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変身譚
162
:
名無しさん
:2022/01/13(木) 21:56:34
温水プール(加筆訂正)
ある温水プールに線の細い少年と、父親らしき大柄な男がやって来て、
少年は顔つきや背丈から小学生だと思いきや、
もう中学生だそうなのだが、病気で入退院を繰り返してばかりで、
どんな男でも入れば逞しくなれるという温水プールの噂を知った父親に、
半ば強引に連れて来られたようである。
「(変な噂を真に受けて、でも泳げるようになりたいし・・・)」
少年が滑らないように手摺りを掴みながら入ろうとすると、
父の髪が少し長くなって、顔の輪郭も変わっているのを見て、
「き、気のせいかな。」
「もう早く入りなよ。」
「わ、分かった。」
温まろうと湯に浸かってみると、力が漲っていくのを感じるが、
ふと父を見ると短かった髪が肩に触れる程に長くなって、
胸が少し腫れて、
弛み気味だった腹周りが引き締まって腰が括れ、
穿いている黒いボックスが意思を持ったように変わり始め、
脚がほぼ剥き出しになったかと思うと、
胸元の辺りまで水着に覆われ、肩に紐がかかっていき、
変だと感じて慌てて出ようとするが、
「あ、あれ・・・」
全身が軋んできたかと思うと背が高くなって、
筋肉という筋肉が盛り上がりながら硬くなっていき、
「こ、これは・・・」
すると戸惑う少年の意思に抗うように肩が張り出し、
平らだった胸に厚い胸板が形成され、腹筋が浮き出て、
水着も青いブーメランパンツへと変わっていくが、
ふと股間に違和感を抱いたので触れてみると、
包皮がゆっくりと剥けて肥大した亀頭が露わになって睾丸も大きくなっていき、
「ほら、一緒に泳ごうよ。」
一方、息子の変わりように意を介するどころか、
自分が最初から女であるかのように振る舞っている父であったが、
股間では男性器が委縮して女性器へと変わっていくと、
肩幅が狭まって、筋肉が落ちて腕や脚が細くなり、
胸が丸みを帯びながら膨らみを増して、尻も同じように丸みを帯びていく。
「どうしよう。」
「どうしようって、折角の新婚旅行、楽しもうよ。」
一旦、更衣室へ戻ってみると、
籠には見慣れない衣服が入っている上、学生証も社員証へと変わっており、
「父さんが勤めている会社に入社して3年って・・・」
見た目はおろか存在まで変わってしまった事に戸惑う少年、
いや、少年だった男であったが、
すると自分を変えたくて水泳部に入部した事、
水泳部の先輩に好意を抱き、彼女を追いかけるように同じ高校に入学した事、
大学こそ別になってしまったが、
その事が寧ろ互いの存在を再確認するきっかけとなり、
結婚に至った事などという記憶が浮かんでいき、
「そ、そうだったかな。」
浮かない表情のまま男が戻ってみるといきなり水をかけられ、
少しはしゃぎ過ぎた事を謝る女に対し、
お返しとばかり水をかけていき、
「もう謝ったのに本気出しちゃって。でも元気になって良かった。」
満面の笑みを見ているうちに、
男から目の前にいる女が父親だったという認識は消し去られ、
彼女を愛し、守っていきたいという気持ちで満たされるのであった。
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