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オリロワA雑談スレ

1名無しの囚人:2025/01/26(日) 17:29:13 ID:IJm/JE0s0
雑談スレです

164名無しの囚人:2025/12/17(水) 22:17:58 ID:MdPmZVX20
番外1.嵐と魔弾
アンナもドンも悪役らしいマイクパフォーマンスがうまいですねえ。
序盤退場が惜しくなりそうな暴れっぷり。


アルヴドはだいたい一般人に毛が生えた程度の強さだと思っているので、その視点から見る二人の怪物ぶりに圧倒されてしまう。
というかドンの怪物ぶりが未だに描写される分、この男に一歩も引くことなく檄を飛ばすアンナ、頼もしい。
あとアンナのセリフ、語呂がよいので読んでて気持ちいいです。こっちまで高揚する気がしてくる。
悪逆非道なドンなら豚と断じても、まあそうだな……の感想にしかならないし、一方でドンはどれだけ貶されても豪快に笑い飛ばしてくれるので気持ちいい。
整然に粗雑、秩序と混沌、ドンとアンナは色々属性が逆であり、嵐の中の決戦という派手なシチュエーションもあって映えますね。

ドン、マグナムを口で受け止めるの、もはやオールドとかネイティブの枠外である。
歯で二発受け止めるのはだいぶ人間辞めててやばい。
でもドンならそれくらいできるだろうと思えるので、やっぱキャラ立ってるんだよなあ。
そしてこのレベルの野生的な戦い方、たぶんドンしかできないですよね。
樹魂やエルビスも無理そうで、二人とはまた違った方向での怪物描写になっていると思う。

アルヴドは生い立ちとしてアンナが大嫌いな気がするけど、戦いの相性は抜群にいいのが好き。
アンナの指揮でアルヴドが撃つペア、お互いに欲しいものを補い合うようなペアなんだよな。
相性自体もいいが、アンナを嫌うアルヴドに考える頭があるからこそなかなか解散できなさそうで、腐れ縁になりそうなペアで面白い。



番外2.駒鳥のコーヒーブレイク
静かで落ち着いた内装の喫茶店、木製の扉と鈴、一人だけの客、みたいなオーソドックスな情景だけれど、
ノスタルジックな雰囲気が漂っていて、二人だけの世界という印象があるんですね。
懐かしくて、静かで、どこか温かい。

美火と流都、どちらもヒーローに対して夢を抱きながら、そうではない現実に心を蝕まれた二人。
流都さんの力になりたいと、自分はヒーローなのだと、出かかった言葉を飲み込む美火。
そこに踏み込めるりんかとの決定的な違いであり、けれどそこが流都と通じ合う影を抱えたところでもあるんだよな。
ヒーローは好き、だけどちょっと嫌いというやるせなさと切なさが至らぬ者たちの傷を表しているんだな。

流都のコーヒーの味、本編通りの過去であれば、苦くないはずがない。
流都に寄り添うために美火が微笑んでおかわりをお願いするという行為は、
きっと彼の手塩にかけたヒーローがほんのわずかでも戻って来てくれるような心持ちになるんだろうか。
たとえ別人であっても、美火の向こうにヒーローの影が見えてると思うんだよな。
お互いに哀しみと辛い思い出を抱えていることを知りながら、敢えて踏み込まずに共感だけを残す。
どこかほろ苦くて、暖かい気持ちになれる一作だと思う。

165名無しの囚人:2025/12/17(水) 22:20:14 ID:MdPmZVX20
番外3.映画を見ましょう
もしもの世界線でも言いたい放題やりたい放題のルクレツィア好き。逮捕されてない世界でも面の皮が厚すぎる。
この二人ボケとツッコミを綺麗に役割分担できるので、書いてて楽しいんだろうな。

どうせロクなこと考えてないんだろ? と釘刺すと正論で返してくるパターンと、
疑問を引き延ばして引き延ばして予想通りのロクでもない理由を返してくる二つの黄金パターン、今回も洗練されてて好き。
ソフィアもおかんみたいなこと言ってるので、なんだかんだで仲いいですね。

誘っておきながら速攻で寝落ちするルクレツィアと、175分も興味のない映画を見ながら問いかけを課しているソフィアにめちゃくちゃ笑ってしまう。
ローマの休日を見た回数、この言い方からするに二回や三回じゃないだろうし、見るたびにルクレツィアの変な性癖をインストールされたんだろうな。分かりますよ。


感想を求めるルクレツィア、『感想』の文字が左上と左下と右に太文字で書かれてそうである。聞きたいのですね感想。
感想を語らせることでソフィアにソフィア似女優主演のポルノの映画を実況させる、やることのレベルが高い。
映画じゃなくてそっちが主目的なんでしょう? 分かりますよ。

真に心を許せる友人ができたことで、本人の気持ち的にも、家族関係にも人生が変わっているんだろうな。
一方でこの世界のソフィアもアビスに収監された村焼を経験しているのなら、彼女の虚無がルクレツィアという友人で埋まったのかな。
なにしろソフィ呼びを許している仲なので、シドーくんの傷もある程度は癒えたのかもしれない。
使用人の描写を見るにルクレツィアの悪癖はまだ続いていそうで、本編と同じ闇深さは垣間見えながらも、それでも幸せそうだなあとは感じますね。



番外4.JUNK ROSE
登場人物全員悪人。ローズだけじゃなくて、イースターズも組織の人間も店主も傭兵も、悪いヤツしか出ていない。
欧州ストリートチルドレンのグロテスクな搾取構造がつぶさに描かれていて、読んでいてだいぶ気分が悪くなる一作。
悪の根源である男をパパと呼び、愛を求める子供たちと、愛なんて得られるはずがないと達観しているローズの様子とで心が痛くなる。

どれほど成果をあげても搾取からは逃れられない、命を使い潰されるためだけにある子供達。
報酬は麻薬であり、住居は貸付で組織に依存するしか道がなく、ダメになった仲間は被験体として引き渡す。
未来もなく、仲間すら売らなければいけないような地獄にローズは帰ろうとしてたのかと思うとやるせない。


強くなったはずなのに身体も心も蝕まれて壊れていく。
欧州最悪のネイティブ・ギャングが、組織の下っ端に侮られて何も言い返せない。
大人にも神にも縋れず、唯一縋ることができるのはイースターズの看板だけ。

> 「――――アタシたちは“イースターズ”だ!!!」
この高らかに吼えるシーン、泣いているように聞こえるので、だいぶつらいものがある。
誇り高いはずの名前が虚しく響いていて、悪童の仮面の下でずっと涙を流しているようなやるせなさがある。
ロイドに愛を教えられて、自分を愛してやれよと安理を励ましたローズは、既に自分を愛せなくなっているという構造が残酷だなあ。
この世界は間違っているという根底のフレーズが明確な形を持って浮かび上がってくるように思う。

すべてを捨てて本条の家族になったローズをもう一度読み返してみると、それでよかったんじゃないかなあ、みたいな感想に落ち着いてしまう。
当時は悍ましい在り方な気がしていたが、彼女にとっては泡沫の夢だったんじゃないかとも思えてきてしまいますね。

166名無しの囚人:2025/12/24(水) 22:58:01 ID:NXc/FPYA0
140.REMATCH
ブラックペンタゴンからついに離脱者が現れて、祭りのあとのような寂しさがある。
一時協力と協力関係の解消も相まって、一つの大イベントが終わったんだなという実感がある。
Zの研究所離脱のときもそうだけど、大施設の役割が終わってフィールドに出る局面って、物語が佳境に入った感じがあるんですよね。

最初の離脱者である征十郎とギャルのコンビ、本当にどこまでも自由な二人だよなあ。風のような二人だった。
このブラックペンタゴンで呪縛から解放された彼らが脱出一番乗りなの、すごい納得感あるんだよな。


協力関係も終わったので各々の因縁が顔を出してくる。
ジョニーへの根回しについて、バレてたのか、と仁成は言ってるが、彼がお節介なのを知らないのはローマンたちだけなんだよなあ。
仁成はジョニーにある程度の匂わせはするだろうと理解して、その上で黙認できる関係性好き。
そして仁成ならクリティカルなことまでは踏み込まないと確信しているところ、一種の信頼が垣間見えるんだよな。
恨みを捨て切ることはできないエンダだけど、それでも一触即発で停止できるくらいには穏やかになってるとも言えるのかもしれない。
一度でも共闘すれば戦友、みたいな概念はなくとも、共闘すらできなかったエネリットの針の筵感を鑑みるとそんな感じがする。

エンダの恨みをしっかり自分ごととして受け止めるジョニー、やはり現実を知る成熟した大人の有りようが見えていいですね。
話を遮らない、言い訳をしない、誤魔化さないと誠実さに好感を覚える。
同時に、彼にとってはこういうことは決して初めてではないんだろうなというのもわかるんだよな。
神一郎への伝言を引き受けるのもそうだけど、相容れない相手でもきちんと筋を通す在り方は好ましく、裏社会の顔役とか調停役ができるのも納得する。


そしてエネリットに孤独の相が見える。
彼はしっかり自立できているキャラクターだと思っているのだが、読み手側・受け取り側としては思った以上にパートナー喪失の影響が大きいらしい。
ギャルに詰められ、エンダにもそっけなく斬り捨てられるエネリットに世知辛さが漂う。

彼の超力は信用を前提とする以上、ここで他者からの繋がりが切れるのは痛い。
情を他者との関係性に持ち込まない彼が信用を得るためには誰よりも実績が求められるので、被験体討伐作戦で不参加に終わったのは痛いですね。
彼の立ち位置は盤石に見えたために、思ったよりも不安定になってて衝撃を受けている。
これからパートナーシップに頭下げに行くエネリット、さしづめ失敗プロジェクトの責任者っぽさが漂う。ディビットがいたらタバコくれそう。


そして安理がエネリットの基本方針とは逆の位置にいるように思うんだよな。
彼は実績ではなく感情面から信用を得るタイプだな、と思う。超力もそんな感じなのでいい感じにパーソナリティにマッチしていますね。
秘匿コンビ、アイアン、ジョニーと安理はどこに着いて行っても気にかけてもらえそうである。
悪党たちは意外と情に厚いヤツが多いですからね。ディビットとエネリットのほうが少数派かもしれない。

ローズとローマンの関係性、宿敵と書いてライバルと読む関係そのものだよなあ。
番外編4を読むとローズの歪さの解像度は高くなるのだが、その在り様は決して認められなくても、認めるところはあるという関係性は好き。
ハイヴ討伐のときなんか背中合わせて戦ってそうだもんな。
そして、安理はローマン評を否定せずにローズという人格の一つの切り口と考えて、彼女への人間的な見方を深めていくのもいいですね。
安理自身、同一人物とは思えないくらいに変化してるし、イグナシオみたいに二面性を持つ恩師がいるしで、このあたりに疑問を持つことはないんだろうな。
逆にローズから見たローマン評も気にはなりますね。
気に入らないところがたくさんありそうだけど、認められないところも色々あるんだろうか、みたいなことは思ってしまう。

167名無しの囚人:2025/12/24(水) 23:03:48 ID:NXc/FPYA0
141.パピヨンへの手引き
この話、原点回帰みたいなところがあってすごく好きです。

タイトルのパピヨン、たぶんそうだろうと思ったがやはりだった。トビの胸に蝶のタトゥーがあるのかもしれない。
被験体が直接ぶっ飛ばされて仕事のなくなったトビ、どう動かすのか想像もつかなかったんですね。
ブラックペンタゴンは被験体が排除されたら開きます、は、なるほどそう来るかと思った。


最も生き延びる可能性が高いが故に、重要な情報を持たされまくる男。
このロワ、ジャンヌみたいな善玉は善玉故に打倒主催を目指さないので、脱獄王が対主催筆頭になるというのがなんか面白い。
それぞれの思惑通りに色んな情報が統合されているのは宿命みたいなものなんだろうなあ。
今のこの状況を楽しむ気概があるトビ、我欲で生きているのになんか好感度が高いんですよね。

そしてキングの弱みがここ数話で明るみに出たのも相まって、
窮地を笑い、未知に挑み続けるトビの大悪党ぶりがあらためて浮き彫りになっている。
大悪党ぶりの表現が、窮地に笑うという登場話で書かれた彼のパーソナリティに回帰しているところ、キャラクター設定のピックアップが非常に上手いと思います。
加えて、ヴァイスマンとトビは宿敵のような描かれ方をしていたのだが、
ヴァイスマンも既存の秩序の在り方でこそ輝ける人間だと思うので、トビとの対称性があらためて強化されるのもいいですね。


ヴァイスマンらしくない采配に対し、より上の意志があるという既出の推測。
ここに追加して、ヴァイスマン自身が翻意を持っていると言う推測。
一つの物事に対して別の側面から二つ目の意味を見出すのは好きなんですが、今話はまさにそんな話だった。
主催側に翻意者がいるのはロワ全体だとあり得るのだが、これまでの過去の描写を拾い集めてそちらの可能性を示唆するのは、リレーが巧い。
読み手としても、所長のことを知っているので、ここにもう一つの意味が付与されるのは死角だったように思う。
ヴァイスマンはトビを三階にまで誘導した節があるので、あらためて今回のことを踏まえると色々意味が見出せそうなんだよな。
そしてヴァイスマンもまた世界を出し抜こうとする大悪党だと示唆することで、登場人物全員悪人のフレーズに回帰する。
あらためてリレーと布石の回収が巧いと思いました。

168名無しの囚人:2025/12/24(水) 23:04:35 ID:NXc/FPYA0
番外5.MAGIC
王道の番外編って感じの活躍話が来たなあ。
大都会の深夜で繰り広げられる大捕り物、めっちゃ楽しい。
王道ものの怪盗ものだけど、突入コンマ数秒で警備員が掃射してくるこの世界、やはり治安が悪すぎる。

ヘルメスも沙姫も、アビスに入れられるだけあって上澄みの犯罪者なんだなあというのがあらためて描き出されている。
専用BGMかかってそう。なんというかノリノリで生き生きとしている。
刑務だとメアリーが相手でその能力を活かしきれなかったけど、自分の領域となれば無比ですねえ。
普通にステゴロも強いなこの子。
劇のような気取った口上と見映えのある鮮やかさで敵の警備員を次々と無力化していくヘルメス、かっこいいです。
彼女もとびきりバッドな状況で笑い続けているので、悪党なんですねえ。


> 「お前は、一体……ッ!!」
これをちゃんと言ってくれる警備員、お約束を分かっている。
> 世界の“絶望”を盗みに参りました。
の口上が99話で非常に印象深かったので、今回も彼女の決めゼリフになっているのがとてもいいですね。


沙姫のこの立ち位置は想像だにしていなかったけれど、怪盗ものの協力者に凄腕のハッカーみたいなポジションがいるのは確かに王道かもしれない。
通信上でしか会えない正体不明の凄腕犯罪幇助者、これは確かにアビスに入れられるだけの大物ですねえ。
ドッペルゲンガーというぴったりな二つ名があるのが好き。
こんな大物、そりゃキングも名前知ってるわ。
二つ名と言えば、ワールドオーダーが名前負けしてないのがなんか面白い。

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170名無しの囚人:2026/01/07(水) 22:46:19 ID:UjKdZUrg0
142.ラストスタンド

のっけにデデーーンと各々の懲役に二つ名、目的が紹介される。最終局面!って感じで、いいですねえ。
最大の巨悪が懲役も目的も壮大さからかけ離れているの、やはり異質感がある。
ヤミナはもう第四の壁を破ってるな、たぶん彼女の超力のレアリティは随一だと思っている。
ジェイあたりが持ってたら手に負えない超力だもんなあ。


安理はこの中で最も未熟でカタギに近い立ち位置のキャラクターなんですが、
彼が素直な気持ちで動くことが、それぞれのキャラクター性を引き出せるんですよね。
安理はキャラクターの立ち位置と関係性の掘り下げに一役買っていると思う。

安理が狼狽える中、ビシッと戒めて引き締めるローマンは、まさに群れのリーダーなんですよね。
言葉遣いこそきついけれど、メリリンや仁成に、"ここは俺がやる"としっかり目くばせしてるのがとても好き。
厳父の優しさが見えるんですよね。
これにしっかり応えて踏みとどまれる安理、誰からも好かれるヤツでしょう。
優しさに、厳しさに、導きのすべてが備わった、温かいチームだよなあ、と思う。


安理を中心にした交流が描かれているからこそ、ここからはじき出されたエネリットがとても労しい。
民心を得られなくなったことを察して、優雅に最後の一礼を見せたりするところで、かろうじて王子としての矜持を保っているの、すごい味があるんですよね。
エネリットは色々腹黒いことも考えてはいたけれど、間違いなくがんばっていたので、孤独で終わることに一抹の哀愁がある。
そして、この話における彼の立ち位置が、『ルールの枠組みで動く者』という、結託における異分子側となっているの、やはりどこかやるせなさがあって、ほろ苦い余韻があるんですよね。


ブラックペンタゴンの罠を食い破ったところで、脱獄王が満を持して現れて中心となる。大きく話が動きましたね。
トビこそが悪童をまとめることができるという構成、やはりうまいし気持ちいいんですよね。
監獄における脱獄王の意味は小さくなく、この看板の意味を最も効果的に使えるところで見事に当てはめてきたのは痛快ですらある。
その一方で、脱獄の道筋が用意されていたことに敗北感を抱くという相反する感情が描写されていることで、一際深堀がなされているんですよね。


対アビスとして動いてきた秘匿の二人と、イグナシオ・ルメス・サリヤのそれぞれから想いを受け継ぐ三人を、脱獄へと引き込む。
これまでのリレーのいくつものルートが、大きな一本に束ねられたような印象。
もうすぐ終わるんだなという余韻が感じられるんですよね。


エンダが人を愛せるようにと願うささやかな想いもまた、心に響く。
そして、安理がそれを託せる信頼に足る男となっている、というのも感慨深い。
彼、こういう真っすぐな思いを正面から受け止めてくれるので、やはり読んでいてとても気持ちいいのだな。


ピンボールと化したキングはやっぱり笑ってしまう。
とてつもなく大胆である、とは明示されていたけれど、死角からぶん殴られるような笑撃だったw
この話が投下されたときにちょうどバルタザール書いてたので、鉄球という文字だけ見てバルタザールが来たのか!? みたいに思ったりしていた。
キングと被験体という、北西・南東ゴールのラスボスたちが現れて、ビシッと話が締まる。
わちゃわちゃしながらも、大きく進展して面白かったです。

171名無しの囚人:2026/01/07(水) 22:47:42 ID:UjKdZUrg0
番外6.ある囚人とGPAエージェントの話
色んなキャラが出てきて、ドリームチーム感のある番外編だなあ。
アビスの囚人が秩序側と反秩序側に分かれてる。いやあルクレツィアは反秩序側でしょw
流都や士堂が救われてる一方で、この世界じゃローマンとメリリンはくっつかないんだな……。

ソフィアとルクレツィア、どんな世界線でも彼女らのボケツッコミが冴え渡っていて、もはや伝統芸能と化している気がする。
悪党ボコボコにしすぎてジャンヌに通り魔扱いされてるの苦笑いするしかない。
トライスターには平和のままでいてほしいですね……。

相変わらずルクレツィアは露悪的なのだが、これを秒でしばいてくれるソフィアは本当に芸に真摯である。
彼女のヘイトコントロールは間違いなくソフィアが担っているので、作劇上は似合いのコンビなんですよね。
その在り方も含めてルクレツィアの管理ができるのはソフィアしかいないんだわ。
その本人、士堂と引き離されてキレまくってるの好き。

猟奇趣味なので巨悪と化しているのだが、ここを取り除くとギャグ時空の住人だなあ。
いくらしばいても復活するあたりも含めて。
結局やらかしまくって、乃木平が頭下げまくるハメになるの、草生える。

そしてこのアビスドリームチーム、別にルクレツィアだけが際立ってひどいわけではないのがまた困惑する。
フランスにイギリスとこってり絞られてる乃木平は絶対テスト運用に後悔してると思う。
相変わらずの面の厚さと読者に波及する困惑具合、二人の成分補給って感じの番外編でしたねえ。

172名無しの囚人:2026/01/14(水) 19:50:36 ID:cXltLRVY0
143.報いて報われ報いを受ける
アイズ回の「ばーか」については、「私に美しいとか言ってるが、りんかはもっと美しいんだぞ慄け!」みたいな意味で受け止めてます。
僕は既存の世界観に個人を接続するのが割と好きなので、彼ら彼女らのルーツはだいぶ筆が乗ってます。

りんかの人生は悲惨ながら、恩人も非常に多い。
『この世界は間違っている』の別解に『それでも私はこの世界が好きだ』という回答をあて、これを以って紗奈の呪いへの回答としました。
登場人物全員悪人でありアビスの囚人は欲望を抑えられないので、これを我欲と傲慢さと規定し、悪党の際限なき欲深に繋げるのはアリかな、と。
その第一歩として、直接の復讐相手であるバルタザールの救済をはかるのはマストだろうと考えています。

彼女の特殊性については、53話で葉月家の母親が複数超力や超常的な存在の研究をしていたので、空白化していた過去を逆用して繋げています。
オリロワZ生還者の珠の例と、あとキャラシにイシュルーンってキャラがいたので、この辺から繋げてます。
彼女は母体に刻まれた記憶が残っているようなので、両親がいて幸せだったというかろうじて残ってる唯一の過去描写も、記憶の残滓であるという解釈で整合性取れそうだと。
またりんかの超力は非常に多芸で幅が広いのですが、第二形態に至ってないようなので、ノーブル母体候補ルートに繋げました。
実際は子宮が壊れ、彼女からノーブルが生まれることはもうないわけですが……。

バルタザールの内面的な掘り下げは、最終フェーズ前にやっておきたく。
紗奈への態度を見るに、憎悪する大衆と個人を切り分けられるっぽいので、実は復讐のスコープを見失っているのでは、と。
実は悪いヤツではないよ、の結論にするとエネリットの感情が宙に浮くので、過ちは過ちとして、報いを受け止めざるを得ないわけです。
バルタザールの喪失した腕と、りんかの負傷してない腕が当てはまったときに運命じみたものを感じました。
どちらもバルタザールが起点となった負傷であり、因果応報。美しいですね。
バルタザール自身が怒りと憎しみで王道を見失っているので、色々と味が出るかな、と。
なお、戦闘にてハイ・オールド全開だと反動で禁止エリアに取り残されかねないので、意識的に出力を抑えてます。
なので技巧に寄っていて、鎖の本数も少なめなんですね。


ジャンヌについては、今回はりんかを見守る立場に据えて、一歩引いた立ち位置にしています。
バルタザールへの先行パンチ、デバガメギャルたちへの対応、紗奈の弔いなど、徹底して前座と裏方です。地味に超力の技量が上がってますが。
彼女がいると弔いの儀が厳かになるのはありがたかったですね。

苦戦したのはやはり、元のバルタザールが高潔だと、なんでエネリットをアビスに入れたんだとなるので、そこのバランス。
あと、りんかの説得が説教くさくならないようにすること。
りんかの説得は正論ではなく、願望比重が大きくしてます。姉妹に特別な想いを抱く彼女は、弟を恨む兄を殊更に哀しいと思うはずなので。高揚してるなら、差し出す腕を自然と間違えるもありかな、と。


ギャルと征十郎、最初はジャンヌをブラックペンタゴンに突入させる予定で予約したのですが、全員掃けたので役割変更。
虚無に塗りつぶされた人間に、寄り添って手を取ってくれる人間がいたらという、りんかの手を掴めなかったバルタザールに対するIFの暗喩ですね。
ギャルも手首を失っているのでちょうどいい。
りんかの目指す世界はあのギャルですら救われうる世界で、道のりの過酷さを再認識させる存在でもあり。
ですので、今話において、彼女らは生を謳歌していないといけないわけです。
まあ小難しいこと考えずにイチャイチャしてるな、でいいと思う。
格付けはしたくなかったので勝敗は書いてません。
フレゼアへの先のたじろぎはこれで清算、それ以上の本気で決着付けるのは浮気だとおもってます。

173名無しの囚人:2026/01/21(水) 19:25:13 ID:L6p9WFv60
>>157
個人的見解で超力5段階評価、続き
第3回放送前、残りの退場者達+α

『支配と性愛の代償(クィルズ・オブ・ヴィクティム)』
使用者:交尾 紗奈
評価:D
自身の拘束部位に応じて、相手の同じ箇所に物理法則無視のダメージを与える。
発動時には相手の性欲と支配欲を煽る姿を見せる必要がある。
写真や映像の類いでも効果を発揮する。

理論上はメアリーの領域すら問答無用で突破して彼女に直接ダメージをブチ込めるという凄い代物。
いかに新人類と言えど防御無視の四肢破壊ダメージを叩き込まれれば当然重傷となるので、攻撃力の理論値は群を抜いている。
しかし超人戦闘がデフォの作中世界において「その場で服を脱ぐ→手錠を付けて拘束状態になる」という面倒な予備動作が致命的。
初手から殺しに掛かられたらどうしようもないうえ、そもそも相手が性欲や支配欲を抱かなかったら敵前で無防備を晒すことになる。
そして本体のカラテが無ければ不発からのリカバリーが出来ない。バルタザールとの初戦でも紗奈はその弱点によって追い込まれていた。

実戦で役立てるためには、常時全裸・常時手錠を付けたままで戦えるだけのカラテを鍛える必要がありそう。そこまで周到に準備しても効くかどうかは分からないが……。
写真や映像でも効果を発揮するのは間違いなく凄まじいので、収監前の経歴よろしく戦闘よりも通り魔的なトラップとして駆使する方が効果的なのだろう。


『繋いで結ぶ希望の光(シャイニング・コネクト・スタイル)』
使用者:交尾 紗奈
評価:B
紗奈の新フォーム、もとい新たな能力。
変身による自己強化に加えて、光のリボンを自在に生成・操作して戦う。

中距離戦と戦闘補助を兼ね備え、更には超力封じ効果を持つリボンが付加価値として非常に優秀。
拘束力も相手の加害性に応じるので、初期能力と比較して戦闘での有用性・汎用性が格段に増している。
そして何より優秀なのは、この中距離リーチのデバフ能力とフィジカル自己強化を両立させていることである。
例えば樹魂がこのリボンを使いながら相手をぶん殴ってくる様を想像すれば、いかに強力なシナジーなのかが分かるだろう。

超力性能の優秀さに対し、途中まではあまり目立った強さが見られなかった。
本体の戦闘経験値の乏しさが否めなかったものの、ラストバトルであるバルタザール戦ではリボンや体術を駆使して決死の活躍を見せた。
ラストバトルでの卓越した応用範囲を見るからに、間違いなくポテンシャルの高い超力である。


『神の目』
使用者:夜上 神一郎
評価:E〜D
対象の嘘を見抜くことができる。
相手が嘘と認識していない事柄には効果を発揮しない。

あくまで交渉や駆け引きに特化した能力かと思われたが、戦闘におけるフェイントやブラフを見破ることも出来る模様。
戦闘で明確に使用された場面は殆ど無いが、神父は「目の良さ」で銀鈴の攻撃を捌き切っている。
対キングにおいてもエネリットの超力譲渡でディビットの射撃精度が補正されたので、視力強化として一定の効果はあるのだろう。
とはいえ被検体に対しては手も足も出ずに敗北しているので、あくまで補助的なレベルに留まると思われる。


『超力喰い(ネオスイーター)』
使用者:サリヤ・K・レストマン
評価:推定B?
サリヤの第二段階超力。
他の超力を吸収し、自らの力へと変える。
作中では人格弾として射出された際のみ披露した。
サリヤの超力の性質からして、通常時も指鉄砲による発動として解釈。

敵の超力を攻防問わず減衰させ、更には吸収によって自身の火力を際限なく引き上げる。
作中ではキングの鋼鉄すら喰らい尽くせることが言及された他、第二弾階ローマンの超力と互角以上に拮抗していた。恐らく通常ローマンの火力なら押し切れた可能性が高い。
超力戦闘がデフォルトになってる作中世界観では問答無用のアドバンテージを持つ。

超力無効化という点ではある意味ソフィアの超力に近いが、無効化した分だけこちらの火力を上昇させるのでより攻撃に特化している。
ただし超力以外の攻撃には完全に無力とのことで、火器で武装した相手にはジリ貧となるか。この点でもソフィアに近い。
仮にこの超力が弾丸への効果付与ではなくソフィアのような自己バフであるならば、もう少し評価は変わるかもしれない。

174名無しの囚人:2026/01/22(木) 00:08:32 ID:pkhyjxNk0

144.夜が来る
モノローグからして、いよいよ最終章突入ですよ、という気配に満ちている。
フィールドのBGMが変わりそうだ。

転がるだけでも面白いのに、分裂までやり始めるキング。
千載一遇のチャンスを逃すものかというローマンの必死さに対して、おちょくってるようにしか見えないキング。
なりふり構わない感じが出ていると同時に、正装でパリッと決めていた大物から威厳や威圧が剥がれ落ちているようでもあり、
キングも追い詰められてるんだなあ、という印象も持ちますね。

理屈よりも感情側に寄りがちなメリリン、常に他者の気持ちを慮って各々の反応を引き出す安理、
そして仁成の言葉を受けて少しだけ在り方を変えたエンダ。
エンダたち三人、短いながらもこれまでの積み重ねの延長として描かれている。
この面子だとエンダがリーダーになるんだな、というのがちょっと新鮮でしたね。
ただ、彼女らは完全に非戦闘員なので、キングに出くわしたらどうなるのかはなかなか不安なところ。

小屋攻略組はチームの中でも特に安定している印象。
呉越同舟ながらしっかり結束できていて、頼もしい。
脱獄王任せきりではなくて、それぞれが主体的に思考して、言葉にして動けるというのは強いなあ。
トビ・ジョニー・仁成はそれぞれに求心力のある人間なので、安心して読める集団になってる。
ブラックペンタゴンでは浮いていたヤミナもここで役割がしっかり定まって、チームとして盤石って感じですね。

ゲーム履修してるタイプの人間なので、ギャルと征十郎の会話は、ラスボス前のキャンプの会話に見える。とてもエモーショナル。
二度目の対決で二人とも生き残ったとき、二人がこれから何するのかまるで見えなかったので、ここまで味のあるコンビに仕上がってることに感慨深くなる。
心から生を謳歌して、二人きりで誓いの言葉を立てるシーンがとてもよい。
二人の関係はほぼゴールインなので、あとは純粋に結末が楽しみですね。

蓮と日月は、未知、みたいな立ち位置かな。
日月とジャンヌは因縁があるけれど、位置的に遠いので、どう絡んでいくのか、みたいな感覚はある。
それにしても蓮はジョーカーなので刑務者の位置が分かるということ、全然気付かなかったです。

各チーム、関係性を育んでいく中で、孤高・孤独に落とされたエネリットとバルタザールが異彩を放つ。
ジャンヌやりんかとも手を切り振り払って、何人たりとも立ち入るべからずの境地に至ってしまったなあ。
最初からそのつもりだった、と言っているけれど、だいぶ労しい感じが出ている。
叔父と甥は復讐者同士であり、唯一ここだけが繋がることができるすらある。
通信越しについに接触した二人、ここも決着秒読みかと思うと、しっかり見届けたいですね。

175名無しの囚人:2026/01/22(木) 00:11:07 ID:pkhyjxNk0
145.第三回定時放送
ミリルの価値観はだいぶ共感できて、現実感がないのでアビスの業務に適合できる、なるほどなあ、となる。
アビスの刑務が本当に彼女の超力に依存しているということも判明したので、
仮に囚人たちが脱獄するとなると痛い目を見る可能性も高そうなんだよな。
ダウナーな口調や荒んだ食生活も相まってものすごく不健康そうで、この看守先行き不安だなあ、みたいなことを思ってしまった。

スヴィアンとマーガレット、どちらもそれなりに存在感はあったので、本人が登場するのがラストなのは割と意外ではある。
ただ、エネリットとバルタザールがついに激突するので、その前振りとしてもタイミングはここしかない、というのもそうかも。
二人とも境遇上とても湿っぽいので、カラッとしたおばちゃんがアクセントになっててよいですね。


ABC計画、だいぶロクでもなくて笑いが出る。
外部からの侵略者がいないのにディストピア作るのはなかなか民度が終わってますね。
元の世界を放棄するんじゃなくて、牧場みたいに維持するあたりにロクでもなさがプラスされる。
天は賛同しなさそうな気はしてたけれど、秩序の敗北であるからこの計画に賛同しない、という視点はなるほど〜と思いましたね。
そして、秩序側であるが故に正道で議題を通し、秩序の再構成であるが故に米国を引き込める余地があり、
アンダーソン看守部長をこのパイプ役に持ってくるのは着眼点がうまいなあ、と思っています。

蒼光がGPA側の牽制であるというのも意外だったのだが、アビスを単独で制圧できるというのもだいぶ意外。
エルビスとか大金卸みたいな怪物相手に本当に勝てるのか……? みたいな疑念もないわけではないw


異世界追放計画自体は個人的に少し予想はしていましたね。
ABC計画やるくらいに民度がどうしようもないなら、選別された人員の中に裏社会の関係者くらい入り込むだろうと思っていたので、逆に悪党を追放したほうがよくないか、みたいなイメージでした。
ただ、この計画をさらに規模を大きくしたアビスであると定義付けたのはさすが、という感想を持っています。
そして最凶の囚人による脱獄を叩き潰すことだというアビスの目的、非常に分かりやすくて好きです。
アビスという組織の在り方、看守や所長の思想、すべて一貫していて、物語上の敵役として完成度が高い。
これによってアビス VS 囚人というマッチングが俎上に上がってきたので、いよいよ盛り上げてきたなあという印象です。


今回の放送もヴァイスマンの性格の悪さが存分に出ていますねえ。
禁止エリア、爆破されるまでにギリギリ中を確認できそうな位置にあるので、希望がちらついていて大変いやらしい。
あと、全然気付かなかったんだけれど、蓮にも現在位置が分かるのは死角だったなあ、と思う。
それ分かった上で放送を読み返すと、あらためてヴァイスマンの性格は悪い。
公平を期すと言いながら隠し事してるの、本当に性格が悪い。

> どうか、己が罪と向き合う有意義な時間を。

> どうか――最後まで、存分に足掻きを見せてくれたまえ。
ここ、ついに本性を見せたアビスを象徴する台詞になっていてとても好き。

176名無しの囚人:2026/01/22(木) 00:13:42 ID:pkhyjxNk0

146.ブルース・イン・ザ・ナイト
先の話で、脱獄自体がヴァイスマンの掌の上なんじゃないかと考えて、トビは落ち込んでたのを覚えてるんですが、ここに来てどうもそうではなさそうだと。
生き延びられる可能性自体は減ったのに、むしろ活き活きとしだすトビが魅力に溢れているなあ。
たぶん彼は今話でずっと不敵に笑っているんですよ。

彼らが渇望する勝利への道筋の有無についても、仁成の体験と未完成品のシステムB・Cという面から説得力を補完してきたのがうまいと思う。
先の被験体自体が実証実験であり、仁成はその時も同じ意見を述べているので、今回の言い分はすんなり腹に落ちる。
トビがテスト要員として駆り出されたという以前の言及も相まって十分な説得力がある。
それから、第三回放送による目的地の禁止エリア化。
禁止エリア化まで2時間という絶妙な時刻、エリアギリギリに位置する目的地と、脱獄への僅かな希望が絶妙に見えるんですよね。
アビスが深淵だというなら、本当に蜘蛛の糸のような希望である。
首輪爆破か出し抜くかのチキンレースが始まっている印象で、ちゃんとアビスと囚人の静かな戦いが始まっていると分かるのがいい。


最終章は囚人対アビスなので、章一発目が脱獄チームの四人による結束というのは象徴的ですね。
名作にあやかってオーシャンズというチーム名を付け、名乗り出すという行為が、象徴として非常に強い。
過酷な環境で軽口を叩き合える関係自体が尊く、思わず応援をしたくなる。
あと、ジョニーとトビは粋を理解するキャラクターとして描かれているんですが、それ以上に彼らのノリがとても男子高校生なのが好き。
会話盛り上がってるところでナメたこと言い出したやつに飛び蹴り食らわせるようなノリ、ヤミナには悪いけどとても微笑ましい。
仁成がこの会話にあまり参加できないの、ある意味で彼がどういう悪全体の中でのどういう悪なのかの立ち位置を示しているようでもありますね。


旅人によるメアリーの超力強化が人知れず会場に影響を及ぼしていた、そうきたかって思った。
確かに、ヴァイスマンは放送の時にここに注意は向けていましたからね。
序盤も序盤に脱落しておきながら、要所で底知れなさを見せつける旅人、後からの描写で独特の立ち位置のキャラクターになっているなあ。
『世界の管理者(ワールド・オーダー)』を作るための試みが『革命家(ワールド・オーダー)』によって覆されるのは非常に皮肉が効いていて好みです。
管理者と革命家で、同じ読みなのに真逆なのは奇跡の産物だと思うんですが、うまく拾ってきたなあ、と思っています。

177名無しの囚人:2026/01/29(木) 00:07:20 ID:H2mPMh/Q0
147.巌窟王
確かに、エネリットは王家が滅んだことにあまり憎悪を抱いていないような印象はありました。
彼、アビスの申し子と呼ばれる程度には自由に動けているし、看守からもそれなりに情は受けているので、復讐を決意するほどの憎悪なのかは分からなかったんですよね。
赤ん坊のころの記憶が刻み込まれている、あたりが動機なのかな、と思っていたので、
『何もやることがないので復讐する』という動機には本当に理解が追い付かなかったです。

セルヴァインとグランゼルの兄弟は、対称的ながらも人間味に溢れた二人として描かれてきたので、
その後継がこれほど空虚な存在だというのは、なかなか衝撃が強かったです。
今も個人的には言語化できないのだけれど、エネリットにとってアビスはゆるブラックみたいな概念なんだろうか。
アビスの囚人である以上、研鑽に努めても真っ当に活かせるところがなくて、唯一自分だけができそうな特別なことが復讐だったのかな、みたいなことを思ってしまいますね。
その点、バルタザールとエネリットは、動機こそ違えど復讐の道しかなく、そのために研鑽を続ける、というあたりでなんか似ているのかもしれない。

今作でのエネリットの描写、なんかヘイトコントロールがうまいな、って思ったところがある。
バルタザールはここ数話で人間味がどんどん染み出してきていて、人間性が分かりやすいので、感情移入も彼のほうにしがち。
復讐動機の軽薄さに加えて、叔父を信用させてからの裏切り、スヴィアンの尊厳の蹂躙、もう存在しない国家に復讐しようとするバルタザールへの嘲笑と、今話ではエネリットはだいぶ悪辣。
ただ、復讐鬼キャラとしてつぎ込んだリソースはまったく劣っておらず、彼なりに真剣だったのも分かる。
戦況を掌で転がしていたわけでもなく、むしろ毎回賭けに勝ってますからね、彼は。
あと、全部を終えた後に寝っ転がる年相応の姿があまりに素であり、完全には憎み切れないところがあるんですね。
これら全部ひっくるめて、エネリットというキャラは独特のキャラクター性を築いてきたなあ、と思うし、
これが悪人だと言われると、なるほど……と納得する部分もある。
あと安理やりんかを連れて行かなかった理由については、これ以上ない納得が得られました。


バルタザールは当初の怪物性が完全に剥がれて、あとはゆっくり休め、と言いたくなるようなキャラクターになりましたね。
信頼を踏みにじられるタイプの裏切りを二度も食らってしまう彼、なんか割と気の毒になってくるわけです。
強い憎悪に囚われているキャラクターだけれど、裏を返せば彼は純粋な人間性なんだろうなと思っています。
理性を失った彼の目に映るのはグランゼルの姿であり、脳が崩壊して最後に残ったのはグランゼルへの謝罪だったことに、彼の根底と後悔が垣間見える。
最期は存在しない手を引かれて天に昇るという演出には心揺さぶるものがありました。

そして戦闘について、エネリットのあの複雑な超力をよくぞここまで使い倒したなあ、と感嘆するものがあります。
信用を積めば敵から徴収できるというのは膝を打ったし、死者からでも徴収できるというのは予想外。
これまで激戦に身を置いてきた真の目的が、ハイオールドを倒すために超力を調べ上げるためだというロジックも非常に理にかなっている。
何より、彼のこれまでの軌跡がまったく無駄になっていなかったこと、過去の描写の回収がとてもうまくて唸らされるわけです。
本当に、今話はエネリットとバルタザールの戦いの締めくくりとして完成度が非常に高かったと思います。面白かったです。

178名無しの囚人:2026/02/05(木) 00:09:20 ID:H3ZtLG4I0

148.I Have a Dream
『私には夢がある』のフレーズをキングに相対する者に言わせるセンスは好き。
エンダの夢は実際に壮大で尊ばれるべきものであり、このフレーズに見劣りしない夢なんですよね。
そして牧師の夢は表社会の完全制覇であり、こちらも壮大さは劣らない。
自分の夢のために死ねと啖呵を切る二人、いいですよね。
エンダの夢を叶えるためにはキングが必要であるというふざけたロジックを秒で一蹴するシーンはとても好きです。


キングが逃げてたの、第一理由が放送を聞き逃さないようにするためだったんですね。
これはローマンにはたどり着けない理由だわ。まあ穴熊キメ込むはずがひどい目に遭ったもんなあ。
キングの安理に対する警戒が天井突き破ってて変な笑いが出る。
安理からすれば困惑しかないだろうけど、キングは本当に未知を恐れるんだなあ。
安理の覇気のなさを読み取って尚、慎重に慎重を重ねる。それこそがキングの強みであり、同時に弱点でもあるんですね。

龍人という要素一つから、龍の犯罪者の凄まじい犯罪歴を叩きだしてくるのは恐れ入ります。
一人一人が国家を揺るがす様な悪党であるのもびっくりするけど、刑務作業者と関係を作ることで、結果的に刑務作業者側の凶悪さ・強力さを引き立てているのも好き。
流都の最高傑作と呼ばれてる犯罪者、たぶん流都死亡回で語られていた味覚の弱い元ヒーローなんだろうな、と推察できると同時に、
彼らが悪に堕ちた理由に旅人の関与があるのなら、納得と同時に最悪である。

王の子供たちは王の座を脅かしかねない有望株を徹底的に搾取するシステムであり、
絶望の踏破こそが第二段階へのカギであるなら、アメを与えられた彼らに第二段階への道はない、
それゆえに、彼らの中にプレシードは現れ得ない、というロジックにはなかなか唸らされた。
仕組みの掌握を重視するキングにふさわしいぬかりない支配体制の構築ロジック、作者氏はしっかり考えたんだろうなって思っています。
第二段階に至る唯一の道はキングへの忠誠であるという仕組み、キング王朝としては隙が無いですねえ。


MMMのあだ名、メリリンって元々韻を踏んでる名前だなーとは思ってたけど、あらためてコードネームっぽい名前でセンスがいいです。
裏社会の重鎮っぽさがあって好き。
キングの信用を味方の側から担保するあたりに、ローマンと一緒にいるときには隠れ気味だった業界ベテランの風格がありますね。

ソフィアのためにジャンヌに超力を授けるルクレツィアだけど、この超力どう見てもタチの悪い呪いですよね……?
そんな相手であっても僅かな善性を見出すジャンヌは、紛れもない光属性の人なんだな。
この辺、先にソフィアのことをりんかから聞いていたのが効いてるのかもしれない。
ルクレツィアから士堂の話を受け継いだことで、告発役としてキングとジャンヌが対になる形になるんだろうな。


エンダたちから異世界移住計画の告発を聞き、これに乗ってしまうキングはなかなか面白いですね。
ルーサー・キングの看板にゆるぎない自負を持つからこその誤認であり、
ここに世界征服の野心を一つまみすることで、ヴァイスマンのクーデターという真偽不明点を塗りつぶしてしまう。なるほどなあ。
キング自体は耄碌したわけではなくて、実際にGPAは犯罪者での告発では揺るぎえないという鋭い着眼点は健在。
脱獄王がそれに気付かなかった理由を即座に導き出せる洞察力も健在。
なので、ピンポイントで考察を誤ったということであり、落日のターニングポイントっぽくていいんですよね。
キングという情報を最も重視していた人間が、都合のいい情報を得たことで誤認の方向に転がっていくのはだいぶ皮肉が効いてる。
一方で、夢破れたボクサー志望として、エルビスの死を追悼する所業が挟まれたことで、
野心も情も間違いもある等身大の人間としてのキングが垣間見える。
ローマン、ジャンヌとキングまわりの因縁もだいぶ集約してきているので、そろそろ彼らの関係性も終わりに向かっていくんだろうな。

179名無しの囚人:2026/02/05(木) 00:12:19 ID:H3ZtLG4I0

149.アイドルは死神に踊る
ローマンと日月が戦う理由がないと思っていたので、どう絡ませるんだろうと思っていました。
リハーサルをローマンでやるというのはだいぶびっくらこきました。
ローマンの正体の種明かし食らった日月が、お前ふざけんなよ? みたいな感じで蓮に詰め寄るの面白いけど、
ローマン相手に優勢に事を運べたという事実はでかい。
ワンチャン、被験体狙えるんじゃないかなあ、なんて夢も抱けそうですね。

自己暗示型の超力、他者視点から見るとこんなに不気味なんだな、みたいな感想が出た。
なんか微妙に話が通じないし、殴り合いのセオリーから外れた理屈の分からない動きで殺しに迫ってくる、理解の範囲外にあってだいぶ怖い。
未知でありながら彼女の性質を即座に看破して対応できるローマンの戦闘センスはやはり並外れたものがあるし、
ネタが割れても食らいつける日月と蓮の厄介さも然るものですね。

今作での戦力バランスは非常に練られていると思っています。
日月のポテンシャルは高いけれど対抗する隙がないわけではなく、
またローマン自身も第二段階のポテンシャルをモノにし切れていないという塩梅。
日月にはエネリットとの合流による超力譲渡という次手があり、双方伸びしろが明確に示されているのがうまいと思います。
そして、裏方から指示がばんばん飛んでくる状況というのが、本番というよりリハーサルっぽさを強調してて、
日月はもう一段階上があるんだろうな、みたいな期待もあり。


蓮はローマンを狙うと決めた時点で、撤退のロジックまで考えてたんだろうな、みたいな推察ができる。
ローマンが誰かを追ってるなら、それはキングしかあり得ないというのはすぐにたどり着きそうで、
そこから命乞いの成功率を計算した上で嗾けたまでありそう。
最終的にローマンに利のある別れ方に持って行ったわけで、この男の盤面の作り方は侮れないものがありますね。
日月がどんなに嫌がっても、彼のやってることはプロデューサーなんだよな。

日月の元のプロデューサーが光のプロデューサーなら、蓮プロデューサーは闇のプロデューサーって感じがする。
蓮と日月のコンビ、コミュニケーションという意味でこの相性悪くないと思うんですよね。
日月は善性を持ち合わせている人物だけれど、蓮が死ぬほど嫌いなので遠慮せずに不満点をぶちまけられる。
蓮はサイコパスなので、おべっか不要で不満を不満として聞き取ることができる。
結果としてこの二人、PDCAとフィードバックが早くて連携と上達の速度が凄まじいイメージがある。
二人の関係性も含めて、蓮のプロデューサー業は堂に入っているのでは? みたいな感想が出てきます。
いい関係なのかというと微妙だけれど、利用し合う関係としては上々だなあ、と思っていますね。

180名無しの囚人:2026/02/11(水) 23:35:50 ID:bTtXpRPY0
150.永縁
まずタイトルからしてあまりに強い。
永遠に囚われ、解放された少女と、永遠を切り裂いた青年の物語の締めが『永縁』という言葉なわけで、美しすぎる。
征十郎とギャルという二人の関係性を真正面から最大熱量で書き上げきりましたね。本当にすっきりしたラスト。
エンディングに引けを取らないレベルに綺麗にまとまっていてすごいです。
彼女らの山折は御伽噺から始まったというのもあり、一つの物語として決着したのがとても粋に思うんですね。

このスレの感想にあるように、ギャルに色褪せた昔話を接続したのは僕なんですけど、当時はどう転がるのか少々不安ではあった。
なので、『永遠』回で素晴らしい決着を見せつけてくださって大賞賛。
同時に、これをさらに超える決着がこの先に登場するのかと思っていたのも確か。
永遠回でも十分なエンドじゃないかと思っていたのに、これを超えるエンドを見せていただき、脱帽しかない。
一度最高を書いた上で、その最高をもう一段更新したなという印象がある。


永遠回の『汝、己の最強を示せ』を、Zの大田原と繋げて再びフレーズとして採用したり、
物語が始まった『""の名に誓って必ず〜〜』のフレーズを、物語の〆として再び採用したり、
『きっといい未来が待っている』のZ最終回の締めを『今日は死ぬにはいい日だ』という高らかな謳いあげの文句に繋げたり。
あの時と同じく二刀流の朧蟷螂でオークにトドメを刺し、首を失ったオークが最後のあがきを見せてきたり。
過去作の印象的なフレーズや描写が要所要所で散りばめられていて、当時の回を思い起こさせてくるんですよね。
あんな回があったな、こんな回があったなと回想に浸らせてくれる。
征十郎自身も過去に出会った人たちに想いを馳せていたりするのもあって、まさに二人と山折、永遠と刹那の総決算でした。


被験体:Oを兵器ではなく、山折の残滓と位置付けるのはうまいなあ、と思いました。
オリロワZの最終章では、彼は女王ウイルスに歪められており、本来の大田原の意志は消えていたわけですね。
今回は逆で、強敵を前に大田原としての意志を最期に呼び起こし、彼の意志で踏みとどまって戦い抜いた。
Zの本人と対比になっていて、Oはクローンではあるけれども、本来の彼らしい納得のいく最期であったと思います。

そして、被験体 VS 征十郎、まあ刀を大量に確保して次々使い捨てていくアイデアはすごい。
こういうカウントが出てくると疾走感とかが熱量が目に見えて感じられるんですよね。
地の文、明らかに勢いが違うので。
バトルのギアがフルスロットルしてくるような盛り上がりを見せた後、
最後に補充のための受動的な加算が、二刀流に繋げるための能動的な加算へと変化したところで、やられたと思いました。


唐変木なサムライと機微に聡いギャルというちぐはぐな青春コンビ、結成から最後まで楽しかった。
被験体相手にもいつもの掛け合いで挑むの、すさまじいと同時に安心感があるんですよね。
ついにこの二人も死別するのかと思うと、やはり感慨深さと寂しさがあります。

素晴らしい死を熱望していたギャルが、ついに死を間近に一抹の寂しさを漂わせるシーン。
それを征十郎のほうから、らしくないと両断して、辛気臭さを吹き飛ばすほどの前向きな再会の約束を交わすシーンで上書きする。
こんなのにっこり笑顔になるしかない。
斬るのが征十郎である以上、再会は叶わないと分かってるというワンポイントがさらにこちらの情緒を揺さぶってくる。
この事実を胸の内に抱いたまま、二人がまたねで〆る別れ、構築がすごすぎる。
二人だけの世界が出来上がっていて、もう拍手で送ってあげるしかないでしょう。
ほんと、面白かったです。

181名無しの囚人:2026/02/18(水) 23:41:30 ID:01TvfE8Q0

151.We Were Friends
エネリット、バルタザール戦で魅せた異様なイメージと看守たちに愛されてきた背景設定とが合わさって、脳内解像度がバグっていたのですが、今作でだいぶ解像度が高まりましたね。
むしろこれまでがエネリットの特別な面だったのかもしれない、まである。
復讐のために欲を抑えつけてきたエネリットが、戸惑いながら欲しいものを手にする一幕、いいですね。
アビスに収監されていたからには、衝動買いなんて初めての経験のはず。
自由を前に戸惑いながらも、おずおずと選ぶ初々しさが、これまでとのギャップもあってかわいい。
コーディネートセットを使わずにちゃんと自分で組み合わせを選ぶのも好き。
買った感想は、感動というよりはむしろ淡白なのだが、それも含めて買い物を満喫していると思う。


刑務作業者だけがアビスのすべてなはずがなく、色んな受刑者や刑務官がいて、一種の社会を為してるんだよなあ、と感じる。
近所のお婆ちゃんや友人のようなキャラもいれば、アビスらしいならず者や大物もいて、刑務官にもエネリットを出迎えてくれる人や逆に反感を持ってる人もいて。
アビスの営みがちゃんと描かれていて、そこにキャラクターたちが生きているように感じる。
そして今回出てきた受刑者たちが、時が経つにつれて櫛が欠けるように消えていくの、無常観や残酷さをはらんでいますね。
生き生きと描かれているアビスの住人だけど、幸せな最期を迎えた人は少ないし、
その後のマーガレットとの会話を見るにエネリット自身もそちら側だと察している気がしてくるんですよね。

今回出たキャラクターで個人的に好きなのがティガードの描かれ方で、キングが来る前にアビスを牛耳っていたけど、キングやディビットより一段落ちる印象がある。
エネリットの勧誘に際して、エネリットが欲しいものを提示できず、的外れな夢を語っているところ。
それと、部下を制御できていないといきなり内部事情を打ち明けて、求心力のなさを開示してしまったところ。
キングならエネリットの欲しがるものを見抜くだろうし、
ディビットなら内部事情がなんであれ強気にハッタリをかまして優位を得るだろうから、この辺で色々比較ができて面白い。


幼少エネリットはおかんにビビるし、プレゼントに喜んだりするし、血生臭いけど隠れてイタズラするような行動もとるし、ちゃんと等身大の子供の姿がありましたね。
マーガレット相手には確かに母への愛情や感謝、敬愛を持っていると思うんですよね。
誕生日に甘えるし、年一のアップルパイをしっかり思い出に焼き付けてるし、澄ました顔の裏でにへらとしてそうなのがとてもかわいい。
けれど、この中でちゃんと本心を隠したり、信頼を利用していくやり方は身に着けていて、それが今に生きているのも分かる。

友達や近所のお婆ちゃん相手には少々取り繕ったりもしていそうだけど、マーガレットにはお互いに隠し事ができないくらいには通じ合っているんですよね。
エネリットからのウソも、マーガレットからのウソも、お互いに見抜かれているわけで。
そして、エネリットはマーガレットを敬愛しながらも、受刑者と刑務官という特殊な立場であることを理解しているので、
自分に夢を重ねてはいけないと、殺し合いから外そうとする彼女の申し出を拒絶する。
なんとも切ないですね。


過去編、やはり現代の刑務どう繋がっていくのかというのが見どころだと思っているので、
ちょくちょく出てくる刑務作業者の存在にニヤッとしちゃうヤツ。
蓮やキングは少ない出番ながら、一般アビス民からは一線を画すただならない者と書かれてますし、
ディビットに至っては、この初対面を知ってから登場回を見返して、そりゃボコられるわって納得しましたわ。

182名無しの囚人:2026/02/18(水) 23:42:14 ID:01TvfE8Q0
152.Liberty or Death
メリリンは最近、ローマンとのベストカップルが押し出されていたので、そういえば元々コミュ力低めで自分の世界に傾倒しがちなメカニックだったなあと思い出した。
安理も誠実な青年に化けたけれど、元々だいぶ気まずい会話するキャラだったなと思い出したし、そこを切り口に話を広げていくの、キャラの理解が深いな、と思います。
気まずさは完全に治ったわけじゃなくて、何も言わずに大金卸のところに駆けていくスタンドプレーに若干まだ残ってるな、なんてことも思う。
それはそれとして、安理は羽開いてからずっと愛されっ子になってますね。
142話でも思ったけれど、善玉キャラが彼と関わると、関わった側の好感度が上がっていくんですよね。


大金卸の壊れた首輪がここに来て首輪解除のラストキーとなるという発想は完全に意表を突かれました。
メリリンたちの軌跡を読者に意識させることで、これは予定調和ではない奇跡の賜物だと印象付けるのが好きだし、
『奇妙な運命が転がり落ちた。』という表現が非常に秀逸だと思います。
そして、トビの登場話からずっと引き継がれてきた『窮地を笑う』の概念がこの正念場で再臨するのが非常にアツい。
孤独におこなう首輪解除をここまで盛り上げられる手腕、脱帽モノです。
あと、大金卸のめちゃくちゃさは読者はみんな知ってるので、彼女ならできるというのがこれ以上ない説得力になってるのは少し笑ってしまいました。



エンダ二人、これまでずっと人間エンダとか本物エンダと呼んでたので、縁沱と怨沱って呼びます!
7話の感想とか見ると、思いっきり怨沱って幼神っぽいなーとか書いているので、縁があったことには納得しかないですね。
僕自身、舞台設定と登場人物やキャラクター設定を紐づけるのがとても好きなので、
超力の『奇縁邂逅』と『呪厄制御』だったり、容姿や名前を世界観にしっかり織り込む手法だったり、細やかな諸所の気配りがとても好き。
欧州最大のヤマオリ・カルトの名前が『アメノイワト』なの、めちゃくちゃセンスがいいと思うんですよね。


92歳のキングを若造扱いし、『私を誰だと思っている』というキングの決めゼリフをそっくり返していく怨沱、作中で言われている通り神性がみなぎっている。
今回の怨沱の限界を超えた出力は、作中記述からするに『誰かを護るための拳』と同じニュアンスのものだと思っているのですが、
『贖罪』や『魂の救済』というこれまでも何度か出てきたワードと絡めることで、刑務所という世界観にしっかり組み込んできたこと、これもセンスがよくて好きですね。
この境地に至ったからこそキングを圧倒することができ、躊躇いを捨てることはできなかったというのがロジックとして美しい。
そして、躊躇ったからこそローマンに言伝を遺すことができるという因果関係に至るのも、よく練られているなあ、と思います。


キング、未だに掘り下げの止まらない男。個人的に彼は裏主人公だと思っている。
社会に根差したキングは、社会の枠組みを超えた怪物と相性が悪いという記述、異様な説得力があり合点がいきました。
これまでキングが苦戦してたの、大金卸だったり被験体だったりと、人間を超えてる怪物たちでしたもんね。
そして世界は間違い続けるというキングの言葉が、彼の弱さに起因するものだったという事実が、ここに来てきれいに回収されてきた印象です。
キングが社会の頂点に陣取って蓋をしているからこそ、ローマンたちをはじめとした新世代の叛逆が輝かしくなる構図が作られていますね。
怨沱に欺瞞をさらけ出されたキングが、今度こそ新世代筆頭のローマンの挑戦を受けざるをえなくなる。
まさに落日、年貢の納め時、という言葉がこの上なく似合ってますね。


そして満を持してのローマン登場シーン。
まず、ローマン登場話の粋な台詞や印象的なフレーズがふんだんに組み込まれていること、そして
『ストリートの不文律』『若きギャングスター』『スクラッパー』『ビューティフル・ピープル』『魔弾の射手』と、彼を指し示してきたタイトルがことごとく使われるのは圧巻。
こういうのリレーされた側は絶対嬉しいと思いますね。

関わった人物のことごとくを思い返し、別れに視点を当て、『 ――――次は、誰の番だ。』と問う構成。
そして、『俺を……誰だと思ってやがる』という、今話で使い倒されたキングの決めゼリフに、間髪入れず『テメェは、ここでくたばる男さ』と返す粋なやりとり。
盛り上げがうますぎて、次への期待が天井知らずにブチあがっていくの、本当に演出がすごかったです。面白かった。

183名無しの囚人:2026/02/22(日) 23:53:34 ID:BNU1bDjU0
刑務終了までの脱落者暫定超力評価

『恐怖の大王(ドレッドノート)』
使用者:バルタザール・デリージュ
評価:B
鎖付きの鉄球が取り付けられた枷を生成する。
鉄球を自在に振り回して戦う他、鎖もオプションとして操る。。

作中の戦闘を見る限り、鉄球よりも寧ろ鎖の方が肝。
敵の行動を牽制・阻害するトラップ、遠心力や伸縮を利用した立体移動手段など、ほぼ無制限に操れる鎖が様々な応用の幅を生み出している。
無論、鉄球自体も相応の威力はある。本体の運動能力を一切妨げないのが美味しい。

作中では研鑽を重ねることで数々の搦め手を披露し、その応用性能を見せつけた。
単純な力押しに留まらないポテンションを秘めた超力である。


『恐怖の大王(ドレッドノート) ハイ・オールド』
使用者:バルタザール・デリージュ
評価:B〜A
仮面の破損や記憶の復活により、超力のリミッターが解けた状態。
通常時を凌駕する圧倒的な規模で能力を行使する。

鎖と鉄球を無数に生成して只管にブン回す。それだけで壮絶な制圧力を発揮する。
嵐に例えられる凄まじい破壊力。乱暴にぶっぱしてるだけでも強いのだが、その出力のまま通常時と同様の応用性がきっちり機能するのも強い。
当初は殆ど暴走状態同然だったが、徐々に記憶を取り戻していくことで技巧的な能力行使を披露していった。

ただしハイ・オールドであるために脳への負荷が大きいらしく、常に短期決戦を余儀なくされるのは厳しいか。
尤もそのへんを加味しても能力の規模・応用性能は強力である。


『餓鬼・改 (ハンガー・オウガー・ネクスト)』
使用者:被験体O
評価:B〜A
筋力が10倍に強化され、それを制御可能なレベルにまで肉体の頑強性と反射速度が引き上げられる。
更には自然治癒能力も強化され、いかなる重傷を負おうと回復できる。

シンプルな身体強化系能力だが、デフォルトでも十分なくらい強い。率直なバフと自己治癒を両立させているのは単純に強力。
更には食人行動によって最大強化倍率が30倍にまで跳ね上がるのは驚異的という他ない。
倫理的な忌避感さえ乗り越えられるなら、使用者は常に能力強化用の人肉を携行するべきかもしれない。

ただし言ってしまえば自己強化の域を出ないので、大火力の波状攻撃や搦め手の異能に対しては対処が厳しいか?
尤も食人で倍率を引き上げればフィジカルでゴリ押しできそうでもある。

184名無しの囚人:2026/02/22(日) 23:54:06 ID:BNU1bDjU0
>>183
続き

『青春逃爆行(アオハルエクスプロージョン)』
使用者:ギャル・ギュネス・ギョローレン
評価:C
使用者の体液を起爆剤とし、任意のタイミングで爆破させることが出来る。
使用者自身は爆破に対する耐性を持っている。

体液が起爆剤なのが良くも悪くもミソ。即時的に供給できる体液となるとせいぜい唾液くらいなので、意外と扱いづらそう。
ギャルが小瓶入り血液爆弾を用意していたように、事前の仕込みがなければピーキーな使い勝手になりそう。
火力自体はやはり凄まじい。作中ではセレナを一撃で瀕死に追い込み、格上の第二形態キングや被験体を相手取ってしっかりダメージを与えていた。
汗を起爆して空中機動を行ったり、自身のダメージによる出血でカウンターを叩き込んだりなど、作中ではギャルの戦闘センスによって猛威を振るった。

キャラシによると「投げキッス一発で147人を爆殺した」とのことである。
紛れもなく壮絶な火力だが、一体どんな原理だったのだろうか。


『呪厄制御(たたり・めぐる)』
使用者:エンダ・Y・カクレヤマ
評価:C〜A
実体を持つ黒靄を自在に操り、攻撃や防御を行う。
使用者自身の恨みに応じて効力が増加する。

恨みの有無による効力の増減はあるものの、基本的に黒靄は攻防共に応用力が高く優秀。
変幻自在の中遠距離攻撃を可能としつつ、相手の超力を遮断して防御することも出来る。蝿による偵察などの小技も効く。
何より超力侵食が極めて強力で、恨みの度合いによっては完全制圧も可能なのが凄まじい。
最大出力では第二段階超力さえも圧倒するほどの凄まじい威力を見せつけた。

ただ本編中では前衛の仁成と組んでたこともあり、専ら後衛や支援役として仕事してた印象が強い。
余程のことがない限り、基本的にはそこまで無謀を押し通せる出力は引き出せないのかもしれない。


『希望は永遠に不滅(エターナル・ホープ)』
『希望を照らす聖なる光(シャイニング・ホープ・スタイル)』
使用者:葉月 りんか
評価:B
肉体や精神へのバフ能力、および変身による自己強化。
キャラシでは別々の能力として扱われてるものの、不可分の要素が強いので同時に扱う。

純粋な自己強化に加えて、味方全体への肉体・精神的バフを行えるのが強い。
味方をまるっとサポートできる能力はそれだけで希少。紗奈やジャンヌの例からして、他者の超力進化さえも促せるのが凄い。
更に凄まじいのは付加効果の拡張性で、作中では自己回復・毒耐性・精神防御・対超力防御など数々の能力を発現させていった。
これほどまでに能力拡張を繰り返したキャラは他にいないので、群を抜いた潜在性である。

ただし作中では幾度も戦闘を繰り返したにも関わらず、流都戦やバルタザール再戦を除いてあまり目立った強さは見せていない。
キャラシでも犯罪組織に制圧されて尖兵にされていたらしいので、精神的コンディションに大きく左右される能力なのかもしれない。

185名無しの囚人:2026/02/26(木) 00:05:44 ID:nxy6SkLY0
153.1%の殺意
夜明けに交わした復讐論、問答の続きがちゃんとあったことにしみじみ。
復讐の果てにエネリットがどうなるのか、蓮の予想は外れたみたいだけれど、それでもエネリットにちゃんとエールを送る関係性は好ましく思います。
話が弾んでいて、この二人やっぱり仲がいいですよね?

蓮とエネリットは和やかに会話をかわしながら、細かい所作から相手の状態をプロファイリングする静かな討争もまた健在。
無防備に姿を現す、お願いを持ちかける蓮、エネリットや日月の服装など、
僅かな描写を用いてそれぞれの心境の変化を示して、細やかに描写する丁寧さはいつも感服する。
これらを見逃さずに推察していく蓮とエネリットの洞察力・抜け目のなさが説得力と共に浮かび上がってくるんですよね。

エネリットは何も望んでいない→だからエネリットには交渉ではなくお願いをする
という組み立て方を、服装一つから導き出せるのはすごいし、
お願いをジョーカーと親アビスの囚人という関係性からロジカルに呑ませる説得の手腕には唸らされましたね。
蓮はこれを最初から組み立てていたことになり、エネリットさえ手玉に取ってしまうジョーカーの強者感が出ているように思います。
加えて、信頼度50%を計算したように出してくる蓮はやはり底知れなさがあるんですよね。


男二人がそんな阿吽の呼吸で話を進めていく一方で、特に深い洞察はしない日月がぼっち気味になってるのはやはり味わい深い。
足止めされてイラつく日月の様子に生暖かい笑いが出る。蓮は日月を挑発しているのだろうか。
女の子の秘密をいきなり初対面の相手にブチ撒けたところで出てくる信頼度の話、日月の顔から表情消えてそうでめちゃくちゃ笑ったんですよね。
実際のところ、日月は蓮への信用度はだいぶ高くて、信頼度と好感度が底を突き抜けている感じなんだろうな。


日月ジャンヌの強い因縁は維持し、征十郎やメリリン、エネリットなどの放っておけば生還確定のようなキャラたちを無理なく交流させる展開。
持ち物と役割の采配が非常にうまいなあ、と思います。
通信機にまた出番があったの、あり合わせの手段を効果的に活用していてだいぶ好み。
首輪を解除したメリリンにジョーカーを送り込むのは、なるほどなあ、と思ったし、
中庭でチーム分けを主導していたエネリットなら三分割もすんなり仕切る役割を担える。本当にうまい。
僕は中庭でチーム分けする話読んだのに、ここでも三分割する展開に意表を突かれたんだよなあ。

1%の殺意、この回の主題なのかというとそうでもないんだけど、
1%を受け渡せるように構成を組み立てたという意味でやはりこの回を表す、みたいなのがありますね。
そしてこの手の1%がめちゃくちゃ強いのはもう分かっているのだ。
実際、早速発動しましたしね。

超力ひも理論、ネーミングセンスが好き。どうやれば思いつくのだろう。
僕は次話でちょうど蒼光のラインを参考にタグを斬る話を考えてたので、ありがたく使わせてもらいました。
そしてこの理論、マジでこれからの戦いに関係ないので日月がキレてるのほんと笑う。
日月の信頼度を最後まで下げる蓮が味わい深い。

186名無しの囚人:2026/02/26(木) 00:10:21 ID:nxy6SkLY0
154.Ex.Stage
個人的なことですが、書き手陣が非常に強いので、最終章まで執筆ついていけてほっとしてます。
もう最終局面ですが、征十郎はあまりにきれいに〆られたため、ここから動かすには一段噛ませるのがいいだろう、と短い話を書きました。
アビスを社交場と見立てることで、どこに動いても違和感はなくなるかな、と捉えました。

茶子こそが八柳流最強。まあ実際は藤次郎の時は銃を持ち出してきてるんですけど、そこにはあえて触れない優しさを持ちたい。
たぶん、茶子は斬られると分かったら逃げると思っている。


タグ斬りは蒼光のライン視から思いついた展開です。
元々は、メリリンの首輪解除の裏で征十郎がタグを斬ってた=ヴァイスマンの関心を引き受けて発覚を遅らせた扱いにしようとしましたが、
蓮への抹殺指令のタイミング諸々と時間軸合わせづらいので没にしました。
これを残していた場合、征十郎について蓮に一切の指令がないという点で、交渉の答えが出たことになるので……。
ちょうど氷月がジョーカーなので、月に向かってしゃべってたり、月の側が征十郎を見ていたりしますね。
実際に見ているのかは知らない。


しっくりこないとか、その選択はアガらんだとかいう征十郎の心情について、
彼の今後を色々試行錯誤してみた結果、僕としてもそりゃ違うだろ? と思ったのでそのまま使ってます。

そもそも征十郎はブラックペンタゴン突入組の中で他との絡みが少なく、キング・エンダ・エネリット・ジャンヌくらいしかいない。
キングに征十郎はくれてやらねー! ってギャルが言ってたのに、死別した途端にキングのところに行くのはどうよ……と思ったのもあり、
次に誰と絡ませるかは悩んだのですが、ふとGPAいけそうだな、と考えたところで予約しました。
なにせ征十郎はこれまででGPA側から直接返答もらっていて、そういうキャラはジョーカーを除けば征十郎だけなので、わりあいきれいに収まったかな、と。
仮にアビスから肯定的な返答があった場合、ジョーカー候補のギャル・ジョーカーの被検体というポジションを受け継ぐことになるんですかね。

なお、アビス寄りの行動方針を取らせていますが、今のところタグを斬れる唯一ということで、脱獄組に組み入れるルートもあるかもしれないです。
山折絡み・顔役という意味ならジョニーもそうで、今からでもある程度は広げられるはず、みたいなことも考えてはいます。

187名無しの囚人:2026/02/26(木) 00:21:19 ID:nxy6SkLY0
155.バイバイ、アイドル
僕はVRに関わったのは最終回なので、タイトルだけでは思い出せなかったんですが、
VRルールのチュートリアル話として印象深いあの回ですね。
今作も日月領域の独自ルールあたりにその要素は使われていそう。
読み比べると、独白のオマージュがあったり、アイドルと応援というアイドル哲学に言及していたりで諸所にリスペクトがあるのが分かる。
ただ、アイドルの立ち位置が襲撃側・悪党と逆転要素も多いので、別タイトルなら気付かなかっただろうなあ。

> たとえ恐怖に縛られ、一歩を踏み出せなくても。
> 背中を押してくれる誰かがいれば、きっと踏み出せる。
VRではアツい展開に繋がる格言が、今の日月にとっては裏の意味となってしまったことに、遣る瀬無さを感じてしまいますね。
何より、本刑務で誰かの応援を受けて輝いてきたのは紗奈とりんかであり、
この言葉を誰よりも体現していたのも彼女たちだったので、りんかを日月が終わらせるところに皮肉を感じるのです。
また、日月と美火の関係性をここで昇華してくるのは、さすがうまいと思いました。
りんかは美火からあり方を継承した存在なので、
ここでりんかの命を奪うことが決定的な決別の暗示であり、平穏との離別の示唆であり、同時に日月の覚悟の象徴なんだろうと思っています。


りんかは難しいながらも希望を持って道を歩んでいたけれど、ここでリタイア、無念である。
彼女の悪党としての業は在り方を曲げられないことなので、
人々を救い続けた彼女が最も大切な人に対しては罪悪を抱えて果てることになるという最期に倒錯的な美しさがあるんですね。
ただ、りんかは自分の死に様を気にしているけど、紗奈はおそらく受け入れてくれると思っています。
贖罪のために救い続けていたのに対して、呪われてからは輝かしい未来のために救うことを選び、
誰かを救って死ぬという結果は同じでも、それに至る心が正反対なので。
一方で、救い続ける原動力が正反対になっても、自分を低く見てしまうのは、これもまたりんかの業なのかもしれないですね。


日月のアイドル時代の歌詞、身体の奥底から絞り出すようなタイプなんですね。
蓮への憎悪すら燃料に、激情と悲壮すら露われている歌詞もあいまって、彼女のソロライブはめちゃくちゃ迫力がある。
主演から目を離せない、呑み込まれるような感じのライブだったんだろうなあ、みたいなことを思ったり。
観客たちを全員引き込むような舞台を作りだすなら、領域型の超力が発現するのも合点がいく。
衣装も身も一切汚さずに輝き続ける偶像、キャラシートにある神々しさも腑に落ちますね。


ついに第二段階になったジャンヌもの神々しさでは引けを取らない。
聖女なのだが、このビジュアルは世界を救う系のラスボスっぽいなと思ってしまった。
実際、日月のほうが挑戦者になるので、ジャンヌが強そうなのはそれはそうなんだ。

>「正義の味方の貴女は――――ここから、どうするつもり?」
この問いはジャンヌに突き付けられた至上命題だと思っていて、書き表すにはダイレクトに力量が問われるんですよね。
この最初の問いにして根幹の問いが最終盤でもう一度投げかけられるの、やはり盛り上がりとして得点が高い。
日月とジャンヌの決着として、まずふさわしいジャブが来たなあ、と思っています。

188名無しの囚人:2026/02/26(木) 20:41:55 ID:vqcYy6b20
■総獲得恩赦Pトップ5(155話時点)

1位:征十郎・H・クラーク(400pt)

手元に未獲得も500ptもある圧倒的1位
派手に獲得しては派手に使い切るを繰り返す恩赦長者、経済を回している

2位:バルタザール・デリージュ(345pt)

真面目に恩赦を目指していた叔父上が2位にランクイン
惜しくもあと一歩400ptに届かず

3位:ルーサー・キング(207pt)

本人はあまりやる気がなかったはずがあれよあれよとキルリーダー
獲得した首輪数は多いが、刑期の短い小物が多かったため3位に落ち着いた

4位:ギャル・ギュネス・ギョローレン(199pt)

最初の恩赦P獲得者であり、序盤は1位をひた走っていた爆弾魔
中盤以降タチアナとなってからも暴れまわっていたが恩赦Pの獲得はなく最終的にはこの順位に

5位:エネリット・サンス・ハルトナ(140pt)

本人のしたたかさが出ているトップ5入り
首輪を獲得しない運用を唱えたり、叔父上に貢いだりしてた割に何気に結構獲得していた

以下は100ptで6位タイがいっぱい

189名無しの囚人:2026/03/03(火) 22:45:31 ID:mH06R/5.0
157話「皆既月食」時点


【対主催】
<第二次呉越同舟>
メリリン・"メカーニカ"・ミリアン
北鈴 安理
ジョニー・ハイドアウト
トビ・トンプソン
ネイ・ローマン

<他者救済・善行優先>
ジャンヌ・ストラスブール


【マーダー】
<ジョーカー>
氷月 蓮
ヤミナ・ハイド


【危険人物】
<生存優先>
ルーサー・キング

<親アビス>
エネリット・サンス・ハルトナ


【その他】
<斬る>
征十郎・H・クラーク

190名無しの囚人:2026/03/04(水) 23:53:15 ID:7W9zvEz.0
157.Joker
Scrapperでもそうだったんだけど、そのキャラクターの多面性を一単語に落とし込む語彙力すごいと思うのです。
『ジョーカー』の一単語で不純物・たわけ・道化・切り札・ワイルドカード全部回収できるなんて全然気付かなかった。
ヤミナだけでなくAG-1にもかかってたりもするのだろうか。

Der Freischütz回でも出たメモリ演出、また見られましたね。
とある一要素を核に複数のキャラクターに焦点を当てつつ、衝撃の事実を演出するこの手法、本当に惚れ惚れします。
乃木平所長が偉そうな口調で喋ってるのがなんか新鮮ですね。
Zのときの曹長と一等陸曹のやり取りの再演が記録されてるの、なんかしみじみ。


鉄面皮であろうとしてきたミリルの変化、今後のポイントになりそう。
誰と連絡していて、ガワのデカい荷物には何が入っているんだろう、みたいなのもある。
征十郎が奮闘したからこそ彼らを直視せざるを得なくなり、直視したからこそ情が湧き、綻びが出てしまう。
剥がれかけた仮面っていいですね、キミはアビスに向いていないのでは。
いち早く察知して釘を刺しに来るヴァイスマン、やはり主催者としての貫禄があるんだよな。
ミリルとの問答、向き合い方を間違えると消されそうな威圧に満ちている。
刑務所でおこなわれる『悪とは何か』の問答、法を犯すものというこれ以上なくシンプルな答えが、
最も悍ましい悪へと収束していくのがぞくぞくするんですよね。


小屋迷路は笑った。よくこんなヴァイスマンらしい仕掛けを思いつくものだ。
トビとジョニーって口調似てるんだけど、一つの事象に対しての感じ方が違うというところで書き分けできてるの好き。
小屋迷路にうんざりするジョニーと喜色を浮かべるトビとか、AG-1に警戒するトビと気さくに会話するジョニーとか、
こういうところで差異を浮かび上がらせるのいいですね。
ジョニーとAG-1、メカ繋がりで仲良さそうなのすごくしっくりくるんですよね。

カメラとマイク問題、AG-1のキャラシートに『録画』があるのを見て、やられたーって思いました。
ナノマシンボディについても、ナノメディック・スプレーが出ているから可能。
トビたちと繋がる理由も、接触できる理由も、すべて過去作の要素から拾いあげて繋げているのが素晴らしい。

サリヤとルメスというそれぞれの縁者から事象改変を導き出し、AG-1に繋げるのも理論の組み立て方がうまい。
システムAの親機を介することで事象改変とヴァイスマンのタグを外せる、その手があったか……!と感心です。
創の異能が元ネタなら、子機=細菌殺しで親機=魔王殺しでもおかしくないですからね。それなら確かに外せそうだ。


ヤミナ一人調査、不気味な描写がミスリードなの、ほ〜ってなる。
視線はAG-1だし、右腕に纏わりつくものはウォッチですが、ヘンな液状のナニカに襲われてるふうにしか見えんもんなあ。
ヤミナはもしかして認識阻害から解放されていたんだろうか。

そして満を持して登場した最後のジョーカー、たまげたなあ。
彼女の裏切りは実現ハードルがめちゃくちゃ高いと思っていたので、見事に実現した手腕に感服します。
ジョーカーの立場を噛ませることで裏切りに格段に説得力を得られるの、膝を打ったんですよね。
ヤミナは過去に何回か書いて、確かに初登場話でその悪行や法をすり抜ける悍ましさを明記してはいたのだが、ここで回収来るとは思ってもいませんでした。
このよわよわキャラがマーダー堕ちはないだろって侮ってました。
制服着て特殊部隊の徽章を着けてるこの女、これに作劇上の意味を考察すると、『ずっとそうだった』という意味付けに転換するのがびびる。


ヤミナは超力名にルビがないのだけれど、これにルビを振ると「ワールドハッキング」になるんですかね?
ラストスタンド回でナメられて流された二つ名もこの辺に準ずるものになるのかもしれないな……。
というかあそこのヤミナと地の文の会話、今回の虚空への語りかけを見ると意味が変わってくるんですよね。
他者評価も地の文もすべてが信用できなくなり、これまでのネタ描写をすべてひっくり返す意味を与える一手に恐れ入る。

仁成、生き残ると思っていた男だった。
こんないいヤツが後ろから刺されて脱落するの、無念すぎる。
エンダと仁成、相方の無念を知らずに感謝し合っていく二人、その対になった関係性がとても美しいんですよね。
人を憎んでいた二人が人を思い、誰かに惜しまれながら逝けるところに二人の魂の救済を感じる。

> 「馬鹿野郎……オーシャンズに、裏切り者はいなかったろうがよ……」
この台詞一言に籠った感情を想う。
複数の複雑な感情を読者に伝えられる台詞を出せるのはすごい。
オーシャンズという旗の下で彼らは間違いなくヤミナに仲間意識を持ったし、
だからこそトビとジョニーはここに来て新しい因縁が発生したんだよな……。

191名無しの囚人:2026/03/05(木) 00:09:25 ID:BINJq2FI0
158.皆既月食
皆既月食のタイトル。現実の皆既月食の日に投下されたらしいので、作者さんの気合を感じます。
タイトルとしてはどういう意味なのだろうと考えましたが、
皆既月食=手の届かないところで起こっている現象をみんなが注目するイベント→
真っ黒い(衣装の日)月を、彼岸から観客たちが注目している、という解釈はアリかなあ。

満を持して登場した日月の持ち歌、タイトルが『パーフェクトブルー』はうおおっと思いましたね。
『パブリック・エナミー』なんかもそうだけれど、過去作の印象的なタイトルを大技の名前に持ってくる演出は否応なしに盛り上がるんだよなあ。
そして、もう誰もが感想に出しているけど、
> 演奏時間は3分55秒。
> それが、鑑日月が無敵でいられる時間だった。
ここの掴みのパワーの強さはすさまじいと思っています。


僕がパーフェクトブルー回で感じ取ったのは雄大さの中での孤独であり、
ジャンヌという果てしない目標に独りで挑む日月を考えると、とてもらしいと思っています。
ただ、実際の歌詞を見ると孤独だけでなく渇望も強いのかな、とも考えますね。
いずれも、ジャンヌに対峙する今の日月らしいな、と思います。

日月の歌詞は、156話でも日月の心情や情景とリンクしていたけど、
同じ曲で歌詞のB面にして、その上で各所の心情と情景リンクさせてるの、匠の技では?
舞踏中にジャンヌは言葉をかわせないけれど、この歌詞を歌う日月はずっとジャンヌに語りかけている構図になっているんですよね。
僕はアイドル曲はずぶの素人ながら、アイドル曲らしさが確かにある歌詞じゃないだろうか、という印象を抱きました。


日月が孤独で自分のためだけに戦うならば、ジャンヌは多くの想いを背負って戦うあまりにきれいな対比構造。
とりわけ、ジャンヌに縁ある人々の魂の言葉が次々に残響し、ジャンヌの天運を引き寄せていく演出はあまりにアツい。
こういうの、ゲームでいうところのラストバトルの演出なので俄然盛り上がるのですが、
無敵をしのぎ切った後にこの構図を崩し、その先に進んでいるのがニクいですね。
凡人に戻り負けを予感した瞬間に、ジャンヌに勝ちたいという欲望と、応援してくれる人への想いとで魂から叫ぶ。日月の命の輝きが見えるんだよな。
そしてその輝きを受けて、ジャンヌも一人の少女として仮面を外すのがとても良い。


原則、バトロワでハッピーエンドは期待してはいけないと思っているんですけど、
やはり頑張ってきた人たちが救われるのはとても嬉しいんですよね。
りんかと美火と紗奈、無念にも命を落とした彼女らに次の生が与えられたことを嬉しく思います。
りんかと美火の再会で少しうるっと来て、神一郎が出てきたときは笑ってしまったのだが、
ナイスミドルが正体を現したところで本当に涙腺が刺激されてしまった。

> “嘘”は俺の十八番だぜ?
ここからのだまし討ち、流都に拍手喝采を送りたい。
最後に年相応に泣きじゃくり、リンカネーションに至った紗奈に、ここまで見続けてきて報われたな、と思う。


流都と叶苗が二人並んでアイドルに見入っているのがいいんですよね。
復讐の元凶と被害者が、二人並んで推しのアイドルに目を奪われる。
前世の穢れが洗われたような後味の良さがある。
> どんな罪を犯そうとも、人は必ず、抱きしめて許してくれる人を求めてる。
悪である偶像たちの到達点が、ここに集約されたのがとても感慨深い。
悪に堕ちた日月にもちゃんと迎えに来てくれる人がいたんだよな。


がんばれと言ってくれる人がいるから偶像は輝ける。
応援に背中を押されて走り続けてきた人たちの想いはジャンヌに集約されて、彼女はすべての想いを背負って立ち向かっていく。
これまでに登場したアイドルとヒーローたちがどこに向かっていくのかも書かれて、偶像の総決算回にふさわしい回だったと思います。

192名無しの囚人:2026/03/11(水) 21:58:09 ID:8gnc0cws0
158.征十郎、世界を斬る
永遠のアリスを会場に呼び込む、この展開が本編で来たか……! と思いました。
彼女が出てくるとしたら、征十郎が生き残ったあとのエンディングかな、と思っていたので。
導線を説得力を以って組み上げていくエネリットも、それを描写する作者氏も、さすがだなあと感じています。
メアリーの残滓は、因縁の対決や衝撃展開が次々と出てきて押し流されていましたね。
超力ひも理論とメアリーの残滓から、世界に抜け道を作り出す。そろそろヴァイスマンの予想を超えてきそう。


日月の持ち歌が、エネリットに届いているのがしみじみします。
エネリットが提案を出してもいいと思えるくらいの価値、とありますが、そもそも彼がこの心情に至ることそのものが、推し沼から静かに手招きされてるみたいで好きなんですよね。
VRの笠子とかそうだったんですが、虚無を抱えた人間がアイドルに惹き込まれるのはやはり良いものであり。
その手のキャラでいうと、蓮もそうなのかもだが、あいつを……?? という感じだったので、
最近人間らしい非合理さを見せてくれてるエネリットが染められてよかったと思ってます。

態度は相変わらず食えないヤツに見えるけど、どうしようかなー、な優柔不断な面を見せたり、
そうでしたねうふふで釘刺しを流したりと、エネリットの気張らなさがよく見える。
交渉にしても、アイデア料で黒い首輪ちょうだいとかダメ元で吹っかけてみたり、なんかだいぶ図太いの好き。
世界を斬る征十郎に野次馬しに行くのはその最たるものですよね。
はじめての経験を逃すもんか、で厄介ごとに首を突っ込む彼はワルガキらしくてとてもイキイキしている。
最近の楽しそうなエネリットは、好感度が高いですね。


エネリットと征十郎、どっちもやることやり終えて一人になった結果、掛け合いがおバカな男子グループめいてないです?
征十郎は抜け目のなさ、ふてぶてしさ、図々しさがうまくミックスされているので、エネリットとの間でボケとツッコミが成立しているんですよね。
仮にギャルが隣にいたら、今回の雰囲気は出ていないのではないか? とも思っている。
征十郎は食えない度は高いながら、ドでかい見落としもあるしポカを勢いで押し切ってくるので、いちいち見ていて面白い。
タグ斬ったのマズない? と指摘食らった後、ぴゅっぴゅと口笛吹く勢いで遠くの空を見上げて、その後開き直ったのめちゃくちゃ笑った。
あと、黒い首輪を景品にして、エネリットに無茶ぶりするのも楽しんでる節があるんだよな。被験体斬った勝者特権を満喫している。

征十郎は登場のころから常識人を謳っているが、だいぶやらかし度は高く。
ノータイムで永遠のアリスを会場に呼び出す決断を下す征十郎、やはりどこかタガが外れている。
やりたいコトを素直にやったら永遠のアリスを解き放っちゃったギャルとはやはりいいコンビだったのでは? みたいに思ってます。
征十郎は裏社会にはさほど詳しくないとのことだったけど、
これほどの秩序への挑戦をできる男なので、巨悪となる機会に巡り合わなかったんだろうな、とか思っている。
この位置はヤミナも来るがトビたちも来るので、どう転がっていくのかな、みたいなところがありますね。

193名無しの囚人:2026/03/18(水) 23:30:19 ID:czgboQ2Q0
>>184
刑務終了までの超力暫定評価、続き

『人類の到達点(ヒトナル)』
使用者:只野 仁成
評価:D〜C
超力を除いた人間の能力を限界まで発揮できる。
人間のあらゆる技術体系を習得できるほか、自身を人間の域から変化させる干渉を無効化する。

単体では恐らく単純な身体強化に過ぎず、後天的に技術を学ぶことで初めて本領を発揮するものと思われる。
作中における仁成も地に足ついた技巧的な格闘戦が目立ち、少なくともポテンシャルを最大限引き出す為には本体の鍛錬が不可欠なのだろう。
他の超力のような即時的な異能に乏しく、相応の武芸を身に付けなければ器用貧乏の自己強化になりそう。

この超力の特異性は戦闘面でのスペックよりも、寧ろ「移植によって他者の超力を消滅させる体質」という部分にあるのだろう。
パーフェクト銀鈴戦においてはこの超力の影響下にある血液が決定打になるなど、対超力における絶対性は凄まじい。


『偶像崇拝(アイドラトリィ)』
使用者:鑑 日月
評価:E〜B
使用者がその場をステージと認識することで発動し、神憑りの身体能力・表現力・歌唱力・天運を獲得する。
空間対象型の超力であり、本体を中心とする領域における法則や摂理そのものを支配する模様。

能力の安定運用という点では恐らく厳しい。少なくともフレゼアとの突発的な交戦では殆ど機能していなかった。
最初の氷月戦における発動に関しても、叶苗やアイ達との交流があってこそ機能している可能性が高そう。
運用面では不安定だが、その代わりフル稼働すれば強力。氷月との初戦では彼の超力を尽く潰したうえ、二度目の対峙においては彼に降伏を余儀なくさせていた。

周囲に自らの法則を強制する空間型超力であり、異能の理論値は極めて高い。
偶像として完全覚醒した際には予兆ゼロの奇襲攻撃でりんかを瞬殺し、第二段階ジャンヌを追い詰めるなど神憑りの戦闘力を発揮した。
ただし氷月プロデュースによる綿密なお膳立てがあったからこそ極限までチューニングされた感があり、恐らく通常時にここまでの性能を発揮できる可能性は低そうか?

194名無しの囚人:2026/03/18(水) 23:32:02 ID:czgboQ2Q0
『眩しき離流の氷龍』
使用者:北鈴 安理
評価:B
2.5m程の体躯を持つ雌の氷龍へと変身する。
身体能力が強化される他、冷気や氷を自在に操れる。

要は自己強化+自然現象操作の合せ技なので、理論上は中々に高性能。
強力な吹雪の凍結、無数の氷柱の掃射など、同系統能力の強力な使い手であるジルドレに近しい芸当を披露している。そもそも自然現象を操る能力自体が強い。
そこに龍化による基礎ステータスへのバフが加わるので、カタログスペック的には明らかに優れている。作中では殆ど戦闘経験のない安理が、曲がりなりにも樹魂に傷を負わせている。

とはいえ本体である安理が戦闘者ではないことに加えて、作中では強大な格上とぶつかる場面が多かったので、際立った活躍は少ない。
それでもキングによれば龍の変身能力者は総じて強力なポテンシャルを備えているらしいので、鍛錬や成長を踏まえた上での期待値は高いものと思われる。



『眩しき離流の氷龍(龍人)』
使用者:北鈴 安理
評価:C
龍人と化す常時発動型の亜人化能力。
冷気の能力が弱体化した代わりに、龍人として安定的な身体強化を得られる。
また他者の過去を知覚する能力を新たに獲得している。

作中では能力関係無しにカラテが強い悪童達が多数登場しているため、身体強化にスキルツリーを伸ばすこと自体はそこまでのアドバンテージではない。
とはいえ鱗でナイフを防いだり、常人なら即座に行動不能になる麻痺弾を耐え続けたりなど、基礎ステそのものはやはり高い。
ポテンシャルの高かった氷結能力が劣化しているのは痛いが、飛び道具の氷柱・凍結による妨害など一定の応用性は健在である。
あくまで心身の成長を象徴するような能力変質であるため、戦闘面での伸びしろはそれほど高くない。

ただし過去視による共鳴能力は作中においても唯一無二のスキルであり、過去視だけでも戦闘以外でのポテンシャルが高い。
また過去視による感応で被検体Oのヤマオリへの執着を見抜いたりなど、情報収集による間接的な形で戦闘にも役立たせていた。

195名無しの囚人:2026/03/18(水) 23:33:54 ID:czgboQ2Q0
『破壊の衝動(Sons of Liberty)』
使用者:ネイ・ローマン
評価:C〜B
自身の破壊衝動をエネルギーに変えて放つ。
本体の感情に応じて威力や規模が変動する。

威力の不安定さや燃費の悪さなど、単純なカタログスペックだけで見れば評価C相当。
ただ実際は火力の期待値が凄い。ドミニカやジェーンの超力を丸ごと蹂躙する範囲攻撃をぶちかまし、相当の頑強さを持つローズにも真っ向から対抗できることが語られている。
本体のコンディションに依存する欠点はあるとはいえ、それを補って余りある火力である。

二人掛かりの攻撃を逆に全方位衝撃波によって打ち砕いたりなど、範囲攻撃による制圧力が防御・迎撃面でも機能するのもやはり強い。
更には拳撃を能力で強化するなど応用性も広く、強力な攻撃性能を裏付けている。
作中ではローマン自身の戦闘センスも合わさって、その破壊力を遺憾無く発揮していた。


『Liberty or Death』
使用者:ネイ・ローマン
評価:A
ローマンの超力第二段階。初期能力の純粋な強化版。
あらゆる防御や干渉を突破する強力な衝撃波を操る。

ただでさえ元の攻撃性能が高かったのだから、それが強化されれば当然に強い。
超再生能力を持つ被検体を一撃で吹き飛ばして撃退したうえ、サリヤの第二段階である対ネオス能力をも真正面から打ち砕いている。
従来通りの範囲攻撃に加えて、推進力の調整による応用も更に効くようになっている模様。

そもそも元々高火力だった能力に防御貫通・干渉無効化まで付与されているので、攻撃の制圧力においては作中最強クラスと言っても過言ではないかもしれない。
初期能力の欠点だった燃費や不安定性がどこまで解消されているかは曖昧だが、これだけの火力を実現できればどのみち大抵の戦闘は短期決戦で片付きそうである。

196名無しの囚人:2026/03/19(木) 01:21:05 ID:jBYVBx3Y0
159.パッション
ジョニーがアフリカ出身の難民だったというのはだいぶ驚かされましたね。
これまでアフリカはノーマークだったのだが、欧州に溢れるネイティブギャングの一因、なるほどって思う。
Z計画公表の社会的混乱によって多くが犠牲になるという予測はあったが、こういう混迷のパターンがあるのかと、ひとつ解像度が高まったように思いますね。

バラカが後に裏社会の顔役に至る片鱗も、表社会の神父のような人間から信頼を得るにたる理由も過去描写から見えてくる。
バラカは悪童とは思えないくらい純朴で真面目な青年なんだよな。
そのあたり、トビより今の仁成に近いと思った。

まともじゃいられなくなったから人の姿を棄てたの件は、70話時点ではどんな状態なのかを腹落ちさせられていなかったのですが、
彼もまた正義のヒーローを身に飼っているのだという解釈には意表を突かれたと共に、大いに納得しました。
ヒーローたちに出会っていればきっとシンパシーを感じたのだろうと思いますね。
ジョニーは陽気さの裏側に悲壮感を隠しているようなキャラクターだけれども、
ジョニーというヒーローのルーツが書かれたことで、彼の辿ってきた運命にさらに説得力が増していく。
ヒーローを宿すからこそ、どれだけ逆風に晒されても前に進み続けるということであり、
今のジョニーは、鉄人ジョニーに謳われた概念が具現化しているようで、しみじみとします。

トビとジョニー、どっちも粋な男だけど、ジョニーは根が善いヤツなので、神は人を救うものだと思っているし、トビは根っからの悪党なので神は人に罰を与えると思っている。
こういうひとつの切り口から、それぞれの差異を浮かび上がらせる手法は好きです。
この世界は間違っている、というフレーズが使われてきたけど、ジョニーはそれでもこの世界に祝福を求めているんだな。
ピトスの箱のくだりが過去作に何度かあったので、絶望の蔓延る世界で希望を探しているという在り方に非常にあっていると思います。


映す価値のないヤミナ、不意打ちすぎて本当に笑ってしまったんですね。
映す価値なしは格付けチェックのイメージなので、ぽんと小気味いい音が鳴ったようにしか思えなくて。
ジョニーやトビの伊達男ぶりで場を盛り上げた後の映す価値なし、その後のリバースヤミナの落差がすごい。
一人でわちゃわちゃやってたヤミナもまた彼女だと思っているので、素でおバカな面もちゃんと生きていてなんかほっとしました。
そして、彼女は脅威なのだとトビたちから太鼓判を押されていても、どこか侮ってしまうんだよなあ。
僕には殊更にワールドハッキングが効いているのかもしれない。

ただ、彼女の珍道中なだけじゃなくて、その超力ゆえに対等な関係を結べないという孤独にも言及されている。
誰とも対等になれず、神さまからもナメられているという言葉には、どこか悲壮が漂っているんですよね。
それこそ、彼女もまたこの世界にごまんといる超力により人格が歪んだ犯罪者なんですよね。
ジョニーもヤミナも、世界からその在り方に見合うレスポンスが返らない者であり、
一方はそれでも真摯に世界に向き合い続け、一方は歪み切ってしまっていて、
神=世界を通してそれぞれの生き様が浮かび上がってくるのがいいな、と思っています。

197名無しの囚人:2026/03/19(木) 01:25:10 ID:jBYVBx3Y0
160.送り火の先へ
樹魂の遺した壊れた首輪によって枷を外し、イグナシオと約束した場所に向かう。それ自体が運命的。
ちょうど昼前にも灯台に向かうかどうかの二択があったのだが、今度は神父の導きなく、己の心で道を選んでいるのが感慨深いですね。


第二形態となったメリリンの超力、機械との対話というアプローチは新鮮な感じがします。
他企画だと、首輪って排除すべき障害みたいな書かれ方が多いので、
フラットに接して対話で説き伏せるというアクションはなかなか見ないな、とか思いました。
> 解除とは、破壊ではない。再定義だ。
この辺の一文なんか、目から鱗というか、考えてもみなかった概念が運ばれてきた気がします。
警告音を出している首輪を対話相手に、歓びの表情とともに言葉をかわすメリリンの様子には、
脱獄に歓びを感じるトビに通じるジャンキーさを感じ取りましたね。

対話と言えば安理の過去共感もおこなわれており、
メリリンが首輪相手に歓んで対話する一方で、安理は蓮という人間相手に対話を恐れるんですよね。
過去視の感想を安理に尋ねる蓮は、まさに言葉は通じても会話ができないといった様相で悍ましい。
そんな相手に対して、より踏み込んで真実を求める安理は、やはり探偵をやっている。
構成として、安理が蓮がジョーカーであるという情報を得ただけでなく、『殺人の資格』の隙を見つけるという流れを作っているのは唸らされますね。


メリリンの首輪解除のくだり、音や体言止めをふんだんに使った短い文章を連発してきて、やっぱり緊迫感がある。
読者としても、その場で安理の首輪解除に立ち会っているようで、世界に引き込まれたような感じになるんですよね。
だからこそ、解除直後の銃撃は、読者からしても死角から撃たれたように錯覚してしまう。

そして、タイミングだけでなく、麻酔弾に港湾からの追い立てと、一手で幾重もの効果を生み出していることに戦慄します。
神の視点から読み取っていける読者ですら、蓮がどれだけ先手を取っているのか読めないのに、
メリリンと安理がこの男と対峙して無事で済むのかという緊迫感が出てくるんですね。

メリリン&安理 VS 蓮は、やはり二人が非戦闘員だというのが随所に出ていますね。
連携をうまく取れず、判断が遅れ、フレンドリーファイアのような状況を作りあげられて利用されてしまっている。
メルシニカ繋がりでサリヤも似たような轍を踏んでいたのもあり、より非戦闘員の印象が深いように思う。
どうしようもない実力差があったように見えたからこそ、最期に安理が蓮を追い詰めるシーンがより印象深くなる。
蓮はこれまでピンチになってもずっと微笑んでいたイメージなので、
安理を引き離そうと泥臭く藻掻き、あまつさえ怒声を上げさせられるほどに傷を受けたというのは正しく一矢報いているんですよね。
あと、死の間際まで戦い続けるところに初代デザーストレを視た気がします。

仲間を置いていかないと決意したメリリンに対して、安理を足手まといにしてしまい、メリリン一人で行かせる采配はなかなかに残酷だと思いました。
そして、安理は命に軽重をつけず、命の使いどころを決めるのは本人自身であるという信条に則って自分のわがままを貫く。
ちょうどイグナシオが安理を送り出した時の構図と同じになっていて、しんみりします。
ただ、メリリンはこの直後にローマンからの遺言が送られてくるわけで。
だいぶ労しいことになりそうなんですが大丈夫かな。

198名無しの囚人:2026/03/19(木) 01:32:07 ID:jBYVBx3Y0
161.自由
もう本当に驚きました。
まさか前回の引きからキングが勝つとは思わなかったです。

ネイVSキングは待ちに待った対決で、けれど序盤のシーンでキングは醜い。
取り乱してがなるし、ずっと退却を考えてるし、猪口才な昇降小細工をかましてくるしで、
築き上げられてきた格がどんどん落ちていくような描かれ方でした。
当然そんな小手先の攻撃はネイに通じるはずがないし、あしらわれ好き勝手言われて、順当に負けていく。
ここ半日間ほどずっと練り上げられてきた大きな流れに沿って、キングの権威がどん底に落ちた印象でしたね。

ついに世代交代が起きるのかと思っていたところで、差し込まれた『お前はなんだ』と自問自答。
俺を誰だと思ってやがると問うてきた男が、自分が何なのかを見つめ直す。
牧師から始まった無数の称号をすべて捨て、最後に残ったのは『下衆野郎』という最悪の称号。
それを見つめ直したと共に自分の根源と最初の欲求を取り戻す。
作者氏の地の文章には感情をぐちゃぐちゃに書き記したような壮絶さが見えるので、いかにして至ったかが分かりやすいんですね。
叩けば叩くほど強くなる鉄のように、人間も叩かれれば叩かれるだけ強くなるというキング父の言葉があったけれど、
キングの90余年の人生すべてを焚べて最強を創るという一節に、彼がこの土壇場で強くなれた理由が溢れていると思います。

そして、プレシードは絶望を踏み越えてこそ到達できる段階だけれど、キングはまさに今、絶望を振り切って前に進んだんですよね。
己の神に忠実であれという、神一郎の課した試練がまさかこの局面で特大の花を開かせるなんて思ってもみなかったです。

悪党とは何だ、感情と欲望のままに人を傷つけるヤツだ、というあまりの俗物ぶり。
最初小細工かましてたキングが考えた不可能を可能にする冴えたプラン、それは真正面からネイをぶち破ること。
背負っていたモノも囚われていたモノも全部投げ捨てて欲望のままに暴れ出すキングの在り様。
もうむちゃくちゃな爆走をしているのに、そこに好感を持ち、在り方を痛快にすら思ってしまうだなんて予想できるはずがない。
後先なんて考えずムカつく奴をぶん殴るのが原初の欲望なら、それに湧いてしまうのも原初の欲望なんだろうなあと思います。

そしてムカついた同士の勝敗を分ける差が、どれだけイカれているかだったということ。
いい未来を夢見た若者が倒れて、後先考えない老いた悪が生き残るのは皮肉としかいいようがなくて、
この世界がクソッタレと言われるのも、そうだよね、と思ってしまいますね。


ネイは主人公格の活躍に、メリリンとの色恋と印象深かったので、ついに落ちることに寂しさがあります。
ハッピーエンドに手をかけていたと思っていたので、彼の死を惜しむ気持ちがあるんですよね。
ただ、ストリートで孤独に死ぬはずだった男が、何の因果か惚れた女ができて、いい未来を夢見たというのは一つの救いのようでもあり。
キングが憎悪という原初の欲望に忠実ならば、ネイもまた愛という原初の欲望に忠実なのかもしれないですね。

そしてどこまでもネイらしい、傲慢で自分勝手で愛に溢れている遺言がよすぎる。
メリリンがネイを背負えることを信じて、ネイが投げたい言葉をすべて投げきる、本当に彼女を信頼しているのが分かるんですよね。

> 女が腹を括って一世一代の告白をしたのだ、それに返答できずして何が男か。
ここ、もう遺言の段階だというのに、ネイを応援してしまいます。
キルショットの返答にふさわしい、一世一代の愛の告白に甘酸っぱさすらありますね。
キルショットで主題歌流れてるんじゃないかって思ってたけど、こっちでも間違いなく音楽流れてる。
ネイのものすごい無念と、意地とが伝わってきて、一人の男の死に様としてカッコよく哀しい最期だったなあ、と思いました。

予想を外して期待を上回る、な一話でした。
キングとネイという一つのラインの決着として、予想外ながらもとても面白かったです。

199名無しの囚人:2026/03/26(木) 20:03:55 ID:kayxN2tU0
第162話「爆弾」時点
残り7人、悪童達もあとわずか
そして第3回放送以降で11人も星になってた


【対主催】
<脱獄同盟>
メリリン・"メカーニカ"・ミリアン
ジョニー・ハイドアウト
トビ・トンプソン


【マーダー】
<ジョーカー>
氷月 蓮
ヤミナ・ハイド


【その他】
<斬る>
征十郎・H・クラーク

<↑の付き添い>
エネリット・サンス・ハルトナ

200名無しの囚人:2026/04/01(水) 23:26:42 ID:iCueVpp.0
162.爆弾
キングとジャンヌの因縁もついに決着。
最初からずっと企画を引っ張ってくれた二人がいよいよ脱落して、どこか寂しくなってくる。
欧州は犯罪組織のメッカとして一つの勢力となっていたけれど、この二人の決着をもってこの軸も収束に向かうんだな、としみじみする。


少し前のローマンとキングの対峙回もそうだけれど、終わり間近に始まりへともう一度回帰するような話作りがされているのを見て、
登場話は最も書きやすいけどやはり大事なんだな、とあらためて感じた。

> 「なんだ、お嬢ちゃん」
> 「葉巻ぐらい吸わせろよ」

> 「なんだ、お嬢ちゃん」「いや……」 「ジャンヌ・ストラスブール」
> 「葉巻を吸う暇なんざ、あるわけがねえな」

ここの変化、ついにジャンヌがここまで届いたのかと思うと感慨深い。
二話目の感想でも書いたけれど、彼女はきっと愚直に邁進してキングの位置にまでたどり着くのだろうと当時感じたので、
長い旅路の果てのような対決に感じ入るものがある。
最初は両手を使わせるのがやっとだったジャンヌが、今や初手でキングに肉斬骨断を選ばせるし、
それでもジャンヌはキングの手痛いカウンターパンチから逃れ得ないという流れは、なつかしさすら感じる。
かつてはジャンヌが挑戦者だったのが、今はキングが挑戦者のようになっていたり、
すべてを奪われたジャンヌがここまでのすべてを背負い続けた一方で、持つ者であったキングがすべてを投げ捨てていたり、
キングこそが不屈を体現するようになっていたりと、
当時とは色々と逆転している要素もあって、過程も含めて堪能できるなあ、と思う。


満を持してのキングとジャンヌのバトルは、キングの身を顧みない暴力に読者すら圧倒され続ける。
失うことを恐れずに殴り抜き、業火に躊躇せず飛び込む蛮勇を見せつけて、あまりにも恐れ知らずの在り方に、身が縮み上がる思いを抱く。
重症で動きもおぼつかないのに笑い続ける、その不倒の概念に戦慄を覚える。
どれだけダメージを与えても倒せないどころか、徐々に追い詰められていき、もしかしてジャンヌは負けるんじゃないか、という不安がずっとよぎり続ける。

ただ、キングはすべてを投げ出した者で、対抗するジャンヌはすべてを背負う者。
原初の願いから、直近の日月の輝きまで、あらゆる思いを胸に抱いているので、今のキングと競り合って打ち勝つ資格は十分にあるんだよな。
すべてを捨てて仮面を脱ぎ捨てた帝王が、すべてを背負って聖女を演じきった少女に敗れる流れが美しい。


キングの死に際を彩る回想として出された夢。
公民権運動の発端になった場所を巡礼して、自分が人間なんだと納得したいというささやかながら尊ぶべき夢が、彼というキャラクターを締め括っているように思う。
この世界は間違っており、これからも間違い続けると評した男の行き着いた先は、当初抱いていた夢からはかけ離れたもののように思う。
人間であることを望んだキングの末路がもはや人間ではなく、魔物であると定義されてしまうところに一抹の物悲しさがある。
そして、キング本人は命が尽き果てるまで笑い続けているのだが、夢すら失ったように見えて、やるせなさがある。
すべてを投げ捨てたことで自由を得たのに、哀しい怪物のような雰囲気が滲んでいるんだよな。

ジャンヌは泣いている少女を見つめて前に進むことができたけれど、
キングは怒りや憎悪を抱くよりも前に存在していたはずの、泣いている少年が見えなくなっていたと解釈している。
怨敵キングへとジャンヌが向ける最後の感情が、激昂でも義憤でもなくて、憐れむように首を刎ねるのが切ない。


悪党はおしなべて孤独であるという着眼点は唸らされるのだが、ジャンヌもまた孤独に散っていったのだな。
彼女を看取るものがいないというところもそうだけれど、彼女の中にいる少女は最後まで彼女しか知らなかったというところに切なさがある。
怨敵を討ち果たしたジャンヌもまた、あの日泣いていた少女へと回帰して静かに舞台を去っていくのが悲哀に満ちている。
少女が最期に泣き止むことができたのかどうかは分からないけれど、そこも含めて聖女の死が静かに美しく彩られているんだよな。

201名無しの囚人:2026/04/01(水) 23:30:51 ID:iCueVpp.0
163.結び目
のっけからヤミナの汚染が炸裂している。
征十郎とエネリットという武と知のトップですら見逃してしまうあたり、本気で動き出した彼女の脅威度がぐんぐん高まっている。
ヤミナに知覚を向けたところで考えを捻じ曲げられてるの、結構ホラーだと思う。

エネリットと征十郎がメリリンとどう絡むのか、通信機を利用した交流は完全に意表を突かれた。
てっきり、永遠のアリスでも呼び出して世界が綻ぶのだと思っていた。
最初の通信機のシーンも、予約にいないのに蓮から来たものだと思い込んで読んでしまい、やられた〜って思った。


ローマンの遺言、ローマン側から見ると愛に溢れた言葉だったのだが、
メリリン側から見るとめちゃくちゃきつい……。
それでも、ローマンが何を考えて口に出した言葉なのか、メリリンがどう受け止めると考えて口に出した言葉なのか、二人の間で通じ合っているんだよな。
全部拾いあげていくと言った女が意を決して立ち上がるのはアツさにあふれている。
個人的に、初手で酒をグイっと飲んでから強引に身体を動かしているの、ハードボイルドに溢れていて好き。


そして、彼女が背負う者が重ければ重いほど、成果がないことの焦燥が大きくなる。
メリリンの決意が重いものだったからこそ、灯台に何もないという事実が真綿のように首を絞めつけてくるんだよな。
ローマンの遺言は『自由』回の一つの見せ場でもあったので、
そこからのメリリンの決心、そして灯台探索→成果が見つからないの流れは悪魔的な構成になっていると思う。
灯台の頂上でへたり込むメリリンの姿はバッドエンドに片足を踏み込んでいる、というか9割がたバッドエンドだったっぽく思うんだよな。
道を拓いたのはローマンから送られてきた荷物だったけれど、
ローマンが死んでいなかったらメリリンが確実にバッドエンド踏んでたことになるので、やはりこの世界は厳しいんだよな。

世界の悪意に立て続けに晒されたからこそ、
>「……私を誰だと思ってんのよ」
この一言が頼もしい。
ピンチに笑うという行為も相まって、確変とともに運命を引き寄せた感じがあるんだよな。


エネリット、本当に相談事には頼りになりすぎる男。
WhodunitではなくWhydunitだというの、読者としても目から鱗な考え方だった。
けれど必死に助けを求めるメリリンに対し、カンニングした答えは無粋だぞとばかりに遠回しなヒントにとどめるの、このワルガキめ〜って感じがする。
気付くならよし、気付かないならその程度、みたいな余裕と、若干の娯楽を感じるんだよな。
そんなエネリットを常時面白そうに見てる征十郎も含めて、こいつら悪童だなあって結論に帰結する。


世界の継ぎ目の見つけ方を、首輪解除のフォーマットに則っていくのは、なるほど〜って思う。

>「……見つけた」
> 思わず、声が漏れる。
この辺、首輪の継ぎ目見つけたときの反応とすごく似ていて、メリリンらしさが感じられるんだよな。
脱獄のキーを見つけたメリリンが蓮と再戦するのはリスクもあると思うけれど、ここで迷わず踏み出すのがかっこいいと思うのだ。
やっぱり、ここで臆さず前に進めるの、ローマンが認めた女なんだよな。

202名無しの囚人:2026/04/01(水) 23:34:45 ID:iCueVpp.0
164.春のポイントフェア
ヤミナの初登場話、こいつとんでもないカスだなー、くらいのノリで書いたのだが……。
しっかりした掘り下げ話が来たところ、虐待にも等しい笑えない生い立ちが出てきてめちゃくちゃ驚いている。
あのみみっちい欲に塗れたキャラシートの記述がここまで悲惨な生い立ちに変化するのは本当にびっくりする。
ヤミナは常にへらへらしてるイメージがあるけど、ここで生い立ち語ってる彼女には表情がないのだろうな。
四葉の生い立ちの解説でも出てきたけど、彼女もまた超力によって人格が歪み悪に堕ちた、典型的な若年犯罪者なのだなとあらためて思う。

> せめて自分くらいは、自分をまともな人間扱いしてやろうって。
この一文に彼女の労しさが詰まっている。
キングほど直接的ではないにしろ、彼女も世界に絶望していることが分かる。
壁一枚隔てたところで、他者が生きている世界があると体感してそうである。


バイクに変身するジョニー、絶対何かに変身するだろうとは思っていた。
僕はジョニーは主砲を持っているのでキャタピラを備えた戦車に変身すると思い込んでいた。
実際に出てきたバイクはたぶん鉄人ジョニーに出てきたバイクなのだと思っているが、
世紀末バイクと評されているので、ハンドルが肩より上の高いところにあるんだろうな。
実質手漕ぎで走ってるバイク、めちゃくちゃ笑ってしまった。


そして脱獄最適化の詳細がついにあらわになり、こういう話の転がし方もあるんだと目から鱗が落ちる思いだった。
前話でメリリンが見つけた綻びが、トビの求める条件とぴったりマッチしてそうでワクワクする。

>「何が出るかは、オレ様にも分かんねぇんだからよ!」
このいっそ開き直りにも聞こえる宣言、めちゃくちゃ好き。
知恵の輪だとか数学だとか、キーを一つ抑えたことでそこから一気に解決まで突き進むタイプの娯楽に通じるものがある。
そこに何が出るかお楽しみという概念も加わるのだから、脱獄ジャンキーとなるのも理解できてくるんだよな。


火事場泥棒と化したヤミナ。
この刑務は芯の通った悪党が多い中でヤミナは場違いっぽい小物ぶりだけれど、それこそが世界から爪弾きにされている彼女を表しているように思う。

ローマンもジャンヌもキングも、世界に真剣に向き合った結果として命を燃やし尽くしていた。
彼ら彼女らの決戦は、読む側からしても引き込まれるような面白い話だった。
けれどもヤミナは世界に侮られているので、そんな燃え上がる向き合い方は端から期待できず、だからこそ彼女なりに彼らの生きた証を踏みにじっていく。
イヤホンや手錠、参加者たちの首輪といった彼女らの遺品がぞんざいに扱われていくの、やっぱり辛いんですよね。
英雄譚を春のポイントフェアという言葉で最大限に侮辱してしまうのは、天を仰ぐような気持ちになるんだよな。
まあ俗な言葉で言うとだいぶヘイトが溜まるのだ。
たまに正気に戻ったように、自分は場違いなのだとうっすら理解するくだりには、哀しさも救えなさも感じる。

そして、仮に彼女の行為を糾弾したところで、そもそも見えている世界が違っているので、その糾弾すら薄っぺらくなるし、
哀れみの目を向けたのなら、冒頭の彼女の独白――誰も向き合わない軽い存在なのだという言及をなぞることになるように思う。
悪党は孤独だとあったけれど、彼女もまた、ずっと孤独だったのだろうと思わせてくれる。

203名無しの囚人:2026/04/02(木) 21:43:19 ID:mKfG3e1s0
番外7.野良犬と王の晩餐
悪のトップ会談、これは確かに見たいやつですね。
そこに何の因果か紛れ込んでしまったハヤト、もう場違いすぎて可哀想まである。


銀鈴は本編でも予備動作なしに動いてたけど、会話でも予備動作なしに直球の質問で矛先向けて抉ってくるのでめちゃくちゃ怖い。
彼女との会食には絶対同席したくない。

>「貴方は勝てるの?ネイに」
直球すぎる、ハヤトは泣いていい。
ノータイムでクリティカルヒット抉ってくるこの女、めちゃくちゃタチが悪い。
何人もの犠牲を経てようやく引きずり出したキングの本質を一発で突いてくる洞察力は恐ろしいし、
それを素直に認めるキングにヒヤヒヤするんだよな。


キング、ハヤトのことをめっちゃ可愛がってるよな……。
JUNK ROSE回でパパの写真をしゃぶってたエリック君はブチギレそう。
ハヤトはキングに毒づいてるけど、キングはだいぶ気を遣ってくれていると思うよ?

そして今回のキングは完全武装してるなあ、と思う。
銀鈴はゲスのキングなら殴り飛ばすであろう相手だが、言葉を選び、礼儀とマナーで身を包んで渡り合っている。
ただ、銀鈴は価値観がぶっ飛んでいるので、しっかり場を仕切って話を回すキングに破戒回のような気苦労が見え隠れするんだよな。
繁殖実験聞いて困惑してハヤトに共感されるキング、やっぱ笑ってしまうのだわ。
そしてこの空間でキングに助け舟を出せるモブウェイターの仕事ぶりがプロすぎてめちゃくちゃ印象深い。


キングと銀鈴だけでもお腹いっぱいなのにドンまで来るの、もう大バカでしょ。
ダブルでドンの名前が出た時笑っちゃった。悪が臨界に達して爆発しそう。
大物に挟まれて居心地悪そうに悪態付きながら、乱暴に飯を掻きこむハヤトはメンタルだけなら大物なのかもしれない。


番外8.ストレイ・キャッツ
野良犬だけど野良ネコ。
今回突如現れたキングスデイ強豪、絶対当て馬ポジションだろって思いながら読んでいた。
精鋭部隊の王の子供達! ギャング集団をたった二人で殲滅! キングス・デイ幹部も太鼓判! フラグ建築士ですねえ。
一方で新参者だったりソロじゃなくて二人組だったりキングは関知してないポジションだったりと絶妙に格が足りないの好き。

内藤四葉、これは死刑囚。治安が悪すぎる。紛うことなきチンピラである。刑務作業中は機嫌良かったんだな……。
キングス・デイの脅威が様々な視点から描かれてきた今となっては、娯楽を理由に手を出すのだいぶイカれてるなあ、と思わざるを得ない。
そりゃあ狂犬なんて二つ名がつくのも納得よ。
かと思えば人懐っこくぐいぐい話しかけてくるギャップも健在で、やっぱ魅力的なキャラだよな。

無銘と四葉の邂逅、短い間に目まぐるしく変わっていく状況が面白い。
なんともない雑談を繰り広げたかと思いきや、時計の針の音すら聞こえそうな静寂があたりを包み、
そこから爆発するように闘争に移行、する間もなく酒場丸ごと巻き込んだ大立ち回り。

> 「――――なぜ“二席開けて”座った?」
> 「そっちのが間合い取りやすいから」

ここのセンスは痺れる。二席開けて座ってるなんて初読時はさらっと流してしまうので、虚を突かれた感じがあるんだよな。
ノータイムでさらっと理由答えてくるのもあいまって、ここから一気に状況が転回加速していくのが本当に好き。
それだけじゃなくて、ここで酒場のならず者が全員銃抜いてバカバカ撃ってくるの、雰囲気に呑まれちゃうんだよな。
本編と同じく四葉は行き当たりばったりのようで最初から目的持って動いてるし、
無銘はどんな修羅場でも強者の風格に溢れた危なげない立ち回りをするしで、やっぱり悪党として段位が高いのだ。

一通りザコを潰したら即座に食欲に移行するの、いかにも我欲で生きてる感じなのでいいですね。
犯罪組織なぞ何のその、世紀末のような荒れた世界で欲望のままに楽しく生きる二人は紛れもない悪童であり、アビスにふさわしい悪党なんだよな。

204名無しの囚人:2026/04/15(水) 22:26:51 ID:fy..6.wY0

165.番外戦
読み終えてとてもすっきりしました。
永遠の現在ときっといい未来とがぶつかり、後者に軍配が上がる。
Zで山折村の多くは永遠となったけど、あのラストでも僅かな良きものは未来に繋がっていったはず。
間違え続ける世界であっても、未来を信じてそれを選び取る意思が勝つ。此度の決戦も同じだ、AとZの総決算。

オリロワAの終盤は、キングやアイアンのあり方だったり、脱獄組の進む先だったり、アビスとGPAの関係だったりに、
現状に甘んじるかより良い明日を掴むか、みたいなせめぎ合いがあると思っているので、
茶子と征十郎の対決もその流れで見れるところがある。

> ここにいない誰かへ見せつけるような、自慢げな勝者の笑みだった。
この征十郎のラスト、すごく感慨深い。大好き。
最初こそどこか満ち足りていなかった征十郎が、最後は満ちて笑って終わってハッピーエンド。
征十郎が全力で走り抜いて、一つの果てにたどり着く。頂点を掴み取って、生涯の最高潮を世界に刻み込み、悔いなく完成して果てた。
まさに刹那の生き様の体現。ああ、よかったなあ、と。

呪霊と化した茶子、どんな性格してるのか全然想像つかなかったけれど、だいたい茶子だった。
フレンドリーに見えて性格悪いところも、一枚めくると煮凝りみたいな怨嗟が出てくるところもそうだけど、
格下相手に油断して手痛い反撃喰らうところも茶子だった。永遠の停滞を選んだのでそこも引き継いでいるんですね。
かつては魔王相手にキレキレに煽ってたのに、いざ自分が魔王ポジションになると痛いところ突かれまくってメタクソに言われるの味わい深い。
寝取られたんだろwって挑発されてマジギレするの笑うでしょ。図星じゃないか。
私情を突かれると一気に不安定になるけど、災厄らしさもときおり覗くあたりがいい塩梅のキャラクターになってる。
『何ひとつ、誰ひとり、取りこぼさない』という言葉、メリリンじゃなくて永遠のアリスが言うと途端に悍ましくなるのもいいし、
>「――――私は『永遠の少女(アリス)』。山折の子よ――――貴様は何故、この美しき永遠を否定する?」
>「永遠の停滞――そんなもの、つまらんだろう?」
ここのラストバトルのような問答がとても気に入っている。

八柳流の剣技の大盤振る舞い、派手でよいですね。
朧蝙蝠とか這い狼みたいな頻出技もあり、三重の舞や体術などのほとんどみなかった技も全部乗せ。
そこに加えて、身体格差や同門対決の経験値、現代戦の経験値に場のヤクモノ利用など、様々な要素で一進一退が繰り広げられ、読み応えがありました。
世界や次元まで斬るに至った征十郎だけれど、最後の最後に決め手になったのはそっち方向のツリーじゃなかったんですよね。
最終奥義の『煌き☆青春爆斬』は八柳流の延長には絶対にないもので、タチアナと共に育んだ結果の産物。
心地よい停滞を貪っていたアリスが捨て去った道であり、これが永遠を斬り捨てる決め手になったというのが非常に感慨深い。
単純に、哉太と通じ合えなかった茶子とタチアナと通じ合った征十郎という意味でも色々と対比的だと思います。
刹那のきらめきを青春だと言い切る征十郎は最高にイカしている。


エネリット、本当に楽しかったんだろうな。
エネリットから見れば、今回の征十郎の戦いって実現可能性すら疑わしく、試合が始まっても勝ち目の薄い相手だったはずなので。
合理性なんてどこかにぶん投げた欲望100%の死合で貪欲に勝利を引き寄せた征十郎、そりゃ彼の目からもカッコよく見える。
復讐目指してる頃のエネリットって、利害でしか賞賛の意を外に出さなそうじゃないですか。
決闘の美学だってそんなにこだわりなさそうなのに、今や征十郎への賞賛を惜しげもなく外に出し、茶子の残滓を排除する。
この行動自体が征十郎に、ひいては自由にだいぶ灼かれていると思うんですよね。
最後の楽しかったという呟き、エネリットはきっと得たものがあったんだろうなと思います。

205名無しの囚人:2026/04/17(金) 21:44:55 ID:9HWxei7U0
超力評価続き

『Terminator X』
使用者:ルーサー・キング
評価:A
鋼鉄を生成して自在に操る。
拳に鋼鉄を付与、武具の生成、無数の飛び道具を射出、防壁の展開など、応用は多岐に渡る。

単純に応用性能と能力規模が突出している。攻撃にも防御にも柔軟に対応でき、鋼鉄を流体化させて操るといった芸当も可能。
とにかくやれることが多いうえにその性能自体も高く、紛れもなくオールラウンダー。
他にこれほどの自在性を披露している悪童は、他にジルドレイやフレゼアくらいである。
鋼鉄から生み出した武具は本体との距離に関係なく形状が維持されるようなので、集団戦においては仲間を即時的に武装させることも出来るか。

硬度を無視して物体を切断する征十郎の超力は、敵として見れば相性が悪い。
しかし味方として見ると鋼鉄操作によって武器を次々に供給できるので、武器破損のリスクを常に背負う征十郎の超力との相性が良いというユニークな構図になっている。


『Public Enemy』
使用者:ルーサー・キング
評価:A
超力第二段階。
全身に漆黒の鋼鉄を纏った魔人と化す。
元の超力も通常時を超える出力で使用可能。

純粋な自己強化だが、単純にフィジカルの底上げが凄まじい。被検体とも真正面から対抗できる可能性が示唆されている他、ディビット・エネリット・ジェイとの三人掛かりを終始寄せ付けなかった。
更には元々高性能である通常の超力との併用が可能なのが強い。攻防を併せ持つ武装化と規模・応用性の突き抜けた鋼鉄操作を兼ね備えているので、隙のないスペックである。

間違いなく強いものの、作中の強能力としては珍しく完全な物理依存である。防御貫通や概念干渉といった付加効果が一切ない。
そのため到達者を始めとする最上位勢との対峙においては決定力不足になる可能性は否めない。作中でも祟り神エンダに対して能力での優位を取れず、第二段階ローマンにもトラウマを克服するまで防戦状態となっていた。
尤も基礎スペックの高さや能力規模の強大さから、格下に対する足切り性能そのものは非常に高い。


『此れなるは 悪を退け闇を照らす 赫赫たる焔の剣(ケルビム)』
使用者:ジャンヌ・ストラスブール
評価:A
炎の剣と翼を展開して戦う。
純粋な白兵戦を中心に、火炎放射や炎の壁など攻防に至る応用が可能。

炎の剣というスタイルで惑わされるが、キャラシの記述よればかなり器用に使える。炎なので当然火力も担保されている。
炎を操っての攻撃、炎での防御、翼での高速移動や打撃手段・飛び道具としての使用、炎を纏って近接戦闘での追加ダメージを与える、熱を発さず単に照明として使う……など、実は極めて応用性能が高い。
なんと自身に掛けられたデバフや状態異常も炎で無効化できる。防御面ではフレゼアの超力と肩を並べる応用性能である。

ただし作中ではあまり応用的な使い方はせず、専ら真正面からの剣技や炎翼による高速戦闘で戦う場面が多い。
小技を効かせて戦うよりも当人の性に合っているのかもしれない。
また非常に優秀な性能であることは間違いないのだが、本体であるジャンヌは格上との激突や不利な条件での戦闘が多い印象。



『此れなるは 神の慈愛に灼かれし 穢れなき紅焔(セラフィム)』
使用者:ジャンヌ・ストラスブール
評価:A
超力第二段階。
炎剣と六枚羽の炎翼を展開して戦う。
超力の出力が強化され、身体機能も拡張されている模様。

前述の通りジャンヌは格上との激突や不利な条件での戦闘が多く、この超力においても偶像日月や下衆キングなど突出した面々とのみ戦っている。
そのため能力の限界値が分かりにくい部分も否めないが、既に優れた性能だった初期状態の超力から純粋な進化を遂げているので確実に強い。
少なくとも当初は全く歯が立たなかったキングとも互角の死闘を演じていたので、相当の底上げが生じているものと思われる。

206名無しの囚人:2026/04/17(金) 21:46:25 ID:9HWxei7U0
『 斬 』
使用者:征十郎・H・クラーク
評価:C〜B
武器を用いてあらゆるものを斬り裂く。
武器の状態に関係なく、対象の硬度や強度を無視して両断できる。

なんと爆炎すらぶった斬れるし、最終的には概念さえもぶった斬った。攻防兼ね備えた驚異的な性能である。
そして見てくれが刀っぽいものなら、武器が刃物である必要すらない。
単純な攻撃能力もさることながら、敵のあらゆる攻撃に対する防御・迎撃手段としても優秀なのが強い。

流石に斬撃の許容量を超えれば武器が破損するようだが、木の枝ですら能力が問題なく機能するので武器の使い分けやストックを用意できる余地がある。
メインウェポンとなる刀に加えて、迎撃用のサブウェポン(いい感じの木の枝など)を多数揃えるべきかもしれない。

斬撃特化なのでそれ以上の融通は効かないが、本体の技量さえ伴えば優秀な性能。
逆を言えば剣技に依存する異能なので、使用者の実力に左右される部分も大きいか。



『 斬 (第二段階)』
使用者:征十郎・H・クラーク
評価:A
超力第二段階。
あらゆるものを斬り裂く。第二段階へと至り、更に斬れる物が増えた。

概念的な呪縛を断ち切り、超再生能力を断ち切り、メアリーの領域を断ち切り、挙句の果てに世界の切れ目すら断ち切る。
最終的には災厄の存在である永遠のアリスにさえ超力を叩き込んでみせた。オリロワAにおける最強の攻撃性能と言っても過言ではない。

使用者の剣技に依存することは全く変わらないが、それを加味しても異能の強制力が凄まじい。
この超力を真正面から凌げる超力があるとすれば、恐らくそれもまた作中世界屈指の異能である。


『監獄の王子(charisma of revenge)』
使用者:エネリット・サンス・ハルトナ
評価:E〜A
信頼を得た相手の超力を一時的に使用できる。
信頼度によって効力が変化する他、複数の超力の同時使用や超力の譲渡も出来る。

これ単体では貧弱だが、ポテンシャルは極めて高い能力。「複数の超力の併用」「他者に対する超力の譲渡」は唯一無二のスキル。
自身の超力コンボにも集団戦での味方支援にも使える。条件を満たす必要があるとはいえ、作中での運用ぶりはシステムCと殆ど遜色ない。

作中では複数名の超力を同時運用することで驚異的なシナジーを発揮し、数々のボス戦で攻略の糸口を生み出していた。
作中の描写からして、途中で信頼度が変動しても能力を解除しない限りは発動時の出力が維持される模様。

対人関係の構築を大前提とし、信頼度によって再現率も変動するのが特異的。頼度維持や超力献上の性質上、協力者との連携・利害関係も不可欠。
常に発動条件に左右されるので不確定要素は大きく、尚且つ他者の信頼を勝ち取るための交渉能力が求められる。
極めれば凄まじいポテンシャルだが、十全な運用の為には相応の下準備とアドリブ力が必要となるピーキーな異能。

仮に多方面の配下や人脈を持つキングがこの超力を使っていたら相当えらいことになってた気がする。

207名無しの囚人:2026/04/22(水) 20:04:28 ID:c60koEKM0
番外9.アビス、かつての/猛毒
ティガード、151話時点だと縁が切れたのかな、と思っていたのだが、エネリットとめちゃくちゃ仲がよくて驚いている。
教えるのが健全な範囲の遊びだったり、エネリットに善意で人生訓を説いたり、そしてそこに裏表が見えないので、この人根っからのアウトサイダーではなさそうなんだよな。
エネリットの獄中生活が描かれるたび、彼の友人観や、交渉術の出どころなど、朧げながら見えてくる。
そして、彼の欠落は明日どうなるかわからないアビスの環境から生まれたんだな、というのを改めて思う。
だからこそ、本編で明日に前向きな感情を見出しているエネリットに良い変化を感じられるんだなあ。

パブリックエナミー回で、アイたちを舞台に引き上げてキングとの取引を舞台ごとひっくり返したの、
このあたりの諸々があって警戒していたからかなあ、とか想像がはかどる。
弁の立つエネリットが助け舟や選手交代をおこなうでなく、初手で会談そのものをおしゃかにするという手段を取るということ。
キングとの交渉自体が猛毒に通じることを身を以って知っているからこそと思うと、なるほどと思うのだ。


キングとティガードとの面会、饒舌に語るティガードがキングに一睨みされるシーン、これ虚勢だな、と感じてしまった。
ちょうど流都がウソをりんかに見破られたときと状況が似ていると思っている。
ティガードは自分の出自に誇りを持っていることが何度も示されているのだけれど、
ベニエを食べるときにそれらの品や誇りをすべて投げ捨てているのが味わい深い。
プライドと恐怖の板挟みになってやけばちになってるように見えるんですね。
ラゴを抑えきれていない=求心力が失われているんじゃないかというのは本編でも描写されていたけれど、
ここでさらなる醜態を見せてしまったことで、虚勢すらも剥ぎ取られてしまったんだろうなあ。
結局ベニエにアレルギー性の食物はなく、キングの前で道化を晒しただけ、つまり虚仮にされている。
面子を潰されたとなれば、外で反キングス・デイの狼煙をあげても付いてくる人は限られそう。
ベニエにがっつくティガード坊やという揶揄とか、一生ついてまわりそうだもんな。
独房での死亡は自殺だと思っているけれど、それこそが最期に残った彼のプライドだったのかもしれないと思うところがある。

逆に、キングは情報と小道具一つでかつての敵対勢力の首領を叩き潰したわけで、
その周到さと底知れなさに震えるものがある。
面子を重んじるマフィアが、殴られたことを不問にするという選択を取れることに戦慄する。
そしてキングにはこの結末が見えていたはずで、今回キング自身からは一切手を出さなかったことが、逆に裏社会の帝王の底知れないフィクサーぶりを浮き上がらせているのだと思う。

208名無しの囚人:2026/04/22(水) 20:08:26 ID:c60koEKM0
番外10.アビス、かつての/浪漫
夜更けにこっそり抜け出して満天の星空を見に行く。
子供らしい大冒険でしんみりする。
未知と宝物がそろっていて、それに見合う結果があって、この一件は今もエネリットの中で強烈に印象づいているんだろうなあ。

エミルは人格がアビスっぽくないなあと思ってたらだいぶ気の毒な境遇。
隕石落としはそりゃ制御できるまで隔離するしかないのは仕方がないのだけれど。
設立から今まで、こういう子たくさんいるのだろうな。
壮絶な運命をたどりながら、お兄ちゃんとして振る舞い続ける彼は間違いなく善性だけれど、
同時にエネリットがいることが生きる力になっているんだろうな、みたいなことも思う。

イリア婆さんにマーカス爺さん、アンドリュー刑務官も含めて、エネリットのまわりに善性の人が多い気がする。
あるいは、彼が記憶しているのが善性の人間ばかりなのかもしれないが。
違反に目をつむって、子供たちの浪漫を静かに見守るアンドリュー刑務官は間違いなく"大人"なんだよな。
無事に出所できる囚人など数えるほどしかおらず、友好のある人々が欠け落ちていく中で、
彼という無事に外に出た知り合いがいるということ、どこか安心するところがあるんだよな。


イリア婆さんとマーカスの爺さんに何があったのか。
推測しかできないし、答えが書かれるものでもないのだけれど、個々の営みがふと見えるのは好き。
前話のティガードの件も含めて、たぶんこうなんだろうなってのがふんわりと見えてくるような文体だなあ、と思っている。
それぞれの登場人物が胸にその人だけの感情をしまって生きているというのがよく分かる。

ただ、蓮についてはそこが一転して不穏であり。
蓮は一見温厚で物腰柔らかな人間に見えるけど、一貫して不気味な存在なんですよね。
エミルたちの背後から黒い影と共に現れて、栞を見つめている登場描写、読者にしかわからない不吉さがあるのだ。
エネリットとエミルに外に行くように焚き付けたのは蓮だけれど、
エミルが命を落とすまでのあれこれすら、ひょっとして蓮が糸を引いていたのでは? みたいな邪推はできてしまうんですよね。
そもそも彼はアビスに入獄前、そういうことをやれていた人間だし、最初から栞を狙っていたらしいことは確定なので。
彼が決定的なことをおこなう場面は一切なく、仮に彼がいなくともエミルの運命は変わらないのかもしれないのだが、
邪推が積み重なって不穏感だけが残っていくように感じるのだ。
やっぱり、キングも含め、本編に出ている人間に関しては他と一線を画した凄みや怖さがあるなあ、と思っている。

209名無しの囚人:2026/05/20(水) 22:58:25 ID:EMNoH5E.0
166.俺たちに明日はない
システムCを通したありとあらゆる超力を使って襲い来るヤミナと、それを的確に捌いていくジョニー達。
元の持ち主がいかに練度を重ねてきたか、超力運用型のエネリットや清彦がどれほど高いセンスを持っていたか、戦いを通してあらためて浮き彫りになりますね。
アビスの犯罪者は、世界から隔離された巨大監獄にふさわしい猛者たち。あらためて振り返らされます。

ヤミナVSジョニー、相性のいい清彦の超力で対抗可とはいえ、全体的にはジョニー優勢。
必死で作り出した必殺すら阻まれ、神さまに嘲笑うように求める彼女はただただ哀れだけど、
ここからのひとときは、おそらく彼女の生涯で最も真剣に相手と向き合ってもいるのだと思っています。

システムAの手錠による決着、システムCという抜け道には同じ抜け道で対抗されるという帰結は好みですね。
僕は紗奈が脱落してから手錠の在りかを意識してなくて、エネリットが持ってると思ってた体たらくだったわけですが。


無数の武器で武装したヤミナだけど、そこに混じったカッコいいサングラスとステッカーには思うところがあって。
ポイントを大盤振る舞いして武器で固め、玩具を振り回すその様は、子供の癇癪のよう。
そこに、彼女は成長を奪われた子供なのだという描写を見出せると思っています。
精神の成長が彼女には足りず、歪みとして表出したとも思うので。

ジョニーは真摯に人や世界と向き合ってきたからこそ、ヤミナにも真摯に向き合い、諭すことができる。
もちろん、安理やメリリンも人に向き合うことはできるのですが、彼女に救いの手を伸ばすならば、ジョニーが適任だと思っています。
安理もメリリンも、今日ここで背負うことを決めた者で、これから自分だけの人生哲学を作りあげていく側の人間なので。
そして、ジョニーは哲学や人生訓を自分の中で成熟させている者なので。
誰もがヤミナから遠ざけた人生訓を教え諭すのならば、ジョニー以上の適任はいないと思っています。
帰る場所がない人に帰る場所を。仲間が生きた証を紡いでいく。過ちを知り、罪に寄り添い理解する。
オーシャンズのメンバーたちがそうありたいと抱いていた在り方を、ジョニーが代理人として体現しているようで良いですね。

オーシャンズのメンバーの最後に、ダッシュを挟んでヤミナの名前が記される箇所。
除名されて集合写真から消された裏切り者が、最期に名前を載せる許しを得たような演出が感慨深くて、うるっと来たんですね。
罪を自覚し、あの世で責任を取ることを心から受け入れた瞬間だと思っています。
世界を歪める人間が、世界の一員として受け入れられるという帰結。
そして責任を果たしたご褒美として用意されるのは次の主役の席。
確かに、彼女にとってこれ以上の救済はないのだろうと思えるわけです。

ヤミナは他責的で良心に呵責がないので、罪と罰、償いと許しの理解から遠いところにいる。
だからこそ、登場人物全員悪人のメインテーマに接続して、悪から付随するテーマを包括的に描写するのにふさわしい。
刑務所舞台の企画にふさわしい、本質のような一話が読めたこと、本当に感慨深いと思います。


番外11.アビス狂狼録
分かりやすい横暴な看守がいて、一周回ってしみじみ。
話の分かりそうな看守多かったですからね、看守は社会復帰の指導員なのでそれが正しいのですが……。
誠二は狂暴だけれど、刑務作業組にはまるで相手にされず、剰え挑発に激昂する様子、哀しいかな格の違いを感じますね。
刑務作業組、簡単に心が折れるキャラは少なそうなので、彼が安らいで眠れる日はあんまり多くなさそう。

キングがやりたい放題やってるアビス、法令順守はどうなっているのと思ってたので、ちゃんと粛清してるのか、と。
番外10のアンドリューなんかのいい感じに融通利かせてくれる看守とはトレードオフなのかも。
誠二をキングの狗に引き込もうとする看守はちょっと命知らずが過ぎるのですが、諸々込みで規律は緩んでいたのかもしれない。
そして誠二のような刑務官が優勢ならば去るのもさもありなん。
別の退職理由があるけれど、その進退はどこか象徴性を見出せると思っています。
現在、ヴァイスマン評だと七割くらいは刑務作業に賛成しているんですよね。

僕は誠二をヴァイスマン派だと思っていて、乃木平-ヴァイスマン体制になってからアビスに引き入れられたと思っています。
差別主義者かつ秩序の狗って、ヴァイスマンからすればめちゃくちゃ管理しやすそうなので……。
怒り狂う前にマーガレットとかカーネルが出てきて阻止しているのもあって、見えない首輪付けられてそうだと思っていますね。

210名無しの囚人:2026/05/27(水) 23:40:51 ID:EOld6QaA0
167.魂の冒涜者
冒頭の名無し犯罪者もまた、人の指令を受けて悪を為すサイコパスだけれど、蓮とは役者が違いますね。
サイコパスだから厄介なんじゃなくて蓮だから厄介なんですね。

アイは可能性の塊ではあったが、生きているときも死んだ後も何も知らされずに逝ったように思っています。
魂に守られていたことも、それを蓮に突き破られて死亡したことも知らされず、流都も意図的に加減したっぽい?
ただ、彼女は贖罪以前に善悪を論じる前の世界の住人なので、
善悪を深く知覚せずに、両親に手を引かれて去っていくのもそれはそれでらしいのかもしれないとも思うんですね。

一方で流都は罪を贖い続け、けれども自らの業を受けて運命を悟り消滅する。
罪や罰とは別軸に、彼は因果応報を迎えたのだと思っています。


意外と連はエネリットへの湿度が高かった。
確かにエネリットと蓮は駄弁りすぎて日月にキレられていたのだが、エネリットの矢印は細そうだったので。
これ時系列的に、エネリットは今メリリンに情報を渡しているんですよね。

この刑務に選出された面々は、みんな覚醒の素質を備えているけれど、特別選出枠は数少ない例外。
その例外たる蓮の凡庸性が、ここにきてピックアップされるとは思わなかったですね。
強い絶望も苦難を乗り越える意思もすべてに勝る愛も、何も持たない彼はプレシードの条件に何一つ至らない。
そんな彼が新しい進化を掴めるかという問は、いい視点だと思いました。
ちょうどエネリットの復讐論――必要なのは感情なのか、手順なのか、に少しリンクするようにも思いました。

前人未到の魂への意図的な死を刻み込めるなら、それは人間の新たな可能性となるというロジックがとても良い。
蓮は世間や善人という型に嵌められ、苦悶の中で足掻き、この刑務にあたって己を己のままに解き放っていった人物なので、
可能性を解き放つという行為は彼の生き方を暗に辿っているようにも取れる。
歪んだ形であっても自分の生き方を実証できるのは、ある意味待ち望んでいたことなのかもしれないですね。
あと、彼が命を解体したのは知的好奇心がきっかけだと思っているので、
臨死体験を経て魂を知覚したことで、それに思いを馳せるのはある意味彼らしいのではないかなと思っている。

211名無しの囚人:2026/05/30(土) 07:00:38 ID:W71MvBjE0
刑務終了までの超力暫定評価、続き

『私は哀れな被害者です(ワールドハッキング)』
使用者:ヤミナ・ハイド
評価:C
常時発動型能力。他人からナメられやすくなる。
あらゆる相手から存在を侮られるようになり、司法にさえも甘く見られる。

当初はギャグ補正も同然の描写が目立ったが、刑務終了前に概念干渉能力としての真相が発覚。
ヤミナが腹の底に抱えていた叛意を作中の誰もが感知できず、“ナメられる”ことで一切の推察を跳ね除けていた。
そしてその能力によって完璧な不意打ちを叩き込んでみせるなど、隠密・認識阻害としての協力な性能を見せつけた。

とはいえ概念干渉によって結果的にステルス化してるという仕掛けなので、例えばフレゼアやジルドレのような受刑者から無差別的に攻撃を仕掛けられたら普通に詰む可能性は否めない。
本当に姿や気配を消している訳ではないため、ヤミナ自身の悪運(もといギャグ補正)があってこそ最終盤まで生き延びてた節はある。

この超力は作中同様、逃げに徹するよりも積極的に闇討ちを狙ってこそ猛威を振るう気がする。
“察知困難な不意打ちを可能とする能力”と考えると、暗殺者に積ませたら相当な脅威になりそう。


『飢える愛に影はなく(イズ・ディス・ラヴ)』
使用者:本条 清彦
評価:D〜C?
“我喰い”ではなく清彦本来の超力。常時発動型能力。
自らの気配を希薄化し、存在感を薄くする。

回想によれば清彦はこの超力によって周囲から疎外され、サリヤと出会うまでは完全に孤立していた。
作中では普通に真正面から捉えられて殴られたりする場面が少なくないが、我喰いに取り込まれたことよる超力劣化が働いているものと思われる。
本来なら作中で披露されたものより高度な性能を持つ可能性が高い。とはいえ敵意を希薄化することでローマンの超力を回避するなど、相性次第で機能した場面もある。

システムC子機で使用された際には不意打ちや回避で一定の活躍を見せていたので、恐らくあれが実際の性能に近いか?


『殺人の資格(マーダー・ライセンス)』
使用者:氷月 蓮
評価:暫定C
これまた常時発動型。殺人の最適解となる手順を知覚する能力。
どれだけ可能性が低くとも、殺せる余地がある相手ならば確実にその手順を認識することが出来る。

恐らく格下〜同格相手の封殺性能は非常に高い。作中では亜人としての脅威的な身体能力で襲い掛かった叶苗を瞬殺している。
ただし格上相手には詰む可能性もまた高い。少なくとも完全なチューニングを果たす前の偶像日月には手詰まりとなっていた。
使用者と相手の力量差に依存する部分が大きく、強力ではあるものの過信すべきではない。

殺人の遂行に使用者自身の実行性が求められるので、実はフィジカルの底上げが必要になる超力かもしれない。
物資や手段の確保など、手順を導き出すための下準備も重要となるか?

212名無しの囚人:2026/05/30(土) 07:01:31 ID:W71MvBjE0
『スラッガー』
使用者:トビ・トンプソン
評価:暫定D
自身の身体を軟体化させる。
軟体によって物理攻撃を防いだり、閉所へと潜り込んだりすることが出来る。
作中終盤でこの能力にまつわる真相が語られたが、あくまで軟体化能力として評価。

トビの戦闘シーン自体が殆ど無いので全容は不明瞭ではあるものの、少なくとも対被検体戦線では非戦闘員として扱われていたので作中描写された以上の大それた手段は無いものと思われる。
軟体化によってエルビスのパンチをも凌げる他、地面を滑るように高速移動するなどの小技も効く。
とはいえ基本的には小規模な能力行使に留まっており、物理防御力以外は本体の練度にほぼ依存している感は否めない。

作中においてもトビはあくまでこの能力は補助的にのみ使っており、専ら当人の不敵な行動力こそが最大の武器めいてる。


『鉄の騎士(アイアン・デューク)』
使用者:ジョニー・ハイドアウト
評価:暫定B
鉄屑などの金属を取り込んで自身の肉体を改造する。
ジョニーはこの超力によって全身を金属に置換しており、四肢を自在に武器へと組み替えることが出来る。

意外と全力の戦闘描写に乏しい能力だが、武器化した腕で近接戦を行ったり鉄屑を飛び道具として射出するなど遠近共に対応が可能。
作中では山折村の遺物を取り込んで“永遠”を付与したりなど、金属という枠組みであれば能力の拡張性も高い。
更に特筆すべきは肉体変形の自在度で、長射程投石機やバイクなどもはや人の形すら厭わないレベルでの自己改造が可能。

拡張性と自在性の高さによるポテンシャルを備えているが、恐らくジョニーが生身の肉体を捨てているからこそ此処までの自己改造が可能になっているものと思われる。
この超力を最大限に機能させる為には大量の金属を確保し、尚且つ人間としての肉体を手放す覚悟を持つことが必要になりそう。

213名無しの囚人:2026/05/30(土) 07:02:13 ID:W71MvBjE0
『補え、私の愛する人工物質(モルデオ・アルティフィシアル)』
使用者:メリリン・"メカーニカ"・ミリアン
評価:暫定D〜C
金属やプラスチックなどの人工物を自在に変形・成形する。
物資さえあればドローンなどの機器を作り出せる他、機械の解析を行うことも可能な模様。

何はともあれ物資確保が必須となる超力であり、金属さえ確保すればその場で即席の武装を作り出せる。
全身防具やボルトによる銃器、更にはドローンなど自在性は高いが、作中の描写からして戦況を左右するような武装を即時的に生み出すことは難しいか。
単独戦闘においてもローマン相手に一度は優位を取りつつも結局は反撃を許したりなど、やはり戦闘面で際立って強力な印象は薄い。

この超力の本領は寧ろ戦闘外にある。一時的とはいえシステムB子機の解析に成功するなど、機器の解析・加工という面では間違いなく無二の資質を持つ。
作中においては首輪解析の要として扱われたことも含めて、“非戦闘系の超力”の存在感を示すような能力である。
とはいえ現場での武装生成によって一度はローマンの包囲を果たし、対被検体でもパイルバンカーでの応戦を行ったりなど、補助系能力としては十分に破格でもあるか。

もしもブラペン以降も集団戦が続き、尚且つ物資の確保が進んでいたならば、共闘者たちを加工品で更に武装させるメリリンが見られたかもしれない。
またローマンの言及によれば「無人ステルス飛行機やら潜水艇やら」が麻薬密輸で用いられたらしく、時間と物資さえ用意すれば更に大規模な機械を作り出せる可能性は高い。
物資確保の手段が限られるデスゲームにおいては手数が限られるものの、恐らく組織犯罪という土台の元では相当なポテンシャルを発揮する。


『鼓動を打て、機械仕掛けの魂(コラソン・デ・イェロ)』
使用者:メリリン・"メカーニカ"・ミリアン
評価:暫定D〜C
メリリンの超力第二段階。
形ある無機物に対して、“対話”によって更に高度な金属加工・機器解析を行う。

遂に首輪解除をも成し遂げた超力であり、物質への干渉や加工というスキルを更に伸ばしている。
戦闘面でも限られた物資から“機械の獣”を形成して自立稼働させたりなど、より強力な自在性を獲得している。
とはいえ基本的には元の超力から大きな変化はなく、あくまで純粋拡張版に留まっている。
戦闘能力としてはエネリットによる超力又貸しで若干出力が低下した氷月に対して幾らか優位を取れる程度で、やはり際立った強化要素は薄い。

進化前と同様、戦闘以外での有用性の方が目立つ能力である。首輪解除をほぼ単独で成し遂げているなど、補助系能力としてはやはり突出している。
元の超力でも欧州への犯罪航路確保に大きく貢献したらしいので、この第二段階超力を用いれば更なる犯罪産業革命を起こせるのかもしれない。
元々でさえ十分な物資と時間さえ確保すれば凄まじいポテンシャルを発揮する能力だったので、より高度に進化した第二段階も推して知るべしである。


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