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ゆきぽ いじめ・虐待専用スレ 二匹目

1名無しさん:2014/12/28(日) 20:54:19 ID:TwY.BIKo
ゆきぽ(ぷちます版雪歩含む)の精神的・身体的・性的ないじめ,虐待,陵辱,拷問,四肢切断,スカトロ等々、本スレ・キャラスレ・エロパロスレに書けないような妄想を垂れ流す隔離系スレッドです。

虐待以外のゆきぽSSは事前にスレ住人と相談の上で投下の可否を決めて下さい。

虐待ネタが嫌いな方は見ないで下さい。

気に入らないネタがあっても非難せずにスルーしてやって下さい。

ゆきぽ以外のアイマス系いじめ・虐待の話題は別スレでお願いします。

ぷちます! 隔離スレ・SSまとめwiki( http:putimaskakuri.wiki.fc2.com/m/ )

2SS作者様へ:2014/12/28(日) 20:55:37 ID:TwY.BIKo
・盗作防止の為、トリップ推奨です。

・書き溜めは可能な限りお願いします。

・他の方の投下中の割り込みはできるだけ避けましょう。

3名無しさん:2014/12/30(火) 05:06:52 ID:QI8Ht7eM
スレ建てるなら宣言なりしろよ…
馬鹿なの?アホなの?ゆきぽなの?

4名無しさん:2014/12/30(火) 13:12:20 ID:50.oWF3Y
とりまスレ立て乙です。

5名無しさん:2014/12/30(火) 16:54:25 ID:dYYdJGkU


ぽえの形の続きはよ

6名無しさん:2014/12/30(火) 19:53:23 ID:a22ng9Cg
ぽえの形、これで終わったら酷い作品ですよね。
まず、ベビまこちーは燃えないと思うんですが…
マーガリンに火のついたマッチを接触させたら炎上するか、と言われたら、『しない』ですよね。
トンデモ理論で構わないので続きで説明が欲しいところ。

7名無しさん:2014/12/31(水) 00:05:30 ID:PN9Gd38.
俺としてはまこちーが燃えるとかどうとかはどうでもいいんだ

あの文体のママ着地していくのか

また最初のような文体に戻っていくのか

それが楽しみでしょうがない

8ボンバヘッ:2014/12/31(水) 01:44:26 ID:7YogKWBQ
「…zzz…ぽぇー」

765プロ事務所の床に穴を掘ってその中で寝息を立てている、この子の名前はゆきぽ。床に穴を掘る度に何度も叱られているのに全く反省しません。

P「ふざけやがって…」チャキッ

アイドル達「…」タプン カラッ スッ

穴の中でお休み中のゆきぽを取り囲むPとアイドル達。手には何やら物騒な物が握られています。どうやら、これ以上は言っても無駄と判断したようです。つまり、殺る気です。

P「Yo、party time!」

アイドル達「パティーターイ!」

春香「ボンバヘッ!(ボンバッヘッ!)ボンバヘッ!(死刑だ!)燃っえっだっすよーなー!あっつい鉛(約350℃)!」 ドロッ ジュウゥ…

ゆきぽ「pon gaaaaaa!」

P「ボッ、ボッ、ボンバヘ!ボッボッボンバヘッ!」

雪歩「ボンバヘッ!(ボンバッヘッ!)ボンバヘッ!(警告を!)無っ視っしって掘ったー!今度も穴をー!」 スコップ ブンッ!

ガチンッ!

ゆきぽ「pui aaaaaaaa!」

P「Everytime fuck you!何時でもkill you!殺りたいおーもいが〜ぁ〜!」

真「ボンバヘッ!(ボンバッヘッ!)ボンバヘッ!(死刑だ!)ゆきぽをボクが 見つけて kill you
今度も熱くなる!!」真っ赤に焼けた鉄パイプ

グサッ

ゆきぽ「pau aaaaaaa!」


一同「(ゆきぽの存在を)かきけすためのDance 2 Dance !」 凶器装備

ゴッ!ゴッ!ゴン!バキッ!
ボキ!ボキ!ガン!メリッ!

ゆきぽ「pon gyaaaaaaaa!!!」

ボンバヘッ 終わり

9名無しさん:2015/01/01(木) 22:53:25 ID:IiJjqokE
2本チェックするのめんどくせーから、わざわざ専スレ立てんなよ

10名無しさん:2015/01/02(金) 18:23:13 ID:ETV9/Px2
書き手側からするとゆきぽ専用のスレがあった方がありがたいです。
ぷちます!いじめ 虐待でゆきぽ

11名無しさん:2015/01/02(金) 18:28:47 ID:ETV9/Px2
>>10の続き

ゆきぽネタが続くと、ちょっと投下見送ろうか、みたいな気になります。特に私のような小心者は。
あまり歓迎されていないスレみたいですが、立った以上は皆で頑張って良いスレにしたいですね。
近々SS投下します。

12名無しさん:2015/01/03(土) 23:34:15 ID:g4nNpHZ6
ゆきぽ以外の虐待を読みたいという意見は理解できるが、
あのクズは嫌われっぷりが凄すぎるからなぁ…
軍事力比でいうところの米軍より圧倒的だろ

13ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:33:26 ID:5S54kiiA
「ん〜しょ、ん〜しょ」

新年早々、両手に書物を持って給湯室に向かっているこの子の名前はゆきぽ。一体何をしようとしているのでしょうか?

話は3日程前に遡ります。

以下回想

年末とあって事務仕事は大忙し。P、音無さん、律子、それにちっちゃんとぴよぴよも事務作業に追われています。

馬鹿なゆきぽはそんな事お構いなし。暇なので誰得のお手伝いを試みます。

ポチッ ぐいっ ジャ〜〜 スッ(スプーン すいっ まぜまぜまぜ〜 ひょい とてとて スッ

ゆきぽがお茶を淹れてPに差し出しました。

P「ん?ああ…そこに置いといてくれ、後で飲むから」

ゆきぽ「ぽえ?」

Pのそっけない態度に少し戸惑うゆきぽ。良い子の自分がせっかくお茶を淹れてあげたのに。ゆきぽは憤慨します。
この子はたまにお手伝いっぽい事をします。それは人間のみんなに誉めて欲しいのと、『自分は他のぷちたちとは違う』とアピールする為です。下心しかありませんね。いわゆる良い子ぶりパフォーマンスです。
『肩たたき』『床掃除』もたまにやりますが、いずれも大してありがたくありません。『床掃除』に至っては途中で寝てしまう始末。それでも本人はお手伝いをした気でいましたし、それに対して他者に感謝を要求する事に関しては一丁前です。

ゆきぽ「ぷうぅぅぅぅ…」プクー

感謝を求めていたのにそっけなくされたゆきぽは不満そうに頬を膨らませます。

14ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:34:43 ID:5S54kiiA
P「何だその顔。もしかして誉めてもらえるとでも思ったのか?」

ゆきぽ「ぽえっ」コクン

当然、といった風に頷くゆきぽ。しかしPは

P「あのな、頼んでもないし必要ともしてない事をして、何で感謝されると思えるんだ?馬鹿が」

ゆきぽ「ぽ…え?」

返ってきたのは感謝とは真逆の言葉でした。

小鳥「それにゆきぽちゃん?沸かしたお湯をポットに入れる時にいちいちぴよぴよを呼ばないで。ぴよぴよは仕事中なんだから」カタカタ

ゆきぽを見もせずに音無さんが言います。

P「全くですね。忙しいぴよぴよをラッパ吹いてよびつけるなんて、どんな神経してるんだか」カタカタ

律子「ぴよぴよも、ゆきぽの自己満足に付き合わなくても良いのよ。あんたは仕事してるんだから。暇なゆきぽの道楽まがいのお手伝いなんか無視していいからね」カタカタ

ぴよぴよ「ぴっ」カタカタ

P「で、ぴよぴよに重いヤカン持たせてお湯いれさせといて『お茶淹れたから誉めて』か?ぴよぴよが仕事を中断する分マイナスなんだよ、お前のお茶汲み」カタカタ

仕事の手を休める事なくゆきぽに辛辣な言葉を投げかける事務所の面々。

ゆきぽは悲しみに顔を歪めます。そしてぽてっとした手で全身をまさぐり始めました。穴を掘る前兆です。

ちっちゃん「めっ!」ダメダヨ!

気付いたちっちゃんがゆきぽを諌めます。他の人達もゆきぽが何をしようとしたのか、仕事をしながらでも大体見当は付いたようです。

P「あ、穴掘ったらお前殺すから」カタカタ

ゆきぽ「ぷい?」ピタリ

律子「この前プロデューサー殿に頼まれて買ってきたノコギリなら備品ロッカーの中ですよ」カタカタ

小鳥「使うのなら下に何かひいて下さいね。床が汚れるのイヤですから」カタカタ

ゆきぽ「ぽ…」ゾクッ

ゆきぽの動きが止まります。皆が本気で言っているのが本能で理解できたからです。

15ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:35:50 ID:5S54kiiA
ゆきぽ「ぱう…」ジワッ

ゆきぽ「ぽ、ぽえぇぇぇぇ〜ん;;ぽえぇぇぇぇん!;;」

辛辣な言葉、冷たい態度、明確な殺意にゆきぽは泣き出しますが、

P「泣いてる時は食って寝てる時の次くらい手が掛からないからな。そのまま泣いててくれ」カタカタ

律子「一度に一つの行動しか出来ませんからね、馬鹿だから」カタカタ

小鳥「涙とか鼻水は床にこぼしちゃダメよ。床が汚れるのイヤだから」カタカタ

ゆきぽ「ぷぃ〜;;えぐっ、ひっく…ぱうぅぅぅ〜;;」ボロボロ

泣き出したゆきぽにも容赦なく浴びせられる言葉の暴力。年末進行で皆、気が立っているのでしょう。そんな状況で無神経な行動を取ったゆきぽは、皆の苛立ちの格好の捌け口となってしまったようです。

その後、事務所の面々は泣きじゃくるゆきぽを完全無視して事務仕事に集中、ゆきぽは出社したアイドルに段ボールに放り込まれました。

さて、このゆきぽ、プライドだけは一人前でした。自己評価もかなり高いのです。
先ほど事務所の皆が冷たかったのは、お茶汲みをぴよぴよに手伝わせたから、と判断。当たらずとも遠からずです。いつもなら被害者ヅラするゆきぽにしては中々良いところに気がついたと言えるでしょう。
しかし、そこは自己評価が異常に高いゆきぽ。
『ぴよぴよなんかにやってもらわなくても、お茶汲みなんてひとりできるもん!』と考えてしまいました。

回想終わり

16ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:37:57 ID:5S54kiiA
そして今日、初めての『一匹でお茶汲み』を決行する事に決めたゆきぽ。いつもより早めに目が覚めてしまったようです。同じく事務所暮らしのあふぅとぴよぴよはまだ寝ています。

お正月なので、事務所には今、誰もいません。何かあったら大惨事なのですが、そこまで頭はまわりませんし、『きっと大丈夫』と根拠のない自信にあふれているゆきぽ。まずはデスクの下の引き出しを全部開けて書類や書物等を給湯室に運びます。どうやらこれらを積み上げて踏み台にするようです。
ある程度給湯室に運んだら、コンロの下にそれらを積み上げはじめます。当然開けた引き出しは開けっ放しです。
自分の背丈程に積んで踏み台の設置は完了。

後はいつも通りにお湯を沸かします。ヤカンから「ピー」と音がしました。
ゆきぽはヤカンをコンロから下ろそうと踏み台を上ろうとしましたが…

グラッ

ゆきぽ「ぽえっ?」

ただ単に書類や書物を積み上げただけの踏み台は、踏み台としての体をなしていません。ゆきぽが両足をかけた瞬間、崩れてしまいました。

しかし運動神経はそこそこあるゆきぽ、踏み台が崩れる前に手を伸ばして何とかコンロによじ登る事ができました。

ゆきぽ「ぽえっ」ヨロコビノポーズ

ヤカンをコンロから下ろそうとヤカンに近づくゆきぽでしたが、

ゆきぽ「ぷいっ!」アツイ!

足の先を火傷してしまいました。コンロには火がついたままです。ゆきぽは火を着ける事はできますが、消した事はありません。着ける事ができるといっても点火スイッチ周辺をアバウトにスコップで叩く荒っぽい方法ですが…
仕方がないのでコンロに火はつけたままヤカンを運ぼうとします。足をなるべく火に近付けないように、へっぴり腰でヤカンの取っ手を掴むゆきぽ。何とかその状態でもヤカンを持ち上げる事に成功しました。力だけは一人前ですね。
ただ、やっぱり重たいようです。それもそのはず、この馬鹿はヤカンに目一杯水を入れていたのですから。
プルプルしながら下に降りようとするゆきぽでしたが…

17ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:42:59 ID:5S54kiiA
ゆきぽ「ぽ、ぽえ?」

今頃気付いたようです。登った時の踏み台は、もう崩れている事を。それはつまり、ヤカンを下に降ろすのは不可能だという事を意味します。仮に踏み台が健在でもヤカンを持って踏み台に飛び降りなければならないので、いずれにせよ穴だらけの計画なのですが。

ゆきぽ「ぽ…」サーッ

計画の破綻に気が付き青ざめるゆきぽ。事務所には今、人間は誰もいません。ぴよぴよやあふぅはまだ寝ています。助けを呼ぶ事も出来ず、パニック状態。ヤカンを持ってオロオロしていると、腕の一部が熱くなったヤカンに接触しました。

ゆきぽ「ぷいあーっ!」アツイヨー!

ヤカンに接触した腕を取っ手から離してしまいました。もともとデカイ頭とデカイ尻尾、小さな体というアンバランスな体つきのゆきぽ。それに加えて満タンのヤカンを片手で持ったらどうなるのか?答えは簡単です。

ゆきぽ「ぽ?ぽやぁーっ!」グラッ

ヒュー…

バランスを崩したゆきぽはヤカンごとコンロの下に転落。転落の際にヤカンの蓋が外れました。そして床に落下した時、ゆきぽの顔の前にちょうど蓋が外れたヤカンの注水口が。

ガランッ!ザブッ!

ゆきぽ「ぽあんぎゃあぁぁぁぁっ!!」ゴロゴロ

ヤカンの注水口に顔を突っ込む形で転落したゆきぽ。あまりの熱さに床を転げ回ります。その際に尻尾がヤカンの取っ手に引っ掛かってしまいました。転がる反動で取っ手を軸に倒れこむヤカン。負荷がかかり一瞬転げ回る動きが止まるゆきぽ。当然注水口はゆきぽの背中を向きます。うつ伏せ状態のゆきぽの背中に注がれる熱湯。

18ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:46:23 ID:5S54kiiA
ザバアッ

ゆきぽ「ぽごあっ?!ぷぎぃ、ぱうぅあうぅーーっ!!ぱうぅあぁぁああ!!!」ゴロゴロ ガランガラン

取っ手が尻尾に引っ掛かっている為、熱々のヤカンからは逃れられません。のたうち、転げ回る度に火傷が増えていきます。

騒ぎに目が覚めたぴよぴよ。事務所のデスクの下の引き出しが全て開いている事にまず驚きます。そして給湯室からは苦しそうな呻き声。給湯室に向かったぴよぴよが見たものは…。

火がついたままのガスコンロ

散らばった書類や書物等と水浸しの床

そして尻尾にヤカンを引っ掛けて体中真っ赤に火傷したゆきぽのすすり泣く姿でした。

自分では手に余ると判断したぴよぴよ、メールでP、音無さん、律子に事務所に来るよう伝えます。
律子から返信。今実家だからすぐには無理との事でした。肩を落とすぴよぴよ。自分で何とかするしかないのかな…そう考えていた矢先でした。

小鳥「うわっ、何これ?!引き出し開けっ放しで。どうしたの?ぴよぴよ、何かあったの?」

音無さんが来てくれました。音無さんは実家に帰ってはいなかったのでした。

小鳥「私が正月の事務所暮らしのぷちのお世話係なのよ。…最近両親と顔合わせると『孫の顔が見たい』とかうるさくて…そんな事より何があったの?」

ぴよぴよ「ぴぃ〜…」フルフル ワカラナイ…

ぴよぴよに導かれて給湯室へと向かった音無さん、事務所とは比べものにならない惨状に唖然とします。

ゆきぽ「ぽえ〜…;;」カタカタ

状況から見てゆきぽが何かしたのは明らかですが、とりあえずは後片付け。コンロの火を消し、床に散乱した書類や書物等の整理、開けっ放しの引き出しを元に戻そうと音無さんは考えました。

小鳥「後は水浸しの床と…ゆきぽちゃんの手当てね。病院に連れてかないと…って正月だからやってないのよね」

ゆきぽ「ぱうぅ…グスッ;;」

19ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:47:55 ID:5S54kiiA
探せば診察してくれる病院はあるのですが、ないと決めつける音無さん。ゆきぽごときの為に調べものをする気にはならないようです。

ガチャッ

P「どうしたぴよぴよ?…なんだこりゃ?引き出しが全部開いて…」

少し遅れてPが到着。

小鳥「明けましておめでとうございます、プロデューサーさん。見て頂いた方が早いと思うので給湯室の方へ」

音無さんに言われ給湯室に向かうP。Pもまた、惨状に唖然とします。

P「…」

ゆきぽ「ぷぃ〜;;ぷぃ〜;;」

P「…」プルプル

惨状に目を奪われていたPの耳に入って来たのは、耳障りな泣き声。Pは確信しました。
こいつがやったのだ、と。

小鳥「…何をしたのかは大体見当はついてるわ、ゆきぽちゃん。またできもしない事やろうとして皆に迷惑かけて」

ゆきぽ「ぷぃ〜;;ぷぃ〜;;」ポロポロ シュン…

小鳥「大体あなたは…えっ?あっ、ちょっと、プロデューサーさん?」

ガンッ!ゴッ!ドスッ!グシャッ!

ゆきぽ「ぷいぎっ!ぽゆうっ!ぱうあっ!ぷいがあぁっ!」

P「何やってんだこのクソ害獣がっ!!」

キレるP。無理もありません。年末頑張って仕事をしたのは年始にゆっくり休む為でした。Pも、律子も、ここにいる音無さんも。頭にくるのは当然です。

P「音無さん、こいつ殺していいですか?」ハアハア

物騒な事を言いだすPを宥める音無さん。

20ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:48:59 ID:5S54kiiA
小鳥「落ち着いて下さいプロデューサーさん!まずちゃんと何があったかハッキリさせないと…あと、これ以上床が汚れるのイヤですし」

P「この馬鹿が余計な事してこうなったに決まってますよ!この床に散らばってるのは全部事務所の一番下の引き出しにあったやつでしょう!これも!それも!あれ…は?」

床に散らばったものの一つを指差し、固まるP。

小鳥「いいから落ち着いて…どうかしました?プロデューサーさん?」

Pが指差している方を見る音無さん、指差した先には…

『BL本』

音無さんも固まってしまいました。このBL本は音無さんのお気に入りの一冊でした。宝物でした。それが水浸しになって、見るも無残な姿に…

Pは焦ります。音無さんのBL好きは、言わば「公然の秘密」でした。モノがモノだけに、目の当たりにすると物凄く気まずいのです。
例えるなら、BL本をヅラだとしましょう。皆、音無さんがヅラだと知っていても知らないフリをしている訳です。
今の状況は、音無さんがゆきぽにヅラを剥がされ、ハゲ頭剥き出し状態でPの目の前にいて、おまけにヅラは床に放られ水浸しにされている、といったところです。

ゆきぽ「ぷぃ〜;;ぷぃ〜;;」

変な空気の中、このアホだけは通常運転です。

21ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:51:01 ID:5S54kiiA
P「…え〜と、個人の趣味に関しては、その…」オロオロ

空気を変えようとするP。先程までの剣幕が嘘のようです。

小鳥「プロデューサーさん」ユラリ

P「は、はい!」

小鳥「何も、ありませんでしたよね?変なものは」

P「は、はあ…」オドオド

小鳥<●><●>ジー

P「…何もありませんでした。あったのは濡れた書類だけでした」ビクビク

音無さんはとても危ない目をしていました。Pが身の危険を感じるほどに。
変な空気は、凍てつく空気に変わりました。

小鳥「ぴよぴよも、何も見てないわよね」ニッコリ

小鳥<●><●>ジー

ぴよぴよ「ぴっ…ぴっ!ぴいっ;;」コクコク

続いて音無さん、ぴよぴよを恫喝…もとい、ぴよぴよに確認をします。

小鳥「そう、それなら良いわ。この事を知ってるのは私と…あと一匹だけね、ふふふ…」

音無さんは怪しく微笑みながら備品ロッカーへと向かいます。お目当ては当然、ノコギリでしょうね。

P「あのー…俺、いや、私はテレビでも見てますので…お構い無く」ソロソロ

ぴよぴよ「ぴ…ぴい!」

給湯室からそそくさと出ていくPとぴよぴよ。

入れ替わりで音無さんが給湯室に戻ります。手にノコギリを持って。

22ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:52:54 ID:5S54kiiA
小鳥<●><●>ジー

ゆきぽ「ぷぃ〜;;ぷぃ〜;;」オブオブ イタイヨー

ゆきぽ、顔と背中が痛いの。お薬塗ってよ。慰めてよ。

最期まで空気の読めない馬鹿害獣。暗い瞳の音無さんに助けを求めます。

小鳥「そう…背中が痛いのね。お薬塗るなら服をぬがないと、ね」ガシッ

ゆきぽ「ぷ、ぷいっ…」ゾクッ

バサッ …バリッ!

ゆきぽ「ぽやぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!ん゛っ!」

衣服を無理矢理脱がされた時のゆきぽの特徴的な鳴き声『ぽやぁん』ですが、背中の皮膚が服と癒着してしまっていた状態で脱がされたのです。皮膚まで剥がされたせいか、普段の三割増しで汚い声をあげるゆきぽ。音無さんもこれには苦笑い。

ゆきぽ「ぷぎゃあーっ!あっ!あっ!ぽぎゃあぁぁぁっ!!!」イタイ!イタイ!グネグネ!

小鳥「…ふふっ、我慢しなさい。後は顔ね、分かってるわ。お薬を塗らなくても良いようにしてあげるわ」

スッ

ゆきぽ「ぷぎぎ…ぽ、ぽひゃあーっ!」イヤイヤ!

ノコギリを構える音無さん。ゆきぽは背中の焼けるような痛みで動けません。

小鳥「すぐ楽にしてあげるわ。挨拶が遅れたわね。明けましておめでとう。そしてさようなら、ゆきぽちゃん」ニッコリ

ゆきぽ「ぽ、ぽやあぁぁぁぁぁぁ!」ヤメテー!

小鳥「床が汚れるのイヤだから、ちゃんと準備して、と」

23ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 21:54:36 ID:5S54kiiA
その頃、事務所

P「…怖い怖い怖い怖い」ダキッ

ぴよぴよ「ぴぃ〜;;」ヒシッ

恐怖に身を寄せあう1人と一匹。スキンシップが苦手なぴよぴよですが、今はPに抱き着いて震えています。
テレビはつけていますが、内容など頭に入ってきません。音無さんの漆黒の瞳が頭に焼き付いているみたいです。

『新年会に是非!職人さんの技が光る!マグロの解体ショーです。これで新年会は盛り上がる事間違いないなし!準備が出来たようなので、では、お願いします!』

テレビの中はお正月ムードですが、ここはまるでお通夜。

律子「すいません。遅くなりました〜。明けましておめでとうございます。プロデューサー殿…あれ?どうしました?」

遅れて律子が到着。実家から車で来たようです。害獣の為にわざわざご苦労様。

律子「顔色悪いですよ?そんなに良くない事があったんですか?」

P「…何と言うか、凄く悲劇的で残酷な事があってだな」

ぴよぴよ「ぴぃ」

『まずは尻尾を落とします。…よっと!』

『おー!パチパチパチパチ』

プギャアー* ヒィウー…

律子「今何か聞こえたような…えっと、良く分からないんですけど…何でそんな時にテレビでマグロの解体ショーみてるんですか?」

P「もう何も聞かないでくれ、律子。俺達は何も見てないし、知らないんだ、なあぴよぴよ?」

ぴよぴよ「ぴっ!」コクン

『続いては、『かぶと』、頭の部分ですね。これを落とします。それっ!』ゴリッ

「ポンギャアァァァァァァ!!!」

律子「マグロが叫んだ?!」

ひとりでできるもん!終わり

24ひとりでできるもん!:2015/01/04(日) 22:05:12 ID:5S54kiiA
以上です。『ちひゃー虐っぽいゆきぽ虐』(慢心→失敗)を書いてみました。
またネタが出来たらこちらに投下します。

25名無しさん:2015/01/04(日) 22:12:29 ID:HaOvjL4k
乙です

26名無しさん:2015/01/04(日) 23:10:20 ID:N0SeRG5A


ぴよぴよはPとのスキンシップは好き
外でやるとPが警察に捕まるけどな

27名無しさん:2015/01/05(月) 21:02:17 ID:dtUQXyAA
いと乙

28名無しさん:2015/01/05(月) 22:39:25 ID:VnrcQbF6
おつおつ
pixivでタヌキモグラ愛でss読んだけど はぁ?て感じだったからすごくスッキリした。

29名無しさん:2015/01/06(火) 01:31:43 ID:xY59jtHk

やっぱクソタヌキはぽんぎゃらせてなんぼだわ
異論とか挟む余地も無いわ

30名無しさん:2015/01/06(火) 10:57:28 ID:B0OdceiE
愛でssの場合、タヌキモグラに頭を撫でられるのが嬉しいことになっているのがすごい
あんなクズに触られるなんて耐えられないね

31名無しさん:2015/01/06(火) 16:28:31 ID:6oxOASEA
クレイジーサイコクズって呼び名を思い付いた
ゆきぽにぴったりだな

32ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 02:45:49 ID:dq8NTSnA
この話は、愛でSSの『ゆきぽと、『休憩』』のぷ虐カバーバージョンです。興味のある方は読み比べて見てくださいね。


ぷちどる。
それは765プロの所属アイドルに似た不思議な生き物である。
出自生態は不明。
身長は大体人間の頭程度の2頭身体型。
言葉を話すことは出来ず、個体ごとに様々な鳴き声を発するのが特徴の一つ。
また、それぞれに特殊能力が備わってたりもしている。
テレポーテーションしたり増殖したり空を飛んだり、時にはビームを撃ったり。
けれど、この子達の個性はそんな部分ばかりではない。
のんびり屋だったり、せっかちだったり、子供っぽかったり、大人っぽかったり。
それぞれ違っていて、中にはとんでもない害獣がいる。
本人達は楽しく生活しているのだろうな。 人の気もしらずに。全く腹立たしい。
この子達は大事な家族。
そう口にする小鳥さんの気持ち、俺にはさっぱりわからない。
今日のお話は、はじまりのぷちどるの1人。
ゆきぽ。

何をやっても上手くいかないときは神様が休暇をくれていると思えばいい。
一昔前のドラマにあったフレーズだけど、神様からもらえても上司からはもらえないのが休暇というもの。
上手くいかなくても、やるべきことはたくさんあるのだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」
事務所に誰もいないことを確認した後にでたため息は、自分でも驚くくらい長くうっとおしいものだった。
誰に見られたというわけではないが、なぜか恥ずかしくなりデスクに突っ伏して頭を抱えてしまう。
伊織に見つかったら何と言われることやら。
もちろん、自分でもあまり恰好がよくないことだとは分かってはいる。
分かってはいるのだが。
「……はぁ」
大人だって落ち込む時くらいあるのだ。
これくらいは許してほしい。
仕事で失敗した時なんて、大人も辛いときがあるのだから。
「ふぅ……」
何度目かの溜息をつく。
よく幸せが逃げるとかいうけれど、実際に悩んでみるとそんな前向きな気持ちになってなかなかなれない。
むしろ、ため息のたびに自分の中の嫌な気持ちを排出できているように思えるのは俺だけだろうか。
……どうせすぐに胸いっぱいに溜まるのだけれども。
背もたれに寄りかかる。
イスがギシリと無機質な音を立てる。
出来ることなら、このまま家へ帰ってふて寝したいくらいの気分だ。
とはいえそんなことが出来るはずもなく。
気晴らしになるわけもないが、書類仕事でもやろう。

33ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 02:47:59 ID:dq8NTSnA
ゆきぽが俺のズボンを引っ張っているのに気付いたのは、ようやくそんなことを考えられるようになったころだった。
「ぽえっ」
「ゆきぽ?」
ゆきぽは未だに俺のズボンを引っ張っている。
この子は雪歩に似たぷちどるである。
雪歩に似て少し控えめなところがあるが案外力持ち。
ぷちどるの中でもトップクラスの害獣だ。
そんなゆきぽは先ほどぐいぐいと、俺のズボンを引っ張り続けている。
まるでどこかへ連れて行こうとしているようだ。
「ぽえっぽえっ」
「どうしたんだよゆきぽ。なんか用事ならうおおおおおおおおい!?」
キャスター付の椅子ごとぶん投げられた。
勢い余ったらしい。
ゴロゴロゴロゴロと事務所を数m滑走し壁に衝突して停止。
……いや、今日あんまりそういうのに対応できる気分じゃないんだけど。
拳を握り締めゆきぽの元へ戻る。
「ふざけやがって…」

ガンッ!

「ぷいあーっ!」

「てめぇはっ!むやみやたらに馬鹿力で引っ張るんじゃねえ!この馬鹿!」

「ぽ…ぽえっぽえっ」 ペコペコ

ぺこりと頭を下げたのち、こっちこっち、という風に先導して手招きするゆきぽ。

「話聞いてたのかこのクズがっ!舐めてると殺すぞこの穀潰しが!」ガンッ!

「ぷぎぇっ!」

涙目のゆきぽ見ると、大き目の水筒を背負っている。
間違いなく中身はお茶だろう。
行先について疑問には思ったけれど、しょうがなくついて行くことにした。 しかし床が汚いな。泥だらけだ。丸っこい足跡がいっぱいついている。こいつの仕業だろう。
ずんずん進むゆきぽは、事務所どころか建物の外に出てしまった。
そして連れてこられたのは事務所近くの公園の片隅。
そこには。
「穴?」
「ぽぇ〜」
深い穴が掘られていた。
結構大きなの穴で、人間一人楽々入れるくらいの大きさと深さだ。
ゆきぽはピョン、とその穴に飛び込み「ぽぇ〜」と鳴いた。
入って来いってことか、これ。
「ぽぇ〜」
「公園にくそでかい穴掘ってんじゃねえクソタヌキモグラがっ!子供が落ちて怪我でもしたら責任とれるのかこの出来損ないが!」 ガチンッ!

「ぽぎぃぃぃ!」

公園はみんなのものだ。勝手な振る舞いは皆の迷惑になってしまう。マナーを守って使うべきだ。いくらこいつが出来損ないだからといって特別に許される訳ではない。

「おまけに事務所の床、泥だらけにしやがって!てめえの自己満足の為にどれだけ他人が迷惑するかわかんねえのか!この害獣が!」

ギュムウゥゥゥ…

「ぷぎぃぃ!ぃぎいぃぃぃ!ぷあぁぁぁぁん!」

尻尾を思い切り踏みにじる。しばらく踏みつけていたら少しは怒りがおさまった。

34ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 02:50:08 ID:dq8NTSnA
「……どうしてお前なんかが生まれてきたんだろう」
「ぽえ〜……ぐすっ」
凄くイラついた。
深い穴の底で座布団があった(ゆきぽが用意していた)。すべてがどうでもいい。

「事務所から勝手に座布団持ち出した挙げ句、泥の上に置きやがってこの馬鹿!てめえが洗濯するのか?できねえよな?余計な事してんじゃねえよ疫病神」ゴゴツン!

「ぱうあっ!ぷいー;;」

たんこぶだらけだな、こいつの頭。げんこつがたんこぶに当たってイレギュラーバウンドした。

このまま皆に忘れられて異世界に転移とかされないかな。こいつが。
「そうしたらお前の顔見なくて済むのにな、ゆきぽ」
「ぽえ?」
ゆきぽが不思議そうに首をかしげる。
お茶を受け取って即、ゆきぽの頭に浴びせた。

「ぷはぁっ!ぽ?ぽ?」

どうせ溶けきらない程の粉末茶を入れた只の緑の液体だろう。
ゆきぽの方も自分の湯飲みを持っているところを見ると、俺のために穴の底でお茶会をしてくれるつもりだったらしい。親切の押し売りはこいつの得意技だ。
午後からも仕事はあるし、スーツを汚せる訳ないだろ、低能。一匹で飲んでろ。

俺が付き合う気がないのが分かったのか、悲しそうな顔で一匹で茶を飲むゆきぽ。
「ぽえ〜」 クピッ
「ぶほっ!?」
「ぽっ!?」
お茶は青汁だったようだ。
盛大に噴出した後、ゆきぽは慌てて水筒を確認する。
そこでようやく中身がすり替えられていることに気が付いたようだ。
犯人は簡単に予想はつくが。
ゆきぽは「ぷーぷーぷー!」とか言いながら水筒の中身を地面に撒き始めた。
本当に自制心がないやつだ。
水筒の中身を盛大にぶちまけた後、ぺこぺことゆきぽは俺に頭を下げた。 大丈夫だ。仮にお茶でもお前ごときが淹れたお茶なんてクソ食らえだ。

「……ぽぇ」
「ぶっかけられても熱くなくて良かったじゃないか。すり替えたやつに感謝しろ。な?」
「ぽぇ〜……」 シュン…
欠陥生物は一匹だけで落ち込んだ。
落ち込むゆきぽを見てると、少し気分が晴れた。
先ほどまでの陰鬱な気分も少しだがましになった。
仕事先の人間の言葉が脳裏に浮かぶ。

『水瀬伊織におんぶにだっこされてるようにしか見えないんだよ』
『あんたは他の仕事の方が向いてるんじゃないか?』
『765プロさん、その言い訳は前に聞いたよ』

「…………っ」

ガツンッ!

「ぽんぎいっ!」

喉を掻き毟りたくなる衝動を誤魔化すためにゆきぽを殴る。
伊織はまだまだ半人前。
俺がサポートしてようやく一人前として働ける。
そんな風に全く思っていなかったと言えばうそになるのだろう。
だけどそれは、単なる自惚れだったのだろうか。
「……ふぅ」
「ぽぇー……」
ゆきぽはカタカタ震えながら時々俺を見つめるだけで何もしない。
落ち込んでいるみたいだ。

35ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 02:55:29 ID:dq8NTSnA
何も告知もせずにお茶会(笑)開いて喜べとは押し付けがましい。 公園で迷惑行為までしやがって。
ふと上を見上げた。
真っ青な空には雲ひとつ見えない。
どこまでも昇っていけそうなほど高く青い空。
こうやってただぼぅっと見上げるなど、いつ以来のことだろうか。
だんだん意識がゆらゆらと薄らいでいく。
あやふやになっていた意識の中で、何もなかった空に一筋の飛行機雲が走るのが見えた。
雲を生み出す飛行機はものの数十秒で視界から消えさり、空には白色だけが残される。
その白色が崩れて霧散してしまうほどの時間がたったころ、誰かが来た。
そちらに視線を向ける。
見覚えのある顔がこちらを見ていた。
「お、伊織」
「…………何やってんのよあんた達、て言うか、事務所の床汚したのあんたね、ゆきぽ!」
「うっうー」
伊織はやよを頭に乗せていた。
どうやらやよが俺の匂いをたどってきてくれたらしい。
「暗い顔しちゃって」伊織は言う。
「私が知ってるプロデューサーはそんなシケた顔……いつもしてるわね、やっぱ取り消し」
「そうか」
「…………」
淡白な俺の返事が気に入らなかったのだろう。
顔はよく見えないが、伊織がイラついているのは雰囲気で分かった。
「プロデューサー」
「ん?」
「次の予定は?」
「え?」
「次の仕事の予定よ! いいから言いなさい!」
「うっうー!」
「なんだよ糞虫まで……30分後に撮影で事務所を出る予定」
もう間抜けの茶番劇に付き合うのもウンザリだ。
我ながら露骨にホッとした顔をしていたと思う。
しかしこうやってゆっくり空を見上げるのは久しぶりだ。もう少しこのままでいたい。
だからあと20、いや15分だけこうさせてくれ。
そしたらきちんと立ち直ってるからさ。
我ながら情けない顔をしていたと思う。
いつもだったら伊織に笑われてしまいそうな顔だ。

「じゃあ さっさときなさい!」
「うっうー!」
伊織はピクリとも笑ってくれはしなかった。
「あんた何様のつもり!? 勝手に落ち込んで勝手に立ち直るとか言い出して、こっちの身にもなりなさいよ!」
「うっうー!」
「周りのことも気にかけないで、大丈夫だからほっておけ? 自分勝手もいい加減になさいよね!」
「うっうー!」
「…………」
「そういうことされると、なんだかイライラするんだから! ちょっと! 聞いてるの!?」
「うぅ?」
「……聞いてるよ」
「嘘つくんじゃない! ああもう! だいたいね……」
「うっうー! うっうー! うっうー!」

ガツンッ!メリッ!

「びゃ〜〜〜〜;;」

「うるせー糞虫!だまってろ知恵遅れ!」

地団太を踏む伊織は、自分の中の感情が上手く説明できないらしい。
こういう時の彼女の言葉が遠回りになってしまうのは、けしてわざとではないのだろう。
意地っ張りで猫かぶりな伊織。
『水臭い』なんて、きっと思いついたって言えないんだ。
長々と続く彼女の怒鳴り声が胸の奥に染み渡る。
それこそ、まるで暖かいお茶のように。

36ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 03:02:19 ID:dq8NTSnA
「ぽぇ」
「ん?」
くいくい、と。
いつの間にかゆきぽが俺の足を押していた。
殴られまくった頭が痛いのか力が入らないみたいだけど、小さな体で精一杯ぐいぐいと俺を前へ向かわせようとするゆきぽ。
そんな手のひらを通して、一つのメッセージが足に伝わってくる。
もう休憩はおしまいだよ、と。
そう言われた気がした。

ガツンッ!

「テメーは一生休憩中の癖して出過ぎた真似してんなよハナクソ」

「…ぷぃ〜;;…ぽえっぽえっぽえっ」
「……分かった。いくよ」
痺れを切らせてスコップを取り出したゆきぽを制しながら立ち上がる。
おら!行くって言ってるだろスコップこっち向けるな。
突きの構えをとるな、それは兵器なんだぞ。

「それこっちに向けたって事は、ケンカ売ってるって認識でいいんだよな?」

ガンッ!ゴリッ!ズンッ!

「ぽぇ!ぎゃっ!ぴいっ!」

「人様に平気で武器向けてんじゃねえそこのカスが!」

「よいせっと……」

俺は殴られた頭を押さえて踞っているゆきぽの胴体を抱えあげ、頭を下になるように持ち上げ、そのままこの馬鹿が掘った穴の中に頭から叩きつけた。

ブウンッ… グシャッ!

「ぽんぎゃあぁぁぁぁあぁぁ!!!」

まっ逆さまに穴の中に落下して、口から泡をふいて失神しているゆきぽ。人に武器を向けたんだから、このくらいの事をされる覚悟は当然、あったんだろうな?


「ほらズボンの裾が泥だけじゃない、もう」
「うっうー」
パンパンと強めに俺のズボン裾についた泥を払う伊織。
叩く力が気持ち強めなのは憂さ晴らしの意味もあるんだろう。
「はい。それじゃさっさと事務所に戻るわよ?」
「おう」
「うっうー」
「それと、やよにあんた探すよう頼んだからお駄賃あげてね」
「俺が払うのか」
10円出してくれないのかよ、この子。
糞虫、ちゃんと払うから。
くれないの? ねえくれないの? みたいな視線はやめてくれ。
浅ましい奴だ。
「ほら、10円」
「うっうー!」
「……さて、すぐに帰って仕事の準備だな」
「ええ!」
「うっうー」
「ぱう…ぐすっ」
少しだけいつも通りに戻った俺たちを、ゆきぽは穴の中から顔を出してベソをかきながらみている。
どうやら意識を取り戻したようだ。
「じゃ、いくか」
「そうね」
「うっうー」
「ぐすっ…ぅぅ」
痛い痛い、と首を押さえて泣いているゆきぽ。
その声を背に、俺たちは事務所へ歩き出したいところだったが。
「ボケッとしてんじゃねえよ」
「あんたはこれから事務所の床掃除よ。その後この穴の後始末」
「うっうー」
「ぷいー;;ぽぇっ!?」

3人で穴から引きずり出した。 こいつには事後処理がのこっている。床掃除が終わったら暗くなる前に、この穴埋めとけよ。
伊織はやよを、俺はゆきぽを抱えて事務所に戻る。
公園を出るところで、先導する伊織は振り向きもせず「ねぇ」と声をかけてきた。
「あんたが何て言われたかは知らないけど」
「ああ」
「多分、私はそう思ってないわよ?」
「……そっか」
「ええ」
こちらに背中を向けたまま、ツンとすましたような声で伊織は言う。
「どこかの誰かはそう思ってるけど、私はそう思ってない」
「うん」
「だから、それでいいじゃない」
「そうだな」
それでいいかもな。
だから、とりあえず、頑張ろう。
「あのさ伊織」
「なによ」
「ありがとな」
「……そ、そう思うならちゃんと仕事しなさい!」
「おう」
先ほどまでと何も変わっていないのだけれど、少しだけ心が軽くなった。
それは間違いなく、伊織のおかげなんだろう。

37ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 03:06:50 ID:dq8NTSnA
「ぽえ」
いつの間にか俺によじ登り頭を撫でていたゆきぽ。
「…」イラッ

俺は立ち止まった。

「どうしたの?…あっ…ッ!」

ゆきぽが俺の頭を撫でているのに気が付いた伊織。その顔は怒りに満ちていた。

「…ひとつだけ聞くわ、ゆきぽ。あんた、最後に手を洗ったのはいつ?」

俺は頭を撫でているゆきぽの手を掴んだ。乾いた泥がこびりついた、薄汚い手だった。

バチィィィン!

「ぷきゃあっ!」

ドサッ

伊織がゆきぽにビンタ。ゆきぽはその勢いで地面に転がる。

「ぽ、ぽいぃぃ?」

「そんな汚い手でよく人の頭を触れるわね。この害獣。どういうつもりで頭を撫でたのか知らないけど、これは立派な侮辱よ」

俺は撫でられた頭を触ってみる。…砂や小さな小石が手についた。

「しかも頭を撫でるって、目上の人がやる事よ。あんたみたいな一匹じゃ何もできない出来損ないがやって良いことじゃないわ。分を弁えたらどうなの?言っておくけどあんたに頭を撫でられるなんて、屈辱以外の何物でもないわ」

静かに、しかし強い口調で伊織がゆきぽを叱責する。俺の思っていた事を全部言ってくれた。

「あんたがやった事は、つまりこういう事よ」

伊織はそう言って、被害者ヅラでメソメソ泣いているゆきぽの頭を踏みにじった。

「ぴぎぃ!ぽやあっ!」

「どんな気持ち?汚れた靴でぶしつけに頭クシャクシャにされて。あんたがやった事と今のこれ、どう違うのか言ってみなさいよ」

「ぷあぁぁ〜ん;;ひうー;;」

「何ぼさっとしてるの。あんたもやりなさい。侮辱されたんだから報復は正当な権利よ」

俺は伊織に促されるまま、ゆきぽの後頭部に靴の裏を当て、踏みにじった。念入りに靴の裏の泥を落とす。胸の中のモヤモヤも落ちていくようだ。

「ぱうう!ぱううぅぅぅ!」

頭を踏んだ状態で、こいつのスコップを回収する。…二本も持ってたのか。

すっかり靴の裏も、胸の中も綺麗になった。

「これでよし。お前もさっさと戻って事務所の床の掃除と公園の穴埋め、ちゃんとやっとけよ。事務所に戻る時ドアぶち抜かれたら困るからスコップは事務所の中に持ってっとくから。暗くなる前に穴埋めできなかったら明日の朝一で保健所だからな」


休憩時間はおしまいだ。
そうつぶやいて、俺たちは事務所へと向かった。

ゆきぽは次の日の早朝に殺処分になった。

ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver. 終わり

38ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 03:13:28 ID:dq8NTSnA
以上です。愛でSSは、『ゆきぽが何をしても許される世界』のお話のようです。夢がありますね。
そうでもしないと愛でSSとして成立しないところが流石害獣といったところです。

39名無しさん:2015/01/08(木) 03:36:36 ID:4a27Oq8M
>>38
乙!
元の方の「タヌキモグラに優しい世界」はマジで反吐が出る甘さだったからとてもいい気分だ。
ところで、『お茶会』の方もやるんですかい?

40ゆきぽと、『休憩』ぷ虐Ver.:2015/01/08(木) 19:25:50 ID:dBHUaijk
『お茶会』は面白くするのが難しそうなので…。書いて頂ける方がいらっしゃったら一読者として読みたいです。
愛でSSのゆきぽは独特の「調子こいてる」感がイラッときますね。
『休憩』のスコップ構えるところは殺意がわきました。

41名無しさん:2015/01/08(木) 20:32:32 ID:xABVZ6Qk
>>40
大変に乙
制裁シーンが多くて胸がスカッとする
Pと伊織の関係も良し。久しぶりのこんな面白い作品を読んだよ

42名無しさん:2015/01/08(木) 20:46:22 ID:/JDJg176
おつです!
最高の作品っすね!

43名無しさん:2015/01/08(木) 23:38:52 ID:h0URIuh6
以前外部でゆきぽを犬と遊ばせるss書いてた人いるけどあの人ここにきてるのかな、どうせ愛で厨に荒らされるんだから外部で書くのは危険

44名無しさん:2015/01/09(金) 03:34:07 ID:sC1uMcA.
タヌキモグラの愛でssが意外と多くて驚き。しかもおとなしくて手伝いができるいい子に描写されてるから俺の脳味噌が怒りで爆発しそう。

45名無しさん:2015/01/09(金) 08:59:41 ID:gsK/SiPg
愛で厨は、ゆきぽの穴堀りから目を背けてる気がする

46名無しさん:2015/01/09(金) 14:42:53 ID:ZHevS3V.
もっとタチが悪いのは、穴堀りまで肯定している愛で廚でしょうね。

感覚が麻痺してるから公園に大穴掘る事の異常さに気付けない。『休憩』の作者さんみたいに。

47名無しさん:2015/01/09(金) 17:54:47 ID:/AaCqLRQ
茶汲み?雑巾掛け?ふざけんなよクズが。アレは手伝いじゃなくて人間の手間をこさえてるだけだ。
出来損ないが人間のフリをするな。

48名無しさん:2015/01/09(金) 21:52:29 ID:yDmzepyo
本家の『休憩』見てきたけど、寒気がした
やっぱりゆきぽは虐待してこそだよなー

49名無しさん:2015/01/09(金) 23:07:23 ID:quIZjzMY
タヌキモグラの『善意』に人間が合わせてやらなきゃならないのに何がいい話なんだろうな

50名無しさん:2015/01/10(土) 10:40:23 ID:t1r6UX1.
人様の作品改変するのはどうかと思うがな
愛で虐うんぬん抜きにしてもあまり感心しない

51名無しさん:2015/01/10(土) 13:03:24 ID:cM.Jsjsg
おもしろけりゃなんでもいーじゃん★

52名無しさん:2015/01/10(土) 14:35:09 ID:g4aKxd5A
「爆竹」

パンパンパンパン


ゆきぽ「ぽんぎゃあああああ!!」

朝早くから何かが破裂する音と共に汚い声を上げてるのは害獣ことゆきぽ。

この害獣は、床に穴を開ける、勝手に肩たたきをする、更には雑巾がけ(かえって床が汚れる)おまけにお茶を飲みまくるときたもんだ。

ゆきぽ「ぷぇぇぇん・・・ぽぇぇぇぇん;;」

P「何泣いてるんだ。遊んでくれって言ったのはお前だろ。だからこうやって爆竹をお前の体に巻きつけて遊んでるんじゃないか」

ゆきぽ「ぽぉー!ぽぇぇぇー!」グスッ

P「あん?こんなのを頼んではいない?やかましい。お前事務所に居て何か役に立ったか?
言ってみろ」

ゆきぽ「ぽぇ!ぽぇぇぇ。ぽぉ!ぱぅー!ぽー。ぽぇ!」フンス

P「何?毎日お茶を運んできて?床掃除して?肩たたきしてあげてるだと?最後のはなんだ?自分は可愛いから癒してるだと?」

ゆきぽ「ぽぇ!」ウナズキ

P「・・・・・」

P「調子こいてんじゃねぇぞ!ごるぁ!」

尻尾の毛を掴み

バン! バン!

床に叩きつけて

ゆきぽ「ぽが!?ぶびぃ!?ぷが!?」

P「いい加減にしやがれぇぇぇぇええぇええええええ!!!」

ブチブチブチ!

ヒューン

ドゴォ!

ゆきぽ「ぽげぇ!」

ゆきぽ「」

P「気絶しやがった」

53名無しさん:2015/01/10(土) 14:44:41 ID:g4aKxd5A
P「さて、こいつの尻尾に爆竹を巻きつけてっと」

P「目覚ましにケツの穴に一本爆竹を挿して」

ズボ

ゆきぽ「」ビクン

P「おーい。いい加減目を覚ませ」

シュゥゥゥゥゥゥゥ


バン!

ゆきぽ「ぽ!?ぽんぎゃああああああああー!!」

P「おはよう。そして、自分の尻尾を見てみろ」

ゆきぽ「ぽぇぇぇん・・・ぽ?」

P「何か巻きついてるだろ?そして俺が持ってるこれに火を点けるとそれが爆発する」

ゆきぽ「ぽ・・・・・ぽぃゃあああああああああああ!!」

P「点火」
シュゥゥゥゥゥゥゥ!!

P「ゆきぽー。早く逃げないと爆発するぞー」

ゆきぽ「ぽぇぇぇぇー!ぷぃぃぃぃぃーーーー!!」トテトテトテ

P「相変わらずあれで走ってるつもりなんだろうなぁ」

パン!パン!パパパパパパパパパパパパパン!!!!!!

ゆきぽ「ぽんぎゃアアアアああああああああああああああああ!!!」

P「ははははは。面白いなー。なぁ?ゆきぽ?おまえもそう思うだろ?」

54名無しさん:2015/01/10(土) 14:52:31 ID:g4aKxd5A
ゆきぽ「ぽぇぇぇぇん・・・・ぽぇぇぇぇん;;」

P「泣くほど面白いか。それはよかったな。じゃあ次はその臭い口に入れてやるよ」

ゆきぽ「ぽ!?ぽぇーーーー!!」

ゆきぽ「ふが!?ふが!!ほがあああああ」

P「後は全身にも巻きつけてっと」

P「よし。いくぞー。点火」

ゆきぽ「ほがあああああ!ふがあああああ!!ほげぇぇええええー!;;」


シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

ZO☆

パン!パン!パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパンンンンンンンン!!!

ゆきぽ「ほがあああああ!ふがあああああああ!ふんがああああああああああ
!!!!!」

ゆきぽ「」

P「ん?・・・・あ。死んだ」

その後死体を川へ投げ捨てて次のエモノを捜すPであった。




ぴよぴよ「ぴぃ!ぴっぴ!ぴー!」

55名無しさん:2015/01/10(土) 17:02:27 ID:eUGXjL9s
おつ
せっかく時間を割いて遊んでやったのにお気に召さないとは、ワガママでだらしねぇゴミだなぁ

56変なアライグマ:2015/01/10(土) 18:50:13 ID:VpiBNNtY
年が明けて一週間経った。正月ムードが大分薄れてきて、日常モードに戻って来たように思う。世間も、俺も。
正月気分と決別し、本格的に仕事に取り掛かろうとする俺のズボンの裾を引っ張る奴が一匹。

ゆきぽ「ぽえ〜」クイクイ

P「構って欲しいのか?仕事中だ。後にしてくれ」

やんわりと拒絶の意思を伝える。

ゆきぽ「ぅゅ…ぽ、ぱうー」クイクイ

それでもゆきぽはズボンの裾を引っ張るのを止めない。聞き分けの悪い奴ではない筈なんだが。何か理由があるのだろうか?

P「ふーむ、おーい、ぴよぴよー」

ぴよぴよ「ぴっ?」

俺はぴよぴよを自分のデスクに呼び、iPadを渡した。
ゆきぽの言ってる事を訳して文字におこしてもらおう。
まったく、手間のかかる奴だ。穀潰しの癖に仕事をしている俺とぴよぴよの手を煩わせやがって。
ゆきぽにも俺の意図が分かったようだ。

ゆきぽ「ぽえっ!ぽー…」ミブリテブリ

ゆきぽがぴよぴよに自分の意思を伝えている。普段大人しいゆきぽが、これだけ喋る(?)のは珍しい。
ぴよぴよは黙ってそれを聞いていた。時間にして一分程だっただろうか?ゆきぽの意思表示が終わったようだ。
ぴよぴよはそれを3秒で文字におこした。

『自分も正月らしい事がしたいです』

…おそらく、ぴよぴよの意訳なのだろう。あれだけ喋った内容がこれだけとは。

確かに、アイドル達に飼われているぷち達は、それなりに正月を満喫したようだ。やよは貴音にもらったお年玉の小銭を嬉しそうにしゃぶっていたし、こあみとこまみは羽根つきで顔に落書きをしあって年明け見た時にはまだ墨の跡が顔に残ってたな。響はちびきや他のペット達と一緒に凧上げをしたと言ってたっけ。ちっちゃんは音無さんと一緒にこたつでおせちを食べて過ごしたらしい。音無さんが飲み過ぎて大変だったとか。ちひゃーはお正月の定番の琴の曲をくーくー口ずさんでいたし、まこちーは正月太りしていたな。…これは普段と変わらないか。

確かに、事務所暮らしのぷち達は、そういう事を一切しなかった。
年末にジャンケンで負けて新年の事務所住みぷち当番を任された俺がそう思うんだから間違いない。
ぷち達が起きる時間に餌をやりに会社に来て、ダラダラ過ごして夕方に帰っていた。帰り間際にゆきぽに『穴掘ったら捨てる』と言い含める事も忘れなかった。
…俺でさえ正月らしい事はしてないぞ?主に事務所暮らしのお前らのせいで。
なのに、飼われてる分際でこういう事を平気で要求してくるとは。ゆきぽは大人しくて臆病な割には図々しいところがあるな。尻尾のブラッシングの要求然り、今回の件然り。

57変なアライグマ:2015/01/10(土) 18:52:32 ID:VpiBNNtY
P「…そういう事は正月の内に言えよ。もう正月は終わったんだよ。時間切れだ。以上」

ゆきぽは図々しいので、やんわりとした拒絶では聞かないだろう。今度はキッパリと拒絶した。

ゆきぽ「ぽ?ぽえ」オズオズ

P「だから時間切れだっての!しつこいな。ズボンの裾掴むな。捨てるぞ」ブンッ

少し大きめな声でそう告げ、ゆきぽが掴もうとした方の足を大袈裟に振って明確な拒絶を示す。

ゆきぽが身体をまさぐり出した。穴掘りのサインだ。

P「あ、あと穴掘っても捨てる」

ゆきぽ「ぁぅ…」ピタッ

何だかんだで聞き分けは悪くない奴だ。やっと大人しくなってくれる、と思いきや。

ゆきぽ「ぱう…」ジワッ

ゆきぽ「うぅ…!ぽええぇ〜ん!!ぽええぇぇぇぇ〜ん!!!;;」ボロボロ

大声をあげて泣き出してしまった。

ゆきぽ「ぷあぁぁぁ〜ん!!ひっく、ぱうぅぅぅぅぅ〜!!;;」ボロボロ

恐らくだが、今になって『正月らしい事がしたい』と言い始めたのは、他のぷち達の話を聞いて単純に羨ましかったからだろう。自慢された、と思ったのかも知れない。浅ましい奴だ。

ス◯夫に自慢話されてドラ◯もんに泣きつくの◯太か、お前は。お前は泣きつかれる方(タヌキ)だろうが。

まあ、中身は馬鹿でドジでのろまですぐ道具(スコップ)に頼る泣き虫のろくでなしだから、の◯太でいいや。

ともあれ、ゆきぽの要求は却下してやった。これで終わり、と仕事に戻ろうとした、その時、

クイクイ

何かに引っ張られた。ズボンの裾ではなく、スーツの袖を。
ゆきぽに目を向けるが、俺の足下で顔をクシャクシャにして泣いている。ゆきぽではない、とすれば誰が?

ぴよぴよ「ぴぃ」クイクイ

袖を引っ張っていたのはぴよぴよだった。ごめん。正直忘れてたよ…ここにいたの。

ぴよぴよ「ぴっぴっ」ユビサシ

ぴよぴよがiPadを指差す。

『プロデューサーさん。初詣にはもう行きましたか?』

P「んー、そういえばまだ行ってないな。どうして?」

『まだなら、事務所住みの私達も一緒に連れて行ってもらえませんか?』

泣きじゃくるゆきぽを見かねて助け船を出したようだ。ぴよぴよはいい子だなあ。
漠然と『正月らしい事がしたいです』と言われるよりは、よっぽど分かりやすい。具体的に何がしたいか曖昧なゆきぽの要求に比べると雲泥の差だ。

58変なアライグマ:2015/01/10(土) 18:54:28 ID:VpiBNNtY
P「よし、分かった。じゃあ明日、事務所住みのぷち達を初詣に連れて行ってあげよう」

『本当ですか?』

ゆきぽ「ぷぴぃぃぃ〜……ッ、ヒック、ぅ〜…ヒック」グスグス

P「午前中に時間作るよ。ただ、その時間に起きてない奴は置いてくからな。あふぅにもそう伝えておいてくれ、ぴよぴよ」

ぴよぴよ「ぴっ!」『ありがとうございます。プロデューサーさん』

ゆきぽ「ぽ?ぷぃ〜、ぽぉ〜///」ニコニコ

『正月らしい事ができる』と分かるや否や泣き止んだゆきぽ。本当に単純な奴だ。
ぴよぴよと違ってロクに礼も言えないのが腹立たしい。
俺はいい子のぴよぴよの願いを叶えてやりたくなっただけだ。

P「お前はおまけだ、ゆきぽ。調子乗んなよ。あと、出発時間に寝てたら置いてく。忘れんな」

ゆきぽ「ぽぅ!」コクン

ゆきぽは嬉しそうに自分の段ボールに戻っていった。
これで邪魔者は俺の足下から消えたな。せいせいした。

次の日

P「おはようございます」

小鳥「おはようございます」

ちっちゃん「めっ」ペコリ

ぴよぴよ「ぴっ」ペコリ

P「おっ、起きてるなぴよぴよ。じゃあ行こうか」

ぴよぴよ「ぴっ?」

そう、はじめから俺はこうするつもりだった。早朝だって立派な『午前中』だ。もしゆきぽが起きていれば連れて行ってやっても良かったが、どうやら就寝中のようだな。残念だ(棒)。

小鳥「ちょっと待って下さい!まだ七時半ですよ?」

午前中に時間を作ってはいるが、やっぱり少し余裕を持ちたい。◯◯神社までは片道30分くらいかかる予定だ。初詣にしては遅めだが、それでも思ったより混雑してる可能性はある。不確定要素がある以上、時間には余裕を持ちたい。業務じゃないから尚更だ。

小鳥「それは…確かにその通りですけど…」

そう、その通りなのだ。ゆきぽに意地悪するつもりは…少しはあるが、時間を無駄遣いしたくないのが正直なところだ。それに、ゆきぽはあくまでおまけに過ぎない。ぴよぴよの提案に乗っかっただけの。

小鳥「で、でも…ゆきぽちゃん、昨日から今日の事、楽しみにしてたんですよ?可哀想ですよ…」

ぴよぴよ「ぴっ!ぴーっ!」オブオブ ユビポチポチ

ゆきぽの為に俺を引き留める音無さん、恐らくiPadを所望しているのであろうぴよぴよ。俺はiPadをぴよぴよに差し出した。

『もう少し待てませんか?』

ちっちゃん「めっ!」カタカタ

ちっちゃんは交通情報を調べているみたいだ。今ここにいるのは、みんないい人達なんだろう。だからこそ『この時間に起きていないゆきぽが悪い』という結論には行き着かない。伊織あたりならバッサリだろうな。まあ伊織もいい子だけれど。

P「そうすると待って一時間、ですかね。それか今起こすかでしょうね」

小鳥「起こすのは…不安ですね」

以前真美と亜美がイタズラでゆきぽを無理矢理起こした事があった。あの時はあの馬鹿、下のたるき亭まで穴掘って突き抜けやがって。
店にいた人全員にボコボコにされてぷぃぷぃ泣いてたっけ。泣きたいのはこっちだったよ…。怒鳴られて頭下げて言い値で損害の賠償をして。

そんな訳でゆきぽを無理矢理起こすのは、事務所内でNGになっている。ゆきぽが自分で時間内に目を覚ませばいいのだが、いつもゆきぽは昼前まで寝ている。多分無理だろうな。

59変なアライグマ:2015/01/10(土) 18:58:02 ID:VpiBNNtY
P「十時くらいまでには事務所に着いていたいから…八時半まで待って起きなかったら行こう。ぴよぴよ、すぐ出られるように準備しといてくれ。…すっかり忘れてたけど、あふぅは何て言ってた?」

『外寒いから行かない、って言ってました』

P「ハハッ、だろうな。俺は今のうちに書類関係やれるとこまでやっとこうかな、っと」カタカタ

午前8時

ガチャ

律子「おはようございます。あれ?プロデューサー殿、早いですね」

P「ああ、午前中に事務所住みのぷち達を初詣に連れて行こうと思ったんだけど…中々起きなくてな。起きるまで手持ち無沙汰なもんで、ちょっと仕事すすめてるところだ」カタカタ

律子「なーんだ。じゃあ起こしちゃえばいいじゃないですか」

一同「えっ?「めっ?」「ぴっ?」」

律子がとんでもない事を言い出した。ゆきぽを無理矢理起こすと、どうなるのか知らないのか?みんなが呆気にとられているのを尻目にハリセンを取り出す律子。それ一番駄目なヤツだから。

P「待て律子!早まるな!」

小鳥「そうですよ!まだ他に道が…」

ちっちゃん「めっ!」ダメダメ!

ぴよぴよ「ぴいっ!」ナイナイ!

スパンッ!スパンッ!スパンッ!

我々の懇願も虚しく、目にも止まらぬ早業でゆきぽにハリセンを叩き込む律子。
俺は目をおおった。が、しかし。

ゆきぽ「…ぽえ〜?」コシコシ

律子「おはよう、ゆきぽ。みんな待ってるわ。早く出かける準備しなさい」

ゆきぽ「ぽえっ!」コクン

律子以外のみんな、馬鹿みたいに口を開いていた。恐らく俺も同じ顔をしていただろう。

小鳥「あの、律子さん?何でゆきぽちゃん、穴掘らなかったんですか?前回真美ちゃんと亜美ちゃんがイタズラして起こした時は、確か…」

律子「ええ、知ってます。多分ですけど、それ『起こした』だけだからだと思います。さっきみたいに三発『起きなさい』『寝惚けちゃ駄目』『穴掘ったら駄目』って一気にやれば大丈夫かなって」

…律子はぷち関連なら不可能も可能にしそうだから困る。まあ、この律子をもってしても、ゆきぽの穴堀りは矯正不可能なので流石にそれは言い過ぎか。

律子「あふぅはどうします?」

小鳥「あぁ、あふぅちゃんは不参加なのでいいです。良かったわねぴよぴよ、ゆきぽちゃん起きられて」

ぴよぴよ「ぴっ!」コクン

忌々しいがゆきぽが起きてしまった以上、連れて行かない訳にもいかない。しかし、初詣に行きたいとお願いしてきたのはぴよぴよだし、寝過ごすところを起こしたのは律子だ。
こいつ自身は何もしていない。ただ『正月らしい事がしたい』と我儘を言い、断ると泣きわめき、初詣に連れて行ってやるというのに準備の為に早起きをするという事すらしない。正直こんな甘ったれを連れて行ってやる事に対して不満は多々あるが…

P「ぴよぴよが嬉しそうだから、仕方ないか…」

車の準備をしながら、俺は一言つぶやいた。

60変なアライグマ:2015/01/10(土) 19:00:51 ID:VpiBNNtY
午前8時50分

何だかんだで8時20分くらいの出発だったので、大体予想通りの到着。
参拝客は殆どいなくて、ほぼ貸切状態だ。平日だし、時間帯も早いし、こんなものなのか?

せっかくだからおみくじもひきたい。確か開始は9時くらいからだったよな…。この神社は石段もかなり長いし、早く着きすぎるということはないだろう。

ゆきぽ「ぽわぁ〜」キラキラ

ぴよぴよ「ぴいぃ〜」ワクワク

神社は初めてだろう。どちらも好奇心いっぱいのようだ。ただ、初詣にもマナーはある。それは守って良い初詣にしなければ意味がない。鳥居を前にして一言。

P「神社に入る前にひとつ。そこの大きな柱の間を通る時は、手前で一回止まって軽く頭を下げるんだ。いつも朝やってるみたいにな」

ぴよぴよ「ぴっ」ペコリ

ゆきぽ「ぽ、ぽっ?」タタッ

『朝やってるみたいに』ぴよぴよは立ち止まってペコリと一礼。ゆきぽは…俺の話聞いてたか?素通りしやがった。いつも朝、やってないからか。

何で止まるの?早く行こうよ。

そんな顔をしていた。

続いて参道の石段。ぷち達には結構な高さだろうな。…大丈夫かな。

P「真ん中は神様が通る道だと言われてる。真ん中は避けて端を通るんだ」

ぴよぴよ「ぴっ!」トテトテ

ゆきぽ「ぽえっ!」ヨジヨジ

これは馬鹿なゆきぽにも理解できたようだ。…しかしゆきぽの登り方、しんどいだろうな。普段甘ったれてるからちょうどいいのかもしれない。俺はここで二匹と約束を交わす。

P「いいか、初詣は神様に会いに行く儀式だ。自分の力で会いに行かなきゃ駄目なんだ。『疲れた』とか言って俺に抱っこして連れてって貰おうとか考えるな。自分の足で正殿まで行くんだ。約束だぞ」

ぴよぴよ「ぴっ!」トテトテ

ゆきぽ「ぽえっ!」ヨジヨジ

同じようなサイズなのに登り方が随分違うな…気になった俺は二匹を先に行かせて後ろにつく。ぴよぴよ、ゆきぽ、俺の順だ。

ぴよぴよ「♪〜」トテ

ファサッ

ぴよぴよ「♪」トテ

なるほど、一歩前の石段に足を掛けたあと羽で浮いてるのか。まあ、自分の力の範疇だからいいか。

石段を半分ほど登り終えた頃、

ゆきぽ「ぷひぃー、ぷひぃー」ヨジ…ヨジ…

ゆきぽのペースが明らかに落ちた。無理もない。

P「ほら頑張れゆきぽ、あとだいたい半分だ」

ゆきぽ「ぷひぃ…ぽえぇ?」

まだ半分もあるの?と顔に書いてある。

P「そんな顔するなよ。石段を登り終えたら一休みしよう。それまで頑張れ」

ゆきぽ「ぷいぃぃ…」

情けない声を上げるゆきぽ。自分の体ほどの高さの石段を百段以上よじ登って尚、あと半分もあるんだから
当然だな。そこで俺はひとつ提案をする。

P「ゆきぽ、石段登り終わるまでスコップ俺に預けとけ、な?」

ゆきぽ「ぷぃー…ぽ?」

P「体に重りつけて登ってるようなもんだぞ、それ。軽くなったらもっと登りやすくなるだろ?大丈夫、石段登り終わったらちゃんと返してやるから」

ゆきぽ「ぽ?ぽー…」

突然の申し出に戸惑っているようだ。無理もないか。ふと時計を見ると、九時になっていた。車に戻る時間の目安は九時半にするか。
となると、余りのんびりもしていられないな。10分経って石段の真ん中あたりというのは良いペースとは言えない。

61変なアライグマ:2015/01/10(土) 19:06:38 ID:VpiBNNtY
P「時間がなくてな…このペースじゃ間に合わない。最悪お前を置いてく事になるが、それでも構わないな?」

ゆきぽ「ぽ?ぽやあーっ!」イヤイヤ

P「だったら頑張って登れ。9時10分までに登りきれなかったら時間切れだ」

ゆきぽ「ぷぴぃっ?ぱうぅ!」ヨジヨジ

ゆきぽのペースが戻った。甘ったれだから尻に火がつかないと本気を出せないんだろうな。だがそれも何時まで続く事やら。

五分経過

ぴよぴよ「ぴぃ〜♪」トテッ

ぴよぴよが登り終わった。

P「おー、ぴよぴよ、お疲れさん。ちょっとそこで待っててくれ。景色でも眺めながらな」

ぴよぴよ「ぴぃ」コクリ

ゆきぽ「ぜぴぃ…ぜぴぃ…」ヨジ…ヨジ…

ゆきぽの本気は1分ともたなかった。今は一段登るのも精一杯といった感じだ。

ゆきぽ「ぽ、ぽ、ぽえ〜え…」オブ…オブ…ダッコー

遂には俺に助けを求める始末。石段を登る時に、『自分の力で』と約束しただろうが。都合が悪くなると平気で約束を反故にしようとするとは…

ガンッ!

ゆきぽ「ぷぎっ!…ぷいー…;;」

きつめのゲンコツを一発脳天にお見舞いする。

P「いいかゆきぽ。お前約束したよな。もう忘れたのか?」

ゆきぽ「ぷいー;;ぐすっ…」

泣けば誰かが何とかしてくれるとでも思っているのだろう。昨日もぴよぴよが助け船を出してくれたしな。味をしめたか。
俺はもう一度、あの提案をする。

P「ゆきぽ、俺はお前を抱っこしないぞ。するとすれば、お前が今おんぶしているソレだな。ソレなら抱っこしてやってもいい」

ゆきぽ「ぐすっ…ぱう…」

P「迷ってるひまはないと思うんだけどな。俺はお前と違って約束は守る。約束通りお前達をここに連れて来たし、約束通り9時10分になったらお前を置いてく。分かるな?」

ゆきぽ「ぽ…」

スッ

決断したようだ。スコップを二本、俺に差し出した。…二本持ってたのか?

P「こうやって近くで見るのは初めてだな…」

割と鍛えてる俺の腕でもかなり重く感じる。これを背負って自分の体ほどの石段をここまで登ってくるとは…化け物だな、うん。

ゆきぽ「んーしょ!んーしょ!」ヨジヨジヨジヨジ

おお、速い!重い道着を脱ぎ捨てた某漫画の主人公のようだ。これはひょっとすると…

9時10分

ダダダダッ!

P「あっぶねっ!ギリギリセーフ!待たせたなぴよぴよ」

ぴよぴよ「ぴっ」

言い出しっぺが遅刻したら締まらないものな。

P「おーい、ゆきぽー。時間だから先行くぞー。追いかけてくるか、そこで待つかはお前に任せるから。じゃあな」

俺は石段の途中て蹲ってぷぃぷぃ泣いているゆきぽに呼び掛ける。
結論から言うと、ゆきぽは時間内に石段を登りきれなかった。
まあ俺は正直、始めからこいつは途中で置いて行くつもりだった。時間は口実に過ぎない。無理なのは分かった上で時間制限を設けたのだ。
昨日から今日の今まで徹頭徹尾甘ったれてたからな。こいつにはいい薬だろう。俺も胸糞悪かったし、いい気味だ。
スコップを預かったのは親切心などではなく、置いて行った後に余計な事を出来なくする為だ。これさえなければ何も出来ないだろう。

ぴよぴよが『ゆきぽを連れて行かなくてもいいの?』と言いたげにしている。
ちなみにiPadは車の中だ。神前にあまりそういった類のものは持ち込みたくない。

P「いいんだよ、ぴよぴよ。最初からあいつはおまけだ。初詣が終わったら拾って帰る。それよりあそこ、手水舎って言って、あそこで手と口を清めるんだ」

ぴよぴよ「ぴぃー!」キラキラ

うん、可愛い反応だ。連れて来てあげて良かった。俺達はゆきぽを置いて、先に進んだ。

62変なアライグマ:2015/01/10(土) 19:10:27 ID:VpiBNNtY
視点変更

P「おーい、ゆきぽー。時間だから先行くぞー。追いかけてくるか、そこで待つかはお前に任せるから。じゃあな」

そう言い残して、Pさんとぴよぴよは去って行きました。

ゆきぽ「ぷいー;;ぷあぁぁぁぁ〜ん!;;」マッテー!

ゆきぽは石段に蹲っていました。疲労困憊、動けません。

ゆきぽ「…ぷぃい〜、ぐす…; ;」

こんなに一生懸命頑張ったのに、何でゆきぽだけ置いてっちゃうの?

『正月らしい事したい』って言ったの、ぴよぴよじゃなくてゆきぽだよ?

などと思っていました。甘ったれで恩知らずの馬鹿ですね。

ゆきぽ「…ぽぇ〜……ぽ、ぽあぁぁぁ〜ん!ぷえぇぇぇ〜んっ!; ;」ボロボロ

一匹だけ知らない場所に取り残された不安とショックで泣き出してしまうゆきぽ。

それを見ている男達が三人。

ヒソヒソ…ヒソヒソ…

「…おい、あれ」

「…宮司さんが言ってたの、あれか?」

「とりあえず捕まえよう」

三人の男がゆきぽに襲いかかります。

ゆきぽ「ぽあぁぁぁ〜ん!…ぽ、ぽえ?」

ガシッ

「お?随分と大人しいんだな」

あっさり捕まるゆきぽ。そのまま捕獲器に叩きこまれます。

ガシャン

ゆきぽ「ぽあっ!」イタイ!

「社務所に運ぶぞ。毛布掛けろ」

社務所

「参道にこんなのがいたんですが」

ゆきぽ「ぽえ〜、ぷぅ〜」ガンガン ダシテー!

「今回の件のとは別の個体かも知れませんが…」

バサッ

ゆきぽ「ぽえ?」ココドコ?

「…断言は出来ないが、私が見たのは多分この尻尾です。神社の中をうろついてたんですか?」

「石段のところで蹲っていました」

三人の男は害獣駆除の業者さんでした。実はこの神社、アライグマの被害に遭っていたのです。アライグマは柱や壁を登るのが得意で、狭い隙間や穴も難なく通り抜けられます。神社の建物の屋根裏にねぐらを作り、糞尿の被害や足音やなき声などの騒音被害を起こしていたのでした。
リーダーのAが宮司さんに確認します。

男A「尻尾を見た、と言うのは宮司さんが直接見たんですか?」

宮司「ええ、ちょうどこんな感じの縞模様でしたね」

男A「そうですか…で、どうします?これ。処分でいいですか?」

宮司「おまかせします…しかし妙ちきりんなアライグマですね」

男A「分かりました。別の個体がいないかそちらも調査します」

ゆきぽは確かにところ構わず穴を掘る害獣ですが、今回の件には関与していません。『人違い』ならぬ『害獣違い』ですが…

男A「Bは俺と被害に遭った建物の調査、Cはそれ処分して捕獲器空けといてくれ」

男B、C「「了解しました」」

どうやら殺処分されてしまうようです。『変なアライグマ』として。

建物の調査に向かう途中、BがAに尋ねます。

男B「大丈夫なんですかね?あれアライグマじゃないでしょ?誰かのペットじゃ…」

男A「かもな。しかし普通リードも着けないであんな所に放置するか?神社だぞ、ここ。そんな馬鹿飼い主の事なんか気にしなくてもいいし、そんなヤツに限って手に余ったら『捨てる』とかぬかすんだよ。いいから気にするな。あれは『変なアライグマ』だ」

同時刻 境内

P「はっくしょん!」

ぴよぴよ「ぴっ?」

P「はは、誰か噂してるな。律子当たりかな」

63変なアライグマ:2015/01/10(土) 19:12:18 ID:VpiBNNtY
男Cは捕獲器を抱えて小走りで石段を下りています。下の駐車場でゆきぽの殺処分をするようです。

ゆきぽ「ぽえ?ぽゆうっ!ぷぅ〜!」タンタン トマッテー!

せっかく登って来たのに!Pさんとぴよぴよから離れちゃう!

そう思ってゆきぽは捕獲器の中で叫びます。ぽてっとした手で捕獲器を叩きながら。
これから何が待ち受けているか、考えもせずに。

男C「変なアライグマって事で処理するって言ってたけど…大丈夫かよ」

Cが最後の石段を下り、鳥居をくぐります。

ゆきぽ「ぽびゃあぁぁぁぁん!;;」モドッテー!

この馬鹿はまだ初詣をするつもりでいるようです。鳥居を見てふりだしに戻った事が分かったのでしょう。一層激しく泣きわめきます。

男C「胸が痛むな…大丈夫、苦しくないから、多分」

男Cはゆきぽが処分される事に対して泣きわめいていると思い、胸を痛めます。

駐車場まで戻って来た男C、殺処分の用意を始めました。ゆきぽが入った捕獲器ごと特殊なケースに入れ、二酸化炭素のボンベをセットします。

ゆきぽ「ぷぃ〜;;ぷぃ〜;;」ダシテー!

男C「悪いな、成仏してくれ」

男Cはゆきぽに手を合わせ、二酸化炭素を注入します。

シュウウウウウ…

同時刻 境内

P「お参りも終わったし、おみくじも大吉だったし、いい初詣だったな。帰ろう」

ぴよぴよ「ぴっ」スッ

P「どうしたぴよぴよ、おみくじなんか指差して」

ぴよぴよ「ぴっ」ミブリテブリ

P「ゆきぽの分も、って事か?」

ぴよぴよ「ぴぃ」コクリ

P「うーん…」

神社の人に尋ねるP。

P「すいません、ここに来てない者の代理でおみくじひくのってアリですか?」

神社の人「一緒に住んでたり、縁の深い方なら大丈夫ですよ」

P「ありがとうございます。なら、ぴよぴよだな。一緒に住んでるし。ひいてやってくれ」

ぴよぴよ「ぴっ」スッ

P「どれどれ…うわっ、『凶』か、初めて見た。一番悪いやつだこれ」

ぴよぴよ「ぴい…」シュン

P「ぴよぴよが落ち込む事はないぞ。えーと、内容は…」

64変なアライグマ:2015/01/10(土) 19:13:30 ID:VpiBNNtY
ゆきぽの入ったケースに、二酸化炭素が充満します。まだメソメソ泣いていたゆきぽでしたが、だんだん息苦しくなってきます。頭痛、吐き気もします。

ゆきぽ「ぽ?ぽ?ぽ?ぽぎいぃぃぃ…」クルシイヨー!

苦しい!苦しいよ!誰か助けて!ここから出して!

P「願望『叶いにくいでしょう』」

体をまさぐり、スコップを探すゆきぽ。錯乱しているのか、頭が悪くて覚えていないのか。スコップはPに預けたままです。頭痛が激しくなってきました。

P「失物『出てこないでしょう』」

ゆきぽ「ぷいぃぃぃ…っ、ぃぃぃぃぃっ」クルシイヨー!クルシイヨー!

Pさん、ぴよぴよ!ゆきぽを助けて!早く来て!
頭痛に加え、目眩がしてきます。

P「待人『現れないでしょう』」

ゆきぽ「ぷぎぃぃぃぃぃ…」クルシイヨー!クルシイヨー!クルシイヨー!

ゆきぽは思います。あんなにお出かけ楽しみにしてたのに…ゆきぽだけ何でこんなに苦しいんだろう…何で…

P「旅行『悪いでしょう』」

苦しいよー!頭痛いよー!気持ち悪いよー!苦しいよー!苦しいよー!苦しいよー!

ゆきぽ「ぁぁぁぁぁぁ…」

ゆきぽ「」

P「悪いことが二重にも三重にも重なる…か。身も蓋もない内容だな」

ぴよぴよ「ぴぃ…」

P「だから気にしなくて良いって。そろそろ戻ろう。ゆきぽも待ってるだろうし」

ゆきぽが殺処分され事を知らないPとぴよぴよ。来た道を戻ります。

P「おみくじに『悩み事の種がなくなる』って書いてあったな。いい一年になるといいな」

65変なアライグマ:2015/01/10(土) 19:14:43 ID:VpiBNNtY
もし、ゆきぽがあんな我が儘を言わなかったら…
もし、ぴよぴよが初詣に行きたいと頼まなかったら…
もし、律子がゆきぽを起こさなかったら…
もし、Pがゆきぽを置いて行かなかったら…
もし、アライグマがこの神社で被害を出していないかったら…
もし、業者さんが来るのが今日ではなかったら…

そんな事を言ったらキリがありませんね。もしかしたら今回の事は神様が自分のお膝元でゆきぽを始末しようと画策した結果なのかも知れません。
何故なら、ゆきぽは神様がつくってしまった、いわゆる「失敗作」なのですから。

変なアライグマ 終わり

66変なアライグマ:2015/01/10(土) 19:21:22 ID:VpiBNNtY
以上です。害獣らしく二酸化炭素で殺処分されるゆきぽを一度書いて見たかったんですけど…うーん、地味ですね。やっぱり「ぽんぎゃあ」が一番だと再認識しました。

67名無しさん:2015/01/10(土) 21:21:05 ID:PdewlRZg
乙です。
本当は狸の尻尾ってゆきぽのソレとは違うんですよね
ゆきぽのはアライグマのに似てますよね
久々に読んでいて面白いSSだと思いました

68名無しさん:2015/01/10(土) 21:24:00 ID:haMOsArg
乙です
今年もゆきぽに、とって不幸な一年でありますように

69名無しさん:2015/01/10(土) 22:56:16 ID:cM.Jsjsg

クソゆきぽがスコップを2本持ってたことが
わかった時は殺意がわきました
もっともっともっといたぶってから殺してあげたいです

70名無しさん:2015/01/10(土) 23:19:02 ID:1lfuwD3Y

原作だと初詣の帰りにゆきぽが鳴き始めたんだよな
あの不快な屁を止めてくださいってお願いしないと

71名無しさん:2015/01/11(日) 01:11:03 ID:AnMdcEmk
非常に乙
今年は何匹タヌキモグラが死ぬか楽しみだなぁ!!
それとアライグマって英語でラクーンなんだな。

72名無しさん:2015/01/11(日) 13:52:44 ID:0f9Rh.to
>>71
ラクーン・・・、バイオ・・・
ゆきぽって小さいから弾あたるかな?

皆さんは原作・アニメでどのゆきぽのシーンがムカつきますか?
私は、アニメ2期2話の画面いっぱいの笑顔と
アニメ1期の雪歩の膝の上で安らかに眠るシーンです

73名無しさん:2015/01/11(日) 18:00:25 ID:Pw5vcM6Y
前スレでも書いたけど、「いしそつう」ですね。
よくわかっていないはるかさんに乗っかるのはあり得ない行為だと思います。
余談ですが、この後真相を知った律子がタヌキモグラをボコボコにする「いしそつう その後」というSSを考えた事がありましたが、律子がそこまで怒る理由が思い浮かばずボツにしました。
もし替わりに書いてくれる方がいらっしゃったら、是非お願いします。

74名無しさん:2015/01/11(日) 22:17:54 ID:d0ZPhbdc
アニメしか見てないが全部ムカつくわ。まあ強いて言うなら居酒屋で何の役にも立たずに逃げたシーンだな。ぶち殺してやりてぇ

75名無しさん:2015/01/12(月) 00:43:28 ID:m70rav02
>>74
あの話、Pと小鳥さんだから良かったけど、
はしごしてきた酔ったおっさんや、DQNがきたらどうしてたんでしょうね(居酒屋

76名無しさん:2015/01/12(月) 01:59:24 ID:dqepd.co
>>75
ぷちどるにやさしい世界だからみんなニコニコ見守るんだよw

アニメって原作に流れる毒のようなものを全部ないものとしてるところが微妙なんだよな

77真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:19:50 ID:/UUjyjOg
ここはとある田舎の畑。
夏の太陽をたっぷりと浴びた野菜が瑞々しく輝いています。


ガサガサ……

おや?何やら草むらにいるようですよ……?

ヒョコッ!
ピョコピョコピョコ!

ゆきぽ「ぽえ〜!」ニコニコ

子ゆきぽ「「「ぽわぁ〜!」」」キラキラ

草むらから出てきたのはぷちどるのゆきぽ。
瓜二つで同じく白いワンピースを着た子ゆきぽを三匹連れてニコニコ顏で登場です。
親ゆきぽよりずっと小さい子ゆきぽ三匹は大きな目をキラキラと輝かせて口からはよだれを垂らしています。

ゆきぽ「ぽ〜ぇ!」ニコニコ

(さぁ、チビちゃん達。美味しいお野菜だよ。たんとお食べ)

子ゆきぽ「「「ぱぅー!」」」

(お母さん、すごい!)

ゆきぽ「ぽふふ///」クスクス…

誇らしげに微笑むゆきぽ。
小一時間前に夏野菜がいっぱいなった畑を見つけ、巣でひもじいひもじいと泣き喚く我が子を急いで連れてきたこのゆきぽ。
野菜を作ったのはゆきぽではないのですが、まるで自分がこのご馳走をこしらえたかのような振る舞いをしています。
ゆきぽ自身も久々のご馳走を前に舞い上がっているようです。

誰の許可も得ないまま我が物顏で畑に入っていきます。

78真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:20:33 ID:/UUjyjOg

子ゆきぽ「ぽぇぇ〜///」ハムッハムッ!

子ゆきぽ「ぱうっぱぅー///」カリコリ!

子ゆきぽ「ぷりゅ〜///」シャクシャク!


子ゆきぽ「「「ぽゅ〜ぃ///」」」ニパッ


(美味しい美味しい!)

土の上にペタンと座って早速野菜にかぶりつく子ゆきぽ三匹。
真っ赤な瑞々しいトマトに口の周りを汚しながらしゃぶりつく子ゆきぽ。
未熟な歯でカリコリと軽快な音を奏でながらキュウリを食べる子ゆきぽ。
生のカボチャを柔らかい頬っぺ一杯に頬張る子ゆきぽ。

三匹とも何日かぶりの美味しい食べ物に涙さえ浮かべて喜んでいます。
それはそれは幸せそうに野菜を食べていますね。

ゆきぽ「ぽぇ〜///」ハムハム、モグモグ!

ゆきぽ「ぽゅんむ、むゅんぐ……ぽえっ///」ニコッ

それは母ゆきぽも同じ。
こちらはトマトもキュウリもカボチャもナスもトウモロコシも食べています。
ニコニコニコニコ嬉しそうに。
相当お腹が減っていたようです。
4匹は真夏の日差しの中、幸せそうな鳴き声をあげながら野菜を食べ進めていきます。

79真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:22:28 ID:/UUjyjOg

一時間後


ゆきぽ「ぽふぅ〜///」ポンポン

子ゆきぽ「「「ぽぇ〜……ぽぇ〜……zzz」」」スヤスヤ

野菜をたらふく食べた4匹。
ゆきぽは膨らんだお腹を満足げに叩き、子ゆきぽ三匹は満腹になったためかスヤスヤと安らかな寝息をたてています。もちろん、畑に掘った穴に入りながらです。

野菜を見てみると酷い有様。
このゆきぽ親子は一つの野菜を何口か齧ると次の野菜を食べ始めることを繰り返していたらしく、畑中に少しだけ食べられた野菜が散乱しています。
ピーマンやゴーヤなどが手付かずで残っているのが甘ったれたゆきぽの性格を表していますね。

その時、足音がしました。


ザッザッザッ…

農家「「「……」」」

ゆきぽ「ぽぅ?」キョトン

心地よくくつろぐ四匹の元にやってきたのは三人の男性。
白髪の老人に日焼けした壮年の男性、若者がいます。
この人達は親子三世代でこの畑を作っている農家の方々。
三人とも筋骨隆々の体をしています。

無残に落ちた野菜とゆきぽ親子を交互に見た三人。
皆無表情でゆきぽを見ます。


ゆきぽ「……ぽぇ?」クビカシゲ


一方のゆきぽは不思議そうな面持ちで男三人を見上げます。
普段の臆病なゆきぽなら飛んで逃げるでしょうが今は満腹で危機感などどこかに行ってしまった模様。
逃げもせず座ったまま小首を傾げています。

80真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:24:38 ID:/UUjyjOg

農家「「「……」」」

ゆきぽ「…ぽぇ!」ニパッ

グイ、ブチッ

つ スッ

ゆきぽ「ぱーぅっ!ぽえぱぅ〜♪」ニッコリ

(はいどうぞ!とっても美味しいよ!わけてあげる!)

なおも無言の三人を見て、ゆきぽはあることを閃きました。

『そうだ!この人達もゆきぽが見つけたお野菜を食べたいんだ!ゆきぽは満腹だし、少しわけてあげよう!』

途方もなく愚かで傲慢なことを、閃きました。

ゆきぽはなっているまだほんのり青いトマトを一つもぐと、ニパッと花が咲くように笑いながら農家の人々にそれを差し出しました。
相変わらず自分のものではないのに自分のものであるかのように。
少し誇らしげに、何も不安を感じていない顔で。


老農「……なぁ、タヌキモグラ、ここがどこだかわかるかね?」

ゆきぽ「ぽぇ?」キョトン


不意に尋ねられたゆきぽ。トマトを差し出したまま再び不思議そうな顔をします。

81真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:25:50 ID:/UUjyjOg
ゆきぽ「ぽー?ぷぃー?」キョロキョロ

(どこって……ここはゆきぽの見つけたお野菜畑だよ?)

まだ状況を理解していません。


壮農「ここはな、俺たち人間が作っている畑だ。お前のものじゃねぇ」

ゆきぽ「ぽ、ぽえ?」キョロ、キョロ

低く唸るようにそうゆきぽに告げる壮年農家。
ゆきぽはちょっとびっくりしながら周りを見回します。

綺麗に整えられた作物にしっかり耕された土。
よく見れば確かに人間が作った畑です。

ゆきぽはこのときはじめてこの畑が『ゆきぽが見つけたお野菜畑』ではなく『人間が作った畑』だと認識しました。

しかし、ゆきぽは一目散に逃げ出すことも真っ青になって震えることもしませんでした。

ゆきぽ「…ぽー!」スッ

農家「「「……?」」」

座っていたゆきぽが青トマトを置いて立ち上がります。
怯えてはいません。むしろ余裕さえその表情からは感じられます。

82真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:26:56 ID:/UUjyjOg

ゆきぽ「ぽえっ!」ペコリン!

農家「「「………!!」」」

ゆきぽ「ぱぅー!」ニパッ

そしてゆきぽはとった行動は、お辞儀でした。
感謝の気持ちも謝罪の気持ちも感じられない不慣れなその動作。

ゆきぽがこの行動をとったのはお辞儀本来の意味を理解していたからではありません。
ただ、このゆきぽの親、つまり子ゆきぽ達にとっては祖母となるゆきぽに
『人間にはこうやると優しくしてもらえるよ。何をしても許してもらえるよ』
と教えられていたからでした。
だからゆきぽはお辞儀などしたのです。
こうすれば自分達が野菜を食べたことを簡単に許してもらえて、それどころか優しくしてもらえると思って。
お辞儀をし終えてあげたその表情は罪悪感など微塵も感じさせない輝く笑顔でした。

それと、このお辞儀を教えたゆきぽの母親は人間に殺されました。ちょうどこのゆきぽと同じようにお辞儀をして、ニッコリ人間に笑いかけたところをタコ殴りにされて殺されました。
泣き叫びながら殺されました。

そのことをこのゆきぽは知らなかったのです。

83真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:28:19 ID:/UUjyjOg
若農「……」ガシッ!スッ

ゆきぽ「ぽ、ぽえっ!?ぽーっ!」ジタバタ

ニコニコと微笑むゆきぽを若い農家のが掴みました。
優しく掴んでなどいません。
茶色の髪の毛を毟るように掴み、無理やりゆきぽを高く掲げます。

髪を掴まれる痛みと高く上げられた恐怖にゆきぽは甲高く鳴き、短い手足をばたつかせました。
頭の中はチンプンカンプンです。
優しくされるものとばかり思っていましたからね。


若農「向こうを見てみな、タヌキモグラ」

ゆきぽ「ぽう、ぱうぅ!ぽえ
…………………ぽ、え?」ピタ


若い農家の静かな言葉を聞き、ある物を見たゆきぽが暴れるのをやめました。

頭皮の痛みも高いところにいる恐怖も忘れて、30メートル程先にあるソレを目を限界まで開いてゆきぽは凝視します。


ゆきぽ「ぽ……!!?」


それは木の棒に刺された頭でした。

ゆきぽの頭でした。

この、今髪の毛を掴まれているゆきぽのではありませんが、まぎれもなくゆきぽの頭でした。

小さいもの、中位のもの、このゆきぽと同じくらいのもの。
大小様々なゆきぽの頭がそこにはあったのです。

84真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:29:41 ID:/UUjyjOg
ゆきぽ「ぷ…ぁぁ……!!」

愕然とした面持ちで同族の頭を見るゆきぽ。
頭の数は十数子。
皆苦悶の表情を浮かべています。

歯を食いしばり、耐え難い苦しみを受けた表情の頭。
絶叫が聞こえてきそうなほど大きく口を開いた頭。
泣きじゃくり、怯えた表情の頭。
半分以上腐り、表情が分からない頭。

全てのゆきぽが苦しんで最後を迎えたようです。
ベビゆきぽも子ゆきぽも普通のゆきぽも、みんなみんな苦しみ抜いた表情でした。


老農「あれはここ最近この畑に入り込んだタヌキモグラの頭じゃ。ゆきぽの頭は何故か腐っても異臭はしないし蝿もたからんから見せしめとして置いとったが……いやはや、タヌキモグラの間抜けぶりには驚かされるわい」

壮農「まぁ…見えなきゃ意味ねぇわな。まぁそんなことは今更どうでもいい…問題は大事な畑をこんなにしてくれやがったこいつらについてだ」

ゆきぽ「ぽ…ぽ、ぇぇ……」ガタガタ

若農「お前はさっきのふざけたお辞儀で許されると思うか?あぁん?それともアレの仲間入りをすると思うか?どっちだ?おい」

ゆきぽ「ぽぃぃ…ぷぃぃ……!」ガタガタ ブルブル


間抜けなゆきぽはやっと、本当にやっと、自分達が置かれている状況を理解し始めました。
人間の野菜を食べてしまったこと、その人間達が激怒していること、先程のお辞儀が全く意味をなさなかったこと、許してなどもらえないこと……そして、とてもとても苦しくて痛い目にあわされるということを。

85真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:31:12 ID:/UUjyjOg
若農「答えられないか……ま、いいや。親父、爺ちゃん。野菜返してもらおうや」

老農「そうじゃな…きっちりわしらの野菜、返してもらわんとな」

壮農「お前はそいつを抑えてな。暴れるから離すなよ」

若農「分かった」グッ!

ゆきぽ「ぷぴっ!?ぽ、ぽぃー!ぷぃぃー!」

(何するの!?いたいよー!苦しいよー!)

三人が何かを始めるようです。若者が嫌がるゆきぽを地面にしっかりと抑えつけ、年長二人が向かったのはスヤスヤ眠り続ける子ゆきぽのところ。

何が起こっているのか、何をされようとしているのかなんて何も知らずに子ゆきぽ達は幸せそうに寝ています。


壮農「ったく…ふざけやがって…」ガシ、スポ

子ゆきぽ「……ぽぅ?んぅ〜……?」コシコシ

土からスッぽ抜かれて片手で握られた一匹の子ゆきぽ。
眠そうにトロンとした目を腕でコシコシこすっています。何も理解していません。

86真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:32:28 ID:/UUjyjOg
壮農「おら、野菜返せや!」グッッ!!ギュウウッ!!

子ゆきぽ「ぽぶぎゅっ!!?ぅぶっ、ぽあぁぁ!!きゅいい!きゅいぃぃ……!!ぽぉえええぇぇーーー!!」ゲロゲロ!

ゆきぽ「ぽえーっ!!?」

壮年農家の逞しい手がぽこんと張り出した子ゆきぽの柔らかいお腹を思い切り押します。
突然のことに驚いたのもつかの間、子ゆきぽは苦悶の声と表情を見せながら先程食べたばかりの野菜を吐き出してしまいました。
お腹いっぱいで幸せな夢の中にいたのに今はもう地獄の中です。

壮農「まだ残ってんだろ!全部出せ!」ギュウウ!ギュウウウウッ!!

子ゆきぽ「ぅぷ、ぎゃぁぁーー!ぽぎぃー!ぷぎぃー!ぃぎやぁぁぁ!!」グネグネ!

(苦しいよーっ!痛いよーっ!痛いよ、痛いよぉーーっ!!)

更に強く、思い切り子ゆきぽは腹を押し潰されます。
凄まじい苦しみに絶叫しながら子ゆきぽはなんとか手から逃げ出そうと身をくねらせますが、逃げられるわけがありません。

壮農「おらおら!」
ギュウウ!!ミギュウウウッッ!!

子ゆきぽ「ぽぎゃあぁぁぁぁ!ぁぁぁあーーっ!!ぷぅぎ、ぷぅぎいぃぃぃ!」ドロッ…!

吐瀉物が溢れた小さな子ゆきぽの口から黄色い胃液が、次いでトマトよりも真っ赤な血が溢れ出ました。内臓が幾つか潰れたようです。
子ゆきぽは滅茶苦茶に頭を振って苦しみを表現しています。

87真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:33:39 ID:/UUjyjOg
壮農「…よし、全部出たな」ポイ


トサッ

子ゆきぽ「ぶぎっ…ぁ…ぁぁ…ぽぃ…ぃ…」ピクピク

ゆきぽ「ぽ、ぽおぇぇえーーーっっっ!!」


限界まで押され、背中と腹がくっつくとようやく子ゆきぽは解放されました。
腹の中には野菜が無くなったどころではありません。内臓も骨もグチャグチャになってしまいました。
美味しそうに野菜を食べていた口からはトロトロ血が流れていきます。
もう叫ぶ力も無いようです。

子ゆきぽ「」ピクピク

ゆきぽ「ぽやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」バタバタ!

白いワンピースを真っ赤に染めて、苦悶の表情を浮かべてまず一匹目の子ゆきぽが死にました。
親ゆきぽは絶叫して力のかぎり暴れてなんとか我が子に駆け寄ろうとしますが逞しい若農家の腕がそれを阻みます。

老農「次はわしじゃな。どれ……」

子ゆきぽ「ぷやぁぁ……ぽぃぃぃ〜; ;」ガタガタ

次はこの子ゆきぽです。姉妹の断末魔で目を覚ましたのでしょう。
何が起こっているのか理解はしていませんが激しく怯えて老農家の手の中で震えています。

子ゆきぽ「ぽ、ぽぇ〜…ほゅ〜…; ;」ペロ、ペロ

老農「む?」

子ゆきぽ「ぽ、ぽぇ。ぱ、ぱぅぅ?」ニ、ニコ


どういうわけか子ゆきぽが自分を握っている老農家の手を舐めました。
身体相応の小さな舌でペロリペロリと舐め、訝しげな目をする老農家に精一杯の笑顔を向けます。
怯え、震えながらの笑顔。
まるで

『くすぐったいでしょ?えへへ、ゆきぽのこと優しくしてね?』

と言っているかのようです。
この危機的状況を場違いな行動で誤魔化そうというのでしょうか?
愚かですね……

88真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:35:04 ID:/UUjyjOg
老農「はぁ……何をやっとんじゃこいつは」メリィッ!

子ゆきぽ「きゅああ!?ぽ、ぽぇえーー!ぱうぅぅぅ!!; ;」

かえって老農家を怒らしてしまいました。
柔らかな頬っぺたをねじり切らんばかりに抓られた子ゆきぽは味わったことのない痛みに泣き叫んでいます。

ブチチ!

子ゆきぽ「ぽぃぃいぃぃぃぃいぃぃぃぃっ!!ぷぎゃ、ぁぁぁぁぁ!!ぽえぇぇーーーんっ!!」

(痛いよぉー!痛い痛い痛いよぉーー!おかぁさぁーん!!)

ゆきぽ「ぷいぃぃぃぃぃぃーーーっっ!!」

(やめてぇーーっっ!!)


おや。
ねじり切れそうと思っていたら本当に頬肉が切れてしまいました。
白い肌から肉が露出し、血が滴ります。老農家は相当な力で子ゆきぽの頬をつねったようです。

老農「さぁ、野菜を返せ!」ギュッッ!!パキプチッ!

子ゆきぽ「ぼぎぃやっっ!!」ブパッ!!

老農「む??」

子ゆきぽ「」ピクピク…

若農「爺ちゃん、そこ胃じゃなくて心臓だよ……ちゃんと苦しめなきゃ」

老農「おお、そうじゃったか。いや体が小さいからたまに間違えちまうんじゃよ。まいったまいった……」ポイ

子ゆきぽ「」トサッ

ゆきぽ「ぽあぁぁぁぁーーーーっっ!!ぷいぃぃぃっ!; ;」バタバタ!

老農家は子ゆきぽの胃ではなく、心臓を潰してしまったようです。口からは血が溢れるように出てきます。
どの道同じ運命を辿るとはいえ、初めに死んだ子ゆきぽよりは苦しまなかったかもしれません。
頬肉は千切られましたが。

ゆきぽは先程から死に物狂いで暴れますがやっぱり身動きはとれません。
子ゆきぽは残り一匹。

89真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:35:54 ID:/UUjyjOg
老農「今度は間違わんようにせんとなぁ」

子ゆきぽ「ぽやぁぁ〜!ぽぃぃぃ!ぷいぃぃ!んしょ!んーしょ!!」グネグネ!グネグネ!

残った子ゆきぽは狂ったように体を捩りくねらせて裁きの手から逃れようとしています。
子ゆきぽは今だに状況が理解できていません。

若農「ねぇ、そいつは俺にやらせてよ」

壮農「やるっておめぇ、そいつはどうすんだ?」

若農「大丈夫大丈夫!こうやって……と」グイ

ゆきぽ「ぷぎゃ!ぷぃー!」

両手を使ってゆきぽを地面に押さえつけていた若農家が器用に左手と左足を使ってゆきぽを押さえつけます。
右手が自由になりました。

老農「よしよし。そんじゃあこいつはお前がやんな。きっちり苦しめるんじゃぞ」ス

若農「わかってるって!」ガシ

子ゆきぽ「ぽえぇぇーーん!ぴやぁぁぁ!」ジタバタ!

若農「暴れんなよ。自業自得だ。お前らが悪いんだろーが」

子ゆきぽ「ぱぁう!?ぽ、ぽえぇぇ!ぽえぇぇぇ!!; ;」フルフル!

(どうして?ゆきぽ達、何にも悪いことなんてしてないよ!お母さんのお野菜を食べてお昼寝してただけだよ!ゆきぽ達、悪くないよ!)

農家「「「はぁ???」」」

『お前らが悪い』と言われた子ゆきぽ。恐怖に怯え泣きながらも必死に首を横に振っています。
自分達はなにも悪くないよ、と。
子ゆきぽとしては大好きな母親が用意してくれた野菜を食べて眠っていただけという認識なのでしょう。
全く無関係なはずの人達が不当に自分達を虐げているという認識なのでしょう。
何も分かっていない子ゆきぽに農家三人は呆れたような声をあげます。

90真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:36:54 ID:/UUjyjOg
若農「馬鹿だなぁお前。いつお前の間抜けな母親がこの野菜を作ったんだ?これを作ったのは俺たち人間だ。お前の無能な母親は何も用意なんてしてねぇ。勝手人様の野菜を食い散らかしただけだお前らタヌキモグラは。悪者の害獣なんだよ、わかるか?」

ゆきぽ「ぽ、ぇぇぇ………; ;」

子ゆきぽ「ぽぉー!ぷぅぅぅ!ぷぅぅぅぅぅ!」プンスカ!

(お母さんの悪口言わないで!ゆきぽのお母さんは凄いんだよ!このお野菜だって全部お母さんのなんだから!ゆきぽ達は悪くないよ!)

壮農「はぁ……じゃあ聞いてみろや。お前らの母親によ」

子ゆきぽ「ぽぇ!ぽーぇ?ぱぅー!」

(いいよ!お母さん、ゆきぽ達悪くないよね?あのお野菜だって食べてよかったんだよね?)

ゆきぽ「……ぽ、ぇ……」

これで助かるとでも思ったのでしょうか?
目を期待に輝かせながら子ゆきぽが母ゆきぽに問いかけます。
若農家の手の中の子ゆきぽから足の下のゆきぽへの問いかけ。
子ゆきぽは大好きな母親が頷いてくれるものとばかり思っています。

しかし……

ゆきぽ「………ぅぅ……; ;」

子ゆきぽ「ぽ?ぽ、ぽぇ?ぷぃぃ?」

ゆきぽ「………はぅぅ; ;」

ゆきぽはただ啜り泣いて地面を向くことしかできませんでした。
子ゆきぽが不思議そうな顔をして問いかけてきても、頷くことはできませんでした。

若農「本当のことを教えてやれよ。この野菜は自分達のじゃないって。自分は何にもしてないのに勝手に野菜をバリボリ食った盗ぷちだってよ。言っとくが……嘘をついたらただじゃおかねぇぞ」

ゆきぽ「ぽ、ぽぇぇ……; ;」ゾッ

子ゆきぽ「ぽ、ぽぇー?ぽぇぇー!?ぱぅー!?」

(お母さん、大丈夫だよね?ゆきぽ達悪くないよね!?悪いのはこの人達だよね!?)


ゆきぽ「………ぽぅぅ……; ;」フルフル…

子ゆきぽ「………ぽ、ぇ…?」

若農「勝手に野菜食ったんだよな?人様の野菜をお前らは食っちまったんだよな?」

ゆきぽ「……ぱぅ……; ;」コクリ…

子ゆきぽ「……ぽぇ…!?…ぽぇぇ…!?」

ゆきぽは頷いてしまいました。
子ゆきぽではなく農家達の言っていることを肯定してしまいました。
自分達が悪いということ、野菜が人間のものだということ、勝手に貪り食ってしまったのだということを。

91真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:37:51 ID:/UUjyjOg

子ゆきぽ「……ぁ、ぁ……!」カタカタ……


信頼していた大好きな母親が自分の予想と間逆の行動を取ったことがよほどショックだったのでしょうか?
先程まで自信満々だった子ゆきぽは真っ青になってわなないています。

その顔は衝撃と絶望と恐怖に彩られていました。
ゆきぽの頷きは子ゆきぽの死を肯定するものでもあります。死刑宣告を子ゆきぽは受けたに等しいのです。

若農「ってことで盗み食いした野菜は返してもらうぞ。あ、その前に……」

ツプッ

子ゆきぽ「ぷぎっ!!?ぽぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

若農「自分は悪くないだなんて嘘をついた罰だ」

若農家が子ゆきぽの大きな右目に親指を突き刺しました。
声も出さずに震えていた子ゆきぽがけたたましい声で絶叫します。
右目からドロッとしたピンク色の粘液が垂れてきます。
明らかに涙とは別物。
右目はもう見えません。

若農「野菜が母親のだなんて嘘をついた罰だ」

ソプッ

子ゆきぽ「ぷぎゃあぁぁぁぁぁぁーーーっっ!!ぽいっ、ぷいっ、ぽいっ、ぷいっ!!」ビクッビクッ!

左目も潰されました。
あまりの激痛に子ゆきぽが痙攣しています。

若農「よし。野菜返しな」グギュウゥ…!

子ゆきぽ「ぼぶうぃぃ!ぽぃいいぎぃぃぃぃ!あっあっあぁぁーーっ!!うぶ、ぽびゃあぁ、ほぎゃぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」ゲロ、ゲロゲロ……

ゆきぽ「ぽやぁーー!ぽやぁぁぁーー!!」

目を潰された激痛と腹を潰される激痛。真っ暗で何も見えない中味わう地獄の苦しみ。
潰された目からは涙、口からは涎と野菜が出てきます。
あんなに幸せそうに嬉しそうに、そして美味しそうに頬張っていた野菜が子ゆきぽの身体から出て行きます。

同時に子ゆきぽの身体からは魂が抜けて行きます。

若農「出せ!出せ!出せ!」グッグッグッ!!

子ゆきぽ「ぽぎぃぃ!!きゅいぎぎぎぃ……!ぼっ!ぎゃっ!ぎゃっ!!ぎゃっ!!!」ダラー……

血が混じったピンク色の胃液、そして赤い赤い血が子ゆきぽの口から地面に垂れて行きます。
まるで心臓マッサージをするかのように子ゆきぽの腹を何度も何度も親指で押しつぶす若農家。
その一押し一押しに憎しみを込めて、食べる権利などないものに貪り食われた野菜達の無念を込めて。

92真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:38:41 ID:/UUjyjOg

若農「出せ!出せ!」グッグッ

子ゆきぽ「」ガクン、ガクン


壮農「おい、もうしまいでいいぞ。もう何もでねぇだろ」

若農「……そうだね」ピタ

子ゆきぽ「」ダラダラ

ゆきぽ「ぽあぁぁぁーんっ!ぷわあぁぁぁぁーん!!; ;」

最後は他の二匹と同じように血を垂れ流しながらこの子ゆきぽも息絶えました。
痛かったでしょう。苦しかったでしょう。
でも、野菜泥棒の害獣にはこれくらいやらないとなりません。


ゆきぽ「ひっく…ひっくっ…!ぅぅぅ、ぇぐひっく…!; ;」シクシク

老農「最後はお前じゃ」

ゆきぽ「!!ぽ、ぽえっ!?ぽぇぇ!?」

壮農「お前からも野菜を返してもらう。当然だ」

ゆきぽ「ぽやぁ!ぽやぁぁ!ぱぅ!ぱぅー!; ;」フルフル!フルフル!

(やだやだ!痛いのやだよぅ!苦しいのやだよぅ!助けて!誰か助けて!)

農家「「「はぁ…」」」

子ゆきぽ三匹は野菜(あと魂)を奪われて死にました。
次は泣きじゃくっているゆきぽの番なのですがこの間抜けは自分が同じことをされるとまでは考えられなかったようです。
いざ自分も同じ目に合わせられるとわかるやいなら地面に押さえつけられたまま必死になって首を横に振って嫌だ嫌だと訴えます。
目からは涙を流し、柔らかな頬は興奮から赤く染まっています。その様は先に死んだ子ゆきぽよりよっぽど幼いものでした。
その醜い姿を見て農家達は呆れてため息を出します。

若農「誰も助けなんかしねぇーよ。人間はみんなお前らタヌキモグラが大嫌いなんだからな」ガシ!

ゆきぽ「ぷぃぃぃ!ぷいぃぃぃぃ!!; ;」ピーピー!

壮農「子供が死んだんだ。お前を生かす道理はない」ガシ!

ゆきぽ「ぱぅぅぅ!ぽえぇぇーん!!ぽえぇぇぇーん!!; ;」ピーピー!

手足を掴まれて地面に固定されたゆきぽ。たらふく野菜を詰め込んだ腹が天に向かってポッコリ突き出しています。
ゆきぽは泣き叫びながらなおも助けを求めています。三人に情けを請います。

93真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:39:26 ID:/UUjyjOg

ザッザッザッ……

農家「「「ん?」」」

ゆきぽ「ぽぽ!?; ;」

その時、畑を歩いてくる足音が聞こえました。


少女「あ、いた。何してんの?」

足音の主は1人の少女でした。年齢は十代半ばから後半といったところ。
少女は押さえつけられて今にも殺されそうなゆきぽと農家を目に怪訝そうな顔をします。


ゆきぽ「ぱうーーっ!!ぷぃぃ、ぽいぃぃ!ぱうー!ぱうーーっ!」バタバタ!バタバタ!

(助けて!助けて!この人達が虐めるの!悪い人達なの!ゆきぽ怖いよ!ゆきぽを助けて!)

少女を見た途端、ゆきぽがけたたましく叫びだしました。先ほどあげていた泣き声とは少し違う声音。
少女に助けを求めているのです。

ゆきぽはこの少女が自分を助けにやってきたのだと思いました。自分の助けを求める鳴き声を聞いてやってきてくれた救世主だと思いました。

『この人はゆきぽの味方。これで助けてもらえる。痛いのされなくてすむ』
と思いました。
果ては
『ゆきぽ達に意地悪したこの人達を懲らしめて貰おう。その後にうんとうんとこの人に甘えよう』
とさえ思っていました。


少女「…」

ゆきぽ「ぽーぇ!ぽぉーーぇ!ぱーぅぅぅー!」バタバタ

目尻から涙を流しながらもその口は笑みの形をとります。
助かったという安堵と、これからくるであろう安らぎを期待しながらの笑みでした。

94真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:40:14 ID:/UUjyjOg


少女「うっわキモ!タヌキモグラじゃん!ブッサイクな顔だねー!って……え!?なにこの野菜!?まさかこいつらが食ったの!?うわー最悪じゃん!」

ゆきぽ「ぽえ!?ぽええ!??」


しかし、ゆきぽの笑みは一瞬で打ち砕かれてしまいました。目を見開いてゆきぽは驚きます。

少女「つーかさっきから媚びた声出すなってーの!ウザい!キモい!むかつく!」ガン!ガン!

ゆきぽ「ぎゃ!ぽぎゃあ!…ぽぇ……ぽえぇぇーーん!ぷいぃぃぃぃ!; ;」


少女がサンダルを履いた足でゆきぽを踏みつけます。顔面です。

踏まれたゆきぽは痛いし少女の罵倒が悲しいしでまた泣き出しました。

助けてくれると思ったのに。
優しくしてくれると思ったのに。
この人までゆきぽを虐める。酷いことする。

ゆきぽは先程より盛大に声をあげます。
もう二度と笑うことも安堵することもありません。


少女「お昼ご飯なのに戻ってこないから見にくれば……!お兄、これこいつらがやったんでしょ!?殺さなくていいの!?」

若農「今やるとこだよ…」

壮農「ほら、チビどもはもうやったんだ」ポイ

少女「うわぁ……キモ……でもこうしないとスッキリしないしね!あ!こいつからも野菜返してもらうんでしょ?私にやらせてよ!」


ゆきぽ「!?き、きゅいぃぃぃ!!きゅいぃぃぃぃぃぃ!!; ;」

老農「だ、だいじょうぶかぁ…?成体のタヌキモグラは力が強いんじゃぞ?」オロオロ

〆をやりたいと言い出す少女。おかんむりです。
両手足を壮年農家と若農家に抑えられたゆきぽは聞きなれない鳴き声を出します。
ベビゆきぽや子ゆきぽが母親に助けを求めるときの鳴き声です。

いるはずのない母親に助けを求めているのは余りの恐怖に錯乱しているからでしょうか?

95真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:41:04 ID:/UUjyjOg

少女「だいじょうぶだいじょうぶ!お兄とお父さんが抑えてるし!お腹を踏めばいいんでしょ?教えて爺ちゃん」


老農「おお…分かった分かった。んじゃサンダルは脱いだほうがいいの」

少女「ほいほい」ヌギ

老農「うむ。狙うのはゆきぽの腹、ちょうど胃のあたりじゃ。間違って心臓を潰すなよ。踵でねじり込むように踏むんじゃ」

少女「分かった……」ピト

ゆきぽ「ぽきゅいーーっ!ぷきゅいーーっ!!; ;」グネグネ!

壮若農「「暴れんな!」」グッ!


サンダルを脱いで踵をゆきぽの腹に置く少女。
少女の足裏にはゆきぽの柔らかな腹の感触と体温、そして凄まじい速度で鳴動する心音が感じられました。
恐怖の絶頂にいるゆきぽは踏まれまいと身体を捩りますが無駄なこと。

ググ…

ゆきぽ「ぷきゅい!!ぽぉえぇぇ!ぷぃぃぃ!ぷぃ、ぷぃぃー!きゅいーっ!!; ;」

(やだ、いやだよ!怖いよー!怖いよぉー!お母さーん!)

グググ…!

ゆきぽ「ぽあっ!ぽあぁぁ!うぷ、ぽぎぎ……!!」


ググググッ…!!

ゆきぽ「ぽぉえぇぇぇぇぇぇぇ!!」ゲロゲロ…!


グググググッ!

ゆきぽ「ゲボッガホッ!!ひぐ、ぷぎぃぃ!ぽぎぃぃ!!」


グググ!グググ!メリメリ!

ゆきぽ「ぽあぁーーっ!あぎ、ぎゃあぁぁぁぁ!!あ、あ、あ……!!」タラー……

メリメリ!ポキ、パキ!



ゆきぽ「ぷぁああ!ぶぎ、ぎゅいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」ダラダラ…ダラダラ…!


(おかあさぁぁぁぁぁぁーーんっ!!)



バチュンッ



ゆきぽ「ぎゃっ」ビクッ


ゆきぽ「ぁぁ………ぁ……きゅ、ぃ………」ビクビク



ゆきぽ「」


ゆきぽの動きが止まりました。
口の周りを吐瀉物と胃液、血でグチャグチャにしながら、最後は大好きだった母親に助けを求めながら、死にました。

96真夏の陽の下で:2015/01/13(火) 00:41:51 ID:/UUjyjOg

少女「………死んだ?」

老農「うむ。死んでおるな」

少女「ふぅーっ……案外疲れるもんだねぇ……スッキリしたけど」

壮農「野菜も全部出たしなかなかいい線いってるな。しかしこのチビチビ食われた野菜どうすっかなぁ………ひとまず、こいつらの首切りとってまたゆきぽ避け作るか…」

若農「その前に昼飯食べようぜ。あんま食欲ないけどね……」


スタスタスタ………


ゆきぽ「」

子ゆきぽ「「「」」」


去っていく四人。
残されたのはお腹(一匹は胸)をぺちゃんこに潰されたゆきぽ親子。

ついさっきま齧り頬張っていた野菜はもうその体内にはありません。

嬉しそうに笑っていた顔は苦しみと絶望が張り付いています。

棒に刺さっていた首と同じ表情。




空からは相変わらず夏の日差しが降り注いでいます。




終わり

97名無しさん:2015/01/13(火) 06:46:22 ID:TqdX0uaY
丹精込めて作った野菜を自分のものにしてたのでヘドがでそうになったが殺されて良かった

98名無しさん:2015/01/13(火) 10:48:49 ID:w2gT1sjQ
スバラでした!

99名無しさん:2015/01/13(火) 12:17:33 ID:APjalT1k

ハエもたからないって気持ち悪い生き物だね

100名無しさん:2015/01/13(火) 12:30:56 ID:M7NAWTkg
実家が胡瓜農家だが害獣どもが食っていたら皆殺しだな




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