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迷宮と女冒険者IF 3

58クリム ◆NXDHWWcMxw:2021/10/31(日) 00:54:06 ID:ynkKPLZY
>>57

――クリムはハーフヴァンパイアであり、人の血を吸う、ある意味人に寄生する生き物だ
それ故か種族的に容姿に優れたものが多く、それは時に人の欲望を刺激してしまう
容貌だけでなく、女性的な魅力にあふれる肢体はどうしても男の欲望を煽ってしまうもので……
これまでクリムはそう言った視線や雰囲気を何度も浴びせられてきたのだ
だからこそそう言った邪念を感じさせない少年の雰囲気に、胸が温かくなるような感覚を覚える

「ふふ、ええ、エスコートをお願いしますわね――――」

……一般人、かつ見るからに幼げな少年を、クリムは自分が容姿に合わせて14歳と名乗っている自分よりも若い少年だと判断した
そんな少年に導かれ、バス停までの道を歩みながら……当たり障りのない、間を持たせるための会話を幾つか投げかける
そんな最中、ふと互いに名乗っていないことに気付き、自己紹介が始まる

「あ!僕の名前は晴暁って言います。
瀬田晴暁です。
あ、あの…貴女のお名前は……」

「そう、セタ……いえ、日本ではファミリーネームが前に来るのでしたわね?
 私はクリエムヒルト=ヴィクトリエ=ルカージュ、短い間かも知れませんが、よろしくお願いいたしますわ」

「よろしくです、ルカージュさん」

「……ふふっ♪ クリム、でよろしいですわよ? 日本人には呼びにくいでしょうから、愛称で呼ぶことを許しますわ
 その代わり、私もあなたを愛称で呼びます……そうね、ハル、と呼ばせて頂いても?」

「……え、えっとクリエムヒルトさん?」

「……むぅ」

「ク、クリムさん?」

「ええ、それで結構……それでは、道案内の続きをよろしく頼みますわよ、ハル」

偉大な両親の名付けてくれた名前はクリムにとって大切なものだが、しかし日本人には馴染みがない呼びにくいものであるらしい
悠美との共同生活でもそれを実感していたクリムは、愛称で呼ぶことを少年に求める
その代わりに自分も少年をハルと呼び……戸惑う少年にクスクスと笑いかけながら、幾度か訂正させてクリムと呼ばせることに成功する
その後も会話は弾み、彼の話を聞いていると……タイミングが悪く、あるいはタイミング良く、バスが到着したのだった

「それでは気をつけて……クリエ…ク、クリムさん」

「ええ、貴方もお気をつけて、ハル」

にこやかに笑みを浮かべ、お嬢様然とした静かな足取りでバスに乗り込んだクリムは、座席に腰掛けて窓の外のハルに小さく手を振る
爽やかな春風のような、心地良い少年とのやり取り――それはクリムにとって、思わず微笑んでしまう温かな思い出となった

………
……


「……ここで待ち続けるのも、ちょっと……街に出てみようかしら、時間を潰せば帰ってきますわよね?」

そんな事を思い返しながら、クリムは神社に背を向けて来た道を戻り始める
流石に家主不在の家に入り込むような礼儀知らずな真似は出来ないし、するつもりもない
ならばせめて、これから過ごすことになるであろう街を散策し、地理を把握しておくのも悪くない
そう考えて、クリムは踵を返したのだった……


【こちらもお待たせしたのじゃー】
【クリムちゃんのイメージは儂の中ではこんな感じ】
【今現在はまだ特に親しくもないから、猫を被っておるようなものじゃな】
【親密度が上がるとツンツンし始めるのじゃ】


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