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迷宮と女冒険者IF 3

64クリム ◆NXDHWWcMxw:2021/11/06(土) 00:01:41 ID:A1fOn4Xs
>>63

「……その前に、ハル、何度言わせるつもり? クリムで良いと、そう言ったはずよね? その耳は聞こえていないのかしら?
 呼び捨てで良いと私が行ったのだから、クリムとお呼びなさい、良いわね?」

(……少し言い方がきついかしら、でもハッキリ言っておかないと、何時までも余所余所しい呼び方をしそうですわね……)

「それと私の用件は人探しよ、山吹という名前で、金髪で、身長は――――」

(先生から聞いた特徴を考えると、この街では随分目立つ容姿の筈、それこそ、先程のナンパ男達に絡まれてもおかしくないわ
 でも……どうでしょう、妖狐の力を持つのなら、うまく化かしてしまっているのでしょうね……目撃情報で探すのは望み薄かしら)

「うーん…見たこと無いなぁ……山吹さんかぁ。
見つけたら教えるね…あ、でも……
その…クリムさ……クリムの連絡先を教えて頂ければと…点」

「へぇ、随分自然な流れで女の子の連絡先を手に入れるのね……ふふ、冗談よ
 はい、これ、私の連絡先よ、登録しておくことを許します、光栄に思う事ね」

「ところで山吹さんって日本人っぽいけど、金髪ってことは外国の人なのかなぁ
そういえば、クリムは外国の人…だよね?
日本語…すごく上手いね」

「あらありがとう、褒めても何も出ませんわよ? まぁ、正直に言えば私の家庭教師が日本人でしたの
 親も日本語を話せましたし、お世話になった先生も日本人でしたから、必然的に日本語は覚えていきましたわ
 ……そういうハルはどうなのかしら、貴方はこの街生まれなのよね?」

「ここが生まれたところというわけじゃなく、もうちょっと東の方……らしいかな」

「……らしい? 随分とふわふわしているのね、どういう意味なのかしら」

「実は僕は養子で、両親は幼いときに亡くなったんだ。
だから生まれた場所とか知らなくて……」

「それ、は……ごめんなさい、不躾でしたわね」

(そう……ハルも、ご両親を……少し、踏み込み過ぎてしまいましたわ……はぁ……)

親を亡くした孤児である、その事実は、クリムからすれば安易に踏み込んでしまったことを後悔させるのに十分なものだった
気の強さを表していたかのような眦が下がり、ハルを見詰める視線が痛まし気なものになる
同情はいけない、そうわかってはいても、申し訳ないという気持ちが込み上げてしまう

「そ、そうだ!
クリムって何歳なの?僕と…同じくらいなのかなぁ。
僕は…今中二で…まだ誕生日迎えていないから13だけど」

「私? 私は……14歳よ、同い年ということになるわね」

(先生も大分若く見えたけど、ハルも大概ね……東洋人は童顔過ぎて困るわ、迂闊な態度を取ったら年上だった、とか……ありそうね、気を付けないと)

「そういえば、日本のスクール……学校はどうなっているの? 色々教えてくださる?」

しんみりと沈んでしまった空気を変えるように、ハルが年齢を話題にして話を変える
それに合わせるようにクリムも話を繋げて行く
クリムからすれば、日本の学校のことはあまり知らない未知の世界だ
ハルに話をさせ、時折疑問を投げかけ、驚いたり笑ったり、リアクションを返していく
やはり国が違えば学校の在り方や雰囲気も随分と異なるらしい、ハルの話に合わせていくつもりが、いつの間にか本心からの反応を返してしまっていた
時折注文した飲み物で喉を潤し、急かさない程度に続きを促しては楽し気に微笑む
そんな二人の姿が喫茶店の一角で繰り広げられるのだが……楽しい時間程、早く過ぎ去ってしまうものだ
申し訳なさそうに帰る事を告げるハルに、クリムは物足りない気持ちを隠しながら頷き、煽動するように立ち上がる

「あら、もうそんな時間なのね……ええ、お互いあまり遅くなると面倒ですし、解散と致しましょう」

座っていても背筋はピンと伸びていたクリムだったが、立ち上がるとより一層際立つものがある
スラリと伸びた長い脚、そして抜群のスタイルを誇るようにまっすぐ伸ばされた背筋からくる姿勢の良さ
それらが醸し出す雰囲気は凛としたもので、クリムが髪を靡かせて歩み始めると喫茶店中から視線が集まってしまう
それを当然のように受け止めながらクリムはレジの前で財布を取り出したハルの腕を掴み、悪戯っぽく右目を瞑りウインクをして言った


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