したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

大腹助産院〜あふれ出る命たち〜

1名無しさん:2018/09/11(火) 19:33:46
※このリレー小説は私が2008年に投稿したものでしたが
 未完のままに終わっていました。
 先日「熊猫書店」さんでを過去ログを発見したので
 再開・完結出来たらと思い今回投稿しました。
 元小説はこちら(ttp://xiongmaoshudian.web.fc2.com/unfinishedbox/ohara-maternity-center.htm)にあります。

 誤字や改行、人物設定等一部改訂して投稿します。
 よろしくお願いします。

10名無しさん:2018/10/06(土) 00:44:51
「どうしたのそんなにまじまじと見て?
 あ!触りたいのねぇー!いいわよ。」

全然そんなつもりはなかったのだが
開放的な華子先生の雰囲気に包まれ
自分も妊婦だということを忘れ、
まるで本当の母親のような華子先生の大きなお腹に顔をうずめ抱きついた。

はち切れんばかりの双子腹は思った以上に弾力があるもち肌で
少し汗ばんでいる体温に命の鼓動を感じた。
このクッションのようなお腹に安心した私は
このまま目をつむり眠りに落ちそうになった。

「ところで海子。今日で月子のマタニティビクス終わりだっけ?」
「そうよー。お母さんは今日明日で終わり?」
「うーん…まだ来週くらいまでかなあ。
 まだ見ておきたい妊婦さんたちいるしね。」

そんな談笑をしながら私たちは着替えていた。

その時だった。

コンコン!失礼します!!!!
ガチャッ

慌てた様子の助手らしき看護師さんが更衣室へ入ってきた。
「ちょっとぉーまだ下着姿ですからねーどうしたの?」
「先生大変です!月子さんが破水しました!!!」

私たちは3人は息をのんだ。

12名無しさん:2020/04/25(土) 00:30:23
助手らしき看護師さんに連れられて行くと、そこはダンススタジオに
向かう途中にあるトイレだった。
中に入るとそこには、パンツを脱ぎ四つん這いになって息んでいる月子さんの姿
があった。

「うぐっ!!ぐ''う''フゥンンンンーーーー」
「お姉ちゃん!!」

おそらく、月子さんはマタニティビクスをしている時すでに陣痛が来ていたが、
無意識のうちに体を激しく動かすことで痛みを紛らわしていたのだろう。

「月子、大丈夫?ちょっと見せてね。」
華子さんが月子さんの子宮口の開き具合を見ようとすると

「!!ん!!!??」

なんと、もう赤ちゃんの頭が出て来始めていたのだ。

「うぅ、んぅんんーー、あぁ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!」
「もう出るよ。用意して!」
月子さんはもう既に破水し、子宮口の拡大も終わっており残りは胎児の娩出のみであった。

「お母さん、ここで産むの?いくらなんでも汚な過ぎるよ。」
「じゃあどうしたらいいの?赤ちゃんは待ってくれないよ。」
「ふうんっ、、ンンンンーーーー!!!!」

すると、赤ちゃんの頭が全部出てきてしまった。

「はぁっ、はぁっ、はぁぁぁぁんんんんん!!!」

ズリュリッ!
月子さんの赤ちゃんが羊水を引っ掛けながら生まれ落ちた。

13名無しさん:2020/06/27(土) 11:37:50
「よく頑張ったわね。」
華子がそう言い、月子が産まれた子の名前を言って声をかけると、赤ちゃんは力強い泣き声で答えた。
「何となくそんな予感がしてたのよね。」
ゆっくりとへその尾を切りながら華子は言う。

月子は子供の頃からおへそが丸出しの服装でいることが多かった。
また、踊るのも大好きだったこともあり、踊るとき他の人よりも動きが激しかった。
なので臨月で他の人よりも大きくお腹を揺らしていたからだろう。
また、月子の赤ちゃんは他の人の赤ちゃんよりも大きめだっただろうか、
出産前の月子のお腹周りは、生子と海子が共に96cmだったのに対し、それよりも大きい106cmにまで成長していたのだ。

「もうお腹パンパンでおへそも平たくなってるから無理しない方がいいと言ったんだけど…お姉ちゃんずっとお腹丸出しだったから、おへそが空気の流れに直にさらされて出産を早めてしまってたんじゃないの?それもすぐ下の子宮を揺らしまくってさぁ〜。」
と、海子は既に赤ちゃんを産み終えてタプタプな月子のお腹を見て、指でおへそをなぞる。
「分かったからあんまり触らないで…んんっ〜。」
「けど海子だって最初お腹しまってたけど段々Tシャツずり上がってお腹出ちゃってたよね?」
「あ〜そういやいつの間におへそに風受けちゃってたっけな…けど今日だけだから私がそれだけで出産が早まる訳…あっそれよりもお姉ちゃんの赤ちゃんを…。」
なんて気楽に言った海子だったが、運動中服がずり上がりむき出しになったお腹のまま風を受け、しかも月子の次にお腹を揺らしていたのが実はまずかった。
結果、偶然にもその時既に海子の子宮口が開きはじめていたことに気がついていなかった。

14名無しさん:2020/06/28(日) 11:53:10
今日は大変な1日だった。
やっぱり出産が近い妊婦さんの無理しすぎは
良くないなと改めて認識した。
明後日また健診なので今夜はゆっくり休もうと思った。

翌日の夜。
私は翌朝の健診に行く荷物の準備をしていた。
プルルルルプルルルル
大腹助産院から電話だ。
あれ?もしかして健診今日の予定だった?
とあたふたしてしまった。
「もしもしー」
「もしもし生子ちゃん?私、華子ですー」
「あ!華子さんこんばんは!もしかして…健診今日でした?」
「いやいやそれは明日であってるんだけど…」
「それならよかったーなにかご用事ですか?」
「実は海子のなんだけど…」
「え?海子に何かありました!?」
「今、海子陣痛の兆候があってもしかしたら今晩産まれるかもしれないの。
 無理ない程度でいいんだけど今夜立ち合いに来る?」
「え!!海子の赤ちゃんが!!?」

私は明日の用意をほったらかしにし大腹助産院に急いだ。

15名無しさん:2020/10/03(土) 19:27:49
その頃、大腹助産院では海子におしるしがあったこと、陣痛が規則的になっていたことを確認。
「もう…海子もジャストフィットするサイズなんて着なければあと1日はもっていたんだけど…」
「お姉ちゃんに言われたくなかっ…あ、んん〜っ……」
自分の身体のラインにフィットするサイズが好きな海子の子宮口はもう6cm大にまで開いていた。
「さあ目を開けて、月子の顔を見るのよ」
華子に言われて、海子はゆっくりとベッドから起き上がり、月子の顔を見る。
呼吸法に合わせてマッサージと圧迫を手伝っているのは、勿論月子だ。
やがて陣痛が強くなり、華子に教えられたいきみを逃がす呼吸法が思わず出た時だった。
「お待たせ〜…海子は?」
「あ、生子ちゃん丁度いいところへ。ちょっとお腹見せるね」
華子は海子のピチピチの服を捲ってお腹を丸出しにさせる。
「そろそろ産まれそう…ほら、赤ちゃん下がって来てるのが分かるでしょ?」
「本当ですね…」
月子に及ばなくとも大きなお腹に、見て分かるキレイな正中線、随分と大きく広がったおへそ。
それを生子と月子はくまなく見つめている。
陣痛が1〜2分間隔になって、子宮口も全開大になっていた。
「わぁ〜もうパツパツね…」
月子は前のお返しにと海子のおへそを指でなぞった。
「ちょっとお姉ちゃん…ダメ…んん〜…」
「ほら、赤ちゃん出てくるからすぐに準備して」
皆に支えられて海子は分娩台へ。うつ伏せの姿勢をとって出産に移る。

16名無しさん:2020/10/06(火) 01:51:26
海子はピチピチの服を胸までたくし上げ
丸々と膨れ上がったお腹が丸出しの状態で
分娩台の上で大きい尻を突き上げ四つん這いになっていた。

「はあ…はあ…はああ!!!!はあああ!!!!!はあああああ!!!!!」
「海子ーまだ息んじゃ駄目よーゆっくりゆっくり呼吸を整えてー」

海子の突き上げたお尻の向かいにいる華子さんは
ゴム手袋をつけながらいつ産まれてきてもいいようにスタンバイしていた。
自身の大きなお腹を摩りながら冷静に対処する華子さんの姿はとても頼もしかった。
しかしよく考えると自分の孫を妊娠中の華子さんが取り上げるというのも
なんだか不思議な光景だ。

「海子ーあなた分娩台に上がったんだから
 仰向けになって足を開くもんじゃないのー」
海子の苦しそうな姿を見てニヤニヤ笑う月子さん。
「そ!!!そんな余裕ないっての!!!!
 あ!!!いたああああああああああああああああい!!!!!!!!」
「月子ー別にいいじゃない。出産っていうのは本能で産むものよー。
 自分が一番産みやすい姿勢がその人にとっての産み方なんだから
 決まった産み方なんてないのよ。」
「あああああああああああ!!!いたあああああああああああいー!!!!
 生子!!!!生子!!!!近くに来て!!!!!」

苦しそうな海子の近くに寄り添い、手を取った。
そういえば海子の旦那さんは出張中ですぐには戻ってこれないと言っていた。
きっとすごい不安だろう…今は私が傍にいてあげないと…

「海子ー赤ちゃんの頭が見え始めて来たわよー
 もうちょっと…もうちょっとの辛抱よー」
華子さんが言う。

17名無しさん:2020/10/17(土) 21:11:42
海子の呼吸のテンポが早くなってきた。
強い収縮が来ると、海子は自然にいきみたくなってくる。
それを私が腰をさすってあげた。みんなで力を合わせてサポートした。

「赤ちゃんの頭が出たよー」
「ふぁー…ふぁー…ふぁー………」
華子さんの言葉を聞いて海子はいきみをストップし、声を出してリラックス呼吸をした。
そして、何かがスルリと抜け落ちた感じがして、グッと楽になった。誕生の瞬間だ。

18名無しさん:2020/10/18(日) 00:28:07
「はっはっはっはっ……はあーー…はあーー…はあーー………」
ズルン…
新しい命が産み落とされた生々しい音が響くと辺りは静寂に包まれた。



おんぎゃあああおんぎゃあああおんぎゃああああ
 
「はーい!お母さん!元気な女の子ですよぉー!!!
 そして私がおばあちゃんでちゅよー!!!
 お腹の中には叔母ちゃんもいまちゅよー!!!」
「はぁ…はぁ…ちょっとぉーおかあさんやめてよー」
華子さんの冷静な対応と気さくな冗談で
静寂は和やかで幸せな空間に変わった。

へその緒をまたぎ、仰向けになった海子は
ピチピチのTシャツ脱ぎ捨て母親らしく肥大した乳輪を露わにした。
そして産まれたばかりの女の子をその胸元へ抱き寄せた。
ついこの間までは学生気分だった私たちだったが
母乳を与える今の海子の姿は
すっかり先輩ママの雰囲気に包まれていた。


その後も私たちは終始笑いの絶えない夜だった。
深夜0時過ぎに出張先から急遽海子の旦那さんが駆け付け
その日私は産婦人科を後にした。

19名無しさん:2020/11/24(火) 23:26:40
翌日、予定通り私は産婦人科で健診を受けに来た。
「先日は突然呼び出してごめんなさいね…」
「別に良いんですよ。ははは…」
と言いながら私は服をまくってお腹をさらけ出す。
「え〜っと、96cmと。特に変わりないね」
メジャーで腹囲を測った後、いつも通りエコー検査に入る。
「うん、赤ちゃんも特に異常は無いし、いつ産まれても良いはずよ。と言っても、そろそろ私も産まれそうかもしれないけどなっ!」
と、華子さんは特大サイズのお腹をポンッと叩く。よく見ると服の上から中心におへそがポチッと出てるのが分かる。
「そう言えば、華子さんはお腹周り何cmだったんですか?」
「ああ、昨日私が自分で測って見たけど、そのときのウエストは…」

20名無しさん:2020/11/25(水) 19:10:38
「121cm、まさかここまで大きくなるなんて思ってなかったよ」
いくら双子が入っていると言っても、121cmはかなりの大きさだ。
ベテランの華子さんらしいといえば、らしいかもしれない。
「わぁ、大きい……」
そんな気持ちを、私は率直に出す。
「ハハハ、たしかにそうかもね。何人も産んだってのもあるかもしれない」

21名無しさん:2020/11/26(木) 00:03:17
「!!!…あっっおぅっっほぅっっ…」
「華子さん!?大丈夫ですか?」
お腹を抱えて突然前かがみになる華子さん。

「えぇ大丈夫よ。
 最近お腹の赤ちゃんたちの元気が良すぎて困っちゃって!
 海子や月子を見てもらえば分かると思うけど
 きっとこの子たちも元気いっぱいの子よ!
 ほぉらちょっと触ってみて!」
華子さんはそう言うと腹囲121cmもあるお腹を
ボルンと私の目の前に露わにした。
息をのむほど迫力があるその巨大な肌色の塊は
妊娠線が一つもないとても美しい球体だった。

「生子ちゃん、あんまり触りたくない?」
「…!!!…あ、いや…そういうことじゃなくて…
 あまりにも大きすぎるので圧倒してしまって…」
「いやね…私、触ってほしいの…」
「え?」
「私が助産師になってから沢山の妊娠、出産で喜ぶ人を見てきたの。
 命がお腹の中で育って産まれてくる奇跡ってすごいなっていつも思ってて。
 だから海子を産んだ後もう一度出産したいなって思ってて。
 42歳でやっとできた赤ちゃん…嬉しかったあ。
 でもきっとこれが最後の妊娠。
 そんな姿を家族のように接してくれた生子ちゃんには
 感じてほしいなって思ってるの。」
「家族…私が…?」
「ええ、そうよ。もしかしたら私の方が先に
 赤ちゃん産まれたらこんなことも出来ないしね。」

聖母のように神々しく微笑む華子さん。
私はその笑顔に包み込まれるように
双子のいるお腹に顔をうずめた。

どくんっ!!どくんっ!!ぼこっ!!!

赤ちゃんたちが動いてるのを頬で感じた。
私は何も言わず両手で華子さんのお腹を抱きしめた。
華子さんも何も言わず私の頭をわが子のように撫でた。
「大丈夫。生子ちゃんの赤ちゃんも無事に産まれるわ。」
こうしてこの日の健診は終わった。


※数週間後に生子と華子はバースプールで同時出産を迎えようと考えています。

22名無しさん:2020/11/26(木) 01:02:38
2週間後のある日

明日は久々の検診日なので
身支度を整え寝ようとしていた夜23時。

「いたっ…いたたたたっ……」
今まで感じたことのない鈍痛を腰に感じた。
これって陣痛なのかな……
でも出産予定日はもうちょっと先だし…
陣痛だったらどうしよう…

実は旦那は1ヶ月前に海外出張に行ってしまって
今私は家に一人きり。
明日朝に出張から帰ってくる予定だけど…
もうちょっと我慢してね…赤ちゃん…
とお腹を大きく摩る私。

そうだ!
大腹助産院はもう閉まってるけど
華子さんに電話したら答えてくれるかも!
あ、でも今日から産休に入るとか言ってたような…
でもでも今の状況は背に腹はかえられない!
迷惑かもしれないけど電話しよう!

華子さんはすぐに電話に出てくれた。
私は今の状況を事細かに伝えた。
「あー…それは完全に陣痛が始まってるわねー…
 今まだ動けるでしょ?
 タクシーで助産院まで来れる?」
「はい!明日の検診準備も出来てるのですぐ行けます!」
「分かったわ!海子も月子も赤ちゃんたちの夜泣きが治まらなくて
 起きてるから手助け出来るわ!
 あ!そういえばもし出産が進んじゃったら
 希望してた水中出産どうする?
 旦那さんまだいないかもしれないけど
 バースプール用意するのは出来るわよ。」
「用意して欲しいです!
 華子さんが勧めてくれた家族に見守られながらの水中出産したいです!
 だって海子も月子さんも華子さんも
 みんなの赤ちゃんたちもみんな家族だから!」
「あら!嬉しいこと言ってくれるわね!
 分かったわ!用意しとくわね!気を付けてきてね!」
「ありがとうございます!すぐ行きますね!」

電話切ってすぐ助産院までのタクシーを手配した。

23名無しさん:2020/11/26(木) 18:29:35
10分くらいして、ようやくタクシーが家の前に到着。
ちょっと陣痛が強くなったような気もするけど、まだまだ大丈夫そう。
とりあえず時間だけ記録して、私はすぐにタクシーに乗り込んだ。

「生子、まだ大丈夫そう?」
そして助産院につくやいなや、海子が出迎えてくれた。
赤ちゃんは今さっき寝たところらしい。

24名無しさん:2020/11/27(金) 01:58:47
ガチャッ
「こんばんわー」
水中出産は本来分娩室に
空気で膨らませるバースプールを設置するのだけど
急遽ということもあって
以前母親学級を行った多目的室に
バースプールを設置することになったと海子から聞いた。

「お!来たね生子ちゃん!」
「月子さんお久しぶりです!」

月子さんは先日出産した赤ちゃんを抱えていた。
月子さんは夜だというのに身体にフィットした
上下蛍光グリーンの派手なトレーニングウェアに身を包んでいた。
職業柄こういう格好の方が落ち着くのだろうか。
お腹が引っ込んでいる月子さんを見るのはなんだか不自然な感じだが
ウェアで締まってる腹部はやはりまだぽっこり膨らんでいた。

「バースプールの設置はもう出来ててー
 今ちょっとずつお湯を入れてるところねー
 でもまだ産まれないでしょ?」
「ど、どうなんでしょー…まだ陣痛の間隔は短くないから…
 あ!!!いたたた…」
「あーごめんねー痛いのに!
 ヨガマット敷くからちょっとそこで楽な姿勢して待ってて!
 今お母さん呼んでくるから。」

25名無しさん:2020/12/09(水) 00:44:22
「ふぅー…ふぅー…」
ヨガマットの上に横になり
母親学級で教わった呼吸法を思い出しながら
なんとか陣痛の痛みを和らげてみたものの
腰の痛みが変わる様子はあんまりなかった。
だけども海子が傍にいて私の腰を摩ってくれているのはとても心強かった。
「海子ぉーありがとねー」
「なぁーに。あたしが出産した時にも
 こうやって傍にいてくれたじゃない!
 困ったときはお互い様よ!」

ガチャッ
多目的室のドアが開いた。

「生子ちゃーん!お母さん連れて来たよ!」
「ふぅーこんばんは生子ちゃん!お久しぶりぃー!
 お腹ずいぶん大きくなったわね!」

月子さんが華子さんを連れ多目的室のドアを開けた。
トレーニングウェアを着た月子さんの後ろに
同じく身体のラインが出る黒のトレーニングウェアに身を包んだ華子さん。
セパレートタイプのトレーニングウェアに腹囲120cm以上もある
双子のいるお腹が収まるはずもなく露わになった肌色の巨大な球体は
これでもかと見せつけるような迫力を放っていて私は声を失った。
海子も目を丸くする。

「うわ。お母さん、何その恰好!すご!」
「しょうがないでしょ!水中出産の介助する時の耐水性の服に
 このお腹が収まりきらないんだからー」
「私(月子)のウェアなんだけど中々キツキツで
 着せるのに結構時間かかっちゃって。お母さん太った?」
「そりゃ当たり前でしょ!
 赤ちゃん産むんだからおっぱいやお尻は大きくなるの!
 あなたたちとそんな変わらないわよ!」

華子さんは前回会った時よりも明らかに身体つきが変わっていた。
大きくなったのはお腹だけではない。
パンパンに膨れ上がったおっぱいや太ももに
トレーニングウェアも悲鳴を上げてるかのようなパツパツ具合だった。
きっと華子さんも出産の時が近いのだろう。
その姿を見て自分よりも華子さんを心配する気持ちが少し大きくなってしまった。

26名無しさん:2020/12/09(水) 20:48:55
「バースプールの設置終わったわよ。どうぞー」
華子さんに言われて私はゆっくりと、プールのお湯の中へ入っていった。
「ふぅー…んんーっ……」
「焦ることは無いよ。ほら、落ち着いて」
華子さんがそう言うのだけど、私の目の前のこんなに大きくて出べそも目立つお腹を見ると、中々落ち着けない様子。
そんな時だった。
「!…んっ…おぅっ……」
「は、華子さん!?」
「あはは…ピチピチのウェアからはみ出すぎてる上に今もお腹が時々張ってきちゃって…。ますます自己主張が激しくなったようで今までにない凄まじい快感が……ん?」
「「「……」」」
と、おかしな例えに私達は3人揃って詰まってしまった。華子さんらしいけど。
「あ…ご、ごめんなさい…。とにかく私ももしかしたら今日産まれそうかもしれないから、そのときはお願いね!」
「わ、分かった!」
月子さんは華子さんがいつ陣痛に襲われてもいいように急いで準備を始めた。
海子は引き続き私の傍にいて励まし続ける。

27名無しさん:2020/12/10(木) 00:48:30
「あぁーいた!!いたたたたたたた!!!!」
現在深夜1時30分。
陣痛の間隔が徐々に短くなってきた。
「今、肌寒い?」
「え?いや全然…あっ!いたたた!」
「じゃあ上の服脱いじゃおうか。
 お腹の赤ちゃんの様子も見やすいように。」
華子さんに言われて湯船でびちゃびちゃになったTシャツを脱ぎ
深く呼吸をするお腹を湯船に浮かべた。

「わーお!随分大胆な水着着てきたのね!」
「あ、はい…急いで準備してきたもんで…」

水中出産するのに水着を着て来てくださいと言われたので
急いで準備したのが旦那と旅行行った時に着た
このショッキングピンクのビキニだった。
妊娠前に買った水着なのでおっぱいのカップ数があわずに
おっぱいが零れ落ちそうなセクシー水着にすら見える状態だった。


私はバースプールに寄りかかり
華子さんが私のお腹を触りながら
聴診器を当てせっせと赤ちゃんの様子を調べた。
「うーん…今1時半かあ…そうねえ…
 この様子だと遅くても朝9時までには産まれるわね!」
「9時!?じゃあ旦那と立ち合い出産は…」
「そうねえ難しいわねえ。
 でも私も月子も海子もついてるから安心して!
 私たちはもう家族みたいなもんよ!
 ……っっおぅううう…うっ………
 この子たちもいるよって言ってるみたいね!」
お腹を摩りながら微笑む華子さんの表情は
いつもよりもどこか苦しそうにも見えた。

28名無しさん:2020/12/11(金) 23:39:24
それから1時間。
痛みが強くなったり和らいだりを繰り返しながら
陣痛の間隔が徐々に短くなってくるのを着実に感じていた。

長丁場になるであろうと思い
海子が気を遣ってコンビニで惣菜パンと
ドリンクタイプのゼリーを買ってきてくれた。
一方月子さんはまだ朝早かったようで
一度仮眠を取ってから戻ってくるとのことだった。
華子さんもまた長丁場に備えて
お腹が丸出しになったそのままのウェア姿で看護室に食事に行った。

私は一度バースプールから出て
サイズの合わない派手なピンクのビキニの上にバスローブを着て
ヨガマットの上で四つん這いになっていた。
お尻を突き上げ、左右に振り深呼吸をすることで
少し痛みは和らいでいるような気持になっていた。
海子は私が海子の出産の時に寄り添っていたように
ずっとそばにいて腰を摩り続けていた。

「ふぅーーーふぅうううううううううう……
 ありがとねー海子ぉー…あーっ!!いったぁああああ!!!」
「がんばってぇーそろそろ破水するかもねぇー…
 そういえばお母さん遅くない?
 ちょっと見てこようかな。」

ガチャッ

その時多目的室のドアが開き華子さんが入ってきた。
「お母さんどうしたの?大丈夫?」
海子がそう言うのでドアの方へ目を向けると
ドアノブに捕まる華子さんは前傾姿勢で息を荒くしていた。

「……もしかした…キタかも…」
「…え?」
「…じ……陣痛ぅ……きちゃった…かも……」
「え!!!!ええええええええ!!!!!!!!」
私たちは深夜2時とは思えない大声を出してしまった。

29名無しさん:2021/09/04(土) 22:25:45
「どどどどうすれば…」
突然2人の出産に海子は少し焦る。
「落ち着いて海子…私は大丈夫よ……最低限の準備なら月子がとっくに終わらせてくれたから、海子は引き続き生子ちゃんの出産に立ち会って」
「でも……」
「心配することはないわ。私は出産にある程度慣れているから自分だけでもしばらくは平気よ。さあ早く生子ちゃんを……」
「……分かりました」
近くで予め月子さんが用意してくれた出産スペースで華子さんが横になっている間、海子は私の出産の手助けを続ける。

30名無しさん:2022/05/09(月) 21:47:47
「私も無事に生子を産ませなくちゃ。そんじゃ……えいっ!!」
そう言いながら海子は少し生子から距離を置くと、一度しゃがんでから思いっきりジャンプした。
ドスンッ
「海子!?」
突然の海子の行動に私は少しビックリした。
海子が跳んだ瞬間、大きなおっぱいも激しく揺れた。
その弾みでサイズ不足の服が一挙にせり上がり、下っ腹がちょこっと出てた状態から一瞬でおへそ丸出しに。
服の裾は、まだ産んだばかりでポッコリ出ているままのお腹に完璧に乗っかっている状態となった。
「い、今のは……」
「私は「大・腹」助産院の娘!なので、今のこんなお腹と今着てるサイズの合わない服を生かして私なりに気合いを入れたのさ!!」
と、自信満々でズボンに乗った大きなお腹をポンッ!と叩くと、お腹全体のお肉も僅かに波打った。
「も…もの凄いことを思いついたね……あっ、痛ぁ〜……」
「以前のマタニティビクスで私に起きたことを逆に利用して大正解だったわ。お腹出たままの状態で産ませてもらうね。さあ、生子ももう少しよ!」

31名無しさん:2023/03/20(月) 19:46:20
「ふぅーーふぅうううんっ……」
「そうそう、上手上手」
陣痛の感覚も短くなり、お腹もだいぶ下がってきていた。
私はお腹丸出しになった海子を見つめながらも出産を続けた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板