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カオスロワ避難所スレ3

1管理人 ◆WI16BozYZw★:2015/07/08(水) 21:45:14 ID:???0
前スレッドが1000間近のため新規スレッドを用意いたしました。

332開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:42:04 ID:ape0A4TY0


【二日目・21時20分/東京・ビッグサイト セルベリア個人持ちテント】

【セルベリア・ブレス@戦場のヴァルキュリア】
【状態】人修羅化、首輪解除
【装備】マロガレ@真・女神転生Ⅲ、竜殺剣ドリス@セブンスドラゴン
【道具】支給品一式、四条化した魔理沙の死体1/2
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、自爆はしたくない
0:切歌とレジーナと内密に情報交換を行う
1:ビックサイト防衛部隊を指揮する
2:小町はいつか、この手で必ずレ○プ(倒す)する
3:自爆による心中は反対、最後まで諦めたくない
4:サーフに謎の違和感
5:最悪の場合はディー達を……?
  そろそろ、あいつらヤバイ気がしてきた
6:ゼロという男に対しての疑念
※マガタマを取り込むことで人修羅化し、物理攻撃を無効化する敵にも物理攻撃でダメージを与える貫通のスキルを得ました
※竜殺剣を所持している限りは竜や龍に対して特攻ダメージを与えられます
※影薄組のことを組織に伝えました
※自爆による無理心中の件には納得がいっていない様子です
※沖縄の異常気象をクラウザーさんによるものではないと思っています
※道下・遠野からカオスロワがテラカオスを作るために開かれた可能性を知りました


【暁切歌@戦姫絶唱シンフォギアG】
【状態】決意、首輪解除
【装備】シンフォギア「イガリマ」、イグナイトモジュール@戦姫絶唱シンフォギアGX
【道具】支給品一式、クロエの首輪
【思考】基本:SATSUGAI、自分の生きた証として絶対にクラウザーさんを蘇らせる。
0:セルベリアと情報交換を行う
1:みんなの希望であるクラウザーさんは必ず蘇らせる!
2:風鳴翼については大いに失望
3:同じ狂信者仲間としてレジーナを大事にしたい
4:フィーネになってしまう自分の危険性を考慮し、クラウザーさんが蘇り次第、自分の命を断つ
5:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
6:サイコマンへの疑念
※自分が新しいフィーネになると思い込んでいるのは勘違いです
 よって、自分がフィーネになると勘違いしている時期からの参戦です
※サイドバッシャーを支給品と思い込んでおり、正体に気づいていません


【レジーナ@ドキドキプリキュア!】
【状態】健康、首輪解除
【装備】ミラクルドラゴングレイブ、電子星獣ドル、シンフォギア「シュルシャガナ」
【道具】支給品一式、ギラン円盤
【思考】
基本:クラウザーさんの復活
0:セルベリアと情報交換を行う
1:クラウザーさんの為にすべての人や魔物をSATSUGAIする
2:切歌に友情を感じている
3:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
  ついでにサイコマンも警戒
※月読調のギアの装者になりました
※サイドバッシャーを支給品と思い込んでおり、正体に気づいていません


【草加雅人@仮面ライダー555】
【状態】サイドバッシャーに憑依、テラカオス化進行(中)
【装備】サイドバッシャー@仮面ライダー555
【道具】カイザギア@仮面ライダー555
【思考】
基本:生き返る方法を探す・カオスロワちゃんねる管理人を殺す
0:セルベリアと情報交換
1:隙を見て蘇生手段も手に入れる
2:とりあえず、乾巧の仕業にする(カオスロワちゃんねる管理人以外)
3:来年のカイザの日も祝いたい
4:仲間にする奴には大災害の原因や蒼(TC)の件を教えておく。狂信者は様子見してから。
5:怪しいゼロの正体を探る。管理人だったら殺す。
6:サイコマンは別になんとも思ってないので疑われても助けない
7:乾巧が死んだので真理は俺のもの!
※大災害発生の原因とカオスロワちゃんねるの危険性を知りました
※テラカオス化によって得られた能力として無機物への憑依能力を得ました
※生き返れるタイムリミットは(作中時間で)残り55.5日です。
 再憑依のペナルティとして、一回につき蘇生タイムリミットが9.13〜55.5日まで減少します。
※テラカオス因子によって魂を現世に繋いでいるため、フォレスト・セルやツバサの治療を受けると問答無用で死にます
※カイザの日はテラカオス因子とは関係ありません。

333開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:42:35 ID:ape0A4TY0


【二日目・21時20分/東京・ビッグサイト】

【ディー@うたわれるもの】
【状態】健康、首輪解除
【装備】刀
【道具】支給品一式、クラウザーさんクローン×300、ネオ・ジオングスーツ(まだ未完成)
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、もしくは世界をSATUGAI(無理心中)する
1:黄泉レ○プシステムをさらに盤石にするため、引き続きマグネタイトは回収する
2:セルベリアを中心としたビックサイト防衛部隊、ドリスコルを中心とした都庁攻略部隊を編成する。
3:大災害などに疑問はあるが、今は後回し
4:ネオ・ジオングスーツの完成を急がせる
5:蘇生が不可能だと判断した場合は黄泉レ○プシステムを暴走させて世界を粛清する
6:シグナムは自分の手で討ちたかったが、まあ仕方あるまい
※首輪解除によりウィツァルネミテアの力をある程度解放できますが、空蝉であるハクオロの死体が見つかってなにので完全には実力を発揮できません
 また、蘇生関連の能力制限だけは首輪とは別の力が働いていると見ています
※パワーアップのためにネオジオング@機動戦士ガンダムUCを改造したスーツを開発中です
※沖縄の異常気象をクラウザーさんによるものであると思っています
※現存する組織のうち、あと三つ滅ぼせば黄泉レ○プシステムを起動できます

【サーフ・シェフィールド@アバタールチューナー2】
【状態】健康、瑞鶴の提督、支給品扱いで首輪なし、全マントラ網羅、マスタキャンセラ常備(万能以外無効)
    艦むす課金のしすぎで財布がちょいヤバめ
【装備】違法改造スマホ、四次元ポケット@ドラえもん(ディパック代わり)
    魔改造マスターボール
【道具】カオスロワちゃんねるのサーバー、カピラリア七光線銃、結婚指輪
    深海棲艦イロハ級×100、深海棲艦鬼・姫級×5
【思考】
基本:蒼の源泉の力を手に入れる
0:今は狂信者のフリをしてディーに従う
  ネオジオングスーツを完成させる
1:瑞鶴を操り、拳王連合軍に野球の試合を早急にさせる
2:真実を知った者は消す、そして殺し合いを加速させるものを助長させる
3:年増女(セルベリア)とシスコン仮面(ルルーシュ)は特に警戒
4:狙われると面倒なのでギリギリまで正体は隠す、必要のない戦闘は避ける
5:死んだ祐一郎の才能に嫉妬。ロックマンと翔鶴は必ず使い潰す
※カオスロワちゃんねるの管理人です
※古代ミヤザキの末裔であり、蒼や蒼の源泉・テラカオスなどについて全て知っています
 ナノマシンに仕込まれたプログラムにより完成したテラカオスならば乗っ取ることも可能
 予言の中にある『歌』も所持
※悪魔化ウィルスによりリアルヴァルナへと変身可能
 サイヤ人の肉を食べたことで全スキルを網羅し、戦闘力が大幅増加しました
※予言の中にある勇者についても参加者の内誰かが該当するか知っていますが、ツバサ以外の勇者は他の書き手氏にお任せします
※テラカオス・ディーヴァの残滓(ツバサ)がキングストーンの力を継承したことをまだ知りません
 また、都庁にノーデンスが現れ、真実を教えたことにも気づいていません


【サイコマン@キン肉マン】
【状態】健康、首輪解除
【装備】なし
【道具】支給品一式、イデオン、マジンガーZERO、真ゲッター1、グレンラガン、レオパルドン、ヴァンツァー(大破)その他不明
【思考】
基本:????
1:↑の目的のためにできればシルバーマンさんも勧誘したい
2:今は所定の位置について、ビックサイトを防衛
※サイドバッシャーの正体に気づいているかもしれないし、気づいていないかもしれない。
※肝心な時に仕事をしてないせいか、狂信者上層部からの信頼は薄いです


【松本人志@現実】
【状態】健康、DCS状態+大日本人化、首輪解除
【装備】浜田雅功人形
【道具】支給品一式、メトロン星人人形、グラコスの槍
【思考】基本:浜田の蘇生
0:狂信者のフリをしつつ、浜田蘇生の機を伺う
1:残り三つの組織が壊滅する寸前にビッグサイトの内部に侵入し、蘇生方法を奪って浜田を蘇らせる
2:浜田を生き返せないようなら一人でも多くの参加者をあの世に送る
3:今回名前出しぐらいしか出番なかったな…
※巨人の脊髄液@進撃の巨人を取り込んだことで大日本人に変身できるようになりました
 DCSの効果などで原作の大日本人よりは遥かに強いです
※深雪の目的を知った上で秘密の同盟を組みました
※深雪によりビッグサイトの中にある黄泉レ○プマシンの位置を把握しました
※浜田の魂が消滅したことに気づいていません

334開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:43:23 ID:ape0A4TY0



【二日目・21時20分/東京都 港区へ続く道】


【ドリスコル@フロントミッション】
【状態】健康、首輪解除、レベル・全熟練度MAX
【装備】グレートゼオライマー@スーパーロボット大戦
【道具】支給品一式、カレンデバイス(氷室美久ボディ)、魔改造マスターボール
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、もしくは世界をSATUGAI(無理心中)する
0:22時までにカギ爪団を伴って都庁を攻める、まずは港区へ集結
1:都庁攻略部隊を指揮する
2:蘇生が不可能だと判断した場合は黄泉レ○プシステムを暴走させて世界を粛清する 
3:ゼロ考案の作戦には期待している
※次元連結システムは氷室美久のボディにカレンデバイスを入れることで制御が可能になりました
 またカレン・ミューアの人格にも上書きされました
 本人は善人ですが、極度のクラウザーアンチでDMCの曲を流されると人格が引っ込んで人形のようにドリスコルに従ってしまいます
※フロントミッション1〜5のスキルを網羅しています
※沖縄の異常気象をクラウザーさんによるものであると思っています
※マスターボールが改造されて別トレーナーからポケモン(というか色々)を奪うことが可能になりました


【天龍(元オシリス)@艦隊これくしょん】
【状態】ロリコン、改二、オシリスの記憶と力を所持
【装備】艤装一式、眼帯&刀(飾り)
【道具】白ビキニ、深海棲艦イロハ級×100、深海棲艦鬼・姫級×5
【思考】基本:提督に従う、ロリにモテたい
0:ディーという奴には表向きは従い、今は都庁を攻める
1:なぜだかロリにモテたい、超モテたい!
2:駆逐艦娘のためにもサーフの計画に乗り、神やグンマーから世界を解放する
3:出会ったら敵同士だぜ、イチリュウチーム
4:敵でロリが出てきた場合は殺す前にレ○プする
※オシリスの脳を使って建造されために記憶や能力を引き継いでいます
 ただし人格は艦むすとしての天龍に上書きされています
 オシリスとしての人格を取り戻すには特別な処置が必要です
※瑞鶴と同じくサーフへの忠誠度はMAXで、裏切れません
※ロリコンだけは本能なので何をしても治りません
※オシリスを改造して作り上げたので、轟沈されるまでオシリスは放送で呼ばれません


【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【状態】健康、ゼロの服装、妹への欲求(超極大)、非常に激しい怒り
【装備】ガウェイン@コードギアス@反逆のルルーシュ、スマホ@スマホ太郎
【道具】支給品一式
【思考】基本:ナナリーを生き返らせる
0:都庁を滅ぼす作戦に参加しドリスコルに協力する
1:カギ爪団に混じりながらDMC狂信者のクラウザー蘇生方法を探る。
2:ギアスの使用は慎重にする。
3:1の為、ゼロとして行動する。
4:こうなった以上、深雪は責任持って俺が幸せにする。
5:テラカオスと大災害への対処法を探す。
6:狂信者内の潜伏者を警戒する。出来る事なら炙りだしたいが……
7:主催とコンタクトを取りたい。
8:近い内、ルルーシュとして対主催とも接触したい。
9:ディーに強い潜伏者疑惑。仮に違っても殺す。
10:松本もいつか殺す
※明恵夫人経由でテラカオスプロジェクトを知りました。
※テラカオスについてはかなり懐疑的です。
※狂信者内にテラカオスを狙う第三者の存在が居ることを推理しました
※深雪を全く疑ってません
※都庁攻撃作戦の概要は後続の書き手氏にお任せします


【司波深雪@魔法科高校の劣等生】
【状態】健康、ギアスによりルルーシュを大好きな兄として認識中、首輪解除
【装備】深雪のCAD
【道具】支給品一式 サファイヤ@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(美遊の支給品で魔法で凍結中)
【思考】基本:ナナリー含む妹キャラは皆殺し
1:狂信者を使い、先ずは都庁を攻めさせイリヤを抹殺する。
2:共犯者である松本と連携し、ナナリーの蘇生を秘密裏に妨害
  最終的にルルーシュからの愛を独占する
※松本の正体に気づいた上で秘密の同盟を組みました
※ビッグサイトの中にある黄泉レ○プマシンの位置を把握しました
※イリヤが既に死んでいることを知りません

335開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:43:45 ID:ape0A4TY0


【道下正樹@くそみそテクニック】
【状態】ダメージ(中)、尻穴にダメージ(中)
【装備】フルアーマーユニコーンガンダム@機動戦士ガンダムUC、ゲイ・ボルグ@fateシリーズ
【道具】支給品一式、四条化した魔理沙の死体
【思考】
基本:同志のためにもクラウザーさんを蘇らせる。
0:ゼロに従って都庁を攻める
1:SATSUGAIする。
2:阿部さんや同志は僕の中で生き続けているんだ……。
3:テラカオスについては他の信者には黙っておく
4:遠野くんは大切なホモだち
※殺し合いの目的がテラカオスを作るためだと気づきました
※救済の予言を単なるデマと思っています


【遠野@真夏の夜の淫夢】
【状態】ダメージ(中)、尻穴にダメージ(中)
【装備】フェネクスガンダム@機動戦士ガンダムNT、ゲイ・ボウ@fateシリーズ、やわらかスマートフォン
【道具】支給品一式
【思考】
基本 基本:同志のためにもクラウザーさんを蘇らせる。
0:ゼロに従って都庁を攻める
1:SATSUGAIする。
2:先輩や同志は僕の中で生き続けているんだ……。
3:テラカオスについては黙っておく
4:道下さんは大切なホモだち
※殺し合いの目的がテラカオスを作るためだと気づきました
※救済の予言を単なるデマと思っています

336阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:28:15 ID:la.XL0sY0
「世界を守るため」フォレスト・セル殲滅を決定した第10期主催陣営。
多くの者が戦いの準備を進めていた。
九州ロボのメインルームでは、ジャック、紫、メフィラスがあーでもないこーでもないと、作戦を練り上げている。

「大量の狂信者が港区に集まり出している。
狂信者による三回目の都庁攻略作戦があると考えるべきか」

モニターには目視ではとても数え切れない数の狂信者がぞろぞろと港区に集まっていた。
本拠地のビックサイトからだけではない。
他県の、日本中からクラウザーさんを信望していた(または鞍替えした)狂信者が港区に集まっている。

「数だけで都庁に勝てるかは疑問だけど、私たちにとっては都合が良いわね」
「狂信者と挟撃する形でフォレスト・セルを殲滅、もしくは戦いで双方が疲弊した瞬間を狙って漁夫の利的にフォレスト・セルを撃破した方が得策でしょう」

狂信者が三度目の都庁襲撃作戦を企てているなら好都合。
九州ロボを取り戻した主催陣営でも真正面から都庁と戦うには危険なため、他方から別の勢力が攻めてくれれば、非常に戦いやすいのだ。
狂信者そのものも、大災害を防いだ後の日本には確実に邪魔になるため、都庁または主催の手で殲滅されても都合が良い。

「しかし、都庁や狂信者以外にも懸念材料がいくつかあるな……」
「拳王連合軍、イチリュウチーム、黒き獣ね」

考えの読めない拳王連合軍。
アナキンも潜伏しているイチリュウチーム。
この世界に取って絶対の敵である蒼の精霊、黒き獣。

今は横浜に留まっているが拳王連合軍がいつ、我らが主催含む他の勢力に挑んでくるかわからない。
それでフォレスト・セルを倒してくれるのならば嬉しいが、それは取らぬ狸の皮算用だろう。

イチリュウチームは純対主催チームであるが、都庁に騙され(または都庁自身もセルの危険に気づかぬまま)、都庁の味方になってしまう危険は多いにありうる。
アナキンだけでは止められるか怪しい上、そもそもアナキン自体も知らないまま、味方する可能性があるのだ。

そして沖縄の黒き獣。
どういうわけか沖縄から全く動く気配がないが、いつ動き出して本州に攻めて来るかわからない。
仮に気が変わって本州に攻め込もうものなら、蒼を纏っている以上テラカオス以外の誰も黒き獣を止められないのだ。

「机上の空論的に話しますと、他はまだ融通が効くようにも感じられますが
黒き獣だけはイチリュウチームに捕らえられているテラカオス・ディーヴァぐらいしか対抗ができませんね」
「その貧乳歌姫も一度黒き獣に敗れて大きく弱体化している」
「だが、我らの手元にテラカオスがない。
どれだけ策を弄しても火力を有してもコイツだけはどうにもならん。
さりとて放置するわけにもいかんが、どうしようもないな……」

この盤上にとって例外中の例外、それが蒼を行使できる黒き獣なのだ。
対抗できるのは蒼を吸収できる体質のテラカオスのみ。
だが肝心のディーヴァはツバサに転生する際に弱体化し、サーシェスと安倍は既に死亡済み。
草加は候補者止まりで覚醒にはほど遠く、他は死亡または治癒されてしまった。
ユーノはテラカオスへの進化にリーチがかかっているが、ギムレーの内部にいるので生存は望み薄だ。
貴重な四条化細胞のカプセルはアナキンに渡してしまったし、主催陣営に即興でテラカオスを手に出来る手段はなかった。


「大変よ、みんな!」

そこへ九州ロボのファクターに戻ったココが、作戦会議中の三人に慌てたような声で呼びかけた。
彼女はセル撃滅作戦に役立つ情報を手に入れるために、ついさっきまでモニターと睨めっこをしていた。

337阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:29:33 ID:la.XL0sY0

「どうしたのココ?」
「今、情報が入ったんだけど、第四のテラカオスが覚醒したわ」
「!!」
「ユーノ・スクライアがとうとうテラカオスに至ったか」
「いえ……違うわ」
「なに?」

ジャックたちはユーノがテラカオスに進化したのだとばかり思っていたが、ココがそれを否定したことに目を丸くする。

「テラカオス化したのは彼と行動を共にしていた高町なのはの方よ。
ユーノの方は、突然テラカオス化がなくなったから、ディーヴァに治療されたのかもしれない」
「高町なのはって……彼女はどれだけストレスを与えてもテラカオス化しない陰性の参加者だったじゃない?」
「詳しい理由はわからないけど近くにアナキンもいたからおそらくは……」
「そうか、彼が四条化細胞のカプセルをなのはに与えたのか」

なのはのテラカオス化についてはアナキンが四条化細胞を入れたカプセルを彼女に飲ませたのだろうと予測する。
実際は違うのだが、今はそんなことはさして重要ではない。
大事なのは新しいテラカオスが生み出された事実である。

「イチリュウチームから離脱したところからして、単純な戦闘力は貧乳歌姫を凌駕しているみたいね。
ナノマシンから発信されたエントロピー計測値も大したものよ」
「それは良い……しかし、イチリュウチームから離脱した彼女は今、どこにいるのですか?」

テラカオスが生まれただけならココがこんなに焦る必要はない。
普段冷静な彼女が焦るのはそれだけの理由があるはず。
メフィラスはそう睨んだ。

「……なのは、そして彼女に囚われたユーノの現在地は伊豆諸島よ」
「なんですって!?」
「すぐに伊豆諸島基地にいるヤンとメディアに繋ぐんだ!」

部屋のモニターが、伊豆諸島基地に繋がる。
通信に出たのはメディアと、微妙に似合っていないシスの暗黒卿の服とヘルメットを着たヤンだ。

「二人共まだ無事か」
『ええ、まだ向こうはこちらに気づいてないみたい』
『いつかはどこかの勢力がここに攻め込んでくると思っていましたが、いや〜まさかたった二人で乗り込んでくるとは思いませんでしたよ』

ヤンは飄々としているが、伊豆諸島基地は戦略的に意味がなくなっただけに主催の戦力は引き払っていた。
残っているのはサーヴァントであるヤンとメディア、雑用のクローンヤクザ数十人程度で、後はTIEファイター一機すら置いてない最小限の戦力だ。
テラカオスと化したなのはを相手にするにはどう考えても足りない。

「見つかれば戦闘になる可能性が高い。どうにか隠れてやり過ごせ」
『ええ、彼女らを刺激しないようにどうにか――』


その時、モニターの奥から爆音が響いた。


『……気づかれてしまったみたいね』
『あちゃー……ダメだったが。
仕方あるまい、例によって機密情報は全て破壊した後、迎撃行動に移ります』

どうやらなのはに感づかれてしまい、先制攻撃を受けたようだ。

338阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:30:18 ID:la.XL0sY0

「行けません! あなたたちの戦力ではタカがしれている! ジャック、すぐに救援を」

ヤンとメディアはサーヴァントとしての契約上、伊豆諸島から出られない。
魔力供給もできないので戦力的にも大したことはできない。
メフィラスはジャックに救援を頼むが、拒否されてしまう。

「ダメだ、今からでは間に合わん。犠牲になる戦力の見積もりを考えても伊豆諸島基地に救援を回すのは割に合わん」
「そんな!」
『残酷なようだけど、ジャックの判断は正しい。
伊豆諸島基地は定時放送を行うためのTVスタジオ程度の価値しかないからね』

メフィラスは不服であったが、現場にいるヤン側は本陣が戦力を回せない理由を理解していたため、覚悟をしていた。
ヤンとメディアは伊豆諸島で果てるつもりなのだ。

『まあメフィラスの気持ちはありがたいが、あなたたちにはまだ生きてもらわねば困る。
な〜に、我々サーヴァントは誰しも一度は死んだ身だ。
死んだところであるべきところに帰るだけだよ』
『とはいえ、ただでは死にません。
せめてテラカオスの成長を促す薪ぐらいにはなりますわ』
『そうそう、ここにいる彼女と一緒にフォレスト・セルに関する攻撃プランを考えたんだ。作戦に役立てて欲しい』
『あと敵に立ち去った後にセイバーの模型が無事だったら回収しておいてね、力作だから』
「ヤン、メディア……」

これから死ぬ身でありながら、画面の中のヤンとメディアは笑っていた。
メフィラスから思わず声が漏れる。

『じゃあ、ジャック、ココ』
『あちら(冥府)で会いましょう』
「ええ」
「いつか必ずいく、待っていてくれ」

二人が迎撃に向かう映像を最後に、通信は途切れた。
同時に二人が考えたフォレスト・セル攻撃プランの概要がデータで転送された。





10分後


「くう……参ったね、クローンヤクザは3分持たずに全滅、我々も既にボロボロだ」
「むしろ、これだけの戦力で良く10分も持ったわ。さすがはコマンダー、魔術師ヤンと言われたことだけはある」

ヤンが口にした通り、基地にいたクローンヤクザは全滅済み。
二人のサーヴァントも既にボロボロであった。
伊豆諸島基地は一時は主催陣営の重要拠点だっただけに、侵入者を阻む罠や策が敷かれていた。
アナキンたちが去った後でもそれは機能し、裏切りの魔女メディアと銀河自由同盟の魔術師であるヤンの手によって一山いくらの参加者では突破できない要塞となっていた。

目の前の少女はメディアとヤンの罠を10分かからずに魔力のゴリ押し一つで突破してきたのだ。
テラカオス化、そして鬼である伊吹萃香の妖力を喰らい、魔力を増大させた魔法少女・高町なのは――またの名をテラカオス・リリカル。

「こんなところに隠れていたとは思わなかったわ、ダース・ベイダー!!
よくもユーノくんや私をこんな体に! フェイトちゃんと、ヴィヴィオの仇!」

地獄を支配する冥王の如く、ケモ耳魔法少女の表情は般若のように歪んでいた。
ヤンの今の姿はダース・ベイダーの格好にマスク、ボイスチェンジャーも外していないので、主催の顔とも言えるベイダー卿さながらである。
ベイダーはなのはの視点ではこの殺し合いを起こした憎っき存在であり、テラカオス化を誘発する瘴気をばらまき、親友と未来の娘を殺した元凶である。
幾多もの惨劇を殺し合いの中で味わったからこそ彼への憎しみはユーノ並、もしくはそれ以上であった。
ちなみに気絶していたユーノは戦闘に巻き込むと危険だったため、伊豆諸島の安全そうな洞穴に隠した。

339阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:31:02 ID:la.XL0sY0

(どうしてベイダー卿の服を着てきたの?)
(この姿のまま死ねばベイダー卿の死亡を偽装し、イチリュウチームにいるアナキンの安全を確保できると思って)

ヤンがベイダーの姿のまま戦いに挑んだのは、一重にベイダーの影武者として死ぬことで潜伏しているアナキンに目を向けさせないためだ。
少なくとも目の前のなのはにだけはアナキンの正体を悟らせないことに繋がる。

「絶対に殺してやる、殺してやるの!!」

目論見どおり、少女の殺意はヤンに向き、今まさに必殺の一撃を放たんとしている。

(元々、死ぬつもりで、テラカオスの成長を助けられるならと思って、このまま瞬殺だと成長の糧にもならんな。
せっかく死ぬなら、それじゃ面白くないな)
「メディア、アレを使う。余に合わせろ!」

テラカオスを成長させるのは殺し合いのストレス……すなわち死闘の中でしかありえない。
このまま簡単にやられてしまうと+にならないと思ったベイダーに扮したヤンは、策のためにキラキラ輝く粉のようなものをディパックの中からなのはに向けてバラ撒いた。

「粉!? こんなもの……」
『いけません! マスター!!』

なのはは構わずに敵に向けて魔法攻撃を行わんとするが、その瞬間、彼女の周囲で大爆発が起こった。

「ゼッフル粒子……敵であったキルヒアイスが得意とした戦法だ」

ゼッフル粒子とは、レーザーやビーム砲くらいの高温で発火・爆発する特殊粒子、爆弾のようなものだ。
撒かれた粒子がなのはの魔力に反応して爆発を起こしたのである。

「ゴホッゴホッ、だけどこんな目くらましなんて!!」

テラカオスに進化する前のなのはならまだしも、今のなのはの防御力の前ではかすり傷一つつけることもできない。
僅かな時間の攪乱で精一杯であった。

「いや、目くらましで十分だ、メディア!!」
「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)!!」

しかしなのはが爆炎で目がくらんでいる瞬間に、メディアが歪な形状の剣を手に持って吶喊し、なのはを斬りつける。
彼女が手に持っていたのはクロエがルルーシュの絶対尊守のギアスを破戒した者と同じ……というよりこちらがオリジナルの魔法殺しの刃である。
そしてその刃が『彼女』を殺した。

一閃の後、なのはの甲冑が解除され、豊満な裸体をヤンやメディアに晒した。

「あ、ああ……」
『マ、ス、ター…――』


「レイジングハートッ!?」


破戒されたのは高町なのはの愛杖にして親友の一人とも言えたレイジングハート。
メディアの刃はなのは自身ではなくレイジングハートに振るわれ、宝具ならぬデバイスである彼女を破壊したのだ。
こうなるとレイジングハートは修復不能、ただ赤い宝石として地面に落ち、そして粉々に砕け散った。

(できればユーノ・スクライアの方が効果的だったが近くにいないなら仕方あるまい。
可哀想だが世界のためにも犠牲になってもらうよレイジングハート……)

「レイジングハートまで……いくつ私の大切なものを奪ったらあなたたちは気が済むのッ!!!
ウオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

なのはがもう一人の親友の死に叫ぶと、彼女の憎しみの心に呼応するように獣化が始まった。
ヤンの目論見通り、テラカオスの成長は更に進行したのだ。
それもレイジングハートによる魔法少女への変身が足枷になるレベルまで。
サーヴァントたちはそれを肌で感じていた。

「コマンダー……」

なのはが巨大フェレット似の怪物になった瞬間、メディアの肉体は爪のひと振りでバラバラになり、肉片を地面に撒き散らしたあと、魔力として消えていった。
彼女は殺される寸前に振り返ってヤンと視線を合わせたが、これから殺されることを理解していながらも、やり遂げたような微笑み顔を向けていた気がした。

そして、ヤンも完全に怪物となったなのはが放った魔力の弾丸で腹をえぐられる。
腹に風穴が空いたヤンの口から血の塊が吐き出された。

「ぐわッ!」
「シネェ、ベイダァーーーーーーッ!!!」
「やれやれ……」

急接近したなのはは爪の一撃でヤンにトドメを刺そうとする。


「そこまでです!」

瞬間、なのはとヤンは照明に照らされ、動きを止めた。
気がつくと伊豆諸島にはいなかった、主催の兵士たちに囲まれていた。
その兵隊の中心にいたのがメフィラス星人と八雲紫であった。
それだけならなのはが手を止める理由にはならず、これだけの戦力ならばなのは単体での殲滅も容易であった。

「そのまま暴れても良いけど……ここにいる彼が死ぬことになるわよ」
「な、のは……」
「ユーノクンッ!?」

洞穴に隠したハズのユーノは引きずりだされ、主催に捕まって人質となっていた。
防御面では最高クラスの魔術師であるユーノであるが、それはデバイスがあればの話。
丸腰状態の彼が人間より遥かに強い宇宙人や妖怪に勝てる道理はない。

340阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:32:41 ID:la.XL0sY0

「動かず、できるものなら怪物化を解いてもらいたい。
流石にあなたの魔法弾や爪より私たちの攻撃が彼を貫く方が早い。
もし従えないのであれば、こちらの彼には死んでいただく」

メフィラス星人はあくまで紳士的に、なのはに降伏勧告をする。

「ダメだ、なのは! 僕に構わず……」
「ダメ……ユーノくんが死んだら私生きていけない……」
「なのは!」

ユーノの言葉を聞けず、なのはは怪物化を解いた。
恋人の身柄を最優先にしたのだ。
そして紫はなのはが変身を解いて、元の美女の姿になったのと同時に二人に首輪をつけた。

「特別性の首輪よ、狸組の連中が見つけた方法では絶対に取ることはできないわ。
片方が逆らった瞬間、二人共は死ぬことになるわ」
「くッ……」

ユーノとなのはにとっては屈辱的敗北であった。
多くの者を不幸に巻き込んだ存在に再び首輪をつけられつつも、今度は逆らうことも許されなくなったのだ。

「僕となのはをどうするつもりだ……!」
「何か勘違いしているようだけど、私たちはあなたたちを迎えに来たのよ」
「なに?」

紫の言葉にユーノとなのはは驚く。



「私たちはあなたたちをスカウトしにきたのよ、我々主催陣営プロジェクト・テラカオスの仲間にね」
「どういうことなの?」
「あなたたちも知らない、この世界と殺し合いの真実……それも教えてあげる。
さあ、生きたいのならば知りたいのならば、このどこでもドアに入って……ついでにずっと裸じゃ寒いでしょうから服も一式ずつ容易したわ」

なのはとユーノはを互いに手を握りあった後に幾人かの主催兵士と共にドアの中への入っていった。
逆らえば死しかなく、真実を知り主催の目的を探るチャンスでもあったため、二人に残された道は進むしかなかった。

九州ロボへ連行された二人の参加者を尻目に、メフィラスは傷を負い倒れたヤンの下へ駆け寄っていた。

「救援はありがたいが、少し遅かったね。
この傷じゃとても助かりそうにないな……」
「すみません、準備やジャックを説得するのに時間がかかってしまって……」
「いいんだ……」

ヤンが負わさた怪我は致命傷であり、もう数分も生きてはいられない。
にも関わらず、ヤンは余裕そうな口調でメフィラスに返す。

「座に帰る前に聞きたいことがある。
……なのはとユーノを主催陣営にスカウトするって、誰の発案だい?」
「私です」
「君か……なるほど、よく考えたね」

テラカオスは蒼から世界を救う力があるとはいえ、基本的に制御不能。
以前の貧乳歌姫、サーシェス、安倍がそれを証明している。
ユーノが絡むとなのははしばらく正気に戻るようだが、それもいつまで続くかわからない。
理性を保ったままテラカオスであり続けるツバサが例外中の例外であったのだ。
そんな危険な存在をあえて手元に置こうとする意味は――?

「――テラカオスとなったなのはと、沖縄の黒き獣とぶつけるつもりだね?」
「さすが、魔術師ヤン、もう考えを読まれましたか」

これからフォレスト・セルを討伐し、救済の予言を完遂した上でテラカオスを完成させねばならないのにシャドウだったもの――黒き獣は大きな障害だ。
その理由は拳王軍や狂信者よりも融通がきかず、どれだけ強かろうともテラカオス以外は蒼の汚染により問答無用でやられてしまうことになる。
だがテラカオス・ディーヴァは敗れてしまった。
黒き獣を止める手段はないと思われた。

そこへ盤上にテラカオス・リリカル(なのは)の存在が現れる。
彼女は歌姫以上のエントロピーを持ち、かつユーノから受け継いだ魔力反射能力を持っているらしく、ディーヴァ以上に黒き獣への勝ち筋が見えるのだ。
最悪、リリカルが敗れてもツバサは残り、逆にツバサが殺し合いの中で死んでもリリカルが残る可能性も出てくるのだ。
両方生き残ったら戦い合わせてどちらかを完成に導く。

「だがどうやって説得するつもりだい?
真実を教えると言っても、少なくともなのはの方は生き残れないよ。
彼女自身はもちろん、ユーノの方がそれを認められるかな?」

テラカオスは暴走した源泉から莫大な蒼を吸収した後、自身が世界の驚異とならないために自壊するようナノマシンにプログラミングされている。
テラカオスになったら最終的には助からないのだ。
依存と言えるまでに愛し合ってるなのはとユーノが事実を許容できるとはとても思えない。

「真実は教えますが、同時に嘘も教えます」
「具体的には?」
「計画の中にある、テラカオスに自殺プログラムがある点は隠蔽。助かる可能性を見せる。
エックスの遺した記録についても、テラカオスゼロが大災害を止めて散ったのではなく、後の騒乱で死んだことにしました」

なのはとユーノに改竄した計画と古代の記録を見せることで、あたかもテラカオス化しても助かる見込みがあるように見せかけるのだ。
希望が見えてくればこちらの指示にも従いやすくなるだろう。

341阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:33:11 ID:la.XL0sY0

「メフィラス、良い死に方はできそうにないね」
「尊き人類と世界を守る……その覚悟の上です」

悪質とまで言われたメフィラス星人のやり方と、強い覚悟にヤンはマスクの下で苦笑する。
その時、ヤンは自身の力が急速に抜けていく感覚が襲った。
身に覚えがある感覚だ。

「お……っと……お迎えがきたようだ……」
「ヤン提督…」
「穴が空いてしまったが…ベイダー卿のマスクとスーツはお返しする…
放送はモブ兵士にでも着せて……続けたまえ……」

アイコンタクトで後は任せたという視線をメフィラス星人に送り、コマンダーことヤン・ウェンリーは光となって消えた。
人間から見ると表情がわかりづらいメフィラス星人と、人間に近い見た目だが特に悲しい表情は見せてないように見える八雲紫。

しかし、ヤンやメディアを喪った感情に関しては、紫の手にセイバーの模型が握られていたことと、メフィラスが譲られた黒づくめの衣装をギュッと握り締めていたことが答えであろう……




「うッ……」
「ここは……」
「ようこそ、我らが主催陣営へ。ここは九州ロボの中だ」

なのはとユーノの二人がどこでもドアを抜けた先は九州ロボの格納庫。
そしてはやてより教えられた五大幹部の生き残り、ジャック・Oがいた。
ジャックの横には一台のTVが用意され、それは対主催二人にとって最も欲しい情報が映し出されていた……
なのはが最終的に死なねばならないという事実を除いて。



【ヤン・ウェンリー@銀河英雄伝説 死亡確認】
【メディア@Fateシリーズ 死亡確認】




【二日目・21時00分/東京の上空 九州ロボ】


【主催共通】
※予言の真実や古代に起きた出来事を知りました
※予言に必要な鎮魂歌を得ました
 九州ロボがミヤザキ産の器足り得る巨像であると知りました
 手元にはありませんが勇者が『ツバサ』、巫女が翔鶴とまどか、最良の九人が野球チームだと確信しました
※都庁同盟軍が予言や蒼、フォレスト・セルの罠について知っていることに気づいていません
※カオスロワちゃんねる管理人の存在にも気づいておらず、自分たちの手で掲示板を支配していると思い込んでいます

【ジャック・O@ARMORED CORE LAST RAVEN】
【状態】リンクスに改造
【装備】フォックスアイ(ネクストに魔改造)@ARMORED CORE、拳銃
【道具】ヒトマキナ・MS・TIEファイター×100、オーバードウェポン一式、古代のメモリーチップ
【思考】基本:世界滅亡を阻止するためにテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:都庁にいるフォレスト・セルを撃滅する作戦を立てる
1:0の前に(改竄を加えた)プロジェクトテラカオスとエックスの記憶を見せて
  ユーノ、なのはを我々の手駒に加える
2:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは抹殺する
3:アナキンの回収は後回し、後で何らかの方法での情報共有を行いたい
4:フォレスト・セルの撃滅が終わったら残滓(ツバサ)と翔鶴も回収したい
  鎮魂歌に最適な歌い手も見つけたい


【ココ・ヘクマティアル@ヨルムンガンド】
【状態】健康、九州ロボのファクター、ショタコン
【装備】九州ロボ、ライトセーバー@STAR WARS、拳銃
【道具】商品(兵器)、、ダークスパーク@ウルトラマンギン、スパークドールズ(ダークザギ)、スパークドールズ(八坂真尋)、モブ兵士×950、
     主催倉庫から持ち出した無数の支給品、力を失ったドラゴンボール
【思考】基本:ヨナ達を奪った大災害を防ぐべくテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:都庁にいるフォレスト・セルを撃滅する作戦を立てる
1:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは撃つ
2:不足の事態に備えて予備のテラカオスを作り出すことも念頭に入れる
3:真尋キュンprpr(死んだニャル子の分も愛でてあげる)
4:ヤン、メディア……
※スパークドールズ化した八坂真尋、ユーノを元に戻すにはダークスパークもしくはギンガスパークが必要です

342阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:33:55 ID:la.XL0sY0


【メフィラス星人@ウルトラマン】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、タイム風呂敷、ビックライト、ダース・ベイダーの服とヘルメット、ボイスチェンジャー
【思考】
基本:アナキン達に従い、世界滅亡を防ぐ
0:改竄を加えたプロジェクトテラカオスとエックスの記憶を見せてユーノ、なのはを仲間に加える
1:尊い地球人が死ぬのは不本意だが、全滅回避のために多少の犠牲は止むなしと考えている
2:なるべく暴力は使いたくない
3:ところで遺跡の前のバサルモスの死体は結局なんだったのでしょう?
4:ヤンさんとメディアさんの犠牲は無駄にはしませんよ……!
※ユーノとなのはに見せるプロジェクトテラカオスの全容とエックスの記憶は
 完成したテラカオスの結末が生きている形に変わります


【八雲紫@東方Project】
【状態】健康
【装備】傘、扇子、スペルカード@東方Project
【道具】ソロモンの指輪、仙豆×55@ドラゴンボール、ネビュラスチームガン@仮面ライダービルド、ギアエンジン@仮面ライダービルド、セイバーの手作り模型
【思考】基本:幻想郷を守る為に主催を手伝う。
0:都庁にいるフォレスト・セルを撃滅する作戦を立てる
1:どのような事をしても幻想郷を守る
2:仲間と認めた存在の犠牲を無駄にはしない
※境界を操る能力に制限がかかっています



【テラカオス・リリカル(元 高町なのは)@魔法少女リリカルなのは?】
【状態】19歳の身体、ケモ耳、すごい罪悪感、テラカオス完成度50%
    一時的に正気を取り戻している、特別性の首輪
【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王
【道具】なし
【思考】基本:ユーノの安全を最優先
0:ユーノくんの身が危ないので今は主催に従う
1:ユーノを傷つけたギムレーは信用しない
  イチリュウチームに戻りたくない
2:レイジングハートまで失ってしまった……
※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在と日本に世界を襲った大災害が起こる未来を知っています
※ユーノの精液(四条化細胞+キングストーンの一部の力)を全身で受けた結果、テラカオス化汚染が譲渡されテラカオス候補者に。
 さらに風鳴翼の右腕を食べたことで完全にテラカオス化しました。
 特効薬でもフォレスト・セルやツバサの治療でも治せません。
※テラカオス化したユーノから受け継いだ能力として
 あらゆる攻撃を防いでエネルギーを吸収し、威力を数倍にして返す魔力の塊を発射できます
 ただしほぼ暴走状態に陥っており、ユーノ以外の敵味方に関係なく襲い掛かります
 またTCを扱うシャドウの危険を本能的に察知できるようになりました
※ユーノを通してツバサから奪ったキングストーンの能力として「ゲル化」ができるようになりました
 「ロボ化」は不明


【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
【状態】疲労(大)、19歳の身体、特別性の首輪
【装備】なし
【道具】なし
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ……?
0:なのはの身が危ないので今は主催に従う
1:全てにおいてなのはの安全を優先する
2:なのはを絶対に護るためにも、もっと力が欲しい
3:救済の予言の謎を解く
4:野田総理の死の原因を探りたい
5:いかなる理由があってもなのはを悲しませた主催者たちは絶対に許したくないが……クソッ!
※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました
※PSP版の技が使えます
※TC値と救済の予言の内容を知りました
※特効薬を使ったことでユーノ自身のテラカオス化は完全に浄化されました。

343:2019/06/13(木) 17:51:46 ID:SwoZ9ll60
なのはの突然のテラカオス化により、被害を受けたイチリュウチーム及びアウラの民。
彼らは特に怪我がひどいアナキンとギムレーを応急処理を施しつつ、最後のドラゴンネットワークで得たギムレーの有力情報と、追先ほどのなのはの暴走に関する情報を集団全体で共有した。

瘴気の正体であるテラカオス化ナノマシン。
聖帝軍が立川を焼いた真の理由。

大災害や沖縄異常気象の正体。
オシリスになりすましてドラゴンネットワークに罠を張った黒き獣。

歴史の影に葬られた古代文明ミヤザキとグンマー。
SNSカオスロワちゃんねる管理人が事件の黒幕である可能性。

そしてこれから向かう予定である都庁が予言の謎を解き明かし、テラカオスと野球選手以外の全てを手に入れたこと。

ギムレーはもたらしたものは間違いなく有益情報である。

……だが、ギムレーに仲間から向けられた目は賞賛よりも冷ややかなものであった。


「萃香やブリーフ博士は仕方ないとは思う……なのはがテラカオス化するなんて誰も予測できないんだからな
しかし、だからって殺そうとすることはなかったじゃねえか!」
「アンタのせいやでギムレー!
せっかく正気に戻ったなのはちゃんを殺そうとしなければ、ベルナドットさんやアウラの民の人も死ななかったんや!
それにユーノくんまで……私は絶対にアンタを許さへんでギムレー!」

ギムレーに対して怒りの声、ストレートに感情をぶつけたのはナッパとはやてであった。
その理由はギムレーが、テラカオス化したなのはの危険性にばかり目を取られてしまい、殺そうとしたこと。
さらにその奇襲もユーノが庇ったことで失敗に終わり、不信によるなのはの出奔と仲間から死者を出してしまったのだ。
なのは殺害もギムレーなりの理由があるにしろ、ほとんどの者から見れば軽率な行動に映ったのだ。

「何を言っているんだ。
ツバサも言っていたがなのははもう手遅れだった。
魔法は吸収されて倍返し、物理攻撃も効かない。捕まえることなんてできやしない。
おまけに薬は無くなって、ブリーフ博士は死んで薬の調達は難しくなった。
被害を最小限にするには彼女をあの場で殺すしかなかったんや!」

一方のギムレーも邪龍故のプライドのためか、理論の上でなのはを生かして無力化する方法がないとわかっているがために、仲間たちに謝ることはしなかった。
謝罪は筋違いだと思ったからだ。
残酷なやり方かもしれないが、実際誰が暴走したなのはを留めて置けるのか。

「それになのはとユーノは裸で抱き合っていたようだしな」
「なにハレンチなことを口にしてるんや!」
「エイズのように移ったってことさ。
ユーノのテラカオス化した細胞が精液を通してなのはに吸収されたんだ!
それしかユーノ治療しようとしたツバサのテラカオス因子がなのはに移った理由がない」

なのはの突然のテラカオス化に関する推理はあっていた。
実際、何人かは二人がいた一室から性行為をしていたと思わしき喘ぎ声を聞いている。
それまではなのはにテラカオス化の兆候は見られなかったし、他に考えられまい。

「はッ……だったらユーノもなのはも自業自得じゃないか。
危険で未知の病気にかかってる時にセックスを行う……バカの所業だ。
ブリーフ博士や萃香が死んだのも二人の責任じゃないのか?」
「ギムレー! アンタって人は!」
「落ち着けはやて! 亀の中で頭を冷やせ」
「アナキンさん! ちょっと待――」

だが推理は当たっていたとしても、ギムレーの余計な一言が仲間からの悪感情を刺激してしまう。
例えそれが正論であったとしても、仲間とギムレーとの間に大きな確執が生まれてしまった。
特にはやては今にも殴りかかりそうだったのでアナキンはやむを得ずココ・ジャンボの中に閉じ込めることにした。

344:2019/06/13(木) 17:52:46 ID:SwoZ9ll60


「シカシ、問題ガ増エテシマイマシタネ……」
「なのはちゃんを止めないと、被害が増えてしまう一方でぇす」
「今は誰もいないハズの伊豆諸島にいるようですが、いつ動き出して他の人を襲いかかってしまうか……」
(……となるとヤンとメディアはおそらく……すまない)

後は都庁に行って野球(闘い)しにいくだけとも言えたイチリュウチームだったが、なのはを追わないといけなくなった。
無視すれば甚大な被害を及ぼし、最悪テラカオス・ディーヴァ以上の被害をもたらしてしまう。
テラカオスであるツバサはなのはの因子を感知し、追うための手がかりを教えた。
ちなみに伊豆諸島は主催が出した禁止エリアの一つであり、既に誰もいないというのが参加者間の一般的な考えであった。
実はそこには主催の秘密基地があり、守護する二人のサーヴァントが潜伏していたことを主催リーダー格のアナキンは知っている。
しかし、テラカオスなのはとの戦力差、そして伊豆諸島から出られない特性上、二人はもう助からないだろうとアナキンは部下二人の生存を心の中で諦めることにした。

「しかし追ったところでどうする?
捕まえるどころじゃない……エネルギーは吸収反射・物理攻撃はゲル化して無効という厄介な能力がある。
それならイチローだろうがナッパだろうが、誰もなのはを捕まえられないぞ?」

蛮の言っていることは最もだった。
追いかけたところでいくつもの能力が彼女の捕縛を不可能な域に至らせている。
もしかしたら残存する参加者の中で誰もなのはを捕まえられないかもしれない。
それがイチリュウチームの頭を悩ませる。



「いや、一匹だけなのはを捕まえられる能力を持つ奴がいたホル!」
「なんだって? ホルス、そいつは一体……」

突如、ホルスが閃いた。
6/を始め、驚いたイチリュウチームの面子がホルスに注目する。

「オシリスだホル!
奴の能力はいかなる魔法・罠・モンスターの特殊効果が発動できないってものがあるホル!」
「あ!」
「なるほど、なのはちゃんの能力が魔法や特殊効果扱いなら希望も見えてくるか」

半ば不意打ちで人質も取られていたサーシェス、単純に攻撃力が高いドリスコルの乗るゼオライマーにこそ遅れを取ったが、オシリスが戦場に出れば、あらゆる特殊能力が無効化される。
相手は選ぶものの、事故さえ回避できれば最強クラスの参加者なのだ。

「あとは連携さえ取れればなのはを捕まえることも不可能じゃないか、だが……」
「肝心のオシリス様はおそらくDMC狂信者に捕まっています……今の私たちの戦力で救助は困難ですね」

放送で名前が流れない辺り、オシリスはまだ生きているようだが、最後に別れた時は瀕死状態だった。
殺されていないのならあのまま江戸川区に放置されているとは考えにくいのでドリスコルの手によってDMC狂信者に捕まってビックサイトに送られたと見た方が妥当だろう。

首輪を外し能力を開放したイチリュウチームとて狂信者の戦力が集中しているビックサイトに攻め込むのは危険である。
最悪返り討ちで全滅する危険さえある。
仲間集めをしようにもカオスロワちゃんねるは管理人による改竄、ドラゴンネットワークは黒き獣による侵入がわかった以上実質的にできない。
ならば都庁の戦力と合流してからビックサイトを攻め落とせば安全なのだろうが、その頃にはオシリスが殺されている危険やなのはがもっと手をつけられないほどパワーアップしている可能性がある。
時間的猶予さえないように思えた。


「僕がビックサイトへ行こう。皆は今すぐに都庁へ向かえ」

どうすれば良いのか、頭を悩ませる一行に対してギムレーがそう言うと、浦安の空を覆うほど大きかった邪龍ギムレー本体が動き出し、ギムレーがその肉体に飛び乗った。
突然のことに動揺するイチリュウチームたち。

「おい? どういうつもりだギムレー!」
「僕と本体でビックサイトに殴り込みをかけ、オシリスを奪還しにいく」
「いくら邪龍とはいえ……死ぬぞ」
「君が行くなら僕も行く」
「俺もだ!」

アナキンが苦言した通り、いくら絶大な力を持つ邪龍とはいえ、単身でビックサイトに攻め込むのは、数の上でも質の上でもわけが違う。
先程までギスギスしていたとはいえイチローやナッパも気にかかり、共に行くと言い出す。
しかし、ギムレーは同行を拒否した。

「ダメだ、君たちはすぐにツバサを連れて都庁へと向かうんだ。
本体の眼を通じて今感じ取ったけど、都庁に狂信者の戦力が向かっているところを見た」
「それは本当か?」
「規模からしておそらく最終攻撃をしかけるつもりだろう……予言の巫女・歌を歌える者・巨像がやられたらこの世界はおしまいだ。
一つでも多く戦力がいるだろうし、彼らを守るためにも早急に都庁へ合流するんだ」
「だが君一人では……」

345:2019/06/13(木) 17:53:16 ID:SwoZ9ll60

心配そうに見つめるイチローにギムレーは微笑んだ。

「大丈夫だ。僕だってバカじゃない。ちょっと狂信者のリーダーと交渉するだけさ」
「交渉?」
「オシリスを生きて返さないとこの巨体をビックサイトにぶつけてやるとね」

アクシズ落としならぬギムレー落とし。
だが、実際参加者でも随一の巨体を誇るギムレーが落下すればビックサイトとてひとたまりもないだろう。
ある意味能力よりもその質量は厄介であるだろう。

「おい、それは僕たちも危ないんじゃないか?」
「半分のブラフのつもりだけど、奴らもクラウザーの蘇生手段を失う羽目になるし、クラウザーの蘇生が目的じゃなかったら奴らは下っ端どもから求心力を失う。
仮に僕を倒したら体がビックサイトへ落ちてしまうことになるし、奴らも迂闊には攻撃できない。
そこを突いて、僕に立ち去って欲しかったらオシリスを返せというのさ」
「そういうことか、わかった……」
「奴らに邪龍の怒りを見せつけてやるよ」

自身満々げに言うギムレーと本体は仲間を置いて徐々に上空へと昇っていく。

「ここで一時のお別れだ。都庁で落ち合おう」
「ああ……それと」



「なのはくんの件もあって、さっきはギスギスしていたが、今でも僕やナッパは君を味方だと思ってる!」
「必ず、一緒に野球をして世界を救いに行こうぜ!」

お人好し故に、ギムレーがなのはを殺そうとしたことは許せない。
だがギムレーが何を思ってなのはを殺そうととしたかは仲間たちは(はやてなど一部を除いて)理解していた。
結果的に惨劇につながってしまったとはいえ、ギムレーの何から何まで否定する気にはなれなかったのである。

イチローやナッパはギムレーに向けて手を振り、ギムレーも無言ながら手を振って返したのだった。
やがてギムレー本体は上昇を終えて、ビックサイトへ向かっていった。



「サア、都庁ガ危ナイデス」
「ギムレーならたぶん大丈夫ホル、早いとこ出発するホル!」

イチリュウチームもまた、都庁へ向かうことにした。
飛べるものはそのまま、飛べない者は騎士のように竜化したアウラの民に跨り、空を舞う。



『離レタカラッテ アンシンスルナヨ アナキン』
「――――ッ!」
『イツデモ 我々ガ オマエヲミテイル』
(本当に抜け目のない奴め……)

よく見るとアナキンを乗せたスクーナー級ドラゴンは、先ほどのなのはの暴走で死んだアウラの民の屍兵である。
アナキンの行動を見張るお目付役として、比較的傷の浅かった死体をこっそり蘇生したのだ。
仮にイチリュウチームを裏切る真似をすれば、ギムレーによるなんらかの報復があるだろう。
訝しげに思いながらアナキンははやてを亀の中から出した。

「アナキンさん、ギムレーは!?」
「かくかくしかじかあって一時的に別行動中さ」
「チッ、二度と戻ってこなきゃいいんや! なのはちゃんを売女呼ばわりしくさってからに!」
(……戻ってこないとオシリスも戻らないからなのはを捕まえることもできないんだが。
それに奴は売女とまでは言ってないぞ)

はやてからギムレーへの不信感は最悪レベルだ。
ふたりっきりにすれば確実に喧嘩するほどである。
それ以上に、なのはの暴走や自分を除いた狸組の全滅によってはやての精神は大分追い詰められている。
フォースで心を探らずとも明らかにヒステリックになっており、典型的なASDを患っているかもしれない。

(彼女の存在は僕と対主催の繋がりを作ってくれるが、これはちょっと……まずい傾向かな)

346:2019/06/13(木) 17:53:53 ID:SwoZ9ll60



「ギムレー様……民の者が亡くなった責任が全くないとは私は思いません。
アウラの民もあなたに怒りを抱いているようです。
……ですが、私があなたの立場なら民を守るために同じことをしたかもしれない。
……どうかご武運を」
「サラ……」

サラマンディーネも民から死者が出たことに怒りを覚えていたが、頭ではギムレーの行動を理解していた。
気絶さえしていなければ民や仲間を守るためになのはを殺そうとする決断を自分も下したかもしれないのだ。
だから必要以上に相手を責めることはせず、仲間として無事な帰還を願ったのだ。
竜の背に乗る彼女のつぶやきを、隣で聞いていたナッパは聞いていた。



「ギムレーさん」
「絶対死ぬんじゃねえぞ」
「ベルナドットさんを死なされて、クリスさんもシマリスさんも彼を憎まないのですか?」

竜の背に乗りながら遠くなるギムレーを見つめるクリスとシマリスにギムレーへの憎しみはなかった。
はやてはあそこまで明確な怒りを見せていたのに……その理由を知るためにツバサは二人に尋ねた。

「ベルナドットのおっさんが死んだのは悲しいさ」
「でもあれは事故だったんですう。ギムレーさんを恨むのも筋違いですし、なのはちゃんに怒りの矛先をぶつけるのも間違ってる気がするんでぃす」
「不幸な事故の積み重ね、つーか、色々こんがらがっちまってああなっちまったというのが私とシマリスの見解だよ。
恨むんだったらこの世界を大災害で滅茶苦茶にしたカオスロワちゃんねるの管理人ぐらいだろうな」
「原因を作ったギムレーさんや直接仲間を殺したなのはさんを赦すというのですか?」
「ああ、むしろギムレーの奴、ベルナドットのおっさんたちを死に責任を感じたからこそ一人でビックサイトに向かっちまったんじゃないかとさえ思ってる」
「はいでぃす」

(生ける者ははやてさんのように他者を許せない者もいれば、この二人のように許すことができる者もいる。
他人を許すことも強さの一つなんですね……)

また一つ、何かを悟ったテラカオスの残滓たるツバサ。

しかし、次の瞬間、突然のだるさがツバサを襲い、竜の背の上で彼女うなだれた。


「ッ!?」
「どうした?」
「急に疲れのようなものが……!」

他の者にツバサのような症状は見られない。
ツバサだけが鉛のように体が重くなったようだ。





「おい! あそこに誰かいるぞ!」

地上に目を凝らしていた6/が何かを見つけたようだ。
イチリュウチームを背に乗せた一団の行軍が一時的にストップする。

「狂信者か?」
「いや、そうは見えねえけど……あそこだ、バイクに乗ってる!」

6/が言ったとおりに蛮が地上を見ると、背丈の小さい少年と、オシリスが見たら喜びそうな幼女、猫だか兎だかよくわからない生き物が地上からこちらに手を振って存在をアピールしている。


「良かった! イチローチームは無事みたいだ!」
「大きな竜は向こうへ飛んでいってしまったけど、有力対主催であるイチローたちが無事で良かったね」

地上で手を振っていたのは苗木と霧切、そしてインキュベーターだ。
未だに精神状態が回復していない霧切がよくわからず手を降り続ける横で苗木とインキュベーターはそれぞれの思惑を抱く。

(あの人たちの力さえあれば、都庁の魔物や拳王連合軍に復習して奴らを絶望の淵にたたき込める!!)
(どうやらテラカオス・ディーヴァがここにいるみたいだね、せいぜい利用させてもらうよ)




「どうする6/?」
「とりあえず降りて会ってみるぜ。敵なら殲滅、一般人なら保護。
戦えるやつならチームに引き入れだな」
「それじゃあ私もついていくぜ」
「それなら私も……」
「おまえは疲れでだるいんだろ? 空で休んでろ」
「見に行くだけなら四人もいらないでぃす、ツバサちゃんは僕と待ってましょう」
「決まりだな」

6/・蛮・クリスの三人は地上の二人と一匹の正体を確かめるために地上に降りることにした。
もし敵だとしてもイチローの投球やナッパの気弾なら一瞬で殲滅できるだろう。
地上に降りる三人は警戒しつつも、バックアップがあることを念頭にいれて降りていった。


だが、ツバサはなぜかあの三人組に対し、なんともいえない嫌な予感がするのだった。

347:2019/06/13(木) 17:54:14 ID:SwoZ9ll60




【二日目・21時30分/千葉県】

【イチリュウチーム】
※ギムレーとの情報共有を行いました。
※一部の死亡したアウラの民がギムレーの手で屍兵化しており、アナキンを監視しています。
※都庁に向かっています

【イチロー@現実?】
【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【サラマンディーネ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】
【ラミレス@横浜DeNAベイスターズ】
【白光炎隼神ホルス@パズドラ】
【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS】
【八神はやて@魔法戦記リリカルなのはForce】
【テラカオス・ディーヴァの残滓『ツバサ』@テラカオスバトルロワイアル十周目】
※魔法少女・霧切の対テラカオス・ディーヴァ用の結界の影響か、体のだるさとして症状があらわれています。
【シマリス@ぼのぼの】


【◆6/WWxs901s氏@カオスロワ書き手】
【美堂蛮@GetBackers-奪還屋-】
【雪音クリス@戦姫絶唱シンフォギア】
※この三名は苗木たちと接触のために地上に降りました。



【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【霧切響子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
※キュゥべえ以外、イチリュウチームに風鳴翼(ツバサ)がいることに気づいていません





巨大な、邪龍ギムレーの背の上。

(オシリスはまだ生きているだろうか……奴らのことだから、無事とは正直思えない。時間もそれだけ経っている)

ギムレーの冷静で冷徹な面はオシリスの無事は絶望的だと見ている。
放送が流れた後には殺されている可能性が高い。

(しかし狂信者にとってもオシリスの能力は惜しい。
洗脳か兵器への加工ぐらいは考えるだろう)

だが性格はともかく、オシリスの魔法・罠・特殊効果無力化能力はどこの組織も手が出るほど欲しいはずだ。
裏を返せば、数だのみだったDMC狂信者が連携次第で最凶の存在になる可能性さえある。
世界を救う必要があるのに、それを知ってか知らずか阻害する狂信者にオシリスの力を利用されるのは面白くない。

(まだ生きているなら御の字、何らかの兵器にされているにしても対主催の手中に収めていく必要がある。
オシリスの力を危険な奴らの手元には置けない!)

オシリスがどうなっているにしろ、生存を確かめ、その力をマーダー勢力に渡すわけにはいかなかった。
暴走したテラカオスなのはも、彼の能力なしでは捕縛も殺害もできない。
何をするにしてもオシリスの力が必要だった。



(殺害はまだしも、洗脳するにしろ兵器化するにしろ、まだ時間はかかるハズだ!
急げギムレー、この世界を大災害で破滅させないために!)

ギムレーは自分自身の肉体に急ぐように呼びかけ、飛翔スピードを上げた。


【二日目・21時30分/東京湾】
【ギムレー@ファイアーエムブレム 覚醒】
※オシリスの救助または力の回収のためにビックサイトに向かっています
※オシリスが艦むすになったことはまだ知りません

348進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:33:25 ID:kXi85SgM0
ここは都庁の世界樹の内部。
オオナズチがドラゴンネットワークを通じて手に入れた情報、そしてイチローチームもといドラゴンズとの同盟締結への切符は有益であった。
それらの情報は任務のために先にビックサイトへ向かった影薄組を除く、都庁同盟軍のメンバーに行き渡った。

邪竜ギムレーは味方であり、都庁や聖帝軍への誤解もイチリュウチーム限定であるが解けた。
そしてイチリュウチームには都庁の者たちが予言成就のために未だに手にしていないテラカオスの勇者と、野球チームを所持しており、合流は必須要項である。
そしてカオスロワちゃんねるは何者かに情報操作された危険な電子掲示板であり、沖縄に現れた黒き獣は死者を取り込み操る力とドラゴンネットワークにさえ侵入できる驚異の力を持っていること。
また、主催陣営のアナキン(かつてはやてが持ち出した情報にはそのような名前はなかったが、主催の誰かが化けている可能性がある)が手元にいるらしいので、イチリュウチームへ合流できれば真相へとさらに近づくことができそうだ。

貴重な情報収集手段であるカオスロワちゃんねるとドラゴンネットワークが事実上使えなくなったという恐ろしいこともあったが、これらの情報も確実に+に作用するだろう。


だが、希望への階段を上りだした彼らに試練が降り注ぐ。
行方不明だった聖帝軍先遣隊がクロコダインを除いて都庁へ合流できたのは良かったが、その先遣隊が連れたきた二人と一匹に問題があった。
都庁から見敵必殺のお触れが出ていたインキュベーターことキュゥべえ、仮面ライダーウィザード苗木誠、そして安倍総理すら瞬殺した最凶の魔法少女・霧切響子。
彼らが桑原・イリヤ・アイスシザースの三人と数10匹の魔物たちを紘太たちが離れている間に皆殺しにしたのだ。
そして、それから間を置かずにダオスの対空レーザーすらすり抜けた拳王連合軍からの直接攻撃および聖帝軍への挑戦状という名の脅迫。
世界樹とリンクしているまどかの傷は、世界樹自体の生命力による自己再生で治癒されるが、失った命までは戻らない。
これらが都庁同盟軍を少なからず焦らせるのは無理もない話だった。

「イリヤ……そんな……」
「桑原さん!」
『アイスシザース……おまえほど仲間に尽くした者は志半ばで死ぬべきではないはずなのに!』

特に悲しみの涙を流したのは亜久里、エリカ、氷竜。
死亡した三人のものと思われる肉片は、仲間のものへ運ばれた。
かつてマーラ様に殺されたサクヤたちのようにレストが復元を試みられるが、全員遺体の損壊と魔力の汚染がひどく、蘇生はおろか復元さえできなかった。

「ひどい……! これをキュゥべえがやったというの?」
「キュゥべえ自身の戦闘力は無いに等しいから、苗木や発狂していたらしい霧切が騙されてやったのかもしれないけど、全滅したホワイトベース組の生き残りや発狂したという話さえ嘘かもしれないわ。
人の言葉を喋れないアイスシザースはともかく、意思疎通のとれる桑原・イリヤがいて殺しにかかるのはおかしいし。
紘太が近くにいる以上、世間のようにヘルヘイムと誤解するわけもない……キュゥべえもそうだけど思惑を確かめる必要があるわ」
「ね、ねえ?! キュゥべえが都庁では見つけ次第殺されるべき悪党なんて始めて知ったんだけど、どういうこと!?」

さやかはいつの間にか都庁の間でキュゥべえが悪者扱いされてる吹聴に気づき、疑問をほむらやまどかに問いかけた。
ほむらとまどかは互いに目を見合わせたあと、一つ決心したようにさやかにキュゥべえへの真実を打ち明けた。



「……そんな」
「キュゥべえの目的は少女の願いを叶えて、世を乱す魔女と戦ってもらうことじゃない。
願いを餌に魔法少女を絶望させて魔女にし、その魔女を魔法少女に狩ってもらうマッチポンプを行うことでエネルギー資源を獲得することよ」
「真実を隠して女の子を騙す……カオスロワちゃんねるの管理人と同じなのかもしれない」

さやかが親友二人に教えられた真実はそれはそれは残酷であった。
恋心に付け入られ、心身共に傷ついて魔女を倒した先に待っているのは自身が魔女になるという絶望死。
敵として戦ってきた魔女も元々は自身と同じ魔法少女だったのだから。
キュゥべえは決してランプの中の魔人のような善き結果をもたらす存在ではなかったのだから。

349進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:34:38 ID:kXi85SgM0

「どうして、黙っていたの……?」
「……ごめんなさい。
時間遡行を繰り返した経験則上、この殺し合いが始まる前はあなた自身の精神がこの真実に耐えられないと思っていた。
だけど今は違う。
ここにはソウルジェムを浄化できるフォレスト・セルが存在して、この世界を探し歩けば魔法少女化さえ解く方法もきっとあると信じられる。
……何より、友達としてさやかさん自身の優しさや強さを信じたかったから」
「……そっか、ありがとう、ほむら、まどか」
「さやかちゃん!」

悲しみを浮かべる二人に対し、真実を知ったさやかの返答は微笑みだった。
ソウルジェムの濁りも小さく、動揺はあったようだが絶望で魔女化するには程遠い。

「あなた、絶望していないの?」
「まあ、人さまを騙していたキュゥべえへの怒りは感じたけどさ。
アタシよりももっともっと悲惨な目にあった人がいるのに、この程度で絶望なんかしてたら美希たちに笑われちゃうわよ。
どうせならキュゥべえの思惑を逆手に取って、超回復魔法少女さやかとして頑張っちゃえと思ってね」

これまでの殺し合いはさやかにとっても無駄ではなく、確かな精神的成長を促していた。
自身の不幸程度ではもう驚くことはない。

「それに……魔女ともこうやって仲良くできると知ったし」
『――♪』
「あ、シャルロッテそこにいたなっしかー」
『ぬいぐるみみたいな生物と戯れる天使さやか氏……萌えますぞwww』
「この子見ているとアタシが魔女になってもなんとかなりそうな気がしてくるわ」

ふなっしーの支給品である魔女シャルロッテは子犬のようにさやかのように懐いていた。

(ほむらちゃん、あれって)
(ええ、あの魔女はかなり危険な存在なんだけど……主催の技術なのか大災害の影響なのかわからないけど、味方には危害を加えないようになっているみたい。
あれもまた、さやかの精神を悪化させない要員になっているのかも)

ちなみにこの世界線のマミさんはシャルロッテにマミられていません。
なので未来を見てきたほむらはまだしも、まどかやさやか目線でのシャルロッテへの恨みはこれっぽっちもなかったのだ。
魔物と触れ合ったことで人外への警戒心が薄れている点も大きい。



『コホン、我が天使の悩み事は片付いて何よりですが、苗木と霧切が何者であれ、キュゥべえにイチリュウチームと接触されると厄介ですぞ』
「ええ、奴の騙し方は巧みよ。せっかく盟友になれるかもしれないギムレー・イチローとのパイプも喪失する危険があるわ」
『カオスロワちゃんねるやドラゴンネットワークももう宛にはできない以上、連絡を取る手段がない。
どうにか早く合流し、奴の危険を伝えねば』

現場に残されたバイクの轍から苗木は千葉方面に逃げたと推察できる。
千葉にはイチリュウチームがあり、都庁に対抗できる戦力は狂信者や拳王連合軍以外だとここしか残されていない。
ギムレーは聡明だが、万が一の場合、嘘の情報を植えつけられて再び疑念を持たれる危険が有る。

「だったら、俺の力で苗木と接触してみるぜ」
「そういえばアンタ、極になればワープに似た能力があるって言ってたね」
「大阪の時は首輪のせいでできなかったが、今度こそやってやるぜ!」

そう言った聖帝軍の一員である葛葉紘太は、チルノの前で極アームズで変身する。
制限解除になったクラックを使ってのワープで苗木が向かう千葉へ先回りを可能にする。
……そのハズだった。

「よし、このまま一気に……ってうわあああああ!!」
「紘太!!」

しかし紘太もとい鎧武の体は押し戻され、大ダメージを受けた。
ダメージ自体はさやかがすぐに回復魔法で治療させたが、肝心のクラックから覗き見える(本物の)ヘルヘイムの森は大地震でも起きたかのようにグチャグチャであった。

「あ、あのヘルヘイムが……何が起きてるんだ!」
「これは蒼による汚染だ! この前僕が披露して失敗したゲートリジェクトのそれとそっくりだ」

レストはかつて冥府を含んだ異世界の境界をつなぐ魔法、ゲートリジェクトを行使しようとして蒼の力で弾かれた。
ヘルヘイムもまた異次元からの蒼による汚染を受けていたのだ。


――葛葉紘太……


突如、紘太にとって関わり深い人物の声が森の中から聞こえた。
その人物は幽霊のように佇んでいる。

350進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:35:26 ID:kXi85SgM0

「DJサガラ!?」
「お笑い芸人のぐっさんじゃねーか!」
「高津さん、シリアスが崩れるから静かに!」

それはヘルヘイムの森そのものの意志であり、ある意味ノーデンスにも並ぶ神とも言える存在――DJサガラ。
だが本来なら誰にも滅ぼされることはない存在が、今にも消えようとしている。

「ボロボロじゃないか、大丈夫か!?」
『申し訳ないが、ヘルヘイムの森はここまでのようだ。
宇宙から来た謎のエネルギーの直撃を受け、森はすぐにでも崩壊せんとしている』
「ヘルヘイムの森も蒼を食らったのか……!」

ヘルヘイムの森を滅ぼせるのは、ノーデンスでさえ耐え切れなかった蒼。それしか考えられない。

『重ねて申し訳ないが黄金の果実を巡るライダーバトルは今日をもって終了とする……今後はインベスやこちらの植物が君の世界にやってくることもないだろう』
「なんだって!?」

悩みの種だったアーマードライダー同士の争いやヘルヘイムが無くなることはいつもの紘太なら願ったり叶ったりと言えたが、今はヘルヘイム以上に危うい状況だけに素直に喜べない。

「待ってくれ、せめてアンタの口から都庁の世界樹がヘルヘイムじゃないことを世間に説明を……」
『無理だ、森の死まで時間がない。
……だが、ここまで戦わせてきた君に何もよこさないのも失礼だ。
ヘルヘイムが滅んでも最後の力で果実の力……ロックシードは使えるようにはしておこう。
ワープ以外ならばこれまで通りに使えるハズだ』
「サガラ!」
『済まない紘太、差し出がましいようだが宇宙の未来を頼……む……』

クラックの中でDJサガラは倒れ、煙のように消滅する。
そしてヘルヘイムの森も枯れると同時に崩壊し、クラックは閉じたのだった。


【DJサガラ(ヘルヘイムの森)@仮面ライダー鎧武 消滅】
※蒼による消滅のため、どのような手段を用いても復活できません


「なんてこった……」

ヘルヘイムの消滅を前にして紘太は落胆しつつ、変身を解く。
追うためのワープ能力喪失はもちろんのことだが、本物のヘルヘイムが消滅したことで都庁の世界樹がヘルヘイムの森ではないと証明する手段も同時に失ってしまった。

「キュゥべえを追うことも、ここがヘルヘイムの森じゃないと教えることも……」
「気を落とすな紘太、希望はまだある」
「機動性のある誰かが追えればキュゥべえに間に合うかもしれませんし、ヘルヘイムに関しても都庁があえて悪役を演じることで混乱を収める小町の偶像計画が用意されています」
「サウザー、闇、本当にすまねえ」

まだ万策は尽きていないと、紘太は仲間に励まされる。
もちろんワープや本物のヘルヘイムがあった方が諸々の問題解決への近道にはなったろうが、無いなら無いで次善策を用意するだけである。


「さて、もう一つの問題は拳王連合軍から送られてきたコレだ」

サウザーが提示したのは、さやかが見つけた野球ボール。
その中には聖帝軍への挑戦状と電車ごっこロープが入っていた。
それをこの場にいる面子が回し読みする。

「聖帝軍が9時までにたどり着けなければ東京を無差別に攻撃するですって!?」
「宣戦布告のついでに殺戮を行い、さらに従わねば関係のない参加者も含めて攻撃する……拳王連合軍は地獄すら生ぬるい悪鬼としか形容できません」

都庁同盟軍の中でも特に拳王連合軍を忌み嫌うアルルーナとエリカは憤慨する。
だがこれまで行ったMAP破壊から察するにブラフとも思えない。
実際にやる気はなくとも、マジでやりかねない感を引き立てているのが拳王連合軍の恐ろしいところである。

「だけどこれ普通に考えたら罠だよ。都庁と聖帝軍を分離させようっていう意図が透けて見えるよ」
「こんな奴ら、野球で真面目にやり合う必要はねえ。
ちょいと卑怯だがダオスのレーザーで先制攻撃して倒しちまえ。
ピンポイントで撃ち込めば余計な被害も出ないだろ」

イオリの言うとおり、実際にこれは都庁同盟軍の戦力を割いて2分するための計略であるし、レイジの先制攻撃案も合っている気がした。
だがスマホ越しのダオスの返答はNOだった。

『残念だが奴らに私のレーザーは届かない』
「なんでだよ?」
『地球というのは丸い、丸いということは向こうが地平線の向こうに隠れている場合、直進するレーザーは地形に阻まれて絶対に届かないのだ。
奴らがいる横浜スタジアムは世界樹天辺から見えない辺り、こちらの攻撃は当たることはない
「マジかよ……じゃあなんで向こうの投球は届いたんだ!?」
『野球ボールは重力の影響を受けて放物線を描いて飛んでいる。
だからレーザーよりも地平線に隠れた相手を効率的に攻撃できるのだ』

これまで大量の敵を塵に変えてきたダオスレーザーだがレーザーの性質上用途に限界はあった。
他の攻撃手段に曲射特性はあってもピンポイントで当てるには精度不足か、射程外だ。

351進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:36:23 ID:kXi85SgM0

「じゃあせめて、向こうから降りかかる攻撃だけここのダオスさんとまどかさんのレーザーで防ぎ続ければ」
『それもダメだ。我々を攻撃したのは感知できないところからして消える魔球。
私はおろかレストやセルでさえ察知不可能だったステルス攻撃を再び放たれたら対空防御は絶対に不能。
魔力のバリアは世界樹の外までは伸びんし、敵は拳王連合軍だけではなく狂信者とも戦わねばならん以上、とても現実的とは言えん』
「そんな……」
『せめて影薄組と過ごす内にステルスに耐性ができていたらしい小町がいてくれれば防衛も楽だったんだが、ビックサイトに向かった彼女を今更呼び戻すこともできんし、できても狂信者との戦争が長引いてしまう』

彼方が横浜スタジアムにいる限り同盟軍側から攻撃する手段がないことを知り、肩を降ろすビルダーズコンビ。
ちなみに拳王連合軍はそこまで考えて横浜スタジアムに布陣したわけではないが、結果的に直接攻め込む以外では打つ手なしの一等地に足を踏み入れたのだ。


「ふッ、だったら話は早い。
向こうが野球で殺し合いをしたのならば、望み通りに我ら聖帝軍が出向こう!
そして奴らにはこれまでの横暴の罰として最良の戦士の儀式のための薪になってもらうぞ」
『直接戦いに行くつもりか?』

ラオウら拳王連合軍と戦う覚悟を決めたサウザーに一同がどよめく。

「無茶です聖帝様! きっと罠に決まってます!」
「さやかよ、心配してくれる気持ちは有難いが、前進制圧以外に手はない。
それに我々聖帝軍は拳王連合軍と渡り合えんほど弱いと思うか?」
「そうは思いませんけど……」
「我ら聖帝軍は罠ごと制圧してくれるわ! そうだろ闇?」
「ええ、サウザーと同じく私もちょうど同じ考えでした」

罠と知っていても拳王連合軍を倒す満々である、サウザーと闇。
二人の頼もしい言葉には他の聖帝軍の士気も上がっていた。

「ダオス、聖帝軍が都庁から離れることで戦力は確かに2分されるが、それは我々が拳王連合軍を討ち取れば問題もある程度解決する。
神樹の奥の手もあれば、狂信者は物の数ではないはずだ」
『……よかろう、必ず拳王連合軍を倒してくれ』
「この聖帝に任せろ」


聖帝軍は拳王連合軍制圧のため、横浜スタジアムへの派遣が決定した。
その一方、キュゥべえ追跡の件もまとまろうとしていた。

『ではギムレーたちへの接触は我輩が行いますぞww向こうへのパイプを用意したのは我輩ですしなwww』
「私も行くわ」

キュゥべえを追跡し、イチリュウチームと接触する班に立候補したのはオオナズチとほむらである。

「大丈夫なの? ほむらちゃん?」
『えらく強いロリがいる話だし私かウォークライが飛んだ方が戦力的にも良くないか?』
『おまえやウォークライが飛んでると目立ちすぎるだろJKw
魔物は悪役扱いされているのに途中にいる参加者や狂信者から攻撃を受けるまずぞww
そいつらを倒したり無力化しながら進んだら時間がかかりすぎるだろwww
それに比べて我輩は他には無い透明化能力を持っているのでステルス性はピカイチだから結果的に一番早くつけるわけですなwwww』
『確かに』
『……まあ、頼みの綱のドラゴンネットワークが使えなくなり、戦闘力も低く都庁の防衛には向かない我輩は仕事がないニートになりかねないですしなww消去法的にこれしか仕事がないんですぞwwww』
「私の場合は……単純にキュゥべえの悪辣さを一番理解しているからかしらね。
奴についてしっかりと危険を伝えられるのはループを繰り返した私だけ。
透明化したオオナズチの背に乗れば、ステルス性の恩恵も受けられる」

ひとまずイチリュウチームに接触する班はオオナズチとほむらに定まりつつあった。
ここで聖帝軍側からも立候補者が出る。

「待ってくれ、苗木や霧切は騙されてるだけというケースもある。
あいつらの交渉には顔も知らない二人じゃ厳しいだろう。
顔見知りである俺も連れていってくれないか?」
「いや、紘太は戦力的に拳王連合軍との戦いに必要なっしー、聖帝軍から離れるべきじゃないなっしー。
だから……オイラが行くなっし」
「ふなっしー?」

紘太が最初に名乗り出たが、すぐ後にふなっしーも名乗り出た。

「あ、適当に言ったんじゃないなっしよ。
聖帝軍じゃ一番弱いのはオイラなっし、戦いになれば足でまといになりかねないし。
それでいて苗木たちとそれなりの繋がりがあるのはオイラだから、キュゥべえを追いかけるのが一番役割に合ってるかなと思ったなっし」

352進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:36:52 ID:kXi85SgM0

ふなっしーは冷静に自分の戦闘能力を計算し、ドラゴンハートの補正ありでもダントツで低いと判断。
基本的に彼の戦闘は支給品任せであり、地の戦闘力は一般人のイオリ並。
それにイオリはガンダムに乗って戦うレイジのアシストとして必要な存在であるが故、ふなっしーは自身をチャオズのように激しい野球にはついてこれないと判断し、別の道を模索した結果、苗木・霧切交渉の道を選んだのだ。

「確かに理には適ってるけど……アンタ自身の本音はどうなの?」
「ホントはオイラもみんなと野球したかったなっし……でもカオスロワの野球は遊びじゃない……苗木たちも説得しなきゃいけない。
そうなるとオイラは身を引かなければと思ったなっし……」
「ふなっしー……」

チルノの言葉通り、紘太が離れるぐらいならばふなっしーが抜けた方が戦力的に安定する。
しかしふなっしーもまた、みんなと野球がしたかったのだ。
彼の拳は己の弱さに対して固く握られて震えており、この決断もまた辛かったのだ。

「……わかったふなっしー、苗木たちはおまえに任せる。
だけど俺たちは必ずここに返ってくる」
「最後の試合はおそらくイチリュウチーム。優勝を決める最後の試合には出てくれるね?」
「うん、ありがとうなっしー」

同じく関西を旅した紘太とチルノは、ふなっしーとの約束をした。
そしてふなっしーはオオナズチの背中に乗る前に二匹の意志持ち支給品を聖帝軍に預けた。

『世話になったなふなっしー、おかげで毒も怪我も完治した』
『拳王連合軍との試合に行けないおまえの変わり、俺と姉さんが聖帝軍を支えるぜ』
「千早、デストワイルダー、頼むなっしー」

フロワロの毒に侵されていた千早も都庁にて完治。
デストワイルダー共々、聖帝軍の戦列に加わった。


キュゥべえを追いかけるオオナズチの背には、ほむら、ふなっしー、シャルロッテが跨り。
未だ療養中のきらりと魔雲天を除いた聖帝軍の九人と二匹も電車ごっこロープの輪の中に入った。
それを見送るは都庁の者たち。

「頼むぜふなっしー!」
「ほむらちゃん、必ず生きて帰ってきてね」
「ええ、キュゥべえの目論見をこの手で打ち砕いてくるわ。
あなたに正しい保健体育の知識を授けるまで私は死なない」
「聖帝様、ご武運を!」
「応、期待して待っていろ!」
『ぐぬぬぬ、我が天使さやかは聖帝にご執心かよチキショーwww……』
「……ドンマイなっしー」


そして、戦士を決戦地へ運ぶ列車と、黒い翼は羽ばたいた。

オオナズチは飛んだ直後に透明化し、夜のとばりも手伝って敵味方から見えなくなる。
反対に聖帝軍は新宿を出た直後に狂信者や聖帝軍を敵対視する対主催から攻撃を受けるが、「試合前の軽いトレーニング」と思いつつ、スイスイと攻撃を躱していった。


『影薄組に続いて聖帝軍やオオナズチたちも旅立ったか……さあ、総員持ち場につけ。
旅立った戦士たちが帰ってこれる場所として必ずここを死守するのだ』

ダオスの指示を受け、都庁に残った者たちは各々が防衛戦の準備を始める。
カオスロワちゃんねるの動向を見る限り、狂信者は港区に集まっているらしい。
おそらく狂信者による三度目の襲撃が決行されるのだろう。
未来を切り開くためになんとしても戦い抜かねばならなかった。

353進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:39:01 ID:kXi85SgM0




【二日目・20:30/東京都 新宿都庁世界樹】
※オオナズチがドラゴンネットワークで握った情報・紘太たちが得た情報が、影薄組以外に行き渡りました。


【都庁同盟軍】


【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】



【キュゥべえ追跡班】
※キュゥべえが向かったと思われる千葉県へ向かいました。

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】
【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】



【聖帝軍】
※拳王連合軍がいる神奈川県の横浜スタジアムに向かいました。
※戦力として千早とデストワイルダーがふなっしーから譲渡されました

【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(円亜久里)@ドキドキプリキュア!】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】

354永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:38:01 ID:SvHJfywU0
指揮官級狂信者の一人、サイコマンは防衛隊長であるセルベリアの指示に従い。
ビックサイトに繋がる下水道を守っていた。
暗くジメジメして悪臭のする空間だが防衛を疎かにすれば、かつて狂信者とその協力者が都庁の世界樹を地下から攻めようとしたこともあり、逆に都庁やその他の勢力からビックサイトが奇襲を受ける危険がある。
そのため、セルベリアに指定された指揮官級狂信者やモブ狂信者もまた、クラウザーさんの蘇生術を守るために地下の警備に努めていた。
それだけでなく落とし穴に全自動のセントリーガンにレーザートラップなど、物騒な罠も待ち受けている。
一定以下の参加者ならば道を間違えただけで致命傷である。

さらにそれらをくぐり抜けても、ビックサイトに続く地下道には頑丈な門が設置されており、合言葉を言わないと突破ができない。
さらにその門には必ずサイコマンのような万人が用意されている。
門を無視して壁を破壊して進もうとすれば、騒ぎを聞きつけた地上から数千規模の兵隊がやってくる。
これは姿が見えず、潜入能力に特化した影薄組に対してセルベリアが考案した防衛策である。
いくら影薄組とはいえ、門番を説得でもしない限り、突破はできないとの判断だ、
合言葉までは信者でない限りわからないからである。




今もまた、サイコマンが配置された場所からそう遠くない場所で、迷い込んだか侵入しようとした参加者が犠牲になり、SATUGAI・レ○プされ肉の塊と成り果てた。
サイコマンもまた、電撃使いの少年をマグネットパワーや技で瀕死に追い込んだ後、頭を潰してSATUGAIした。


【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA's 死亡確認】
【ひろし@ドラベース 死亡確認】
【結城梨斗@To LOVEる 死亡確認】
※トラップまたはモブ狂信者に殺される

【天野銀次@GetBackers-奪還屋- 死亡確認】
※サイコマンによる頭部破壊


「ニャガニャガ、他の狂信者の方々も頑張っているようですねえ。
セルベリアの張った罠の数々も手伝って、首輪も外れていない参加者には遅れを取ってないご様子」

モブ狂信者側もこれまでの強化(実戦や薬物などの肉体改造)もあり、以前よりも楽に参加者を狩れるようになってきた。
それでもチート以上の参加者相手には十数名規模の戦死者が出るが、モブ狂信者ならば腐るほど数がいるため、すぐ補充される。
そして数のゴリ押しで潰されるのだ。


(……狂信者の熱心な辛抱ぶりには感服の至り。ですが……)


心の中で狂信者仲間を褒め讃えつつも、サイコマンの表情には影が浮かんでいる。
それはまるで諦めているかのような――

(この宇宙はもう滅日を迎える、源泉から降り注ぐ蒼の力によって)

355永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:38:34 ID:SvHJfywU0



時間を遡ると個人的考え的には殺してはならなかったテルミの殺害など、考えもなしに手当たり次第に参加者を殺し回る狂信者上層部の方針に対して説教するためにビックサイトへ戻ったサイコマン。
彼が気にしているテルミが完全消滅、むしろ野放しにした方がまずかったと思うのだが、そこは重大な話じゃないので置いておこう。

説教しようとしたが「ろくに働いてねえ、てめえと話すことなんてねーよ(意訳)」と門前払いを喰らってしまい、上層部と直接会うことはできなかった。
途方に暮れていた彼だが、そこで彼は沖縄に発生した異常気象を知る。

その異常気象を知った瞬間、彼の中で超人の神々による封印されていた記憶が蘇ったのだ。

(ディーさんやドリスコルさんがクラウザーさんのものだと崇めているが、あれは古の時代にあった大災害の発端「蒼」によるもの!
蒼はこの世界全ての者に必要不可欠であると同時に、いかなるものにも滅びをもたらすエネルギー!
その危険度は友情パワーなどとは比較にならない!)

サイコマンは狂信者である以前にもっとも神に近い超人である完璧超人始祖。
遠い過去に起きた事変を今になって思い出したのだ。
世界を終わらせかねなかった大災害、神ですら止めらない最悪クラスの自然災害。

だが彼は、思い出した記憶を狂信者仲間に打ち明けることはなかった。

その理由は。


(だが、真実を打ち明けたところで頭の固い、そしてクラウザーさん第一主義な狂信者たちが認めるわけがない。
蒼がクラウザーさんさえ滅ぼす力があるなど、信じるわけがない。
さらに言えば私自身、どうやって太古の大災害を乗り切ったか思い出せないんですよねえ……)


サイコマンが思い出した記憶は完全ではなく、あまりにも中途半端だった。
大災害を乗り切る鍵がテラカオスなどとは全く思えない。
既に亡くなっている悪魔将軍がテラカオスをただただ危険な存在と見なし、カオスロワを根本から誤解していたように、サイコマンも同じように中途半端に記憶を回復させてしまったのだ。

(救済の予言とかネットで流行ってますけど、アレはどう考えてもただの悪戯ですからね。
それに踊らされる野球チームとかアホかバカとしか言えませんよ)

思い出せないせいで、救済の予言も今のサイコマンにはただの妄文にしか思えない。
まあ、こいつは草加とテルミぐらいしかろくに会ってないし、明確にテラカオス化してるとわかる参加者にも会ってなかった。
極めつけは拳王連合軍を除く対主催集団や主催、おまけにセルベリアでさえ予言の真実や進行状況をを仲間以外では秘匿しているため、サイコマン(および一般参加者)からは生き延びるために必死こいてるぐらいにしか見えないのだ。
そんな環境なら世界は滅ぶしかないと思うのも致し方ないだろう。

356永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:39:06 ID:SvHJfywU0

しかし、世界が滅ぶならばクラウザーさんが蘇る意味もない。
ではなぜ、未だに狂信者に手を化しているのか?

(世界はどうせ滅ぶ、なら私がするべきことは、この世界が消える前に一曲でも多くクラウザーさんの音楽を聴くのです!
そのためにもっともっと、生贄を捧げなければ!!)

サイコマンは世界の存続よりも、クラウザーさんの声が彩る刹那的な享楽を選んだのだ。
世界の消滅や記憶の復活は間に合わず、自分一人で今さら世界を救えるわけもないと見切りをつけ、ただひたすらにクラウザーさんに尽くすことを決めたのだ。
平たく言えば諦めたのだが、彼の表情は先程までよりは確かに微笑んでいた。

(ニャガニャガ、世界の破滅が止められないとわかれば、もう何も怖くない。
私はただただ、クラウザーさんに尽くすだけ!
そのためなら仏に会えば仏をレイ○し、テルミに会えばテルミを○イプ!
シルバーマンが協力してくれないのならばシルバーマンもレ○プするだけ!)

サイコマンの胸中はクラウザーさんに埋め尽くされていた。他がどうでもいいと思うほどに。

「クラウザーさんの一番のファンはディーやドリスコル、私をこんな場所に押し込めたアバズレのセルベリアでもなくこの私。
見ていてくださいクラウザーさん! これから私はもっともっと生贄を捧げて行きますよ!」

最後の言葉は胸中ではなく、口に出し、クラウザーさんへの強い忠誠をサイコマンは口に出していた。
あと地味に臭くて汚い下水道警備をセルベリアに押し付けられた件は根に持っている様子。


「ニャガニャガニャガニャガ!!」

狂気を帯びた決意を胸に一人自信に満ちた大笑いを浮かべるサイコマン。



ところが彼の声は唐突に途切れた。
次の瞬間、どこかで見覚えのある剣――テルミことカズマ=クヴァルが所持していた剣が視界に入ったと思いきや、サイコマンの首を跳ね飛ばしたからだ。
呑気に笑っていた彼には反撃や防御する暇さえなかった。


【サイコマン@キン肉マン 死亡確認】


「ひええ……ちょっと首を斬れたら御の字程度だったのに、本当に恐ろしい切れ味だ。南無三」

サイコマンの首を跳ね飛ばしたのはストライダー御用達の光剣サイファー、それを握るの小町だ。
ラスボス級の敵さえ一撃死もありうるサイファーに、ドラゴンハート+ベジータを倒した時に得た莫大な経験値で超強化された小町。
片方だけならまだしも、両方合わさることでサイコマンの超人強度を上回る殺傷力での暗殺を可能にしたのだ。
その周囲には彼女の仲間である影薄組のメンツも控えている。


狂信者を挫くために都庁から考案されたビックサイト潜入作戦に乗った影薄組。
セルベリアは無論、彼らに対する対策を罠などで行っていた。
が、少しばかり計算違いがあった。
影薄組がハイテク技術の塊であるデモニカスーツを着用しており、敵の出現を察知する機能、罠のダメージを軽減する機能、自己回復機能、その他の便利機能により、地下を難なく突破してきたこと。
小町がデモニカのCOMPに入ることで間接的にステルス化の恩恵を受け、サイファーを手に入れたことで問題視されていた低火力がクリアされ、相手が悪くなければ指揮官級狂信者でも暗殺を可能にしたことである。

そして電撃使いを殺害した直後には、サイコマンはステルス状態である影薄組に方位されており、あかりが小町を召喚し背後から闇討ちしたのである。
ちなみにサイコマンがサイファーを凌ぎきっても周囲の四人から袋叩きにされていたため、影薄組の気配を察知してない限り生き残れたかは怪しい。

357永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:39:48 ID:SvHJfywU0

「ステルスキル成功っすね」
「ええ、周囲の狂信者にも気づかれてない鮮やかな手並みでした」

逆に言えば暗殺に成功していないと影薄組とてサイコマンには苦戦していた可能性さえある。
そもそも正面戦闘になって騒ぎになり、侵入を気づかれた時点で潜入作戦は失敗。
警備を厳重にされてビックサイト侵入がより困難になる。
世界滅亡までの時間が残されていない影薄組にはそんな事態は許せなかった。

「間に合わなくてごめんね……」
「本当は黙祷の一つでも捧げてえが、俺たちには時間がねえ」
「世知辛いが、せめて極楽に行けるよう祈るしかないね」

到着が遅れたことでサイコマンに殺された参加者に悲しみの表情を浮かべるあかりたち。
だが感傷に浸る時間さえ影薄組には残されていない。
酷な話だが、参加者の死体は野ざらしにする他なかった。


「よし、門番は倒した。次は門だ」

小町はサイコマンの後ろにあった門に視線を移す。
調べると機械診断による合言葉が必要だったが、これはモモの活躍によってクリアされる。

『合言葉…“まずは”』
「――貴様の大好きな電動ベッドや電動コケシにおける電力消費量を考えろ エコを語るのはその後にしな」
『認証レ○プ もとい 認証確認、オトオリクダサイ』

セルベリア最大の誤算は、東横桃子がクラウザーさんの信者がいたこと。
狂信者のように狂ってはいないが、名言を一字一句間違えずに即答できる信者が敵の中にいるとは考えていなかった。
せめて門番が生きていれば阻止もできただろうが、その門番はあまりにもあっさりとやられてしまった。

「東横さん…よくそんな長ゼリフ覚えてましたね」
「“まずは”で始まるクラウザーさんの名言はこれしかないっすよ。
ちょっと黒子くん、なんで引いているんすか?」
「ところで電動コケシてなあに? あかり聞いたことないんだけど?」
「それはもうちょっと大人になってから知ろう、な? 日之影兄さんとの約束だぞ」
「…ま、何にせよ、モモが味方にいてくれたおかげでビックサイトに侵入できるわけだ、ヨカッタヨカッタ」

小町はすぐにCOMPに入り、一行は門の先へ進んだ。
ちなみにサイコマンの死体はディパックに詰め込んだ後、重りをつけて下水の底に沈めた。
死体が発見されるまで数時間はかかるだろう。

『さあ、野郎ども、ここからが正念場だよ!』
「どんな罠が待ち構えているかわからないから、最大限警戒して行きましょう」
「ホントは怖いっすけど、都庁のみんなやクラウザーさん自身のためにも」
「もう、主人公がどうとか関係ない、一女の子として世界を救う手伝いをしてみせる!」
「やれやれ、たった五人で一万人以上はいる敵本拠地に侵入か。
……だが、割となんとかなりそうな気がするぜ」

影薄組はとうとう、狂信者の総本山であるビックサイトに侵入した。
失敗すれば死が待っていると思われる潜入作戦。
だが五人は例え最後の一人になっても、大災害から世界を救うために戦い続けるだろう。

358永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:40:02 ID:SvHJfywU0




【二日目・21時40分/東京・ビッグサイト地下】

【小野塚小町@東方Project】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
    あかりのCOMPの中
【装備】サイファー@ストライダー飛竜
【道具】基本支給品一式
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:何か必要があるまではCOMPの中に待機する
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:もう二度と仲間を置いて行こうとしない
4:変なの(セルベリア)に因縁つけられちまったね
5:時が来たらヘルヘイム扱いされた都庁の長ダオスを倒す演技をして世間の混乱を収める
※ダオスとの情報交換で、カオスロワちゃんねるの信憑性に疑問を持っています(フェイ・イェンにもたらされた情報より、少なくとも都庁の悪評は天魔王軍による仕業だと理解しました)
※予言やテラカオスの真実を知りました
※小鳥発案の偶像計画のため、表向きは都庁の敵のフリをしています


【日之影空洞@めだかボックス】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】己の拳、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:小町や仲間を全力で守る
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:めだかに変わって世界を救わなきゃならないのが先代生徒会長の辛いとこだな。
※予言やテラカオスの真実を知りました


【東横桃子@咲-Saki-】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】猟銃@現実、斬鉄剣@ルパン三世、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】支給品一式、スマホ、謎の物質考察メモ、筆記用具
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:狂信者の暴走はクラウザーさん信者である私が絶対止める!
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:……多少落ち着いたっすけど、拳王連合軍だけは絶対に報いを受けてもらうっす
※予言やテラカオスの真実を知りました


【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【状態】健康、首輪解除、超冷静、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】ウィンチェスターM1912、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】死出の羽衣@幽々白書
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:仲間を全力支援、パス回しが僕の役目
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:平和な世界でみんなとバスケがしたいですね
※予言やテラカオスの真実を知りました


【赤座あかり@ゆるゆり】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】エンシェントソード@Minecraft、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】マムルの肉@風来のシレン
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する!
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者に殺し合いをやめさせる!
1:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
2:都庁のみんな、あかりたちが戻ってくるまで無事でいてね……
3:世界の危機を前に主人公かどうかは関係ない! 世界のために頑張ってる人全員が主人公!
※予言やテラカオスの真実を知りました

359名無しなんじゃないのー☆:2019/06/28(金) 15:27:13 ID:eB5D5slg0
サイコマンwwwww
でも突き抜けた信者って意味では相当だったな
ところで違ったら悪いんだけど、モモの合言葉「電動ベッド」じゃなくて「回転ベッド」じゃなかったけ?

360名無しなんじゃないのー☆:2019/06/28(金) 15:45:09 ID:SvHJfywU0
うん、ごめん ミスってた
見直しが甘かったので該当のレスだけ直しておくで

361名無しなんじゃないのー☆:2019/06/28(金) 15:50:37 ID:SvHJfywU0
>>357修正

「ステルスキル成功っすね」
「ええ、周囲の狂信者にも気づかれてない鮮やかな手並みでした」

逆に言えば暗殺に成功していないと影薄組とてサイコマンには苦戦していた可能性さえある。
そもそも正面戦闘になって騒ぎになり、侵入を気づかれた時点で潜入作戦は失敗。
警備を厳重にされてビックサイト侵入がより困難になる。
世界滅亡までの時間が残されていない影薄組にはそんな事態は許せなかった。

「間に合わなくてごめんね……」
「本当は黙祷の一つでも捧げてえが、俺たちには時間がねえ」
「世知辛いが、せめて極楽に行けるよう祈るしかないね」

到着が遅れたことでサイコマンに殺された参加者に悲しみの表情を浮かべるあかりたち。
だが感傷に浸る時間さえ影薄組には残されていない。
酷な話だが、参加者の死体は野ざらしにする他なかった。


「よし、門番は倒した。次は門だ」

小町はサイコマンの後ろにあった門に視線を移す。
調べると機械診断による合言葉が必要だったが、これはモモの活躍によってクリアされる。

『合言葉…“まずは”』
「――貴様の大好きな回転ベッドや電動コケシにおける電力消費量を考えろ エコを語るのはその後にしな」
『認証レ○プ もとい 認証確認、オトオリクダサイ』

セルベリア最大の誤算は、東横桃子がクラウザーさんの信者がいたこと。
狂信者のように狂ってはいないが、名言を一字一句間違えずに即答できる信者が敵の中にいるとは考えていなかった。
せめて門番が生きていれば阻止もできただろうが、その門番はあまりにもあっさりとやられてしまった。

「東横さん…よくそんな長ゼリフ覚えてましたね」
「“まずは”で始まるクラウザーさんの名言はこれしかないっすよ。
ちょっと黒子くん、なんで引いているんすか?」
「ところで回転ベッドと電動コケシてなあに? あかり聞いたことないんだけど?」
「それはもうちょっと大人になってから知ろう、な? 日之影兄さんとの約束だぞ」
「…ま、何にせよ、モモが味方にいてくれたおかげでビックサイトに侵入できるわけだ、ヨカッタヨカッタ」

小町はすぐにCOMPに入り、一行は門の先へ進んだ。
ちなみにサイコマンの死体はディパックに詰め込んだ後、重りをつけて下水の底に沈めた。
死体が発見されるまで数時間はかかるだろう。

『さあ、野郎ども、ここからが正念場だよ!』
「どんな罠が待ち構えているかわからないから、最大限警戒して行きましょう」
「ホントは怖いっすけど、都庁のみんなやクラウザーさん自身のためにも」
「もう、主人公がどうとか関係ない、一女の子として世界を救う手伝いをしてみせる!」
「やれやれ、たった五人で一万人以上はいる敵本拠地に侵入か。
……だが、割となんとかなりそうな気がするぜ」

影薄組はとうとう、狂信者の総本山であるビックサイトに侵入した。
失敗すれば死が待っていると思われる潜入作戦。
だが五人は例え最後の一人になっても、大災害から世界を救うために戦い続けるだろう。

362南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:05:51 ID:o.mIVu0g0
――21:00 横浜スタジアム

「ラオウもう、時間だぞ」

それを口にした平等院だった。
横浜スタジアムには横浜港から既に移動を終えた拳王連合軍が到着していた。
彼らは聖帝軍と(一方的に)約束をした21時の刻限まで待ち続けたが、聖帝軍はまだ到着していない。

「いや、奴らはきっと来る…そんな気が俺にはする」
「しかし、ヘルヘイムと聖帝軍を分断しようとしている俺たちの思惑に気づかれているかもしれない」
「東京がどうなろうが、意地でもヘルヘイムから離れないってケースもあるんじゃねえの?」
「それもありうるか」

翔鶴の提案した作戦は名案かもしれんかったが、平等院とMEIKOが言った通り戦力分断の計画に気づかれてない可能性もゼロではない。
聖帝軍が横浜スタジアムにやってこないかもしれないのだ。

「仕方がないですね、約束通り東京を攻撃しましょう」

さらりと恐ろしいことを言ったヤンホモことムネリンを仲間たちは批判する。

『ちょっと待って! 東京攻撃はブラフだったハズでしょ?!』
「ブラフと気づかれた可能性もあります。
大丈夫大丈夫、無差別攻撃をするってわけじゃない。
攻撃するのはこの世界に害を成してるヘルヘイムに限定しますから」
「攻撃はヘルヘイムに限定…それなら誰も困らない」
「間違ってもサーフ提督がいるビッグサイトには攻撃しないでよね?」

ムネリンの投球による攻撃はヘルヘイム(都庁)のみ。
いくら難攻不落の都庁でも、投球で執拗に攻撃され続ければ根を上げて聖帝軍を繰り出してくるだろう。
さっそく投球の構えを取ったムネリンだが、その手に持っていた野球ボールを別の場所から飛んできた轟速球により弾かれた。

「なにっ!?」
「そこまでだ! 拳王連合軍!」
「あなたたちの好きにはさせません」

ムネリンや、他の者たちが轟速球が飛んできた方向を見ると、そこには毅然と立っているターバンたち…もとい聖帝軍の9人と2匹がそこにはいた。
無論、ムネリンによる都庁攻撃を阻止した者は、このターバンたちである。

「約束通り、この聖帝と自慢の軍団が来てやったぞラオウ!」
「フンッ、少しばかり遅刻してるぞサウザー」
「妨害があったものでな」
「逃げずに来たことだけは褒めてやろう」

聖帝軍は狂信者や、誤解によって対主催参加者からも命を狙われている。
電車ごっこロープで向かう最中でその者たちに攻撃を受けたが、ドラゴンハートで強化された聖帝軍の機動力はモブの攻撃にはかすりもせず横浜スタジアムに到着した。
遅刻にしてもせいぜい、一分かからないかぐらいだ。

363南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:06:32 ID:o.mIVu0g0

「あ、あいつは…!」
『あの二匹、生きていたのか!』
「おい、どうしたジョジョ?」

何やら聖帝軍にいる虎二匹に驚いている様子の上条とシャドーマン。

「ディオ、あの虎たちは大阪でシャロやエスパー伊東を殺した奴らの支給品だ!」
「なんだって! それは本当か!」
「」

上条は覚えている。
大阪で戦った怪しい男二人に付き添い、敗走した二匹の虎を。
その虎が聖帝軍側にいた。

「…そうか!
ラオウたちとホワイトベース組の話をした時、なぜかシャロたちを襲った件の話が出てこないからもしやと思ってたけど、そういうことだったのか!」
『おいどういうことだよジョジョ!? 俺たちにもわかるように説明してくれ!』


「つまり、大阪でのホワイトベース組の戦いに聖帝軍も関与してたってことさ!」
『そもそもの争いの発端は誤解…シャロたちが無惨に殺されたから、我々も怒りに駈られて反撃に出た。
だが実際は、ホワイトベース組とは別のグループがいて、シャロら仲間を暗殺した。
そして怒りに囚われた我々は和解のチャンスをみすみす逃してしまったというわけだ』
『つまり大阪の戦いは聖帝軍の差金によって起こったって言いたいのか?』

仲間たちは無惨なオブジェとして大阪の街中に飾られ、拳王連合軍の怒りを煽りホワイトベース組と抗争をするハメに。
上条は仲間殺害の下手人たちを殺したが、その下手人たちはホワイトベースとは最初から無関係だった。
誤解から殺し合うように仕組まれていた、と上条は分析する。

「ひどい…! それなら提督たちが死んでしまわれたのも……!」
『全部あいつらのせいってことか…!!』
「見間違えるハズがねえ。シャドーマンと一緒に戦った虎を奴らが持っているのが何よりの証拠だ」
「聖帝軍は皆殺し確定だな。チビがいようがなんだろうがもう容赦しねえ」

千早とデストワイルダー、および二匹を所持する聖帝軍に拳王連合軍は殺意の目を向ける。


「なにがなんだかわからんが、この俺が率いる聖帝軍に勝手ないちゃもんをつけおってからに!」
「千早とデストワイルダーがそんなことするわけないでしょ!!」
『妄言だ! 私たちはむしろ飼い主を殺された被害者よ』
『奴らの言葉に耳を貸すなよ』

一方的に殺意を向けられた聖帝軍もまた、拳王連合軍に向けて敵意をぶつける。
実際のところ、虎二匹及び新城たちは聖帝軍ではなく主催の差金であり、拳王側はそこまで頭が回らなかった。
聖帝側も虎二匹が主催の支給品だったことまでは気づかず、虎二匹も復讐がしたいために聖帝軍には正体を隠すのであった。


「なんにせよ、拳王連合軍と聖帝軍が揃ったみたいね。
邪魔が入る前に裏世界転送マシンを起動するわよ!」
『インドラ!』

瑞鶴は二つのチームが揃ったことを契機に、サーフから託された裏世界転送マシンを起動する。
すると横浜スタジアムを二チームごと眩い光が包んだ。
聖帝軍が目を開けると、そこには横浜スタジアムに似た空間だが、肌で感じる空気がまるで違う。
スタジアムの外は赤い血と真っ暗な闇を混ぜたような色の何かで覆われており、まるで地獄にでもいると錯覚させる。
まるで自分たちがいる横浜スタジアムだけが隔絶されたようだった。

「ここはどこだ、そこの侍娘!」
「狂信者やマーダーに大事な試合を邪魔されないための異次元転送を行ったわ。
そして私たち拳王連合軍か聖帝軍、勝った側しか元の世界には戻れない。
ちなみに制限時間もあって、三時間経ったらこの異世界は崩壊する。
敗者は取り残されて、異世界ごと消滅する仕様だから注意してね」

装置を起動した瑞鶴曰く、ここは勝った側しか元の世界に戻れないデスマッチ野球会場であるらしい。

「敗者は消え去り、勝者だけが生き残る。
まさに北斗と南斗の決着をつけるには打って付けの場所ではないか聖帝サウザー?」
「…そうだな、拳王ラオウ。
雌雄を決すぞ、南斗と北斗、そして俺の聖帝軍と貴様の拳王軍、どっちの野球チームが最良の戦士に相応しいかを決めるためにな!」

サウザーはいきなりの異世界転送に最初だけ驚きはあったものの、今は冷静であった。
仲間であるターバンたちと共に、いかに難敵である拳王連合軍を倒すかだけを考えていた。

364南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:07:24 ID:o.mIVu0g0



まずはスタメンと配置を発表しよう。



『拳王連合軍 布陣』

川崎宗則         1番ショート
クロえもん        2番サード
ラオウ          3番キャッチャー
プニキ          4番レフト
MEIKO           5番ピッチャー
平等院鳳凰        6番センター
謎のヒロインX      7番ファースト
上条(+シャドーマン)  8番セカンド
ディオ(+デューオ)   9番ライト

(代打・代走)
翔鶴(+ロックマン)
ハクメン
瑞鶴(+メーガナーダ)



『聖帝軍 布陣』

円亜久里         1番ショート
葛葉紘太         2番ファースト
金色の闇         3番セカンド
サウザー         4番キャッチャー
千早           5番ライト
デストワイルダー     6番レフト
高津臣吾         7番ピッチャー
レイジ(+ガンダム)   8番センター
チルノ          9番サード

(代打・代走)
イオリ・セイ
犬牟田宝火


「僕にもガンダムが残っていれば…」
「気に病む必要はない、僕も極制服がないから戦力は下の下だ。
だが、それでもやることはある!」

聖帝軍側は戦闘力が低いイオリと犬牟田は止むなくベンチ送りにし、運動能力は高い支給品の虎二匹をチームメンバーとして選出。
ベンチとはいえガンダムの修理やデータ収集などの仕事はあり、サポーターとしての力を発揮する。


一方、拳王連合軍。

『僕と翔鶴さんがベンチ送りなんて……』
「今はいないタクアンさん曰く、戦力の温存的な意味もあるそうです」
「私も野球なんてしたことないし、仕方ないけどしばらく応援ね翔鶴姉」
『インドラ』

光兄妹、瑞鶴とメーガナーダ、ハクメンもベンチである。
能力は高いのだが、練習試合でスタメン落ち級のポカをやらかしたロックマン、新参者の瑞鶴と仲魔、野球をやったことなどないハクメンにチームワークを行わせるのは難しいと判断されたらしい。
ちなみにハクメンは聖帝軍からマガトを感じてないが…

(ヘルヘイムというマガトを庇う者もマガトに同じ。
世界のためにも犠牲になってもらおう)

ベンチから出次第、戦う気満々であるようだ。





そして、拳王連合軍VS聖帝軍……異世界の横浜スタジアムにて運命の一戦が開幕。

365南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:08:45 ID:o.mIVu0g0


先行は拳王連合軍、後攻は聖帝軍!



第一回表。

マウンドに立つはブルースワローのスーツをまとった高津臣吾。
対するは拳王軍一番手である川崎宗則だ。
奇しくも、メジャーリーグ経験者とメジャーリーガーの対決だ。

「宗則…おまえも地に落ちたな、イチローが嘆くぞ」
「イチローさんは絶対僕に振り向いてくれる!
あなたのようなメジャーリーガーってだけでイチローさんの足元に及ばない人に負けるわけには行きません」
「ほざけ!」

高津はまず一球、轟速球を投げるが、ムネリンはこれを打つ。
ホームランコースだ!

「なに!?」
「ふッ、僕だってイチローさん以外の選手の研究ぐらいはする。
あなたの投球の癖は研究済みですよ!」

試合が始まる前にムネリンは聖帝軍の面子で唯一野球選手である高津を危険視し、テープを何度も再生するなどしてどんな球を投げてくるかを事前学習していた。
腐ってもメジャーリーガー、覚えてしまえばいくらでも叩きようがある。

「…おまえは知らないだろうが、俺はピッチャーであると同時に」
「!?」
「ブルースワローなんだぜ!」

しかし、頭上を高速で飛んでいくボールを飛行能力に優れたジェットマン・ブルースワローの力を使って高津はキャッチ。
ムネリンはアウトになり、ホームランは阻止された。

「ふう、いきなり冷や汗かいたぜ」

高津だけでなく、聖帝軍のメンバーも同じ感想を心の中で漏らした。

「ぐぬぬぬ、次こそは…!」

反対に出鼻をくじかれたムネリンは悔しそうに、ベンチに戻っていった。



二番手に現れたのはクロえもん。
得意のブラックホール打ちによるヒットを狙うが……

「ダメだ…早すぎて間に合わねえ!」

ブラックホール打ちとはバットを高速で渦上に回転させて真空を発生させ、ボールを吸い寄せて強引に打つ打法だ。
だが高津の容赦ない弾丸速球は真空を作り出すよりも早く、キャッチャーであるサウザーのミットの中に吸い込まれていく。
この回でのクロえもんの打席は空振り三振となった。

「畜生、これがプロの力だって言うのか…!」
「狸にしては素質があるようだが、残念だがこの試合で負けて死んでもらうぞ」
「俺もアンタが敵で残念だよ!」

攻撃が失敗に終わったとはいえ闘志と殺意を鈍らせることなく、次の打者であるラオウと交代した。



(噂に聞く拳王……凄まじいオーラだが、どんな実力か見せてもらうぜ)

打席に立つラオウは数メートル離れていてもわかるくらいのオーラを放っていった。
仮に聖帝軍が死線を潜らずにここにやってきてしまった場合は、ほぼ全員失神・失禁しているレベルである。


そしてこの回のラオウの攻撃は……


「ストライク!」「ストライク!!」「ストライクーバッターアウト!」


空振り三振で終わり、聖帝軍と攻守交代となった。


「拳王連合軍もたいしたことないですね」

拳王第一回の攻撃は高津一人で抑えこめたともいえ、初っ端のムネリンのヒット以外は危ない局面もなかったことに闇は安堵し、同時に肩透かしを喰らった気分になった。

「…いや、そうでもない」
「ああ」
「え? サウザー?」

だが闇や他のメンバーの余裕を打ち破ったのは他でもない高津とサウザーのバッテリーだった。

366南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:09:33 ID:o.mIVu0g0

「宗則の奴は言わずもがな、クロえもんという奴も素質だけはピカ一だ。
何より、ラオウ…虎視眈々と大打撃を狙っていて、少しでもヒットしたら危なかった。
俺の場合は技術でなんとか押し切ったようなもんだぞ」
「しかも奴め、一打席目はわざと犠牲にして高津の投球を体で覚えようとしていたきらいがある」
「そんなことが?」
「実際にバッターに一番接触するピッチャーとキャッチャーじゃないとわからないだろうからな。
気を抜くと絶対に追い抜かれる…気を引き締めなければ」

格闘家としては最強クラスである南斗聖拳の頂点サウザーと、メジャーリーグにいたこともある高津だからこそわかる、拳王軍の危険性だった。
余裕…というより油断しかけた闇もまた、気を引き締められるのだった。


「ちょっと、ちょっと、全然点が取れてないじゃないですが!」
「狼狽えるな謎のアルトリア・ヒロインドラゴン。奴の球は覚えた。次は必ず打つ」
「応よ! これまでの雑魚とは違うのは十分わかったぜ」
「イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん」

ラオウたちもまた、一回表だけの失敗で失敗が衰えることなく、次の打席にかけるのだった。




一回裏、聖帝軍の一番やりは円亜久里ことキュアエース。
変身の上にドラゴンハート補正で獲得したエンジェルフォームで打席に立つ。
最初から最大能力で闘うつもりのようだ。

「ラブにイリヤ……多くの人が犠牲になりました。
だがこの犠牲を無駄にはせず、悪と戦います!」

これまで散ったプリキュアや仲間たちに思いを馳せながら戦乙女プリキュアはバットを握り、ピッチャーである修羅・MEIKOを見据える!

「美しさは正義の証 ウインクひとつであなたのハートを射抜いて差し上げますわ!」
「御託がうるせえ、殺すぞ」

極めて野性的な殺意を露とも隠そうともせずにMEIKOはキュアエースを睨み、MEIKOボールを投げた。
MEIKOボールはキュアエースに向かって投げつけられるか…と聖帝軍は思ったが、そんなことはなく、しっかりとラオウのキャッチャーミット磨けて飛んでいき、ワンストライクが入る

(以外と野球としては正攻法!? だけど高津さんより早くない。同じ球なら次は打てる!)

初球は見逃したが、その代わりにキュアエースは球速を目で測り、次にかけることにする。
そして第二球…コースも球速もまったく同じ投球がきた!

「今だ! はああああああああああああああああ!!!」

キュアエースは一回の打席に全力を振り絞ってバットを振り、それは見事にボールにクリーンヒットした。
これには聖帝軍ベンチから歓声が飛びそうになる。

……だが。

「!? 重いッ! この球、重すぎる」
「きゅ、キュアエース!」

打ったMEIKOボールはあまりにも重く、プリキュア番外戦士の全力をもってしても打ち返すことはできなかった。
ボールがバットに当たって跳ね返るどころか、バットの方が大きく押されており、そして……


「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」

メキメキゴキゴキバキバキ。
とても殺しきれない威力にバットを握っていたキュアエースの両腕が折れて、さらに体を支えていた腰も粉々に折れた。
そこからキュアエースの上半身が一回転・二回転し、胴体の骨と臓腑が全部潰しながら、血を吐いて地面に倒れた。
仲間が駆け寄るが既に手を遅れであり、キュアエースの端正だった顔は激痛で歪んで白目を向き、口からは夥しい血と潰れた心臓がはみ出していた……


【ターバンのガキ(円亜久里)@ドキドキプリキュア! 死亡】


ちなみに投げられたMEIKOボールはしっかりと投球コースを外れることなく、ラオウのミットに収まった。
ストライク。そして打者が死亡した場合は自動的にアウトである(からくりドーム戦参照)


「へッ、ハートを射抜かれたのはおまえの方だったな」
「よくも亜久里を、絶対に許さねえ!!」

今しがた殺した少女を徹底的に見下すMEIKO。
それに対し、次の打席を控えていた紘太は激昂してMEIKOに掴みかかろうとするが、犬牟田に止められる。

367南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:11:33 ID:o.mIVu0g0

「落ち着け紘太! ここで乱闘なんてやったら、反則で退場だぞ」
「しかしアイツは亜久里を……!」
「向こうは『ルールは破っていない』!
亜久里が彼女の球を打てなくて『たまたま死んでしまった』だけなんだ」
「クソッ! マジかよ」

犬牟田が言うとおり、MEIKOは反則になるようなことは何もしていない。
むしろピッチャーがバッターを直接攻撃して殺害しても許されるのがカオスロワ式野球。
責任は死んだ側の方にあるのだ。

「惜しかったな、おまえが掴みかかっていれば、ひとり反則退場で減らせたのに」
「アイツ…!!」
「口車に乗るなよ紘太」
「乱闘沙汰による退場は亜久里だって望んでません。
向こうは12も選手がいるのに、こちらは10人だけ。
減れば減るほど不利になります」

なおも煽り続けるMEIKOに怒る紘太を高津に続いてサウザーと闇も抑え、なんとか乱闘だけは避けた。

しかしながら、仲間である少女の惨死はこれまで野球の試合をしたことがない聖帝軍にカオスロワ式野球の恐ろしさを教え、戦慄させるには十分だった。

「うわッ!」

戦死したキュアエースの次に鉱太が続くがMEIKOボールの相手ではなかった。
鉱太は三球中一球だけヒットしたが、亜久里と同じく絶大なパワーの前にヒットとして打球を飛ばすこと叶わず。
幸い極アームズによる防御力のおかげでダメージを受けこそすれ、死ぬことなかった。

「すまねえ、闇……」
「大丈夫です休んでいて鉱太」

サウザーに肩を担がれる形でベンチに戻っていく紘太を見送り、ターバンをかけて金髪美女の暗殺者・金色の闇がバッターボックスに入った。
そして、MEIKOボールが襲いかかってくる。
このまま見送り三振をすればダメージを受けることも死ぬこともないだろう。

「だけど聖帝軍の信念は前進制圧。
媚びることも引くことも私はしません」

そして、金色の闇の腕にバットごしに重い衝撃が伝わる。
闇のからだのあちこちから鮮血が飛ぶ。

「闇!」

サウザーや仲間たちは思わず叫ぶが、闇自身はあくまで冷静に対処した。

闇はなぜラオウがキャッチャーであるのか考え、その答えをだした。
至極単純にMEIKOの暴力すぎて強すぎる投球にラオウ以外が耐えられないのだ。
そこで闇は自身の変身能力を使い、筋肉をラオウ並に変化させた。

「ム、ムキムキになった!?」

どこぞのビスケの如く顔以外マッチョになった闇のシュールな光景に面食らう聖帝軍・拳王軍。
だが、それが功を成したのか、凄まじい筋力から放たれる打力によりMEIKOボールは打たれ、そして凄まじい勢いで一塁方向に飛んでいった。

「こっちに来た! だけどこの程度なら」

一塁を担っていたヒロインXは飛んできた打球を取った。

「え? ぎゃああああああああああ!!!」

だが、次の瞬間、彼女の体はふわりと浮き上がり、そのまま近くのドームの壁までぶっ飛んでいった。
マッチョ化闇による打球の威力が強すぎたために、体重がたった42キロしかないヒロインを吹っ飛ばしたのだ。
土煙が収まったころには、横浜スタジアムの壁の一つにクレーターと、その中心に四肢がバラバラになり臓物を撒き散らした瀕死のアルトリアタイプのサーヴァントがいた。

「ヒロインX…クソッタレ、これはもう助からん」

ライト担当のディオが駆け寄るもとき既に遅し、ヒロインXの体は消滅間近であった。

「だけど……なんとかボールだけは取れましたよ……」

ヒロインXのひしゃげた腕にはちゃんと野球ボールが握られていた。
これで聖帝軍はスリーアウトでチェンジである。

「残念ですが私はここまでです……
も、もっともっとセイバーを借りたかった………ガクッ」

謎のアルトリア・ペンドラゴンは志半ばで倒れる後悔を胸に抱きながら消滅した。

【謎のヒロインX@Fate/Grand Order 死亡】


「てめえ……」
「なんですか、私も『ルールは破ってません』よ?
たまたま打ち返した球で偶然死んだだけです」

MEIKOは闇を睨みつけるが、闇は冷静かつ辛辣に返す。
カオスロワ式野球は責任は死んだ側の方にあるのだ。

「チッ、あれがMEIKOボールの全てだと思うなよ。
本気のMEIKOボールはあんなに遅くない。
今まではお試しコースだ。次から本気出すからな」
「望むところ」

本当だったら乱闘でもしたいほどの怒りがMEIKOにはあったが、ここで退場すべきではないと思い、ぐっと堪えてベンチへと帰る。
闇もまたマッチョ化を解いて、仲間のいるベンチへ戻った。

368南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:12:27 ID:o.mIVu0g0
最初に出迎えたのはサウザーであった。

「闇、大丈夫か?」
「大丈夫です、見た目ほど大したダメージは負っていません。
…亜久里の仇のためにも先制点をもぎ取りたかったところですが」
「いや、良い、おまえは十分に頑張った。
点こそ取れなかったが、奴らに仕返しができたことで我らの士気も回復した」
「スカっとしたぜ、さすがは俺たちの副リーダーだ!」

闇がMEIKOの投球を打ち、ヒロインXを討ち取ったことは亜久里の死で落ち込んでいた聖帝軍の士気を上げさせることに繋がった。
少なくとも拳王連合軍は絶対に倒せない敵ではないと思わせたことは大きい。

「試合はまだ始まったばかり、点こそまだないが向こうもそれは同じ!
この調子で戦い、死んでしまった亜久里のためにも必ず勝つぞ!!」

サウザーの鼓舞がベンチ内に響き渡り、聖帝軍の士気を上げた。





一方その頃、拳王軍ベンチ。

『アルトリアさん…』
「…変な人で善人と呼べるか正直微妙でしたが、死んで欲しくはありませんでした」

またひとり、戦いの中で仲間が死んでしまったことに悲しみや怒りの感情を募らせる選手たち。

「ロックマン、そして翔鶴よ」
『ラオジさん…』
「うぬらの気持ちはわかるが、まだ戦いは終わっていない。
真の戦いはこれからだ、謎のヒロインXの犠牲を無駄にしたくないのなら気を引き締めろ」

ラオウは怒りと悲しみをコントロールするよう仲間たちに促す。
冷静さを失えば勝てるものも勝てなくなるからだ。

「プニキ、次は貴様の番からだ」
「はいよ、ロビカスと百エーカーで鍛えた打法を見せてやるよ」

二回表の一番打者は拳王連合軍きっての強打者、プニキ。
彼がバッターボックスに入った瞬間、二回表が始まる。

両軍現在、無得点。戦死者一名ずつ。果たして先制点を掴むでしょうか?

369南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:13:40 ID:o.mIVu0g0


【二日目・21時30分/神奈川県・異世界横浜スタジアム】
※あと2時間30分で異世界は消滅。
 それまでに点数が低いチームが消滅する異世界に閉じ込められるため、負けたチームは全員死亡します(移籍した場合は不明)



【聖帝軍】

【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】
(支給品選手枠)
千早@皇国の守護者
デストワイルダー@仮面ライダー龍騎


【拳王連合軍】

【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】
【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】
【ラオウ@北斗の拳】
【平等院鳳凰@新テニスの王子様】
【MEIKO@VOCALOID】
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【シャドーマン@ロックマンエグゼ】
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【デューオ@ロックマンエグゼ4】
【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】
【川崎宗則@現実?】
【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】
【ハクメン@BLAZBLUE】
【瑞鶴@艦隊これくしょん】

370名無しなんじゃないのー☆:2019/07/03(水) 18:45:24 ID:o.mIVu0g0
>>368修正
セイバーを借りたかった→セイバーを狩りたかった

371 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/06(土) 15:10:53 ID:BV5shed.0
都庁同盟軍+DMC狂信者(襲撃部隊)で予約

372 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:15:40 ID:bSdwsiAM0
投下します

373ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:16:25 ID:bSdwsiAM0
新宿に大きく聳える都庁の世界樹。
ここを根城とする都庁同盟軍は侵攻してくるであろうDMC狂信者の大軍団に対して防衛の準備をしていた。
ビッグサイトに潜入させた影薄組、拳王連合軍の迎撃に向かった聖帝軍、キュゥべえを追跡するオオナズチたちは皆気がかりで

あったが、これまで以上に激しい攻撃をしてくるであろう狂信者に備える必要は十分にあった。

ここは未だ日本全国としては知られていない滅びの日、二度目の大災害を阻止するための対主催最後の砦として絶対に負けては

ならない。
戦果を上げて帰ってくるであろう、遠征に向かった戦士たちのためにも。



「……よし、書き上がった」

世界の謎と予言の真実が明かされた時からずっと、カヲルは都庁にある部屋の一つで数枚の楽譜と歌詞を書いていた。
遊んでいたわけではない。
救済の予言の一つである全てを虜にする歌――鎮魂歌をテラカオス内部に入るであろう死者に捧げるために絶対に必要な仕事で

あった。

「カヲルくん、歌ができたのね」
「小鳥さん」

ダオスの秘書である小鳥がカヲルの様子を見にきたようだ。
彼女はカヲルから楽譜を渡される。
そして小鳥を前にカヲルはバサラから受け継いだギターを手に、演奏を始める。





「直感に従って作ったものだけど、どうかな?」
「…………ええ、良いと思うわ。
 すごく死んだ人を悼む気持ちが伝わってくる」
「ありがとう」

小鳥は少年の思い想いを詰め込んだ鎮魂歌を聞き、じんわりと涙を滲ませる。
死者ではないのでどこまで予言に通じるかはわからないが、きっと死者を悼み、生者のために力を貸してくれるだろうと信じら

れる力が歌にはあった。

「それはよかった。なら歌詞は小鳥さんが預かって欲しい」
「え? どうして!」
「人手不足だから、僕もエヴァに乗って都庁を防衛するつもりです」

カヲルは戦いに出るつもりだった。
戦死したり渾身の一作が戦いの中で紛失することを恐れたために、小鳥に預けることにしたのだ。

「待って、あなたの役割は歌! 救済の予言を完遂できるなら立派な仕事よ。
神樹さんの秘密兵器もあるし、狂信者とは戦わなくていいじゃない!」
「いや、万が一ということもある。
セルやまどかちゃんがやられても世界は破滅を迎えてしまう。
エヴァ四号機に乗れるのは僕だけだし、そうなると巫女と器の命を守る可能性は上げた方がいい」
「でも……」

少年の決意に小鳥は惑いを隠せない。

「それに救済の予言の内容的には、大切なことは歌い手じゃなくて鎮魂歌の方。
ハートさえこもっていれば誰が歌っても差して問題じゃないさ。
これからの戦い、何が起こるかわからない……ひょっとしたらこの歌を歌うのは僕じゃなくて、あなたや声を取り戻したきらり

さん、もしくは他の誰かかもしれない。
その時に備えて、歌だけは遺していきたい……僕やバサラ、都庁同盟軍が生きて戦った証として」

カヲルは自分が今後の展開で死ぬ場合も計算に入れて、書き上がった遺品である小鳥に預けようと言うのだ。
小鳥は彼の気持ちを理解しつつ、大人としての答えを出す。

「わかったわ、この歌は預かっておく。
でも、あなたも必ず生き延びてこの歌を歌って欲しいの。
カヲルくんの代わりはこの世に誰もいない、死んでしまえばあなた自身の音楽を聞くことは二度となくなってしまう。
バサラでも使徒でもない、世界に唯一の歌が失われてしまうのは悲しい。
それに歌は一人で歌うより、みんなで歌う方が楽しい、だから必ず帰ってきて歌を取り返しにきなさいね」
「……ありがとう。
僕の代わりは誰もいない、歌は一人より皆か。
バサラの代わりを務めることに固執していた僕には嬉しい話だ」

小鳥の言葉を聞いてカヲルは微笑んでいた。

そんなやりとりをしていた、彼らに地面を揺らすほどの振動が襲う。

「きゃ!? 地震?」
「いや、これは!」

―SATUGAIせよ SATUGAIせよ―

カヲルがバッと外を見ると、港区方面より数万人はいるであろう狂信者の大部隊が世界樹がある新宿を目指していた。

「とうとう来たか」
「カヲルくん!」
「小鳥さんはダオスさんのところに戻って! 僕はエヴァで行く!」
「ええ!」

カヲルと小鳥は急いでそれぞれの配置である、世界樹の麓と天辺へと駆けていった。

374ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:17:02 ID:bSdwsiAM0
天辺では魔王ダオスが厳かに戦いの準備をしていた。

「よし、来たな……」
「ダオスさん!」
「小鳥は今すぐ、天ぷらを揚げろ。
それからギムレーの話もありカオスロワちゃんねるは信用ならないが……それでも新宿以外の大雑把な戦況を見るには必要だ。

ネットの動きに目を凝らしておけ」
「はい!」

都庁の魔物を主体とした同盟軍は、これまでの戦いにより疲弊しており、現在進行してくる狂信者と比べれば圧倒的に数で劣る


しかし、ドラゴンハートなどの各種恩恵により実際の人数の数十倍の戦力は持っており、特にチームワークは折り紙つきだ。
物量に任せた集団や、質に任せただけの作戦では打ち破ることはできず、何度も襲いかかってきた狂信者をレベル上げの経験値

に変えてきた。
故に、狂信者が相手なら数だけで竦む者は同盟軍に誰もいなかった。

「流石に本腰を入れてきたようだが、少しばかり遅かったな。
エリカ、神樹! 神々の黄昏の使用を許可する!」
「あれは一発しか撃てません」
『再確認だが本当に良いのか?』
「我々にはやることが山積みなのにここで消耗するわけには行かん。
拳王の外道どもは儀式の薪に使った方が良いだろうし、主催が九州ロボに乗ってきた場合は墜落の危険でどのみち使えん。
いかな狂信者とはいえ、あれだけの数を一瞬で失えば組織も傾き、大人しくせざる追えないだろう」

一度しか使えない禁断奥義『神々の黄昏』。
使用すれば相手集団は一瞬で死ぬ。
ダオスはここでの人命や力の消費は愚策と考え、ここでの使用を決断した。

『へッ、そうと決まれば!』
「まどかちゃん、術の効力を上げるためにセルと融合、続けて神樹と融合して!」
「はい!」

エリカは発射前に対ハザマ軍団戦で使用したフォレスト・セルと神樹の合体状態で臨む。
融合することで術の威力と効果範囲が大きくなり数万人の狂信者をすっぽり覆うことができるほどになった。

『よし、禁断の奥義行くぜ!』
「多少の撃ち漏らしが出るかもしれん。他の者も神樹だけに頼らず迎撃を用意」

合体神樹だけでなく、後ろに控えているエヴァ四号機、ドラゴン軍団、アルルーナにレスト、その他の戦えるモブFOEも攻撃の準

備をする。
これまで散々レベルを上げたため、これだけの数でも敵の殲滅は容易であろう。
さやかはいざという時の回復係として世界樹の中に残り、非戦闘員である魔雲天(人間)ときらりは地下の方で待機する。
世界樹にいる都庁同盟軍全ての者が固唾を飲んで推移を見守った。

『チャージ完了! いくぜ、神々の黄――』















「……? どうしたの神樹? なぜ撃たないの?!」

神樹はいつになっても、神々の黄昏を放たなかった。
エリカの疑問に対して神樹は呟く、ひどく怯えたような声で。

『あいつらなんてことを……』
「暗くてよく見えない! ウォークライ、明かりを!」

要領を得ない神樹の言葉に、レストは配下のウォークライに火球を放たせた。
ただしそれは狂信者に直接当てるのではなく、近くの瓦礫にあてて燃焼させて照明にするためである。
すると、向かってくる狂信者の正体を目にして、神樹が驚いていた理由を他の者も理解し、同時に戦慄した。

敵はMSとかヨロイなどのロボットがメインだ。
だがそこは対して問題ではない。頭数含めて予測可能な敵であった。
予想だにしてなかった手段を用いてきたからこそ、驚愕しているのだ。


――死にたくない!!――
――助けて!!――
――ガオォォォン!!――

『あのクソ野郎ども……人質を取ってやがる!
その人質をロボットの装甲に貼り付けてやがる!』

375ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:18:02 ID:bSdwsiAM0

狂信者が操るロボットの前面には数匹ずつ、生きた魔物が磔刑のように貼り付けられていた。
今まで都庁に合流できなかったグンマーの魔物たちが捕らえられ、磔にされていたのだ。

「なんてこと、これじゃ高火力広範囲の攻撃ができない!!」
「卑怯者めえ!」

アルルーナとレストが敵を非難するが、無理もない。
これではいくらレベルを上げたところで、敵を攻撃……特にダオスレーザーなどの広範囲攻撃ならば尚更するわけにはいかない

のだから。

「それだけおまえたちは、我々を本気にしたということだ」
「!?」

怒り戸惑うレストたちの前になにかが転移しようとしていた。
最初に中から現れたのはディパックとそこから溢れ出る大量の水だ。

「うわっぷッ! これは海水!?」

水の正体は、大量の海水。
しかし大量といっても溺れるほどではない。
深さ十数cm程度の水たまりが広範囲に出きるだけでこれ自体に直接の害はなかった。

問題なのは次に転移してきた存在だ。

レストら迎撃部隊の中央に現れしは次元連結システムを使って転移してきた最悪の冥王、黒塗装のグレートゼオライマー。

「敵!」

多くのモブ魔物が人質を伴って侵攻してくる敵に気を取られる中、レストら歴戦の戦士たちの反応は素早かった。
グレートゼオライマー相手に繰り出される世界樹ノ剣――全状態異常95%付与、体力吸収。攻撃力は女装鎧であるソウルアーマー

の力で40倍。レストのレベルの高さも相まって直撃すればガンダムまでなら確実に消し飛ぶ。
追撃にアルルーナはアシュラマンさえ一撃で葬った冷気の一撃、フロストスマイルを放つ。
幸い、転移に耐えられない都合かゼオライマーの装甲に人質は磔られていない。
倒すのは問題なかったハズだが。

「当たらねばどうということはない! フットワーク、そして分身!」
「なんですって!」
「重そうな見た目の割になんて敏捷性!」

格闘攻撃を確実に躱すスキル・フットワーク、そして必中攻撃以外は確実に躱す分身。
ゼオライマーに乗るドリスコルはこれらを使って、攻撃を凌ぐ。

「ダオスさん! 援護を!」
「ダメだ! 味方が近すぎる!」
「これじゃ撃てないよ!」

ダオスやまどかも追撃に加わろうとしたが、敵と味方の距離が近すぎたためにレーザーや他の攻撃も発射できない。
それはエヴァ四号機に乗るカヲルや氷竜・ウォークライとて同じだ。
相手が泡を食っている攻撃のチャンスを得たドリスコルは反撃を行う。

「Jカイザー、バラージュ!!」
「「うわあああああああああああああああ!!」」

八罫ロボの一体、月のローズセラヴィーの技であるレーザー攻撃を回転しながら放つゼオライマー。
周辺にいたレストやアルルーナは高い回避力と防御力のおかげで大した打撃を受けなかったが、二人未満実力であるモブ魔物は

そうとは行かず、数十匹の魔物が一気に蒸発し、同時に爆炎を引き起こした。

「今だ! 奴を斬れ、天龍!」
「応!」

一瞬だけ開いたゼオライマーのハッチから眼帯の艦むす、天龍が現れる。
水浸しになった地面に降り立った天龍は、ウォータースケートの要領で水上を猛ダッシュする。
その機動力は圧巻であり、レスト含めた前衛の誰も追うことはできず、捕まえようとするものを嘲笑うかのように障害になって

いたモブ魔物を天龍は腕の刀でバッサバッサと、滑らかに辻斬りしていく。

376ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:18:41 ID:bSdwsiAM0

「へへん、艦むすは水上だと機動力が地上の数倍から数百倍まで跳ね上がるんだぜ!
世界最高水準な俺をウスノロなおまえたちが捕まえられるわけがねえよ!」
「艦むすだって……!?」

レストには確かに聞こえた。
古代ミヤザキが使用した人口巫女――艦むすの言葉。
彼女の言葉に嘘がなければ、その艦むすが目の前にいるのだ。

「見つけたぜ、俺の標的は――ロリコン臭がするおまえだ!」
『くッ、ミラーシールド!』

天龍が狙いを定めたのは前衛に盾要員として出ていた氷竜もとい氷嵐の支配者。
氷竜は急いで万能属性攻撃さえ無力化するカウンタースキル・ミラーシールドを発動する。

\  さいごのガラスをぶち破れ〜    /
 *      \ 見慣れた景色をけりだして〜 /*
  *  ( \/ /_∧   <./|   /| +     /\___
   + ..ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
。     / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/ * /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
   +     i⌒ヽ  ./   ̄>__  + 。    ..|| |::
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\  + .|| |::
 *  ..i    | /ヽ   ヽ  *∠__/   ̄ +  *..|| |::
     ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>  *    || |::
  。    \|  )  ̄  ./V   *     。   .|| |::
____  .ノ ./⌒)∧ /  ..+_________||___
  。  / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|
    //    し'  / /\ + ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
※天龍です


『馬鹿な!?』

氷でできたミラーシールドはガラス細工のように簡単に破られた。
マーラ戦の時のように奇襲で首がもげてミラーシールドが貼れなくなったり、きらり戦の時のようにステータスを強制的に一桁

にされたわけでもなく、完璧なミラーシールドは「最初から発動していない」かのように容易く破壊された。
直後に天龍の砲撃が氷竜の三つある首の内、左右一本ずる粉砕、胸部にも一撃をもらい、残った一本の頭の口から吐血し、地上

に倒れた。

『氷竜! 今いくぞ!!』

比較的動けたウォークライとドラゴンの部隊が空から氷竜を助けようとする。
ブレス攻撃などは味方を巻き添えにして危険だが、単体攻撃である爪や牙ならば。
そう考えて天龍に襲いかかろうとするが、ここで狂信者たちの迎撃に合う。

「やらせはせんよ」
「目標をセンターに入れてスイッチ!」
「(味方の邪魔をするのは)やめてくださいよ本当に!」
「ビーム喰らって死のう、な?」
『邪魔をするなーーーッ!!』

数多のモブ狂信者の乗るロボット兵器、初号機F型装備、フェネクスにユニコーン、そしてゼオライマー自体の攻撃により、氷竜

を助けようとしたドラゴンの多くが撃ち落とされた。
ウォークライは妨害してきた狂信者たちに怒号を上げるが、それで狂信者が止まるわけではなく、弾幕射撃により他の同盟軍の

味方の誰もが、自陣営にいながら氷竜を助けに行くことができなかった。

氷竜自身も周囲の味方を巻き添えにしない貫く氷槍や三連牙で抵抗するが、天龍はこれを刀でカッキンカッキンと弾き、砲撃と

斬撃で急速に流血させていき、みるみる内に満身創痍にさせた。

『お、俺を一瞬でロリコンと見抜いた嗅覚!
そして相対しただけで魔法や罠を無力化する能力……貴様もしやオシリスの……』

氷竜は目の前の少女の性癖や能力から正体をなんとなく察し、まさかと思い問いかける。
しかし天龍は冷酷な瞳を向けつつ、障壁を貼れなくなった氷竜の残った最後の首を斬り落とした。

「……そいつはもう死んだよ、今の俺は軽巡洋艦の天龍だ」


【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】


「氷竜さん! そんなぁー!!!」

同盟軍の心の声を代弁するかのようにまどかは悲痛な叫びを上げる。
氷竜の死はそれだけ呆気なく、無惨であった。

377ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:19:20 ID:bSdwsiAM0

『よくも同胞を……!』

漸く敵の弾幕をくぐり抜けたウォークライが飛来し、天龍に爪の一撃を食らわせんとする。
しかし、それより早くゼオライマーが天龍を庇うように彼女の目の前に転移し、先制が逆転するスキルによって、先に仕掛けた

ハズのウォークライより先に攻撃する。

「ファースト」
『がッ!』
「まだだ!」

ウォークライはゼオライマーの拳で弾き飛ばされるが、入れ替わりでレストが渾身の力で切りかからんとする。
だが、ゼオライマー『戦闘から一方的に逃げる』スキルを。

「エスケイプ」
「!?」
「じゃあの」

復讐の刃を放とうとしたレストを嘲笑うかのように、ゼオライマーと天龍は次元連結システムによって転移し、次の瞬間に狂信

者の陣営に舞い戻っていた。
ドリスコルが使用したスキルは敵の攻撃そのものをキャンセルし、一撃離脱を可能にする『エスケイプ』。
味方が使うとヌルゲー化し、敵が使うとウザったいことこの上ない戦闘スキルである。
今の戦闘でそれを察したレストは舌打ちする。

「チッ、この嫌らしさは、単に欠点を突いてきた魔神皇の比じゃない」



狂信者陣営側に戻ったドリスコルと天龍。

「トラ、トラ、トラ。大成功だぜ」
「ああ、奇襲は成功だ。厄介になるかもしれぬ氷竜の殺害にも成功した」

天龍が氷竜を最初に狙ったのは、彼の持つスキルであるミラーシールドを危険視したからである。
ミラーシールドはどんな攻撃も跳ね返す盾であり、最悪ゼオライマーの最大火力である烈メイオウ攻撃さえ自分たちに戻ってく

る危険が有る。
単に跳ね返すだけならレストやフォレスト・セルにもできるようだが、レストは自分しか防御できず、セルは物理攻撃と術(エ

ネルギー)のどちらかしか選択できないのは先の敗北からデータを収集済みだ。
そしてオシリス譲りの能力により、戦闘になれば相手の魔法・罠・特殊効果を殺せる天龍によって氷竜のミラーシールドは発動

することなく、抹殺を可能にした。

それでも高い火力は都庁には残っているのだが、そのための人質装甲である。

「人質の存在が、都庁同盟軍の攻撃を渋らせている。
ギリギリまでクラウザーさんへの生贄に捧げなくて正解だった。
奴らを殺すには物量や質、策だけでは足りなかったのだ……一番必要だったのは心を抉るような卑劣さだ」
「狂信者で評判最悪の俺たちからしてみれば失うもんなんて何もないしなー」
「そうだな、さて、モブ狂信者どもの士気が高い内にゆるりと進軍させるか」

指揮官であるドリスコルの指示に従い、人質を盾にしながらロボット部隊が進軍を始める。
一方の都庁側は満足に攻撃できず防戦一方になるしかなかった。

378ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:20:05 ID:bSdwsiAM0


「ダオスさん……どうしましょう」
「クッ……今までで一番辛い戦いになるだろうが……」

同盟軍の長であるダオスは苦渋の決断を迫られた。
大火力による攻撃は人質を殺してしまう、人質を無視すれば少なくともモブ狂信者のロボット軍団だけは一掃できる。
しかし、それをやってしまえば戦争で滅び、現代の苦境を招いた古代グンマー・古代ミヤザキと何も変わらなくなってしまう。

「小鳥、全員に伝達しろ。
人質は何匹いるかわからんが、流石に全部の機体に載せているわけではないだろう。
それぞれで役割を分担する。
レスト、ウォークライ、アルルーナ、カヲルは主軸になっている狂信者を優先的に狙え!
その他の魔物は人質救助を優先し、範囲攻撃は使わずに肉弾戦で中のパイロットだけ殺せ。
私とまどか、セルと神樹は世界樹の防御に徹し、人質の救助が済んだら、一気に狂信者を殲滅する。
……それまで地上の部隊には一切の支援ができんとな」
「厳しい戦いになりますね」
「今は耐えてもらうしかない」

小鳥はスマホや伝令係の魔物を通して味方に指示を伝達。
ダオス、まどか及びセルと神樹は高出力のレーザーを敵ではなく敵の攻撃に対して向けることで、世界樹への被害を無くす。

「奴らめ、撃ち落とした時の被害を考えてわざと低く飛んでいるな……煩わしい奴らめ。」

ゼオライマー、ホモのガンダム二機はあえて低空を飛んでいた。
撃墜すればすぐ下にいる人質が巻き添えになるからだ。
そして、自分を含めて命の価値が低い狂信者は無遠慮に攻撃をしかけてくる。
地上でロボット軍団と白兵戦を繰り広げる魔物たちは苦戦を強いられていた。

「ファースト!」
「デュエル!」
「オールヒット!」
「ブラストショット!」
「フィックスDMGIII」
「マイナスショットIII!」
「エスケイプ!」
「ウィークポイント!」

『ぎゃあああああああああ!』
『こいつら、鬱陶しい!!』

モブだけを見た場合地の能力では魔物側が何枚か上手ではあったが、狂信者側は人質を取ってる上に、ドリスコルから渡された

のであろう所持スキルの数々が、魔物たちの攻撃力を削ぐ。
攻撃の先制権はスピードに関係なく奪われ、連携が取れない一体一の戦いに強制的に持ち込まれ、回避力に関係なく全弾命中。
転倒させられて何もできず、200近いダメージがなぜか半分以下の80固定にさせられたり、ちょっとかすっただけで攻撃力を激減


攻撃しては逃げられ、挙句まだある程度HPに余裕があるのに部位破壊させられる……そしてレーザーによる支援砲火ができなく

なったので倒しても倒しても中々減らない。
戦闘やドラゴンハートで強化されたハズのモブ魔物が何匹も犠牲になった。

ドリスコルの引き連れた軍団はこれまで以上に能力やスキルだけで勝つのは難しい相手であった。
だが、魔物たちもただ黙ってやられるつもりはなく、苦戦しながらもロボットを範囲攻撃を使わずに戦闘不能に追い込み、パイ

ロットを殺した後に人質を救助。
少しずつであるが、人質の魔物を世界樹の中へ保護することができた。


そんななか、ひとつの因縁の決着が今、始まろうとしていた。

「エヴァ初号機……それに乗ってるのはシンジくんなのか?」
「カヲルくん、君がそっち側にいるのが僕には理解できないよ」

白と紫のエヴァを通して銃を向け合う二人の少年たち。
本来なら親友になれた者同士が、敵同士としてとうとう戦場で出会ってしまったのである。

「カヲル、ひょっとしてあれに乗っている彼は君の親友の……」
「ああ。シンジくんの相手は僕に任せてくれないか?
彼の戦い方を知ってるのは僕だけだから……」
『すまん、ここは任せたぞ』

エヴァンゲリオンの相手は同じエヴァンゲリオンに任せ、レストたちはドリスコルや天龍を討つべく、追いかける。
氷竜を殺した艦むす、そしてこの攻撃部隊の総司令官と思われる男を倒せば、活路を見いだせるからである。


(ふッ……お膳立ては済ませたぞ、ゼロ、あとはおまえ次第だ)
「みんな……ダメ……この戦いは」
「うるさいメス豚は耳レ○プ」
「いやあああああああああああああ!!!」

ゼオライマーの中で再び意識が戻った次元連結システムもといカレンが何かを言いかけたが、ドリスコルが彼女の苦手なDMCの曲

を音量いっぱいで流したため、誰にも聞こえず阻止された。

379ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:20:52 ID:bSdwsiAM0



世界樹内部1F、そこにはさやかや彼女に従う魔物が負傷した魔物や人質の治療を行っていた。

『すまない、本当に助かった……』
「私にはこれしかできないからね、ただひたすら治すだけよ」

さやかはもはや、自分がまどかやほむらのように戦闘に向いていないことを認め、逆に戦闘で前線から離れられないまどからに変わって後方で回復魔法を振るっていた。
必死に治療し、激しい戦場にも関わらず魔物を安心させるために笑顔で励ますさやかの姿はまさにナイチンゲールのようだった。

(うッ……もうソウルジェムが真っ黒!)

しかし、怪我人が矢継ぎ早にくる環境では穢れが貯まるのも早い。
すぐに黒ずんだジェムが、外の戦いは地獄めいていると語っている。

『一番回復能力があるとはいえ無理するな』
『補給のためにフォレスト・セルに穢れを吸ってもらえ』
「ごめん。
こんな時に魔女になるわけには行かないしちょっとだけ離れる」

さやかは穢れを取るために一時的に現場を離れた。

「早く戻らないと……」

世界樹の入口、戦場から運ばれてくる魔物の数は増える一方。
それがさやかに焦りをもたらした。


そこで肩を支えあう、互いに傷ついた二匹の魔物と目があった。
オスと思われる魔物が、弱々しい声でさやかに語りかける。

『そ、そこの人間……俺の話を聞いてくれ』
「待って、今は他の仲間の治療が……」
『敵の、狂信者の作戦に関わる重大なことなんだ……』
「なんですって!?」

人質など汚い手を使ってきたドリスコルの部隊に、まだ奥の手があるのか。
それが本当なら早くダオスや皆に伝えないといけない。

『俺はもうもたん……おまえに情報を渡したい……もっと近くに……耳を貸してくれ』
「待って、治癒魔法を……ダメだ、ソウルジェムが持たない、クッ」

今にも死にそうな魔物だが、現在のさやかには回復できる魔力がない。
悔しい思いをしながらもせめて、死に物狂いで集めてきた情報だけは無駄にしないために魔物に耳を傾けた。



『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様は俺の命令に従え』


「イエス、ユアハイネス」


さやかが魔物「だと思っていた何か」はさやかが近づいてきた瞬間、両腕で頭を掴んで強引に目を合わせさせた。
そして見てしまったのだ、目の中の紋章――絶対遵守のギアスを。
さやかはこの瞬間から、このギアスの持ち主の兵士となってしまった。

『うまく侵入できたな』
『ええ、鮮やかでした。さすがお兄様!』

さやかが魔物だと思っていた二匹の正体はカギ爪団の現在の首魁であるルルーシュと義理の妹である深雪である。

(仕事をしないと評価が低かったサイコマンだが、彼の残した技術――オーバーボデイの方は大いに役に立ったよ)

サイコマンが狂信者にもたらした技術、オーバーボデイ。
二人は着ぐるみのようにオーバーボディで魔物に偽装をしていた。
偽装は完璧で少なくとも視覚や嗅覚ではそこらのモブ魔物と判別不能。
ちなみに負っていた怪我はそれっぽく見せた血糊である。

380ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:21:23 ID:bSdwsiAM0



実はこれまでの作戦は全部ルルーシュことゼロの発案である。
これまでの都庁と狂信者の戦闘経緯から、都庁同盟軍は仲間である魔物に対して「仲間意識」が強すぎること……言ってしまえば「非情さ」が欠如していることを見越していた。
おそらく戦況をひっくり返す核兵器的な奥の手もあると推測していたが、人質を取られればそれも使用不可。
そして人質を救助しようとして、偽装したルルーシュと深雪を内部に招き入れてしまうのである。

(ふふッ、奴らは気づいてませんね、助けた人質の半分はオーバーボデイを纏ったカギ爪団の構成員と深海棲艦)
(しかも残り半分は、実際に都庁に合流できずにはぐれた魔物。
気づいたら気づいたで都庁内部は疑心暗鬼でパニックになる)

同盟軍が必死になって助けている人質の半分はスパイ。
今はルルーシュの合図を待って大人しく待機しているようだが、内部で暴れでもしたらどうなるだろうか。

(狂信者はかつてデスマンティスを使ってスパイ作戦を行ったが、肝心のスパイが私情に走り、後詰めの部隊は作戦もヘチマもない連中だったために失敗に終わった。
だが、今度は違う。
俺はただスパイを内部に入れるだけでなく、内部にスパイを作り出せる絶対遵守のギアスを持っている。
味方に甘い奴らが、この少女のようにただ操られただけの少女を撃てるかな?)

ルルーシュは心の中でほくそ笑む。

『おっと、作戦はまだ始まったばかりだ。
深雪は手はず通り、そのマスターボールでフォレスト・セルを捕獲しろ』
『はい、お兄様!』

作戦のプランの内には深雪が持つ、マスターボールによるセル捕獲がある。
このマスターボールはサーフによる魔改造を受けているため、持ち主がいても確実に捕まえることができる逸品。
スキルやステータスの高さはまったく関係なく何であれ捕獲可能。
何より都庁で最強の能力を誇るフォレスト・セルを捕まえてしまえば、トレーナーのレベルの都合でセル自体を操ることはできなくても都庁の戦力はガタ落ちし、世界樹陥落を容易にするという寸法である。
魔物に扮した深雪は背後からこっそりと忍び寄り、不意打ちで捕まえようというのだ。

『俺はこの娘に都庁の内部を案内させてもらう』
『危険ではないですか?』
『ギアスで洗脳できそうな奴を狙って兵隊を増やしていく、俺のことなら心配しなくて良い』
『敵地の中でなんと勇敢な……さすがお兄様!』

いつもの「さすおに」のやりとりの後、ルルーシュと深雪は一時の別れをした。
人質に偽装した狂信者仲間の手で巧妙に隠されたせいか周囲の魔物たちは、スパイが紛れ込んだことに気づいていない。

『さあ、俺を案内しろ、さやか』
「はい」



『……都庁には悪いが、テラカオスに纏わる必要な情報や資材を奪い、今後の役に立ちそうな人材以外は全滅してもらう。
ナナリーの蘇生のためにはどうしても犠牲がいる。
大災害を防げようとも、そのあとの世界にナナリーがいてくれないと俺はダメなんだ……!』

妹への愛に狂った男、ルルーシュの瞳にもまた、ギアスの他に松本と似たような狂気を孕んでいた。

381ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:21:55 ID:bSdwsiAM0



【二日目 22時00分/東京都 新宿都庁世界樹】


【都庁同盟軍】
※全てを虜にする歌→鎮魂歌がカヲルの手によって作成されました
 楽譜は小鳥が預かっています


【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
※ルルーシュのギアスによって操られました。



【DMC狂信者 都庁侵攻部隊】
※モブ狂信者は人質を盾に侵攻しています。
 その人質の半分はオーバーボデイで偽装したカギ爪団構成員&深海棲艦です。

【ドリスコル@フロントミッション】
【天龍(元オシリス)@艦隊これくしょん】
【道下正樹@くそみそテクニック】
【遠野@真夏の夜の淫夢】
【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン】

【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
※オーバーボデイで魔物に偽装中。
※四条化した魔理沙の死体を道下から譲渡されました。

【司波深雪@魔法科高校の劣等生】
※オーバーボデイで魔物に偽装中。
※魔改造マスターボールをドリスコルから譲渡されました。
 フォレスト・セルを捕まえる予定。

382 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:22:13 ID:bSdwsiAM0
投下終了です

383 ◆hphChNhqkE:2019/07/08(月) 21:25:22 ID:gQE7x2c.0
ぬああ、まさか書いてる途中にパート被ってたとは……
とはいえやってみたいネタもあったし、都庁+侵攻狂信者で予約します
同パート連続が不味かったら取り下げます

しかし鍵にしていた氷竜がやられたのは痛い

384名無しなんじゃないのー☆:2019/07/09(火) 20:06:35 ID:RphnMIXs0
同パート連続は大丈夫だと思いまっせ
続きが早く読みたいです

385名無しなんじゃないのー☆:2019/07/10(水) 18:42:35 ID:JL6BoiV20
すっごい今更なツッコミなんだが、オシリスの魔法罠無効は「オシリスに対する弱体等」のみの無効化だったような……
あとセルのセルメンブレンも「発動ターンの自軍に対するあらゆる攻撃を無属性に変換し増幅反射」
だから物理も魔法も特殊攻撃も全部反応する。カウンターがばらけてるのは3の禍神さんと旧セル(ここのセルは鳴き声から新セル)
次の人がもう書き始めてるからほんと今更だが、まあサーフの改造で強化された感じでなんとかなるかな

386 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/11(木) 20:49:20 ID:rO/JzHOQ0
把握ガバすいません、明日無難な範囲で修正したSSを投下してみます
(話の大筋・死亡者は変化しません)

387 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:15:22 ID:qctHHCRw0
修正版投下します
カヲルくんが歌を創る下りは全く同じなので、そこまではカットして投下します

388ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:16:03 ID:qctHHCRw0
天辺では魔王ダオスが厳かに戦いの準備をしていた。

「よし、来たな……」
「ダオスさん!」
「小鳥は今すぐ、天ぷらを揚げろ。
それからギムレーの話もありカオスロワちゃんねるは信用ならないが……それでも新宿以外の大雑把な戦況を見るには必要だ。
ネットの動きに目を凝らしておけ」
「はい!」

都庁の魔物を主体とした同盟軍は、これまでの戦いにより疲弊しており、現在進行してくる狂信者と比べれば圧倒的に数で劣る。
しかし、ドラゴンハートなどの各種恩恵により実際の人数の数十倍の戦力は持っており、特にチームワークは折り紙つきだ。
物量に任せた集団や、質に任せただけの作戦では打ち破ることはできず、何度も襲いかかってきた狂信者をレベル上げの経験値に変えてきた。
そもそも、フォレスト・セルのセルメンブレンで自軍はあらゆる攻撃を受け付けずに跳ね返す。
故に、狂信者が相手なら数だけで竦む者は同盟軍に誰もいなかった。

「流石に本腰を入れてきたようだが、少しばかり遅かったな。
エリカ、神樹! 神々の黄昏の使用を許可する!」
「あれは一発しか撃てません」
『再確認だが本当に良いのか?』
「我々にはやることが山積みなのにここで消耗するわけには行かん。
拳王の外道どもは儀式の薪に使った方が良いだろうし、主催が九州ロボに乗ってきた場合は墜落の危険でどのみち使えん。
いかな狂信者とはいえ、あれだけの数を一瞬で失えば組織も傾き、大人しくせざる追えないだろう」

一度しか使えない禁断奥義『神々の黄昏』。
使用すれば相手集団は一瞬で壊滅させられる。
ダオスはここでの人命や力の消費は愚策と考え、ここでの使用を決断した。

『へッ、そうと決まれば!』
「まどかちゃん、術の効力を上げるためにセルと融合、続けて神樹と融合して!」
「はい!」

エリカは発射前に対ハザマ軍団戦で使用したフォレスト・セルと神樹の合体状態で臨む。
融合することで術の威力と効果範囲が大きくなり数万人の狂信者をすっぽり覆うことができるほどになった。

『よし、禁断の奥義行くぜ!』
「多少の撃ち漏らしが出るかもしれん。他の者も神樹だけに頼らず迎撃を用意」

合体神樹だけでなく、後ろに控えているエヴァ四号機、ドラゴン軍団、アルルーナにレスト、その他の戦えるモブFOEも攻撃の準備をする。
これまで散々レベルを上げたため、これだけの数でも敵の殲滅は容易であろう。
さやかはいざという時の回復係として世界樹の中に残り、非戦闘員である魔雲天(人間)ときらりは地下の方で待機する。
世界樹にいる都庁同盟軍全ての者が固唾を飲んで推移を見守った。

『チャージ完了! いくぜ、神々の黄――』















「……? どうしたの神樹? なぜ撃たないの?!」

神樹はいつになっても、神々の黄昏を放たなかった。
エリカの疑問に対して神樹は呟く、ひどく怯えたような声で。

『あいつらなんてことを……』
「暗くてよく見えない! ウォークライ、明かりを!」

要領を得ない神樹の言葉に、レストは配下のウォークライに火球を放たせた。
ただしそれは狂信者に直接当てるのではなく、近くの瓦礫にあてて燃焼させて照明にするためである。
すると、向かってくる狂信者の正体を目にして、神樹が驚いていた理由を他の者も理解し、同時に戦慄した。

敵はMSとかヨロイなどのロボットがメインだ。
だがそこは対して問題ではない。頭数含めて予測可能な敵であった。
予想だにしてなかった手段を用いてきたからこそ、驚愕しているのだ。


――死にたくない!!――
――助けて!!――
――ガオォォォン!!――

『あのクソ野郎ども……人質を取ってやがる!
その人質をロボットの装甲に貼り付けてやがる!』

389ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:16:43 ID:qctHHCRw0

狂信者が操るロボットの前面には数匹ずつ、生きた魔物が磔刑のように貼り付けられていた。
今まで都庁に合流できなかったグンマーの魔物たちが捕らえられ、磔にされていたのだ。

「なんてこと、これじゃ高火力広範囲の攻撃ができない!!」
「それだけじゃない、セルメンブレンみたいな敵に攻撃を反射する防御技も使えない!
反射してロボットが大爆発したら人質の魔物も巻き添えだ。卑怯者めえ!」

アルルーナとレストが敵を非難するが、無理もない。
これではいくらレベルを上げたところで、敵を攻撃……特にダオスレーザーなどの広範囲攻撃ならば尚更するわけにはいかないのだから。

「それだけおまえたちは、我々を本気にしたということだ」
「!?」

怒り戸惑うレストたちの前になにかが転移しようとしていた。
最初に中から現れたのはディパックとそこから溢れ出る大量の水だ。

「うわっぷッ! これは海水!?」

水の正体は、大量の海水。
しかし大量といっても溺れるほどではない。
深さ十数cm程度の水たまりが広範囲に出きるだけでこれ自体に直接の害はなかった。

問題なのは次に転移してきた存在だ。

レストら迎撃部隊の中央に現れしは次元連結システムを使って転移してきた最悪の冥王、黒塗装のグレートゼオライマー。

「敵!」

多くのモブ魔物が人質を伴って侵攻してくる敵に気を取られる中、レストら歴戦の戦士たちの反応は素早かった。
グレートゼオライマー相手に繰り出される世界樹ノ剣――全状態異常95%付与、体力吸収。攻撃力は女装鎧であるソウルアーマーの力で40倍。レストのレベルの高さも相まって直撃すればガンダムクラスの装甲までなら確実に消し飛ぶ。
追撃にアルルーナはアシュラマンさえ一撃で葬った冷気の一撃、フロストスマイルを放つ。
幸い、転移に耐えられない都合かゼオライマーの装甲に人質は磔られていない。
倒すのは問題なかったハズだが。

「当たらねばどうということはない! フットワーク、そして分身!」
「なんですって!」
「重そうな見た目の割になんて敏捷性!」

格闘攻撃を確実に躱すスキル・フットワーク、そして必中攻撃以外は確実に躱す分身。
ゼオライマーに乗るドリスコルはこれらを使って、攻撃を凌ぐ。

「ダオスさん! 援護を!」
「ダメだ! 味方が近すぎる!」
「これじゃ撃てないよ!」

ダオスやまどかも追撃に加わろうとしたが、敵と味方の距離が近すぎたためにレーザーや他の攻撃も発射できない。
それはエヴァ四号機に乗るカヲルや氷竜・ウォークライとて同じだ。
相手が泡を食っている攻撃のチャンスを得たドリスコルは反撃を行う。

「Jカイザー、バラージュ!!」
「「うわあああああああああああああああ!!」」

八罫ロボの一体、月のローズセラヴィーの技であるレーザー攻撃を回転しながら放つゼオライマー。
周辺にいたレストやアルルーナは高い回避力と防御力のおかげで大した打撃を受けなかったが、二人未満の実力であるモブ魔物はそうとは行かず、数十匹の魔物が一気に蒸発し、同時に爆炎を引き起こした。

「今だ! 奴を斬れ、天龍!」
「応!」

一瞬だけ開いたゼオライマーのハッチから眼帯の艦むす、天龍が現れる。
水浸しになった地面に降り立った天龍は、ウォータースケートの要領で水上を猛ダッシュする。
その機動力は圧巻であり、レスト含めた前衛の誰も追うことはできず、捕まえようとするものを嘲笑うかのように障害になっていたモブ魔物を天龍は腕の刀でバッサバッサと、滑らかに辻斬りしていく。

「へへん、艦むすは水上だと機動力や戦闘力が地上の数倍から数百倍まで跳ね上がるんだぜ!
世界最高水準な俺をウスノロなおまえたちが捕まえられるわけがねえよ!」
「艦むすだって……!?」

レストには確かに聞こえた。
古代ミヤザキが使用した人口巫女――艦むすの言葉。
彼女の言葉に嘘がなければ、その艦むすが目の前にいるのだ。

390ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:18:16 ID:qctHHCRw0

「どうして誰も止められないの!?」
『あ、あの女が異常に早くて強いのもあるが、デバフに麻痺や混乱を招く攻撃をしても全然効果がないんだ!』
『罠もダメだ!』
「あいつ、無敵状態になれるスキルでもあるの!?」

アルルーナが束になっても天龍を追い詰められない理由をモブFOEに問いかけるが、返ってきたのは天龍への恐れであった。

「見つけたぜ、俺の標的は――ロリコン臭がするおまえだ!」
『くッ、ミラーシールド!』

天龍が狙いを定めたのは前衛に盾要員として出ていた氷竜もとい氷嵐の支配者。
氷竜は急いで万能属性攻撃さえ無力化するカウンタースキル・ミラーシールドを発動する。

「なるほど、攻撃を仕掛けると反射されるタイプの『特殊効果』もしくは『罠』だな。ということは!」


\  さいごのガラスをぶち破れ〜    /
 *      \ 見慣れた景色をけりだして〜 /*
  *  ( \/ /_∧   <./|   /| +     /\___
   + ..ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
。     / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/ * /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
   +     i⌒ヽ  ./   ̄>__  + 。    ..|| |::
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\  + .|| |::
 *  ..i    | /ヽ   ヽ  *∠__/   ̄ +  *..|| |::
     ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>  *    || |::
  。    \|  )  ̄  ./V   *     。   .|| |::
____  .ノ ./⌒)∧ /  ..+_________||___
  。  / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|
    //    し'  / /\ + ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
※天龍です


『馬鹿な!?』

氷でできたミラーシールドはガラス窓のように簡単に破られた。
マーラ戦の時のように奇襲で首がもげてミラーシールドが貼れなくなったり、きらり戦の時のようにステータスを強制的に一桁にされたわけでもない、完璧なミラーシールドでもあったにも関わらずだ。
直後に天龍の砲撃が氷竜の三つある首の内、左右一本ずつ粉砕、胸部にも一撃をもらい、残った一本の頭の口から吐血し、地上に倒れた。

『氷竜! 今いくぞ!!』

比較的動けたウォークライとドラゴンの部隊が空から氷竜を助けようとする。
ブレス攻撃などは味方を巻き添えにして危険だが、単体攻撃である爪や牙ならば。
そう考えて天龍に襲いかかろうとするが、ここで狂信者たちの迎撃に合う。

「やらせはせんよ」
「目標をセンターに入れてスイッチ!」
「(味方の邪魔をするのは)やめてくださいよ本当に!」
「ビーム喰らって死のう、な?」
『邪魔をするなーーーッ!!』

数多のモブ狂信者の乗るロボット兵器、初号機F型装備、フェネクスにユニコーン、そしてゼオライマー自体の攻撃により、氷竜を助けようとしたドラゴンの多くが撃ち落とされた。
ウォークライは妨害してきた狂信者たちに怒号を上げるが、それで狂信者が止まるわけではなく、弾幕射撃により他の同盟軍の味方の誰もが、自陣営にいながら氷竜を助けに行くことができなかった。

氷竜自身も周囲の味方を巻き添えにしない貫く氷槍や三連牙で抵抗するが、天龍はこれを刀でカッキンカッキンと弾き、砲撃と斬撃で急速に流血させていき、みるみる内に満身創痍にさせた。

『お、俺を一瞬でロリコンと見抜いた嗅覚!
そして魔法や罠を無力化する防御能力……貴様もしやオシリスの……』

氷竜は目の前の少女の性癖や能力から正体をなんとなく察し、まさかと思い問いかける。
しかし天龍は冷酷な瞳を向けつつ、障壁を貼れなくなった氷竜の残った最後の首を斬り落とした。

「……そいつはもう死んだよ、今の俺は軽巡洋艦の天龍だ」


【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】


「氷竜さん! そんなぁー!!!」

同盟軍の心の声を代弁するかのようにまどかは悲痛な叫びを上げる。
氷竜の死はそれだけ呆気なく、無惨であった。
助けたくとも一切の援護はできなかった。
大技は氷竜や周辺の味方を巻き込んでしまい、セルメンブレンはなぜか天龍相手には反射されず盾としての効果も発揮しないからだ。

『よくも同胞を……!』
「許さないぞ!」

空からは漸く敵の弾幕をくぐり抜けたウォークライが、地上からは追いついたレストの挟撃が天龍に一撃を食らわせんとする。

391ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:19:12 ID:qctHHCRw0
しかし、それより早くゼオライマーが天龍を庇うように彼女の目の前に転移し、『戦闘から一方的に逃げる』スキルを使用する。

「エスケイプ」
「!?」
「じゃあの」

復讐の一撃を放とうとした者を嘲笑うかのように、ゼオライマーと天龍は次元連結システムによって転移し、次の瞬間に狂信者の陣営に舞い戻っていた。
ドリスコルが使用したスキルは敵の攻撃そのものをキャンセルし、一撃離脱を可能にする『エスケイプ』。
味方が使うとヌルゲー化し、敵が使うとウザったいことこの上ない戦闘スキルである。
今の戦闘でそれを察したレストは舌打ちする。

「チッ、この嫌らしさは、単に欠点を突いてきた魔神皇の比じゃない」



狂信者陣営側に戻ったドリスコルと天龍。

「トラ、トラ、トラ。大成功だぜ」
「ああ、最初の奇襲は成功だ。厄介になるかもしれぬ氷竜の殺害にも成功した」

天龍が氷竜を最初に狙ったのは、彼の持つスキルであるミラーシールドを危険視したからである。
ミラーシールドはどんな攻撃も跳ね返す盾であり、最悪ゼオライマーの最大火力である烈メイオウ攻撃さえ自分たちに戻ってくる危険が有る。
単に跳ね返すだけならレストやフォレスト・セルにもできるようだが、レストは装備による自動発動、セルは自軍全域まで広げてしまうので、こちらが人質を盾にすると攻撃力が現象する。
氷竜はタイミングや防御対象を自由に選んで使用できるため、防御面では厄介ではあった。
だが天龍が持つオシリス譲りの能力により、相手からの魔法・罠・特殊効果を殺せる天龍によって氷竜のミラーシールドは発動することなく、抹殺を可能にした。

それでも高い火力は都庁には残っているのだが、三竜の最後の一匹が亡くなったことで士気と指揮力は減退。
高すぎる攻撃力も人質という肉の盾の前では生かせまい。
少なくともドリスコルは敵の攻勢を削ぐ簡単な方法を、イチロー戦で学習済みであった。

「人質の存在が、都庁同盟軍の攻撃を渋らせている。
尋問・拷問のためにギリギリまでクラウザーさんへの生贄に捧げなくて正解だった。
奴らを殺すには物量や質、策だけでは足りなかったのだ……一番必要だったのは心を抉るような卑劣さだ」
「狂信者で評判最悪の俺たちからしてみれば失うもんなんて何もないしなー」
「そうだな、さて、モブ狂信者どもの士気が高い内にゆるりと進軍させるか」

指揮官であるドリスコルの指示に従い、人質を盾にしながらロボット部隊が進軍を始める。
一方の都庁側は満足に攻撃できず防戦一方になるしかなかった。


「ダオスさん……どうしましょう」
「クッ……今までで一番辛い戦いになるだろうが……」

同盟軍の長であるダオスは苦渋の決断を迫られた。
大火力による攻撃は人質を殺してしまう、人質を無視すれば少なくともモブ狂信者のロボット軍団だけは一掃できる。
しかし、それをやってしまえば戦争で滅び、現代の苦境を招いた古代グンマー・古代ミヤザキと何も変わらなくなってしまう。

「小鳥、全員に伝達しろ。
人質は何匹いるかわからんが、流石に全部の機体に載せているわけではないだろう。
それぞれで役割を分担する。
レスト、ウォークライ、アルルーナ、カヲルは主軸になっている狂信者を優先的に狙え!
指揮官や隊長格を倒せば敵も混乱する。
その他の魔物は人質救助を優先し、範囲攻撃は使わずに肉弾戦のみで中のパイロットだけ殺せ。
私とまどか、セルと神樹は世界樹の防御に徹し、人質の救助が済んだら、一気に狂信者を殲滅する。
……それまで申し訳ないが、地上の部隊には一切の支援ができんとな」
「厳しい戦いになりますね」
「今は耐えてもらうしかない」

小鳥はスマホや伝令係の魔物を通して味方に指示を伝達。
ダオス、まどか及びセルと神樹は高出力のレーザーを敵ではなく、世界樹に直接降りかかる敵の攻撃に対して向けることで、世界樹への被害を無くす。

「奴らめ、撃ち落とした時の被害を考えてわざと低く飛んでいるな……煩わしい奴らめ。」

ゼオライマー、ホモのガンダム二機はあえて低空を飛んでいた。
レーザーで撃墜でもすればすぐ下にいる人質が巻き添えになるからだ。
そして、自分を含めて命の価値が低い狂信者は無遠慮に攻撃をしかけてくる。
地上でロボット軍団と白兵戦を繰り広げる魔物たちは苦戦を強いられていた。

「ファースト!」
「デュエル!」
「オールヒット!」
「ブラストショット!」
「フィックスDMGIII」
「マイナスショットIII!」
「エスケイプ!」
「ウィークポイント!」

『ぎゃあああああああああ!』
『こいつら、鬱陶しい!!』

392ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:19:53 ID:qctHHCRw0

モブだけを見た場合、地の能力では魔物側が何枚か上手ではあったが、狂信者側は人質を取ってる上に、ドリスコルから渡されたのであろう所持スキルの数々が、魔物たちの攻撃力を削ぐ。
攻撃の先制権はスピードに関係なく奪われ、連携が取れない一体一の戦いに強制的に持ち込まれ、回避力に関係なく全弾命中。
転倒させられて何もできず、200近いダメージがなぜか半分以下の80固定にさせられたり、ちょっとかすっただけで攻撃力を激減。
攻撃しては逃げられ、挙句まだある程度HPに余裕があるのに部位破壊させられる……そしてレーザーによる支援砲火ができなくなったので倒しても倒しても中々減らない。
戦闘やドラゴンハートで強化されたハズのモブ魔物が何匹も犠牲になった。

ドリスコルの引き連れた軍団はこれまで以上に能力やスキルだけで勝つのは難しい相手であった。
だが、魔物たちもただ黙ってやられるつもりはなく、苦戦しながらもロボットを範囲攻撃を使わずに戦闘不能に追い込み、パイロットを殺した後に人質を救助。
少しずつであるが、人質の魔物を世界樹の中へ保護することができた。


そんななか、ひとつの因縁の決着が今、始まろうとしていた。

「エヴァ初号機……それに乗ってるのはシンジくんなのか?」
「カヲルくん、君がそっち側にいるのが僕には理解できないよ」

白と紫のエヴァを通して銃を向け合う二人の少年たち。
本来なら親友になれた者同士が、敵同士としてとうとう戦場で出会ってしまったのである。

「カヲル、ひょっとしてあれに乗っている彼は君の親友の……」
「ああ。シンジくんの相手は僕に任せてくれないか?
彼の戦い方を知ってるのは僕だけだから……」
『すまん、ここは任せたぞ』

エヴァンゲリオンの相手は同じエヴァンゲリオンに任せ、レストたちはドリスコルや天龍を討つべく、追いかける。
氷竜を殺した艦むす、そしてこの攻撃部隊の総司令官と思われる男を倒せば、活路を見いだせるからである。



「人質の盾は防御としては有効……だが、これだけで決定打を与えるのは苦しいか」

ゼオライマーのコクピットの中でドリスコルは呟く。
確かにダオスやセルの攻撃は自陣営に全く届かず、モブ魔物にも被害を与えているが、都庁の世界樹を確実に倒し切るにはこれだけでは足りない。
反射能力無しでも圧倒的な防御能力を持つセル・神樹が世界樹を守る防壁となっており、遠巻きからのゼオライマーによる攻撃さえ防いでいる。
いくら天龍がスキル殺しの能力を持っているからとはいえ、単身で突っ込ませて殺させるほどドリスコルも馬鹿ではない。
グレートゼオライマー及び現状の狂信者では最大火力であろう烈・メイオウ攻撃を懐から浴びせれば確実な打撃を与えられるかもしれないが、些か博打がすぎる。

人質もいつかは全員奪還されて、狂信者が逆に殲滅される危険がある。
故に都庁軍が気づいていない水面下では別の作戦が展開されていた。

(ふッ……お膳立ては済ませたぞ、ゼロ、あとはおまえ次第だ)
「みんな……ダメ……この戦いは」
「うるさいメス豚は耳レ○プ」
「いやあああああああああああああ!!!」

ゼオライマーの中で再び意識が戻った次元連結システムもといカレンが何かを言いかけたが、ドリスコルが彼女の苦手なDMCの曲を音量いっぱいで流したため、誰にも聞こえず阻止された。



世界樹内部1F、そこにはさやかや彼女に従う魔物が負傷した魔物や人質の治療を行っていた。

『すまない、本当に助かった……』
「私にはこれしかできないからね、ただひたすら治すだけよ」

さやかはもはや、自分がまどかやほむらのように戦闘に向いていないことを認め、逆に戦闘で前線から離れられないまどからに変わって後方で回復魔法を振るっていた。
必死に治療し、激しい戦場にも関わらず魔物を安心させるために笑顔で励ますさやかの姿はまさにナイチンゲールのようだった。

(うッ……もうソウルジェムが真っ黒!)

しかし、怪我人が矢継ぎ早にくる環境では穢れが貯まるのも早い。
すぐに黒ずんだジェムが、外の戦いは地獄めいていると語っている。

『一番回復能力があるとはいえ無理するな』
『補給のためにフォレスト・セルに穢れを吸ってもらえ』
「ごめん。
こんな時に魔女になるわけには行かないしちょっとだけ離れる」

さやかは穢れを取るために一時的に現場を離れた。

「早く戻らないと……」

世界樹の入口、戦場から運ばれてくる魔物の数は増える一方。
それがさやかに焦りをもたらした。

393ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:20:18 ID:qctHHCRw0


そこで肩を支えあう、互いに傷ついた二匹の魔物と目があった。
オスと思われる魔物が、弱々しい声でさやかに語りかける。

『そ、そこの人間……俺の話を聞いてくれ』
「待って、今は他の仲間の治療が……」
『敵の、狂信者の作戦に関わる重大なことなんだ……』
「なんですって!?」

人質など汚い手を使ってきたドリスコルの部隊に、まだ奥の手があるのか。
それが本当なら早くダオスや皆に伝えないといけない。

『俺はもうもたん……おまえに情報を渡したい……もっと近くに……耳を貸してくれ』
「待って、治癒魔法を……ダメだ、ソウルジェムが持たない、クッ」

今にも死にそうな魔物だが、現在のさやかには回復できる魔力がない。
悔しい思いをしながらもせめて、死に物狂いで集めてきた情報だけは無駄にしないために魔物に耳を傾けた。



『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様は俺の命令に従え』


「イエス、ユアハイネス」


さやかが魔物「だと思っていた何か」はさやかが近づいてきた瞬間、両腕で頭を掴んで強引に目を合わせさせた。
そして見てしまったのだ、目の中の紋章――絶対遵守のギアスを。
さやかはこの瞬間から、このギアスの持ち主の兵士となってしまった。

『うまく侵入できたな』
『ええ、鮮やかでした。さすがお兄様!』

さやかが魔物だと思っていた二匹の正体はカギ爪団の現在の首魁であるルルーシュと義理の妹である深雪である。

(仕事をしないと評価が低かったサイコマンだが、彼の残した技術――オーバーボディの方は大いに役に立ったよ)

サイコマンが狂信者にもたらした技術、オーバーボディ。
二人は着ぐるみのようにオーバーボディで魔物に偽装をしていた。
偽装は完璧で少なくとも視覚や嗅覚ではそこらのモブ魔物と判別不能。
ちなみに負っていた怪我はそれっぽく見せた血糊である。



実はここまでの作戦は全部ルルーシュことゼロの発案である。
これまでの都庁と狂信者の戦闘経緯から、都庁同盟軍は仲間である魔物に対して「仲間意識」が強すぎること……言ってしまえば敵だけでなく味方にも向けるべき「非情さ」が欠如していることを見越していた。
おそらく戦況をひっくり返す核兵器的な奥の手もあると推測していたが、人質を取られればそれも使用不可。
そして人質を救助しようとして、偽装したルルーシュと深雪を内部に招き入れてしまうのである。

(ふふッ、奴らは気づいてませんね、助けた人質の半分はオーバーボディを纏ったカギ爪団の構成員と深海棲艦)
(しかも残り半分は、実際に都庁に合流できずにはぐれた魔物。
気づいたら気づいたで都庁内部は疑心暗鬼でパニックになる)

同盟軍が必死になって助けている人質の半分はスパイ。
今はルルーシュの合図を待って大人しく待機しているようだが、内部で暴れでもしたらどうなるだろうか。

(狂信者はかつてデスマンティスを使ってスパイ作戦を行ったが、肝心のスパイが私情に走り、後詰めの部隊は作戦もヘチマもない連中だったために失敗に終わった。
だが、今度は違う。
俺はただスパイを内部に入れるだけでなく、内部にスパイを作り出せる絶対遵守のギアスを持っている。
味方に甘い奴らが、この少女のようにただ操られただけの少女を撃てるかな?)

ルルーシュは心の中でほくそ笑む。

『おっと、作戦はまだ始まったばかりだ。
深雪は手はず通り、そのマスターボールでフォレスト・セルを捕獲しろ』
『はい、お兄様!』

作戦のプランの内には深雪が持つ、マスターボールによるセル捕獲がある。
このマスターボールはサーフによる魔改造を受けているため、持ち主がいても確実に捕まえることができる逸品。
スキルやステータスの高さはまったく関係なく何であれ捕獲可能。
何より都庁で最強の能力を誇るフォレスト・セルを捕まえてしまえば、トレーナーのレベルの都合でセル自体を操ることはできなくても都庁の戦力はガタ落ちし、世界樹陥落を容易にするという寸法である。
魔物に扮した深雪は背後からこっそりと忍び寄り、不意打ちで捕まえようというのだ。

『俺はこの娘に都庁の内部を案内させてもらう』
『危険ではないですか?』
『ギアスで洗脳できそうな奴を狙って兵隊を増やしていく、俺のことなら心配しなくて良い』
『敵地の中でなんと勇敢な……さすがお兄様!』

いつもの「さすおに」のやりとりの後、ルルーシュと深雪は一時の別れをした。
人質に偽装した狂信者仲間の手で巧妙に隠されたせいか周囲の魔物たちは、スパイが紛れ込んだことに気づいていない。

『さあ、俺を案内しろ、さやか』
「はい」

394ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:21:01 ID:qctHHCRw0



『……都庁には悪いが、テラカオスに纏わる必要な情報や資材を奪い、今後の役に立ちそうな人材以外は全滅してもらう。
ナナリーの蘇生のためにはどうしても犠牲がいる。
大災害を防げようとも、そのあとの世界にナナリーがいてくれないと俺はダメなんだ……!』

妹への愛に狂った男、ルルーシュの瞳にもまた、ギアスの他に松本と似たような狂気を孕んでいた。



【二日目 22時00分/東京都 新宿都庁世界樹】


【都庁同盟軍】
※全てを虜にする歌→鎮魂歌がカヲルの手によって作成されました
 楽譜は小鳥が預かっています


【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
※ルルーシュのギアスによって操られました。



【DMC狂信者 都庁侵攻部隊】
※モブ狂信者は人質を盾に侵攻しています。
 その人質の半分はオーバーボディで偽装したカギ爪団構成員&深海棲艦です。

【ドリスコル@フロントミッション】
【天龍(元オシリス)@艦隊これくしょん】
【道下正樹@くそみそテクニック】
【遠野@真夏の夜の淫夢】
【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン】

【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
※オーバーボディで魔物に偽装中。
※四条化した魔理沙の死体を道下から譲渡されました。

【司波深雪@魔法科高校の劣等生】
※オーバーボディで魔物に偽装中。
※魔改造マスターボールをドリスコルから譲渡されました。
 フォレスト・セルを捕まえる予定。

395 ◆hphChNhqkE:2019/07/15(月) 18:36:37 ID:1sfJCahU0
予約していた都庁と狂信者で投下します

396シシャの想い:2019/07/15(月) 18:37:51 ID:1sfJCahU0
ギャアアア!


じりじりと……


グオオオオ!?


じりじりと、都庁の魔物は押され始めていた。
如何なドラゴンハートの恩恵といえども、それはあくまで『強者』に対しての恩恵。
死線を潜り抜け、それでもなお歩みを止めずに戦いに身を置くものに送られる一種の祝福。

「ヒャッハー!」

今は亡き雷竜や裁断者に劣らぬほどの、強い想いがあったとしても。
名前も書かれない魔物は、そもそもの基礎の力に限界がある。
対して、狂信者の駆る兵器は機械である故に、確実に均等な強化ができるのだ。
ただの人間と魔物の皮膚を比べれば、魔物に軍配があがる。
しかしこれが兵器とであれば、今度は兵器の勝ちとなる。

そんな条件下で、人質を救いながら、数で劣る魔物が、勝てるかと言えば……無理なのだ。

「クラウザーさんの為の生贄になるのだぁ!」

ぐしゃりと、また魔物が潰される。
これでも魔物は遥かに善戦してはいるのだ。
指揮官であるドリスコルはともかく、その配下の兵達よりも魔物達は統率と連携がしっかりとしている。
逆に言えば、それのおかげで急速な瓦解を防いでいるだけとも言えてしまうのだが。



「くっ……!!!」



ダオスは、それだけで人を殺せそうな程の殺意を込めた視線を狂信者へと向ける。
人質さえいなければ、いますぐこの馬鹿な群れを消し飛ばしてやると言うのに。
雷竜、赤竜、そして氷竜……
魔物を統べていた長は、とうとう全員が命を落としてしまった。
もはやこの世界樹が抱える戦力は当初とは比較にならないほど減衰している。
それでも、退くわけにはいかない。退けないのだ。
もはや魔物達のためだけでなく、世界の命運を自分達が担ってしまっているのだから。


それなのに……


「私は、なんのために……!」
「ダオスさん、堪えて……!」

震えるダオスを小鳥が窘めるが、小鳥とて腸は煮えくり返っている。
このままでは待つのは――緩やかな死だ。

397シシャの想い:2019/07/15(月) 18:38:54 ID:1sfJCahU0
――そんな時、ある転機が訪れる。


「……」

「レスト?」


転移の魔法でやってきたのは、前線の最後の壁とも言えるレスト。
押されてはいるが、彼自身には怪我はない。
夥しい量の狂信者の血を浴び、その表情を窺い知ることはできない。


「ダオスさん。このままでは……」
「わかっている! だが……!」


「――、――。――――。――!―――!!!」


「「!?」


彼の口から出た言葉に、ダオスも小鳥も、避難していた魔物も全てが面食らう。
怒号と激しい戦闘音にかき消され、狂信者には聞こえていないだろう。


「――の件がある以上、ここだけは絶対に素早く勝たなければなりません」

「そして――の為にも、一刻も早く――するしかない」


提案された案。
それはすぐに承認できるものではなかった。

だが……彼らは多くの者と約束をかわしている。
みんなが帰るべきこの場所を、守り抜くのだと。
今も戦い続けている影薄と聖帝、散っていった多くの魔物のためにも。
そして、最後に希望を託してくれたノーデンスの為にも。


「……わかった」
「ここにいない、他の魔物にも伝達しておきます……」

やがてダオスと小鳥は頷いた。
遅れて、魔物達も。


「ありがとうございます。それじゃあ――いきますね」


タンと勢いをつけ、レストは世界樹の天辺から飛び降りた。


――

398シシャの想い:2019/07/15(月) 18:39:40 ID:1sfJCahU0
ピイイイイイイィィィィィィィ!




突然、戦場に高い音が鳴り響く。
その音に一瞬だけ狂信者の動きも止まるが、本当に一瞬だけだ。
大勢に影響はない。


「――総員、退却!!!」


しかし、その音を聞いた瞬間に最前線で奮戦していたアルルーナが全ての魔物に退避の指示を出した。
今のは鳴き声。世界樹内にいるワイバーンの、緊急退却を報せる鳴き声だ。


「……これがきたということは、そういうことなのかしら……?」

僅かに悲しげな表情を浮かべるアルルーナ。
そんな彼女の傍に、空よりレストがやってきた。

正しくは、降ってきているというべきか。


「アルルーナ、念の為衝撃に備えて!」
「りょ、了解ですの!」

ぐぐっとアルルーナは耐ショック体勢を取る。
今の一言で、彼女は全てを理解した。





「 グ ラ ン ド イ ン パ ク ト ! 」





天辺からの落下速度も上乗せされた、かつて狂信者の一団をまとめて封殺した大震撃が辺り一帯を襲う。
その破壊力はかつての比ではなく、範囲もより広くなっている。



当然、直後に吹き上がる衝撃波――破壊の力も、段違いに。
そしてこの技は――味方以外の視界に入る生物を無差別に襲うのだ。
それはつまり……

399シシャの想い:2019/07/15(月) 18:40:41 ID:1sfJCahU0
「ひ、人質がいるのにぎゃぼぉ!?」

ある狂信者は言葉を言い切る前に、機体ごとバラバラに吹き飛んだ。
当然、機体に張り付けていた人質も同じく。



「く……ま、まさか連中が……!?」


ゼオライマーに乗るドリスコルは射程外にいたため無傷。
しかし離れていたからこそ、今の一撃で着弾地点からの円範囲がごっそり吹き飛んだのだということはわかった。
まさか、こうもはやく仲間を切り捨てる様な真似をしてくるとは流石のドリスコルも想定外であった。

「ふん、所詮は獣か。自分達の命と仲間の命を天秤にかければ当然なのかもしれないがな……」

敵の選択を嘲るドリスコル。
しかし、彼の頬には冷や汗が流れていた。
今回の作戦は、人質を用いての高火力技を封じるもの。
本来の殲滅担当でない男の一撃でアレなのだ。問題のダオスやフォレストセル達も同様に動くとなるとゼオライマーも流石に危ない。
元より人質は防御のための時間稼ぎでしかなかったが、ここまで早く破られてはゼロの計画も実行しきれないだろう。

「ん?」

そんな時、ドリスコルは目の前の惨状に僅かな違和感を感じた。
吹き飛んだ狂信者と人質の中から、無数の淡い光が立ち昇ったかと思えば空に吸い込まれるようにして消え去ったのだ。

「なんだ? あれは――」

「……!? まさか――」

そして違和感を覚えたのは、大震撃を放ったレストも同じくであった。
追撃を取るはずであった彼は、その違和感から大きく動きが鈍る。
そして彼は――その場から退いた。
ドリスコルのスキル程万能ではないが、拠点への即時帰還魔法『エスケープ』

「奴め、再び落下速度を上乗せした攻撃をしかけるつもりか……?」

ドリスコルは、僅かに警戒の色を強める。
敵が人質も気にせず、広範囲の攻撃技を使うとなると少々攻めがたくなる。
いくら自分と天龍がいるとはいえ、敵もまた規格外な連中が何人もいるのだ。
人質(潜入員)をもう少し活用しなければ、策は完全には機能しない。

狙うは、転移帰還からの攻撃への動作にある程度の時間を要するという点。
そして世界樹からの落下攻撃である以上、距離を置けば被弾はしないということ。
冷静に、そして冷徹にドリスコルは部下達に次の指示を出していくのであった。




――まさか人質作戦の裏の目的に薄く感づかれたとは、夢にも思わずに



――

400シシャの想い:2019/07/15(月) 18:42:16 ID:1sfJCahU0
「――人質にされた魔物の中に、人間が混ざっているだと!?」
「!!」

「ええ……天に還ったルーンの数が少ないことに加え、半数はバラバラになった『死体』が残っていましたから恐らくは」


再び世界樹の天辺に戻ったレストは感じた違和感をダオス達に伝えた。
何故そんなことがわかるのか。それはそもそも彼が持ち出した攻略手段に起因する。


「……先程もお伝えしましたが、僕らアースマイトの扱う『タミタヤ』の魔法は不殺の魔法です。
 これを宿した武器で倒された魔物は死体を遺さず、その全てを生命のルーンへと変えて一度天に還る。
 やがて魔物の魂は楽園とされる始まりの森ですごした後、いずれまたその姿で転生して現世に再臨する。
 正直、蒼に歪められたこの世界じゃこのサイクルが今も完全に機能しているかは怪しくて使いたくなかったんですが……」

渋った表情のレストに対して、ダオスはまだ言葉を返さない。
こと大地の生命の扱いに長けた彼らの一族の魔法は、自分の専門外でありこの状況下では指図もできない。
苦痛を与えずに楽園に送り、同様の姿で転生……一時的にこの世を離れる不殺といったことなのだろう。
しかし確かに黒き獣の攻撃がある今、魂とて安心はできないのも間違いない。

「とりあえず、ルーンが天に還った……タミタヤそのものは機能したのは間違いありません。ビッグサイトに吸収もされていない。
 それなのに、死体が残ったものもある……つまり、魔物じゃない存在がいたということになります」
「ど、どういうことなの?」
「タミタヤの不殺の効果があるのは、あくまで魔物やそれに準ずる存在だけ。人間相手には全く効果がないんですよ」

ぞっとするような言葉を聞き、小鳥は震えあがる。
魔物のフリをした人間がいる。つまりそれは……

「しかし、魔物達も馬鹿ではない。いくら皮を被り偽装したところで人間の臭いはごまかせないのではないか?」
「はい。だから僕も気になって、こうして戻ってきたんですが……」
「あっ……!?」
「ど、どうした小鳥!?」

そんな時、今度は小鳥が叫び声をあげる。
嗅覚に魔物に気付かれないほどの偽装――自分達も使ったではないか。


「――オーバーボディ! スニゲーターさんが言ってた……オーバーボディさえあれば都庁でも姿を偽れるって……!」
「っ! フェイが着ていたあれか!」


今は亡き悪魔騎士スニゲーター。
彼は最初、都庁に向かうための策としてオーバーボディを提案していた。
事実フェイが機械であることは脱ぎ捨てるまで、氷竜にすら気がつかれなかったほどの高性能っぷりだ。

「……敵に超人がいれば、あるいは超人から奪えば可能性はかなり高いな」
「で、でもそれだと……」
「おのれ……デスマンティスとラージャンと同じく内部工作をするつもりか……」

ダオスは小さく舌打つ。
この件を伝えれば、少なからず魔物間にも動揺が奔るのは間違いない。
まさか世界樹内の魔物にまでグランドインパクトを撃ちこむわけにもいかないだろう。
既に救助と言う名の潜入を許しているとなると、取れる対策は限られてくる。

「……まずは救助者全員を固めて見張るべきだな」
「そうですね。魔物から恨まれる覚悟は決めていましたがこれは……それと、さっきのもう一件の方ですが……」
「……気になるところではあるが、おおよその察しはついた。件の敵は――被害が広がる前に処理して問題ないだろう」
「わかりました……!」

――

401シシャの想い:2019/07/15(月) 18:43:25 ID:1sfJCahU0
……


「死にたくなければ、お下がりなさいな!」
『うるさい羽虫どもだ!』

華の女王アルルーナは、そのしなる蔓で次々に狂信者を蹴散らしていく。
叫帝ウォークライはその牙と爪でヨロイを砕き、できた残骸を敵パイロットに投げつけてさらに倒して行く。
地上は彼女が、空中はウォークライが。
たとえ彼女らの主と離れていても、しっかりとした連携で狂信者の進軍は阻まれていた。


『おいアルルーナ、さっきの主のあの様子は……』
「何かあったのでしょう。……盾にされていたあの子達が穏やかな顔で天に還って行く中で……苦悶の表情で息絶えた子もいた……」
『主の魔法は、ゲートリジェクト以外は完璧に機能する筈だ。そこに何かありそうだが……』
「考えるのは私達のすべきことではありませんわ。レストさんが戻られるまで、私達でこいつらを蹴散らすわよ!」
『おうっ!」



「やるじゃねえか。だが、世界水準軽く超えている俺を止められるかな……!?」



しかしそんな二人の前に、天龍が凄まじい速度で駆けよってくる。

「くっ……!?」

僅かな水でも、水上であればその機動力を格段に向上させる艦むす。
対する守りの要であるアルルーナとウォークライは、能力こそ極めて高いがそれは攻撃と防御面の話。
機動力という面では、水を得た天龍には遠く及ばない。

『おのれっ!』
「ふふ、欠伸がでちまうな。どうだ、俺が怖いか?」

振り下ろされる爪もなんなくかわし、翻した刀でウォークライを切りつける天龍。
強固な鱗ではあるが、天龍の刀はそれにさえも傷をつけていく。




「ふむ、これであの二体は始末できそうだが……」



離れた場所で、ドリスコルはなおも戦場を見渡していた。
あの大型の竜と植物女さえ葬れば、もはや都庁が抱えている戦力たる魔物は全滅したと言っても過言ではない。
最後の壁としてあの巨大な触手と蕾の化け物がいるが、連中も恐らくは速度に難がある。
魔王は雷が弱点であるというし、プロトンサンダーで処理が可能だろう。
それでなくとも、戦局を見誤りさえしなければ烈メイオウで勝ててしまう。

しかしここで、彼は再び予想外のものを目撃することとなった。

「なにっ!?」

402シシャの想い:2019/07/15(月) 18:44:04 ID:1sfJCahU0
世界樹を護衛する形で立ち塞がる歪みし豊穣の神樹。
彼は徐にその蔓を動かしたかと思えば『何か』を投擲したのだ。
そしてそれの正体はすぐにわかった。
先程撤退した筈のあの男。
今度は『落下』ではなく仲間の援護を借りてより強力な『弾丸』として放たれたのだ。
圧倒的な巨体かつ精密な投擲が可能な神樹ならば、視界内の狙った場所に確実にその弾丸を撃ちこめる。
神樹が狙った場所、それはゼオライマーに乗るドリスコルではなく……


「ウォークライ! 全力で上に飛んで!」
『こ、心得た!』


一瞬のやり取り。高速飛来する主人の命を受けてウォークライは上空へ飛び上がる。

――狙われたのは天龍だ。


「はっ! 対空能力が無いと思って油断したか!? 多少はマシだが、その速さじゃまだ俺は――」


驚異的な能力で即座に飛来してきたレストに照準を合わせる天龍。
しかしその瞬間、突然彼女はがくりと膝から崩れ落ちた。

「――え? なん、でだ……?」

攻撃は受けていない。
それなのに突然、動きが鈍った。世界水準を超えている筈の自分の機能が……オシリスの能力さえもが、機能しなくなっている。

「……天龍。そして、氷竜さんが亡くなる直前に呟いた名……君に『混ぜられた』命は……」

「一度眠れ『オシリスの天空竜』。その想いは僕らが、君の仲間であるイチリュウチームが引き継ぐ……!」


レストが振りかざしたのは、世界樹の剣にあらず。
――絶対の竜殺兵器『天羽々斬』に自身の持つ竜殺の禁術『ドラグキャリバー』を上乗せしたもの。
上位神であるアイオトやノーデンスすら、この力の前には対峙も許されない、対竜の極致攻撃。
オシリスの力を継いでいるからこそ、天龍はその凶悪な破壊力と特殊能力を封殺する光に晒されてしまったのだ。


「お、俺はロリに――」


青く光り輝く巨大な刃は、天龍に触れると同時に彼女を硝子細工のように粉々にしてみせた。
そこから天へと昇って行く二つの魂を見つめながら、レストは天羽々斬を仕舞い、元の世界樹の剣を握りしめる。
切り札をいつまでも敵の目に晒すわけにもいかない。

【天龍(元オシリス)@艦隊これくしょん】消滅確認
※肉体が消滅し、天龍とオシリスの魂がそれぞれ還りました。その後どうなるかは不明


――

403シシャの想い:2019/07/15(月) 18:44:33 ID:1sfJCahU0
「く……! おのれサーフ、やはりあてにならぬ男だ……!」

ゼオライマーの中で、ドリスコルは拳を叩きつける。
折角回収したオシリスを使った天龍が、ああも容易く破壊されるとは。
だが無理もないかと、同時に理解も示す。
ドリスコルはそれほど詳しいわけでもないが、竜殺剣に対する知識もあった。
というよりも既に過去に目にしている。そう、サーフがセルベリアに手渡したあれだ。
あの剣も奴が作ったのだとして、それほど深い知識を持つわけでもない自分でも一目でわかる圧倒的な武器性能差。
この二点から、ドリスコルはサーフに対する信頼を下の下まで下げていた。
やはり、自分の方がオシリスを有効活用できたのではないか。

(いや、今考えるべきことはそれではない……)

しかし苛立ちはすぐに抑え、残された彼は再度戦況を把握する。
天龍が敗れたのは予想外ではあったが、彼女は既に厄介な氷竜を奇襲し抹殺する任務は遂行している。
確かに敵の竜殺剣は想像を絶する威力の様ではあるが、その効果は竜の類を相手にして初めて真価を発揮する。
つまりはあれも竜以外であれば、ただのでかいよく斬れる頑丈な剣止まり。
フットワークと分身があれば、かわせないことはないのだ。
ここまできたのであれば仕方がない。
最も厄介なフォレスト・セル達の処理はゼロに任せるとして。
前線を維持するあの三人だけはこの手で始末するしかない。
下手に世界樹内に引っ込まれては、ゼロ達も動きにくくなり作戦成功率が低下する。
物理攻撃をメインに据えている連中であれば、自分とゼオライマーにとっては相性がいいのだから。


「……行くか!」


まずはエスケイプを用いた、ヒット&アウェイで削りつつ――



「――魔物以外には容赦はしないよ。タミタヤ抜きで、ここで土になれ!」
「なっ!?」



いつの間にか、剣を構えたレストがゼオライマーの背後へと回り込んでいた。
敵との間合いを詰め背後に回り込む彼のスキル縮地法の効果なのだが、ドリスコルは知る由も無い。

「『フットワーク』『分身』……っ!」
「ちぃ!」

しかしそれでも冷静にドリスコルは鉄壁の布陣でもって背後からの奇襲を回避する。
千載一遇のチャンスを外したレストは忌々しげに見つめるが、その目はまだ死んではいなかった。

「まだだっ!」
「無駄だ!」

返す刃による連撃。
しかし物理攻撃である以上、通常手段ではゼオライマーに当たることは無い。
再び回避され、ゼオライマーは飛び退いた。



「――かかったね」
「!?」

404シシャの想い:2019/07/15(月) 18:44:59 ID:1sfJCahU0
「――セルちゃん! 『エンタングルレイ』!!!」
「ニシャビーム!」




ゼオライマーが回避した先は、丁度フォレスト・セルと視線がかち合う位置であった。
その瞬間、フォレスト・セルはおぞましい眼を見開き、怪光線をゼオライマー目がけて発射した。
エンタングルレイ……世界樹を旅するボウケンシャ―をもつれさせて雁字搦めにするフォレスト・セルの魔光だ。
常時アクティベイトモードとなっている彼のエンタングルレイを受ければ、頭も腕も脚も、その全身を絡め取られ一切の抵抗ができなくなるだろう。



「うおおおおっ!? ――!」


「「え?」」



予期せぬ奇襲に僅かに焦るドリスコル。
しかしそれは一瞬。即座に冷静にして冷徹な判断を下す。
すなわち――近くを飛んでいたホモ二人を盾にしたのだ!
哀れ、光に絡め取られた二人はホモ団子となり地表へと転がされた。


『――ついに、スキル以外の回避行動をとったな!』
「な、貴様……!」


しかし追撃の魔光をかわしたと思ったところへ、さらに予期せぬ奇襲。
上空高くに退避した筈のウォークライによる急降下攻撃。
ゼオライマーの装甲はそれでも破られることはなかったが、密着を許してしまった。

「う……なんだ、この赤紫色の花は……!?」

やがてゼオライマーの全身に赤い毒花・フロワロが咲き誇る。
世界樹の加護を得ている魔物達には効かないが、そうではないドリスコルには有毒だ。
機内にも無遠慮に咲き誇るそれは、ドリスコルだけでなくゼオライマーの機能を弱体化させる。
だが、これが本命ではない。フロワロはあくまで注意を逸らすための時間稼ぎ。


『……クラウザーなんぞより、俺の『叫び』を聞けえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
「ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」


機体を貫通する音の暴力と振動。放たれるは、叫帝最強奥義・タイフーンハウル。
圧倒的なシャウトで聞いた者の全身を痺れさせ――『全てのスキルを使用不可』にさせることができる雄叫びだ。
全ては、この攻撃をゼオライマーに確実に当てるための同盟軍の作戦。
それを悟りこそすれ、今の一撃でドリスコルの耳は完全に破壊されそれどころではない。

(ク、クラウザーさんが……クラウザーさんの歌が聞こえない……?!)

それは、なによりも大切な死活問題。
敬愛し渇望するクラウザーさんの歌を失うことは耐えがたい。
そしてその狼狽はさらなる隙へと繋がっていく。

405シシャの想い:2019/07/15(月) 18:45:23 ID:1sfJCahU0
「よくもやってくれましたわね、このガラクタが!」
「面倒くさいスキルさえ使われなければ、装甲の程度はきらりんロボ以下だっ!」

アルルーナとレストが怒りの形相で回避能力を失ったゼオライマーを解体しにかかる。
素手に無数の蔓でバキャバキャと豪快な音を立てて破壊されていくが、目的はゼオライマーそのものではない。

「うっ……」
「――太古の呪粉」

引きずり出されたドリスコルの顔面に、世界樹の呪いが吹きかけられる。
与えられた異常は『盲目』
石化や混乱に比べれば遥かにマシなものなのだが、今ばかりは状況が違う。
タイフーンハウルで聴力を破壊され、続けて視力を奪われて。
今のドリスコルは、敵地の中心で『見えないし聞こえない』という恐ろしい状況に追い込まれているのだ。

「よし、とどめを――」
「お待ちになってレストさん。このニンゲンには、最も屈辱的な罰を与えてやりますわ……」

とどめを刺そうとするレストを制し、アルルーナは実に冷酷な笑みを浮かべる。
そして直後、蔓で縛り上げたドリスコルを――投げた。
投げた先には――待ち構えているフォレスト・セル。
当然、ドリスコルはそれが見えない聞こえない。


「にしゃあ……(貴様は――堕ちろ)」


仮に聞こえていたとして、フォレスト・セルの言葉を完全に理解できるのはまどかと同族の神樹のみ。
フォレスト・セルはドリスコルを口に放り込み……

「お? 処刑開始ってか。いいぜ、こいつらの道具も利用させて貰おうじゃないか」

神樹は飛び回っていたマシンから引きはがした拡声器――クラウザーさんの歌を拡散させていたパーツをセルの口元へ添える。


そして――治療ではない。
マーラ様さえ戦慄した『本気のフォレスト・セルのテクニック』が披露されることとなる。


(な、なんだ!?)


闇の中で、ドリスコルは自分の衣服が全て破り捨てられたことを知る。
そして股間部と尻穴に感じる――おぞましい感触。

(ま、まさか――この私をレ○プする気なのか――!?)

恐怖は一瞬。



『あ゛あ゛あ゛あ゛ ?! アアアアアアアアア―――ッ?!?!』

『やめ……耳から脳オッホオオオオォォォォォーッ?!?!』

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ ショクシュッンギモチイィィィィィィ?!?!』

『イギダクナイッ! モウイギタク……イガゼテクレェェェェェェァァァァァァ?!!?!?』

『イイ! クラウザーニレ○プサレルヨリモイイノォォォォォォォォォォ!??!?!?』

406シシャの想い:2019/07/15(月) 18:45:46 ID:1sfJCahU0
フォレスト・セルから漏れ聞こえる断末魔は、神樹の用意した拡声器で大音量となり辺り一帯に響き渡る。
あまりにもおぞましい惨状だが、クラウザーさんに心酔してきた彼が、大衆の前でよがり狂い、快楽の前に屈し
クラウザーさんへの忠義を圧し折られながら死んでいくというのはこれ以上ない屈辱であろう。
フォレスト・セルは迅速にかつ徹底的に、ドリスコルの魂の根底まで凌辱していく。
たとえ転生できたとして、クラウザーさんのことなど二度と思い出せないくらい。転生直後から触手を求める淫乱になるくらいに。

『あ――』

やがて膨大な快楽の中、肉体の限界を超えた射精を続けたドリスコルは何かがぷつりと切れてそのまま動かなくなった。


【ドリスコル@フロントミッション】死亡確認


『な、なんて恐ろしい処刑だ……』
「凄いな、敵部隊も流石にドン引きしたのか統制が乱れている……」
「世界樹の怒り、思い知りまして!?」


前線部隊の三人は、この狂信者の指揮官がこと切れたことを確認して大きく息を吐き出す。
アルルーナのみ勝ち誇った様子であったが、唸る彼女の触手のような蔓をみればなんとなく察することができた。
とにかくこれで、大きな犠牲を払いつつも厄介な相手は倒すことはできたのだ。残るは――



「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!?」


そう考えた彼らの目の前に、ボロボロになったエヴァ初号機が吹き飛んでくる。
飛んできた方角を見れば、ダメージを負ってこそはいるがしっかりと大地を踏みしめるエヴァ4号機の姿がそこにあった。

「シンジ君……」

寂しげなカヲルの声が漏れるが、その眼はしっかりと前を見据えていた。
とても大切な友を、この手で討ちとるという覚悟が既に出来ていた。

「カヲル君……」

換装された初号機とロンギヌスを持たない4号機とでは、本来ならば初号機に分がある。
しかし二人の明暗を分けたのは、心の強さであった。
バサラや多くの者の想いを引き継ぎ、そして先程は小鳥との大切な約束を交わしたカヲル。
カギ爪の男の思想に同調し、同志の為にと戦い続けてきたシンジ。
しかしシンジのそれはいわば盲信。バサラの代わりではなく自分の歌を届けると決め前に進むカヲルとは違う。

「僕が死んでも、カヲル君の心の中で生き続けられるのかな……」
「……ああ。忘れないよ、シンジ君のこと。いつかまた……」
「……うん」

その瞬間、確かに二人の少年は小さな笑みを浮かべる。
そして直後、未練を断ち切るかの如く4号機の拳は振り下ろされ、踊らされた少年の命を奪い去った。


【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン】死亡確認

407シシャの想い:2019/07/15(月) 18:46:10 ID:1sfJCahU0
「……どうやら、そちらも片付いたみたいだね。あの男の気色悪い声は嫌でも耳に残ったけど」
「カヲル君、あなた……」
「……僕は大丈夫。まだ、やりたいことが、やらなければならないことがあるからね」
「そうだね。悲しむのは、全てを乗り越えてからだ」
『天龍、ゼオライマー、そしてエヴァ……敵主力はこれで潰せたか?』

都庁の前線組は再度集まり、状況を確認する。
また多くの命が失われた戦い、しかしだからといって立ち止まる猶予はもうない。
悲しみを乗り越え、そして生き残った彼らは辺りを見回し、改めて敵主力の撃破を確認する。




――その安堵の一瞬




「――っ!」


「なっ!? 速い……っ!?」


『黒と白』の影が、高速で彼らの横を過ぎ去っていった。
レストのみその敵影を捕えて剣を振るうが、当たることはない。
その恐ろしい速度は先程倒した天龍に匹敵するほどだったのだ。

『水上移動……!? まだ艦むすがいたのか!?』

剛火球をウォークライが放つが、着弾前に敵は遥かかなた――世界樹へと接近していた。
そして彼らは知る由も無いが、敵は艦むすとは似て非なる者――深海棲艦。
その中でも特に強い力を持つ人型、『姫』と呼ばれる種であった。

「ま、不味い! みんな、乗ってくれ!」

ドリスコルの断末魔で戦場は混乱状態。
レストの転移魔法では全員を運べないため、カヲルはエヴァの手に全員を乗せると全速力で世界樹へと駆け戻る。

しかし、間に合わない。
指揮官を失ったというのに、敵は一直線に世界樹を目指している。
まさかこれも敵の策だったのか。
主力を倒したと油断したところを、奥の手で一気に大将首を取る算段だったのか。

「間に合ってくれ……!」

歌だけでは意味がない。
巫女も器も、そして予言とは関係ないが仲間をこれ以上失うのは嫌だ。
カヲルはただ駆ける。




――

408シシャの想い:2019/07/15(月) 18:46:32 ID:1sfJCahU0
「くっ!?」

「ライオットランスの雨が、掠りもしねぇだと!?」


異変は世界樹を防衛していたダオス達にもすぐ察知できた。
幸いなことに大部隊は先程の攻撃で数を減らし混乱状態。
単騎相手であればダオスも神樹も迎撃ができる。

しかし、彼らを持ってしても深海棲艦は止められない。
敵は単騎、しかし攻撃行動を全て放棄し、ひたすらに直進してきているのだ。
魔物が群がろうとするが、高速進軍で寄せ付けない。
天龍の様に魔物を斬り伏せようともしないため、被害も無いがその分侵攻されるのが早い。

「にしゃ……」

ドリスコルの死体を捕食しながら、フォレスト・セルも迎撃を考える。
かなりの速度、一度セルメンブレンを展開し様子を見るべきか。
しかしまずはまどかの指示を待とう。



「あの人……」



そんな緊迫状態の中、まどかだけは反応が違った。
圧倒的な速度で迫る深海棲艦。その眼を、まどかは離れていながらに見てしまった。


「――泣いて、いるの……?」


身体に纏っているのは重々しい力だと言うのに、その深海棲艦は哀しげな眼をしていた。



「どうして……っ!?」



その時、ずきりとまどかを頭痛が襲う。



『――! ――!』

『―――!』


「何、これ……? セルちゃんの時と同じ――過去の、記憶……っ!?」



――

409シシャの想い:2019/07/15(月) 18:46:56 ID:1sfJCahU0
――――
―――
――




森奥で、青年が少女を庇いながら剣を振っていた。


「勝利を! 提督に!」
「今日こそいくネー! バーニング、ラ〜ヴッ!!!」
「お姉さま、援護しますっ!」
「計算通りなら、これで……!」


それに襲い掛かるは、揃いの衣装に身を包んだ娘達。
彼女達は相手を取り囲むと同時に、一斉に砲撃を開始する。
激しい轟音が響いたあと、そこには……

「ふん、この程度で僕の守りが破れるか! 巫女には傷一つつけない!」

無傷の青年と、巫女と呼ばれた少女が立っていた。

「シット! 私達四姉妹の連携でも駄目ですか……!」
「作戦失敗、ですね。総員、退却! 本営に戻り次の策を練ります!」
「殿は、私達が!」

その光景を見た四人は勿論、彼女達が引きつれていた部下達も慌てて逃げ出していく。
作戦失敗、撤退。悔しいが怪我人が出ていないのはよかったと、逃げながらに彼女達は考える。
殿の4人は自分達よりもずっと強い。遅れても、必ず戻ってきてくれると信頼していた。
だからこそ淀みなく迅速に撤退は行われた。



――それ故に、彼女達は知ることはない



「いやー、さすがデスネー!」
「私の計算では、一応一発は当てるつもりだったのですが……」
「やめてくれ。もし彼女に当たったらどうするつもりなんだ?」
「まあ貴方もですけど、そちらの巫女様もお強いですからね! 大丈夫です!」
「そ、そんなことないですよ。私なんて愚図で鈍間で……」
「謙遜はノー! 私達はこれでも姉妹全員が巫女候補のエリートなんですからネー?」
「特にこの妹は見るネー! 紅白色の服は最上位巫女の証デース!」
「そ、そんな。お姉さま方を差し置いて……」


戦争のど真ん中で。八百長が行われていたなどと。
グンマ―とミヤザキの巫女が秘密裏に友好的な関係を築いていたなど、知ることは無い。

410シシャの想い:2019/07/15(月) 18:47:21 ID:1sfJCahU0
「さて、一仕事終えたらティータイムデース!」
「一仕事って、僕に弾撃ちこんだだけだけどね。そっちの弾薬残数って大丈夫なの?」
「問題ありません。元よりあなたには効かない想定でしたので、コストのかからない偽物ですよ」
「よ、よかった。資源が減り過ぎたら、そっちも大変だもんね……」
「戦争なんてろくなことないですよ。司令もいい加減うんざりだって言ってましたし」
「……正直、僕らもそう思うよ。艦むすも魔物もまだ小さい子まで戦いに送り込んだりするだなんて……」
「グンマ―もミヤザキも、もうへとへとです。どうにかして、せめて停戦が結べたらよいのですが」
「……大丈夫。だって、私達がこうして仲良くお茶を飲めているんだもん。きっともうすぐ……」
「そうなったら、どれだけ良いことでしょう。平和になれば、もっとあなた達ともこうしてティータイムも楽しめるかな……」


紅茶を飲みながら、両国の巫女は笑いあう。
まだ明かせない、秘密の茶会。
その時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。


「……名残惜しいですけど、そろそろ戻らないとですネ」
「司令も今、上層部に掛け合っているそうですし、これで次はもう少し落ち着けるといいですねぇ……」

「それじゃあ、皆さん。また……できれば、今度こそ戦場じゃない場所で」
「はい!」



……



「そうか、やはりグンマ―の巫女と盾も……」
「はい。提督と同じく、この戦争には反対の様ですが……」
「上からの圧力か。しかしグンマ―でも力を持つ巫女と盾が戦争に否定的なのは私としても嬉しい限りだな」

拠点に戻った四姉妹は、自身の指揮官に対して報告を行っていた。
白い服の男は報告を聞き喜びつつも、しかし同時に苦い顔もして見せる。

「提督?」
「……停戦を結ぶなら、急いだ方がいいかもしれん。実はとある提督が、大規模作戦の為これから建造する艦むす全てに対する
『提督への絶対忠誠プログラム』を埋め込むことを立案していてな……」
「「なっ!?」」
「他にも色々と埋め込むつもりらしいが、要は君達のように自分の意思で考え行動し、時に提督に意見することもできなくなる……
 艦むすを完全に兵器としか見ていない過激派連中が増長するのは明らかだ。そうなればもう、グンマ―との停戦は――」


提督と呼ばれた男は、次の瞬間その白い服を己の血で染め上げていた。

411シシャの想い:2019/07/15(月) 18:47:47 ID:1sfJCahU0
「て、提督っ!?」


「ヒャハハ! 悪いがそのカスはもうご退場。今日から俺が新しい提督だ。宜しく……って言いてぇところなんだが。
 お前達みたいなのが出てくると戦争が上手く回らないからな。――旧型は全員、解体処分ってかァ!?」

「「艦ムス……コロス!」」

「なっ!? こいつらは……うぐ!?」
「黒い、艦むす……!? くぁ!?」
「……っ! 逃げて! そしてあの子達に、このことを――」

如何に強者とはいえ、多勢に無勢。
新たに現れた男が引きつれていた軍勢は、あっという間に三人を呑みこんだ。

「あ、あぁ、そんな……提督、姉様……」
「ん? なんだテメェ。その格好、巫女か? 流石に解体処分は勿体ないかもしれねぇな。なら――こいつで、このバケモノ共の仲間入りでもしてもらうか」
「な、何をする気ですか!?」
「コイツらは深海棲艦っていってなぁ。提督の言うこと聞かない旧型艦むすに悪魔化ウイルスを撃ちこんだら偶々できた産物だが、
 これがなかなか使えてよ。艦むすより遥かに強くなるし、止まらない破壊衝動で敵も躊躇なく殺せる。そして一番の利点は……
 ――お前ら旧型でも提督の言うことに嫌でも従うようになるし、死んで水底に沈んでも再生が楽なことだ。勿論、再生は深海棲艦としてな? ヒャハハ!」
「っ! 嫌だ……嫌だ!」
「あん?」
「あの子と、約束したんです……! こんな真似、許しません……!」
「ああ、そうかい。健気な巫女様で。そんなくだらねェもんは、いっぺん死ねばすぐに忘れちまうのになァ? ――殺れ」

「く――ああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」

(わたシは……ツタえ、なきゃ……ミヤザキとグンマ―……ヘイワ……タメ…………)



――
―――
――――


「……っ!」

流れ込んできた過去の記憶に、まどかはポロポロと大粒の涙を零す。
世界樹と一つになっているからだろうか。それとも、目の前の深海棲艦の強い無念からなのか。
理由はわからない。それでもまどかはもう、この深海棲艦を殺せなくなっていた。


「テイトク、シタガウ……テキ、シズメル……!」


「まどか! 千樹の守りを!」


「――チ、ガウ、ミコ……トモ、ダチ……?」

迫る深海棲艦に恐怖することなく、まどかは世界樹の枝を伸ばす。
自身を守る為でなく――遠いグンマ―の記憶、果たせなかった約束を今度こそ果たすために。

「大丈夫だよ……もう大丈夫だから……」

世界樹は、慈愛の心で深海棲艦を優しく包み込んだ。

――

412シシャの想い:2019/07/15(月) 18:48:09 ID:1sfJCahU0
……

戦況は混沌としていた。
有能な指揮官であったドリスコルを失った狂信者の反応は様々。
一度ビッグサイトに戻るべきだ。
このままSATUGAIを続けるべきだ。
ちょっとフォレスト・セルに入ってみたい。
魔物も混乱していた。
退却命令に加え、前線を維持していた仲間もみな世界樹へと集まってしまった。
まさか追い込まれているのか。それを不安に思いつつも、彼らは命令に従う。
その間に、狂信者の一部は僅かに前へと前進する。



しかしこの時、予言の一節は一人の少年の手でより大きなものへと昇華されることとなる。



「カヲル君……!」
「小鳥さん、あなたとの約束は守れてよかったよ」
「まどかちゃんから、もう話は聞いているかしら? はい、これ!」

カヲルの手に、彼が書き上げた楽譜が戻ってくる。
必ず帰ってきて歌を取り返しにきなさい……小鳥とのこの約束は、カヲルに大きな力を与えていた。
何が何でも生きて戻る。その強き心の力が親友を討ち、それを失う痛みにも耐えることを可能としていた。

「……よし」

彼がいるのは、世界樹内でも特に広い一室であった。
生き残った魔物、世界樹を防衛している面々、そして助けた魔物も一塊となり全てが集まっている。
そして必至に腕を抑える深海棲艦と、かつてオオナズチから教わった魔法陣を描きその上に座るまどか。
そんな群衆を前にして、カヲルは静かにギターを持ち直す。

狂信者が迫っている。時間がない。
けれどどうしても、これだけは果たさないといけないという巫女の強い願い。
グンマ―の秘術でも駄目かもしれない。しかし垣間見た過去の記憶によれば、この深海棲艦は哀れな死者でもあるという。
――死者を弔う鎮魂歌。その可能性にかけて予言よりも一足早く、それはいきなり披露されることとなった。


(バサラ……みんな……シンジ君……僕は……)


「――どうか、聞いて欲しい。僕の、歌を……」



やがて、静かに演奏は始まった。


――

413シシャの想い:2019/07/15(月) 18:48:29 ID:1sfJCahU0
「にしゃあ……」

世界樹を防衛していたフォレスト・セルは確かにその歌を聞いた。
まどかの声とはまるで違うが、それでもとても哀しく死者を悼む気持ちのこもった歌。
まどかと世界樹以外に興味のなかった筈の彼でさえもが、その歌には不思議と惹かれた。


「な、なんだ……この歌は……」

世界樹に接近していた狂信者もまた、漏れ聞こえるその歌が何故かするりと耳に入ってきた。
クラウザーさんの歌以外、この世に歌と呼べるものはないと。そう思っていたのに。

「ク、クラウザーさん……」

どうして、聞いているだけで涙が出てくるのだろうか。
復活すると信じているのに、クラウザーさんの死を突き付けられるような、それでいてそれを哀しむような……
彼らは静かに泣きながら、いつの間にか攻め込むことを忘れていた。



(な、なんですかこの歌は……これは、耳を貸してはいけないやつです……)

そして密やかにフォレスト・セルに近寄っていた深雪もまた、この歌を聞いていた。
しかし彼女は素早く耳を塞ぎ、歩を速めた。
自分はお兄様から大役を仰せつかっているのだ。こんな妙な歌でしくじるわけにはいかない。
気を抜けば、思わず聞き入ってしまいそうな歌に抗いながら、やがてついに辿りつく。


(つ、ついに来ましたよフォレスト・セル……! 大きすぎて何がなんだかさっぱりですが、マスターボールなら無問題!)


どうやらこの歌は、フォレスト・セルにさえ影響をもたらしているらしい。
この様子なら、一瞬とはいえ反応が遅れるかもしれない。
願ってもいない、またとない好機だ。

(……大丈夫、相手は歌で集中力を欠いている……焦らず、確実に……)

マスターボールを手に、深雪は息を呑む。機をうかがい、そして……フォレスト・セルが瞬きをした時を狙い。


(今っ!!!)



――投げられたマスターボールは、ぶつかったターゲットを見事に一発で捕獲してみせた。

414シシャの想い:2019/07/15(月) 18:48:53 ID:1sfJCahU0
「――え?」


しかし、思わず深雪の口からは絶望の声が漏れてしまう。
マスターボールは、確かに捕獲成功した。それなのに、どうして。
どうして目の前にまだ、フォレスト・セルの巨体が健在なのか?



「――やはり、ですか。シルフカンパニーのマスターボールまで持ち出すなんて……」
「とんでもねえ野郎がいたもんだなおい?」
「!?」


その答えは、上から深雪に降りかかる声ですぐにわかった。

「魔物に化け、この子を捕まえるつもりだったようですけれど……甘いですよ?
 私もよくジムで居眠りをしている時に泥棒されかけましたが、そのおかげで、泥棒の特有の動きはよく把握しているんです」
「上から見るとあからさまに挙動不審だったな。俺ら含めて、この歌が気になってる時にその動きは嫌でも目立つぜ?」

どこか冷たさを感じるエリカと神樹の言葉。
計画がばれていた? それでは捕獲できたものはなんなのか?

「信じられないって顔してんな。答えはそのボールの中だぜ?」
「っ!」

状況を把握しきれていない深雪は、思わずマスターボールを開く。
フォレスト・セルが入っているなら開封は厳禁だが、彼が健在な以上開いても問題はない――その判断は誤りであった。

「なっ――これは!?」

ボールから出てきたのは神樹の一部――『欲に狂う黒き鉤爪』であった。
神樹は本体と蕾、鉤爪がそれぞれ独立した個体。まどかとドラゴンハートの力で強化された彼は、その蕾と鉤爪の数も増やしている。
一つのボールにポケモンは一人まで。マスターボールが捕獲できたのは、フォレスト・セルを庇った神樹のほんの一部分でしかなかったのだ。
さらに……

「ひっ!?」
「どうやら、トレーナーのレベルが足りていないようですね。正規のトレーナーではない様子……それではこの子の一部分たりとも言うことはききません」
「あー、そりゃ欲に狂う黒き鉤爪の一本だな。俺のせいなのか、それともその鉤爪になんか宿ってんのかはしらねぇが……
 名前の通りよ。その鉤爪、時たま――欲望のままに獲物を嬲り殺しにしたくなるんだ」
「い、いや……お兄様……」
「……静かな音楽は、大人しく聞くべきです」
「無粋なお前さんは、そのまま永遠に黙って貰おうか!」

ボールから飛び出た欲に狂う黒き鉤爪は、神樹の言葉通りに暴れ狂い、欲のままに深雪を切り刻んで蹂躙する。

「お、おに゛、ざまぁ゛――」

すぐには殺さない。恐怖を植え付け、徹底的に嬲る。
静かな鎮魂歌が流れる中、世界樹の下では喉を潰され声をあげることも許されなくなった少女がもがき苦しむ。
果たして彼女はこの鎮魂歌が終わるまでに死ぬことができたのか?
もうそれは、誰にもわからない。



【司波深雪@魔法科高校の劣等生】死亡確認



――

415シシャの想い:2019/07/15(月) 18:49:20 ID:1sfJCahU0
そして外ではそんな一悶着があったことなど誰も知らず……
世界樹内では、いよいよカヲルの鎮魂歌の演奏が終わった。


「……」


静かに一礼するカヲル。
それに対して拍手は起こらなかった。
ただ皆が、その余韻に浸っていた。心の中で彼の死者を悼む気持ちの強さに感動をしていた。
そしてその歌は――予言の前に一つの奇跡を起こす。


「……大丈夫?」
「うっ……」


優しくまどかが声をかけるのは、紅白の巫女装束のような衣服を身につけた娘であった。
それはまさしく、まどかが遠い記憶の中で見た人そのもの。
絶望の中で死亡し、深海棲艦に成り果てて。
水底に沈められ永い眠りにつき、現代に復元されてなおも過去の怨念に捕らわれてしまった――哀れな巫女。
グンマ―の秘術、まどかの願いでは足りなかった。カヲルの歌が、死者の魂……深海棲艦の荒ぶりを鎮めたのだ。
誰かの代わりではなく、自分の歌を。決意した使者のもたらした奇跡は、次へと繋がれていく。


「ありがとう、ございます……聞こえていましたよ、私達を悼んでくれる歌が……
 そして……遠い遠い今……あの子と交わした約束を、今度こそ……」
「あなたは、かつてのミヤザキの……」

「はい。――金剛型3番艦にして旧ミヤザキの巫女、榛名です。あなたも、ありがとう。現代のグンマ―の巫女……」

起き上がった榛名は、優しくまどかを抱きしめる。
かつて果たせなかった約束。それでも、奇跡が起きたのであれば、遅くはない。
すぐにまどかから手を離すと、彼女は軽く周りを見渡した後、決意に満ちた表情を浮かべる。

「私の狂おしいほどの無念……願ったのは、ミヤザキとグンマ―が争わないこと……
 ですが永き時の果てに今、再びかつてのような……いえ、それ以上の悪意が渦巻いている」





「私達を復元し、蒼の力を狙う者がいます。その名は――サーフ・シェフィールド……!」




旧時代のミヤザキの巫女の登場に驚く一同に、さらに驚愕の言葉がもたらされる。
奇跡の果てに辿りつく未来は、どのような形になるのだろうか。

416シシャの想い:2019/07/15(月) 18:49:43 ID:1sfJCahU0
(――ッ!!!)
「……」


そして、魔物の中でただ一人隠れる男、ルルーシュ。
彼に命じられ、治療しているように傍に仕えさせられたさやか。
二人の未来もまた、まだわからない。


【二日目23時00分/東京都 新宿都庁世界樹内部】

※全てを虜にする歌→鎮魂歌がカヲルの手によって作成されました
 楽譜はカヲルの手に戻りました
【都庁同盟軍】
【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【榛名@艦隊これくしょん】
※元はサーフが所持していた復元された深海棲艦のため、支給品扱い(現所有者はまどか)
※死亡しても放送で呼ばれることはありません


【潜伏者と操り人形】
【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
※オーバーボデイで魔物に偽装中。
※四条化した魔理沙の死体を道下から譲渡されました。
※深雪の死にはまだ気がついていません
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】

417シシャの想い:2019/07/15(月) 18:50:08 ID:1sfJCahU0
――


……


「よっと……!」


ずぼりと、地面に転がされていた光の繭からフェネクスとユニコーンの頭が生える。

そう、激しい戦闘の中でもホモコンビは生きていた!
ドリスコルに盾にされこそしたが、エンタングルレイは拘束力に特化したもつれ光線。
殺傷能力はないのである。
そして光の繭となり転がされる……無害な存在と化せば、狂信者も魔物もそんなものにはもう警戒している場合ではない。
やるかやられるかの戦いの中で、かまけている暇などない。
それが逆に、ホモコンビの命を救っていたのだ。

強力無比なエンタングルレイとはいえ、その拘束力は強靭ながら永続ではない。
ようやく封じ――頭部分だけだが、それが解除されたのだ。

「ま、不味いですよこれは……」
「一度、セルベリアおばさんのところへ戻るべき……?」

そして光の繭の中にいた二人は鎮魂歌も聞けていないし、ドリスコルの断末魔も聞けていない。
とりあえずわかるのは、ゼオライマーがスクラップにされ放置されている点からしてドリスコル達が敗れたということ。
まだ兵力は残っているが、指揮官を失っては勝てる戦いも勝てないだろう。
強運にも生き延びた彼らは、聖帝軍の時と同じようにさらなる悪意と執念を持って――




「にしゃあああぁぁぁぁぁぁ!」



「「え?」」



しかし、両手足は繭のままの二人は、正面で目の合ったフォレスト・セルに異物と判断された。
異物は焼却だと言わんばかりに吐き出されたサンダーストームは、今度は二人のホモに愛する人への遺言も許さずに一瞬で機体ごと炭へと変えてしまう。
奇跡は起こることもあるし、起こらないこともあるのだ。

【道下正樹@くそみそテクニック】死亡確認
【遠野@真夏の夜の淫夢】死亡確認

418名無しなんじゃないのー☆:2019/07/15(月) 18:50:32 ID:1sfJCahU0
投下終了となります

419名無しなんじゃないのー☆:2019/07/15(月) 23:00:11 ID:F6dl5lNM0
投下乙です
ドリスコル&ルルーシュの作戦は悪辣だったが、都庁との経験や繋いだ絆の差が大きく出たな
そしてDMC狂信者もネームドは極ひとにぎり、サーフも黒幕バレという墓穴を掘る
ギムレーor小町の作戦もうまくいけば狂信者の壊滅も目前
ただ、さやかを駒にしているルルーシュはちょい怖いが……

420名無しなんじゃないのー☆:2019/07/16(火) 19:19:53 ID:BJe8oqnk0
投下乙!まさか深海棲艦に鎮魂歌で浄化して榛名登場とは予想外
気にもとめない送り込んだ道具から正体バレるってのもなんかサーフらしい気がするわ
しかし各々の知識と能力フル活用して戦うメンバーも当然すごいが、非戦闘員のピヨちゃんの貢献度が凄すぎる

421名無しなんじゃないのー☆:2019/07/17(水) 17:00:48 ID:7X0BuYkY0
>「ヒャハハ! 悪いがそのカスはもうご退場。今日から俺が新しい提督だ。宜しく……って言いてぇところなんだが。
 お前達みたいなのが出てくると戦争が上手く回らないからな。――旧型は全員、解体処分ってかァ!?」

これ絶対テルミだろw

422セイジャの思い:2019/07/18(木) 16:34:58 ID:75ItxlDo0
新宿都庁の地下、奥深く。
そこにある広めの一室には、たくさんの物資と魔物たちがひしめき合っていた。
彼らは地上で戦っているFOEらと違い、ドラゴンハートの補正を受けても大きな戦闘力を得られない、いわば非戦闘員と呼ぶべき弱小魔物である。
彼らは戦闘についていけないとダオスから言い渡され、部屋に内側から鍵をかけることで狂信者からの攻撃をやり過ごすよう命令され従った者たちだ。

誤解なきように言っておくと世界樹を守るためには力だけではなく、復興の人員も必要なため、彼らもまた都庁にとっては欠かせない存在であった。
そのため、資材に加えて回復薬や武器などの物資も保管していた。
最悪、地上の世界樹がやられても彼らだけ逃げ出して再起を図る……という考えもダオスの中ではあったのだ。

そして、その魔物たちの中に紛れて諸星きらり、悪魔から人間となったザ・魔雲天の姿もあった。

「――ッ!」
「大丈夫だ、きらり、俺がついている!」

避難所は地上からの戦闘音が聞こえないほど深くにある。
だがそれでも、地上からの振動は伝わっており、それが地上で行われている戦いの激しさを物語る。
ただの少女に戻ったきらりが不安に駆られるのも無理はない。
周囲の魔物たちもこれまでの比ではない戦闘の激しさを肌で感じており、不安で胸がいっぱいであった。
電波の届かない地下なのでスマホ等で地上の様子を確認することもできないことが、余計に拍車をかける。
誰かが叫び声をあげれば確実にパニックになる……少女を必死で励ます、魔雲天は肌で感じていた。

「……?」
「どうした?」

ふと、きらりは誰かが歌っているような声を感じだ。
地中深くなのでホントに微かだが、音楽が聞こえた気がしたのだ。
そして、しばらくすると振動は完全に止んだのである。

「振動が止まったぞ……?」
『戦闘が終わったのか?』
『終わるにしては早すぎる』
『ど、どっちが勝ったんだ……?!』

魔雲天たちは知る由もないが、この時、狂信者側はドリスコルら多くの指揮官を失っており、戦場に残る残る狂信者・カギ爪団員も渚カヲルの歌によって戦意喪失。
魔物として潜伏しているルルーシュがまだ生き残っているため戦闘は完全終了したわけではないものの、ほとんど勝利の手前まできていた。
ただ、決着が付くにしろ予想よりも格段に早いため、魔雲天たちを逆に不安にさせたのだ。

「だ、だいじょ、うぶ……み、ん、な、は……勝て、るよ」
「!? きらり、おまえ声が……」
「ちょ、っと、だけ、ね」

きらりはかつてテラカオス化に伴う殺戮で、罪のない人や親友を殺めてしまったことで心の傷を負ってしまい、声を出せなくなる障碍を患ってしまった。
そんな彼女が、拙い発音ではあるが、確かに喋っていることに魔雲天は驚きと感動を隠すことができなかった。

「きらりには、地上の連中が勝ったのがわかるのか?」

魔雲天の問いかけに、きらりは首を横に振るが、完全な否定というわかではない。

「信じ、てる」

地上の者たちが勝ったというのはきらりの直感に過ぎないが、彼女にだけは聞こえた鎮魂歌が、都庁同盟軍の仲間たちが敗北したために歌ったとは信じられなかった。
きらりの少女はさっきまでの怯えた表情ではなく、いつもの自信に溢れた「ハピハピ」なオーラがにじみ出ていた。

423セイジャの思い:2019/07/18(木) 16:35:22 ID:75ItxlDo0

(まったく、この娘は……下手な超人よりも強い心を持っている)

魔雲天は静かに微笑みながら眼をつぶり、きらりをそっと抱き寄せた。

「ああ、きっと上の連中は勝てるさ。そして俺たちに未来をもたらしてくれる」

今度は二人共服をちゃんと着ているが、布ごしでも二人の心臓の音がわかった。

「殺し合いも大災害もなんとかなったら……きらりはアイドルとして『ハピハピ』な歌をみんなに届けてくれ。
俺はすぐそばで、見守りながら聞いている」
「ありが、と、う…天ちゃん」

きらりの心の傷は深く、魔法では治せない障碍のことも考えると殺し合いが行われている間――少なくとも二度目の大災害が防がれるまでは歌を歌うこともできないだろう。
だが、それでも殺し合いが終わった後なら希望を持てる。
魔雲天の瞼の裏には平和になった世界、ステージの上で幸せそうに歌うきらりのビジョンが写っている。

「ゲヘヘヘ……ああ、この気持ちはなんだろうな……悪魔の時には感じられなかった、人間になってから感じる『この感情』……」

殺し合いが始まってからの付き合いであるが、魔雲天の中できらりの存在は確かに大きくなっていった。
悪魔将軍や味方の超人に向ける敬意とは違う、この熱い気持ちの正体は――


「きらり、ひょっとしたら俺はおまえのことが――」





【二日目・23時45分/東京都 新宿都庁世界樹・地下】

【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】
【状態】人間、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】柔道着、ターバン
【道具】なし
【思考】基本:きらりや仲間を全力で守る
0:俺はきらりのことが――
1:騒ぎが収まるまで、きらりや戦えない魔物たちと共に避難所に待機する
2:都庁のみんな、聖帝軍のみんなの無事を信じる
3:悪魔超人は引退したが、あのお方や仲間への敬意まで失ったわけではない
※フォレスト・セルに悪魔の力を浄化され、ただの人間になりました
 戦闘力は激減であり、悪魔超人にはこれから起こる事情もあって二度と戻れません


【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【状態】魔雲天に抱きしめらている、首がない
【装備】血まみれになった服
【道具】落ちた首
【思考】基本:死んでいる
0:死んでいる




「え……?」

急に、体を抱き寄せていたきらりの心臓の鼓動が止まった気がした。
魔雲天は気になって眼を見開くと、そこには

首が無くなり、断面から噴水のように血を吐き出したきらりの骸があった。

人間となった魔雲天の脳は理解が追いつかず、真っ白になる。

だが、きらりの真後ろにはTVゲームから飛び出したような奇抜な格好をした仮面ライダーがおり、その仮面ライダーが持つゲーム機コントローラーのような剣には少女のものと思われる血がついていた。
きらりを殺したのは、目の前の存在で間違いないだろう。

「貴様ッ――……」

先程まで仏のように穏やかだった魔雲天の表情が鬼のような形相になり、今にも仮面ライダーに襲いかかりそうだった。
だが、そんな彼も側面から傘で胸を貫かれた。

「がッ!?」
「残念ね、せめて候補者と悪魔のままだったら耐えられたでしょうに」

傘と言っても、怪物じみた存在による怪力も加わっている。
ただの人間からするとただの傘も騎士のランスと同じ威力であり、魔雲天は肺と心臓を貫かれる致命傷を負ってしまった。

息も絶え絶えの中で頭のないきらりの骸と共に地面に倒れた魔雲天。
そんな彼が死に際に見たのは絶望の光景だった。
魔雲天と共に避難してきた非戦闘員の魔物たちが叫びをあげることも許されないまま、装甲服を纏った兵士たちに次々と殺されていく。
一方的な虐殺であり、避難所にいた全ての魔物が全滅するまで2分かからなかった。

「きらり、きらりッ!」

死期が目前まで迫った魔雲天は這いずりながら魔物たちの死体の山をかき分け、きらりの生首を見つけて抱える。
きらりの表情は死後硬直で希望を持ちながら笑ったままだったが、眼から光も消えていた。
心臓を失った魔雲天もじきに眼から光を失うのだろう。

「ま、守ると誓ったのに……がはッ……――」



【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ 死亡確認】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン 死亡確認】

424セイジャの思い:2019/07/18(木) 16:36:45 ID:75ItxlDo0




「……悪いわね、私たちにも世界のためにやらねばならないことがあるのよ」

魔雲天ときらり、避難所の魔物を残らず全滅させた存在は主催の手の者たち。
バイカイザーに変身した八雲紫。
仮面ライダーエグゼイドもといbiim兄貴に怪人ロボット・メガへクス。
そしてbiimがRTA走者という名前の暗殺者集団に仕立てあげた300名ほどの主催兵士たちであった。

彼らはロックマン・エックスの残した記録からフォレスト・セルの危険性を知り、撃滅を決意。
本拠地である九州ロボにはココとメフィラス、黒き獣への切り札であるなのはとユーノを残し、襲撃を敢行したのだ。
避難所は厳重に閉じられていたが、境界と境界のスキマを操り侵入できる八雲紫には鍵など無意味。
むしろ部屋を密室にしていたために誰も逃げることができず、地下深くにあったため誰にも助けを求められないまま全滅する憂き目を味わうことになった。

「感傷に浸るのはガバの元ですよ」
「あったぞ、お目当てのN2爆弾だ」

メガへクスは山のような物資の中から、かつてココが貴虎に売却し、世界樹破壊の要になる予定だった核以上の威力を誇る兵器N2爆弾。
起動コードは高虎しか知らなかったので誰も使うことができず無用の長もの、最高の職人であるレストでさえ未知の技術で作られていたため解体も不能。
かといって拾われたらマーダーや狂信者の武器になってしまうので捨てることもできず、廃棄できる余裕が出来るまで倉庫に死蔵されていたのだ。

ところがこの爆弾を売ったのは他でもない主催のココであり、ココを通じてこの三人は起動コードを教えられている。
避難所は爆弾を奪還を狙う主催陣営によって全滅させられたも同然なのだ。
それでも念押しにダオスらは魔術的な封印を上から施していたが……

「残念ね。どれだけレベルを上げても封印系魔術までは上げられないようね」

一山いくらの魔術師ならまだしも、幻想郷を作り上げた賢者である八雲紫の前に封印も解かれてしまった。
すかさず、三人は爆弾にコードを打ち込んで起動させる。
セットされた起爆時間は全て30分後だ。

「さて、潜入と起爆開始の第一工程はクリアだ。さて、世界樹本体の方に向かうとするか」
「ここから三つに分かれましょう」
「世界樹の中では都庁の連中も大技は使えないですしね」

三人はN2爆弾を一つずつ、兵士を100人ずつ同伴させて、世界樹の上層・中層・下層に分けてスキマを展開し、世界樹の内部へワープせんとした。
その前に、紫が他の二人や兵士に作戦を再確認する。


「ジャックの立てた作戦を再確認するわ。
この作戦の趣旨は古代グンマーの悪しき置き土産フォレスト・セルの撃滅にある。
ただし、世界樹を残していると都庁戦力あの手この手で傷ついたセルを回復させてしまう可能性もある」
「だから世界樹もついでに叩いてしまおうというわけだな」
「ええ、成長に成長を重ねて砦となった世界樹を地下で起爆させても大した効果は得られないけど、三つに分散させて一つでも内部で爆発させれば世界樹に大打撃を与えられる。
少なくともセルを支援する余裕はなくなるわ」
「爆弾の設置がバレたらバレたで、外にいる連中を世界樹の中におびき寄せることはできる。
 竜までならまだしも、フォレスト・セルと神樹、ついでにエヴァは狭い通路には入れないし、世界樹も巻き添えになるから高すぎる威力の技も使えない」
「……でも注意して欲しいのは私たちの任務は都庁勢力の虐殺や、世界樹の破壊が目的じゃない。
 本当の任務は囮、フォレスト・セルを守るナイトたちを遠ざけることよ」

世界樹の爆破だけでも同盟軍には致命傷だが、その部分はついでにすぎず、あくまで目的はテラカオス因子を消してしまうフォレスト・セルの一点だけである。

「都庁の強さは、数の少なさをものともしない質だけでなく、どんな作戦を練っても連携でそれを補ってしまうチームワークにある。
 私たちがそれを断ち、ジャックがフォレスト・セルを仕留める。
 これが私たちの作戦よ」
「ゆかりさん、そろそろ行かないと時間のロスが……ジャックさんも待ってるでしょうに」
「biimに同感だ、こんなヘルヘイムみたいな居心地の悪いところはさっさと出るに限る」
「脱出するにはせめて起爆1分前までは爆弾を防衛してね。
 頃合になったらさっき渡したキメラの翼を使って脱出して、それなら新宿ひいては都庁勢力の射程外から逃げられるから。
 ……そういえば、地上からの振動がなくなったわね」
「決着するにはやけに早いが都庁が勝ったか狂信者が勝ったか」
「都庁が勝ったばかりなら疲弊してる今しかチャンスがないですね。
狂信者が勝ってても御の字。頑張った彼らのご褒美に爆破寸前のN2爆弾をプレゼントしてあげましょう」

425セイジャの思い:2019/07/18(木) 16:38:13 ID:75ItxlDo0

そして、303人は紫が用意したスキマに入り込み、世界樹へと侵入する。
だが、彼らは地下深くにいたために気づかない。
都庁が予言の歌を手に入れ、この大災害を引き起こした元凶の名前が浮上したことに。





一方その頃、天魔王軍と狸組との戦闘で跡形もなく消し飛んだ首相官邸跡地。
そこには水色の重量二脚級ネクストAC・フォックスアイと100名の兵士が佇んでいた。
彼らはなのはとユーノを拘束した後、九州ロボから人知れず東京へと降り立ったのだ。

(紫たちは侵入できただろうか……彼女らが地上に出るまで連絡が取れないのがもどかしい)

直撃さえすればフォレスト・セルをも撃滅できる可能性を秘めたオーバードウェポン――フォックス・アイに接続した何かの上に布を被せながら、主催陣営の参謀、ジャック・Oは今か今かと待っている。

「ん……?」

ジャックはギリギリまで状況を見極めるべくACのスコープで都庁と狂信者の戦いを見ていた。
首相官邸からだと少し遠すぎて見えづらく錯綜する激音のせいで声もよくわからないが、人質ごと爆散されるロボット軍団、撃墜されるグレートゼオライマーやガンダム、戦意を失いとうとう攻撃もしなくなったモブ狂信者たちから、狂信者の三度目の襲撃も失敗に終わったのがわかった。

「狂信者どもは彼らを見誤ったな……テロリストの善意につけこんだところで追い詰めてしまえば親兄弟を切り捨てる。
人質など所詮一時凌ぎにしか過ぎず、弾除けにするにも限度がある。
まあ、私なら人質の中にスパイを混じらせることも考えるが、狂信者最高火力のゼオライマーがやられた時点でどの道スパイだけでフォレスト・セルの撃破は不能。
そもそもゼオライマーでフォレスト・セルを倒せるのならば最初から殺せているだろうしな。
せめて支給品による捕獲は考えられなくもないが、都庁側がデコイなどで対策を練っていないわけもなさそうだから望み薄だ」

ジャック・Oは冷静に分析し、なんとなくではあるが狂信者側の作戦内容にアタリをつける。
見かけ上の狂信者の敗北がほぼ決定と見たところで、内部の紫たちから合図が届く。

「狂信者は頼れん……やはり我々で決着をつけるしかないようだ」

ジャックはコクピットの中でヘルメットをかぶり直した後、フォックスアイのマニピュレーターを操作して兵士たちに合図を送る。
出撃の準備だ。
兵士たちは一斉にホイポイカプセルを投げ込むと、そこにヒトマキナ・MS・TIEファイターが現れて中に搭乗する。
その様子を蝿と蛆が集り始めていたニャル子の首級だけが見ていた。


「グンマー、君たちに恨みはないがフォレスト・セルとその撃破に伴う犠牲だけは払ってもらう」
 今の君たちはドミナント(選ばれし者)ではない、イレギュラー(危険因子)だ」

狂信者の次は主催陣営。
都庁勢力は休む間もなく、戦わなくてはならない。

だが、悲しいことに、都庁から遠くにいた彼は気づかない。
都庁が予言の歌を手に入れ、この大災害を引き起こした元凶の名前が浮上したことに。
もし、それを知っていれば話し合いによる協調路線もあったかもしれないが、全ては遅すぎたのだ……



【二日目・23時00分/東京都 首相官邸跡地】


【ジャック・O@ARMORED CORE LAST RAVEN】
【状態】リンクスに改造
【装備】フォックスアイ(ネクストに魔改造)@ARMORED CORE、拳銃    
【道具】ヒトマキナ・MS・TIEファイター×100、主催兵士×100、オーバードウェポン一式
【思考】基本:世界滅亡を阻止するためにテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:都庁にいるフォレスト・セルを撃滅する
1:フォレスト・セルを倒せる瞬間を見極めてオーバードウェポンを叩き込む
2:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは抹殺する
3:アナキンの回収は後回し、後で何らかの方法での情報共有を行いたい
4:フォレスト・セルの撃滅が終わったら残滓(ツバサ)と翔鶴も回収したい
  鎮魂歌に最適な歌い手も見つけたい
5:紫たちを信じる
6:ココ側による黒き獣討伐はうまくいくだろうか?
※どのオーバードウェポンを装備したかは次の書き手氏にお任せします
※カヲルが作り出した全てを虜にする鎮魂歌、榛名が告発した黒幕の名前を聞いていません

426セイジャの思い:2019/07/18(木) 16:38:37 ID:75ItxlDo0


【二日目・23時00分/東京都 都庁世界樹内部のどこか】

【八雲紫@東方Project】
【状態】健康、バイカイザーに変身中
【装備】傘(血まみれ)、扇子、スペルカード@東方Project
【道具】ソロモンの指輪、仙豆×55@ドラゴンボール、ネビュラスチームガン@仮面ライダービルド、ギアエンジン@仮面ライダービルド、セイバーの手作り模型
    N2爆弾、キメラの翼、主催兵士×100
【思考】基本:幻想郷を守る為に主催を手伝う。
0:フォレスト・セルを撃滅する作戦の一貫として世界樹内部で囮を引き受ける
1:どのような事をしても幻想郷を守る
2:仲間と認めた存在の犠牲を無駄にはしない
3:ジャックを信じる
4:テラカオス化したなのはによる黒き獣討伐は捗っているかしら?
※境界を操る能力に制限がかかっています
※カヲルが作り出した全てを虜にする鎮魂歌、榛名が告発した黒幕の名前を聞いていません
※N2爆弾は23:30分に爆発します


【メガヘクス@仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル】
【状態】健康
【装備】太極図@封神演義、ライドブッカー@仮面ライダーディケイド、その他不明
【道具】支給品一式、ネクロノミコン@クトゥルフ神話、N2爆弾、キメラの翼、主催兵士×100
【思考】基本:契約の為に主催の命令に従う
0:フォレスト・セルを撃滅する作戦の一貫として世界樹内部で囮を引き受ける
1:世界を滅ぼされたら敵わないので契約続行
2:都庁の勢力が大災害をやり過ごした後で敵に回ると面倒なので、
  戦後を見据えて殺せるだけ殺しておく
※九州ロボの改造は終わりました
※カヲルが作り出した全てを虜にする鎮魂歌、榛名が告発した黒幕の名前を聞いていません
※N2爆弾は23:30分に爆発します


【biim兄貴@現実?】
【状態】健康、完全体バグスター、魂魄妖夢にそのまんまの容姿、変身中
【装備】ゲーマードライバー@仮面ライダーエグゼイド、ガシャットギアデュアル@仮面ライダーエグゼイド
【道具】支給品一式、ガシャコンパラブレイガン@仮面ライダーエグゼイド、エナジーアイテム各種@仮面ライダーエグゼイド、じゅうべえくえすと
    N2爆弾、キメラの翼、主催兵士×100
【思考】基本:RTA走者として誰よりも早く任務をこなす。
0:みなさまのためにぃ、こんな動画を用意しました。
1:モブ兵士を全員強化(RTA走者にする)
2:再走は面倒なので主催陣営は裏切りません
3:個人的にダオスやレストと戦ってみたい、戦ってみたくない?
※人の遺伝子があるためライダーの変身可能です
※カヲルが作り出した全てを虜にする鎮魂歌、榛名が告発した黒幕の名前を聞いていません
※N2爆弾は23:30分に爆発します

427名無しなんじゃないのー☆:2019/07/18(木) 16:39:29 ID:75ItxlDo0
投下終了です
……都庁にはもう一個だけ試練を乗り越えて欲しいと思った

428名無しなんじゃないのー☆:2019/07/18(木) 18:35:34 ID:t/fGL/fY0
人数多くて状態表省略されてた弊害だが、N2爆弾全部ほむほむが回収してなかった?

429名無しなんじゃないのー☆:2019/07/18(木) 18:50:29 ID:t/fGL/fY0
確認してきたが5224話でほむほむが三つとも盾に入れてた
まあココが追加で用意したとかで辻褄は合うけど……
もし起爆したらもうサーフの勝ち確で自分達で可能性潰したと後から知ることになるこいつらどんな顔するんだろう

430名無しなんじゃないのー☆:2019/07/18(木) 18:59:20 ID:75ItxlDo0
>>428
あ、ホントや
じゃあ、>>429風に修正しよっと

431修正:2019/07/18(木) 19:17:12 ID:75ItxlDo0
>>424部分のみ修正


「……悪いわね、私たちにも世界のためにやらねばならないことがあるのよ」

魔雲天ときらり、避難所の魔物を残らず全滅させた存在は主催の手の者たち。
バイカイザーに変身した八雲紫。
仮面ライダーエグゼイドもといbiim兄貴に怪人ロボット・メガへクス。
そしてbiimがRTA走者という名前の暗殺者集団に仕立てあげた300名ほどの主催兵士たちであった。

彼らはロックマン・エックスの残した記録からフォレスト・セルの危険性を知り、撃滅を決意。
本拠地である九州ロボにはココとメフィラス、黒き獣への切り札であるなのはとユーノを残し、襲撃を敢行したのだ。
避難所は厳重に閉じられていたが、境界と境界のスキマを操り侵入できる八雲紫には鍵など無意味。
むしろ部屋を密室にしていたために誰も逃げることができず、地下深くにあったため誰にも助けを求められないまま全滅する憂き目を味わうことになった。

「感傷に浸るのはガバの元ですよ」
「いちおう、世界樹の内部には侵入できたが転移位置がかなり下過ぎないか…?」
「蒼のせいで遠距離のワープができないし、世界樹は内部構造も時間増しに変化しているみたいだから地図は当てにならない以上仕方なかったのよ。
 まさか転移した先に兵隊の詰所があったのは驚いたけど、奇襲でなんとかなったわね」

ちなみに紫たちは避難所を予備兵力の詰所だと思っている。
幻想郷の賢者と言えど、魔雲天たちが非戦闘員ということまでは見抜けなかったようだ。
ここが避難所だとわかれば勘違いによって皆殺しにする必要はなかっただろう。

「さ、すぐそこの物資を破壊した後、N2爆弾を起動しましょう」

回復薬など目に付く物資を全て破壊した後、三つの爆弾を起動する。
爆弾とはココが貴虎に売却し、世界樹破壊の要になる予定だった核以上の威力を誇る兵器・N2爆弾。
それと同じ爆弾が三つだけ九州ロボの倉庫には残っていたのである。
そして、三人は爆弾にコードを打ち込んで起動させる。
セットされた起爆時間は全て30分後だ。

「さて、潜入と起爆開始の第一工程はクリアだ。さて、世界樹本体の方に向かうとするか」
「ここから三つに分かれましょう」
「世界樹の中では都庁の連中も大技は使えないですしね」

三人はN2爆弾を一つずつ、兵士を100人ずつ同伴させて、世界樹の上層・中層・下層に分けてスキマを展開し、世界樹の内部へワープせんとした。
その前に、紫が他の二人や兵士に作戦を再確認させる。


「ジャックの立てた作戦を再確認するわ。
この作戦の趣旨は古代グンマーの悪しき置き土産フォレスト・セルの撃滅にある。
ただし、世界樹を残していると都庁戦力があの手この手で傷ついたセルを回復させてしまう可能性もある」
「だから世界樹もついでに叩いてしまおうというわけだな」
「ええ、成長に成長を重ねて砦となった世界樹を地下や地表で起爆させても大した効果は得られないけど、三つに分散させて一つでも内部で爆発させれば世界樹に大打撃を与えられる。
少なくともセルを支援する余裕はなくなるわ」
「爆弾の設置がバレたらバレたで、外にいる連中を世界樹の中におびき寄せることはできる。
 竜までならまだしも、フォレスト・セルと神樹、ついでにエヴァは狭い通路には入れないし、世界樹も巻き添えになるから高すぎる威力の技も使えない」
「……でも注意して欲しいのは私たちの任務は都庁勢力の虐殺や世界樹の破壊が目的なんじゃない。
 本当の任務は囮、フォレスト・セルを守るナイトたちを遠ざけることよ」

世界樹の爆破だけでも同盟軍には致命傷だが、その部分はついでにすぎず、あくまで目的はテラカオス因子を消してしまうフォレスト・セルの一点だけである。

「都庁の強さは、数の少なさをものともしない質だけでなく、どんな作戦を練っても連携でそれを補ってしまうチームワークにある。
 私たちが連携を断ち、ジャックがフォレスト・セルを仕留める。
 これが私たちの作戦よ」
「ゆかりさん、そろそろ行かないと時間のロスが……ジャックさんも待ってるでしょうに」
「biimに同感だ、こんなヘルヘイムみたいな居心地の悪いところはさっさと出るに限る」
「脱出するにはせめて起爆1分前までは爆弾を防衛してね。
 頃合になったらさっき渡したキメラの翼を使って脱出して、それなら新宿ひいては都庁勢力の射程外から逃げられるから。
 ……そういえば、地上からの振動がなくなったわね」
「決着するにはやけに早いが都庁が勝ったか狂信者が勝ったか」
「都庁が勝ったばかりなら疲弊してる今しかチャンスがないですね。
狂信者が勝ってても御の字。世界のために頑張った反社会的勢力にはご褒美にN2爆弾大爆発をプレゼントしてあげましょう」


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