するという展開は、空を仰ぎたくなるような無情感溢れる結末。
> 「君には、生きてほしいと思う」
> ────私は死んでいないぜ、此奴らの家族(ファミリー)になっただけさ。
今わの際に聞こえてきた安里の声と、それに対するこの回答は一級のリレー回収として賛辞を送りたい。

71名無しの囚人:2025/05/07(水) 21:56:43 ID:QiU/ZH3w0
061.1
キング相手に出し抜ける征十郎はなかなかの実力。
はじめから撤退を視野に入れていたとはいえ、一撃加えてそのまま反対方向に逃げていったような鮮やかさがある。
キングは追わなかったので、どちらかというと様子見レベルだったのだろうけど、
ここでの借りはギャルに彼のことを教えることで果たされた感じなのだろう。

裏社会のフィクサーとされているけれど、意外とキングは多くの人間に顔を知られているのだろうか。
表社会にも多大な影響を与えられる彼は、表の顔もあるのかもしれない。

キング、木っ端のことまで把握しているのは怖いですね。
沙姫はだいぶ見通しが甘かった。
その高い洞察力で相手の反応を確認し、今回であればどこまでキングという人物を把握しているのかを的確に切り分けて、
相手の僅かな反応で属する社会や情報元を割り出してくる手腕は恐ろしい。
そもそもキングス・デイはジャンヌの友人や近隣の人間も含めて皆殺しにしていたので、
組織に泥を塗った沙姫と多少なりとも関りがあった征十郎は、十分消すに値する相手になるのでしょうね。

062.サニーサイド・アップ
受刑者それぞれにとっての悪の定義。
登場人物全員悪人のキャッチフレーズが最初にバンと出されていたけれども、実に多種多様な悪がありますね。
その中でアイだけは人間の文化に染まっていないので、善悪の概念がないという観点は良いものだと思う。
アイだけが日向側の住人で、他は日陰側の住人。
けれども叶苗とアイの身を寄せ合うような関係は、この二人もまた影の中で生きているような気にさせられる。

日月の娑婆での日常は、男を弄ぶ女王として君臨しているはずなのに、社会の最下層に堕ちてしまっている印象がある。
欲望と野心に慣れ、ときおり虚しさに苛まれる様子は、取り巻く環境は大きく違うはずなのに、紗奈の自己評価とどこかリンクする気がする。
退廃的な空間で、テレビの向こうの華やかな世界に憧れるだけでも十分に労しいけれど、
その世界で人々に注目されて夢を与え続けているのが自分だというのは、自分にぶっ刺さりまくりそう。
光が強ければ影が濃くなるように、仮面を付けた自分が眩しければ眩しいほど、本来の自分は暗い地の底へと埋まっていくんだろうな。
そしてプロデューサーやマネージャー、捨てた家族からは暖かい眼差し向けられてるのだろうから、罪悪感すさまじいだろう。
アイドルの自分に嫉妬さえしそうな鬱屈であり、文字通り人格が引き裂かれていそうだ。

やりたい、やらなきゃいけない、そうあるべき、そうあるしかない。
私は自分が一番嫌いとか言い出しそうで、紳一郎が大好きそうな迷いに満ちている。
なんとなく、アイドル時代の日月には高い目標はあっても、共に競い合えるライバルがいなかったんじゃないか、みたいに思ってますね。
願望、責務、理想、必然、それぞれが相反する日月は自分で自分の生き方を狭めているようで痛々しい。
この相反する感情からしか得られない絶叫のようなエネルギーこそ、彼女の輝かしさではあるのだろうけど、心を削る輝きなんだろうなあ。
あと、ジャンヌに惹かれる人間ってみんな苦しそうにしてるな……。

蓮の登場シーンは静かでありながらどこか強烈な印象がある。
それぞれが自分の中の悪や、不可解な気持ちに思い悩む中で、アイの言うところの悲しいものを背負っていないこの男は異質。
物腰柔らかで穏やかな会話をしているはずなのに、日月が呑まれるのを必死に堪えている様子はなかなかにぞっとする。
これほどまでに異様な人物として描いた上で、蓮の罪状の小ささを逆手にとって、この程度で満足してくれたことが幸運であると評する。
これ、彼の底知れなさを演出する手法になっていて好き。
ついに動いた蓮と傷付いた少女たち、何事もなく終われるはずがないと胸騒ぎのする幕引きでしたね。

72名無しの囚人:2025/05/07(水) 21:57:51 ID:QiU/ZH3w0
063.キング・ホリデイ
オリロワAはほのぼの展開やコメディ寄りの作品が少なめなのだけれど、だいぶ異色のコメディ寄りの一作。
個々のキャラクターの余裕のなさとギラつく欲望がシリアス度をぐいぐい高めていると思うので、
その辺の要素が比較的薄いキングとギャルはこなせる演技の幅が広いのかもしれない。

リアルタイムで読んだんですが、威厳たっぷりに服をタカるキングで鼻息噴き出してしまったんですよね。
恩赦Pなんざ知らない、それはそう。服と食料はまだ分かる、まだ葉巻持ってるくせにタバコをタカるのはあまりに図々しすぎる。ディビットがキレそう。
何よりキングが図々しくてフレンドリーな態度崩してないのがおもしろい。
どの口が言っているんだというあまりのふてぶてしさが、ある種のユーモアになっているんですよね。

色々フリーなギャルだからこんな態度取れるのであって、組織じゃこうはいかないんだろうな……。
そして若く貧しかったころのキングはこんな感じでタカれる相手に物をタカったりしてたんだろうなとも思う。
彼は巨悪ではあるが、社会の中で生活を営んでいる人間味のある個であり、どこか好きになる。
そうかと思えば、征十郎への借りを返すために、情報をいったん咀嚼したうえでギャルをけしかけたり、
ギャルに刑務の裏事情を問うたりとフィクサーらしい駆け引きもしていて、どこまでも油断ならないですね。

キングという裏も表も問わず世情に明るい人間からの他受刑者への評価は面白かった。
アンナの評価が戦争のパイオニアとされているのは確かに腑に落ちるし、キングをしても底知れない神一郎もまた謎が深まりますね。
キングがちゃんとハヤトの存在を知っているのにも驚く。
いかなる情報も軽視しない慎重さが裏社会のトップに君臨できていた要素の一つなんだろうなあ。
あと、叶苗は当然鉄砲玉扱いで期待されていないの、残当ではあるのだが世知辛いですねえ。
逆に、沙姫やハヤトのことですら耳に入れているキングがギャルのプロ卒業を知らないのも意外といえば意外かもしれない。
ギャルはその派手そうな出で立ちに反して内実を掴ませないことに長けているんだろうか。正体不明の怪人だもんな。

安物を渡すヴァイスマンに愚痴るキング、こいついつもヴァイスマン相手に愚痴ってるなw
1Pが$1,000相当なんだから$10,000レベルのものを用意してくれというのは分からんでもないが。
ただ、安物といってもたぶん僕が普段業務で着てるスーツよりはお高いんだろうな……くらいの感覚はある。
アルマーニのジャケットとかパンツの値段見に行ったら、まあ普通に単品6桁でしたね……。
異性の正装の選定基準なんて分からんだろうから、横から口出されまくって男物の服を選ばされるギャル、だいぶかわいそうじゃないか?

73名無しの囚人:2025/05/07(水) 21:59:32 ID:QiU/ZH3w0
064.あなたの神は何を選ぶ?
神一郎好みの受刑者がまた一人。
ジェイはまさに迷える子羊であり、悪魔に捕らわれている人間なので、神父を最も必要としている存在なんですよね。

銀鈴三択チャレンジ、ジェイはここ二時間ほど毎回これやってるんだろうな。
未来の死亡回数が二桁を超えてそう。
選択肢ミス=即死ギャルゲとか言われていたのだが、銀鈴はちゃんと好感度が上がるタイプの、落とせるキャラではありそうなのがイヤだなw
何がイヤかって、好感度が高いとジェイに満面の笑みで新しい兄をサプライズプレゼントしてきそうなのがイヤすぎる。

ジェイは少々ひねくれつつも普遍的な家族関係が見えるのに対し、銀鈴の家族関係は二度見級で脳が一旦理解を拒んできますね。
家族愛自体はちゃんとあるのが分かり、ただし内実は別物。音が同じ異星の言語のようになっている。
そしてジェイに家族の話を振るあたりに、根本的に人間の気持ちを理解していないことが垣間見えるのだが、
ジェイの告白に込められた気持ちは的を射た読み取りができているのが怖いですね。
正気度がものすごい勢いで削られていくのが分かる。

最初に銀鈴は100Pをほぼ使い切っていて、これから400P稼ぐなんて大丈夫なのかと思っていたけど、だいぶ侮っていた。
刑務作業などという小さな出来事を始めから見ていない、この記述には自分の視野の狭さを突き付けられた気持ちになる。

> 「人ではありません」
> 「――――――『神』です」
救世主然とした神一郎の決め言葉。
朝日を背に現れるシーンは、まさに神からの遣いに思える。
これは看守の中に信者が現れるのも納得の神々しさである。

守りに特化した神一郎と攻めに特化した銀鈴の千日手を思わせる攻防。
実力は互角ながら、神と悪神とで対極にあるものと位置付ける。
そのうえで、どちらを選ぶかをジェイに迫るシーンがいいですね。
ここが運命の分水嶺であり、静寂の中にジェイの荒い呼吸が聞こえてきそうで手に汗握る。
最初に銀鈴との間でとりおこなっていた選択は未来予知で結果が分かるものだったけれど、
神と悪神はどちらを選ぶべきかの答えは見えず、自らの意志だけで選ばなければならない未来。
自らの芯となるものを見つけて、自らの意志で悪神の傍で牙を研ぐことを選んだジェイを応援したくなりますね。

74名無しの囚人:2025/05/07(水) 22:01:49 ID:QiU/ZH3w0
065.BY-SEXUAL
安里は種族も性別も曖昧な立ち位置で、自己規範にずっと悩んでいた個だった。
そんな中で彼が出会った人物はローズに漢女にイグナシオと、不思議と彼の規範となりえる人間たちなんですよね。
性別など超えて、思うままのステージで思うがままに生きる漢女。
人間ではない自分の姿にある種の自己肯定感を抱いているローズ。
かつては恐怖に囚われるままにがむしゃらに突き進むだけだったのに、出会いの縁で一人の大人として成長することができたイグナシオ。

相手がすべてを受け止められる圧倒的な存在、樹魂であったからこそ、安里は全力で挑むことができて、
後ろで見守ってくれる大人、イグナシオがいたからこそ、安里は逃げずに立ち向かうことができて、
同じ悩みに共感を向けることができる同年代の子供、ローズと言葉をかわしていたからこそ、最後に一矢報いることができた。
これまでの出会いがすべて安里の糧となり、結果として漢女に傷を負わせることができた。構成としてもリレーとしても美しい。

イグナシオは安里をナチョと重ねていたけれど、決定的な違いがあって、実際には安里には手本が三人もいた。イグナシオもその一人だった。
であるならば、あの日のナチョを超えていく安里はイグナシオにとって希望であり、同時に結実でもあるのだろうと考える。
安里の奮闘を見届けたイグナシオがどれほど胸を打たれたことだろうと思うし、安里には盛大に拍手を贈りたくなる。

漢女はバトルが気持ちいいし、みんなプラスの影響を得て別れていくように感じていたので、漢女に善意はなく、自分の欲望でしか動いていないというのは目から鱗。
漢女は弱い人々を惑わす悪人なのだという指摘は、前話でも言われていたけれど、それでも悪とは扱いたくないなと感じる自分もいる。
シンプルにかっこいいし、救われたかどうかで言うなら明らかに救われているし、シーン一つを切り取れば確かに英雄なので。
この辺、ちょうど周辺で功罪の功の部分がよく見える神一郎と同じような感覚ではある。
結局のところ、その有り方がひどく魅力的なんですよね。

漢女がキング、ジャンヌと同等のカリスマ的存在となっているのはリレーの妙。
こういう当初とは思いもよらない方向に転がっていくのもまた面白い。
たまには善意で動いてみろと言われる漢女だけれど、漢女が善意で動くとどう話が転がっていくのだろうというのは気になるところではありますね。

75名無しの囚人:2025/05/07(水) 22:10:38 ID:QiU/ZH3w0
066.STAND & FIGHT
拝啓
毎回、息を呑むほどの素晴らしい試合を拝見し、チャンピオンの息を呑むほどのすばらしい試合に感服させられる次第であります。
この度はチャンピオンの実力を私の大変浅薄な知識とナメた偏見で推し量ってしまい、深くお詫び申し上げます。m(_ _)m
連戦だし人類最高峰が相手だしさすがのエルビスも星になりそうな気がするな〜、そうなっても一矢報いてほしいな〜などとド無礼な考えを抱いたこと、心の底より謝罪申し上げます。
銃弾刺さって多忙なところ恐縮ではございますが、チャンピオンの寛容な対応を心よりお願い申し上げます。
敬具

前話の引きだと仁成がとても強いのは確定事項だと思うし、今話でも最初の章までは余裕ある強者として描かれていたのもそうですよね。
その後、銃撃で先手を取ってトドメを刺しに行くシーン。
銃を撃ったはずなのに場面が不自然に切り替わったかのように光源を移して読者にも何が起こったのかと混乱させ、
照明→天井へと意識が移り変わり、殴られたとようやく気付く。
このシーンで一読者としてエルビスの"異常"を真の意味で理解したんだなと思った。
ローズと同じく、倒したと思った相手からの不意打ちなのだが、決定的場面のスキップをおこなって読者の理解を敢えて飛ばし、そこから上質なサプライズに繋がっていく。
仁成と共に何が起こったのかを知って、ものすごく身が引き締まった気分だった。このシーンは本当に好き。

一度エルビスがその強さを披露して以降は、エルビスがその強さを存分に発揮して、まさに強さで魅せる漢となっていてカッコいいですね。
仁成は別に拳士ではないので躊躇なく銃や刀を使えるのだが、まさにそれがネオシアン・ボクスのルールそのものになっているのもうまいと思います。
多数の手札の強みを活かしてエルビスの制圧を試みた仁成を、エルビスがその肉体、ひいては拳だけで次々に粉砕していく過程は、もはや痛快ですらある。

シナジーがないはずの超力を、"立って、戦え" と王者の最も得意とする試合ルールの担保に使うという発想もまたすごい。
作中の注釈を経てこのタイトルの意味を解説されたうえで、このタイトルを見返すとあまりにカッコいい。
結果として、敵であるはずの仁成ですら、エルビスの強さを信頼してしまっているというのがエルビスの格をぐんぐん引き上げていく。
皮肉にも対戦相手の仁成がエルビスの強さを信じていたことで、自らの命を拾う展開になる。
これこそがチャンピオンだ、といわんばかりであり、この壁はあまりに高く分厚い。
並びに、彼らの強さがエルビス相手に十分に粘った四葉の強さもまた担保するのがうまい話作りとなっている。
寝技という突破点を含ませつつも、今回はエルビスの完勝と読み取りました。
銃弾二発受けたというけれど、仁成相手にそれだけで済んで痛恨のミスというのはあまりに条件が高いよチャンピオン……。いや銃弾は結構痛いのだけれどさあ。

仁成には本当に申し訳ないのだが、まさにエルビスが圧倒的に強いということが面白さに直結していた一作。
試合観戦のような面白さがありました。

76名無しの囚人:2025/05/07(水) 22:12:31 ID:QiU/ZH3w0
067.キミに願い
神一郎が順当に信仰を増やしていく。
祟り神が暴れる世界なので、誰にも死を顧みられないこの刑務で死者を送ってくれる神一郎は、いるべき存在ではあるんだよなあ。
フレゼアの遺灰に祈りを捧げて去っていく神父、嫌いになれないし、
死してもハヤトたちに声なき言葉を伝えるフレゼアもしみじみする。

治療キットはだいぶ未来の技術ですね。まあZ時点でサイボーグや魔改造された警備兵やらいたのだが。
ハヤトは50Pがぼったくりだというが、応急処置キットが治療キットからいくつか抜いたものだと思うと、おそらくコスパはだいぶ良い。
普通のロワなら回復は抑える方向ですけれども、本刑務作業は一人生き残らせるのが目的ではなく、あくまで戦闘実験ですからね。
ちゃんと戦場で治療キットが役に立つかどうかは見るべき箇所なんだろうな。

自分の身を第一に考えるのが当然だという常識。
兄貴に見捨てられたのは仕方のないことだったという諦念。
力がなければ選ぶこともできないという無力感。
それらをことごとく覆して、ハヤトの中の常識を覆したセレナ。
彼女と向き合うことで、新しいハヤトの成長物語が紡がれているように思う。
世界やカズマへのわだかまりを超えて、狭い世界を脱して、その先へ進んでいく描写が温かいですね。
不撓不屈の人間でありたかった、と吐露した彼だけれど、その超力に恥じず、何度も立ち上がれる人間になっていそうに思いますね。

スタート地点に戻ってきて、その景色が変わっているという演出。
朝日とあわせて、成長を示す王道の情景描写でいいですよね。
大目標だったローマンとのケジメはどう変わるんだろうか、そして間もなく現れるキングが彼ら彼女らをどのように扱うのか、
港湾はギャングたちを中心に話が動いていきそうでワクワクする。

77名無しの囚人:2025/05/07(水) 22:13:27 ID:QiU/ZH3w0
068.ストリートの不文律
ネイ・ローマンってこんなに強かったんだ。
若く荒々しい原石のような輝きながら、ならず者たちを率いてまとめ上げるだけの暴威をそこに感じる。
一対三、しかも立っているだけで余裕のワンパンは圧倒的な強さの描写。
漢女と引き分けられて、キングを狙ってるんだから強くて当然なのだが、あらためて驚いた。
キングからしてみれば、こんなヤツがタマ狙ってくるなら、これは生かしておいていいことはないですね。

演説・扇動の流都とかと違って、ローマンがやるのはディベートなんですよね。
キング、ディビット、流都と裏社会の面々は全員口が強く、それでいてそのやり方が別々なんですが、
ローマンはちゃんと裏打ちされた知識を備えた上で討論に挑んでくる。
視野が広いのでディベートに強く、煽りも強い、地獄でのし上がってきただけにメンタルも強い、それでいて敵意を向けると手痛い反撃が来るのはずるい。
もっとも、口で言い負かされて敵意メーターをカンストさせるのはおそろしくダサいので、彼にはディベートがちゃんと強くあって欲しいとも思うのだが。

次話を踏まえて読むと、メリリンの引き抜きにサリヤの名前を出すのは悪手だったのだなあ。
忠誠を誓ってるわけじゃないどころか、メリリンは中核も中核、ローマンの話の振り方は侮辱に近かったのでは?
ローマンは全の視野は広いけれど、個の事情にまで明るいわけじゃないからそれはそう。
キングは全も個もそれなりに情報持ってるんだろうな……。

誰にも見捨てられたような過酷な世界に住んでいたからこそ、恵まれた信心深い人間の吐くきれいごとを嫌っていたローマン。
神をも捨てたローマンにとって、ドミニカは食い合わせが致命的。
彼女は善良な人間ではあると思うけれど、自分の世界で話す傾向があるし、自分の世界を絶対視する傾向があるもんな。
ローマンにとっては相容れないし、何より彼ら彼女らそれぞれが信仰と信条に確信を持つ者同士。
激突は必至だったのだろうと思います。

ジェーンはこれまであまり個を出さなかったのだけれど、一連のイベントでだいぶ実力面・精神面共に叩きのめされたなあ。
超力を嫌い、罪を受け入れていた彼女のアイデンティティが自らの超力に根ざした殺し屋の在り方だったのは労しい。
朝日が昇る演出に希望が見えず、彼女はこれからどうなるんだろうと気になりましたね。

78名無しの囚人:2025/05/07(水) 22:14:03 ID:QiU/ZH3w0
069.Revolver
機械仕掛けの円卓会議。
個人的に、幹部会議はキャラ性をがっつり掘り下げてくれる好きなシチュエーションです。
弾倉会議の会議室は、鉄とカラクリでできた異空間という雰囲気で、この世ならざる雰囲気が存分に描写されている。
シリンダーがまわる音が時計の針のように静寂な空間に響いていて、その音をバックに弾丸たちの個性的なフレーズが刻まれていく演出、かっこいいですね。

群体は人間の価値観からかけ離れていたので、彼らが何を考えているのか不明瞭だったのだけれど、だいぶ鮮明になってきた。
誰彼襲うわけじゃなくて、ちゃんと危険度とか希望とか総合したうえで戦いを始めていたのか。
実は彼らがちゃんとルーサーを恐れていたり、アイドルのファンだったりするの、人間の価値観と重なるところもあって安心した。
清彦が工業地帯をうろついていたのはメリリンを探していたから、みたいなこういう細かい補足も好きです。

> 物語の終わった先で、終われなかった何かが蠢いている。
> 正しく終われなかった誰かの魂が、奈落の底から手を伸ばす。
幸せな悪夢とはよく言ったもの。
ローズは重圧から解放されて安らいでいるんですが、これは死んで楽になったということなんですよね。
このあたりの地の文、明らかにローズの現状を肯定していないものな……。
この会議で名前を挙げられた人間たちに起こったことは、悪霊に魅入られるという状況そのもの。
未練のままに、まだ生きている人間を奈落に引きずり込む彼らの在りようは、まさしく怪異だと思う。
日月が凄まじいとばっちりなのはちょっとかわいそう。

サリヤは前話でもだいぶ只者ではない雰囲気を出していたのだが、ローマンやローズと同じく一組織の長であるなら納得。
サリヤもメリリンもだいぶ組織の中核にいて、思った以上に大物だった印象。
そして、弾丸に空きがなくても災害を殺すことを提案する彼女からは悪党らしい威厳が垣間見えて、いいですねえ。

彼らのありようのおぞましさは一旦横に置いておくと、彼らの間にはまさしく家族愛がある。
ローズと無銘で勝敗についてわちゃわちゃやってるの、本当に兄と妹なんだよな。
武闘派の先代が3番で、願いに殉じた先代が6番であったということにも、連綿と続く運命的なものを感じてしまいますね。
そして清彦に親愛の言葉を投げてくれる彼ら全員、温かい家族のありようを体現しているんですよね。
随所に思いやりが感じられるからこそ、人の尊厳を壊すその在り方が強調されてて怖い。
冒頭のシリンダーの記述、最後の『I Shot The Sheriff』の歌詞、あらためて彼らが異質なものなのだと思い知らせてくれる。

79名無しの囚人:2025/05/07(水) 22:14:37 ID:QiU/ZH3w0
070.ピルグリム・ブルース
ジョニー・ハイドアウト、どこまでもハードボイルドな男。
回想の一幕が映画やドラマの前日譚のようでおしゃれですね。
敢えて神一郎を出さず、その対となるような人物に語らせることで神一郎の異常さを浮かび上がらせてくる手法は好き。

最初読んだ時、神父があまりにもジョニーに余裕で接しているから、ジョニーの仕事はうまくいかなかったのかと思っていた。
時系列を見るとこの回想のすぐ後に神一郎が収監されていたので、ジョニーが本性を暴いた可能性が高いのね。
それはそれで、かつての敵対者に対しても物腰柔らかい態度を崩さない彼はやはり底が知れない印象がある。
獲物を見つけたと言わんばかりにルメスに迫ってくる神一郎は本当に刑務作業を謳歌している。

神一郎は確信を持って祈りを捧げ、人を裁く。
一切の迷いなく確信を以って人間を裁く神一郎が信仰を見失ったという解釈は唸らされるものがある。
信仰は迷い悩むからこそおこなうものであり、迷わない者は確定した尺度でしかものを見ないので、そこから外れる人間には冷淡である。
だから神一郎は彼の尺度にそぐう者を結果として救っているが、それ以外を冷酷に斬り棄てている。
けれどその斬り棄てられたものたちを慰めるために神と、弔いが必要なのであって、彼らを顧みない神一郎は神に仕えていない、そんなロジックだと受け取っている。
まあ創作物の受け売りと妄想の入った解釈でもあるのだが、なかなか奥が深くてむずかしい。

ジョニーや回想に現れた神父はその斬り棄てられた者たちに寄り添う善性を持っている。
ルメスも斬り棄てられた側に手を差し伸べる側、故に彼らは作劇中の立ち位置として、決して相容れるものではない。
そして、人を人たらしめない世界において、人として扱われていない人間に寄り添うために、ジョニーは人の姿を棄てた、と解釈している。
聖書の一節を暗唱するジョニーは、はからずも75話でも言及されている"人は嫌いなヤツの言葉こそ憶えている"に近い気がしますね。
あるいは同じネイティブ・サイシン絡みの話なので、ここと含みを持たせてリレーとして繋いだのかもしれない。

ジョニーは信仰していない神を認めており、また結果的に死を与えるしかなかったデザイン・ネイティブの子供たちに対して、本当にこれが良かったのかと苦悩を吐露し、迷い続けている。
老神父もジョニーと意見を同じくするものであり、救いきれなかった者たちの命を彼らは背負っている。
一方で神一郎は救うに値しないと断じた者を認めずに命を奪い、これこそが正しい世界の導きであると確信をしている。
神一郎はそこまで害はないのでは? という傾向に一石を投じて、こいつはちゃんと悪党なのだと改めて提示する一作。
聖人のように見えても立場を変えればしっかり悪党、
それでも神一郎は名シーン製造キャラなので、彼側の立場に立ってしまいたくなり、
これこそが所業を知られているにも関わらず一部受刑者や看守に信奉されているということなのだろうな、と思ってしまう。

80名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:36:41 ID:xzyfz91s0
――続き

071.新世界の目覚め
ほぼ6時間しっかり眠っていたメアリー。
6時間単位で放送が来る企画では驚愕に値するのだが、実はZのリンちゃんも同じくらい寝ていたのである。

ディビットとエネリットのメアリー超力分析回。
1秒に3センチ――センチだと微妙に落とし込みづらいけれど、
60倍して1分に1.8メートル・10分に18メートルと書くとだいぶ脅威が明確になる。

そして何が起こっているのかを言語化できるディビットとエネリットなので、現状説明と解決方法がとても分かりやすい。
『生きづらい』と『殺しに来る』、この端的かつ的確な表現力は惚れ惚れしますね。
今回の彼らは、個人的にはオンラインゲームのハイエンドコンテンツの攻略組を思い浮かべる。
この刑務は死んだら死亡するのでデスペナが重い、ディビットがいなかったらマジで死んでいた。
彼らのビジネスライクな関係の中で、ちらちら見える情が好き。

刑務のキモである超力の無効化空間。
旅人死亡時とかどーすんだこれ、とか思っていたけれど、動きを阻害しない程度の領域に変質したあたりにバランス調整を感じる。
超力無効化、空間対象、他対象、投射、身体能力、外からの間接的な操作と色々突破口を列挙しているので、
空間対象持ちが誰かとか、他対象持ちが誰かとか、このスレにある超力分類の一覧が非常に役立ちますね。
他対象直接指定って受刑者だと神父くらいしかいなくない……?
空間の性質さえ知ってしまえば、今すぐ彼女を殺せそうなキャラもそこそこ見つかりますね。
そしてアイデア潰しをするつもりはないが、ソフィアは身も蓋もないレベルで相性が良すぎるw

ただ、これ事前情報のレイドボス攻略であり、ありすに助けを呼んだときに起こることという不確定要素が怖すぎる。
そもそも誰も挑む資格を得られていないが、メアリーはまだ二回ほど形態変化を残している、の感覚を持ってる。
彼女の描かれ方、人の手に負えなくて封印されていた化け物が解き放たれたときのそれですしね……。
エネリットのセリフが進むごとに、メアリーが起き上がっていく様子は、確かに"新世界の目覚め"を感じた。

メアリーの規格外さの一方で、彼女の独房に忍び込めるエネリット。
彼のアビスでの扱い、こちらもだいぶ規格外な気がするなあ。
神一郎のような信頼を勝ち取ったというわけでなく、エネリットは一体何者なんだろうという謎が浮かび上がってきますね。

81名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:38:44 ID:xzyfz91s0
072.怪物の気配
バルタザールというシンプルな脅威だけでなく、安里やイグナシオの中にある衝動をもまた怪物と定義する着眼が光ってる。
大金卸の業が描写されていなければ、安里の変化は良い兆しにしか見えないので、安里を導くことは先達であるイグナシオにしか成し得ないんですよね。

一人の人生、命と未来が天秤にかかった状況において、責任という言葉が重い。
それは大金卸には存在しない概念であり、イグナシオが正しく彼の師であろうとする証左でもあると捉えられる。
安里を弟子にしたのかと問われてイグナシオは否定していたけれど、彼は立派に人生の師を努めているのだ。

安里の中に確かに芽生えた、ふわふわとした万能感。
その正体を知っているイグナシオが、それを地に足のついた確かなものに落とし込んでいく。
安里を挫けさせないように、けれども無謀と勇気を履き違えないように導いていく。
『誇り』とは戦うための理由に使うものではなく、自身を支える柱である、いい言葉だと思います。

それと、衝動を御する言葉として、イグナシオは探偵であると言い切った。武人のような怪物を討つ者ではない諭した。
ここは彼自身が探偵であることに誇りを持てていなければ、そういう発言は出ないのではないかなあ、などとも考えてしまいますね。

怪物を討とうとした呼延はこの地で果てたことを考えると、イグナシオが安里をすべて肯定していたなら、安里もまた呼延と同じく倒れていたのだろう。
作劇上の位置づけとして、呼延の死して尚誇り高く聳え立つ屍は、安里の末路の一つであって、イグナシオはこの未来から安里を引き留めることができたと言える。
イグナシオや呼延の二の舞を演じる未来へ安里を進ませなかったという意味で、
これは安里の成長物語であると同時に、イグナシオの成長物語にもなっていると捉えていいんだろうな。

大金卸には負の側面もあるけれど、限りなく眩しい側面も併せ持っているわけで。
遥か先、後ろを振り返ることもなく、思うがままに進んでいく大金卸の大きな背中。
その背中を必死に追っていたナチョは大人になって、後ろを振り返って手を伸ばす。
泥沼でもがいていた安里は大金卸を見据えながらも、イグナシオの手を取って自分の足で立ち上がれるようになる。
そんな情景が浮かんでくるようで、とても感慨深い一話だと思いました。

82名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:40:39 ID:xzyfz91s0
073.遊興と渇望のアフターマス
ソフィアとルクレツィア、別に似た者同士ではない(ソフィア談)が、元いた世界では欠落を満たせない、というようないくつかの共通点はある。
ルクレツィアはそれを正しく認識して、思いのままに欠落を埋めることを肯定する。一方でソフィアは全肯定するには至っていない。
ルクレツィアはソフィアに対して、友人になろうと言ったけれど、これは本心で、
かつて抱いていた悩みと同じものを抱えたソフィアを友人に引き込みたいんだろうなあ、みたいに読んでいる。
ルクレツィアからは、私たちきっと親友になれるわ、みたいなワクワクを感じるんですよね……。
ソフィアが慣れない謀の真似事をしていることも、ルクレツィアをアビスに監禁したままにしようと考えていることも、全部見抜いたうえで、愛おしそうに見ていそう。

最初の裁判シーンの演説は、ソフィアに対する説伏のようなものなんだろうなあ。
秩序側に属する聴衆に対して、命に色を付けるな、正当化に腐心するな、命に向き合え、と。
自分で作った縛りから自分を解き放って、フラットな視点から見た世界はこんなにも魅力的で楽しいぞ、と訴えているんだろうな、と。
一つ前の話がちょうど安里を導くイグナシオの話だったので、光に引き上げていくイグナシオと奈落に引きずり込むルクレツィアとで対比が印象深い。

ソフィアは順調に堕ちているんですよね。
古典映画の感想に対して、ルクレツィアに共感する想いを抱いたところ、少しぞっとするような凄みがある。
命を選別し、ルクレツィアという個を己の欲望を果たすための駒と位置付けて利用せんとし、罪人の身でありながら秩序を守るためだと彼女を封じ込めることを正当化する。
ルクレツィアが外道すぎるので目立たないが、欲望のままに他者を踏みにじってきたアビスの悪党たちに近しいことを目論んでいると考えることもできる。

> 復讐以外の殺しをした瞬間、人間を外れ本物の獣以下の、ただの殺人鬼に堕ちる
> 良い人殺しと悪い人殺しなんてありもしない天秤を定義しようとしている。 なんて偽善。
同じ復讐者だった叶苗がこんなこと考えてるので、ソフィアにぐさぐさ刺さりまくる。
慣れない謀に興じて、自分の心を縛り付けるソフィアは、
ルクレツィアの言うところの、絶望の中で何とか息をしようと藻掻き続ける、"生の感覚"を放出する人間そのものだと思う。

彼女らの心の動きはさておき、ルクレツィアの超力分析と相性考察は、メアリー攻略班みたいな感じで面白い。
猟奇性はこれまでも散々描かれていたけれど、初見殺しの無効化は言われてから鮮明になるタイプの強みだと思う。
素人ながらその凄まじい圧でゴリ押しをかますルクレツィアと、超力抜きのカラテに持ち込む戦闘経験者のソフィア。
明示化されると相性の良し悪しがはっきりしてくるんですよね。

あと、図書館の歓談は、相変わらずのルクレツィア節が炸裂してて面白い。
よりにもよってルクレツィアが、ローマの休日くらい嗜みだろ? と言い返すあたりがどの口ポイント高くて好き。

83名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:42:22 ID:xzyfz91s0
074.祝福
りんかの過去編、キャラシにある通りなんですけど、詳細に書かれるとやはりきついですねえ。
よくもまあこんな世紀末な組織がぽこぽこ湧いてくるものだ、この世界だいぶ終わっている。
ジルドレイの所業も悍ましいのだけれど、こっちはなんか原作再現のような感じがある……。

りんかと紗奈の希望のサイクルと、ジルドレイの痛ましさのサイクル、二つがうまくリレーされて回っている。
> 交尾紗奈の人生は再び始まる
で終わった前話をさらに発展させて、紗奈の在り方も、その悲惨な経歴を象徴するような呪われた超力もすべて一新させ、本当に彼女の新しい人生を始まらせた。
アヴェンジャーズと支援者たちに救われ、ヒーローとして歩みだしたりんかの境遇と重なって、二人の再起の物語になっていると思う。
ヒーローに救われた少女が、新たなヒーローとなって救われるべきを救うヒーローになる話。
りんかと紗奈とで守り合う対象がループしているので、永久機関のサイクルのようになっているのである。

> 「繋いで結ぶ希望の光ッ!!シャイニング・コネクト・スタイルッ!!!!」
これすごく日曜の朝にやってそうな口上で大好き。


りんかたちは毎回襲撃受けてぼろぼろになってるのに、なんとなく大丈夫そうだな、で終わるのに対して、
ジルドレイは毎回襲撃かけてるくせに、こいつこのままで大丈夫? 誰か救ってあげたほうがよくない? みたいな終わり方するな……。
強いしキルスコアもあげているのに先行き不安しかない。

> 人はその気になれば、第二のジャンヌ・ストラスブールになぞ簡単になれるぞ
このセリフで言われている気高い精神性が、よりにもよってジルドレイの目の前で二度も発生するのは容赦ないですね。
ジャンヌのまがい物と、贄に捧げていたような幼児からジャンヌの精神性が発揮されるのはだいぶ曇らせ度が高い。
ジルドレイが何度も逃げ続け、突破できないあたり、試練みが大変強くて好き。
彼はジャンヌとの再会を待ちわびているけれど、ここまで何度も叩き潰されたともなれば、是非とも彼女に再会してほしいですね。
はやくジルドレイにも祝福を与えてあげてくれい。

84名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:44:55 ID:xzyfz91s0
075.Scrapper
セレナーハヤトが一手に担っていたオリA恋愛担当、まさかのダークホース登場!
そういえば29歳って年齢は一種のステータスだった。
メリリンの認識、ダウナーなメカニックというキャラシの記述だったのだが、これもう疲れたOLだよ。
回想での、飲み会で微妙に話の輪に入れない雰囲気、あーってなる、見覚えがある。
セリフ回しや地の文一人称が女性向けライトな恋愛小説の主人公っぽい雰囲気ですねえ。
無礼なガキに啖呵切って、逆に気に入られるところとか、だいぶ恋愛の王道なんだよな。
まさかの"おもしれー女"が状態表に入ってくるの、おもしろすぎるでしょ。

ローマン、出るたびに評価が上方修正されていく男。
荒削りなカリスマ性と危険なニオイを濃厚に描写していて、株がぐんぐん上がっていく。
最初のころはみすぼらしい犬っころだと思ってたのに、まさかこんなにも唯我独尊のオレ様なキャラだとは思わなかった。
だいたい初戦が漢女だったのと、キングが野良犬野良犬言ってたせいなんですが、その野良犬は土佐犬とかドーベルマン級の超大型野良犬だったなあ。
積み重ねてきた悪徳を全肯定するローマン、こいつキング級にふてぶてしい男だよ。
一方で老獪なキングとは違って、勢いと愛嬌も交わった『若さ』が前面に出ているのがまたいいんですよね。
無数の銃口を向けられて椅子にどかりと座るローマンの胆力、その上でどんなに足掻いても結果は変わらないと言い切る傲岸不遜さ。
仲間からあいつスゲーぞって尊敬集めるわけだわ。

悪という企画全体の命題に主眼を当てたアイアンのテスト。
三者三様の悪の定義が面白い。
ローマンとメリリンの悪が対極にある関係であったり、サリヤのいうところの悪であるマリアがローマンとある種共鳴するような思想であったり、
正義がそれぞれの立場で多様であるように、悪も立場によって多様であるということに焦点があてられているのがいいですね。

Scrapperというタイトル、メリリンとローマンの両方を端的に示せる単語、本当にどうやって見つけ出してくるんだろう。
本条とメリリンまわりの要素を、デザイン・ネイティブなんかの諸々も含めて背景で拾ってるの、うまいなあと思う。
欧州、南ア、オセアニアをメルシニカが繋いだほかに、シエンシア関連には超力のシステム化とかの重要要素もあるんですよね。
そして、セレナのアクセサリがサリヤの理論=シエンシア関係がベースであるということで、吸い込まれたフレゼアの炎がどういう立ち位置になるのかもぼんやり見えてきそう。

サイシン・マザーの落日、『I Shot The Sheriff』の歌詞、ハイブのニュース、セレナのアクセサリとかとか、やけにイグナシオを敵視するサリヤとか。
メリリンがジェーンと責任の切り分けをしていたところを、メルシニカという組織の立ち回り方と絡めてくるのも唸らされるなあ、と思います。
あと、ローマンが聖書を嫌いながら一節を引用するところなんかは、本人が神に失望したという面もあるけれど、
70話で神を信じなくなったジョニーが聖書の一節を引用しながら話す場面とか、キングが牧師と呼ばれている存在であることとか、諸々にうっすらと繋がって巧い演出だと思う。
そして家族が嫌いだったサリヤが幸せそうに本条ファミリーになっていて、口下手で吃りがちでいじりがいのある弟と一緒にいるのは味わい深いですね。
メリリン、お前はサリヤと家族にならない道を選んだんだぞ?

85名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:48:19 ID:xzyfz91s0
076.第一回定時放送
アビスの所長が天だったの、衝撃すぎてひっくり返った。
天本人はいつか出てもおかしくないとは思ってたけど、こんなに偉くなって堂々と出るとは思わなかった。
Z初期の戦場初心者だった天を知っていると、ちゃんと畏れられるようなオーラを出せているのしみじみする。
彼は当時も考えてることは甘かったけれど、そういえば行動自体は容赦なかったな……。
何を踏みにじっているのか忘れないようにという彼の言葉、犠牲になった人の生き様を忘れないという当時の彼の哲学から繋がっていて懐かしいですね。
創も元気そうで何より。二人がいるなら珠ちゃんもいるんかな……。

ヴァイスマンの放送、だいぶ簡潔だった。
刑務者をさほど煽らない代わりに部下には詰める詰める。退職代行使われそう、天野もクロノも心労きつそう。
縦横被らないナンプレのような禁止エリア指定に、ぐるっと円を描くような形状。
彼の性格が出ていると共に、次回のエリア指定候補地もなんとなく見えてきますね。
灯台はともかく、小屋はこれ誰か来るのか……?

アビスは必要悪であるという定義づけは唸らされる。
そして、冤罪多すぎるだろと思っていたGPAの司法がちゃんと理由を携えてジャンヌらを収監してたということが分かったのは、おぉっと思った。
ピンチをチャンスに変えるようなナイスな転換を感じる。
美火については……一般人を刑務作業に入れたときの恰好のシミュレーション素材として使ったでしょヴァイスマン。

システムBはここまでの描写からするに、刑務作業の島そのものっぽいと読み取った。
個人の超力で作り出すのは不可能だという言及がそのまま、個人では無理でもシステム化した道具であれば可能というように反転するし、
71話でシステムAを複数並べて運用していると言及があったならサーバの連結みたいなことも可能そうだし、
生物の気配が一切ないとか、島の過去がよく分からないとか、色々と伏線のようなものが張られていたのがここにつながってきた感じ。

トビが投入されている理由が、マジモンの挑戦状だったんだな。
トビの参戦が企画主枠であるという事実はその伏線だった……?
もうアビスはトビの能力に全幅の信頼をおいていて、彼が脱獄できるかどうかがそのままシステム強度につながることになるんですね。
トビに限らず色んな受刑者に言及してるのが、刑務を一手に管理する看守サイドの話という感じでいいですね。

二つの遺物が発見され、その一つがシステムBならば、もう一つは被験体Oなのだろうか。
人物ならだいぶ限られるのだけれど、まあこの辺まで来ると妄想でしかないので次回放送を待つ。

86名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:50:16 ID:xzyfz91s0
077.神の道化師、ドミニカ
「新世界急接近! 現世が書き換えられていきます……!」
「進行方向北西! このままでは数十分後にはブラックペンタゴン全域が新世界に呑み込まれる……!」
「全員速やかにエリアE-5から退避せよ!」
「恐れていたことがついに起こった……!」
「始まったんだ、ヤツの"お散歩"が……!」


ありとあらゆる存在を蹂躙していく彼女の散歩は、巨大台風のような切迫感がある。
メルヘンじみた童謡を口ずさみながら歩いてくる彼女の生きてる世界が異なる感じ、畏れ慄くんだよな。
ブラックペンタゴンに向かうんじゃないかなーと薄々ながら感じていたメアリーの行き先、しっかりブラックペンタゴンだった。
はやく止めないと大変なことになるぞ……!

エネリットとディビット、相変わらず刑務情勢をつぶさに語ってくれるコンビ。
ブラックペンタゴンのギミックとしての意味に説得力があるし、分かっていてもブラックペンタゴンに集まらざるを得ないの、ヴァイスマンの仕掛けいやらしいですね。
そして、あのドンが朝日を見ずに脱落!? のノリを真正面からやってくれるの、にこりとしてしまう。
薄々思ってたけれど、ドンってヴァイザーポジションでいいですかね……。


タイトルにもなっているドミニカ、伝道師でも宣教師でも教誨師でもなく、"道化師"という言葉が選ばれてるの、絶対プラスの意味ではないですよね……。
神という言葉の裏にちらちら見える人影がやだー……!!

“炎帝”に次ぐ殺戮者であると語られているドミニカの業。
一方で旅人を拾ったときの回想や、ジェーンやメリリンとの交流からはその善性も垣間見える。
じゃあどこで彼女が殺戮者に踏みだしたのかと言えば、旅人の囁きですよね。
ただ、旅人の関与しないところで、自身の超力に対して色々思うところがあったのは事実。
〆パートのメアリーにしても、彼女は周りのことを気に留めず無邪気に生きていたわけではなく、だいぶ悲壮を抱きながら世界と自身を俯瞰している。
いずれも、どうしてこんな超力を持ってしまったのだろうかと忌まわしく思っているキャラクターであり、
その疑念に意味を与えた旅人の言葉は、彼女らにとっての啓示となっているのもまた事実なんですよね。
その結果、ドミニカとメアリーがぶつかり合うことになったことを思うと、一周まわってやっぱりロクなことしてないんだよなあ。
神一郎からドミニカに受け継がれる、人はそれぞれの神に従うべきであるという言葉。
彼の思想の善し悪しは断定はできないけれど、神を詐称している奴の言葉に従うのは論外だと思うのよな。

ドミニカの狂信の面が鮮明に描かれている本作だけれど、
ジェーンとドミニカの離別シーンとか素直にいいシーンだと思う。
ドミニカは自身が尊敬する人の言葉を餞別として送る。
ジェーンはジェーンの道を進むべきだと背中を押し、祝福し、彼女の矜持を肯定する。
ジェーンもその思いに報いて、つたないながらもドミニカの流儀でドミニカにエールを送る。
良き出会いであり、良き別れであって、しみじみとした感傷が込み上げてくるシーンでした。
たとえ歪みがあったとしても、ドミニカもまた、確かな慈しみの心を持った聖職者なのだ。

87名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:53:00 ID:xzyfz91s0
078.Lunar Whisper
復讐を主軸として動いていたエネリットを蓮にトレースさせて、叶苗と共通の属性で繋ぐ着眼点が見事。

叶苗視点から見たとき、復讐という同じ動機、刑務内で殺害を為したと疑ったことへの申し訳なさ、それにもかかわらず率先して案内をしてくれる紳士さ。
彼の話を好意的に受け取る要素が積みに積まれているんですよね。
前話でもそうなのだが、彼のアビス囚人としては小さな罪状を逆手に取った話運びは毎度うまいと思わされる。
誰も知らない動機、読み取れない目的、常人からは逸脱した感情が鉄壁の守りとなっていて、蓮はぐいぐいと集団の弱点へと攻めていくことができている。
彼の仕掛ける共感・連帯・信頼のレールは、知っていないとまず引っかかるだろうな。知っていてもかわすのは難しいんだろうね。

そして彼の特筆すべき恐ろしさが、豊富な知識量を背景に、アドリブでこれをこなしていけることなんですよね。
叶苗が復讐に反応したのは偶然にしても、これを足がかりに自然に距離を詰めてくる手腕は卓越してますね。
放送で叶苗が復讐相手を失ったこともまた偶然だけど、そこから叶苗の心理状態を看破し、間髪入れずに確かな理論を引っ提げて彼女を支えていけるだけの知識を持っている。
日月は叶苗の状況が分かっていても、そこから手を出せなかったですからね。
誰も手を出せない状況で真っ先に手を差し伸べられるのはそりゃ強い。

アイをダシにして叶苗の依存先を誘導し、そこに同じ復讐者という属性をちらつかせて、唯一の理解者であると挟んでくる話運びは憎らしいほど鮮やか。
相手を殺すための超力などなくても何十人も殺せたはずだという前話の解説を裏付けるような手並みだと思う。
このグループに対する、別のグループ乱入などの変数は期待できず、叶苗たちは半ばチェックメイト。
命を助けられそうなのは日月しかいないのだけれど、どうやって対処すればいいのだ……。

復讐相手の死を放送で知った叶苗の描写、やるせないなあ。
人を殺し、アビスに入り、キングに絡めとられて、畜生道を味わった結果、残ったのは人間の残骸。
自分で手を下すことすらなく、どこかの誰かの手によって終わってしまったことで意義すら失う。
すごいなと思うのが、40話で蓮とエネリットが話していた復讐観どおりの状況になっていること。
何もかもを失った叶苗だけど、この四人を繋ぐのが叶苗であるのもまた確かで、ここからどうやって転がっていくのか、先が読めないですね。

88名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:54:40 ID:xzyfz91s0
079.Whatever it is, that girl put a spell on me
翻訳AIにぶち込んだらルクレツィアとソフィアの関係を浮かび上がらせるような言葉になっているが、
Googleにぶちこんだら紫のけむりという曲が出てきた。なるほど……。

キレッキレな会話劇の光るいつものコンビ。
ルクレツィアに意外な一面! →猟奇炸裂! →そんなことだろうと思いました ハァ~(クソデカため息)
このコンビの黄金パターンである。

ジャンヌの観察記録を手に持って、ソフィアにもったいぶりながら聞いて聞いてオーラを出すルクレツィア、ウザすぎて笑っちゃう。
知らんでいいですと断ってるのに、ゴリ押しで知りたいでしょ知りたいでしょと詰め寄ってくるの、かまってほしい子供のそれなんだよな。
ルクレツィアに振り回されつつ手綱を握るソフィア、おかんみたい。

言うべきでないは言わない、は(ギリギリながら)できているけど、ルクレツィアがヤバいポロリをしないか不安なのはそれはそう。
ローマンを見て、アイアンの下っ端にヤク注入するの面白かった、みたいな二連核地雷を踏み抜きそうな程度の信頼はあるし、
ジャンヌを見て嬉しそうにニヤニヤしながらチラッチラッとしそうな程度の信頼はある。
ジャンヌの観察記録の意図を推察したり、死刑囚を外に出さないことをエルサルバドルの過去と絡めて説明したりと、頭の回転の速さの描写は散見されているのだが……。

ソフィアは割とルクレツィアをぞんざいに扱ってるが、その実主導権があるのはルクレツィアなので好意は稼いでおく。
ルクレツィアはフリーダムなやりたい放題人間だが、ソフィアの機嫌を損ねるとつらいので割と言うことは選んでいる。
思惑はありつつ、互いに思い遣って交流できる関係。
これちゃんと対等な友人ですよね?


ソフィア……ブラックペンタゴンに来るつもりなかったんだ……。マジかよ。
のっけから何もかもうまくいってないので、もうどうにでもなれーの精神で出たとこ勝負してもいいんじゃないですかね……。
ルーサーはソフィアに狙われる理由、ワケ分からんだろうな……。

そしてソフィアは表の部隊で犯罪者相手に仕事していただけあって、囚人たちに詳しいので所見が楽しい。
まだあまり戦闘でパッとしていない人たちが確かな脅威として描かれるのは地味に嬉しいところである。

89名無しの囚人:2025/05/14(水) 21:58:02 ID:xzyfz91s0
080.満漢全席
圧倒的不利な状況を二手で覆すネイ、かっこいいなあ。
メリリンも気概は十分だったけれど、さすがにストリートギャングとは闘争に対する年季が違った。
たった二手で逆転をつかみ取り、あまつさえメリリンの批評までしてしまうネイ、これ以上なく力の差を表現できていて好き。
ボコボコにされた後でネイの彼氏ムーブを辛辣に切り捨てる機嫌の悪いメリリンがかわいくて好き。
彼女は純情で景気のいい返しができる漢女殿とは違うのだ……。

ボロボロなのに異様にテンションの高い四葉、徹夜明けのテンションっぽい。
キングのナワバリ荒らしたのだからネイを知っててもおかしくはない、そして気軽に悪態付き合える関係が成熟した友人っぽいですね。
メリリンに彼氏ムーブしてド滑りしたネイを茶化せる関係性、いつもアホやってる男友達の関係性なんよ。
それはそれとして、乗ってくれれば儲けものの精神でネイにバトルを持ち掛けるし、
それがダメならネイをとにかくバトルに誘導しようとする彼女のバトルマニアっぷりが筋金入りですねえ。
というか彼女、戦るだけじゃなくて見るのも好きなんだ……。

大金卸のことを聞いた四葉の反応、完全に推しを前にした厄介ファンのそれ。
漢女の一挙一動までつぶさに見て聞いて取り入れる四葉、彼女は推しを殺しに行く身も心も限界オタクと化してしまったのだ……。
ネイに色々質問攻めをしているのに、その中に『勝ったの?』がないあたり、しみじみする。
四葉の厄介トークにちゃんと付き合ってくれるネイ、この男意外と人付き合いがいいな……。
そして話に付いていけなくてドン引きしてるメリリン、だいたい男友達のノリについていけなくて蚊帳の外に置かれる彼女なんだよな……。

ついに本条ファミリーの因縁がずらり勢ぞろい。
ファミリーそれぞれに一人ずつ割り当てがあってこれは迷う。
弾倉会議の中では熾烈な主導権争いが繰り広げられていると見た。
吼えるローズにいなす無銘、彼らをとりなしながらしれっと前面に出てこようとするサリヤが見えるようですね。
さあ、最初のごちそうは誰だろう?

90名無しの囚人:2025/05/21(水) 21:21:12 ID:.zlHRC1w0
81.絆の力
二人でひとつの女の子ヒーロー。休日の朝にやっているらしい概念を感じる。
見てるか旅人、これこそが醜い世界を覆す、美しき絆の力だぞ? 心と心の円環だぞ?

森の中で一歩も動かないのに毎回誰かに襲われる二人、
状況は別に近くないけどZで朝まで連戦に連戦を重ねて死にかけてた乃木平を思い出してしみじみする。
謎にかっこいい二つ名がついてるせいで怪人にしか見えないマッチアップ対戦者、番組一回ごとに出てくる怪人ですわな。

流都の最期の悪意がりんかを傷つけてる。
最後には救われて、混沌からも解き放たれたというのに、誰にもそれを知られず、誰にもそれを伝えられずに一人で散る。
本当に最初の最後まで間に合わなかった男であり、噛めば噛むほど味が出る男だと思うんですよね。
彼が目論んだ"やり場のない怒り"や"無念"は生まれなかったけれどその代わり、二人の欠落と傷心に互いの存在がしみこんでいる。
自他の境が曖昧になっていくという一文は少しばかり不穏ではあるけれど、
今だけはこうしていたいという気持ちも理解できてしまう。
こういう感情、尊いですよね。


百合に挟まってくる漢女、これまで毎回なんかよさげな感じに人を奮い立たせて去っていった彼女だが、今回ばかりはお呼びじゃないぞ。
登場描写の地響き、だいぶ衝撃なのだが、異物としてのあり方を強調した演出なのだろうと思ってる。
存在からして人間離れしている描写であり、実際、今回の言動は人間からだいぶ逸脱しているな、と感じますね。
ボロボロの年端もいかない少女に対して、自分基準で健康なので戦えと押し付けてくる漢女が迷惑すぎるし、
そして迷いが生じたので一方的に戦いを打ち切る漢女があまりに自分本位に生きている。
それなのに、別れ際の言葉がなんかいい感じにさわやかなのは笑っちまうんですわ。

善意を強くなるための手段として求めるのは因果関係が逆転していて趣深い。
善意すら闘争の糧とする戦闘狂と書くと、極まっている感じが出て、これはこれで魅力的なキャラではあるんですよね。
自分の価値観を押し付けてくるし、人の心を理解しないし、すぐに浮気するし、なのに悪感情を抱かせない、不思議なキャラだよな漢女。

91名無しの囚人:2025/05/21(水) 21:26:36 ID:.zlHRC1w0
82.狼たちの午前
キングの狡猾な交渉術が光りますね。
一見、キングが理不尽さを振りかざしているように見えるのだけれど、
> 「てめえが吐いた決意を、てめえで裏切るなよ」
この正論で退路を断つ、ここまでの誘導が極めてロジカルであり、巧み。

背景は明らんでいく朝、なのに薄暗い港湾の建物内で仕掛けることで、読者的には裏社会のダークな雰囲気を浮かび上がらせてくる。
ハヤトとしても、並々ならない状況に追い込まれたと自覚し、冷静さが普段よりも急速に擦り減っていく。

そしてハヤトをネイ・ローマンへの鉄砲玉に使いたいという意志は滲ませながらも、何を求めているのかをキングは言わない。
スプリング・ローズの名前を出し、使える手下を探していることを想起させている。
ネイと刺し違えることすらできていないと言及して、その首を獲ることを想起させている。
女に言及して、自分の選択が二人分の命に関わってくることを自覚させている。
けれども、キングは肝心な部分は何も言及していない。
決定的な部分はすべてハヤトに言わせている。
ネイとの落とし前を付けるという目的も、覚悟という言葉も、すべてハヤトが自発的に言っているんですよね。
だから、一貫性の法則が、口に出したハヤトに強力にはたらいて、退路を完全に断たれてしまう。
さすがに欧州の帝王だけあって、キングはやり手だなあ、と思う。

そして一貫性の法則によってハヤトが自分を裏切れなくなるなら、同じ法則がはたらいてセレナとの約束を裏切ることもできない。
キングが仕掛けてきた交渉を、同じロジックで跳ね除ける物語の作り方が非常に巧みだと思います。

一方で、ハヤトが筋を通したことで一転、キングはそれを認めることで寛大さを見せつける。
そして、気さくさを見せることで、恐怖ではなく凄みと人間的魅力をあらわし、ピークエンド効果で悪い印象を和らげる。
ハヤトはキングとの問答を切り抜けたという成功体験が強烈に印象付けられたと思う。
読者としても、キングの圧を乗り越えたセレナとハヤトのつながりが強烈に印象付けられた。
これを書けるの、本当にすごい。

キングの目玉を抉り出せという要望、恐怖の無茶ぶりそのものだけど、
後から読み返してみると、ハヤトが要求を断ってもずっと値踏みの目を変えてないので、
本当にハヤトの器を見たかったんだろうなと思わされる。
帝王から気さくなおじさんにすぐに切り替えられるの、プライベートモードと戦闘モードがガラっと変わる辣腕経営者みがある。
こう書くと今回のこれ、圧迫面接っぽいなあ。あれ口の中がカラカラになりますよね。

92名無しの囚人:2025/05/28(水) 21:02:30 ID:4Cs/LAvo0
83.Desastre
イグナシオのセンチメンタルで哀愁漂うモノローグに、探偵の仮面の下に秘められた本能。
彼のこれまでの行動は人に考えを押し付ける身勝手さとは程遠くて、最大限に相手を尊重し選択を委ねられるふところの深さがあったと思う。
イグナシオと安里のこれまでの交流を見ても、そんな悲観的になるものじゃないように思うんだけれど、一方で罪を犯して死刑を宣告されている人間でもある。
彼は理性と狂気を一つの身体に内包していて、狂気の側を抑えきれなくなる人間。
理想の自分があって、そうじゃない自分をどこかで否定してしまって、それに引きずられて自己評価も低く収まってしまうのだろうなあ。
こう書くと初期の安理ともだいぶ似ているところがあって味わい深い。

人は誰かから忘れられた時、死を迎えるという格言を連想する。
イグナシオ自身が自分をどう思っていようとも、イグナシオは紛れもない安理の人生の師である。これは疑いがない。
安理が生きている限り、イグナシオが本当の死を迎えることはないでしょう。
記憶を再現し、真実を求めてきた男が、無に呑まれて世界から消失する最期を迎え、それでも一人の人間に間違いなく消えない刻印を刻み込んだという顛末。
イグナシオのキャラ性を芯まで引き出していていいですね。


イグナシオ、漢女、神父と先導者に遭いまくる安理。
神一郎また漫画の大トリみたいな登場してんなと笑っちゃったんですけど、安理と絡むとなったとき、先がまるで読めない。
神一郎は漢女のように熱狂のままに死に導く存在であり、自身の"神"の語るままに行動することをよしとする存在であり、そして今イグナシオの考えと安理の考えにはギャップがある。
迷う日が来たときに『記憶』をほんの少しでも思い出してほしいというイグナシオのささやかな願いが描かれているからこそ、
ならば次に安理が誰に導かれて進むのか、読めなくなるんですよね。ここはなかなか気になる引きだと思う。


バルタザールは頭蓋骨の一部が機械になっているところとか、オーバーヒートしてるところとか、サイボーグみがある。
この世界27年前に異様に強いサイボーグがいたので、そりゃバルタザールも強いよなあと自分の中に変な繋がりができてしまう。
光の豊島事件で旅人が打ってた超力ドラッグ、あれも記憶消えるし、ハイ・オールド作るためのものなんだろうなあとか思った。
理性をしっかり保って戦う人間が一番の脅威であるのはオリロワの定石なので、理性を保ったハイ・オールドというのは文字通りの脅威。

イグナシオもバルタザールも技巧派なので、文字通りの必殺技を持ちながら、状況に合わせて他の小技を織り交ぜて戦うバトルになってる。
その必殺をどうやって当てるかの読み合いしてるのが楽しい。
壁を再現して身を隠し、声を再現して敵の気を引くという使い方は本当に膝を打った。
キャラシにはちゃんと"そう使える"ことが書いてあるのだが、派手な運用に覆い隠されて思いつきもしなかった。
こういうの、本当に意表を突かれて、やられたって思うんですよね。


企画主推薦枠、ヴァイスマンの選出理由がそのまま推薦理由になっていて面白かった。
そしてイグナシオの周囲の職員配置を調整して彼を探索方向に傾かせるというやり方、ヴァイスマンのフィクサーぶりが存分に発揮されていた。
彼の格の高さを崩すのはないなと、次話を大幅に加筆しましたね。
どんな緻密な計画にも想定外は必ず起こるという乃木平の忠告。
Z後に奥津さんから色々聞いたんじゃろなあ。

93名無しの囚人:2025/05/28(水) 21:09:14 ID:4Cs/LAvo0
84.私は特別!
道化のヤミナ。ヴァイスマンの掌で踊る。

地味な懸念として、システムA本体の形を決めてOK? というところはあった。
特に形の描写が見当たらなかったので大丈夫だろうとは思ってはいたのだが。
ちなみにシステムAってシステムAMAHARAでしょ? と思ってるんですが、断言するには尻込みしてぼかしたところ、作中から消えていた。
システムAの元の異能は"魔王殺し"だと予言します! 間違ってたらざぁこざぁこと指差して笑ってね。

高原姉妹は主催側だけど知ってること少なそうなので神視点の考察役にめちゃくちゃ便利な存在。
フォンテーヌ姉妹版と決めかねて両方書いたんですが、雑談が容易そうな高原姉妹を使いました。
ブラックペンタゴンに集めるだけ集めて爆発だぁ、とか、大事なものはお食事処じゃなくて四つの塔にあるでしょ理論とか、
当たっても外れてもいい与太考察を非常にさせやすいポジションですね。

超力強度の話をするつもりだったので、最初に旅人のシステムAハック事件を書いたのですが、
直前にハイ・オールドが出てきてオールドの最大超力強度が示されたのでだいぶ焦りました。
最初割とヤミナがシステムBを荒らすつもりだった……。
Desastre回でヴァイスマンの格が高まってたので、乗るしかねぇこのビッグウェーブに、とばかりに色々ギミック付け足しました。
あとは姉妹の雑談も冒頭のメールも入れる意味がなくなりそうだったのでなんとか有効活用できないかと考えた結果でもある。
なのでパスコード誘導とか、展示室のオブジェクトはプロットになくて、最初は中庭のモニュメントだけでしたね。
メールがヤミナやばくない→全部主催の掌の上です、と種明かしする方向に有効活用できてほっとしました。

ナメくさったシャワーシーンとかエルビス応援シーンは書いてて楽しかったし無法ぶりも文量もがんばったのですが、
趣味100%であり、重要なことはたぶん書いていないので、リレーの際はがんばって読み返さなくても大丈夫なくらいの塩梅です。
それはそれとして、手癖で書けるアホアホ珍道中は楽しいですね。

展示室の扉ギミックは、ウェブのフィッシング詐欺が元ネタ。
『おめでとうございます! あなたは10000人目の訪問者です! 商品を受け取ってください!』のアレですね。
モニュメントのほうも詐欺に引っかかる側の心理が元ネタです。
性格悪い仕掛けがしこたまあるらしいので性格悪くしました。
連想ゲームで中央のギミック=システムBにたどり着いてしまう手口、僕がZで書いてたときの乃木平がよく使ってたやり口ではある。

94名無しの囚人:2025/06/04(水) 22:03:11 ID:iCG3gjEM0
085.無垢なる祈りは少女の夢を壊せるか
対メアリー決死戦、メアリーに挑む全員が仕事に全力で取り組んでいる感じなのがいい。
一人一人が自分の仕事をしっかりとこなして、障害を一つ一つ取り除いていく感じがとてもいい。
エネリットは状況がどう転んでもメアリー討伐を果たせるように、最大限の用意をしてるんですよね。
超力の又貸しがドミニカ死亡で自分に返り、対応力を上げてメアリーまで一気に到達するシーン、
前々話の考察を踏襲した鮮やかな手並みに感嘆する。
トランプ兵がルメスに向いたというところで運を味方に付けられたけれど、それもこれも全部綿密な事前準備があってこそなので、非常に納得感のある仕上がりになっている。


ディビットとエネリットの関係性はだいぶ尊い。
表面に現れない信頼関係を超力の再現度で推し量れるギミック好き。
生き馬の目を抜くのが当然のアビスで、今日あったばかりの食えないネイティブに、
仮にも多数の悪と向き合ってきたはずの男が40%もの信頼を置いているのがとても好き。
それでいてめちゃくちゃ機嫌悪そうに悪態をついているので、ツンデレのようないじらしさがある。
エネリットの遠距離攻撃手段探してきてくれという無茶ぶり、死にに行けと言ってるようなレベルの無茶ぶりなのだが、
ハッタリ一本で交渉にこぎつけられるディビットはいいキャラをしてますね。
高い貸しがつくのも納得の要求、そして最終的にエネリットが結果を出したことでしっかり契約を履行した構図になっているのが好き。

そして実体を伴うほどの圧を向けてくるディビットに対して決して動じないジョニーもまた、いいですね。
理想と現実のギリギリのところを折り合いながら、理想家の依頼主の意向を最大限に尊重する姿勢に好感が持てる。
実現できる・できないと、飲みこめる・飲み込めないのギリギリを探りながら結論を導き出していく三人の話し合い、
まさにザ・交渉という感じがして好きなシーンです。
そして、成功の可能性が低かろうといったん決まれば最大限に協力して、仕事人を心中でねぎらうディビット、やはりここでも個人的に好感度が高い。
コワモテの大物ヤクザが30cmの石をがんばって探してくるのちょっとかわいいんだよな。


ドミニカは一片の曇りもない信仰、他者の善性をひたむきに信じる高潔さも合わさって、祈りが届いてほしいと思ってしまうんだよな。
エネリットはアビスの王子で、他人を利用することが常に選択肢にある人間なのに、
誠実さを以って向き合うしかないと思わせてしまう純然たる信仰。
それでいて、そのエネリットの真意を100%の超力授与という明確に測れる指針を以って、すべて受け止めるドミニカの度量。
血塗られた身でありながら、彼女は聖女と呼ぶにふさわしいと思ってしまった。
誰も破れないと思っていたメアリーの空間を破ったシーンは感無量です。

ドミニカが信念を貫いて報われたのに対して、ルメスは信念を貫きながら悪意に呑まれたのはままならないですね。
メアリーが純粋無垢だと信じていたのもだけど、領域のない世界がメアリーにどう見えるのかに思い至らなかったのもミスだったのかな。
メアリー視点での正常な世界は彼女に理解できない恐ろしいモノになっていて、ルメスの語りが全部悪意的に聞こえてしまうのは本当に天を仰ぐしかない。
メアリーにとっては一連の行為がすべて"攻撃"になっていて、結局彼女は人の世界では生きていけない存在だったのかなと思うと、一抹のもの悲しさもあるんだよな。


ルメスが救うべき人に殺され、メアリーもまた死亡し、依頼人も彼女の行為もすべて無に帰すことになったジョニーが労しい。
彼は運命に耐えられて、不条理を飲み込める人間だと思っているが、
彼が人の姿を棄てた理由、"まともじゃいられなくなった"という理由の一端が垣間見えてしまうのが哀愁に満ち溢れている。
仮にジョニーが外に出られたとして、墓が二つ増えてるのが容易に想像できるんですよね……。

95名無しの囚人:2025/06/04(水) 22:06:05 ID:iCG3gjEM0
086.We rise or fall
ブラックペンタゴン混戦状態。様々な受刑者がそれぞれの思惑を以って交錯している。
つかみのエンダとトビの会話、お洒落でいいですね。
"含み"には"含み"で返す。エンダのコスチュームと脱獄という二点から、実在した世界初の探偵を結び付け、婉曲的に協力関係を取り付ける。
作者の知識の豊富さと引き出しの多さに舌を巻くばかり。


追撃してきたチャンピオンVS仁成。
途切れ途切れの放送をバックに攻防を繰り広げる演出。
重要な放送ですらもはや背景の雑音にすぎず、一瞬でも気を抜けば即座に死が待っているというその焦燥感。
そしてたった一文・数十文字分の言葉が流れる時間、その合間にチャンピオンの猛攻を加えることで、
その数秒が体感何倍もの時間に引き延ばされているかのように感じる。
この演出だけで、仁成が絶体絶命の危機に追い込まれているということが実感できて、非常に手に汗握る状況になっていますね。

ただ一人の少女のために、すべてを投げ打って恩赦を求めるエルビス。
対するは、ただ一人の少女の償いを見届けるために、エルビスの猛攻を決死の覚悟で耐え抜く仁成。
ここでも類比の構造になっていて、着目点を探し出すのがうまいと思います。
この構造になってる状況で、エンダの不吉なくすくす笑いが聞こえてくるの、福音って感じで好きなんですよね。
似たような思いで対決する二人、けれども孤高のチャンピオンと、同志と共に歩む秘匿の二人となったところで明確な対比構造ができたように思う。
強大なチャンピオンに、信頼できる仲間と共に挑むリベンジマッチ、単純にめちゃくちゃアツいです。


ジェイは仁成やソフィアとは違って、一定の実力はあるけれど安心できない強さであり、そこを予知と機転で補っているという感じがする。
初撃でソフィアに足を受け止められて裏拳食らったり、図書館の応酬では余裕のあるソフィアに対して無我夢中で食らいついたりと、とても危ういのだが、
ナイフの不可視という優位性を活かしてフェイントやブラフに使ったり、虎視眈々と機を待ち続けられたりと、食らいつく力が非常に強くて好き。
そして余力がなく動揺を隠せなかったジェイと、冷静に彼に対処できていたソフィアと、その心の余裕が問答の後に逆転するの、いいですね。
今回の彼の強さは、自分の心に向き合って一皮むけようとしていることの発露のようにも思う。


仮にも特殊部隊であるソフィアに攻撃の予兆を掴ませないという未知、名も姿も一切把握できていないという未知。
一切の情報がないのを逆手に取って、矢継ぎ早にプレッシャーを与えてくる銀鈴は、決して遭遇してはいけないモノのような威圧に溢れてますね。
そんな未知の脅威である銀鈴の存在が、ルクレツィアに対しては生きる実感を与えてくれる運命の相手になっているのが好き。
銀髪の令嬢二人は表面上は会話レベルが似ていて仲良くやれそうに見えるけど、
命への向き合い方という根本が異なってる印象があるので実際に仲良くできるのかはよく分からない。


ジェイとソフィアは人の価値観からかけ離れた悪魔に友人として接し、元の地位から望まない堕ち方をし、故人を強く思っているなどの共通点もあれば、
生き足掻くか虚無を抱くかだったり、故人の言葉に縋るのか諦めるのかだったりとはっきりとした相違点もあって、お互いにキャラ性が引き立つ。
銀鈴とルクレツィアは銀髪の優雅な淑女というビジュアルだったり、相手に恐怖を押し付けるスタイルだったり、これまで人間に対して上から向き合ってきたという共通点もあれば、
命への向き合い方だったり、同行者や身内に対する考え方だったりといった決定的な相違点がある。
どの対戦カードもだいぶシナジーが強い組み合わせになってそう。


そんな中で、トビがヴァイスマンとの対決を見越して動いているの、遠い未来を見据えていて好き。
ヤミナじゃ春姫級の調査しかできないだろうからプロの見解を是非とも披露してほしい。
超力による戦闘実験という目的、そこに超力自体は際立って強いわけではない自身を織り交ぜて考察し、複数の目的があることにたどり着く。
高原妹は、刑務作業とは無事に終わるべきだからこそ重要要素は僻地にあると考えていたが、
トビは実験であるが故に、必ずたどり着けるところにイベントが存在するという推測を立てる。
立場の違いを活かした納得感の強い考察であり、だいぶ腑に落ちました。

トビからとびだした新概念、"脱獄最適化"。
脱獄のために記憶すら消せるトビならば、ヴァイスマンすら上回る脱獄を披露してもトビなので、で納得できるんだよな。

――今日はここまで。

96名無しの囚人:2025/06/05(木) 21:01:06 ID:P/4kNqKA0
作中に出てきた主な組織や集団まとめ
抜けや記述ミスがあったら申し訳ない

【欧州】
『キングス・デイ』
欧州裏社会を支配する新時代最大規模の犯罪組織」。
ルーサー・キングが首領として君臨する。
傘下として多数の下部組織を有し、公権力を含む表社会にも多大な影響力を持つ。
末端の組織にジェーン・マッドハッターが属していた他、ギャル・ギュネス・ギョローレンなども関わりを持っていた。

『イースターズ』
スプリング・ローズ率いるストリートギャング。
キングス・デイ傘下の「麻薬売買を仕切る組織」が後ろ盾となっている。
ネイ・ローマン率いるアイアンハートとは敵対関係にある。

『バレッジ・ファミリー』
イタリア裏社会を支配するカモッラ。
リカルド・バレッジが首領として君臨し、幹部としてディビット・マルティーニが属する。
キングス・デイとは長年の確執があるが、現在は表立った対立はせず冷戦状態となっている。
欧州では数少ない「キングス・デイを跳ね除けて独立した勢力を保ち続ける大組織」である模様。

『アイアンハート』
ネイ・ローマン率いるストリートギャング。
イースターズとは異なり何の後ろ盾も持たず、ローマンの実力とカリスマ性によって勢力を拡大した。
麻薬の否定などを始め、鉄の掟によって統率されている。

『アヴェンジャーズ』
欧州で激化する犯罪に対抗するカウンター組織。
ジャンヌ・ストラスブールが所属していた他、尖兵と化していた頃の葉月りんかを止めている。
日本でもかつての恵波 流都が自警団のヒーロー達を育成していたりなど、各地に類似した集団が存在すると思われる。


【ラテンアメリカ】
『メルシニカ』
サリヤ・K・レストマンが僻地で立ち上げた組織。
当初は非合法品のブローカーに過ぎなかったが、天才技術者“メカーニカ”の加入で飛躍的な成長を遂げる。
結果として豪州の麻薬女王「サイシン・マザー」との競争に勝利し、欧州への販路を拓くまでに至った。
善悪を問わず闇社会で不法機器を売買し、欧州では違法薬物の流入を加速させた。

【アジア】
『飛雲帮』
中国における巨大幇会(チャイニーズマフィア)。
鉄人凶手と謳われる呼延光を抱え、数多の標的を始末していた。
しかし彼の力を恐れて始末を目論んだことで反撃に遭い、組織は壊滅した。

『超力研究所』
超力の解明や研究を目的とするGPAの機関。
少なくともアジア支部においては表沙汰に出来ない人体実験が行われており、サリヤの母である「マリア・C・レストマン」も属していた。
彼女は理想の研究を進めるべく極秘の成果を持ち出して逃亡し、非合法の技術を求めたサイシン・マザーと利害関係を結ぶ。
そうして人為的な超力世代「デザイン・ネイティブ」の誕生へと繋がっていく。

【オーストラリア】
『サイシンの組織』
麻薬女王サイシン・マザー。彼女は自らの超力を利用し、麻薬製造・売買を行う大規模組織を構築した。
欧州進出を狙って超力研究所の元メンバーとも結託し、麻薬製造の超力を備えた「ネイティブ・サイシン」誕生のきっかけを作り出している。
しかしラテン系組織であるメルシニカとの経済競争に敗れ、また怪盗ヘルメスの介入やサイシン・マザーの逮捕によって弱体化を余儀なくされる。


【その他】
『GPA』
世界保存連盟。20年前、人類未曾有の危機を乗り越えた「開闢の日」を主導した組織。
日米地球保護協定を前進とし、主要施設も日本とアメリカに集中している。
超力研究所、超力犯罪国際法廷、そしてアビスなど、超力社会を制御するための多数の機関が連なる。
しかし超人社会に対する諸制度は未だ十分とは言えず、また非人道的な研究にも関与している模様。

『ハルトナ王国』
エネリット・サンス・ハルトナが生まれた君主制国家。
開闢の日をきっかけとする革命によって転覆し、エネリット王子を除く王族が一族郎党皆殺しとなった。
受刑者を実験台とする『超力拡張手術』を秘密裏に実施しており、バルタザールはその被験者だった。

『ヤマオリ・カルト』
開闢の日以降、既存の宗教を脅かす勢いで急成長を遂げた一連の新興宗教群。
いずれの組織もヤマオリという概念を崇拝し、開闢後の世界観を教義に取り込んでいる。
大規模な生物災害を起こそうとした北米のヤマオリ・カルト、エンダ・Y・カクレヤマを飾り巫女として担ぎ上げた最大規模のヤマオリ・カルトなど、様々な組織が存在する。

97名無しの囚人:2025/06/11(水) 21:53:51 ID:MjfrqKf60
087.ROULETTE
ローマンが彼氏面している。相手から秒でボロクソ言われるオレ様キャラも、どんな状況でも毎回名前呼びするなと必ず牽制を入れてくるメリリンも、こいつらなんかおもろい。
軽快な掛け合いの勢いに流されるけど何がその意気だ!なんだよw
ローマン、一度でも名前呼びを許せば、同意したろとばかりに次のステップに進みそうな男。
そして彼氏面してるくせに容赦なく攻撃に巻き込むローマンに、ちゃんと敵意がないので衝撃波をだいたいスルーするメリリン、こいつら……wってなる。

それぞれに因縁はあるけれど、ローズとローマンの宿命の対決がクローズアップ。
腐れ縁を想起させる互いの口上から始まり、
相手の投げた言葉をそのまま相手に返すようなやりとりが随所に組み込まれていたり、敵対関係でありながら揃ってため息を吐いたりと、掛け合いの相性がバッチリの二人。
会話の治安の悪さもバッチリと噛み合っていて、めちゃくちゃニギヤカで読んでて楽しいバトル。
ローズ相手だと会話に頭使わなくていいとばかりにローマンの言葉が汚くなるの好き。

鎖から放たれた狂犬はかくも凶悪なるや、トビはよく彼女を御せてたなあ、と思わざるを得ない。
常人とは価値観がかけ離れているのでトビと四葉が最初に出会うのは必然だったのだという一文が挟み込まれているの好き。
カラッとしてる印象だった四葉だが、今回はあっけらかんとしていた外面の裏側にぐにゃって歪んだ狂気を感じる。
そうかと思えば子供のような我儘を見せたり、突然粋を語り始めたりと、これはまさしく価値観の異なる狂犬の所業。

血の気の多い三人が死ぬまでデスマッチ繰り広げるかと思いきや、
メアリーが来ると広まっただけで、これまでの因縁も確執も全部投げ捨てて全員相談ムードになるの笑っちゃうんだよな。
ジェーンなんて肉体的にもプライド的にもローマンにボコボコにされたのに、
メアリーがあまりにヤバすぎてローマンの仕切りに従わざるを得ないの、
あらためてメアリーの危険度と、それを討伐成功したエネリットの機知が強調されている。

一対一のバトルに読み応えのある作者氏、
今回は三つ巴のバトルだけれど、相変わらず応酬が多岐に渡っていて読み応えがあるんですよね。
超力と戦闘経験ならば随一のローマン、
長所を切り替えながら状況に応じて場を切り替えるファミリー、
双方を随所で邪魔しながら大局を読んで戦闘が終わらないように邪魔をし続ける四葉。
それぞれが強みを発揮して追い詰めたり追い詰められたり、
あれだけ強かったローマンが二回も死の淵に追い詰められていたり、
一方で乱入してきたジェーンがちゃんと強かったり。
相手を殺して終わりなローマンやローズと戦いを楽しみたい四葉とでゴールが違うのもあって、
勝ったと思ったところで思わぬ邪魔が入ったりして戦況が二転三転するのが本当に面白い。
超力の使い方もバリエーションに富んでて、
衝撃を即席の近接武器のように纏うローマンや影が薄くなる超力を衝撃の回避に使う清彦、ファンネルのように鎧の一部を飛ばす四葉と、
そこにあるものを全部使い倒すかのごとく作者氏のアイデアがあふれ出していているのがいい。
そして三人で全力で戦った後、ついに決戦とばかりにローズが弾丸となって一対一の因縁が開始される。
この流れは本当にアツいなと思います。

98名無しの囚人:2025/06/11(水) 21:59:05 ID:MjfrqKf60
088.氷の偶像
ジルドレイは誰よりも泣いて笑って恐れているように見えてしまう。
ジャンヌの幻を視て打ちひしがれるやるせなさの演技、
孤独に草原を歩むシーンで漏れ出ている悲しみの演技、
祈りを捧げるジャンヌを目にした時の喜悦の演技、
ジャンヌに唯一のよすがすら否定されて喉を震わせる演技、
お前これだけダダ漏れさせておきながら感情がないわけがあるものか。
作中でも書かれているけど、超力の漏れ方、見事にジルドレイの内心に連動してますもんね。
誰も見ていないところで、自分の置かれている状況に合わせて表情を模倣できるなら、それはもう感情が生まれているのよ。
偽りであっても偽り続ければそれは本物になるんよ。
燃え上がるような怒りを纏っていたフレゼアと、冷たく沈澱するような哀しみを背負っているジルドレイと、
それぞれの超力が象徴するような道を辿っていくの、描写として美しいですね。

フレゼアのその後を偲び、その死を悼むジャンヌはとても絵になっており、鮮明に想像できる。
たぶんジャンヌはこれまでも賛同者敵対者問わず思いを馳せていたのだろうし、思いを背負ってきてたんだろうな。
フレゼアは最期に温かな光を灯して散ったので、どこかでそれを知って、重荷を一つ降ろしてほしいと思うんですね。
そしてジャンヌは決して折れないので、引き続き試練と苦難の道を歩む。彼女の軌跡がだいぶ聖人じみている。

ジルドレイとジャンヌ、微妙に話が通じていないようで話が通じている不思議な会話だ。
ジャンヌはどんな狂人にでもきちんと向き合ってくれるけれど、寄り添ってくれるわけではないので、ジルドレイの心にトドメを刺してしまうの、哀しみに満ち溢れている。
ジルドレイの暴走はジルドレイが悪いのだけれど、彼にあまりに救いがなさすぎて同情してしまうところがある。
物心ついた子供が母親の気を引きたくてやらかしてしまうような、そんなにおいがある。
ジルドレイの情緒は生後一歳、みたいなイメージがある。
本人は根っこから善なのに狂信者製造機になってしまうジャンヌ、彼女の清廉潔白な在り方はあまりにこの世界に合わず、ひたすらに労しい。
それでも人に正面から向き合って諭すからこそのジャンヌ、そして彼女はその意に添わず狂信を生み出していくんだろうなあ。

ジルドレイとキングが潰し合うのは好都合だけどそれをよしとしないジャンヌ、じつに誠実。
前話で、キングを恨むローマンがローズとの因縁を四葉に投げることを考えたことと比べてもだいぶ真面目である。
彼女の言うところの、目の前にいる傷付いた誰かを助けること、の矜持にもかぶさっていて、とにかくジャンヌは真摯なんですよね。
ただ、ジャンヌが結果的にキングに鉄砲玉を送りつけるという構図はちょっと笑ってしまう。
ジャンヌの問題のとばっちりを食らうキング、無から現れた因縁に唖然としちゃう。

99名無しの囚人:2025/06/18(水) 22:08:02 ID:eJx3uxTg0

089.鋼鉄のブレックファースト
スーツで身をビシッと包んだ悪の帝王キング、鉄の食器で品良く糧食を摂るシーンがあってとても嬉しい。
組織の頂点を取って社会性を大切にする人間なら、絶対に直食いはしないと思っていました。

人間辞めてる怪人が多い中で、怪物と呼ばれているキングにはそういう印象がない。
ここまでの作中描写として、彼は人間のままに人間を極めているんではなかろうか。
ボクシングという確立された武を基礎暴力に、交渉術という確立された手法を駆使して人心を掌握。
ジャンヌは孤高を厭わない精神性の怪物であるならば、キングは人との関係性を極めた人間の傑物という感じ。
生い立ちや背景が徹底的に現実的なラインに収まっていて、得体の知れなさが少ないですよね。
もちろん超力とか超人的な強さはあるのだが、彼は徹底して人の立場に立っているように描かれていると思う。
個人的にはZのSSOGの強さに近いイメージがある。

キングは悪の帝王なのだが、ハヤトの所作を嗜め、教養を説き、経験を語り、先達としてやるべきことをやってくれているのが好き。
人生の大先輩にして、見本の一例になっていて、彼の言葉には重みがある。
キングは気に入った人間に対して口が軽くなるので、ハヤトに対して見所を見出しているんだろうなあ。
口うるさくも的確な指摘をおこなうのは人間の関係性を重視するからだと思っている。
それはそれとして、欲しいものを巻き上げるために先に与えることをしてくるの、やはり根っからの悪党。


セレナの公平たるべきだという正論を、尤もだと受け入れて平等な条件を敷くことで、
誠実さと公平さを自分の武器に変えてしまう手法は本当にすごいと思う。
情報を引き出すために『ひと手間』が必要であるという持論、とても納得感がある。
相手の後ろめたさを引き出して危機感を煽ったうえで逃げ道を与えて、支配力を強めていくこともできて、本当に交渉術の組み立てがうまい。
だがハヤトには隠し事が二つあるので、キングが奪えないものを一つだけ出しておいてもう一つは隠したままにするの、そうくるかと膝を打った。
キングの独壇場に見えながら、キングからしたら一杯食わされた状況に持って行く作劇は鮮やかでいいですね。
誰と待ち合わせしているのか言わなかったせいで、人違いの少女二人組が二組も来る、だいたい詰めを誤ったキングが悪いw


りんかと紗奈がぼろぼろすぎて気の毒になってくる。
なんであんな要所でもない中途半端な場所に怪人がどこどこやって来てたんでしょうね?
ボロボロになった挙句にたどり着いた先にいるのはキング、ご愁傷様すぎる。
ジルドレイはまた来るし、どう転んでも試練が待ち受けている、もうそんな星の下に生まれたんだろうなあ。

100名無しの囚人:2025/06/18(水) 22:12:55 ID:eJx3uxTg0
090.色褪せた昔話
ギャルの過去はキャラシや各話で様々な年代が散らばっていて、
エンダが名指しで警戒・アルヴドと面識・日本のギャル文化を知る機会がある・山折村に来ていたことがある・開闢以来時を失ったと噂される、などあり、
全部回収するにあたって、Aの13話で名前は出たZ候補キャラの門倉を噛ませ、永遠の山折村と関わらせました。

ギャルを拾ったのはアルヴドの組織で二人に面識がある、
日本の学校に来たのでギャル文化を知ってる、
門倉がテロリスト相手に完勝できたのは内通者がいたからである、
門倉が山折村に行ったのでギャルと山折村に繋がりができている、
山折村が永遠になったのでギャルも永遠に呑まれる、
永遠に失望して刹那的で享楽的な根底が生まれる、
開闢の日に村から外に出て活動始めたことで外からは開闢以降不老になったと外から認識される、
山折村と関わったのでカルトとも関わりが生まれる、
だいたい断片的な部分は触れられたかと思います。
最初の探索隊とつけることで所長とも関われるようにして、ジョーカー打診のつながりも示唆はしましたね。
まあこれでも10年前の警察爆殺事件とか横浜ドームテロだとかシビトと一緒に山折村爆破とか色々残ってるんですが……。
ギャルの生い立ち自体はどことなく茶子に似た気もしなくはない。

アルヴドが今より幼かったと言ってたのはさすがに拾えないので、当時の彼女は精神的な弱さがまだあって、ファッションも大人じゃなくして、とか、色々一文入れておくことも多かった。
なおダチ大事にするタイプの割に裏切りまくってるのは、裏切るからこそ強調するタイプ理論。


あとはブラペンでバトってるキャラがみんな対比持ちだったり因縁持ちだったりなので、この組もがっつりそうしました。
最後の生存者と最初の生還者とか、過去を引きずってるのと今に全振りしてるのだとか、あとは普通に因縁持ちだったりとかその辺。

ギャルがあまりにイベント多すぎるので征十郎の影が薄くなり、
なんとかしようとZにない新技だったり剣を極める命題の理由だったりを盛っていく。
八柳新陰流、書き出すと師範と門下生のやらかしが本当にひどいので順当に忌まれるべき存在となりましたが、
色々つけてもやっぱりギャルのインパクトに隠れがちではある。


Zが絡むと把握が大変になることは分かっていたので、できるだけ必要な説明は文中には入れるかAの過去作にあることを確認、ほぼA内部にあるはず。
八柳の爺が人斬りまくった件は外から理由見つけるの不可能だと思います。
あとは開闢=リ・テラフォーミングによる概念上書きで永遠が少し崩れたとかも理由付けできるんですが、これを使うと説明が大変なので開闢は特別な日くらいにとどめてます。
Zは絡めていますが、タイトル通り過去は過去として書いたので昔話です。

一方で村の情景はZの色んな回を参考にしていて、20話のトンネル崩落回や99話の夏祭り回、70話の花言葉回などは入ってますね。
ループに出てるお屋敷は八柳の道場で、踊ってるのは茶子と哉太とリンちゃんかもな……くらいにはこっそりいます。

101名無しの囚人:2025/06/25(水) 22:26:57 ID:okZrLPWY0
091.宣戦布告
考察を一手に担ってくれるトビ、プロの目から見た各部屋の特徴がきれいにまとめられていて分かりやすいですね。
どのフロアも恩赦ポイントシステムを反故にするような異常さがあり、
異常さの中に存在する普通こそ、最も警戒すべきであるという原則がフロアを進むたびに強まっていき、探索終了と共に罠だと断言する。
3つ目くらいでもうこれ絶対罠だろって解釈が浮かぶので、階段でのトビの断言でやっぱりなー!って感想が出てくる。
満を持してという言葉がよく似合う溜のパートと情報開示、我々もトビに思考を誘導されている。

二階のストーリー部分はある意味王道の情報開示なのだが、明かされる二階のヤバさ自体は想像の二段階くらい上なので、
毎回マジかよヴァイスマン……くらいには衝撃があって楽しく読んだ。
洗濯できます←まあ水があるなら
医薬品あります←大盤振る舞いすぎないか?
死亡状況分かります←ヴァイスマン!?
くらいにビビる。
やばい新規情報がない住居フロアはヤミナのフリーダムぶりで脱獄王が動揺しまくるので、説明パートなのだがどこも楽しい。

そしてちゃっかり調理室を探索したときにしっかり林檎を完食してたり、モニタリング室で受刑者の情報を一通り集めておいたり、
罠は罠と理解したうえで、使えるものはしっかり抜き取っていくトビ、やっぱこの男抜け目がない。
相手方の契約の約定状況をしっかりチェックして頷くトビの腕組感が好き。


ヤミナまたしても速攻で分からされられる。
ドンの首輪拾ったときもそうでしたよね?
選ばれし者だとか世界から祝福を受けてるだとか宿命の重さだとか謎ワードが次々飛び出して我々の腹をよじり切らせようとしてくる。
イキりまくりの有頂天から秒で狼狽にまで叩き落されゴマすり始めるのはもはや彼女のお家芸。

> ちょ、待って、なんで来るの!? 足止めはどうしたのチャンピオーーーン!?
> ……ふふん、別に怖くないですし。来るなら来ればいいじゃないですか
> ば、ば、バカな!? こ、ここは選ばれし者にしか入れないはずの場所だったのでは!?
この動転レベルMAXの迷台詞が次々飛び出してくるここらあたり、お腹痛くなる。
舞台女優じゃなくてドッキリ仕掛けられたリアクション芸人なんですわ。
単なる小悪党では済まされない可能性がある→バカ→諦めるの三段転落。
超力とか関係なしにヤミナのフリーダムぶりは呆れられて然るべきであり、これは彼女の超力を見抜くのは難しいですね()


そこにある事実に対して、別の視点から見直せば別の答えが見えてくる。
二階の住フロアの意味は、殺し合いが起こらなかった場合に備えた施設であるという回答は、
まさに前提と視座を変えなければ出てこない答えであった、これは本当に目から鱗が落ちる思いだった。
そしてクライマックスというべき、システムB=この刑務島であると明確に判明するシーン。
システムBの空のケースに島のジオラマが収まるという演出、めちゃくちゃ痺れますね。
推理もののクライマックスで犯人に証拠を突き付けるような爽快感があって好き。

トビはヴァイスマンにきっちり宣戦布告しているが、
ヴァイスマンからしても、トビがシステムBに気付くことがそのままヴァイスマンからの宣戦布告になってる構図でもあるんですよね。
トビVSヴァイスマンの対決ラインが引き直され、行動方針も二部開始仕様のように書き直されていて、宣戦布告というタイトルも含めてアツいですね。

102名無しの囚人:2025/06/25(水) 22:32:08 ID:okZrLPWY0
092.永遠
征十郎VSギャル、山折村に縁深い者同士の因縁の対決を『永遠』のタイトルで正面から描き出すところに敬服します。
タイトルが王道ならば話の展開も王道であり、過去に囚われたヒロインを主人公が開放する物語という構図になっている。
もちろん背景はだいぶ変則的なのだけれど、それを王道の構図に持っていく技量、なにより熱量が文章からにじみ出ていると思うんですよね。

作中でも書いてある通り、自分の最強を相手に押し付ける戦い。
二人はお互いにそれを押し通せるだけの力を持ち、今やラブ&ピースとは程遠い悪党になっている。
なのに、この瞬間だけはあのときに戻って、あのときの続きの物語を紡ぐ。
あのときの名前として八柳とタチアナを持っていて、悪である征十郎とギャルの中に確かに二人が眠っている。
少年少女の遅すぎた青春の結実、あの時は紡げなかったIFとして物語をもう一度紡いで、今度こそtrue endに持って行く構図がとても美しい。


征十郎にギャルらしからぬ弱音を見せるギャル、
過去から現在に至るまでの生涯を振り返り、資格を自覚したうえでタチアナを斬り捨てる宣言をおこなう征十郎、
こいつなら願いを叶えてくれるかもしれないという一筋の希望を見出して、お前を本気で殺すと宣言するギャル。
それだけでも盛り上がるのに、さらに燃料を注ぎ込む。
ギャルという悪を崩してそうなる前の少女を呼び戻し、ガラにもなくヒーローを目指していたころの少年の叫びを思い返す。
山折村を光で祝福に属するものと位置づけ、それを悪である征十郎が斬り捨てる構図に持って行き、
そこに山折、八柳、タチアナを絡めて、クライマックスの一撃に全部を注ぎ込んでいるんですよね。

爆発を斬り、概念を燃やす炎を斬り、と不可能を次々に斬ってきた征十郎に立ちはだかるのが、永遠という途方もない概念。
永遠と刹那とどちらがいいのかなんて決め切れないので、ならば情念が強いほうが勝つ。
永遠の刹那の狭間に絡めとられたタチアナと対比されるように、命もポイントもこれまでの経験、全生涯をもすべてその一瞬につぎ込んで、その刹那を極めた征十郎が勝つ。
八柳真陰流最強の姉弟子が願った穢れなき永遠と平和は、八柳真陰流の本懐である『斬』を極めた征十郎の願いによって打ち砕かれる。
永遠を斬り捨てることに成功し、『死ぬにはいい日だ』という言葉につながり、そして伸ばした手と言葉が届いたという結末には感無量さがある。

少年少女の物語は美しく終わったので、これからの未来に繋がっていくのだという締めが余韻を感じさせ、読了!って言いたくなるようなスッキリ感に溢れてる。
今は今、昔は未来とは関係ない。それはそれとして、昔話は美しく締めくくられる。色褪せた昔話は暖かく彩られて心の倉庫で封を閉じられる。
こういうのこみ上げてくるものがたくさんあって好きです。

103名無しの囚人:2025/07/02(水) 23:21:36 ID:ophrXvQw0
093.灯火、それぞれに
ハヤト、本当に変わったなあ。
最初のころなんて、『自分の身を第一に考えなきゃいけないなんて、ストリートじゃ常識だ』と言っていて、
最初はセレナを巻き込むか巻き込まないかで揺れ動いていたのに、
今や何の関係もない少女たちをキングから遠ざけることすら考えるまでになってる。
生きるために仕方がない、弱者は選ぶことができない、と思っていた人間が、キングに立ち向かうまでになってる。
りんかの超力はみんなに希望を持たせるものだけれど、元の善性こそが大切なので、
彼の奥底にはこれだけの善性と胆力があったのだと分かるのも味わい深い。

紗奈がすっごく噛み付いてくるけど、りんかのお人好しぶりを見ればそれはかくあるべし。
四葉とはまた違った方向で、りんかってなんにでも首突っ込んでいくタイプだもんな……。
りんかこそ大切な彼女からすれば、すぐに傷つく行動を取るりんかにハラハラするし、
自分のヒーローを知らないやつらにいきなり取られるのも思うところありそうだし。
そんな精神も経験もまだまだ未熟な新米ヒーローをふわりと包み込むセレナのお姉さんぶりに癒されますね。
ハヤトもセレナも、雰囲気がすごく大人のお兄さんお姉さんなんだけど、セレナって13歳なんだよな……。
両手取られた結果、首と頭をモフるハヤトくん、その位置はだいぶドキドキするだろ! 僕の心は穢れている。


ハヤトはキングとの対決を考えているけど、今回の立ち回り自体はかなり理にかなっていると思う。
少女二人組を案内するという野暮用に対して、逃すとか一人で向かわせるとかの独断をキングに対しては取っていない。
さらに案内役の勤めとしてハヤトが矢面に立つという構図なので、キングからすると正論で付け入る隙をだいぶ潰していることになるんですよね。
本当にキングの客なら、みすぼらしさを減らすという意味でも治療と食事はありだと思うし、
臨戦モードであってもいきなり暴力から入らないというのもキングは好みそうだと思ってる。
彼なりに交渉の土俵に立ちに来たという感じで、筋を通すという意味でもできるだけのことはやっていて好感度が高い。
彼の選択を尊重し、一蓮托生でハヤトの隣に立つセレナもまた、気高さが垣間見得て好き。
> ーーぜんぶ終わった後、わたし達はあなたにとってのヒーローになれてるといいな
この一言、すごく輝いていて好き。やっぱりお姉ちゃんなんですよ。
みんなとても青臭くて、そして輝かしいですね。

キングは、冷酷な首領という公的な顔と、わりかし気さくな老人という私的な顔があって、
相手によって比率を調整しているところがあると思うのだが、今回は私的なほうが強く出てる気がする。
キングス・デイの壊滅を目指すローマンやジャンヌと比べると、比較的にハヤトはキング個人に立ち向かう面が強いからだろうか。
キングとハヤトでは隔絶した実力差があることは理解の上、建物を館として作り替え、堂々と迎え入れる演出がいいなと思う。
ステージを用意したということなので、ハヤトとセレナにキングなりの礼節を見せる形になっているんですよね。
まありんかと紗奈は完全に無関係の人間だったので、結果としてキングはだいぶ事故に巻き込まれたのだが……。

104名無しの囚人:2025/07/02(水) 23:25:08 ID:ophrXvQw0
094.Ginger Root
それぞれの悪に焦点を当てていたサニーサイド・アップからダイレクトに繋がっている印象を受けた作品。
人間の社会性から離れているアイが例外になるのも引き続きである。
各キャラについて孤独という言葉で繋いで掘り下げているけれど、孤独そのものを深堀するというより、キャラクター性のワンエッセンスとして拡げている感じですかね。

>…………うるさい。アイドルなめんな
日月から飛び出してくるこの返し好き。
孤高の姫君って感じだった日月の仮面の奥が少しだけ覗けた気がする。
罪や悪を自覚して、自分はそちら側にいるべきじゃないと心の奥底で殻を作りながらも、それでも向こう側に手を伸ばそうとする叶苗や日月はどこか相似がある。
一方で氷月は根っからの悪で孤独なのでだいぶ性質が異なってて、やっぱり彼は異質ですねえ。


善子の持ち歌、やっぱアビスみたいな掃き溜めの中で足掻いてる人に刺さるな。コウペンちゃんだもんな。
アイドルは魂を熱狂させて夢中にさせる存在で、歌声は必ず届くものだって月乃も善子もソーニャも言ってた。
VRだと心が空っぽの笠子にも届いていたんですよ。
逆説的に、日月のライブで揺らがないどころか、彼女の渇望すら手の上で転がす氷月の底知れなさが強調されていく。
叶苗とアイが助かるかどうかは日月にかかっているというイメージだったので、今回で砦が陥落した印象がある。

日月は原点としてのアイドルに思いを巡らせ、その生の感情をさらけ出す。
健康的な渇望がそこに見て取れてとても応援したくなる。
だからこそ、それがすべて氷月の掌の上だったということが明かされた衝撃が大きいんですよね。
> 君は、今もアイドルで在り続けたい
> そう思っているんだね
この一言だけでそれまでの前向きな雰囲気を全部ひっくり返すの、もはや芸術的ですらある。
自他の心をふるわせるプロフェッショナルが氷月のたった一言で心をからめ取られてしまうのは絶望感すらある。
氷月の揺さぶりに動揺して言葉を返せない彼女、やっぱ悪は向いてないんじゃないかなあ。

日月はアイドルの輝きをふたたび自覚して、舞台への渇望を自覚して、それが叶わないかもしれないことを自覚した。
もう氷月の独壇場になりそうだけれど、日月にはキャラシや超力の不穏な描写があるので、見えない爆弾が爆発しそうな緊迫感もあり。
怖いパートですねえ。

105名無しの囚人:2025/07/02(水) 23:29:26 ID:ophrXvQw0
095.狂犬は踊る
すべてのリソースを結集して一撃に賭けるタイプのバトルも、
用意した切り札で決着をつけるために布石を積みあげていくタイプのバトルも好きなので、好きなタイプのバトルの欲張りセット回だった。

ローズ VS ローマン、因縁の対決は引き分けに終わったけれども、カラッとした決着になってていいですね。
ファミリーの力を借りて生前の全力を超越した一撃を放つローズと、
残骸であれども、相手はローズなのだと認めて全力で迎え撃つローマンと、
思い通りにはならなくとも悔いなんてないだろうなと思える後腐れのなさと、同時にどこか喪失感が表れているのが好き。


四葉もついに脱落したけれど、本当にオールラウンダーなバトルキャラだったなあ。
鎧が傷つくにつれ、召喚型、装着型、遠隔操作型と戦法色々変わっていったけれど、この短期間で経験をどんどん積みあげていったのがよく分かる。
一番ぼろぼろの状態だった遠隔操作型、一番やりにくそうに見えたのは経験と成長の差なんだろうなあ。

四葉の切り札、ラ・イルの不意打ち。
確かによく読むと全身鎧を着けていて、ラ・イルの兜を着けているとしか書いてないのだが、初見読者は絶対分からないので無銘も絶対分からない。
のっけから四葉はラ・イルの不意打ちを切り札として用意していて、これを持ち前の狂乱と見せ札とで隠し通し続けたというわけで。
そして四葉は絶対勝てない相手から撤退を選べる人間なので、無銘に勝てると踏んで立ち会っていたわけですよね。
その前提で読むと、四葉は戦闘センスもマイクパフォーマンスも天性の才能があるなあと思うわけです。

流れ自体はほぼ無銘の優勢で進んでいたので、本当に格上相手に一発逆転の切り札一本で挑んだわけで。
無銘自体が戦闘巧者で、超力も精神の安定なのに、彼を以ってして不審な点を見抜かせない。
そして読者からしても、四葉はノってくると破綻した狂気を見せてくるという印象があったので、最初から仕込みがあるなんて夢にも思わない。
成功すれば大物食い、失敗すれば死亡、まさにスリルを求めるジャンキーのやり口だし、
ここぞというところで切り札が綺麗にキマって逆転決めるのは気持ちよさそう。
四葉がバトルジャンキーやってる理由も、トビと同調した理由もなんか分かる。
窮地に笑ってるかなと思ったけど今回彼女はずっと笑ってたのでそこはよく分からなかった。

ローマン、本条を嫌ってますねえ。
ローマンは固い信念を持った人だから、彼に取り込まれることでそこが歪められるのは許せないんだろうなあ。
鎧それぞれが別人の超力を使いだすのは脅威だけど、ローマンの超力は軍勢相手には本当に強いよね。
ローズとはだいぶ視線を同じくして戦ってた印象だけど、
本条のファミリーの仕組みを見抜くあたりに、やっぱ頭がキレる男だなあというのを定期的に思い出させてくれますね。

家族を優先する行動原理は確かにオリジナルからかけ離れたもの、
ただ本条四葉は一回は相手にちょっかいかけそうだし無謀な執着はしないので、四葉であるのも確か、という絶妙な塩梅だと思ってる。
本条は弾丸が減ってしまったけれども、四葉は手持ちのカードの切り方がうまいので、脅威は未だ健在、という印象ですね。

106名無しの囚人:2025/07/09(水) 22:32:58 ID:FdX22Z4c0
096.弱き者のための拳
漢女の現場検証、鑑識級の丁寧さと高い洞察力を発揮している。
氷炎関係に熟達しているので氷炎入り乱れる戦いを正確に読み取れるのは納得だけど、
エネルギーの痕跡から守り守られる関係がそこにあったことまで読み取るの、もう名探偵の領域だなあ。
直接の関連はなくともイグナシオの影が少しだけ見える。
ジルドレイとフレゼアに立ち向かうハヤトとアルヴドのシーンはここ一番の見せ場だったけれど、
こうして闘争のプロの口から語られ、賞賛されることで、あらためて彼らの奮闘と偉業が浮かび上がってくるのがいいですね。

ハヤトってそこまで強いイメージはなかったのだけれど、漢女の評価が非常に高いので彼は隠れポテンシャル持ちなのかもしれない。
ジルドレイの練達度についても、てっきりストレスで成長したのかと思ってたのだが元々高かったのかと上方修正。
ジャンヌとジルドレイを姉妹と誤認しておきながら、その関係性は外さないのは、やっぱりとてつもない嗅覚だなと思う。

漢女の生い立ち、力こそが正義、みたいな感じだったんだ。
四葉は強者と武を競い、勝つことに麻薬的な歓びを覚えていたけれど、四葉はそこもしっかりと追っていたんだなとしみじみ感じる。
生まれついての規格外であり、力と技だけでは届かないはずの世界に力だけでたどり着いたと考えると、まさに怪物の領域。
先の呼延や征十郎の描写にもあった、ある道を極めた求道者たちの虚無、加えて先があることの歓びがしっかりと描かれていたからこそ、
彼女の抱く新しい道が開けることへの歓びが腑に落ちてくる。
そして安理やりんか、ハヤト、あとローマンもだけれど、彼女が思いを馳せた相手はみな覚悟を決めて戦った人間ばかりなので、
なるほど期待が高まるのもむべなるかな、と。

大田原VS若き日の大金卸はある意味夢のマッチアップ。
大田原は力でも技でもなく精神こそが最強の証だと考えていた人間なので、
そこが未完成であった当時の大金卸が大田原に完敗したのは必然という思いもある。
道を極めたと自負する人間を叩き伏せて、『鍛え直して来い』の一言で終わらせる、めちゃくちゃかっこいいですね。
この大田原の言動は、かつて驕っていた自分が叩き伏せられたときの再現なんじゃないかとか思ったりはしましたね。
というかZでよくこの人に勝てたなあ、という思いが強まる。
人間並みの知能の魔改造分身ヒグマが背水の覚悟を決めて初見殺し用いてようやく勝てる相手だもんなあ。

弱者のために拳を振るう漢女が港湾に乱入して、いよいよキングの思惑が完全に崩れててかわいそうになる。
若者たちか、あるいは精神的にぐちゃぐちゃになって救いを求めるジルドレイのために振るわれるような未来もあるのだろうか。
港湾も大乱戦の気配がするので、誰のためのジョーカー札になるのかは楽しみ。

107名無しの囚人:2025/07/12(土) 15:43:18 ID:7iKNgieg0
97話時点

【対主催】
<脱出・生存優先>
只野仁成
エンダ・Y・カクレヤマ

<他者救済・善行優先>
葉月りんか
交尾 紗奈
ジャンヌ・ストラスブール

<贖罪>
北鈴 安里

<依頼遂行>
ジョニー・ハイドアウト

<脱獄>
トビ・トンプソン


【マーダー】
<恩赦狙い>
エネリット・サンス・ハルトナ
ディビット・マルティーニ
バルタザール・デリージュ
ジェイ・ハリック
エルビス・エルブランデス

<無差別>
ギャル・ギュネス・ギョローレン
ルクレツィア・ファルネーゼ
ジルドレイ・モントランシー
本条 清彦
銀鈴

<特定人物の恩赦狙い>
ソフィア・チェリー・ブロッサム

<ステルス>
氷月蓮


【危険人物】
<生存優先>
ルーサー・キング
ヤミナ・ハイド

<目的優先>
ネイ・ローマン
夜上神一郎

<闘争>
征十郎・H・クラーク
大金卸樹魂

<未確定(恩赦狙い?)>
鑑日月


【その他】
<非戦・消極派>
ジェーン・マッドハッター
セレナ・ラグルス
氷藤叶苗
アイ

<刑務協力者>
ハヤト=ミナセ

<調査>
メリリン・"メカーニカ"・ミリアン

108名無しの囚人:2025/07/16(水) 19:06:46 ID:n7kXsANc0

97. 血の宿命
お手本のようなお家騒動だ。
有能だけど過激な第一継承者と、穏健で非道になりきれない第二継承者、そして根回しをしてない王様。荒れそう。
多分王位継承の件、セルヴァインだけでなくてグランゼルも寝耳に水だったんじゃないかなあ。覚悟が決まってないので。
セルヴァインは反乱のたびに側近に裏切られるくらいには王室の権威が低い。
そしてグランゼルが王に選ばれた正確な理由が伝聞のみでしかも側近の証言のみ、そこから出てくる遺言状、いやあこれは荒れる。
絶対担ぎ上げた勢力いただろうなと推測できるし、エネリットが出獄したらこの国また荒れるだろうというのも容易く予測できますね。

グランゼルの便宜がセルヴァインに憎悪を植え付けて、それがエネリットへの復讐として吐き出される、復讐が数珠繋ぎに連なっている。
エネリットと全然違う名前、就役期間30年、超力が恐怖の大王、反逆罪と、ぼんやりしていたバルタザールの実像がにわかに色を帯びてきた感じがする。
不思議と反抗心を抱かなかったとか、人生に満足していただとか、キャラシの記述だけだと実態は温厚そうに見えるのだが、
これ全部反転して、バルタザールの自我を踏み躙った成果であったということ、なんとも無慈悲だった。
自我の希薄だった鉄仮面の怪物のころのほうがまだ会話が通じそうで、来歴が判明した現在の方が会話できなさそう。
今のバルタザールは激流と呼ぶに相応しい感情の爆発、咆哮だけで人を殺せそうな迫力がある。
ただ、エネリットからすれば本当に反逆者以外の何者でもないので、正当な復讐相手になるといういい塩梅だなあと思う。
バルタザールが裏切られたのとエネリットがアビスに堕ちたの関係ないし、エネリットへの感情も歪み切っていて、擁護の余地ないですからね……。

第一次反乱のころのバルタザールは聡明かつカリスマに満ちていて、監獄で影響力を伸ばしていくあたりにエネリットとの一族の血筋が確かに感じられる。
そんな彼が復讐に成功した顛末が今の囚われの状態であるわけだけど、エネリットと氷月との語らいにバルタザールの顛末が色々と示唆されているのが趣深い。
怒りを原動力とした結果、復讐に支配され、失うもののほうが多くなり、自分自身を追い込んでしまっているバルタザールは、
氷月がよくないものだと語った復讐観のそれですよね。
自分の復讐相手として狙っているエネリットとバルタザールとでどんな会話をかわし、どういう顛末に至るのかは興味深いところです。

109名無しの囚人:2025/07/16(水) 19:08:37 ID:n7kXsANc0
98.美獣の鱗(りん)
何か元ネタがありそうで分からなくて、でも逆鱗みたいな意味で通るよなあと思ってたタイトルだった。
美獣って単語だけだと叶苗とかアイを連想するけど、蓮のほうに比重が置いてありそうに思う。
叶苗も蓮も家庭環境は恵まれ、家族からは愛されていた。
叶苗は獣の姿ではあったけれども人の世界で人として生きていくことができて、一方で連は人の世界とは致命的に合わなかった。

表面上、最も理性的な連が人ではなく獣と評されてるのが唸らされる。
根本的なところで、彼は生きる世界が違うんですよね。
それこそ、日月やアイとも違っていて、彼と近しいのはルクレツィアなんじゃないかなあ。

蓮の心理感覚、これなかなか難しかったです。
これは、たぶん僕個人が叶苗側に近いからそんなふうに感じてしまうのだろう。
生物の命を奪うことにこそ、唯一の生の実感が湧くのだから、
自分の居場所だと認識していた家族からそれを可哀想だと評されることは、根底を否定されるに等しい苦痛だった、くらいの理解で読んでいる。
一方で62話や40話でも描かれた蓮の描写が深掘りされていて、彼がどういう人間なのかはだいぶ解像度が高まってきたように思う。

> どんな罪を犯そうとも、人は必ず、抱きしめて許してくれる人を求めてるんだって
> 幸せに、みんななりたいんです
そうでなかった人がいた。
蓮自身が悪について語っていた、彼は生まれながらの悪であるという意味が、具体的に浮かび上がってきた気がする。
愛に恵まれた人間は受けた愛を基準に他人を理解しようとしてしまう、みたいなやつ。

ミニライブを通して、虚無しか残っていなかったところに夢を描いた叶苗がいじらしい。
叶苗は序盤、りんか&紗奈ペアと比較できるような形で堕ちていたので、それがここまで持ち直したことに素直にほっこりする。
叶苗の夢はとても眩しいのだけれど、それを見つめる蓮の視線が冷え切っていて、このコントラストもまたぞくっとしますね。

蓮の殺人事件、本当に両親への復讐が動機だったのでは……。
エネリットと語っていた、理性をもって昇華する復讐を実践して、自分の存在を問い直すことを彼はおこなったのでは……?
邪推にはなるのだが、蓮がエネリットに語っていた復讐観が実体験から来るのではと推測できるところも、
復讐論について造詣が深かったのも、どこかつながってくる気がする。
日月たちに告白した罪状がただの出まかせではなく、本質を述べていたとしたら、彼の業が一段深まる気がする。
そして、"その程度で満足した"、の意味もまた変わってきそうなんだよなあ。

110名無しの囚人:2025/07/16(水) 19:12:20 ID:n7kXsANc0
99.スピリッツ・オブ・ジ・エア
自分は何のために戦っていくのかという問い。
何かを取り零すのが当然の世界で、取り零された者たちを救うために手を伸ばせる者がいて、伸ばした手をつかみ取る者がいて、
彼らが残そうとした希望を繋いでいくために戦い続けるジョニーの生き様はため息が出るほどに格好いい。
士堂、ルメス、ジョニーという信念を抱いて生きる者たちの生き様を描きだし、
合理と打算に生き抜くはずの男たち二人の、奥底に在る譲れない信念を浮かび上がらせる。
多くは語らない男三人だけれども、信念を呼び水にしてそれぞれの核を今一度見つめ直す構成が、各々のキャラクター性に確かな深みを与えてくれる。
エネリットはディビットに並んで合理的で理性的に見えていたので、ここで激情を覗かせるのは予想外であると同時に、
でもドミニカの信念に触れた直後の出来事だもんなあと考えるとジョニーの言葉に激烈に反応するのは道理にも思えますね。

一方で、士堂やルメスの回想はどこか神話的逸話や英雄譚の雰囲気が感じられる、スケールも大きいですしね。
ドンを慄かせた嵐の化身は海の不思議で終わるかなと思っていたのだけれど、これを強大な犯罪者と士堂による認識改変の結果だと結論づけるのは思わず膝を打った。
あっちも神話的な描写だったので、この結び付け方は本当に感嘆する。

GPAもやっぱり色々裏でやってたんだなあ、というのは、まあそうだろうな、みたいなところはある。
そしてGPA自体はちゃんと世界を良くしようと活動していると認識していて、
それでも必要悪として手を汚すことが多々あって、取り零す物も多くて。
だからこそジョニーのような存在がいて、ヘルメスのような存在がいるべきなんだろうという彼らの価値が浮かび上がってくる。
アビスには欧州出身の大物犯罪者や凶悪犯罪者、義賊が多いのを、世界情勢と絡めて理由付けしたのもうまいなあと思いますね。
凶悪さは鳴りを潜めてるけどディビットって欧州の犯罪組織側の人間なんだよな……。

士堂が掘り当てた深淵をルメスが掴み、ジョニーが受け継ぐという行為。
伝令の神の名を冠する怪盗ヘルメスが、その名に違わぬ役割を果たしたことを証明する構図になっていて、キャラクター性を丁寧にクローズアップしているという印象を受けた。
士堂の告発やルメスの怪盗行為が災いの箱を開ける逸話と絡められているのだけれど、
あらゆる災いが詰め込まれたこの世界において、ヘルメスは怪盗なのですべての絶望を盗んでいく=最後に希望が残る、という表現になっているように思えて味わいが深い。
そしてルメスが命を落としたのに最後のくだりとして怪盗ヘルメスが世界に語り掛けるというのは、
怪盗ヘルメスは個人から血筋、血筋から同志、そして概念となり、この世界に流れ続けていくのだという希望に続くのかなあと感じ取った。

111名無しの囚人:2025/07/23(水) 23:47:24 ID:nWz1l0/Q0
100.熱き血潮のカプリチオ
深夜の人気のない路地裏で音もなく現れて、質問してくる美幼女、おおよそ答え間違えると即死の理不尽怪異っぽさがある。
この島流し、地獄の門への葬送っぽくなってるなあ。
銀鈴は人間の皮をかぶったナニカであるという禁忌ぶりが久しぶりにがっつり描かれていて好き。
そして彼女もネイティブなので、この自認だとそりゃ強くなるよなあ、とかちょっと思う。
どうやって一万人も殺し続けたのかと思ったけど、罪人が次々と送られてくるからという答えになんか納得した。

この飛雲帮の政治的抗争とその顛末のエピソードが最初にあるのは、
新世界にある無数の対立、その勝者側も敗者側もまとめて食らう側である、という後編の締めに繋げるための布石だと思っている。
銀鈴自体も家族の話をよくするけれど、17話初登場の様々な家族観で結ばれたキャラを呼び込んでくることで、
最後の『家族とは何か』につなげているんだろうなあ、みたいなことも考えた。
全然関係ないけど、飛雲帮の影響力がバレッジファミリーくらいはありそうなので、呼延って本当に強かったんだな……。


ルクレツィア VS 銀鈴、見た目と属性は似てるけど根本が異なる二人の対決、読み応えがあった。
傷をものともせずに、獣性や暴力性を全開に派手に暴れまわるルクレツィアに対して、
最低限の動きで一切の接触を許さず、人形劇を鑑賞するようにルクレツィアを弄ぶ銀鈴。
プレイヤーとして限界まで命に向き合うルクレツィアと、上から愛しそうに鑑賞する銀鈴というスタンスが、戦い方にも現れている気がする。

死を以って完成するルクレツィアという完璧な役者に一滴落とされた友情。
それだけで、とても歪で見苦しくて汚くて、そして人間的魅力に溢れたキャラクターとして一皮むけるのが良すぎる。
ソフィアと絡んでいるときのルクレツィアはとてもフリーダムで愉快なキャラクターだったけれど、
その描写をもらってばかりでソフィアに何も与えていなかったと反転解釈してくるのがとてもいいですね。
最高の死を求めた人間が、友情に報いるために死を跳ね除けて生き足掻く生命力に満ち溢れた姿はとても応援したくなる。
そして、唯一の大切な人に報いるために生き足掻く人間が、大切な人の記憶を喪っている様は破滅的な美しさに満ちていて好き。


本条ファミリーは家族が優先度の最上位に来る偽物だと言われているけれど、本人の魂が入っているのも確かで、半分は本物でもある。
その前提で、強者にどこまでも食らいついてくるあの四葉を即死させるのはさすがにびびる。
本条はこれまで死んだ家族に対して必ず追悼の姿勢を示してきたのに、それすらさせないのがまさに最大級の異常事態。
まさに本条の正念場になっていて、彼がどうこの事態を切り抜けるのか、それとも年貢の納め時なのかは気になるところですね。

112名無しの囚人:2025/07/23(水) 23:49:33 ID:nWz1l0/Q0
101.愛にすべてを
初登場時にキングやフレゼアのいる刑務に放り込まれるとか冗談だろってボヤいてたエルビス、実は本当にパフォーマンス上は全盛期からは程遠かったことが判明。
そんな衰えたチャンピオンをして、今が全盛期超えの全盛期といわしめるところに愛の力の真髄を見る。
エルビスというキャラクターは、構成する要素が愛と圧倒的な強さの二本立てなのだけれど、
この二つに着目して、彼こそが大金卸が追い求める『誰かを護るための拳』の体現者なのだと描き出すのは膝を打った。
大金卸がこの拳を得られるのなら、確かにさらなる強さを得られるのだが、果たして彼女が至れる概念なのだろうか。
エルビスの恩赦への執念とダリアへの愛はこれまでもことあるごとに念入りに差し込まれてきたけれど、
自分の子でなくても彼女の子ならば父として愛し抜ける、という生半可ではない覚悟を示されたことで、習得のハードルが猛烈に上がった気がする。

彼はギャルよりよっぽどジョーカーを受けてくれそうなんだけど、
そういうアプローチが一切なかったのは、ダリアの現状の匂わせだけで十分に動かせるという算段込みなんだろうなあ。
何ならジョーカーとして優遇したら本当に恩赦を得て出獄してしまうからなのかもしれないとか思った。
逆にギャルにジョーカーを打診したの、彼女のやりたいことが匂わせでどうにもならないからだったのかもしれない。
エルビスは行動原理がシンプルであるが故に強く、シンプルであるが故にブレず、シンプルであるが故に動かしやすい、
アビスにとっては非常に都合のいい駒になってますね。


真正面から勝てないのは分かっているのだからいかに寝技に持ち込む仁成。
寝技で来るのは分かっているのだからいかに相手の目論見を崩すかに注力するエルビス。
読者視点で突破口が分かりやすいために、得意領域をもぎ取るための熾烈な駆け引きが成立している。

エルビスのその圧倒的強さは、まるで難攻不落の要塞。
攻城戦は守りのほうが圧倒的に有利だというけれども、さらに一点だけ攻め込める箇所があればそこを徹底して対策するのは必然。
そして攻め側の仁成からすれば転がせればそれが蟻の一穴となるのだから、多少どころではない反撃を織り込んで決死行をかける。
必殺の一手が牽制に過ぎず、さらなる本命を秒単位で重ねていくこの戦闘は非常に読み応えがあった。
しかもこのような攻防がスタイルを変えて二回もあるあたりに、作者の知識と引き出しの豊富さを見て取れる。
まさに王者に挑む挑戦者の構図になっていて、実況がいても大いに盛り上がりそうな闘争だと思います。


ここまで致命打の応酬をおこなっていると、エンダが割り込む余地が一切見つからないという説得力もすさまじい。
底知れない印象だったエンダですら割って入れないというのが二人のレベルの高さを担保していると思う。
それから、今回のエンダは少女性が出ていたような気がする。
ヴァイスマンの超力を出し抜けるアドバンテージを投げ打ってでも仁成の命を救い出そうとする健気な姿。
恐ろしく強いエルビスを相手に精一杯虚勢を張る姿。
遠大ながらも、どこか地に足がついていない夢物語のような脱獄計画。
エルビスと相対したことで神秘のベールが徐々に剥がれて、器の人の年相応程度の感情が見え隠れするように思えますね。
彼女がシステムBのこと知ってるのには驚いたけれど、これでヤミナの道化っぷりが強化されたの笑ってしまった。

エルビスの強さはもう大田原を髣髴とさせるほどで、ここまでやってダメだったらレイド戦やるしかないよねというのはその通り。
ただ、アビスの囚人が本当にエルビス打倒のために一致団結してくれるのかというとそれも怪しくて、
どれほどの混沌が生み出されるのかは楽しみですね。

113名無しの囚人:2025/07/28(月) 17:11:35 ID:R0vTjULs0
乱戦に巻き込んで殺すしか無い→巻き込める面子残って無さそう…

114名無しの囚人:2025/07/30(水) 23:19:23 ID:pIY6zGfM0
102.正義
キングの前に正座させられてガチ説教されている感覚になる回。
ハヤトたちは青いなあと思いながらも応援していたので、なかなかショックだった。

全編、針の筵に座るような居心地の悪さがあるのですが、
どこが一番きつかったかといえば、ハヤトの言葉を聞く価値なしとして、「てめえら二人の物語は見定めた」と遮ってくるシーンですかね。
興味が失せたと分かる失望描写、叶苗が仕事を受けさせられたシーンに匹敵するレベルで未来が閉ざされたのだと分からせられてしまう。
一方で、キングはこれまでは利用しようとする相手に対して、自分から口に出さずに相手に自ら選ばせるようなやり方をとっていたのだけれども、今回はキングが判断をはっきりと口に出している。
そういうキングの態度の変遷からも、彼らが利用に値しないと結論づけられたという理解に辿り着く。
ハヤト、何も言わせてもらえないもんな……。

ハヤトの超力は地に足をつけて踏ん張ることでエネルギーを蓄積できるが、許容量を超えるとダメージを受けると記述があるけど、
地に足をつけられず、抱えきれないものを抱えて破滅に至るという顛末と彼の超力の記述がどことなくリンクしているのが味わい深いですね。


りんかのサバイバーズギルトとメサイアコンプレックスは流都にも指摘された件だけれど、
そこからさらに一歩踏み込んでりんかは自殺志願者なのだと喝破してくるキングの鑑識眼は卓越したものがあると思う。
流都のときは紗奈の応援がりんかを支えてくれたが、今回はどうしようもなかった。
実際、りんかが紗奈の前で一度死んだからこそ、紗奈はキングのプロファイリングを否定できないんですよね。
その気持ちを紗奈にもう一度味わわせるりんかは紗奈にとっての悪人である、否定したいけど頷かざるを得ない。
そして紗奈を劣化コピーと断ずるキング、彼女らの物語を見た身としては否定したくなるけど、受け売りなのはそうだよなと納得せざるを得ない。
キングは礼儀を重視し、敵対相手にもこれから粛清する相手にも諭すように正論を説いてくるので、なおさらに彼の言葉を受け入れ咀嚼すべきだという感覚に捉われてしまう。
りんかが大金卸のように人々に希望を与えて死地へ追いやってしまったという事実も込みで、彼女らのスタンスも大きな正念場を迎えたと思う。


ハヤトたちに辛辣な言葉を投げているけど、どことなくセレナ個人には毒気を抜かれているような?
キングが何者なのかを理解した上で、悪の帝王に正義の好悪を尋ねられるセレナの肝の太さは目を見張る。
キングも言葉に棘がなく、最期とはいえ質問に答える程度に気は向いて、無礼も美徳だと返す程度の寛大さが向けられている。
紗奈が去った後の数分間の空白や粛清時のキングの評価からするに、セレナは逃亡する選択肢があり、それを選ばなかった節があるのだけれど、
ハヤトに対して義を通し続け、キングへもフラットな態度を貫くセレナへの手心といったところなのか。

セレナの最期の笑顔はいくらでも解釈ができそうですね。
セレナとの交流でハヤトの持つストリートの常識が書き換わったことで、結果的にハヤトの無謀を引き起こしてしまったと自責しているのかもしれないし、
51話でハヤトがセレナを見捨てなかった恩を返す、あるいは過去に仲間たちを見捨てて逃げた過ちを繰り返さない、それで今度は逃げない選択をしたことによる破滅の運命への納得と悲嘆なのかもしれない。

キングへの正義への向き合い方、正義は何も与えてくれず、正義を信じた馬鹿はみんな死んだという事実。
ハヤトたちもそうやって死んでいくし、この直後にソフィアが不平等しか与えられなかった人間の実例として現れるのもあって説得力が凄まじいものがありますね。

115名無しの囚人:2025/07/30(水) 23:26:41 ID:pIY6zGfM0
103.名前のない怪物(A)/名前のない怪物(B)/名前のない怪物(C)
一概念で複数人を繋ぐ技巧さが光る作者氏だけれども、今回も存分に発揮されている。
システム化された超力、AとBをAntiとBuildと定義し、C=Controlを引き出してくる知識の引き出し方に舌を巻く。
支配要素を持つ銀鈴と絡めて、秘匿受刑囚とシステム化を明確に紐づけてくる構成がうまい。
また、終わってしまった物語の先だとか、正しく終われなかった魂だとか、これまで使われてきた本条の弾丸たちへの形容だけれど、
似たような属性を持ったルクレツィアとソフィア、あとジェーンの状況にもうまく絡めてきたなあ、と思う。

たどたどしく、『ソフィア』と『恩返し』という言葉を紡ぎ続けるルクレツィア。
何も知らない人間からすれば悍ましい怪物でありながら、ソフィアからすれば終ぞ切り捨てられない存在になったのがとても好き。
ソフィアが『こちら側』に堕ちることを望んでいたルクレツィアが、ソフィアの方から真にそうあることを告げられて身体を震わせるシーン。
人間を悪の道に引きずりこんだ巨悪でありながら、感情を全身で表現する彼女を不覚にもかわいらしいと思ってしまった。
人からかけ離れた姿になっても、確かにルクレツィアとして接するソフィアとそれに歓喜するルクレツィア、
不純な動機から始まった友情が互いにとって本物へと変わり、一つの終着点へと到達したんだなと思うと感慨深い。
美しく終わることを否定して友のために醜く生き足掻いた結果、ノーマルエンドからトゥルーエンドへと切り替わったような感慨深さがある。
赤い樹木のような怪物となって暴れまわるルクレツィア、朱に染まった桜花の花弁と称されたソフィア、
おそろいの赤い木となった二人が真に友人になったのだということを示す粋な描写になっていてとても好き。
そうしてきれいに終われそうだった二人をファミリーとして所有していく銀鈴に大きな絶望を感じる。

一方でジェーンとソフィアの関係、ジェーンが刑を粛々と受け入れる根幹にソフィアの存在があったのもまた、うまい接続の仕方だなあ、と。
ソフィアにドミニカと、世界は捨てたもんじゃないと思える出会いを経た後に、当の本人がそれを否定することへの慟哭。
世界に生きる価値があると信じてみてもいいと希望を持ったジェーンと、こんなせかい、こわれてしまえという呪詛するソフィアとで、
こちらも真逆の方向に進んだ苦い関係性が相成りましたね。


本条はついに年貢の納め時がきたかー。
いつも吃ってる本条が家族観を語る時にビシッと言い切るの、彼の譲れない価値観が現れていて好き。
それでいて、他人を所有するという銀鈴のより歪な家族観に上書きされて積みあげたものを崩壊させてしまうのは、因果応報ではあるのだがだいぶ労しい。
誤魔化しもウソも許さない、どう気を逸らしても回答するまで最初の問いが返ってくる質問ループは怖いですね。
目を着けられたら絶対に逃げられない、というのが端的に現れている。
何らかの手段で本条のファミリーとなり、自分の首輪持ってるのはだいぶびびる。この子肉体に囚われていないのでは?

サリヤと本条は接し方からして、二人はただの殺し殺されたというだけじゃなさそうに見える。
そもそもハイブ作ったのシエンシアですからね。
マリア、だいぶ諸悪の根源やってそうな気がするな……。
サリヤは超力のシステム化の根幹に一言ありそうだし、銀の弾丸は最後までとっておくべきだという何か抱えていそうな持論を語るし、色々隠してることありそうですね。

銀鈴が大暴れしてメリリンとジェーンも絶望的なシチュエーションに追い込まれたところで、かっこよく登場するローマンに期待が高まる。
メリリン呼びを否定できなくなるメリリン、これはもう仕方がない。
ローマンが来たとき、当事者じゃないのに安堵感がすごかったもの。
やっぱり悪党に与えるべきは渾身のグーパンチ、まあキックなのだが劇画調で蹴り飛ばされてそう。

116名無しの囚人:2025/07/30(水) 23:33:06 ID:pIY6zGfM0
104.青龍木の花咲いていた頃
キング、銀鈴、神一郎と、ある種の突き抜けた傑物たちの話が続く。どの人も異なる方向に尖ってますねえ。
神一郎は安理に手を差し伸べ続け、理解しようとする姿勢を崩さず、決して自分の意見を押し付けず、安理の語るすべてをありのままに受け入れようとする。
穏やかな口調ながら、ロジカルな理論で寄り添い、踏み込み、嗜めるべきところは嗜める。
その姿勢は傾聴のお手本のようで、102話の雰囲気とは対照的。
彼の仕草一つ一つにとても安心できるんですよね。

単純に若者に感情移入しがちなだけなのかもしれないが、神一郎なら大丈夫じゃないか、みたいな安堵がある。
神一郎は独善さを併せ持った、悪と判定された人間なのに安堵があるんですよね。
実際、安理はだいぶ早い段階で神一郎を信頼している。
キングとは異なる手法ながら、彼もまた人を見る目に優れていて、人の心を理解するエキスパートなのだと思い知らせてくれる。


穏やかに笑いかけている印象を持っていたからこそ、

> そうでしょうか?
> 神は――――。
> 貴方を、見ていますよ

ここの差し込みが虚を突かれる思いがする。
眼光の鋭さと、すべてを見透かされてしまうような強烈な圧を感じる。
その後の安理の自棄と自嘲からは、これは誤魔化せず逃げられない、という諦めすら伝わってくるんですよね。


安理の衝動的な行動はこれまでも繰りかえされていたということ、今話で指摘されてあらためて気付く。
アビスに堕ちることになったきっかけも、大金卸に戦いを挑んだことも、バルタザールに挑んだことも、
すべて彼の中の衝動を止められなかったことに起因していた。
そのことによって二度も大切な人間を失う、これは確かに自分を嫌いになるし、やさぐれてしまうだろう。

安理のキャラクター性、リアルに彼のような心の叫びを聞いたら、自分は絶対に遠巻きに見てしまうと思う。
安易に声をかけることを戸惑われるほどの心情のこじれを文字で表現できること自体が巧で、
ここまで捩れたそれに対して、自然な形で落としどころまで持って行く会話構成は卓越したものがある。
安理の感情と自己認識を、今一度見つめ直してどうありたいかの原点に回帰する道程プロセス。
最後まで走り切り、祝福と共に安理の視界が開ける描写に安堵しますね。
『自分のことに言及しないでほしい』だったのが、『証人になってほしい』に変わったのは大きな一歩だと思う。


幸せになってはいけないという自罰。
なんで幸せになることを否定しようとするのか、その辺の心理は考えたことがなかったので、そうなんだ、ってなった。
夢をかなえることと幸福が別物だというのは確かにそうなのだが、安理というキャラクターを複数の軸と角度から掘り下げてきているなあ、と思う。
安理がここから神一郎が裁くほどの救いようのない存在へ転じることがあるのか? と思うけれど、
贖罪、罰、夢、幸福と異なる場所にある要素が安理をこれからどう形作っていくのか、複雑なキャラクター性なだけに読めない。
もっとも、神一郎の思惑はあれども、今回は間違いなく救われる話だったと思っています。

117名無しの囚人:2025/08/06(水) 22:34:53 ID:vCxP.ijk0
105.Re'Z
オリロワZ、あらためて懐かしく思う。
終わってからまだ一年経ってないのに歴史って感じがしますね。

女王の主観インストール、意外とフラットであった。
茶子ならもっと藤次郎をメタメタに下げた改竄情報をインストールしそうだけど、永遠の山折村に満足したのだろうか。
それとも、タチアナがだいぶ穏当に話したのだろうか。
本当に聞くかと念押しに念押しを重ねてたから後者の線もあるかもしれない。
少なくとも茶子をヤクザに売ったのはインストールしてそうだし……。

村の歴史はだいぶ血生臭いのだが、
タチアナがあっけらかんとしてるのに加えて、征十郎が突飛な展開について行けなくなるのが要所要所で見えて、だいぶコミカルみが強くなっている。
おかげであの複雑すぎる歴史も、掛け合いみのほうが強くなって読みやすくなってると思う。まあしっかり読むとやっぱ複雑なのだが……。
そして、Z未読者も征十郎と同じ反応するんだろうなと思うとくすりと来る。
魔王はビビりましたね……。

征十郎、やっぱ図太い。
タチアナも外様であり、室町や戦時中なんてなおさら他人事。
Z時代の人物の反応と比べるとだいぶドライになっていて、ここも歴史の一ページになったんだな、としみじみとした感傷が浮かび上がる。
征十郎は藤次郎の行為を強引に美談にすり替えたり、従兄の色恋沙汰とか聞かされて居心地悪そうにしてたり、いちいちリアクションが面白いんだよな。
そんな征十郎にすら身内の恥扱いされる茶子に笑っちゃった。


御伽噺回の伏線がほぼ回収されましたね。綺麗にまとまっていると思う。
タチアナが唯一生存したまま永遠に呑まれたという事実に、死者には感染しないウイルスの特性を結びつけ、
命を与えることで永遠から解放できるという仮説に繋げてきたのは膝を打つ。
ただ、実証も立証も極めて困難な話だ→なのでカチコミかけてみました、はちょっと勢いよすぎて笑うのよ。
Zの話について行けない征十郎、Aの話にもついて行けなかった。
とりまから始まる行為がどれもこれもとりまで済まない大事になってて、それを征十郎が外野からやんややんや言ってる構図はだいぶ好き。

終里とか錬とか懐かしい名前も出てますね。
錬がビッグネームになっててあんぐりする。あいつ牢屋でガチャガチャしてただけやん……。
永遠のアリスなんて特大の厄ネタが出て、終里はZに続いてまたもや事態収拾に駆り出されている。
黒幕ポジションのくせにいつも大変そうにしてる終里、なんかお疲れ様です。

118名無しの囚人:2025/08/06(水) 22:40:51 ID:vCxP.ijk0
106.Deep eclipse
残り時間、刑務への取り組み、叶苗の態度、ありとあらゆる事象に正反対の二つの思いを抱く日月。
この世の葛藤を煮詰めに煮詰めたような彼女の独白は、だいぶ心にキリキリきますね。
常に岐路に立ち続け、半端に残った善性と未練との狭間で延々と苦しむ日月というキャラクター、
刑務所という裁きと赦しの舞台に映えるキャラクターだ。


対話で日月の悩みを的確に撃ち抜いてくる叶苗。精いっぱい強がりを演じる日月。
この対話、噛めば噛むだけ味が出てきますね。
話せば話すだけ全部自分にダメージが転化される日月、この子実は悪党向いてないのでは?
強がりが遂に八つ当たりに転じて、めいいっぱいワルモノになるところなんてとてもオイシい。
悪そうな顔で叶苗を嘲笑う仮面を着けながら、その下では瞳を震わせながら嘔吐している、そんなイメージ図がぱぱっと浮かび上がってくる。

叶苗は日月に悪意ある二択を突き付けられても、日月に寄り添うことを貫く。
ジャンヌと叶苗が一本槍のような志を持ち合わせるのと対比して、どっちつかずの日月の板挟み感が浮かび上がる。
お互いにキャラクター性を引き立てているんだよな。
そして雰囲気が和らいだところでここぞとばかりに出てくるアイ、
今回あんまり出番ないんだけれど二人の感情のバロメーターみたいな感じになってますね。
アイがあいあい言ってるとギスギスが取り払われて落ち着いた雰囲気になるんだよな。

年齢言及あるけど、叶苗が幼いのではなく日月が大人すぎるのはたぶんそう、フレゼアもヤミナも沙姫も日月より年下に見えるもんな……。
日月も一皮むくと若い少女な一面が出ているので、単に大人ぶってるだけなのかもしれないのもそう。
叶苗に〝先輩〟と呼ぶ日月が良すぎる。
地味に杏や美火と同級生だった日月。
本条が家族にしたかった理由は、アイドルだからじゃなくて、同級生で知り合いだったからの可能性がある?
ひーちゃんって呼び方、小学校の呼び方と考えるとめちゃくちゃ合うんだよな。
本条と日月の布石は、位置があまりに遠すぎて回収されないと思っていたので、ここでこう拾ってきたのはかなり意表を突かれた。

叶苗と日月、アイの間には確かに通じ合うものが生まれた。
これも青春と言えば青春なのだが、夏草や、から始まるような美しさが見え隠れしているんですよね。
前を向いて生きる希望を得たと同時に、希望はまやかしというフレーズが湧き出してくる。
ぬるま湯ってのもいい表現だと思います。


ついに現れたジョーカー。
蓮もまた佇まいと得体の知れなさに貫禄があり、ジョーカーに相応しいのは確か。
ヴァイスマン推薦の一人というのもそうだが、あの気難しくて嫌味っぽいヴァイスマンと真っ向から会話ができそうというステータスにジョーカーらしさがある。
相変わらず仕事が早いと評価するあたり、他にも似たようなことしたことがあるのかもしれない。
生まれながらの悪党に見限られる日月、やっぱりこの子悪党向いていないのでは……?

我慢に我慢を重ねていたのは日月だけでなく蓮もだった。
今の蓮の姿はある意味振り切った日月のIFでもあり、叶苗によって心が正反対の側に揺らいだ同士であり。
胃痛が延々続いていた北東組もそろそろ火花が散りそうですね。

119名無しの囚人:2025/08/06(水) 22:48:11 ID:vCxP.ijk0
107.愛おしき報い
キングの強さが底知れない。
あれだけ暴れてきたジルドレイにもまだ余裕を持って勝利している。
キングは力、技量、精神の三本柱を持ち合わせていて、前回は精神だけでハヤトたちを圧倒し、
今回ジルドレイでさえ技量一本で圧倒しているという事実。
こいつどう倒せばいいんだと圧倒される。


フレゼアとジルドレイはやはり近似点がいくつもあって、これらは間違いなく意識して描写されているのだろうなあ。
ジャンヌの信者であり、氷炎で対称的な二人は最後まで互いを引き立て合うような関係性だったと思う。
死ぬ間際に己の過ちに気付いたり、激情から解放されて逝ったり、肉体が灰となって散っていったり、フレゼアのいろんな要素がジルドレイにも散りばめられている。
一方で死に際の感情については明確に逆方向を向いていて、
フレゼアははじめて誰かを助けた時の気持ちを知り、ジルドレイははじめて誰かに助けられた時の気持ちを知るんですよね。
人は誰でも第二のジャンヌになれるという言葉。
ジルドレイを最も怒り狂わせたこの言葉を、最初に証明していたのが他ならぬジルドレイであったというのが切ない。

そして、フレゼアはその気持ちを知って穏やかに死を受け入れ、ジルドレイはその気持ちを知って死にたくないと慟哭する。
ジルドレイはジャンヌの安らかな炎で焼かれるけれど、ただ救われてよしとはせずに、
これまでに彼が犯してきた罪を自覚させて因果応報を突き付けるその塩梅がよいと思います。
泣きわめくでもなく、すべてを受け入れるでもなく、ただ安らかに後悔するという繊細なニュアンスがとても好き。
可哀想なやつではあるけれど、罪は罪。だからこそ、タイトルに報いがあるのだろうな。

ジルドレイはジャンヌを無批判に模倣していたが、ジャンヌの像を悪き方向に歪めたのが他でもないキングス・デイなので、はからずもジルドレイとキングには因縁があるとも取れる。
キングがジルドレイも、その模倣についても知ってるの、そういうことなんだろうなあ、と考えている。
最後の一針でジルドレイは一矢報いたとも考えられるかな。
無論ジルドレイが罪人なのは動かないが、ジャンヌがキングを討つ正当な理由がまた一つ増えた、という解釈も可能だと思っています。


大金卸、本当に二人からして謎過ぎる存在。マジで誰とも関係ないですからね。
キング VS ジャンヌの頂上決戦に乱入して、自分が一番強いとでも言わんばかりに弱き者への助太刀を買って出るの、だいぶ挑発的なんだよな。
そして実際にトップクラスに強い上に闘争すると決めたら自都合が悪くなるまで追い払えないのでめちゃくちゃタチが悪い。
間違いなく最大の特異点であり、彼女がどうかき回してくるのかは気になりますね。

120名無しの囚人:2025/08/11(月) 19:51:09 ID:R0hWk4lw0
第一回放送前退場組の超力をA〜Eで5段階評価
あくまで戦闘面で運用した際のランク付け、主観なので違和感があったら申し訳ない


『殲滅せよ、我々は正しい』
使用者:アンナ・アメリナ
評価:C
自分と指揮下にある人間の身体能力+武装強化。
アンナの思想との同調率で強化幅が変動するとのこと。

作中では前線部隊全体の強化に加え、小銃程度の一斉掃射で建物を倒壊させたりなど、火力面での強化幅は相当のものと思われる。
ただしギャルの血液爆弾で複数の部下が撃墜され、またアンナ自身もギャルの奇襲で普通に満身創痍になってる。
あくまで攻撃比重で、防御面の恩恵は薄いと思われる。

アンナの思想との同調率がキーになるのも制約や安定性として結構キツそう。
少なくとも戦時下以外の集団戦で何処まで恩恵を与えられるのかは未知数。


『幻想介入/回帰令(システムハック/コールヘヴン)』
使用者:並木 旅人
評価:D
対象の超力に干渉し、超力を暴発させる。
条件を満たすことで超力の暴発による確殺が成立する。

人類のスペックが上昇してるこの世界において「確殺さえ決まれば相手は死ぬ」という殺傷力は確実に凄い。
ただし確殺を成立させるための「対象の超力効果の詳細な理解」や、一度の発動で3時間ものクールタイムが生じるのはけっこう厳しい。
タイマンならまだしも、集団戦や奇襲攻撃に対してはこの超力のみだと行き詰まる可能性が高い。

彼が裏社会の黒幕になったこと、超力を補完するために情報面・人材面での恩恵を得る手段としても機能していたのだろう。


『正義顕現・此れぞ我が理想也(イデアル・ヒーロー・マテリアライズ)』
使用者:羽間 美火
評価:C
理想のヒーローに変身する純粋な自己強化系。
「熊を素手で殺せる」「時速60kmの普通乗用車に撥ねられても無傷」とのこと。

数値自体はこれまでの作中を踏まえるとけっこう微妙なライン。あの世界の人間、その気になれば散弾銃に対処できるらしいので(ルクレツィア初登場回参照)。
とはいえ反社から地元の商店街を守り続け、また仮にも超力が使える半グレ15人を撃退できるなど、実態としては設定以上の強化が齎されている可能性が高い。

「他人の姿を取った時、その人物が持つ超力を使えるかは未知数」という文面が真だとすれば、自己強化+コピー能力として更なる伸びしろがあったかもしれない。


『erkennen Leben(生命の認識)』
使用者:舞古 沙姫
評価:E
常時発動の認識阻害。自身の姿を他人に誤認させる。
基本的には遭遇した相手の知人として認識され、自分から名乗ったり攻撃を仕掛けることで解除される。

その気になればある程度外見のコントロールは可能らしいが、基本的には相手側の認識によって変装者が決まる。
作中の言及からして、沙姫自身は誰に化けているのかを認識できないのが厳しいか。
認識阻害で多少は相手の不意を突けるかもしれないが、変装のランダム性が強いことに加えて攻撃時に超力が解除されるので初撃以外では意味を成さない。

ただし富豪の娘として誤認されたまま生活を続ける、犯罪活動でも積極的に利用するなど、認識阻害の強度自体は相当のものと思われる。
沙姫の正体を隠し通す術としては十分すぎるほど強力だったのだろう。


『嵐を呼ぶ男(ワイルドハント)』
使用者:ドン・エルグランド
評価:C
周囲の天候を操作し、嵐を発生させる。
効果範囲は半径50m、中心部に近付くほど暴風雨が強くなる。

天候操作という能力そのものは間違いなく強大であり、戦局の制圧力は高い。
ただし同じ範囲能力のドミニカがかなり融通を利かせられるのと比較すると、ランダム性が強く不安定感や応用の乏しさが否めない。
また超力次第では数百mの狙撃も不可能ではないキャラが居ることを考えると、50m程度の効果範囲は微妙さが否めないか。

あくまでドンの強運とスペックがあってこそ輝く能力なのだろう。


『共に歩むは我が眷族か(ナチュラル・ウォリアーズ)』
使用者:宮本 舞衣
評価:B
5体の昆虫型眷属を使役する。
眷属達はそれぞれの性格と特徴を持つ。

本編では銀鈴に酷い目に遭わされたが、要は「明確な役割分担と自律思考を果たせる戦闘者5人を操る」ということなのでさらっと強力。
怪力前衛のギガンテス、行動阻害の飛び道具を持つネビュラ、隠密行動の暗殺役を担えるマンティズ、本体を戦線離脱させられるアルファなど、ほぼ全員が仕事できる。
本体を狙おうにも相手を毒爪で絶死させるメアリーが待ち構えている。

そもそもデフォで集団戦を仕掛けられること自体が強いので、範囲攻撃か本体直接干渉の能力でもない限りは対人戦で有利。
ただし銀鈴にビビって制御を奪われたので、精神干渉などで制圧されるリスクはあるか?

121名無しの囚人:2025/08/11(月) 19:52:02 ID:R0hWk4lw0
続き


『ブラッドストーク』
使用者:恵波 流都
評価:C
対象の外見を作り変える能力『トランス・ビルド』によって自身を変身させる。
発動中は戦闘力強化のほか、毒を生成する能力を得る。

身体強化としては至ってシンプルだが、触手で中距離から毒をブチ込んでくるのは厄介。
作中の描写からして一撃で生命を脅かすレベルで、りんかは超力を成長させなければ確実に仏になっていた。
毒は間違いなく強いが、それ以外に関しては流都の戦闘スキルに依る部分が大きそう。

外見の作り変えというメイン能力から毒生成能力をさらっと獲得しているが、これもまた超力変容の一種なのかもしれない。


『我思う、故に我在り(コギトエルゴズム)』
使用者:無銘
評価:E
あらゆる精神干渉の無効化。
常に万全のメンタルを維持して戦える。

メンタルも含めた自己強化は葉月りんかがよ。汎用性の高い形で実現しているので、これ単体では非常に微妙。
精神干渉を確実に遮断できるのは恩恵として小さくないが、新人類はまず身体能力+超力によって直接的な殺傷力が総じて強い。

こうして見ると、寧ろほぼ体術一本で猛者達を相手取る無銘自身の凄さが際立つ。


『憤怒の炎帝(レヴァイア)』
使用者:フレゼア・フランベルジェ
評価:A
単純明快、炎を自在に放出する。
フレゼアの怒りに応じて火力が変動し、概念的なものさえ焼き尽くす効果を持つ。

高火力の範囲攻撃なので弱い筈がない。フレゼアの精神的な歪みも火力面で終始プラスに働く。
何より凄いのは炎による超力無効化が可能なところで、こちらが範囲攻撃をぶちかましながら敵側の能力を潰せるのでヤバい。
攻撃力・制圧力という点では他の追従を許さないレベル。

フレゼア自身の戦闘技量はそれほど高くないらしいが、正直この超力ぶっぱしてるだけでも強い。


『銃手(アル・ミドファイ)』
使用者:アルヴド・グーラボーン
評価:D〜C
自身が手にした銃器を強化する。
威力や射程距離、装弾数など、全体的なスペックを引き上げることが出来る。

小口径の拳銃が榴弾砲レベルの火力と化すなど、攻撃力に関しては凄まじい。
しかし作中で成された火力強化は本体の肉体強度すら無視するレベル。火力調整が可能か否かで評価は変わるが、設定や作中での言及曖昧。
フルスペックで戦力を発揮するためには武装の安定確保も必要になるか。


『鉄人(ティエレン)』
使用者:呼延 光
評価:C
常時発動。骨・筋肉・皮膚が鉄と化す。
超力による肉体の負荷に耐えられるレベルにまで身体能力も底上げされる模様。

物理的な強度上昇という点では攻防共に単純明快に強い。
刃物による奇襲攻撃を無傷で凌ぐなど、恐らく個人規模の武装程度なら難なく凌げると思われる
ただし新人類は総じて身体能力が高いうえ、超力の火力次第では鉄程度ならブチ抜ける可能性も否めない。
あくまで呼延自身の体術が上乗せされることで十全に機能している部分が大きいか。

無銘もそうだけど、やはりフィジカル組は超力の応用性の低さを体術で補う傾向が強い。


『紅狼(ブルーム・ヴォルフ)』
使用者:スプリング・ローズ
評価:B
人狼に変身する自己強化能力。
膂力と瞬発力、肉体強度などが大幅に底上げされる。

シンプルな自己強化だが、「ローマンの本気の一撃を耐えられると明言される」「本条ファミリー化の劣化状態であってもジェーンの超力を多少の手傷に留められる」など凄まじい頑強ぶり。
ローズと対立し続けてきたローマンが「並の獣化・身体強化系超力者が比較にならない身体強化」と評し、更には完全獣化による立体的高速攻撃という奥の手も持つ。
長時間の発動こそ出来ないものの、攻防ともに強化系超力としての突出した性能が随所から伺える。

122名無しの囚人:2025/08/12(火) 07:36:42 ID:uhh.NMXw0
第二回放送前の現退場組の超力もA〜Eで5段階評価
あくまで戦闘面で運用した際のランク付け、主観なので違和感があったら申し訳ない


『見せてください、荒々しい古の壌を(トランスミシオン ヘオロヒコ)』
使用者:イグナシオ・"デザーストレ"・フレスノ
評価:B
過去にその場で起きた事象を再現する。
痕跡を再現して調査に用いる他、自然現象などで攻撃が可能。

能力規模がさらっと凄い。地球黎明期のマグマオーシャン、全球凍結、隕石衝突の地殻津波まで再現できるらしい。
少なくとも地球の歴史上で発生した現象なら問題なく網羅できるのだろう。この時点でどう考えても凄い。
ただし効果範囲が直径5メートル程度なので、制圧攻撃や遠距離攻撃には少々厳しいか。

現場の痕跡調査など、頑張れば戦闘に活かせそうな小技が効くのもさりげなく便利。


『限りなき願いを以って 魔女に与える鉄槌を(マレウス・マレフィカールム)』
使用者:ドミニカ・マリノフスキ
評価:B
自身を中心に重力場を発生させる。
重力場の大きさはある程度指定可能で、飛び道具として放つことも可能。

威力はサイズに反比例するらしいが、接触だけで破壊的なダメージを与えられるのは普通に強い。
周囲への展開や飛び道具としての射出などの使い分けも出来るので、応用性も優秀。
作中では空中移動を披露してる他、自身の重力操作・周囲の物質の引き寄せ・引力による高速移動など、小技も効きまくる。

間違いなく高性能かつ優れた汎用性だが、作中では専ら対メアリーに動員されたので対人戦の攻撃性能は曖昧。
単身でヤマオリ・カルトを壊滅させているらしいので、少なくとも殺傷力は確実に高い。
しかしローマンの超力には真正面から制圧されたので、より攻撃的な能力に対しては火力で幾らか劣るか。


『奥底に潜むもの(サブマリン)』
使用者:ルメス=ヘインヴェラート
評価:D
壁や建物などの無機物の中に潜行する。
潜行可能時間は本体の肺活量に依存する。

応用の規模は曖昧だが、作中での描写や言及を見る限り恐らく攻撃面での運用は想定されてないと思われる。
潜行による回避能力・奇襲能力は高いので、戦闘時でも一定のポテンシャルはあるだろう。
とはいえ戦闘で活かすためには本体のスペックに依存する部分が大きく、単体ではやや貧弱。

振り返ってみると本編内だとルメスの戦闘シーンが無いので、けっこう未知な部分も少なくない。


『不思議で無垢な少女の世界(ドリーム・ランド)』
使用者:メアリー・エバンス
評価:A
常時発動。周囲一帯の物理法則を歪ませる。
範囲内では時空間から現象に至るまであらゆる事柄が狂い、身体操作の法則すら変貌する。  

恐らく効果範囲拡大は旅人による改変以降に得られたものと思われるが、正直元の能力からして凶悪。
旅人がほぼ指一本すら触れられずに封殺されているので、明らかに元から殺意が高い。
物理法則変化で遠距離攻撃すら無効化する可能性が高く、対象直接指定の超力を叩き込むしかないかもしれない。

メアリー自身による細やかな制御はできないと思われるが、ただ展開してるだけで強い。


『不思議で無垢な少女の世界(ドリーム・ランド)+コールヘブン』
使用者:メアリー・エバンスwith旅人
評価:A
常時発動。周囲一帯の物理法則を歪ませる。
並木旅人の魔改造により、超力制圧と攻撃的事象に特化した。

行動阻害の強制力が下がったので、対象の封殺という点ではオリジナルのが脅威的か。
物理法則の変化に関しても、やはりオリジナルの時点で明らかに無意識の殺意が強い。
しかし効果範囲の常時拡大が相当ヤバく、ひたすら空間をデカくしながら逃げに徹するだけで最終的には相手を始末できる。
封殺力自体は下がったとはいえ、超力制圧も含めて範囲内における殺傷力自体は十分に高い。

メアリー自身による細やかな制御はできないと思われるが、やっぱり展開してるだけで強い。


『quatre chevalier(四人の騎士)』
使用者:内藤 四葉
評価:B
4体の甲冑騎士を召喚して使役する。
甲冑はそれぞれハルバード、長弓、長剣、長槍で武装している。

同系統能力の舞衣と比べると自律行動不可で役割分担も簡素だが、やはりデフォルトで集団戦を仕掛けられること自体がアドバンテージ。
余り目立たないが、この戦闘力で射程距離30mなのも地味に長い。タイマンなら中距離から一方的に数の暴力を押し付けられる。
舞衣の超力と違って自律行動が出来ないものの、精神干渉を喰らわないぶん率直に使役できるので一長一短。
甲冑で武装して本体の戦闘力底上げを行うことも可能。尤も強化ではなく単なる武装なので、防御面以外は本体のスキルに依存するか。

戦闘狂の割には中距離から刺した方が強い性能だが、四葉の性格からして甲冑と一緒に本体もガンガン前線に出てたのかもしれない。

123名無しの囚人:2025/08/12(火) 07:39:28 ID:uhh.NMXw0
『彗星ノウサギ(リエブレ・コメタリア)』
使用者:セレナ・ラグルス
評価:C
常時発動型。ウサギの獣人となる。かわいい。
脚力を中心とする身体能力が向上し、聴力も大きく強化されている。

純粋な戦闘力というよりも生存能力が強く、察知・逃走・隠密に関しては間違いなく優秀。
直接的な攻撃力こそ乏しいものの、攻撃面以外の特技が明快かつさりげなく強い。
ジルドレとフレゼアを的確に乱戦へと誘導、キングがハヤトを利用して初手から潰しにかかるなど、作中でも随所で特技の裏付けが伺える。
恐らく本体がフィジカルに振り切ればもっと厄介になっていたと思うが、撹乱役としては十分な性能。


『不撓不屈(ウェカピポ)』
使用者:ハヤト=ミナセ
評価:D
自身が受ける衝撃を「踏みしめる」ことで相殺し蓄積する。
蓄積したエネルギーを放出することで攻撃が可能。

気軽に振り回せる他の戦闘系能力と比べて、挙動や性能の制約が大きく汎用性に乏しい。
機動力が底上げされている新人類の戦闘で「踏みしめる=足を止める動作」を強要されるうえ、蓄積の限度があるため盾としても信用し切れないのが辛い。
恐らくセレナ以上に本体のフィジカルが求められ、フィジカルの補助として割り切った方が良さそうな能力。


『例外存在(The exception)』
使用者:ソフィア・チェリー・ブロッサム
評価:C
常時発動。あらゆる超力による干渉や影響を無効化。
超力由来ならば如何なる直接攻撃や概念干渉も効かず、また本体自身もあらゆる超力防御を無視して相手を殴れる。

全身幻想殺しみたいなもんで、敵の超力手札を完膚なきまでに無効化できるのは極めて強力。
常時発動なので不意打ちにも対処可能、事象改変級の超力も当然効かない。防御面ではめちゃくちゃ凄い。
ただしアドバンテージは対超力に限る。新人類はそもそもデフォで超人なので、超力抜きで殴りに来れる者も少なくない。あと普通に銃器引っ張り出されたら厳しい。
敵の超力を無効化した上でブン殴るためにも本体のフィジカルが何より必要になる。


『楽園の切符(パラディーソ・ビリエット)』
使用者:ルクレツィア・ファルネーゼ
評価:自己強化黒煙→C 幻覚紫煙→E∼B
吸うことで効果を発揮する煙を操る。
基本は感覚鈍化+身体機能向上の黒煙を常時発動しており、拷問の際に幻覚を見せる紫煙を使う。

黒煙のゴリ押し性能は高く、戦闘技能のないルクレツィアが身体能力と自己治癒のみで押し切れるレベル。
ただし再生能力は無いため、恐らく火力で爆撃されたら厳しいか。性能自体も実質フィジカルの底上げのみ。
格下や相性の良い相手ならばゴリ押しで強引に詰ませられるが、逆に格上や相手の悪い相手には煮詰まる可能性が高い。

紫煙は相手を昏睡させる必要があるので、基本的には戦闘での使い道がない。
ただし銀鈴戦では土壇場で幻覚を見せて惑わしてみせるなど、ポテンシャルの高さを披露。
暴走状態では広範囲に紫煙を撒き散らし、吸引した者達を無差別的に昏睡状態へと陥れた。
効果が拡大する度にどんどん凶悪度が増していく。最終形態は封殺技としてかなり強い。
あのまま肉塊から復活を果たしていたら、相当に猛威を振るっていたかもしれない。


『我が情熱は去り(ラ・パッション・パシー)』
使用者:ジルドレイ・モントランシー
評価:A
冷気を自在に操る。
氷柱や超低温などで攻撃し、氷の分身や義肢を作り出すことも可能。

火力も応用力も極めて優秀。作中の描写を見るからに、やっていることはキングの超力と殆ど遜色ない。
絶対零度に達する出力で範囲攻撃をぶちかませる上、氷の障壁で敵の退路を防いだり分身を作って惑わせたりなどとことん融通が利く。
流石に炎で超力無効化するフレゼアほどの封殺性能は無いが、応用の面でフレゼア以上なので一長一短である。


『炎の愛嬌、氷の度胸(ホトコル)』
使用者:大金卸 樹魂
評価:C∼B
自身の体温を自在に操る。
高温化で熱波を放ったり、逆に低温化で寒波を起こすことが出来る。

調整可能温度が-273.15 ℃〜2000℃と極めて広域かつ強力。下限温度だけならジルドレイと同じ域。
フィジカル組の中では珍しく、物理攻撃バフと範囲攻撃を両立させているのも強い。
作中では樹魂が体術主体のキャラだったので、ポテンシャルの限界値は曖昧。仮にこれ単体のみで柔軟に戦える応用性があるならBランク相当。

124名無しの囚人:2025/08/13(水) 21:35:05 ID:J71EJP6.0
108.破戒
前半部めちゃくちゃ笑った。
大金卸が二人にとってあまりに謎の存在で、どうすんだこいつみたいな雰囲気がずっと漂うのがシュールすぎる。
誰も仕切るやついないから仕方なくみたいな雰囲気出して話を回そうとするキングも、
言葉選んで丁寧にお引き取り願おうとしているようにしか見えないジャンヌも、
マジメに悪の帝王と聖女をやっていた二人がそろって大金卸相手に困惑し続けている構図はシリアスな笑い以外の何物でもない。
善悪対極にあるキングとジャンヌ、加えて読者も含めた全員が大金卸に対して同じ困惑を抱いてしまうので、謎の連帯感が生まれる。
単純に、常識を持っている強者がいくらツッコミをしてもし足りないぶっ飛んだ状況というだけでも笑えてしまう。


> 「貴様が――――“弱き者”だ」
丁寧に諭している最中にこの言葉を押し付けてくるの面白すぎる。
話を聞かなさが想像のはるか上を行くし、引きつってるジャンヌの顔がありありと浮かび上がってくる。
ジャンヌの大金卸への説得は善意から出たものだと思うんですが、
彼女の言葉を一切聞かずに自分の言い分だけを返す様子もまた、我欲と暴威に囚われて善を理解できない人間という描写の一環なんですね。

あれだけ強さと恐ろしさを振りまいたキングが終始後手に回ってひたすらツッコミ役になり続ける展開。
あらゆる受刑者を蹂躙してきたキングが、何の因縁もない通りすがりの怪人に理不尽にボコボコにされる構図。
大金卸の圧倒的強さが担保されてるのと、因縁の塊であるキングが因縁ゼロの大金卸に落とされることはなさそう、みたいな安心感。
相手がこんな無茶苦茶なやつではしゃあないか、とキングの格が落ちることもなく、安心してエンタメとして見れるので、もはや痛快ですらある。
大金卸の乱入を好機として流れに乗るジャンヌも、漁夫の利になる形のジャンヌを咎めるキングも、庇護してるジャンヌを容赦なく殴りに行く大金卸も、何もかもが混沌としていて、なんかもう読んでて元気になる。

第二形態キング、ラスボスみがすごい。
なんでそんなやばいやつと胸に穴開けた状態で互角に殴り合えているんだ大金卸、武神と呼ぶのも納得のとんでもなさだった。
あのキングが絶句するしかないめちゃくちゃぶり、すさまじいインパクトでしたね。

とにかく合理的にあしらおうとするキングと対照的に、大金卸の心情の核心を捉えて理解につとめるジャンヌは高潔さに満ちている。
どんな相手にも同じような接し方してただろうと察せられるところに彼女が大きな支持を得ていた理由が垣間見える。
ジルドレイ、大金卸とジャンヌの目の前で無念のまま散っていったので、
悔い改めたフレゼアの最期を知れたのは良かったとしんみりする。


ローマンや呼延と戦っていたころの大金卸はまだ話の分かる感じがあった。
あれは、緩い死って言われるような人生に疲れた人の落ち着きだったのかなと解釈してる。
善意の拳を知ってからの大金卸はかなり強引さが増していくのだが、
大金卸は人生自体に諦めに近い行き詰りを感じていて、そこに降ってきた安理とイグナシオの生き様に天啓を得たんじゃなかろうか。
最後に振ってきた大きな光に縋っていたように見えるんですね。
そして一度は期待を抱いたからこそ、人生の袋小路を理解して諦めてしまったのが、灰色の瞳と形容された大金卸の絶望。
察すると切ない。

ジャンヌを庇ったのは、ほんの少しでも寄り添ってくれることに思うところを持ったがための善意だったのか。
逆にどう足掻こうと善意を理解できないという現実を突き付けられ、それでも一縷の望みをかけて命がけの善意の真似事をしたのだろうか。
その後の本人のモノローグや師匠の忠言をみるに、後者なのかもなあ。
我欲と暴威。そうとしか生きられない漢女の悲哀。

途中までめちゃくちゃ笑ったのに、最終的に大金卸樹魂という個の集大成となっていて、
最後はモノローグも含めてしんみりと物悲しく締められている傑作だったと思います。

125名無しの囚人:2025/08/13(水) 21:44:46 ID:J71EJP6.0
109.合理と純心の混じり合う場所
ディビット組はポイント稼ぐコンビなのに、ポイント狙いの強い受刑者って地味に少ない。
交渉の場がなく悲しいことになりそうなので、エルビスに白羽の矢を立てました。
日月もポイント狙いだが、さすがに今から絡むのは難しそうなので……。

ただ、首輪の取得権が非常に厄介で、これを何とかしないとエルビスにとってまるで旨味がない。
かといって突然の契約変更はご都合主義になりかねない。
さらにエンダもディビットの勧誘候補となると、ややこしいことになるのでなんとかディビットを二人から切り離せないかと考える。
そこでちょうど近くにいたネイ・ローマンの勧誘というミッションを創り出し、Win-Win-Winになるようにしました。だいぶ満足です。
なお、エルビスがキングの名前を出さないのは、キングの息のかかった刑務官による盗聴を警戒しているからです。
リカルドの現状は前話が来て急遽差し込み。
キング第二形態で無事なはずがないというのと、障害負っていると38話のリカルドの体調を聞く会話が気の利いたものになるからですね。


エルビス戦車VS仁成カーは書いてて楽しい、あのわちゃわちゃは無限に書ける。
秒数にルクレツィアの茶々、くすくす笑いにお前のいる場所は既に○戦目で通過している……! がバシバシぶっこまれて忙しいですね。
仁成とエンダはそろそろ秘密を打ち明けさせたく、これに伴って絆の力も解禁可能に。
仁成は登場話あたりで妹いると書かれていたので、エンダを妹ポジにしました。
この二人の仲の良さ、りんか組に負けてないですからね。
人間を信じないくらいにやさぐれた仁成が誰かのための拳を振るえる、いいですよね。

ヴァイスマンの色んな戦闘データ欲しい発言より、室内戦と撤退戦。エンダが小器用で動かしやすい。
当初の構想ではエンダたちがエルビス+αに絶望するか、仁成脱落で考えていたのですが、
二人が夢を打ち明けるシーンは必須だろうと、ギャル組をエルビス組にぶつけて漁夫の利+時間を稼ぐ方向へ。
かつ、夢語りが不自然にならないように、ちょうど隣にいたルクレツィアの紫煙に登場いただきました。
ついでにローマン、来るまでに時間があったので、エルビスと対話挟んでもなんも問題ないだろうと。
ローマンもメリリンにアピール連打なので、恋人話に混じることができる、背負うものを口にできるのは好きです。

結果、征十郎たちがババを引きましたが、これは情報量の差と考えてます。
エンダ対策が裏目に出る、こういう読み合いも好きですね。
征十郎とタチアナはなんか仲がいいけど、たぶん征十郎が斬り殺した友人もこんな感じの関係だったんでしょうね。


本物エンダの夢は、70話の神を見失ったというフレーズから逆算しています。エンダは神と一緒にいる唯一性のあるキャラなので。
そして代わりに叶えたい夢ということから、他人に影響を与えるタイプなのだろうと考えました。
解釈によってはまぎれもない邪教ですが。
ついでに登場話で黒霞に声かけてる描写があるので、あれは魂か何かで、エンダも変則型の群体型超力なのだろう、くらいまで膨らませています。
キャラシの山折村の故人たちを知ってるっぽい描写もこの辺からつなげられる下地はできたかな、と。
ちなみに仁成は没個性的な高校生だったようなので、夢も壮大さは取り除きました。
秩序を憎んでいるので、秩序側に行こうとしていたほうがいいかなとお巡りさんを選んでいます。


あとエンダの意味深な言及もそろそろ拾いたく。
旅人は教祖描写あったし、カルトの元凶でいいかな、と。自分で集めた信者を裏切るやつは人でなしでよいでしょう。
アンチのほうじゃないのは、ヤマオリの遺物集めてから一網打尽にする目的、くらいでふわっと考えてます。
エンダの目的も大小ありましたが、出なければ旅人への復讐と本物エンダの夢を代わりに叶える、に割り当て可能な程度にぼかして提示。
これである程度は彼女の秘密も7割くらいは消化できたはず、まあもう二つほど意味深なのがあるのだが……。

126名無しの囚人:2025/08/18(月) 22:31:34 ID:OW4t.3.k0
外見上の個人的イメージ

デイビッド:クラーク・ゲーブル(風と共に去りぬに出演した頃)
エネリット:ブラッド・ピット(ファイトクラブに出演した頃)
氷月:漫画版GOTHの神山樹
ローマン:ダンテ(DMC3)
日月:樋口円香
ルクレツィア:篠澤広
ソフィア:バゼット・フラガ・マクレミッツ
銀鈴:比良坂初音
征十郎:雷泥・ザ・ブレード
ギャル:江ノ島盾子
呼延光:るろ剣の四神
大根卸:花園勇花
ヴァイスマン:ニコライ(龍を継ぐ男)
仁成:エグザベ・オリベ
エンダ:比良坂初音をちっちゃくした感じ

127名無しの囚人:2025/08/20(水) 22:00:11 ID:dhbgZ5Lo0
110.ABC計画の■■及びそれを取巻く世界の実状について
Zのタイトル元ネタ回が106話・日中なので、オリロワAはちょっとボリューミーだと分かりますね。

Zも含めて世界観周りを読み込んでいると解像度が上がっていく回。懐かしい名前も色々ありますね。
システムAの大元が魔王殺しなことは、第一放送で創の名前が出たときなんとなく予想はついたけれど、
そこから各作者の考察や設定構築を加えて、超力システム化の計画やそれを取り巻く世界の実情をきれいにまとめたなあ、と思います。リレー小説ですね。

小屋、そういえば言及しなかった……。
四隅のどれかに大事なもの置いてんじゃない? くらいのことは言わせたけどそこ止まりだった。
けれど、システムAの子機が置かれている意味はだいぶ謎ですね。どう刑務に絡んでくるのだろう。


ヤミナの役に立たなさが随所で差し込まれているの好き。
なお発言自体はバカっぽいけど、実際の行動自体はいたって一般人な調査初心者。
読者として笑うけど僕が同じ状況に放り込まれたら多分彼女と同じような行動すると思う。
ただ、いち早く調査を見切って、システムC調査でナチュラルにくつろぎ始めるシーンはテンポ感もあってめちゃくちゃ笑った。

彼女のテキトーな会話内容はとても景気がよいので気兼ねなく笑い飛ばせる。
全裸で逆さ踊りが決定しましたが、誰も期待してなくて一人だけ顔面蒼白になってんだろなってのが目に見える。
機密施設に対する扱いが春姫ポジションっぽいのだが、発言がイカすのがヤミナで行動がイカすのが春姫ですね。
トビが絶対やらないような行動でも率先してやってくれるから開示役として動かしやすいんだろうな……みたいなことを思う。

一方でトビはヤミナに対してものすごく塩対応ですね……。
ヤミナを相手にする余裕がないというほうが正しいのかもしれないけれども。
ヤミナの知ったかぶりにツッコミを入れているようで入れていない辛辣さ。
ヤミナじゃなければだいぶ居心地悪いと思うのだが、全然そんな感じしないのはひとえに彼女のキャラ性ですねえ。


なんだかお堅い報告書とトビのシリアスな空気が合わさってむずかしそうなお話……になってしまうのだが、
ヤミナが適度に挟んでくる珍行動がとっつきやすさを補充してくれる。
ただし一皮剥けばそこは深淵、得体のしれないナニカが飛び出してきそうな気配が漂ってますね。
謎の施設の最奥部とか開かない部屋とか、何か出てきそう感がすごくてドキドキする。
トビが終始シリアスな顔してるのもあって、ホラー脱出系とか探索アドベンチャー系の山場シーンみたいな雰囲気がある。

秩序の番人が悪党にペラペラ秘密を喋る時、それすなわち一人も恩赦を出さない確信がある時。
機密を次々に提示して受刑者を奥の奥まで誘い込むやり方、分かっていても避けられない罠。
重要設定が次々に開示されて行き、機密度の高い情報が開示されると共に不穏さが増して行く。
システムCの被験体たちが禁忌の存在だということも不穏さに一役買っているのだが、
じゃあそのさらに奥には何があるんだよ、という未知の恐ろしさが全体の雰囲気をざわつかせてきますね。
被験体Oという存在も控えていて、放送後に彼らは生き延びられるのか? みたいな緊張感がずっと流れてる。

トビは最も脱獄の可能性が高いセキュリティテスト要員であり、かつヴァイスマン本人が選定した囚人なんですよね。
彼をブラックペンタゴン最奥部に誘導して機密を公開する、これは挑戦状以外の何物でもない所業。
絶対の自信があるか、万に一つくらいは情報を意図的に流出させるという線もあるのかな?

128名無しの囚人:2025/08/24(日) 09:52:29 ID:DQHqPiIE0
>>122
続き

『紫骸(ダリア・ムエルテ)』
使用者:エルビス・エルブランデス
評価:C
腐敗毒を絶えず放ち続ける紫花を生み出す。
毒によって周囲の物質や生物を無差別に蝕む。

一区画を埋め尽くす程に無数の花を生成できるうえ、花を生み出せば以後その場で咲き続ける。
屋内戦における制圧力や侵食性能に関しては強力。自身の肉体に花を咲かせることで接近戦での制圧も防げる。
毒自体に関しても四葉の甲冑やエンダの黒靄などのメタを張って、ようやくエルビスとの戦闘が成立している節さえある。

ただし本質的に設置技かつ削りダメージ付与技なので、高火力・範囲攻撃の超力と相性が悪いか?
フレゼアやジルドレ、ドミニカやキングなどの波状攻撃に対しては強みを発揮しきれない可能性が高い。
防御性能も皆無なだけに、飛び道具や遠距離攻撃への対処もだいぶ厳しいか。
総じて相性の差が激しい。エルビス自身の戦闘スタイルも含めて、隔離された屋内戦でこそ猛威を振るうか。


『檻の中の魔神』
使用者:銀鈴
評価:測定不能
特定の領域限定で使用者に強力なバフ+他者に強力なデバフを与える。
使用者は壮絶な戦闘力や異能を獲得し、他者は開闢前の旧人類同然まで劣化する。

領域内だと問答無用で無敵。領域外だと一切使用不可。チートと産廃を往復するような両極端すぎる性能である。
こうした性質もあってか、本編中では専ら銀鈴自身の特異性にフォーカスが当てられている。

そして111話にて、ある要因によって彼女の超力が限定的に解放された。
多数の強豪達を相手取り、もはや蹂躙に等しい程の圧倒的な戦闘力を見せつけた。どうやら身体能力のみならず、念動力などを始めとする異能の類いも行使可能である模様。
最後はあらゆる乗算と相性、タイミングが全て噛み合うことで漸く紙一重の攻略が成し遂げられた。まさに魔神である。


『我喰・回転式魂銃(ナガン・リボルバー)』
使用者:本条 清彦
評価:E〜A
殺害した相手を取り込み、総勢6名で構成される多重人格の一員として内包させる。
人格と肉体は任意で切り替えられ、固有の能力も使用可能。

取り込んだ人格の性質や総数によって評価が変動するが、ある程度頭数が揃っていれば基本的に強力。単純に知識や超力を共有できるシナジーは大きい。
しかしこの能力の最大の脅威性とは、人格の戦闘不能からシームレスに別人格への切り替えが行われるところ。
ローズ戦における「無銘の気絶→サリヤ出現」の流れからして個々の人格ごとに体力がほぼ独立しており、交戦したローマンも「個別で前線に出られるし、消耗も分散できる」と分析している。
よって多重人格=ゲームで言う“残り人数”に等しく、仮に人格フル装填状態なら相手は6人をぶっ続けに殺さねばならないというとんでもない状態となる。
そのうえ人格ごとに固有のフィジカルや超力が待ち受けているので、初見殺し度も高い。

人格間の知識共有や連携といった強みもあるものの、やはり尤も凶悪なのは人格切り替えや人格簒奪による異常なしぶとさにある。
超力性能の劣化に関しても、少なくとも戦闘面での大きな悪影響は見られていない。


『我喰・回転式魂銃(銀鈴版)』
使用者:銀鈴
評価:A
殺害した相手を取り込み、総勢6名で構成される多重人格の一員として内包させる。
本条清彦の「主席」を奪い取る形で銀鈴が取り込んだ能力。

本条版とは異なり、取り込んだ人格のアドバンテージが主人格ひとつに包括されている。
作中の弾倉は超力無効、再生、気配遮断など、かなり防御や回避に寄った編成である。単体のスペックはそれほど高くない銀鈴の防御性能を徹底的に補いつつ、気配の希薄化という長所を伸ばしている。
本条版とは別の意味で非常にしぶとく、更には威圧や気配希薄化など銀鈴自身の強みも上乗せされていることで極めて厄介。
その代わり火力はそれほど高くない……と思われたが、空気銃の真相からして殺傷力自体は十分に確保できている。そして恐らく人格弾も普通に使えると思われる。

なお銀鈴自身は人格の一つなので、彼女の退場と共に人格も切り替わっていた。
やはりこの超力の脅威性は異常なしぶとさにある。

129名無しの囚人:2025/08/24(日) 19:22:21 ID:DQHqPiIE0
>>128
一人漏れてた…申し訳ない

『屰罵討(マーダーズ・マスタリー)』
使用者:ジェーン・マッドハッター
評価:B
常時発動。あらゆる物質に殺傷力を付与する。
使用者が所有物と認識し、直接触れている物質すべてに作用する。

ローズ曰く「喫煙ひとつで数十人を即死させ、数倍の人数を病院送りにしている」「拳銃弾一発で装甲車を粉砕して搭乗者を全員殺害」。壮絶な殺傷能力である。
キャラシによれば紙程度でも使用者が用いれば人間の指を切断できるらしいので、殺傷手段としては凄まじい性能である。
適当な道具を用意するだけで殺傷力を担保できるので、攻撃面では恐るべきポテンシャルを持つ。

とはいえ殺傷に全振りしているために防御面での活用はほぼ出来ず、戦闘ではとにかく先手を打って殺傷能力を活かす必要があるか。
また常時発動で殺傷力を発揮するため、他の面々との連携も難しい可能性は否めない。

130名無しの囚人:2025/08/27(水) 22:17:19 ID:StKXkFGw0
111.Der Freischütz(前編〜後編)
ブラックペンタゴン乱戦の総決算、前半の山場でめちゃくちゃ面白かった。
機械室前のタッグマッチ、銀鈴戦、魔神銀鈴戦と濃い戦いが続いた後、
過去作でばらまかれた布石を回収しつつ、満を持して我喰い本体登場。常に盛り上がりのギアが上がりつづけている。


話も常識も通じないヤバいやつ、タチアナもといギャルが完全復活!
征十郎とギャルの戦闘、筆が乗ってるのが伝わってくる。
キングVS漢女なんかもだけど、ノリノリで書きましたね? というのが見える景気のいい戦闘描写は読んでいて楽しい。
左に避けろ! で左から攻撃するのめちゃくちゃ笑ったし、征十郎がギャルを全然信用してないので結果エネリットだけ巻き込まれるのもひどすぎて笑う。
タチアナと征十郎は味方であり敵である、いったいどんな戦い方するんだろうと思っていたけど、期待を三段階くらいぶち抜いた面白タッグで好きが重なっていく。
エネリットとエルビスの盤石のタッグをめちゃくちゃにするこのタッグが大好き。第二の青春が実に楽しそうで何よりです。


エルビスは相変わらず強くて、征十郎に、ドスを効かせて『ちゃんと立てよ』と迫るところ、ぶるっと震えるくらいの迫力がある。
彼は山折タッグに翻弄される様子もなく、連戦続きでも動けるので、やはり頭一つ抜けた強さが見える。
そんな彼であっても魔神銀鈴に鎧袖一触されるのは絶望する。
同時に、それでも立って戦い続けるチャンピオンを応援したくなるんですよね。
最後まで強さと一途さで魅せ続けてくれたキャラで、お疲れさまでしたと言いたい。


エネリットは常に冷静な立ち回りをするキャラだったので、その彼が山折タッグに翻弄されまくってドン引きするのが面白すぎる。
そして面白いだけじゃなく、ヘロヘロ具体を見切って勝てる戦いを挑んでいたという種明かしに株が上がった。
彼、裏で図面をこねくり回してそうなのに、ちゃんと身体張って前線に出ていくのがいいですよね。
魔神銀鈴相手にもビビらずに立ち向かって行く彼の好感度が上がりますね。
全員の超力をまとって銀鈴に立ち向かい、勝利のピースを掴み取る彼は今回の戦闘のMVPだと思う。


銀鈴の国、カクレヤマの里と、本条の初期キャラたちの掘り下げと同時にサリヤの軌跡を辿っていく構成。
幇会の島流し要素とか、杏と日月との関係とか、これまでのリレー要素を拾いあげた上で、サリヤに集約させる話の作り方に舌を巻く。
存在しない者と扱われたが故に家族を強く求めた清彦、彼のファミリーと「生涯をかけて、幸せな家庭を築く」という誓いの根底が掘り下げられる。
こちらも初期の怪異じみた存在から印象が変わり、余韻が残る退場を果たしたいいキャラクターに仕上がっていると思う。

『間違いから生まれた存在は間違いしか生まない』という持論のサリヤと、
『間違いから生まれても変わることができる』という人間エンダに感銘を受けた土地神。
自分の出自を嫌悪する二人の対称的な結論が眩しい。
サリヤと自分は家族だと言えなかったメリリン、彼女は土地神にとってのエンダの立ち位置になれなかったのかもしれない。


ローマン、やはりめちゃくちゃ頼れる男。
粗暴な言動でありながら、銀鈴の思惑や状態を常に分析し続け、未知に食らいついていく彼は安心感がある。
そうかと思えば若者らしく好いた女にアピールを重ねていて、その青さと頼りがいに好感度が上がっていく。
あと銀鈴はどんなに追い詰められても外見の余裕さを失わないので、戦況を分かりやすく教えてくれる彼の存在はありがたい。
銀鈴の規格外さに劣勢になっていったところで、アウトロー三人そろい踏みはめちゃくちゃテンション上がりましたね。


ずっとメアリーを止めようと動いていたジェーンとメリリンに、
ジョニーがルメスとドミニカの奮闘を伝える。
ヘルメスは伝達の神なので、ジョニーがルメスの役割を継ぐのだなと暗に示されているのが好き。
メリリンたちの動きは報われなかったけれど、ここがなあなあで流されなかったことで、一つの区切りに収束したのがよいですね。

131名無しの囚人:2025/08/27(水) 22:17:55 ID:StKXkFGw0
銀鈴戦、彼女の超力はパーソナリティの背景だと思っていたので刑務作業内で出てきたの本当に驚愕。
銀鈴は精神的な揺らぎがない超然としたキャラなので、山場の大ボスに相応しい底知れなさを終始保てていた。
中央オブジェクトをシステムB子機にして土地そのものを再現することで限定的に復活させるやり方にはひたすら唸らされるしかないし、
怪物を倒すのは人間であるという王道に則り仁成の血で超力を封じるというやり方にも驚かされた。
全員の力を結集して、それでも倒しきれないとなったところで最後の一ピースを嵌めるジェイの格好良さ。
理不尽と苦難に耐え続けた彼が報われるようでとても感慨深い。
打算からの友人でありながら、最期は友人として言葉をかけたのに沁み入りますね。

サリヤが本当の我喰いだということは前話の布石で推測ついたけれど、指鉄砲との関連性は思い至らず。
流都による死体偽装は本当に意表を突かれたので、これをずっと前から仕込んでいたことに感服する。
SNSとかで色んな人の感想を眺めると、そこが繋がるのかという部分も多くて、もう一度読み返しましたね。
あとイグナシオに妙に殺意が高かったの、多分主人格がバレるからだな。
サリヤはファミリーの中でもずっと底知れない雰囲気を出していたので、今回のどんでん返しは納得でした。
キルショットのミドルネーム、いいなあ。

サリヤはメリリンと親友だけれど、ジェーンとメリリンもそういう間柄になりかけていたんですよね。
迷うメリリンの背中を押してくれるし、メリリン一人で背負わないように一緒に行ってくれるので、彼女ら二人の関係はだいぶ深い。
ジェーン脱落の原因がサリヤなので、ここの関係がどう転がっていくのかは気になりますね。

とにかくいろんなキャラに見せ場が多く、過去のいろんな回の言及やこの回でのキャラ関係など、縦横巧みに繋がっていた。
あらためて、とても面白い回だったと思います。
あと文字数5万超えてるけど動きが多くて読みやすかったのもよかったですね。



112.自らの選択
作品を書くにあたって、放送やまわりの動きを見て次の展開を決める、なんてことが結構ある。
結果によって決定されるということがよくあるし、実際そのほうが選択肢が狭まって楽なことはよくある。
逆に、ここでしか書けない! みたいなタイミングもよくあるので、『全てのことには時がある』の意味はとてもよく分かるのだ。
そして自分の意志で書くと決めて宣言したとき、完了に向かおうとする力は段違いに高まりますね。

一作と人生とでは規模が違うのだが、自分で決めるか、まわりに引きずられて決めるかはやっぱり大きく違う。
人生を周りに流されて決めてしまうということは、人生という物語において自分の意志が希薄になってしまうということ。
自分の意志で立っているわけではなくなるため、容易に崩れ落ちてしまうということで、
ことさら自分の意志で歩き出そうと決めた安理にとっては大きな岐路になるだろうな、と。

このタイミングで安理に選択を促す神一郎の言葉がとても重いと思う。
自分の心に従ってこれからの行動を決める安理が非常に尊いと思う。
アビスにおいても成長をするキャラは多いのだけれど、その中でも安理は特に精神の成長が著しいキャラクターで応援したくなる。
ボク『が』行くという言葉の重さと、それを『おめでとうございます』と祝福する神一郎の会話はとても神聖だと思いました。


安理が出会ったキャラクター、イグナシオはともかく他は大金卸・ローズ・神一郎と善人とは言い切れない人間ばかりなのだが、
そこからプラスの影響を受ける安理はだいぶ出会いに恵まれていると思いますね。
元々光に向かう受刑者が多いせいか、ジルドレイを除き、みな神一郎に背中を押されて迷いが消えていく。
大金卸みたいな死出の道であることも少なくないのだが、読者としてはその選択を祝福したくなってしまう。
正直な印象として、神一郎は選択の時が来るまでは猶予を与えてくれるので、有情なほうではあると思う。

全体的に穏やかで温かい印象を受ける、とてもいい話。
……なのだが、この話が投下された時点で第二放送決まってるんですよね……。
決意あらたにブラックペンタゴンに入ったら真正面に被検体Oが転送されてくる安理君はちょっとかわいそうすぎるな。

132名無しの囚人:2025/08/27(水) 22:22:28 ID:StKXkFGw0
113.第二回定時放送
禁止エリアがブラックペンタゴンを押しつぶすのは衝撃だった。
前の放送で禁止エリアが外周を囲むような形だったから、その流れで今回も外周を囲うものだとばかり考えていましたね。
あと、ブラックペンタゴンの正門以外が閉じるのも完全に予想外。
地図で禁止エリアを見るとインパクトがすさまじく、ヴァイスマンに手玉に取られて笑うしかない。


被検体Oは終里所長のクローンかなあと思っていましたね。
被検体大田原が最初に浮かんだけれど、いやいやまさかと脳内に浮かぶたびに選択肢から外しまくっていたので。
ブラックペンタゴンにジョーカーが投下される気はしていたので、そこだけは予想が合っていて、後は予想外しまくった感じでした。
天原の息子が来たというのも予想外した。創本人が来るのかと思っていた。
珠と創が幸せなまま終われそうなのは何気に安心する。


ブラックペンタゴン総禁止エリア化。
銀鈴が魔神化してもヴァイスマンが余裕だったり、
一階の図書館・二階の生活空間・三階の機密情報が異常に豪華だった理由としてこの上ない説得力になっている。
システムAがある理由、なんかあるのかと思っていたけれど、外壁壊して逃げられないようにするためだったんですね。
そういえばこれまでの話で外壁が壊れる話が出なかったので、企画主さんが賭けに打ち勝っている気がする。
なんなら中庭側の壁が壊れるように誘導された気すらする。


一日刑務官ってなんだよって思ってたけど、悪辣すぎてこれは引く。
一般人を生贄に連れてくるアビスはだいぶ闇の組織だなあとあらためて思う。第二班は本当によくやった。
闇側であることを象徴するように、フォンテーヌ姉妹が因習村の双子語り部みたいなポジションになっているのが好き。
不吉を演出するなら意味深な双子の美少女姉妹ですよね。
どことなく無邪気な残酷さが見え隠れする双子だった。

地味に『複数人の受刑者が暴動を起こしても単独で制圧しうるのが刑務官に求められる最低条件』とあるので、
フォンテーヌ姉妹もこのなりで実はめちゃくちゃ強いのかもしれないw
そしてそんな刑務官を六人殺した旅人のヤバさがあらためて浮かび上がる。


>私などがいなくても……あの3人が揃っていれば、万が一の事態も起こらないでしょう。
>さて。どうだろうね

>何より、それを制止するために第二班が配置されていたはずだ。高峯看守官、君は彼らを信用していないのかね?
だいぶカスなこと言っている自覚はあるかヴァイスマン?
天野に続いて高峯へのモラハラだかパワハラだかが炸裂するヴァイスマン。
ヤマオリ因子を持った生贄提供なんかは、原案自体は乃木平っぽいのだが、なんかヘイトタンカーはヴァイスマンなんですよね。


被検体O、銀鈴ほどめちゃくちゃなスペックではないが付け入る隙もほとんどなく、どうやって勝てばいいんだろう、と震える。
オリロワZで抱いた、大田原にどうやって勝つんだ? という震えの再来なのかもしれない。
一応第二班三人で勝ててるっぽいけど、このレベルでメタ張らないといけないのはなかなか厳しそうだ。
一方で山折関係者は数人生き残っているので、ここが付け入る隙になるのかもしれないな、とも思う。
ヴァイスマンの自信の盤面、どう動いていくか楽しみですね。

133名無しの囚人:2025/08/31(日) 22:52:12 ID:eFedXiEw0
第二回放送回でオリロワAが2050年と確定したので受刑者の生年まとめてみた
括弧内はオリロワZ時点の年齢→オリロワA時点の年齢(Zは27年前の出来事なので2023年)

1958:ルーサー・キング(65→92)

1985:ドン・エルグランド(38→65)

1997:バルタザール・デリージュ(26→53)

2002:アルヴド・グーラボーン、恵波 流都(21→48)
2005:大金卸 樹魂(18→45)
2009:ディビット・マルティーニ(14→41)

2011:氷月 蓮(12→39)
2012:ジェイ・ハリック(11→38)
2013:征十郎・H・クラーク(10→37)
2015:ジョニー・ハイドアウト(8→35)
2016:呼延 光(7→34)
2018:夜上 神一郎(5→32)

2020:無銘(3→30)
2021:メリリン・"メカーニカ"・ミリアン(2→29)
2023:アンナ・アメリナ(0→27)

〜オリロワZ本編以降〜

2024:イグナシオ・"デザーストレ"・フレスノ
2025:ジルドレイ・モントランシー、只野 仁成
2027:ヤミナ・ハイド
2028:フレゼア・フランベルジェ、舞古 沙姫
2029:ソフィア・チェリー・ブロッサム、トビ・トンプソン

〜ここから開闢の日前後〜

2030:並木 旅人、銀鈴、エルビス・エルブランデス
2031:ジャンヌ・ストラスブール、ネイ・ローマン、ハヤト=ミナセ、北鈴 安理、ルクレツィア・ファルネーゼ
2032:ドミニカ・マリノフスキ、内藤 四葉、氷藤 叶苗、宮本 麻衣
2033:エネリット・サンス・ハルトナ、鑑 日月、羽間 美火、ルメス=ヘインヴェラート
2034:ジェーン・マッドハッター
2035:葉月 りんか
2037:スプリング・ローズ、セレナ・ラグルス
2039:エンダ・Y・カクレヤマ

2040:交尾 紗奈
2044:アイ、メアリー・エバンス

134名無しの囚人:2025/09/03(水) 21:11:19 ID:iGYQ2WSw0
114.Red pine
僕はバルタザールが記憶を取り戻したことで行動方針がエネリット狙いになるのではないかと思っていたので、
スヴィアンという人間の謎や、祖国への復讐に焦点を当ててあらためて恩赦狙いであると打ち出すのは丁寧だと思った。
セルヴァインというキャラに新調したわけではなく、あくまでバルタザールというキャラの延長であることをあらためて示したのも細やかな言及だと思う。

バルタザールはハルトナ王国の王族らしく、俯瞰的な戦略眼が光る男。
甥のエネリットから説明担当を引き継ぎ、ヴァイスマンの意図を分かりやすく解説してくれている。
位置的にバルタザールがそこで待ち構えるの、やっぱりなー! ってなる、それはそう。
被検体Oから命からがら逃げ延びてきた受刑者を楽に狩る、あまりに王道の待ち伏せ。
ブラペン勢からすると災難すぎる。
かと思えば、次の話でキングが後ろから来てしまうことになったのでめちゃくちゃ笑ったんですよね。
バルタザール、キング、ディビット、エネリットと誰にとっても嬉しくない出会いなのほんと好き。

被検体Oの首輪については、それ自体がワナというのは確かにそう。
一方で、ブラックペンタゴンが大変すぎてそれどころじゃない気もするのもそう。
いま一番ポイント欲しがってるの、おそらくブラペンにいない日月ですからね……。
なんならワンチャンでバルタザールにポイントがまわるまであるかもしれないな、とか思った。

南西エリアに逃げ込ませたらそこ全部禁止エリアにしますよと釘が刺されていたり、
ここまで積み重ねてきてエネリットと出会わないなんてあり得ないと言及したり、
まあリレーだけどヘタに奇をてらわずにここは王道で行こうぜみたいな意図が汲み取れるのは好き。
体力を回復して悠々と待ち構えるバルタザールだけど、
キングをはじめとしてブラペンにいない勢も集まる可能性があり、思ったほど楽には行かないかもとも思えてくる。
このあたりの混迷ぶりもまた楽しみですね。

135名無しの囚人:2025/09/03(水) 21:13:49 ID:iGYQ2WSw0
115.WHATCHA GONNA DO?
キングは放送を聞いた後に動く理由がない。
ここに注目して、放送をスキップさせることでキングから自発的に行動させるようにする。この発想に膝を打ちましたね。
勝利条件がキング殺害から情報の取得妨害に変わったのもうまい。
キングの強大さはそのままに、ジャンヌたちの抵抗に確固たる成果が生まれている。
キングは未だに圧倒的なのに正義回ほどには旗色の悪さはなく、
試合に負けて勝負に勝った構図を打ち出し、いよいよジャンヌたちをキングにとって無視できない勢力へと引き上げている。
面白いです。


参謀役が紗奈なのは、そうだろうなと思った。
キングから劣化コピーのスティグマを刻まれて忸怩たる想いを抱いているだろうというのもある。
何より、彼女はヒーローを守るヒーローなので、自分たちが生きて帰れることには一番真剣そう。
りんかとジャンヌ、キングを討てるなら、誰かを守れるなら満足死しそうだけど、紗奈はそうじゃないもんな。
土俵にも上がれなかった彼女がキングに一矢報いること、痛快ですらある。


牧師と聖女がそれぞれトラウマを刻む。
ドンを殺したのが大金卸なら、まあしゃあないな、みたいな納得の境地に至っているのはちょっと共感してしまうのよ。
ジャンヌはジャンヌで、深い傷を負うことで想起されるのがキングじゃなくてルクレツィアからの拷問になっていて、こっちはこっちでお労しい。

ジャンヌってフレゼアでもジルドレイでも説得を一手挟むんですよね。
そんな彼女をガチギレさせているのは相当なので、面白キャラではあったけどあらためて巨悪だったんだなと思う。
ルクレツィア側はジャンヌに対してもブレないというか、ジャンヌを同類と呼ぶルクレツィア、アプローチがソフィアのときと似てるのよな。
やっぱり語らえる友人が欲しかったのでは? みたいな感触を抱いてしまう。
そしてジャンヌからのソフィア評はソフィア本人が聞いたらめちゃくちゃ気まずそうである。


描かれる世界情勢がすさまじくて笑いが出ちゃう。
まずエルビスのスーパースターぶり、めちゃくちゃびっくりする。
フィジカルの強さからして、ネイティブだと思い込んでいた。
補給なしでパフォーマンス落ちてないのは確かだった。
死んでからもお前そんなに強かったのか、で畳み掛けてくる男。
ダリアに手を出したマフィアがボロクソに言われてるのも納得しかない。

そしてルクレツィアが反撃受けて殺されなかったのはそのレベルの怪物が市場に並ばなかったから、というこれまた解釈の幅が広い種明かしがあって驚いた。
アイアンのメンバーとかジャンヌより強い怪物がうようよいたんか……ってなる。
王の子供たちとかいうロクでもない王子軍団、書かれてること見るとみんな強そうなのでビビる。
キングス・デイが世界を荒らして孤児を作り、その孤児がキングス・デイの尖兵として社会を荒らす永久機関が完成しちまっている。
第二のキングが登場すると言われていたり、キング一人で世界がヤバい。
キングの影響力があまりにでかいので、ローマンもエンダも日米伊も裁判所も軒並み株が上がっていく。
というか超力戦争心配する前に犯罪組織をなんとかしろ!


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