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カオスロワ避難所スレ3

1管理人 ◆WI16BozYZw★:2015/07/08(水) 21:45:14 ID:???0
前スレッドが1000間近のため新規スレッドを用意いたしました。

296 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:41:24 ID:wYEUBuQI0
「なんじゃこりゃー!? ぶべべべッ」
「萃香ーッ!」

その直後、萃香はスライム化した怪物なのはの体内にズルリと全身を入れられてしまった。
この異様な事態にアナキンたちは驚く。
そして何より驚いていたのは、この現象を知るツバサであった。

「バイオライダーのゲル化能力……!!」
「なんだって?!」
「キングストーンの持ち主であったブラックRX、彼の能力の一つで、不定形のゲルになってあらゆる物理攻撃を無力化する能力です!」

怪物なのはが今行使している力は、まさにバイオライダーのゲル化能力そのままであった。
特定の攻撃手段を除き、あらゆる物理攻撃を無効化してしまう水色の姿がその証左であった。


(でも、彼女がどうしてキングストーンの力を……まさか!!)

その時、ツバサは脳裏に嫌な予感が迸った。
少し前にツバサはテラカオス化が進行していたユーノを救おうとして、逆にエントロピーを吸われる結果になった。
吸われたエントロピーの中にはテラカオスや四条化細胞、キングストーンの因子も僅かながら入っており、ゲル化能力の力もユーノに吸われてしまった。

ユーノの因子はブリーフ博士の薬によって消失したが、その前にユーノが因子を(おそらく故意ではないであろうが)何らかの手段でなのはに分け与えて、彼女を怪物化させたのだ。

結果、なのははテラカオス候補者にして四条化細胞とキングストーンの力も得た怪物となってしまった。


(でも、もしそうなら私のせいで彼女は――)

答えはわからないが、考察が当たっていればなのはを間接的に怪物化させたのは自分ということになる。
そう思うと冷や汗が出てきた。

――――

なお、彼女の考察は「大当たり」である。
治療に失敗した際にユーノに吸われた因子が、セックスを通してなのはに吸収され、巡り巡って彼女を怪物に変えてしまったのだ。

――――

「ツバサ! 何をボーっとしてる」
「早く仲間を救い出すんだ!」
「はッ……!?」

アナキンとギムレーの言葉で現実に引き戻されるツバサ。
見るとユーノを含めた三人の男たちは剣やその辺の棒を使ってゲル化した怪物に捕らわれた萃香を救おうとしている。

「ごぼッ、がはッ!!」

ゲルの中で萃香はもがくが、どんなに鬼の怪力を使っても脱出できない。
霧化も可能にする蜜と疎を操る程度の能力も、ゲルの中にいれば効果はない。

(だったら固めて……)

怪力や霧化がダメなら、ゲルを固めて脱出を図ろうとする萃香。
だが、それを許すほど怪物なのはは悠長ではなかった。

(だ、ダメだ体中の妖力が吸われて……)

仲間であったなのはを傷つける可能性への躊躇があったのか、固める判断が少しばかり遅すぎた。
萃香の体は貪欲で食欲旺盛な四条化細胞に妖力を食われていった。
妖力だけでなく、彼女の体はゲルの中で急速に溶け出して吸収されていく。
まるでアメーバに食われたプランクトンの如く。
衣服、皮膚、筋肉、骨の順番で溶けていった。

「ぎゃあああああああああああああああ!!!」
「萃香ッ! ダメだなのは、もうやめるんだ!!」

ゲルの外まで届く萃香の悲鳴に、ユーノのみならず周囲の味方も焦る。
しかし、助け出そうにもここにいるものたちに、魔力やスキル、物理的手段においても今のなのはから救うことは不可能であった。


骨までとかされた幻想郷の鬼は、最期は骨も残さず、しゅわっとスパっと、なのはの滋養として吸収された。

【伊吹萃香@しゅわスパ大作戦 死亡確認】

297 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:41:57 ID:wYEUBuQI0


「萃香さん!」
「ああ……どうして……!」

仲間の死にショックを隠せないツバサとユーノ。
逆にアナキンとギムレーは比較的冷静であった。
否、平静を保ってないといけなかった。

「萃香がやられた!」
「まずい、魔力吸収反射だけでなく、ゲル化によって物理攻撃まで無力化だって!?
これじゃあ、もうイチローやナッパを連れてきたところで……もう捕獲どころじゃない」

魔法の類は言わずもがな、肉体に優れた者を連れてきたところで素手で捕まえようとすれば、ゲル化によって捕われ捕食されてしまう。
それでも何か打開策はないか、二人は考える。
そうこうしている内に、新しい能力に慣れてないせいかゲル化してからあまり動かなかった怪物なのはが動き出した。
次なる獲物はテラカオスであるツバサであった。

『ナノオオオオオ!!』
「ツバサを狙っている!? 止めなきゃ……がはッ!」
「ギムレー! ぐはッ! なんて怪力……」

理性を保ったテラカオスにして不屈の心を持った勇者であるツバサが喰われてしまえば、予言の完遂が不可能に近くなる。
ギムレーとアナキンは阻止するためになのはを止めようとしたが、彼女は曲がりなりにも鬼である萃香を食ったことでパワーが増したのか、二人を軽々と吹っ飛ばして左右の壁にぶつけた。
凶悪な人食いゲルが暴走特急のようにツバサに襲いかからんとする。

「来るッ!」
「なのは!!」

そこへ、ツバサを庇うようにユーノが前に出た。

「いけない、離れるんだユーノ!」

このままではなのはに捕食されてしまう、と焦ったギムレーであったが、ユーノは逃げようとしない。

「……なのはに殺されるなら本望だ」

それは彼なりになのはが仲間を殺してしまった責任を感じていることと、彼女に仲間をこれ以上殺させないための決意の表れであった。

『ユーノ……クン』
「なのは……」

ユーノの祈りは通じたのか、今にもツバサごと覆いかぶりそうだった人食いゲルは彼らの手前で停止した。
それだけでなく。

「なのはさんの姿が……!」

一時的にでも正気に戻ったのだろう。
ゲルが人の姿に再形成され、それは裸のなのはの形になった。
変身が解けたようだ。
そして彼女は全身血まみれで、恐怖の形相で泣いていた。

「ユ―ノくん、わた、私……」
「なのは……!」

正気に戻ったためか、彼女は自分がしでかした罪を理解していた。
だからこそ己の所業に慄いていた。

298 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:42:22 ID:wYEUBuQI0


「アナキンさん! 仲間を連れてきたで!」
「大丈夫か! みんな!」
「おい、あの萃香はどこに行ったんだ?」

遅れてはやてが、イチローやナッパを病室に連れてきた。
部屋の外からいくつかの足音も聞こえるため、何人かの味方も急行するだろう。
いるはずだった萃香の行方については、ユーノが答えた。

「なのはは正気に戻った代わりに萃香は……犠牲になった」
「そんな!?」
「なにィ!?」
「すまない……なのはを責めないで。
僕がかかった病気が、どういうわけかなのはに羅患してしまったんだ……」

ブリーフ博士と萃香の死、そしてなのはのテラカオス化の責任は自分にあるとユーノは答えた。
その表情には、千年タクウに翻弄されて恋人を怪物にしてしまった時のなのはと同じ悲しみの表情を浮かべていた。

一方。
なのはの後ろでは二人の男が小声で会話をしていた。
アナキンとギムレーである。

(ブリーフ博士と作った薬はまだ残っているかい?)
(すまないが、薬はあれ一つしか作れなかった……ごく短時間で二つ以上作るのは難しかったんだ)
(サラとおまえでもう一つ作れないか?)
(薬の設計は頭に入ってる、が……時間がかかりすぎる)

訝しげに語るアナキンにギムレーは問い詰める。

(どれくらいだ?)
(機材が揃っていて最低三時間……といったところかな)

(そうか……わかった)


アナキンの話を聞いたギムレーは、なのはが気づいていない内に持っていた剣を彼女に向けた。

(ギムレー!?)
(彼女には悪いが、世界のためにもここで死んでもらう)

もう世界の破滅まで時間が惜しい。
三時間も浦安で待ってはいられないし、その前に再暴走するだろう。

イチリュウチームは彼女を殺さないと先には進めない。

先程はテラカオス化して魔法も物理も効かない無敵の存在であったが、変身が溶けて油断している今ならば真人間と変わりないはず。
彼女を殺すなら今しかないと、ギムレーは合理的かつ冷酷な判断をした。
何よりサーシェスに乗っ取られた黒炎竜を殺せないぐらいにはお人好し集団である。
いざという時は冷酷な邪龍に戻れる自分にしかできないことであった。

アナキンは止めなかった。
というより、ギムレーの心がフォースで読めないことに加えて本当に一瞬の出来事だったために止めようがなかった。
元は敵であり主催である自分に刃を向けるなら予測もできたが、それなりの理由があるとは言え味方を殺そうとするなど予期していなかったからだ。

ギムレーの剣の切っ先は、無防備ななのはの背中に向けて必殺の突きを向けられ――


「危ない、なのは!!」
「え、ユーノくん!?」

299 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:42:45 ID:wYEUBuQI0




――剣はなのはに刺さることはなかった。
偶然、なのはに斬りかかろうとしたギムレーの姿が見えたユーノは、彼女を守るために自ら盾となったのだ。
結果、ユーノの腹は剣で貫かれ、夥しい血が噴き出した。

刹那の内に、斬られたユーノを除いた病室にいるもの、全てが驚嘆し、ある者は絶叫を上げた。
刺したギムレー自身も驚きであった

「馬鹿な……おまえは……!」
「ど、どんな理由があろうと、なのはは殺させない……!」

聡明なユーノは世界を守るためになのはを殺めなくてはいけないギムレーの意図を理解し、恨みなどは抱かなった。
しかし、愛するなのはを守ることだけは貫きたかった。
そんなユーノは腹から剣が落ち、同時に大量の血が床に流れたと同時に倒れた。


感情が呼び起こした悲劇は、まだ終わらない。


「あ、ああ……ギムレーェェェ!! ユーノくんをよくもォォォォ!!!」
『いけません、マスター!!!』

ユーノが刺されたことに激昂したなのはは、ユーノが持っていたレイジングハートを手に取り、杖としての姿にした後に、ギムレーに向けて最大級の魔力をぶつけた。
……般若の如き表情を帯びた怒れる彼女にデバイスからの忠告は耳に入らなかった。

「スタァーーーライト、ブレイカあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

元の威力でも戦艦の主砲並の一撃、そしてテラカオス化と萃香を食い殺して得た魔力は凄まじく、病室を桃色で染め上げた。
魔力の光は病院の壁をぶち破り、外に居たアウラの民数十匹をも巻き込み、浦安の地面に大穴を開けた。
さらには魔力はイチリュウチームが拠点にしていた浦安の病院を強すぎる振動で崩すことすら可能であり、次の瞬間には病院が崩壊して瓦礫に変えさせた。

――――

300 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:43:15 ID:wYEUBuQI0

ドゴオオオン、と瓦礫の山から野球選手が現れた。

「ぐ……他の仲間は無事か?」

イチローである。
まず彼は味方の無事を確認にしようとする。
幸い、病室にいた仲間はすぐに見つかった。
ナッパ、ツバサ、はやて、地面に倒れているのはギムレーとアナキンであった。

「イチロー!」
「ナッパ、他のみんなは……」
「少なくとも病室にいた連中は無事だ……」
「アナキンさんがフォースで私たちを守ってくれたんです」

イチローたちがほぼ無傷だったのはアナキンがフォースの力でなのはの魔力から守ったからである。
無論、善意ではなくテラカオスと野球選手を一辺に失うかもしれなかったからだ。

「はやて……ツバサやみんなは無事かい?」
「ええ、アナキンさんのおかげやで」
「そうか……それは良かった」

代償としてフォースと邪剣・聖剣に選ばれた者ですら無視できない襲われた。
しばらくは立つこともままなるまい。

「クッ、万能を含む全属性半減能力を持っているのにファルシオン並のダメージ……なんて強さだよ……」

ギムレーはスターライトブレイカーを至近距離で直撃したが、辛うじて生きていた。
理由は防御力と耐性による反則並みのタフネスさに他ならない。
だがそんな彼を地に伏せさせるほどの打撃を負った。
一撃でダウンを取るほどの威力……火力面においてテラカオス化したなのはがどれほどの強さを持っているか、わかるはずだ。

「なのはとユーノの気配がしないけど、一体どこへ?」
「因子を辿ったところ、あの穴からユーノさんと一緒に行ったみたいです」

ツバサが言うにはスターライトブレイカーで浦安の地面に大きな穴を開けた。
そこからなのはは瀕死のユーノを連れて逃げだしたようだ。
ボロボロだったので追撃がなかったのはありがたかったが、おそらく地下を移動し暴走状態にある彼女は他所で惨劇を繰り広げるだろう。

「早く彼女を追って仕留めないと、より大きな被害が出てしまう」
「ギムレー! それもこれもアンタのせいや!」

あくまで冷静かつ冷徹な態度を崩さないギムレーの頬にはやての怒りの張り手が飛んだ。
張り手を受けても防御力と耐性のおかげでまったく痛くはないが、驚きだけは隠せなった。

「はやて、冷静になれ!
博士も死んだ以上、なのはは殺すしかなかった……あの場はあれが最良の手段だったんだ」
「最良やて? 仲間を殺そうとし、結果関係ないユーノくんを刺してどこがやねん!」
「ユーノは故意じゃない、事故だったんだ」

今のはやては惨劇やギムレーへの怒りもあって、明らかに冷静さを失っていた。
ギムレーは理屈でなんとか宥めようとするが……

「待て、なのは君を殺す以外の対処法はなかったのか!」
「ギムレー! なんで俺たちを信じてくれなかった!」
(ぐっ……お人好し連中め!)

仲間が仲間を殺すなど信じられなかったのか、イチローとナッパはギムレーの方に同調した。

「君たちは見てないから知らないだろうけど、なのはは物理攻撃をも無効化する力を手にしていた。
獣化していた時だったら君たちだって殺されていたかもしれない!
薬だって、もう作るだけの時間が残されていなかったんだ!
そうだろ、アナキン?」
「……ああ、ギムレーが言ったことは本当だ。
ブリーフ博士が死んだ今、僕とサラで薬を作るには時間がかかりすぎる」

「だけど、なのはを殺さんとする理屈はわかるが、悪手だったのには違いない」
「なんだと……!」
「あれを見るんだ」

アナキンが指を指した方角を見てみると、悲しむ女たちがいた。
一つは膝をついて泣くクリスとシマリスと血が染み出る瓦礫の前を中心に仲間が集まっており、他方では気絶から覚めたサラが生き残ったアウラの民と共に黒焦げになった仲間を弔っていた。
特にサラはギムレーに対して遠巻きから睨みつけているようにも見えた。

「あれは……」
「あんたのせいでベルナドットさんや、アウラの民の人も何人も犠牲になったんや!
テラカオス化についてはわかってるつもりやが、アンタが余計なこと一つしなければ、なのはちゃんは暴走せず、犠牲もでなかったんや!
死ななくても怪我をした人もいて、怪我を治すための病院もたった今崩壊したんやで!」

ベルナドットは病院が崩れる際に、クリスとシマリスを庇って瓦礫に潰された。
アウラの民はスターライトブレイカーの巻き添えで50人以上が黒焦げになった。
大きな被害と言っても過言ではない。

【ピップ・ベルナドット@HELLSING 死亡確認】

301 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:43:44 ID:wYEUBuQI0


(アナキン! 他の仲間はフォースで守れなかったのか!?)
(ダメだ……病室にいる仲間だけで手一杯だった)
(嘘だ)
(嘘じゃない! それだけなのはの魔力が高まっていたんだよ!)

ギムレーはアナキンが狸組を篭絡したように、わざと被害を拡大させたのではと疑ったが、アナキン自身もなのはの暴走はイレギュラーな事態だったため、そんな算段を思いつく暇もなかった。
そもそもこれ以上イチリュウチームのメンバーが死ぬメリットが何もないのだ。

(クッ……これからという時に、メンバーの不審を買ってしまったか)

自分なりの理由はあったとはいえ、一つの過ちでメンバーの信用を失ってしまったギムレー。
少なくともなのはは勿論、はやて・サラからは確実に不興を買っている。

「……生かすにしろ、殺すにしろ、なのはを止めなくては被害が拡大する」
「どの口が言うねん」
「はやてくん、思うところもあるが今は抑えてくれ。
なのはくんを捕まえなきゃいけないのは事実だ」

未だにギムレーへの怒りが残るはやてだったが、イチローがなんとか宥めようとする
彼は多くの仲間が殺されたことにはショックはあれが、全てがなのはのせいではないと理解し、短絡的な行動を取らない程度には冷静でいられた。

「アナキンが言うには時間はかかるが薬は作れるんだな?
なら、まだ望みはある……彼女を追いかけて治療して――」
「あの……」
「なんだい、ツバサ?」

イチローがなのはを追跡しようと仲間に促している中で、ツバサが彼の袖を引っ張った。
彼女の表情は非常に、非常に悲しみに溢れていた。



「今、遠方から彼女の因子の気質を感じました」



「もう、彼女は助かりません……」


――――

302 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:44:06 ID:wYEUBuQI0

浦安に開けた大穴から地下を通じて逃げ出したなのはは千葉県を出て、東京湾の空に出ていた。
今の彼女の体内には高濃度のテラカオス因子が宿っているが怪物の姿ではなく、正気を保っているためかレイジングハートで変身して甲冑を身にまとういつもの魔道士の姿をして飛行していた。
腕の中には腹から血と臓物を流し、時間が経つ度に青ざめていく肌をしていく瀕死のユーノであった。
彼はもはや自力では動けなかったが、なのはが海上で治癒のために魔力を注ぐと腹の傷はふさがった。

「すう……」
「ユーノくん、良かった……」

気絶からは覚めてないが、ユーノはなんとか死地から回復した。
皮肉にもテラカオス化で増大した魔力が、治癒魔法の力を高めたのだ。

「でも、これからどうしよう……」

怒りを必殺魔法に乗せてぶっぱなし、恋人の命を助けることができたため、なんとか正気を維持できたなのは。
自分自身の手で多くの仲間を殺し、つい感情的になってしまって病院を吹き飛ばしてしまった以上、イチリュウチームに自分が戻ることはできない。
ユーノだけでも浦安に返すことも考えたが、ギムレーのように仲間を平気で殺せる輩がいるとわかった以上、戻す気にもなれなかった。

「ぐッ……頭が痛い」

頭の中を埋め尽くす「世界をカオスにしろ」という言葉でなのはは、気が狂いそうであった。
今はとにかく目覚めぬユーノのためにも少しの間でも安息の地が欲しかった。

しかし、今の日本に安息の地などない。
激戦区東京やギムレーが見張っている千葉は言わずもがな。
他の県も狂信者などのマーダーが跋扈している。
日本に血なまぐさくない場所など、残されてないと思われた。

「あれは……」

だが、なのはは一箇所だけ、日本でありながら殺し合いの蚊帳の外にあった島を発見した。

伊豆諸島である。
そこには主催の基地がある場所だ。
だがなのははそれを知らないため、早期に沖縄含む離島が禁止エリアにされたことも相まって、首輪をはめた参加者は誰ひとり近寄れない場所と認識している。
狂信者もおいそれとは入れないハズだ、そう信じてなのはは向かうことにした。

今は惨劇も救済の予言も全て忘れて、とにかく休みたかったのである。

303 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:44:40 ID:wYEUBuQI0


ところで高町なのはのテラカオス進行度がどこまで進んだか、気になるものいるはずだろう。
まずユーノのテラカオス進行度は特大レベル。テラカオスへの進化寸前であった。
ユーノの進行度は精子を通じてなのはに受け継がれた。
そしてブリーフ博士と萃香を食らったのだが、その際になのははあるものを一緒に食べた。

ブリーフ博士のディパックに入っていた、風鳴翼の右腕である。

ディーヴァ転生前の風鳴翼のテラカオス進行度もユーノと同じレベルである。
ということは進行度特大と特大同士が合わさった時、なのははどうなるか――



別のことに集中していたなのはは気づいてないが、髪色にツバサと同じ銀のメッシュが徐々に入った。
そして人間としての耳が千切れてフェレットじみた獣耳が入った。
眼光は可愛らしい女性のものではなく、獣のそれと同じ。
そして、かつての貧乳歌姫と同じように黒いオーラを纏っていた。
彼女は気づいていない、浦安から地下を抜けるまでに自分が人間とは別のものに進化していたことに。




呪え! 愛と運命と感情の果てに生まれた混沌の冥王。
その名もテラカオス・リリカル。まさに生誕の瞬間である。



【二日目・20時30分/千葉県 浦安市 病院跡地】

【イチリュウチーム】
※サンプルとなる風鳴翼の右腕と解析するための必要機材を紛失しました。
 ツバサの細胞とアナキン・サラマンディーネレベルの技術者がいれば特効薬自体は生成できますが
 浦安市にはそれを可能にする機材が残っていません。
 また、機材があってもブリーフ博士存命時より格段に時間がかかります。



【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS】
【状態】消耗(大)、不安、若返り、ジェダイ風衣装、首輪解除
【装備】邪剣ソウルエッジ&聖剣ソウルキャリバー@ソウルキャリバーシリーズ
【道具】支給品一式、四条化細胞入りカプセル、ライトセーバー@STAR WARS、闇のルビー、ギンガスパーク@ウルトラマンギンガ
    ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、大量の不明支給品(アナキン確認済み/回復薬なし)
【思考】基本:世界を救うためにテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:なのはとユーノを追うべきか決める
1:対主催への信頼を得るためにはやてを利用する
2:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは消す
3:不足の事態に備えて予備のテラカオスを作り出すことも念頭に入れる
4:ユウキ=テルミが死んだので予言を解き明かせる科学者や知恵者はなるべく殺したくない
5:いざという時は四条化カプセルで新たなテラカオスを作る
6:沖縄のフォースから世界の破滅の危機を察知。色々と急がねば……
7:事件の元凶であるミヤザキの末裔は必ず殺す
8:まさかなのはがテラカオス化するとは……
※タイムふろしきで若返ったのでピーク時の姿と力を取り戻しました


【ギムレー@ファイアーエムブレム 覚醒】
【状態】ダメージ(大)、人間形態、シャドウだった者へ若干の恐怖心、首輪解除
【装備】邪竜ギムレー
【道具】なし
【思考】基本:自分以外がもたらす破滅(未来の大災害)の阻止
0:クッ、テラカオスになってしまったなのはをどうするべきか……!
1:『正確な』情報を集めて仲間をフォローする。アナキンの正体は今は誰にも話さない
2:試合の邪魔をするDMC狂信者を倒すために、本拠であるビッグサイトを攻略したい
3:都庁がまともな場所と判明したのは僥倖。変態の巣窟でも文句はないさ
4:西の邪悪な気配は警戒を続ける
5:ネット上の乳神に若干嫉妬
6:ツバサこそ大災害から世界を救う鍵かもしれない
7:オシリスは救助したいが少し厳しいか……?
8:ブリーフ博士が死んでしまった位以上、なのはの命は諦めることも視野に入れる
※外見はデフォルト設定の銀髪青年です
※首輪を外したとしても、屍兵は簡単には生み出せません
※首輪解除により、人間の姿のまま、自分自身である邪竜ギムレーを操れるようになりました
※現在、邪竜ギムレーの体を使って浦安市を覆うことでシェルターとなって外敵の侵入や攻撃を防いでいます
 『通常手段』での突破は容易ではありません
※オオナズチより、予言の情報と都庁の状況の一部を把握しました
※またオオナズチ側にもイチリュウチームの情報が伝わりました
 アナキンのことはまだ伝えていません
※ドラゴンネットワークを遮断しました。これにより情報は入りませんが、シャドウからも介入されません

304 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:45:16 ID:wYEUBuQI0


【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、尻尾切断(処置済み)、野球脳、激しい怒りと悲しみ、首輪解除
【装備】病衣
【道具】なし
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、チームを優勝させる
0:ユーノとなのは助けにいかねえと!
1:野球を邪魔するDMCは許さない
2:萃香やブリーフ博士、ベルナドットまで!?
3:拳王連合軍は本当に悪逆集団なのか?
4:ギムレーは信じたいが……
※回復したため、戦闘力がとても大幅に上昇しました
※一瞬だけスーパーサイヤ人化しました。これからいつでも変身できますが本人はまだ気づいていません

【白光炎隼神ホルス@パズドラ】
【状態】ダメージ(小)、悲しみ、首輪解除
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:世界を救うためにイチローについていく
0:非常に混乱しているが、今はツバサ達の護衛に専念
1:死んでしまった奴らのためにも頑張るホル!
2:都庁に儚げな巨乳がいるなら、向かってみてもいいかもしれない
3:ホルもソウルアーマーを遺したくなるよう人に会ってみたいホル
4:できればそれは巨乳の女の子が(ry 特にクリスやはやてみたいなええ乳の(ry
5:ツバサも乳があればなあ……

【テラカオス・ディーヴァの残滓『ツバサ』@テラカオスバトルロワイアル十周目】
【状態】健康、完全TC耐性、キングストーンにより変身可能、首輪なし、若干エントロピー減少により弱体化
【装備】キングストーン
【道具】リボルケイン
【思考】基本:テラカオスの因子を集める。この力で守れるものを守る。
0:なのはさんはもう助からない……
1:どうして人はあんなに残酷に殺しあえるんだろう……
2:私にも救えない人がいたなんて……
3:ブリーフ博士まで死んでしまった、これからどうすれば……
※ディーヴァが持っていた能力はキングストーン以外が使用不可。
※一度、テラカオスになったことにより完全なTC耐性を保持、テラカオス候補者のTCを回収できます。
※死んだことによりディーヴァの性格を引き継いでいません、これからどうなるかは不明。
※記憶を大半喪失していますが、生みの親の名前、風鳴翼が捕食で世界を救おうとしたこと、都庁での悪い思い出、沖縄で敵が現れ敗北したこと、夢で出会った男(才人)のことは朧げながら覚えています。
※仮称としてツバサという名前が与えられました
※ユーノに吸収された因子とエントロピーは通常手段では回復できません
 他者の因子を吸収することによってのみ回復します


【イチロー@現実?】
【状態】ダメージ(中)、疲労(小) 、非常に強い悔しさ、首輪解除
【装備】野球道具
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害の阻止
0:なのはとユーノの二人を追わなくては!
1:DMC狂信者を倒すために多くの仲間を集める
2:邪魔をしてくるDMC狂信者を倒すまでは試合は保留
3:予言に対しては慎重に考える
4:DMC狂信者の本拠であるビッグサイトを攻略したい
5:主催者は予言のことを知っているんだろうか?
6:オシリスが生きているなら助けに行きたい
7:できるならドリスコルだけはこの手で討つ
※ネオ・レーザービームは使用すると腕に多大な負担がかかり、あと二球以上使用すると選手生命が終わる危険があります
 いかなる回復手段を持ってもこれは回復できません


【◆6/WWxs901s氏@カオスロワ書き手】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、怒りと悲しみ、首輪解除
【装備】胡桃1500個
【道具】支給品一式、メタグロス、コルトパイソン
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、チームを優勝させる
0:なのはが怪物になっちまっただって?!
1:ハラサン……ありがとう
2:大正義を忘れない
3:目立つことも忘れない
4:予言に対して盲信気味
5:DMC信者は絶許。本当に絶許
6:なんかシマリスから俺と同じ臭いがする
※ダイゴのポケモンであるメタグロスを預かりました
 指示を従ってもらえるかは不明


【美堂蛮@GetBackers-奪還屋-】
【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、首輪解除
【装備】サングラス
【道具】支給品一式、マスターソード、魔竜石、リザイアの書、日本酒×50、不明品
【思考】
0:クソッ、何がどうなってやがる!
1:DMC狂信者、その他マーダーと達と戦う
2:狂信者の中でもドリスコルだけは特に許さねえ
3:萃香が死んだだと!?
※邪眼を一回使いました

305 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:45:51 ID:wYEUBuQI0


【ラミレス@横浜DeNAベイスターズ】
【状態】右足切断(処置済み)、監督といて生きていく決意、首輪解除、深い悲しみ
【装備】野球道具一式
【道具】支給品一式
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、チームを優勝させる
0:一体ナニガドウナッテルンデスカ!?
1:コレカラハ監督トシテガンバッテイク
2:ナ、仲間ノ皆サン……
3:ナノハサントユーノサンヲ追ウカドウカ決メル
※イチリュウチームの監督になりました
※首輪解除により、常人よりも屈強な野球選手本来の力を取り戻しました
※足がどうにかなれば、戦える可能性があります

【シマリス@ぼのぼの】
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、嘆き、首輪解除
【装備】胡桃×1500
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:仲間と共に生き残る
0: ベルナドットさんが!?
1:近日中に来る天変地異のことをより多くの者に伝える
2:胡桃の扱いを極める
3:クリスちゃんとツバサちゃんは友達でぃす!
4:6/さんを見ているとなぜかホッとする


【雪音クリス@戦姫絶唱シンフォギア】
【状態】深い悲しみ、首輪解除
【装備】イチイバル
【道具】支給品一式、その他不明、自動式拳銃×2、M16
    スピーダー、手榴弾×25、ノートパソコン、カオスロワちゃんねるに関する考察メモ
【思考】
基本:仲間を探して現状を打破する
0:ベルナドットのおっちゃん、なんで死んじまうんだよ……!
1:近日中に来る天変地異のことをより多くの者に伝える
2:もっと強くなりてぇ
3:未だにツバサが翼でないと信じられない
4:拳王連合軍にはやっぱクソだわ
5:仲間を殺したなのはに対して――?
※テラカオス化が進行していましたがディーヴァの残滓によって回収され正常に戻りました。
※死亡したベルナドットの支給品を引き継ぎました



【八神はやて@魔法戦記リリカルなのはForce】
【状態】精神不安定、非処女、死んだ仲間たちへの深い悲しみ、アナキンへの好感度(大)、ギムレーへの不信(大)、首輪解除
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、夜天の書@魔法少女リリカルなのは、アナキンからもらったピルケース、TCホール観察日記
【思考】基本:死んだ仲間たちの為にも主催を倒す
0:なのはちゃんが怪物になってしまうなんて……ユーノくんの無事が心配
1:主催者打倒と大災害阻止のために、情報と仲間を集める
2:他の参加者の都庁=ヘルヘイムの誤解を解きたい
3:恩人であるアナキンに特別な感情
4:希望だと思われたブリーフ博士まで逝ってしまうなんて!
5:ギムレーへの不信
※主催側が大災害について何か関与していると考えています(細かい部分は分かっていません)
※カオスロワちゃんねるより、風鳴翼の情報を少し入手しました
※アナキンの正体に気づいていません
※世界滅亡(次の大災害)と救済の予言の内容を知りました
 また、沖縄の天候がおかしくなっていることに気づきました


【サラマンディーネ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】
【状態】ダメージ(中)、両羽喪失(処置済み)、ギムレーへの不信(中)、首輪解除
【装備】なし
【道具】一人用ポッド、スクーナー級×450、ガレオン級×27
【思考】基本:対主催
0:なのは様、どうしてこんなことに……!
1:イチリュウチームについていく
2:滅亡を止める予言の必要性は理解したものの、未だ懐疑的
3:ナッパ様の髭が一瞬だけ金色になったのを目撃しましたがあれは一体……
※予言には主催者も関わっていると推測しています

306 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:46:36 ID:wYEUBuQI0



【二日目・20時30分/伊豆諸島基地近くの海域】

【テラカオス・リリカル(元 高町なのは)@魔法少女リリカルなのは?】
【状態】19歳の身体、魔法少女に変身中、ケモ耳、すごい罪悪感、テラカオス完成度30%
    一時的に正気を取り戻している
【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王
【道具】なし
【思考】基本:世界をカオスにし、ユーノを守る……?
0:今はとにかく休みたい……
1:今は何も考えたくない
2:ユーノを傷つけたギムレーは信用しない
  イチリュウチームに戻りたくない
※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在と日本に世界を襲った大災害が起こる未来を知っています
※ユーノの精液(四条化細胞+キングストーンの一部の力)を全身で受けた結果、テラカオス化汚染が譲渡されテラカオス候補者に。
 さらに風鳴翼の右腕を食べたことで完全にテラカオス化しました。
 特効薬でもフォレスト・セルやツバサの治療でも治せません。
※テラカオス化したユーノから受け継いだ能力として
 あらゆる攻撃を防いでエネルギーを吸収し、威力を数倍にして返す魔力の塊を発射できます
 ただしほぼ暴走状態に陥っており、ユーノ以外の敵味方に関係なく襲い掛かります
 またTCを扱うシャドウの危険を本能的に察知できるようになりました
※ユーノを通してツバサから奪ったキングストーンの能力として「ゲル化」ができるようになりました
 「ロボ化」は不明
  

【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
【状態】気絶中、疲労(大)、19歳の身体、首輪解除、全裸
【装備】なし
【道具】なし
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ……?
0:(気絶中)
1:全てにおいてなのはの安全を優先する
2:なのはを絶対に護るためにも、もっと力が欲しい
3:救済の予言の謎を解く
4:野田総理の死の原因を探りたい
5:いかなる理由があってもなのはを悲しませた主催者たちは絶対に許さない
6:博士……
※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました
※PSP版の技が使えます
※TC値と救済の予言の内容を知りました
※特効薬を使ったことでユーノ自身のテラカオス化は完全に浄化されました。

※伊豆諸島に主催の基地があることを知りません

307 ◆6qClYvksio:2019/02/09(土) 23:47:10 ID:wYEUBuQI0
投下終了です

タイトルは「lyrical」でお願いします

308あきよの破壊力が異常:2019/03/27(水) 12:20:41 ID:CWcaLh1o0
投下来ないなあ

309あきよの破壊力が異常:2019/03/27(水) 17:03:34 ID:fWB8XmJA0
>>308
自分も考えてはいるんだけど、拳王の野球パートが鬼門すぎる
サーフやらシャドウやらは倒す案色々あるのに対して野球の展開がまるで思いつかんのよ

310あきよの破壊力が異常:2019/03/28(木) 02:11:44 ID:XLy/kbTM0
俺なら一応、野球の大雑把なプロットは考えている
現在は次の野球に行き着くまでの繋ぎSSも考えている
リアル忙し過ぎて異常に難産だが

311あきよの破壊力が異常:2019/03/28(木) 02:13:07 ID:XLy/kbTM0
考えている×
作っている○

312あきよの破壊力が異常:2019/04/05(金) 21:12:38 ID:Qfdyujtw0
パロロワ以外の二次創作の話していいんだよね?

DIOって今でこそ小物悪役みたいに扱われてるけどやる夫がドラゴンクエスト5の主人公のようですとかだと大物悪役として扱われてたんだよな

313あきよの破壊力が異常:2019/04/06(土) 01:36:44 ID:9g4oadMo0
テスト

314 ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:40:46 ID:qa2XlgdE0
予約の都庁同盟軍、投下します

315決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:43:24 ID:qa2XlgdE0
この世界でも上位の神、ノーデンスから命を賭してこの世界の真実が語られた都庁同盟軍。
その直後に起きた邪竜ギムレーからの敵対者への処刑宣告。
そして定時放送。
それらを聞いた同盟軍は一丸になって動き出した。
世界を守るために。


千葉県に現れた巨大な邪竜は拳王軍と狂信者の敵なのは確実だが、敵か味方かまではわからない。
だが敵か味方かは不明だが、放置は愚策。
敵ならばいずれ殲滅する必要があり、交渉して味方にできるのならば肩を並べて戦うべきだ。
いくら世界の破滅を願う邪竜とはいえ、蒼の汚染によって自分まで破滅したくはなかろう。
何より滅ぼす者の対象に自分たち都庁を外していたところから、同盟を組める余地があると信じたい。

そこで情報収集と同時に彼方にコンタクトを取るためにオオナズチは都庁で唯一のドラゴンネットワークの使い手として、邪竜へのコネクションを探すべく、あえて誰もいない一室に引きこもった。
これがオオナズチの最後のドラゴンネットワークとなり、都庁とイチリュウチームに多大な貢献を齎すのだが、それはまた別の話。
気になる人は5264話を参照されたし。


続けて第六回放送への内容の考察。
仲間や仲間になるかもしれなかった対主催の多くが死んでいる悲しい情報の中に、色々見えてくるものもある。


一つは裏切り者の安倍総理が粛清されて、ダース・ベイダーが主催として復権したらしいとのこと。
ナノマシンをバラ撒いた存在であるのは確かだが、未だに全容が見えない10期主催陣という組織。
嘘がなければ、主催も内ゲバを起こすあたり、一枚岩ではなかったようだ。
ひょっとすると、死んだ安倍総理と主催の椅子を奪い返したベイダーのどちらかが大災害を引き起こした元凶なのかもしれない。
主催の中に元凶がいるなら内ゲバの中で死んでいてほしいが、真実は主催の誰かを捕獲しない限りわからないだろう。

一方、ベイダーが九州ロボに戻っているあたり、主催を追いかけて東京までやってきた自称対主催である超人血盟軍及び拳王連合軍への話の信憑性がなおさら低くなる。
中盤から囁かれていた拳王軍・主催同盟説が都庁の界隈でより濃厚になる。
でなければ単純な戦闘力においてベジータという状態異常耐性以外はセルすら凌ぐ存在が残っていながら、九州ロボが今も動き続けている理由がわからない。
考えられる可能性として拳王軍・超人血盟軍は主催の安倍派の味方であり主催への敵対行動もいちおう取っていたが、それは邪魔であるベイダー側を滅ぼすため。
しかし目論見は外れ、安倍派は滅ぼされてベイダー側が復権。
元は味方であれ、今後は主催も拳王軍と敵対的な行動を取るだろう……あくまで想像の範疇であるが、主催が拳王軍の敵であるにしろ味方であるにしろ滅ぼす決定事項は覆ることはない。


一つは行方不明の聖帝軍先遣隊にとって柱であったクロコダインの死亡。
都庁に先にたどり着くハズの先遣隊が都庁にいないところからして何かあったのは想像に苦しくなかったが、やはりクロコダインほどの男が死ぬほどの異常事態が発生したようだ。
紘太・チルノ・ふなっしーの三人はまだ生きているが、連絡は取れないので不安は大きい。
仲間としては当然心配であるし、彼らが戻らないと聖帝軍は野球ができないのだ。


一つは同盟を組んでいた狸組の壊滅。
五人中二人しか生き残っていない様子からして都庁から離れた後、狂信者などのどこかの強マーダーに襲われたのか……
半ば追い返してしまったレストは内心悔やむ。
彼らを壊滅させたのは最低でも殺生丸ほどの強者に最高クラスの武器である天ノ村雲ノ剣の装備を与えても勝てない敵。
さらにブリーフ博士の首輪解除技術は対主催のみならず、マーダーや狂信者も喉から手が出るほど欲しいはずで奪われたらまずい。
まだ名前の呼ばれていないはやてとブリーフ博士の無事を祈る他ない。


一つはイチローチーム・ドラゴンズ双方からかなりの数の死者が出ていること。
こちらも狂信者たちに襲われ、横浜で拳王連合軍に一部メンバーが襲撃を仕掛けて敗走したところから大半のメンバーが死亡したようだ。
特に最後の目撃情報である千葉には例の巨大邪竜がおり、なおさらギムレーが敵か味方が判断を迷わせる。
聖帝軍同様、彼らにも野球をしてもらわなければいけない。
直接会ったことは一度もないが、いずれ仲間になる存在としてこれ以上の損害がでないことを願う。


一つは風鳴翼が放送で呼ばれていないこと。
都庁に二度目の襲撃を仕掛けて撃退したところからだいぶ時間が経過した。
関西での目撃情報を最後にぷっつりと消息が途絶えたようだが、おそらく死んではいまい。
最後に相対した時は理性を保っているとは言い難かったが、それでも世界を救うために必要なテラカオスではある。
もう一度相まみえることがあれば、どうにかして捕獲したい。

316決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:44:06 ID:qa2XlgdE0



悪い情報の方が多かったが、放送には吉報も混じっていた。
ユーノとなのはの無事。
悪しき拳王連合軍の半壊。
都庁の魔物を騙っていた天魔王軍の全滅。


ユーノとはのはに関しては、仲間である桑原とエリカは素直に喜んだ。
ユーノはテラカオス化はしているが、セルがいる限り治療の余地があり、希望は残されているのだ。
あくまでネット上に上がってないだけだが、ユーノが変異したと思われるフェレット型の怪物が誰かを襲ったという情報もない。
ハス太殺害はユーノの罪ではなく、テラカオス化による暴走。
無事に合流して、セルによる触手治療ができればまだ十分に人としてやり直しができるはずである。


熱斗など拳王軍の主力の戦死は嬉しい誤算である。
特にエリカやアルルーナなど彼らを最も嫌う存在はこれまでの過ちの天罰を食らったのだと述べた。
奇襲をしかけたリオレウスがやってのけたようだ。
心の中で多くの魔物が彼に祝杯を捧げた。
拳王など残る面子も強大ではあったが、殲滅への道筋も見えてきたのは確かだ。


そして、オルゴ・デミーラ率いる天魔王軍の全滅。
桑原・エリカの情報いわく居城にしていたと思わしき首相官邸が跡形もなく爆散したので、その際に何者かに殲滅されたのかもしれない。
欲を言えば一人くらいは捕虜として捕まえて、警察組襲撃などの罪を擦り付けたことを白日のもとに明かし、都庁の無実を証明させたかったが贅沢は言ってられない。
一番いい知らせなのは違いないのだ。



さらに拳王軍の弱体化、天魔王軍の全滅を聞いて神樹は提言した。

『エネルギーが溜まって俺の秘奥義『神々の黄昏』が撃てるようになったぜ。
こいつは耐性無視の即死攻撃……どこの誰が攻めてきても、これを決めれば集団単位で全滅に追いやれる。
一回しか撃てないだろうから使い時は間違えられないが、拳王連合軍、邪竜、狂信者、主催……射程内にさえ入っちまえばどれか一つは確実に滅ぼせるぜ』

神樹が、ある意味誰であっても滅びを与える最強の武器を手にしたことは都庁同盟軍に取っては特大レベルで良いニュースであった。
射程やエネルギーを貯めなおす時間を考えるに一発しか撃てないという制約はあるが、攻めてきた敵に確実な滅びをもたらし、防衛が約束される。
例外的に耐えられるのは蒼を纏う黒き獣だけであろう。

こうなれば天魔王軍がいなくなったので敵が一つに減り、さらに一つの敵組織の殲滅を約束されたも同然。
防衛が安泰であるとすればこれまで守りしかできなかった都庁同盟軍が攻めに転じやすくなることを意味する。



そして。
ダオスはまず、小町と影薄組四人を世界樹の頂上に集めて一つの作戦を提案する。

「次の大災害まで時間が残されていない。
だが、野球をやるには数が多い狂信者が特に邪魔だ。
よって、私から狂信者を早期に攻略する作戦を立案する」

ダオスの言葉に影薄組は驚く。
散々煮え湯を飲まされた狂信者に一泡吹かせられることと、どうやって勝つつもりなのか二重の意味で。

「……で、どんな作戦なんだいダオス?
奴らの数は無尽蔵に近い。
同盟軍全体で総攻撃を仕掛けたとして、多大な損害は免れないよ」
「そうなると余力がなくなって予言の完遂は難しいっす。
犠牲なしで勝てたとしても時間がかかりすぎるだろうし」

小町とモモの意見は最もだ。
いくら強化に強化を重ねた都庁同盟軍でも数万以上は確実にいる狂信者を相手にするには骨が折れる。
防衛はまだしも、攻撃に転ずるとなると同盟軍でもいずれ地力の差で敗北、勝てても時間切れで大災害が襲いかかってる危険性が大。
そもそもビックサイトを攻めてるうちに都庁に拳王軍などの他の戦力が襲いかかってきたら目も当てられない事態になるだろう。

317決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:44:39 ID:qa2XlgdE0

「確かに真正面から仕掛ければそうなるであろう。
私が提案するのは少人数の精鋭によるビックサイトへの潜入工作だ」
「潜入工作だって?」
「そうだ、非常に危険な……しかし、DMC狂信者という組織を最低限の時間で倒せる作戦だ。
小鳥、作戦概要をまとめたものを」
「はい」

指示を小鳥がノートパソコンで潜入作戦の概要を描いた図解を影薄組に見せ、ダオスが補足する。

「私やまどかのレーザーによる超長距離射撃も考えたが、ビックサイトには魔力が集中していることを感知した。
長距離からの爆撃は、貯めていた魔力が暴発する可能性もあり危険だ。
最低でも関東圏内は跡形もなく吹っ飛ぶ」
「直接攻撃はダメか……あたいもドラゴンハートを受けてからなんとなく尋常じゃない魔力の塊を感じたが、こいつが狂信者どもが掲げているクラウザーを生き返すためのエネルギーか?」
「クラウザーの蘇生ができるかどうかも胡散臭いと思うが、参加者を殺して莫大な生体エネルギーを集めているのは確かだ。
実際、犠牲者が増える度にエネルギーも増している」

ダオスとまどかの全力全開のレーザーならば同じ県内になるビックサイトは射程内でいつでも消し飛ばすことは可能。
しかし、先にイチリュウチームのドラゴンたちが感じ取ったように、集めた魔力が誘爆して大惨事を引き起こす危険性がある。
そうなると施設そのものを消し飛ばす火力攻めの間接攻撃は不可能である。

「しかし狂信者がこのエネルギーをどう使い、本当にクラウザーが蘇生できるかどうかはさして重要ではない。
このエネルギーがそっくりそのまま無くなればどうなるか?
クラウザーの蘇生が絶対にできない状態になったとすれば?」

回答を待っているかのようにダオスは小町と目を合わせる。
小町は一息置いてから答えをだした。

「……なるほど、術だろうと機械だろうと、エネルギーを溜め込んでいる手段を奪うか壊すかすれば、狂信者はクラウザーを蘇生できなくなる。
目的を果たせないと知った組織は瓦解、最低でも大幅な士気低下はするね。
つまるところ、あたいたちにビックサイトに潜り込んでクラウザーの蘇生手段を挫け……アンタはそう言いたんだね」
「その通りだ」

この世界は蒼の汚染によって死者の蘇生ができない。
そんな中、嘘か真か亡くなったクラウザーさんを蘇生できる方法を見つけたと、ディーという男が見つけて発信したのが狂信者の興りである。
ならばビックサイトに潜り込み、その方法を無くしてしまえば蘇生の希望を失った狂信者集団は大義を失い、同時に組織力を失う。

「そのために、おまえたち影薄組の力が必要なのだ」
「あかりたちが?」
「左様だ。
そこらの擬態能力を持った魔物を上回るステルス性、潜入する分に必要な戦闘力を兼ね揃えた戦士はおまえたちしかいない」
「確かに僕らの能力は潜入工作には有用だと思いますけど……」
「不安もあるだろうが、私やレスト、まどかやセルでさえ潜入には能力面でも技能面でも不向きだ。
戦闘も全くやらずに敵地に潜入できる適任者はおまえたちしかいない」

純粋な戦闘力なら影薄組一人一人より上の人材は都庁にも存在する。
しかし、世界樹周辺ならばまだしも、味方の支援を受けられぬ敵地最深部で敵に見つかれば確実に袋叩きにされる。
ステータスだけなら最強クラスのレストでさえ狂信者の豊富すぎる戦術の前に何度も敗北しており、仲間の支援なしならばとっくにこの世にはいない。
その仲間の支援も世界樹での防衛戦ならまだしも、敵が多すぎるビックサイトの前では支援する間もなく死者スレ送りとなるであろう。
ビックサイトをいかに攻略するかは戦闘力ではなく、いかに敵に見つからずに急所をつけるかのステルス能力が鍵とダオスは見たのだ。

「アンタの考えはよくわかったが、ビックサイトに侵入するための俺たち四人以外の戦力は?」

方針を理解した日之影の質問。
確かに潜入に適正があるのは影薄組しかいない、が流石に四人だけではいざと言う時が困る。
そもそも日之影以外の三人はドラゴンハートと雀力で大幅強化されているとはいえ、元は非戦闘員。
モブ狂信者には負けないだろうが、余程のザコじゃない限りネームド狂信者相手にはまずい。
潜入作戦なのだから戦力は多すぎてもダメなのだが、少なすぎても蘇生手段を破壊する前に全滅する危険がある。

318決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:45:11 ID:qa2XlgdE0

「影薄組に同伴できる戦力は……小町だけになる」
「ついていけるのはアタイだけかい? 他に誰か連れていけそうな奴はいないか?」
「こまっちゃんの強さは長く付き合ってたからわかるし、俺らのリーダーが一緒に戦ってくれるのは嬉しいぐらいだが……」

影薄組に同伴できるのは小町のみ、このダオスの答えに小町含めた全員が不安そうな顔をする。
小町が頼りにならないからではない。頼りになる彼女がいてもまだ不安が残るからだ。

「確かに戦力的にはまだ不安もあるだろうが、これにもいくつか理由がある。
一つは都庁を防衛するための戦力が必要なこと……天魔王軍こそ滅んだが、敵はそれ以外にも残っている。
それらが一斉に攻めてくれば防衛のために外せない戦力は決まってくる」
「神樹とアルルーナはどう考えても潜入向きじゃねえし、その二人もトレーナーであるエリカがいてこそ真価を発揮する」
「さやかちゃんも都庁のみんなの怪我を治すために外せないね、セルがいる限りソウルジェムの汚れが貯まらないからレストさんでもできない無限回復ができるし」
「聖帝軍の皆さんはさしずめ対拳王軍への切り札っすね」
「透明化できるオオナズチはこの都庁で唯一ドラゴンネットワークができる人材ですし。邪竜とどうしてもコネを作らないといけませんから外せないですね……通信がすぐに終わるなんて思えませんし」
「他は戦闘できないか、潜入能力を持っていない……ん? ちょっと待て」

ここで小町が一つの疑問に行き着く。

「あたいは日之影たちと付き合ってただけにステルス能力を持っている奴らを見つけられる『慣れ』のようなものはあるけど、あたい自身にはステルス能力はないぞ?」

小町は影薄組のリーダー格と言っても過言ではないが、彼女自身はステルス能力はない。
むしろ女性にしては高い身長、赤い髪、胸にぶら下げた爆乳のせいで遠くでも目立つぐらいだ。
顔も『乳神』の通称でネット拡散されて日本中に広く拡散されている。
潜入はとても難しい……と思われたが、ダオスはこれについて回答する。

「それは問題ない、これは機械に強い犬牟田に教わったことだが……解決策は影薄組が使っているデモニカにある」
「あかりちゃん、小鳥が教える通りの手順でデモニカスーツの悪魔召喚プログラムを使って」

小鳥はあかりにデモニカスーツに内蔵された悪魔召喚プログラムを起動させ、操作を教わることで一通りの手順を覚える。
その結果。
小町は光に包まれるとあかりのデモニカスーツのコンピュータの中に入った。

『うお? あたいがあかりのデモニカの中に入っちまった!』
「びっくり仰天だよ!」

あかりのヘルメットの中に『死神 オノヅカコマチ』の驚き顔が映る。

「見ての通り、悪魔召喚プログラムには悪魔や天使、魔獣を封じて仲魔とする機能がある」
「狂信者の狭間や大和って人が使っていたものと同じっすね」
「左様。これを利用すればステルス能力を持っていない小町を、ステルス能力を持った影薄組が運搬することで恩恵を受け、ビックサイトへの潜入を容易にできるわけだ」
『なるほどねえ、しっかしこんな便利なもんがあるなら他の連中も連れていけるんじゃないのかい?』
「残念ながら大半の仲間はプログラムに『悪魔』と判定されないせいか入れない。
入ることができるドラゴン族は防衛に欠かせぬし、天使判定のカヲルは予言に必要な鎮魂歌を作らせるとために都庁に残ってもらわねば困る」

一先ず、小町の潜入問題が解決したところで、小町は悪魔召喚プログラムから出た。

319決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:45:38 ID:qa2XlgdE0

「潜入問題はよしとして、小町を選んだことにも理由がある。
クラウザーの蘇生手段を破壊したことを世間に発信する際、誰がそれをネットに流すかも重要になる」
「だったらあかりたちでも……」
「待て待て待て、発信者がおまえたちではいくらなんでも影が薄すぎだ。
映像で流しても透明人間が映しているようにし見えんだろう……オイ、気を落とすでない、あかり」
「……まあ、事実っすね。大阪のジプシー・デンジャーとの戦いでも、小町さんや混沌の騎士さんだけクローズアップされて私たち四人は半ば無視されてたぐらいっすし」
「発表者も重要つーわけか。ジーミーな俺たちじゃ世間への効果も薄い」

影薄たちは影が薄いだけに、存在を忘れ去られやすい。
組成手段を破壊した動画を掲示板に張り付けたところで無視されるか、ごく少数に見つけられても狂信者を止めるには不十分なくらいしか伝播しない可能性がある。

「そこで小町の出番だ。
誇張も入っているとは参加者から信頼されている数少ない女傑。
そんなおまえが狂信者に痛恨の一撃を与えた動画を上げれば、瞬く間に広がるだろう」
「確かに、完全に悪党扱いの他の同盟軍の仲間よりは信頼されるだろうね」
「しかも、小町さん自身にも泊がついて私たちが並行してやっている小町さん偶像計画が捗りますね」

小町が狂信者に痛手を追わせたことを世間に発表することは、並行して実行中の小町偶像計画のためにもなる。
ヘルヘイム扱いの都庁のボス扱いであるダオスを、小町が倒すという演技を行うことで参加者の混乱を沈静化させる計画は、とにかく小町のヒーロー性を上げることで効果を上げる必要があった。
この計画を実行に移すにはどうしても拳王軍と狂信者が邪魔であるし、ちょうど片方を潰すことのできるため一石二鳥とも言えるのだ。

「あ、ちょっと待った。
あたい、さっき追い払ったモブ暴徒に信頼できる対主催がいたら、都庁の近くで待ってるから会わせてくれって言ったんだけど、そっちはいいのか?」
『ならばこの俺が留守を引き受けよう』

スマホ越し語りかけてきたのは、世界樹の下層部にて心の傷を負っているきらりの介抱をしている元・悪魔超人の人間・魔雲天であった。

「魔雲天、おまえに任せて大丈夫か?」
『人間になってしまったことは都合がいい。
人間の姿の俺は世間の誰にも知られてないし、ほかの連中ほど警戒はされないハズだ。
ただ小町の仲間であるという証拠が欲しい……何でも良いからちょうどいいものを一つくれないか?』
「……わかった。あたいが主力武器に使っていた神鎗の柄がある。それをやるよ。
苦労をかけてすまないね」
『いや、きらりの件で助けてもらった恩返しをしたいと考え、人間になって弱体化した身で何かできることはないか探していたところだ。
あのお方もきっとそうするよう願うだろう』

魔雲天は悪魔超人を引退したが、悪魔将軍への敬愛や忠誠心は捨てていない。
放送で彼の名前が呼ばれた時は多大なショックを受けたが、絶望で塞がるのは将軍への無礼であると考え、非力な人の身でも戦うことを決めた。
近くのベッドで疲れきって眠っているきらりを見守りながら、それを決めたのだ。


「とにもかくにも影薄組の潜入作戦に関する疑問は以上と見ていいな?
この作戦の趣旨は影薄組による狂信者中枢への破壊工作と、偶像計画に必要な小町の泊付けの意味が込められている。
……だが、この任務は敵の懐に最低限の戦力で飛び込むため、非常に危険を伴う」
「ビックサイト内部は改装されていて殺し合い前の見取り図なんて宛にできませんし、他にもどんな敵や罠が潜んでいるかはカオスロワちゃんねるでさえもわかりません」
「作戦成功率や生還率も非常に低く、決死隊作戦と言っても差し支えない。
仮に時間の猶予があれば、こんな無茶な作戦は薦めたくない。
日之影、桃子、黒子、あかり……そして小町も、降りたいなら今のうちだ。
作戦に乗るのならば死ぬ覚悟はできているか?」

鬼気迫る表情で危険な作戦に了承するかを問うダオスと小鳥。
失敗すれば死、成功しても全滅する可能性も非常に高い作戦。
ハイリスクすぎる作戦から仮に降りてしまっても誰も責めないだろう。

320決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:46:06 ID:qa2XlgdE0

だが影薄組五人は、死ぬリスクよりも狂信者を討つことで得られる多くを救う道(ハイリターン)を選んだ。

「もう時間もないんだ、別の作戦を練り直す時間も勿体無い。あたいはやるよ」
「大活躍するチャンスを前にして主人公は引かないもん!」
「元生徒会長だってな!」
「私は小町さんや皆が一緒なら何も怖くないっす」
「五人揃わないとただでさえ少ない作戦成功率がもっと低くなります、僕もやりますよ」

五人とも、覚悟を決めて作戦に乗ることにした。

「だけどダオス、一つだけ間違いがある」
「なんだ?」
「あたいたちは一人でも多く、いや誰も死なずに、この都庁に帰ってくる。
それまで世界樹を陥落させるんじゃないよ」
「……ああ、わかっている。
ここがなくなるとおまえの偶像計画が水の泡。そして帰る場所だからな」

高い士気と世界を守るという目的意識から来る笑顔を交えた小町の啖呵に、ダオスもクスリと微笑むのであった。
この五人ならきっと作戦を成功させて狂信者組織を倒せると思っただけに。


「よし、死ぬ覚悟があるのなら、『アレ』もやってもらえるな?」
「……『アレ』?」
「時間はまだ少しだが残されている……命の前に尻を犠牲してもらえるか?」






で。

『にしゃ!』

時刻は19時ちょうど。
フォレスト・セルの口から二人の影の薄い少年が吐き出された。

影薄組の黒子テツヤと日之影空洞だ。
セルから吐き出された二人は粘液塗れで全裸であった。
周囲に女性はいなかったが、代わりにレストやサウザーと言った男性陣が毛布を片手にすぐさま介抱に入った。

「大丈夫か、日之影」
「はは、正直舐めていたぜ、彼女でもない奴に童貞より先に尻の処女を失っちまうなんてな……」
「……ご愁傷様とだけ言っておく」

普段飄々としている日之影は声をかけてきたサウザーに笑顔を向けるが、それは明らかにぎこちなく作り笑いだと思った。
笑顔がガクガクしているなら腰もガクガク痙攣している。
それを見たサウザーはなんともいたたまれない顔をしていた。

「それだけセルのテクニックはすごいのさ。
どんなに肉体を鍛えた存在もしばらくは立っていられなくなるレベルで。
まあ、君と黒子はまだまだタっているみたいだけど」
「笑えねえよ、その下ネタ。あ、やべえ、また出ちまった」
「や、やめんか! 俺の服に汚れがつくかと思ったぞ!」

経験者であるレストはドヤ顔で語り、今さっき経験者になった日之影とまだ後ろは処女のサウザーは呆れた顔をしている。

「ところで黒子は大丈夫?」
「鋼の精神力を持っているアイツのことだ。
きっとフォレスト・セルのテクニックだって――」

もうひとり、セルの加護を受けていた黒子ならばきっといつもどおりであろうと期待されていた。
ほむらが魔法少女にしてもソウルジェムが濁らないだろうと思われたぐらいのオリハルコンメンタルの持ち主だからだ。

「――――」
「あ、ダメだ。あまりのショックで固まってやがる」
「あちゃー、セルの前では黒子でもダメだったか」
「ひええ……こいつでダメなら全参加者がセルのテクニックに耐えられんだろう」
「にしゃー、しゃしゃしゃーにしゃー♪」

黒子は連載初期のジャスタウェイ顔のまま、体育座りで固まっていた。
なぜか勝ち誇り、某スローロリスのような勝利のポーズを取るフォレスト・セル。

321決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:46:48 ID:qa2XlgdE0


「男どもあと40秒でそこからどきな!
あたいたちが、いつまで経っても出られねえじゃないか」
「おお、すまねえなこまっちゃん」
「覗いたらあかりとモモと三人がかりでしばくからな?」
「そんなオオナズチみたいな真似はしないよ」
「レスト、なんとなくおまえならやりかねん気がするんだが……まあ、変なことはしないように聖帝たる俺が責任を持って見張っておこう」

未だに正気に戻っていない黒子を日之影が背負い、全裸の少年二人と聖帝とアースマイトは出て行った。
そこから入れ替わるように三人の裸の美少女達と、まどかとほむらが付きそう形で現れた。
まどかとほむら以外は一糸まとわぬ姿で夜風に晒しているためか、三人とも顔を緊張で紅潮させていた。

「トホホ、服をもらえたと思ったらまた全裸っすか……」
「ま、前の処女は取らないって言われたけど、これって事実上のセッ……とにかく怖いよ小町ちゃん。
同人誌でそれなりに稼いでる経験者からどうすれば教えて!」
「人を勝手に経験者にすんな!
幻想郷在住の人間が勝手にあたいを題材にしたいかがわしい薄い本を売り出しているだけであたいはバリバリの処女だよ!
ましてや後ろなんて……」

未成熟、美乳、豊乳の体が緊張によって出た冷や汗で濡れ、その体で小町の体に寄り添うのだから余計に艶かしい。

「あかりちゃん! 黒子くんと日ノ影さんは何も教えてくれないみたいだから、終わったらお尻は気持ちいいか教えてね!」
(クッ、仕方がないとはいえ、まどかの性知識の危険が危ない!)

天使の微笑みでさらってトンでもないことを言うまどかと、終わっても何も喋るなと熱い視線ビームを送るほむらに見守れる形で、三人の前にフォレスト・セルは口を開く。


なぜ、これからビックサイトへ侵入をしなければいけない影薄組が、こんなエロゲじみたことをしているのか?
それは沖縄に現れた蒼の精霊、破滅を呼び込む黒き獣の存在に他ならない。
黒き獣の纏う蒼はテラカオス以外は耐えらない代物。
仮に周囲に降り立てばテラカオスと候補者以外の全てが一瞬で無に帰すだろう。
黒き獣の前ではレベルの高さや耐性などただのハリボテである。

だが何事にも例外は存在する。
テラカオスほどではないが蒼に耐えられる物質を古代グンマーがフォレスト・セルを通して残してくれた。
セルに尻を捧げた存在はテラカオス因子を吸い出されると同時にアンチテラカオス抗体及び蒼への耐性を得られることができるのだ。
先に加護を受けたレスト、きらり、魔雲天は、『少しの間だけ』なら黒き獣と対峙しても死なない耐性を得ている。

現在沖縄にいる黒き獣、または獣を殺して蒼の力を得たかもしれない貧乳歌姫が、いつ東京に攻めてくるかはわからない。
もし狙われるなら海に面しているビックサイトからかもしれない。
その場合、仮に接敵した場合、耐性がない場合は戦うことも逃げることもできはしない。
そんな懸念があるからこそ潜入作戦の前に抗体を手に入れる必要があった。
唐突なテラカオス化を防いで作戦を失敗させる要因を潰す意味合いもあった。

322決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:48:21 ID:qa2XlgdE0

とはいえ、尻の純潔を捧げるのは、命を賭けることとは全く違う勇気がいる。
三人とも処女なのでなおさらだ。
ちなみにフォレスト・セルが治療で抗体を一度に分けられるのは三人までで、それ以上は効果が半減する。
かといって一度の治療は30分かかるので一人ずつは時間の無駄。
三人同時にいくしかなかった。

「て、てやんでえ! 女は度胸だ!!
命散らした奴がゴマンといるのに、尻一つ捨てられないケツの穴の小さい女でいられるかい!」
「お、応っす!」
「主人公はケツに対して根性がないほどヤワなのかい?」
「の、ノーサー!! 主人公は退かぬ媚びぬ省みぬ!!」

しかしいつまでも立ち往生はしていられない。
そこで小町は(半ばやけっぱちの)啖呵を切って二人を奮い立たせる。

「おし、じゃあ、いくぞおおおおおおお!!!」
「「おおおおおお!!」」
(もう、ヤケクソね)

気合を入れた後に槍のようにフォレスト・セルの口へ向かっていく小町と後に続く二人。
その光景を微妙に冷ややかな目で見るほむほむの図。
そして三人の期待(?)に答えるようにフォレスト・セルは口を開き、中から無数の触手が飛び出した。

「きゃん!?」
「ひやああああ! そこはらめえ!!」
「ぬ、ヌルヌルするっす!」

一瞬にして触手に絡め取られるあかり、モモ、小町の肢体。
縛られる体に、肌にくい込む触手、絞られる汗、ダダ漏れの嬌声、揺れるおもち四つ。
同性なのに思わず見とれて鼻血がちょろっと出てくるまどほむ。

「あー、やっぱりこええええ!!!」

思わずどこぞパンツレスラーが言いそうな叫び声を小町は上げながら、三人の美少女はフォレスト・セルに美味しくいただかれた。







やられたぜ。 投稿者:爆乳変態死神 (東月方日(ZUN)午後7時14分22秒)

今日の東月方日にいつもの雀士の姉ちゃん(高校一年)と目立ちたがりの団子の主人公ちゃん
(13歳)あたい(外見20代)の3人で世界樹にあるフォレスト・セルの口の中で盛りあったぜ。
今日は明日が終末かもしれんのでデモニカと武器と防具を脱いでから滅多に人が入れない所で、
そこでしこたま唾を飲んでからやられはじめたんや。
3人で触手舐めあいながら脱ぎ忘れた靴下だけになりセルが持っていたテラカオス抗体を3本ずつ入れあった。
しばらくしたら、下の穴がひくひくして来るし、触手が因子を求めて腹の中でぐるぐるしている。
姉ちゃんに口の中をなめさせながら、主人公ちゃんの口の中を舐めてたら、
先にセルの兄ちゃんがあたいの尻に抗体をドバーっと出して来た。
それと同時に姉ちゃんも主人公ちゃんにも抗体を出したんや。もう体中、抗体まみれや、
3人に出された抗体を手で掬いながらお互いの体にぬりあったり、
粘液まみれの触手を舐めあって抗体で浣腸したりした。ああ^〜たまらねえぜ。
しばらくやりまくってから又浣腸されるともう気が狂う程気持ちええんじゃ。
セルの兄ちゃんの触手があたいの腸内を突うずるっ込んでやられると
腸内が抗体と粘液でずるずるして気持ちが良い。
主人公ちゃんも姉ちゃんの口に舌を突っ込んで唇を合わせて居る。
汁まみれの姉ちゃんの雀力を掻きながら、思い切り受精したんや。
それからは、もうめちゃくちゃに姉ちゃんと主人公ちゃんと唇を重ね合い、
抗体を塗りあい、二回も女汁を出した。もう一度やりたいぜ。
やはり大勢で粘液まみれになると最高やで。こんな、グンマーの変態遺産と触手遊びしないか。
ああ〜〜早く汁まみれになろうぜ。
世界を守りたいと願う奴なら最高や。
汁まみれでやりたいやつ、至急、手紙くれや。
靴下姿のまま浣腸して、粘液だらけでやろうや。

323決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:49:08 ID:qa2XlgdE0



「小町さん! 起きて小町さん!」
「ハッ、夢か! もう終わったのか?!」
「小町さん、お尻にイれられて三秒で気絶したじゃないっすか!!」
「え? そうなの?」
「私とあかりちゃんは気絶できないだけに最初から最後まで……ウッウッ」

小町が目覚めたのは治療行為が終わり、フォレスト・セルから吐き出された後だった。
尻が広がって何かが残って感覚と、いろんな液体でヌルヌルになった裸体。
泣いているモモと、レイプ目で地面に転がっているあかりと解放を行うまどかとほむらが目に映った。

「あかりちゃん、ねえ答えて、お尻は気持ち良かった?」
「――――」
「まどか、ちょっと待ってあげて、今の彼女の精神状態では返答は無理よ」

「にしゃにしゃしゃ(アンタとモモのおもちは最高だったぜ、もう一度やりたいぜ)(キリッ」
「何言ってるかわからないのに、なぜか意味が分かる気がするっす」
「こいつ段々、オオナズチ化が進んでないか……あ、やべえ、思い出したら出ちまったよ」
「何がっすか!?」

こうして抗体と蒼への耐性を得た影薄組は、少しの休憩を挟んだ後、都庁からビックサイトへの旅路に準備を整えた。
ちなみに五人ともちゃんと服とデモニカは着た。
さらに黒子とあかりは犯された精神的ショックから15分くらいで回復した。

そして時刻は20時。
いよいよ、出発の時である。
小町をあかりの悪魔召喚プログラムに格納した後に、仲間に見送られる影薄組。

『あれ? 桑原とアイスシザースは?』
「イリヤちゃんや犬牟田くんたちも、いないね」
「桑原たちならさっき、レーザーの射程外から嫌な予感がするって言ってイリヤたちを引き連れて調査に出かけたぜ。
直に戻ってくるだろ」
「もっとも、小町さんたちの見送りはできないだろうから、代わりにエールを贈って欲しいって言ってた。
『がんばれ、誰ひとり死ぬんじゃねえぞ』って」
『ああ、あとでありがとうって伝えてくれ』

レイジとイオリが言ったとおりに、見送りに防衛や治療といった事情のために外せないメンバーと、桑原・イリヤ・アイスシザーズ、高津と犬牟田はいなかった。

『あたいたちは全力を出すから武運を祈ってくれよ』
「レストさんにほむらちゃんはあんまり無茶をするから死なないでくださいね、私の大切な友達だから」
「皆さんお元気で」
「あかりはみんなも魔物もだいすーき! だから主人公の仕事を終えたら必ず帰ってくるね」
「じゃ、期待されたからには成果をあげてくるぜ」

五人は同盟軍の仲間に別れの挨拶を終えた後、仲間の視点では幽霊のように消えていった。
四人はかつて狂信者が地下の道を利用して都庁を攻めたように、東京中に張り巡らされた地下道を通ってビックサイトに向かうことにした。

「影薄組はビックサイトに向かったか」
「サウザーさん、ちょうど高津さんたちも戻ってきたみたいです」

影薄組と入れ替えになる形でドラゴンの集団に跨った高津・犬牟田、そして生き別れだった先遣隊の三人が戻ってきた。

「紘太! ふなっしー! なんか大きくなってるがチルノも無事だったか!
ん? イリヤたちはどうした?」

クロコダイン以外の先遣隊メンバーの存命にサウザーや聖帝軍は一時は喜ぶが、高津たちの浮かない顔を見て何かを察してすぐに表情は曇った。

「イリヤは死んだ……イリヤだけじゃない、桑原やアイスシザーズも殺された」
「なに!?」
「桑原さんが!?」

高津から告げられた三人の仲間の突然の死の通告に、聖帝軍やエリカ、他の同盟軍の仲間も固まる。

「高津さんから聞いたよ、キュゥべえってのは俺らや都庁の敵なんだよな」
「キュゥべえに会ったの!? アイツは今どこに!」

キュゥべえの名前を聞いて飛びついたのはほむらであった。

「ついさっきまで近くにいたが逃げちまった……どうやら仲間の霧切や苗木を騙しているらしい。
……クソッ、仲間だと信じて向かい入れた俺が馬鹿だった、イリヤたちを殺したのは俺も同然だ。
俺は自分のことを絶対に許せねえ……」
「落ち込んじゃダメなっし、紘太のせいじゃ絶対にないなっしー……」
「どうやら事情があるみたいだけど、少し落ち着いたら話してもらえる?」

涙を流し膝をついて崩折れる紘太とふなっしー。
キュゥべえが近くにいた事実に並々ならぬ嫌な予感を感じるほむら。
困惑する周囲。

だが、事態はさらに追い打ちをかけらていく。
ズドンッ、と突然、世界樹の第一層部分から大爆発が起きた。

324決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:49:38 ID:qa2XlgdE0

「なんだ今の爆発は!?」
「まどか!」
「お、お腹が痛い…」

同時に世界樹と感覚を共有しているまどかが腹を押さえて、その場にかがみ込んだ。
彼女の腹には大きな青あざができていた。

「砲撃!? 攻撃は見えなかったけど……まさか、デスマンティスのような裏切り者がまだ中に!?」

レストはかつて世界樹を裏切ったデスマンティスのような潜伏者の攻撃を疑うが、すぐ後のまどかの言葉により否定される。

「レストさん違う……この痛みは外からきたもの、ダオスさんでも目視できない見えない攻撃だよ」
「なに、影薄組の皆のような見えない攻撃だって?」

攻撃の正体は拳王軍の投げた消える魔球である。
それが今になって着弾し、第一層の一部を吹き飛ばしたのである。
この時点では同盟軍のメンバーは知る由もないが。

「それよりもあの位置にはスノードリフトのみんなやオオナズチさんがいたはず、無事を確認しないと!!」


場面は移り、砲撃を受けた第一層の一部。
一番最初に駆けつけたのはさやかであった。

「オオナズチ……良かった無事だったのね」
「無事……とは言えんがな、さやか……」

オオナズチは普段のキモヲタじみた口調を維持できないほどのボロボロの血まみれであったが、致命傷は回避していた。
この傷もさやかの癒しの魔法があれば立ちどころに治るであろう。
……問題なのはオオナズチ以外の周囲の状態であった。

まるで内部がシェイクされたかのように樹木のダンジョンは見る影なく燃え上がり、さっきまで命だったものの肉があたり一面に散乱している。

「……スノードリフトは全滅だ、一匹残らずな」
「そんな!」

都庁の仲間、特に魔神皇戦で活躍したスノードリフトたちは今後に備えて一箇所にたむろしていたことが仇になり、たった一撃の投球で絶滅した。
もう、この世界で彼らの勇ましく遠吠えを聞くことは叶わない。

【スノードリフト@世界樹の迷宮 全滅確認】


「クソッ、我は五分前にドラゴンネットワークを切断していたから助かった!
ギムレーがチャットをしてくれなければ、玄室に閉じこもり続けていた我も一緒に死んでいた!
我が助かって彼らが助からなかった差は本当にそれだけだ……!」

オオナズチはつい先ほど、ギムレー及びイチリュウチームとのコネクションを得て、カオスロワちゃんねるの裏とドラゴンネットワークの危険性を知り、彼方が不屈の勇者足り得るテラカオスを手に入れたことを知った。
そして最後のドラゴンネットワークを切って仲間に情報を伝えるために玄室から離れたからこそ、爆心地から離れられたオオナズチは助かったのである。
仲間をむざむざと殺されたことへの悔しさか、ダオスの防空能力すら上回る攻撃への恐怖か、オオナズチは気を落としていた。

「落ち込まないでオオナズチ、まだ生存者がいるかも……あれ?」
「どうした?」
「爆心地に何かある……これは野球ボール!?」


さやかが破壊されたダンジョンの中で見つけたのは、この世界樹に不釣合いな野球ボール。
そして中には拳王軍からの脅迫じみた挑戦状と、電車ごっこロープが入っていた……

325決戦の時、迫る…前のちょいエロ回!? ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:50:25 ID:qa2XlgdE0



【二日目・20:10/東京都 新宿都庁世界樹】
※第5266話で投げられた魔球が世界樹に届きました。
 中の挑戦状と電車ごっこロープは無事です。
※聖帝軍と聖帝軍先遣隊が合流しました
 先遣隊は情報共有にて予言に纏わる進展状態と、キュゥべえの正体を知りました
※オオナズチがドラゴンネットワークで握った情報は、まだ仲間に伝播していません


【都庁同盟軍】


【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】


【聖帝軍】

【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(円亜久里)@ドキドキプリキュア!】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】
【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】
【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】


【二日目・20:10/東京都 新宿 地下道】
※ビックサイトへの潜入作戦実施中
 小町は悪魔召喚プログラムから出るまでは影薄組のステルス能力の恩恵を受けられます
※影薄組全員がフォレスト・セルの抗体を得ました
 蒼への多少の耐性を得ると同時に、今後のテラカオス化を発症する危険がなくなりました

【影薄組】

【小野塚小町@東方Project】
【日之影空洞@めだかボックス】
【東横桃子@咲-Saki-】
【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【赤座あかり@ゆるゆり】

326 ◆6qClYvksio:2019/04/07(日) 19:50:49 ID:qa2XlgdE0
投下終了です

327開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:38:17 ID:ape0A4TY0
下北沢へテラカオスの調査に出かけたホモども(道下・遠野)の帰還は、命じたセルベリアの予測よりも格段に早いものであった。
しかも有益な、テラカオス化したと思われる参加者の死骸を持ち帰るという大成果を上げていた。
セルべリアは自分とホモども以外は誰も入れていないテントの中で、集めた情報の共有を行う。

「この殺し合いの目的は人口削減ではなく、テラカオスという化物を生み出すためのもの。
……おまえたちはそう言いたいんだな?」
「はい、人口削減はもう達成できてるそうですし、主催がそれを把握できてないとは思えない」
「でも、そんなガバガバの殺し合いもテラカオスを生み出すためのものだと思えば辻褄が合う気がするんです」

ホモどもの口から教えられた、参加者の突然の発狂・怪物化、支給品の水に何かが含まれている可能性、人口削減の目的は果たされたのに終わらない殺し合い。
セルベリアもまた、ホモどもと同じくカオスロワの真の目的はテラカオスであると結論づけた。

「しかし、何のために?
テラカオスを手に入れる武力と権力が目的なら、もっと手っ取り早い手段もあるハズだが……」
「え? 都庁の魔物とか拳王軍とかいるし、主催最高戦力らしいバーダックも殺されるぐらいだから、力が欲しいだけじゃないんですか?」
「よく考えろ。
日本の支配が目的ならほぼ全参加者に首輪をつけた時点で達成されている。
自分たちに不都合な存在はその時点で首輪を爆発させて処刑させた方が手っ取り早く全てを支配できるからだ。
主催はなぜそれをしなかった?」
「……あれ?」
「そう考えるとすごく……おかしいです……」

だが、テラカオスの力が目当てであると睨んだホモ二人と違って、セルベリアは何かが解せない気がした。

(他に考えられる理由はアレか)

脳裏に浮かぶビックサイトの内部で見た、沖縄の異常気象。
セルベリアにはテラカオスがあの異常気象に関係――対抗するための何かではないかと睨む。

(だが、繋がらない。
あれを止めるのがなんでテラカオスである必要がある?
そもそもあの異常気象自体がなんなんだ?)

セルベリアには全てを破壊し、大災害の原因でもあったエネルギー「蒼」の存在を知らないため、テラカオスが蒼を吸収できる唯一の存在であることを知らなかった。
ちなみにホモどもは迷信と思い込んでいるため、救済の予言のことを伝えていない。
さらに言えば安倍の妻の情報横流しでテラカオスに纏わる計画を知っているルルーシュは、セルベリアには不要な情報として一連のことを伝えていない。
それ以前に、ルルーシュは都庁第三攻撃作戦を練り上げているので忙しく接触する暇がない。

「まだまだ情報が足りないようだ」
「どうするんです?」
「ゼロさんの知恵が欲しいですけど、作戦開始予定時刻まで時間がない。まずいですよ!」
「止むを得ん。おまえたち二人をドリスコルとゼロが指揮する攻撃部隊へ組み込む。
そうすればゼロとも情報が共有できるはずだ」

防衛のための戦力が落ちてしまうが、セルベリアはそれよりも知恵者であり狂信者内部では唯一の味方と言えるかもしれないゼロへ情報を渡すことを優先する。
クラウザーさん蘇生は第一で今も目的を忘れたわけではないが、テラカオスの情報は狂信者及び甦ったクラウザーさんの未来に関わる可能性があるからだ。

セルベリアはホモども二人がテントから出て行く前に四条下した魔理沙の死体を竜殺剣で縦に真っ二つに割った。
そして片割れをディパックに詰めて遠野に渡す。

「これはゼロに渡せ。
間違ってもドリスコルや他の狂信者には情報を渡すんじゃないぞ。
ドリスコルは信用できんし、主催のスパイが紛れ込んでいる可能性だってあるからな」
「うん(タメ口)」

死体を分けた理由はセルベリアかルルーシュ、万が一の時にどちらかが倒れてしまっても片方がテラカオスについて調査できるようにするための保険である。

328開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:39:20 ID:ape0A4TY0







そして、時刻は九時。

第三次都庁攻撃作戦……その攻撃メンバーが上層部とゼロの見解で決まった。


○ドリスコル with グレートゼオライマー(カレン)
○ゼロ    with ガウェイン
○碇シンジ  with エヴァ初号機 F型装備
○道下正樹  with ユニコーンガンダム
○遠野    with フェネクスガンダム
○司波深雪
○天龍


○兵力にモブ狂信者機甲部隊・歩兵部隊、カギ爪団半数、深海棲艦半数
○ディー、セルベリア、サーフ、松本、切歌、レジーナ、サイコマンを除くその他ネームド狂信者も参戦予定



ビックサイトでの格納庫では指揮官や隊長に抜擢されたネームド狂信者が集まっていた。
ある者は機体に乗り、ある者はヘリなどに乗って、都庁との中継地点としている港区に向かう予定である。

「さあ喜べメス豚! 次の戦場は都庁だぞ」
『いやあああああああああ! クラウザーの歌で耳が壊れるうううううううう!!』

ドリスコルは以前にゼオライマーに接続するカレンの暴走のせいでイチローたちを取り逃がす失敗をしてしまったので、今度は先手を打って作戦が始まる前に彼女の嫌いな歌を大音量で流すことで調教をする。
カレンにとっては耐え難い拷問であった。
その拷問の途中で一人のボーイッシュな眼帯少女が姿を現した。

「おおっ、やってんなあ。
ロリだったら姉ちゃんを助けてやったんだが、ちょっと外見年齢高すぎるかな」
「おまえはサーフがオシリスを加工して作ったという女だな?」
「俺の名前は天龍、フフッ怖いか?」
「フンッ、おまえや深海棲艦がどれほどの実力を持っているかは知らんが宛にはしている。
ブレインデバイスよりも使えないと判断したら容赦なく後ろから撃つからな」
「……どこぞのドラゴンみたいに後ろから不意打ちを受けてズガンなんて情けない死に方はしねえよ。
それと魔改造したマスターボールだ。作戦に役立てろ」

元・オシリスの天空竜である天龍は、目の前の男こそ自分を瀕死に追い込んだ男であると知ってはいるが、人格的には別物なので特に恨みはなかった。
ただし、提督たるサーフの命令があれば即裏切る予定ではあったが。



その一方、新・カギ爪団一行。
ゼロは九時までに作戦を立案し、ディーとドリスコルに認められた。
道下・遠野から情報とテラカオス候補者の死体を手に入れたが、正直、先に情報を得ていただけにルルーシュにとって大きな+になることはなかった。
ただ一つ、都庁を滅ぼした後でテラカオス化した死体は対主催との接触に役立つかもしれないので、何も持っていないよりはマシだ。

(こうなっては仕方ない、都庁にはナナリーのための生贄になってもらう。
それまでテラカオスの件はおあずけだな)
(お兄様は私が全力でお守りしますわ、そして私とお兄様が戦場を離れているうちに松本さんが蘇生装置を奪って、お兄様の寵愛は私一人のもの……完璧ですわ!)

「やったぜ、新しいユニコーンガンダムをもらえた!」
「僕は改造もしてもらったよ、サーフ博士様々だね!」

ホモどもはホモ・アビスを返却した後、修理を終えた機体が戻ってきていた。
それだけでなく道下のユニコーンガンダムはフルアーマーに改造。
遠野はどこかで手に入れたらしいユニコーンガンダム三号機・フェネクスを手に入れていた。
しかも宝具の槍はおまけとしてただでもらえたのだ。
これだけの大盤振る舞いの理由は以前、聖帝軍を工作動画で参加者から孤立させたことが戦果として認められたためである。



そして、ビックサイトに待機していた攻撃舞台は、都庁に向けて進軍を開始した。
ロボット兵器、歩兵、深海棲艦がぞろぞろと要塞から離れていく。
その様子を会議室でモニター越しに見つめるのがディーとサーフであった。

329開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:39:56 ID:ape0A4TY0

「ドリスコルとゼロたちにはクラウザーさんのために頑張ってもらおう。
これまでを凌ぐ戦力と人材を投入したのだから負けるハズがないと思いたいが、彼らが敗北した時のためにネオ・ジオングスーツの完成を急いでくれサーフ」
「了解、サイコシャードの調整のために完成には時間がかかってるけど、完成した暁にはどの勢力でも僕らに勝つことはできなくなるさ」
「君には期待している」
「ありがとう」

ネオ・ジオングに搭載された肝とも言えるサイコシャード発生機。
これはνガンダムがサイコフレームの共振により単機でアクシズを押し戻したように、あらゆる奇跡または悪夢を呼び込むことができる。
結果として負けでしまったとはいえ、サイコフレームの有用性はスカイツリー戦のホモどもの戦いぶりから実証済みだ。
ディーとサーフはスカイツリー戦でのデータを元に、サイコシャードを完成させるつもりなのだ。

(まあ、僕に取って有利に働くように手を加えておくけどね)

ディーはまだ知らない。
隣にいるサーフこそ、今の世紀末な情勢を作り上げた大災害の元凶……大元を辿れば崇めているクラウザーさんを間接的に殺した存在も同然であることを。



ビックサイトの外から遠くなっていく攻撃部隊を見送るセルベリア。

(さて、防衛部隊の指揮の傍ら、私はどう動くか……)

テラカオス化死体の片割れの入ったディパックを手に持ち、ゼロの支援を受けられなくなった今、どう動くか考える。
防衛の仕事を放棄するわけではないがテラカオスを調査して、主催の目的を探ることをやめたわけではない。

まずは死体や支給品の水をビックサイトの内部にいる研究者に渡して調査させたいが、その前にディーの息がかかっていない研究者の狂信者を探す必要がある。
さらに言うと、現在の兵器開発の主任にしてディーの右腕とも言えるサーフは信用ならない。
確証はないが、悪魔の勘というか本能がアレは危険だと語っている気がするのだ。



「あー! しまったデース! ゼロと会う前に出発されてしまったデース!」
「あれは……切歌たちか?」

何やら騒ぐような声が聞こえたので其方に振り返ると切歌・レジーナ・サイコマン、あと謎の喋るバイクがいた。

「ううむ、どうやら我々がガラクタ探しにモタついている内に出発されてしまったみたいですねえ」
「どうしよう……ゼロの奴がサイドバッシャーが言っていた大災害を引き起こした奴かもしれないのに」
(俺の体になる予定だったグレートゼオライマーがあんなに遠くに……ぐぬぬ)

彼らはビックサイトの防衛部隊に選ばれたのでお呼びがかからなかった、というより草加の我儘のせいでつい五分前までガラクタ探しをしていたため、見つけられずお呼びがかからなかったのである。
ゼロの正体を確かめるつもりで接触するつもりが、それが叶わなかったことに彼女らは悔しそうに遠くなる攻撃部隊を眺めるしかなかった。

330開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:41:09 ID:ape0A4TY0

「おまえたち何をしている!
おまえたちは私が指揮をする防衛部隊に配属されている。
わかったなら所定の配置に早くつけ!」
「ゲッ、セルベリアおばさんデス!」
(……おまえも私をおばさん呼ばわりか)

セルベリアは切歌の失言は聞かなかったことにして、サボってるように見えた一行を叱りつけ、すぐに仕事をさせようとする。

「待って! セルベリアがゼロをカギ爪団の新しい団長に指名したのよね?」
「だったら何だ」
「ゼロに怪しい動きはなかった?
ひょっとしたらそいつが裏切者かもしれないの!」
「なに!?」

自分とゼロがいざという時のためにディーやドリスコルへの謀反を企てていることをどこで知られたのか、セルベリアの背筋が凍りつく。

「まて、その情報をどこから手に入れた?」
「ここにいるサイドバッシャーからデス」
『厳密には疑惑がある奴って言った方が正しいけどな、ひょっとすると俺の持ち主を殺しやがった奴かもしれない』
「この喋るバイクの持ち主を殺した……?」
「ゼロは狂信者のフリをした潜伏者かもしれないんデス、まだ会ったこともないから詳しいことはわからないデスけど」
「あれだけ同志を崇めていた道下と遠野や他のカギ爪団の人が、同志のことなど忘れたみたいにゼロにベタベタですもの。
怪しむなという方が変じゃない」
(確かに……)

レジーナの言うことにも一理あった。
カリスマ性だけでは説明がつかない道下と遠野の従順ぶりからして妙だとは思っていた。
ホモどもの変わりぶりは、どちらかと言えば洗脳されたようにも見える。
狂信者の中でも異端の部類であったカギ爪団をまとめられるのはゼロしかいないと思ったので、彼を新しい首魁として任命するしかなかった。

しかし、今思えば、ディーとドリスコルは確かに異常気象をクラウザーさんのものだとして崇めるなど、知性すら失い出している点は危険と危険だが、ゼロ自身も上層部同士の仲違いを誘っているような口ぶりでもあった。
そう考えたセルベリアは――

「私が任命したゼロを疑うというのか?
そんな暇があったら、さっさと配置につけ」
「そんな!」
「仮に裏切り者がいたならば発覚した場で処刑すればいいだけのことだ。
さあ、クラウザーさんへの不届き者として私にSATUGAIされたくなければさっさと行くんだ」

強引に話を打ち切り、狂信者たちを地図に割り振られた場所に送った。
無能な上司を見るような切歌たちの落胆した顔が見えたが、今は無視する。

「とりあえず私とレジーナ、サイドバッシャーは一緒のところを防衛するみたいですね」
「残念ですが、私はあなたたちとは違う場所を防衛するようです。ここで一時のお別れです」

サイコマンは切歌とは別の場所でビックサイトを守るようだ。
この場で直接絡んでいないが、松本も既に切歌とは別の場所である、ビックサイトの外周部を守る手はずになっている。



「切歌、私たちが防衛する場所ってどこだっけ」
「すぐそこデスね」

ゼロに関して煮え切らない気持ちはあるが、今は切り替えてセルベリアに指定された場所に移動する。
ここは大人しく従ってないとクラウザーさんへの狼藉を働いたとして味方にSATUGAIされるかもしれないからだ。

「あれ?」
「ここは!?」

331開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:41:36 ID:ape0A4TY0

二人とバイクがセルベリアに指定された防衛場所……そこはセルベリアの個人持ちのテントであった。

「着いたか、周りに他の狂信者の気配は……しないな?」
「「セルベリアおばさん!」」
「静かにしろ、さっさとテントの中に入れ」

よく見るとテントの周囲には狂信者は誰もいない。
セルベリアはわざと防衛拠点の配置を操作して、テントの周囲は切歌とレジーナ以外は置かないようにしたのだ。

「セルベリアおばさん、これはどういうつもりデスか?」
「さっきはすまなかった。どうしてもサイコマンを遠ざけるために離れる必要があった」
「サイコマンを? それはどうして?」
「奴は狂信者の仲間がやられていたにも関わらず、その襲撃者をあえて見逃した裏切り者の疑惑がある。
それどころか襲撃を受ける前にSATUGAIをサボって呑気に誕生日パーティーを開いていたという話もある」
「あのサイコマンがデスか!?」
「レジーナ、奴は西武ドームでの聖帝軍との戦いで救援に間に合わなかったと言っていたが、それも本当か怪しい。
わざと救援にいかなかったのかもしれない」
「そんな……」
「証拠となる奴のモブ狂信者は全滅しているし、奴が本当は何者かはわからんが、私はとても信用できん。
だから、防衛の仕事を言い訳におまえたちから別れさせる必要があった」

セルベリアはディーとドリスコルと同じくらい、サイコマンを信用していなかった。
理由は肝心な時に仕事をしないからである。
ちなみに草加サイドバッシャーは誕生日パーティーの辺りの一件は、パーティーの主役だけに知っていたが黙っておくことにした。
自分の正体がバレる上に、実際にサイコマンが仕事をサボっていたのは間違いではないからだ。

「でもそこまでして、どうして私たちをここに呼んだんデス?」
「まさか、私たちをこの場で直々に処刑するつもりじゃ……」
「勘違いするな。おまえたちは見る限り、ディーの息もゼロの息もかかっていない、信じられそうな狂信者仲間だからこそ呼んだんだ」

切歌は狂信者のエースにして、誰もが認める熱心なクラウザーさん信望者。
レジーナはカギ爪団出身だが、ゼロの怪しい術にはかかっていないクラウザーさん信望者。
二人のクラウザーさんへの愛は本物、本当に自らの意志でクラウザーさんに殉じようとしている。
これほど熱心かつ理性が残っている狂信者をセルベリアは亡くなった天子以外は知らない。
故に信頼することにした。

セルベリアは困惑の色を隠せない切歌とレジーナの前でディパックを開け、真っ二つになった魔理沙の死体を見せる。
まるでゼロにも見せてない、心の内臓を見せるように腹を割って全てを話すことにした。

「私が知る情報や疑念を全て話してやる。
だからおまえたちも知っていることを全て話せ」

セルベリアは二人と一機を射抜くような赤く真剣な瞳の視線を向けながら、情報共有を要求した。

332開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:42:04 ID:ape0A4TY0


【二日目・21時20分/東京・ビッグサイト セルベリア個人持ちテント】

【セルベリア・ブレス@戦場のヴァルキュリア】
【状態】人修羅化、首輪解除
【装備】マロガレ@真・女神転生Ⅲ、竜殺剣ドリス@セブンスドラゴン
【道具】支給品一式、四条化した魔理沙の死体1/2
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、自爆はしたくない
0:切歌とレジーナと内密に情報交換を行う
1:ビックサイト防衛部隊を指揮する
2:小町はいつか、この手で必ずレ○プ(倒す)する
3:自爆による心中は反対、最後まで諦めたくない
4:サーフに謎の違和感
5:最悪の場合はディー達を……?
  そろそろ、あいつらヤバイ気がしてきた
6:ゼロという男に対しての疑念
※マガタマを取り込むことで人修羅化し、物理攻撃を無効化する敵にも物理攻撃でダメージを与える貫通のスキルを得ました
※竜殺剣を所持している限りは竜や龍に対して特攻ダメージを与えられます
※影薄組のことを組織に伝えました
※自爆による無理心中の件には納得がいっていない様子です
※沖縄の異常気象をクラウザーさんによるものではないと思っています
※道下・遠野からカオスロワがテラカオスを作るために開かれた可能性を知りました


【暁切歌@戦姫絶唱シンフォギアG】
【状態】決意、首輪解除
【装備】シンフォギア「イガリマ」、イグナイトモジュール@戦姫絶唱シンフォギアGX
【道具】支給品一式、クロエの首輪
【思考】基本:SATSUGAI、自分の生きた証として絶対にクラウザーさんを蘇らせる。
0:セルベリアと情報交換を行う
1:みんなの希望であるクラウザーさんは必ず蘇らせる!
2:風鳴翼については大いに失望
3:同じ狂信者仲間としてレジーナを大事にしたい
4:フィーネになってしまう自分の危険性を考慮し、クラウザーさんが蘇り次第、自分の命を断つ
5:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
6:サイコマンへの疑念
※自分が新しいフィーネになると思い込んでいるのは勘違いです
 よって、自分がフィーネになると勘違いしている時期からの参戦です
※サイドバッシャーを支給品と思い込んでおり、正体に気づいていません


【レジーナ@ドキドキプリキュア!】
【状態】健康、首輪解除
【装備】ミラクルドラゴングレイブ、電子星獣ドル、シンフォギア「シュルシャガナ」
【道具】支給品一式、ギラン円盤
【思考】
基本:クラウザーさんの復活
0:セルベリアと情報交換を行う
1:クラウザーさんの為にすべての人や魔物をSATSUGAIする
2:切歌に友情を感じている
3:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
  ついでにサイコマンも警戒
※月読調のギアの装者になりました
※サイドバッシャーを支給品と思い込んでおり、正体に気づいていません


【草加雅人@仮面ライダー555】
【状態】サイドバッシャーに憑依、テラカオス化進行(中)
【装備】サイドバッシャー@仮面ライダー555
【道具】カイザギア@仮面ライダー555
【思考】
基本:生き返る方法を探す・カオスロワちゃんねる管理人を殺す
0:セルベリアと情報交換
1:隙を見て蘇生手段も手に入れる
2:とりあえず、乾巧の仕業にする(カオスロワちゃんねる管理人以外)
3:来年のカイザの日も祝いたい
4:仲間にする奴には大災害の原因や蒼(TC)の件を教えておく。狂信者は様子見してから。
5:怪しいゼロの正体を探る。管理人だったら殺す。
6:サイコマンは別になんとも思ってないので疑われても助けない
7:乾巧が死んだので真理は俺のもの!
※大災害発生の原因とカオスロワちゃんねるの危険性を知りました
※テラカオス化によって得られた能力として無機物への憑依能力を得ました
※生き返れるタイムリミットは(作中時間で)残り55.5日です。
 再憑依のペナルティとして、一回につき蘇生タイムリミットが9.13〜55.5日まで減少します。
※テラカオス因子によって魂を現世に繋いでいるため、フォレスト・セルやツバサの治療を受けると問答無用で死にます
※カイザの日はテラカオス因子とは関係ありません。

333開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:42:35 ID:ape0A4TY0


【二日目・21時20分/東京・ビッグサイト】

【ディー@うたわれるもの】
【状態】健康、首輪解除
【装備】刀
【道具】支給品一式、クラウザーさんクローン×300、ネオ・ジオングスーツ(まだ未完成)
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、もしくは世界をSATUGAI(無理心中)する
1:黄泉レ○プシステムをさらに盤石にするため、引き続きマグネタイトは回収する
2:セルベリアを中心としたビックサイト防衛部隊、ドリスコルを中心とした都庁攻略部隊を編成する。
3:大災害などに疑問はあるが、今は後回し
4:ネオ・ジオングスーツの完成を急がせる
5:蘇生が不可能だと判断した場合は黄泉レ○プシステムを暴走させて世界を粛清する
6:シグナムは自分の手で討ちたかったが、まあ仕方あるまい
※首輪解除によりウィツァルネミテアの力をある程度解放できますが、空蝉であるハクオロの死体が見つかってなにので完全には実力を発揮できません
 また、蘇生関連の能力制限だけは首輪とは別の力が働いていると見ています
※パワーアップのためにネオジオング@機動戦士ガンダムUCを改造したスーツを開発中です
※沖縄の異常気象をクラウザーさんによるものであると思っています
※現存する組織のうち、あと三つ滅ぼせば黄泉レ○プシステムを起動できます

【サーフ・シェフィールド@アバタールチューナー2】
【状態】健康、瑞鶴の提督、支給品扱いで首輪なし、全マントラ網羅、マスタキャンセラ常備(万能以外無効)
    艦むす課金のしすぎで財布がちょいヤバめ
【装備】違法改造スマホ、四次元ポケット@ドラえもん(ディパック代わり)
    魔改造マスターボール
【道具】カオスロワちゃんねるのサーバー、カピラリア七光線銃、結婚指輪
    深海棲艦イロハ級×100、深海棲艦鬼・姫級×5
【思考】
基本:蒼の源泉の力を手に入れる
0:今は狂信者のフリをしてディーに従う
  ネオジオングスーツを完成させる
1:瑞鶴を操り、拳王連合軍に野球の試合を早急にさせる
2:真実を知った者は消す、そして殺し合いを加速させるものを助長させる
3:年増女(セルベリア)とシスコン仮面(ルルーシュ)は特に警戒
4:狙われると面倒なのでギリギリまで正体は隠す、必要のない戦闘は避ける
5:死んだ祐一郎の才能に嫉妬。ロックマンと翔鶴は必ず使い潰す
※カオスロワちゃんねるの管理人です
※古代ミヤザキの末裔であり、蒼や蒼の源泉・テラカオスなどについて全て知っています
 ナノマシンに仕込まれたプログラムにより完成したテラカオスならば乗っ取ることも可能
 予言の中にある『歌』も所持
※悪魔化ウィルスによりリアルヴァルナへと変身可能
 サイヤ人の肉を食べたことで全スキルを網羅し、戦闘力が大幅増加しました
※予言の中にある勇者についても参加者の内誰かが該当するか知っていますが、ツバサ以外の勇者は他の書き手氏にお任せします
※テラカオス・ディーヴァの残滓(ツバサ)がキングストーンの力を継承したことをまだ知りません
 また、都庁にノーデンスが現れ、真実を教えたことにも気づいていません


【サイコマン@キン肉マン】
【状態】健康、首輪解除
【装備】なし
【道具】支給品一式、イデオン、マジンガーZERO、真ゲッター1、グレンラガン、レオパルドン、ヴァンツァー(大破)その他不明
【思考】
基本:????
1:↑の目的のためにできればシルバーマンさんも勧誘したい
2:今は所定の位置について、ビックサイトを防衛
※サイドバッシャーの正体に気づいているかもしれないし、気づいていないかもしれない。
※肝心な時に仕事をしてないせいか、狂信者上層部からの信頼は薄いです


【松本人志@現実】
【状態】健康、DCS状態+大日本人化、首輪解除
【装備】浜田雅功人形
【道具】支給品一式、メトロン星人人形、グラコスの槍
【思考】基本:浜田の蘇生
0:狂信者のフリをしつつ、浜田蘇生の機を伺う
1:残り三つの組織が壊滅する寸前にビッグサイトの内部に侵入し、蘇生方法を奪って浜田を蘇らせる
2:浜田を生き返せないようなら一人でも多くの参加者をあの世に送る
3:今回名前出しぐらいしか出番なかったな…
※巨人の脊髄液@進撃の巨人を取り込んだことで大日本人に変身できるようになりました
 DCSの効果などで原作の大日本人よりは遥かに強いです
※深雪の目的を知った上で秘密の同盟を組みました
※深雪によりビッグサイトの中にある黄泉レ○プマシンの位置を把握しました
※浜田の魂が消滅したことに気づいていません

334開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:43:23 ID:ape0A4TY0



【二日目・21時20分/東京都 港区へ続く道】


【ドリスコル@フロントミッション】
【状態】健康、首輪解除、レベル・全熟練度MAX
【装備】グレートゼオライマー@スーパーロボット大戦
【道具】支給品一式、カレンデバイス(氷室美久ボディ)、魔改造マスターボール
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、もしくは世界をSATUGAI(無理心中)する
0:22時までにカギ爪団を伴って都庁を攻める、まずは港区へ集結
1:都庁攻略部隊を指揮する
2:蘇生が不可能だと判断した場合は黄泉レ○プシステムを暴走させて世界を粛清する 
3:ゼロ考案の作戦には期待している
※次元連結システムは氷室美久のボディにカレンデバイスを入れることで制御が可能になりました
 またカレン・ミューアの人格にも上書きされました
 本人は善人ですが、極度のクラウザーアンチでDMCの曲を流されると人格が引っ込んで人形のようにドリスコルに従ってしまいます
※フロントミッション1〜5のスキルを網羅しています
※沖縄の異常気象をクラウザーさんによるものであると思っています
※マスターボールが改造されて別トレーナーからポケモン(というか色々)を奪うことが可能になりました


【天龍(元オシリス)@艦隊これくしょん】
【状態】ロリコン、改二、オシリスの記憶と力を所持
【装備】艤装一式、眼帯&刀(飾り)
【道具】白ビキニ、深海棲艦イロハ級×100、深海棲艦鬼・姫級×5
【思考】基本:提督に従う、ロリにモテたい
0:ディーという奴には表向きは従い、今は都庁を攻める
1:なぜだかロリにモテたい、超モテたい!
2:駆逐艦娘のためにもサーフの計画に乗り、神やグンマーから世界を解放する
3:出会ったら敵同士だぜ、イチリュウチーム
4:敵でロリが出てきた場合は殺す前にレ○プする
※オシリスの脳を使って建造されために記憶や能力を引き継いでいます
 ただし人格は艦むすとしての天龍に上書きされています
 オシリスとしての人格を取り戻すには特別な処置が必要です
※瑞鶴と同じくサーフへの忠誠度はMAXで、裏切れません
※ロリコンだけは本能なので何をしても治りません
※オシリスを改造して作り上げたので、轟沈されるまでオシリスは放送で呼ばれません


【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【状態】健康、ゼロの服装、妹への欲求(超極大)、非常に激しい怒り
【装備】ガウェイン@コードギアス@反逆のルルーシュ、スマホ@スマホ太郎
【道具】支給品一式
【思考】基本:ナナリーを生き返らせる
0:都庁を滅ぼす作戦に参加しドリスコルに協力する
1:カギ爪団に混じりながらDMC狂信者のクラウザー蘇生方法を探る。
2:ギアスの使用は慎重にする。
3:1の為、ゼロとして行動する。
4:こうなった以上、深雪は責任持って俺が幸せにする。
5:テラカオスと大災害への対処法を探す。
6:狂信者内の潜伏者を警戒する。出来る事なら炙りだしたいが……
7:主催とコンタクトを取りたい。
8:近い内、ルルーシュとして対主催とも接触したい。
9:ディーに強い潜伏者疑惑。仮に違っても殺す。
10:松本もいつか殺す
※明恵夫人経由でテラカオスプロジェクトを知りました。
※テラカオスについてはかなり懐疑的です。
※狂信者内にテラカオスを狙う第三者の存在が居ることを推理しました
※深雪を全く疑ってません
※都庁攻撃作戦の概要は後続の書き手氏にお任せします


【司波深雪@魔法科高校の劣等生】
【状態】健康、ギアスによりルルーシュを大好きな兄として認識中、首輪解除
【装備】深雪のCAD
【道具】支給品一式 サファイヤ@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(美遊の支給品で魔法で凍結中)
【思考】基本:ナナリー含む妹キャラは皆殺し
1:狂信者を使い、先ずは都庁を攻めさせイリヤを抹殺する。
2:共犯者である松本と連携し、ナナリーの蘇生を秘密裏に妨害
  最終的にルルーシュからの愛を独占する
※松本の正体に気づいた上で秘密の同盟を組みました
※ビッグサイトの中にある黄泉レ○プマシンの位置を把握しました
※イリヤが既に死んでいることを知りません

335開始せよ 世界大戦:2019/04/11(木) 11:43:45 ID:ape0A4TY0


【道下正樹@くそみそテクニック】
【状態】ダメージ(中)、尻穴にダメージ(中)
【装備】フルアーマーユニコーンガンダム@機動戦士ガンダムUC、ゲイ・ボルグ@fateシリーズ
【道具】支給品一式、四条化した魔理沙の死体
【思考】
基本:同志のためにもクラウザーさんを蘇らせる。
0:ゼロに従って都庁を攻める
1:SATSUGAIする。
2:阿部さんや同志は僕の中で生き続けているんだ……。
3:テラカオスについては他の信者には黙っておく
4:遠野くんは大切なホモだち
※殺し合いの目的がテラカオスを作るためだと気づきました
※救済の予言を単なるデマと思っています


【遠野@真夏の夜の淫夢】
【状態】ダメージ(中)、尻穴にダメージ(中)
【装備】フェネクスガンダム@機動戦士ガンダムNT、ゲイ・ボウ@fateシリーズ、やわらかスマートフォン
【道具】支給品一式
【思考】
基本 基本:同志のためにもクラウザーさんを蘇らせる。
0:ゼロに従って都庁を攻める
1:SATSUGAIする。
2:先輩や同志は僕の中で生き続けているんだ……。
3:テラカオスについては黙っておく
4:道下さんは大切なホモだち
※殺し合いの目的がテラカオスを作るためだと気づきました
※救済の予言を単なるデマと思っています

336阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:28:15 ID:la.XL0sY0
「世界を守るため」フォレスト・セル殲滅を決定した第10期主催陣営。
多くの者が戦いの準備を進めていた。
九州ロボのメインルームでは、ジャック、紫、メフィラスがあーでもないこーでもないと、作戦を練り上げている。

「大量の狂信者が港区に集まり出している。
狂信者による三回目の都庁攻略作戦があると考えるべきか」

モニターには目視ではとても数え切れない数の狂信者がぞろぞろと港区に集まっていた。
本拠地のビックサイトからだけではない。
他県の、日本中からクラウザーさんを信望していた(または鞍替えした)狂信者が港区に集まっている。

「数だけで都庁に勝てるかは疑問だけど、私たちにとっては都合が良いわね」
「狂信者と挟撃する形でフォレスト・セルを殲滅、もしくは戦いで双方が疲弊した瞬間を狙って漁夫の利的にフォレスト・セルを撃破した方が得策でしょう」

狂信者が三度目の都庁襲撃作戦を企てているなら好都合。
九州ロボを取り戻した主催陣営でも真正面から都庁と戦うには危険なため、他方から別の勢力が攻めてくれれば、非常に戦いやすいのだ。
狂信者そのものも、大災害を防いだ後の日本には確実に邪魔になるため、都庁または主催の手で殲滅されても都合が良い。

「しかし、都庁や狂信者以外にも懸念材料がいくつかあるな……」
「拳王連合軍、イチリュウチーム、黒き獣ね」

考えの読めない拳王連合軍。
アナキンも潜伏しているイチリュウチーム。
この世界に取って絶対の敵である蒼の精霊、黒き獣。

今は横浜に留まっているが拳王連合軍がいつ、我らが主催含む他の勢力に挑んでくるかわからない。
それでフォレスト・セルを倒してくれるのならば嬉しいが、それは取らぬ狸の皮算用だろう。

イチリュウチームは純対主催チームであるが、都庁に騙され(または都庁自身もセルの危険に気づかぬまま)、都庁の味方になってしまう危険は多いにありうる。
アナキンだけでは止められるか怪しい上、そもそもアナキン自体も知らないまま、味方する可能性があるのだ。

そして沖縄の黒き獣。
どういうわけか沖縄から全く動く気配がないが、いつ動き出して本州に攻めて来るかわからない。
仮に気が変わって本州に攻め込もうものなら、蒼を纏っている以上テラカオス以外の誰も黒き獣を止められないのだ。

「机上の空論的に話しますと、他はまだ融通が効くようにも感じられますが
黒き獣だけはイチリュウチームに捕らえられているテラカオス・ディーヴァぐらいしか対抗ができませんね」
「その貧乳歌姫も一度黒き獣に敗れて大きく弱体化している」
「だが、我らの手元にテラカオスがない。
どれだけ策を弄しても火力を有してもコイツだけはどうにもならん。
さりとて放置するわけにもいかんが、どうしようもないな……」

この盤上にとって例外中の例外、それが蒼を行使できる黒き獣なのだ。
対抗できるのは蒼を吸収できる体質のテラカオスのみ。
だが肝心のディーヴァはツバサに転生する際に弱体化し、サーシェスと安倍は既に死亡済み。
草加は候補者止まりで覚醒にはほど遠く、他は死亡または治癒されてしまった。
ユーノはテラカオスへの進化にリーチがかかっているが、ギムレーの内部にいるので生存は望み薄だ。
貴重な四条化細胞のカプセルはアナキンに渡してしまったし、主催陣営に即興でテラカオスを手に出来る手段はなかった。


「大変よ、みんな!」

そこへ九州ロボのファクターに戻ったココが、作戦会議中の三人に慌てたような声で呼びかけた。
彼女はセル撃滅作戦に役立つ情報を手に入れるために、ついさっきまでモニターと睨めっこをしていた。

337阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:29:33 ID:la.XL0sY0

「どうしたのココ?」
「今、情報が入ったんだけど、第四のテラカオスが覚醒したわ」
「!!」
「ユーノ・スクライアがとうとうテラカオスに至ったか」
「いえ……違うわ」
「なに?」

ジャックたちはユーノがテラカオスに進化したのだとばかり思っていたが、ココがそれを否定したことに目を丸くする。

「テラカオス化したのは彼と行動を共にしていた高町なのはの方よ。
ユーノの方は、突然テラカオス化がなくなったから、ディーヴァに治療されたのかもしれない」
「高町なのはって……彼女はどれだけストレスを与えてもテラカオス化しない陰性の参加者だったじゃない?」
「詳しい理由はわからないけど近くにアナキンもいたからおそらくは……」
「そうか、彼が四条化細胞のカプセルをなのはに与えたのか」

なのはのテラカオス化についてはアナキンが四条化細胞を入れたカプセルを彼女に飲ませたのだろうと予測する。
実際は違うのだが、今はそんなことはさして重要ではない。
大事なのは新しいテラカオスが生み出された事実である。

「イチリュウチームから離脱したところからして、単純な戦闘力は貧乳歌姫を凌駕しているみたいね。
ナノマシンから発信されたエントロピー計測値も大したものよ」
「それは良い……しかし、イチリュウチームから離脱した彼女は今、どこにいるのですか?」

テラカオスが生まれただけならココがこんなに焦る必要はない。
普段冷静な彼女が焦るのはそれだけの理由があるはず。
メフィラスはそう睨んだ。

「……なのは、そして彼女に囚われたユーノの現在地は伊豆諸島よ」
「なんですって!?」
「すぐに伊豆諸島基地にいるヤンとメディアに繋ぐんだ!」

部屋のモニターが、伊豆諸島基地に繋がる。
通信に出たのはメディアと、微妙に似合っていないシスの暗黒卿の服とヘルメットを着たヤンだ。

「二人共まだ無事か」
『ええ、まだ向こうはこちらに気づいてないみたい』
『いつかはどこかの勢力がここに攻め込んでくると思っていましたが、いや〜まさかたった二人で乗り込んでくるとは思いませんでしたよ』

ヤンは飄々としているが、伊豆諸島基地は戦略的に意味がなくなっただけに主催の戦力は引き払っていた。
残っているのはサーヴァントであるヤンとメディア、雑用のクローンヤクザ数十人程度で、後はTIEファイター一機すら置いてない最小限の戦力だ。
テラカオスと化したなのはを相手にするにはどう考えても足りない。

「見つかれば戦闘になる可能性が高い。どうにか隠れてやり過ごせ」
『ええ、彼女らを刺激しないようにどうにか――』


その時、モニターの奥から爆音が響いた。


『……気づかれてしまったみたいね』
『あちゃー……ダメだったが。
仕方あるまい、例によって機密情報は全て破壊した後、迎撃行動に移ります』

どうやらなのはに感づかれてしまい、先制攻撃を受けたようだ。

338阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:30:18 ID:la.XL0sY0

「行けません! あなたたちの戦力ではタカがしれている! ジャック、すぐに救援を」

ヤンとメディアはサーヴァントとしての契約上、伊豆諸島から出られない。
魔力供給もできないので戦力的にも大したことはできない。
メフィラスはジャックに救援を頼むが、拒否されてしまう。

「ダメだ、今からでは間に合わん。犠牲になる戦力の見積もりを考えても伊豆諸島基地に救援を回すのは割に合わん」
「そんな!」
『残酷なようだけど、ジャックの判断は正しい。
伊豆諸島基地は定時放送を行うためのTVスタジオ程度の価値しかないからね』

メフィラスは不服であったが、現場にいるヤン側は本陣が戦力を回せない理由を理解していたため、覚悟をしていた。
ヤンとメディアは伊豆諸島で果てるつもりなのだ。

『まあメフィラスの気持ちはありがたいが、あなたたちにはまだ生きてもらわねば困る。
な〜に、我々サーヴァントは誰しも一度は死んだ身だ。
死んだところであるべきところに帰るだけだよ』
『とはいえ、ただでは死にません。
せめてテラカオスの成長を促す薪ぐらいにはなりますわ』
『そうそう、ここにいる彼女と一緒にフォレスト・セルに関する攻撃プランを考えたんだ。作戦に役立てて欲しい』
『あと敵に立ち去った後にセイバーの模型が無事だったら回収しておいてね、力作だから』
「ヤン、メディア……」

これから死ぬ身でありながら、画面の中のヤンとメディアは笑っていた。
メフィラスから思わず声が漏れる。

『じゃあ、ジャック、ココ』
『あちら(冥府)で会いましょう』
「ええ」
「いつか必ずいく、待っていてくれ」

二人が迎撃に向かう映像を最後に、通信は途切れた。
同時に二人が考えたフォレスト・セル攻撃プランの概要がデータで転送された。





10分後


「くう……参ったね、クローンヤクザは3分持たずに全滅、我々も既にボロボロだ」
「むしろ、これだけの戦力で良く10分も持ったわ。さすがはコマンダー、魔術師ヤンと言われたことだけはある」

ヤンが口にした通り、基地にいたクローンヤクザは全滅済み。
二人のサーヴァントも既にボロボロであった。
伊豆諸島基地は一時は主催陣営の重要拠点だっただけに、侵入者を阻む罠や策が敷かれていた。
アナキンたちが去った後でもそれは機能し、裏切りの魔女メディアと銀河自由同盟の魔術師であるヤンの手によって一山いくらの参加者では突破できない要塞となっていた。

目の前の少女はメディアとヤンの罠を10分かからずに魔力のゴリ押し一つで突破してきたのだ。
テラカオス化、そして鬼である伊吹萃香の妖力を喰らい、魔力を増大させた魔法少女・高町なのは――またの名をテラカオス・リリカル。

「こんなところに隠れていたとは思わなかったわ、ダース・ベイダー!!
よくもユーノくんや私をこんな体に! フェイトちゃんと、ヴィヴィオの仇!」

地獄を支配する冥王の如く、ケモ耳魔法少女の表情は般若のように歪んでいた。
ヤンの今の姿はダース・ベイダーの格好にマスク、ボイスチェンジャーも外していないので、主催の顔とも言えるベイダー卿さながらである。
ベイダーはなのはの視点ではこの殺し合いを起こした憎っき存在であり、テラカオス化を誘発する瘴気をばらまき、親友と未来の娘を殺した元凶である。
幾多もの惨劇を殺し合いの中で味わったからこそ彼への憎しみはユーノ並、もしくはそれ以上であった。
ちなみに気絶していたユーノは戦闘に巻き込むと危険だったため、伊豆諸島の安全そうな洞穴に隠した。

339阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:31:02 ID:la.XL0sY0

(どうしてベイダー卿の服を着てきたの?)
(この姿のまま死ねばベイダー卿の死亡を偽装し、イチリュウチームにいるアナキンの安全を確保できると思って)

ヤンがベイダーの姿のまま戦いに挑んだのは、一重にベイダーの影武者として死ぬことで潜伏しているアナキンに目を向けさせないためだ。
少なくとも目の前のなのはにだけはアナキンの正体を悟らせないことに繋がる。

「絶対に殺してやる、殺してやるの!!」

目論見どおり、少女の殺意はヤンに向き、今まさに必殺の一撃を放たんとしている。

(元々、死ぬつもりで、テラカオスの成長を助けられるならと思って、このまま瞬殺だと成長の糧にもならんな。
せっかく死ぬなら、それじゃ面白くないな)
「メディア、アレを使う。余に合わせろ!」

テラカオスを成長させるのは殺し合いのストレス……すなわち死闘の中でしかありえない。
このまま簡単にやられてしまうと+にならないと思ったベイダーに扮したヤンは、策のためにキラキラ輝く粉のようなものをディパックの中からなのはに向けてバラ撒いた。

「粉!? こんなもの……」
『いけません! マスター!!』

なのはは構わずに敵に向けて魔法攻撃を行わんとするが、その瞬間、彼女の周囲で大爆発が起こった。

「ゼッフル粒子……敵であったキルヒアイスが得意とした戦法だ」

ゼッフル粒子とは、レーザーやビーム砲くらいの高温で発火・爆発する特殊粒子、爆弾のようなものだ。
撒かれた粒子がなのはの魔力に反応して爆発を起こしたのである。

「ゴホッゴホッ、だけどこんな目くらましなんて!!」

テラカオスに進化する前のなのはならまだしも、今のなのはの防御力の前ではかすり傷一つつけることもできない。
僅かな時間の攪乱で精一杯であった。

「いや、目くらましで十分だ、メディア!!」
「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)!!」

しかしなのはが爆炎で目がくらんでいる瞬間に、メディアが歪な形状の剣を手に持って吶喊し、なのはを斬りつける。
彼女が手に持っていたのはクロエがルルーシュの絶対尊守のギアスを破戒した者と同じ……というよりこちらがオリジナルの魔法殺しの刃である。
そしてその刃が『彼女』を殺した。

一閃の後、なのはの甲冑が解除され、豊満な裸体をヤンやメディアに晒した。

「あ、ああ……」
『マ、ス、ター…――』


「レイジングハートッ!?」


破戒されたのは高町なのはの愛杖にして親友の一人とも言えたレイジングハート。
メディアの刃はなのは自身ではなくレイジングハートに振るわれ、宝具ならぬデバイスである彼女を破壊したのだ。
こうなるとレイジングハートは修復不能、ただ赤い宝石として地面に落ち、そして粉々に砕け散った。

(できればユーノ・スクライアの方が効果的だったが近くにいないなら仕方あるまい。
可哀想だが世界のためにも犠牲になってもらうよレイジングハート……)

「レイジングハートまで……いくつ私の大切なものを奪ったらあなたたちは気が済むのッ!!!
ウオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

なのはがもう一人の親友の死に叫ぶと、彼女の憎しみの心に呼応するように獣化が始まった。
ヤンの目論見通り、テラカオスの成長は更に進行したのだ。
それもレイジングハートによる魔法少女への変身が足枷になるレベルまで。
サーヴァントたちはそれを肌で感じていた。

「コマンダー……」

なのはが巨大フェレット似の怪物になった瞬間、メディアの肉体は爪のひと振りでバラバラになり、肉片を地面に撒き散らしたあと、魔力として消えていった。
彼女は殺される寸前に振り返ってヤンと視線を合わせたが、これから殺されることを理解していながらも、やり遂げたような微笑み顔を向けていた気がした。

そして、ヤンも完全に怪物となったなのはが放った魔力の弾丸で腹をえぐられる。
腹に風穴が空いたヤンの口から血の塊が吐き出された。

「ぐわッ!」
「シネェ、ベイダァーーーーーーッ!!!」
「やれやれ……」

急接近したなのはは爪の一撃でヤンにトドメを刺そうとする。


「そこまでです!」

瞬間、なのはとヤンは照明に照らされ、動きを止めた。
気がつくと伊豆諸島にはいなかった、主催の兵士たちに囲まれていた。
その兵隊の中心にいたのがメフィラス星人と八雲紫であった。
それだけならなのはが手を止める理由にはならず、これだけの戦力ならばなのは単体での殲滅も容易であった。

「そのまま暴れても良いけど……ここにいる彼が死ぬことになるわよ」
「な、のは……」
「ユーノクンッ!?」

洞穴に隠したハズのユーノは引きずりだされ、主催に捕まって人質となっていた。
防御面では最高クラスの魔術師であるユーノであるが、それはデバイスがあればの話。
丸腰状態の彼が人間より遥かに強い宇宙人や妖怪に勝てる道理はない。

340阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:32:41 ID:la.XL0sY0

「動かず、できるものなら怪物化を解いてもらいたい。
流石にあなたの魔法弾や爪より私たちの攻撃が彼を貫く方が早い。
もし従えないのであれば、こちらの彼には死んでいただく」

メフィラス星人はあくまで紳士的に、なのはに降伏勧告をする。

「ダメだ、なのは! 僕に構わず……」
「ダメ……ユーノくんが死んだら私生きていけない……」
「なのは!」

ユーノの言葉を聞けず、なのはは怪物化を解いた。
恋人の身柄を最優先にしたのだ。
そして紫はなのはが変身を解いて、元の美女の姿になったのと同時に二人に首輪をつけた。

「特別性の首輪よ、狸組の連中が見つけた方法では絶対に取ることはできないわ。
片方が逆らった瞬間、二人共は死ぬことになるわ」
「くッ……」

ユーノとなのはにとっては屈辱的敗北であった。
多くの者を不幸に巻き込んだ存在に再び首輪をつけられつつも、今度は逆らうことも許されなくなったのだ。

「僕となのはをどうするつもりだ……!」
「何か勘違いしているようだけど、私たちはあなたたちを迎えに来たのよ」
「なに?」

紫の言葉にユーノとなのはは驚く。



「私たちはあなたたちをスカウトしにきたのよ、我々主催陣営プロジェクト・テラカオスの仲間にね」
「どういうことなの?」
「あなたたちも知らない、この世界と殺し合いの真実……それも教えてあげる。
さあ、生きたいのならば知りたいのならば、このどこでもドアに入って……ついでにずっと裸じゃ寒いでしょうから服も一式ずつ容易したわ」

なのはとユーノはを互いに手を握りあった後に幾人かの主催兵士と共にドアの中への入っていった。
逆らえば死しかなく、真実を知り主催の目的を探るチャンスでもあったため、二人に残された道は進むしかなかった。

九州ロボへ連行された二人の参加者を尻目に、メフィラスは傷を負い倒れたヤンの下へ駆け寄っていた。

「救援はありがたいが、少し遅かったね。
この傷じゃとても助かりそうにないな……」
「すみません、準備やジャックを説得するのに時間がかかってしまって……」
「いいんだ……」

ヤンが負わさた怪我は致命傷であり、もう数分も生きてはいられない。
にも関わらず、ヤンは余裕そうな口調でメフィラスに返す。

「座に帰る前に聞きたいことがある。
……なのはとユーノを主催陣営にスカウトするって、誰の発案だい?」
「私です」
「君か……なるほど、よく考えたね」

テラカオスは蒼から世界を救う力があるとはいえ、基本的に制御不能。
以前の貧乳歌姫、サーシェス、安倍がそれを証明している。
ユーノが絡むとなのははしばらく正気に戻るようだが、それもいつまで続くかわからない。
理性を保ったままテラカオスであり続けるツバサが例外中の例外であったのだ。
そんな危険な存在をあえて手元に置こうとする意味は――?

「――テラカオスとなったなのはと、沖縄の黒き獣とぶつけるつもりだね?」
「さすが、魔術師ヤン、もう考えを読まれましたか」

これからフォレスト・セルを討伐し、救済の予言を完遂した上でテラカオスを完成させねばならないのにシャドウだったもの――黒き獣は大きな障害だ。
その理由は拳王軍や狂信者よりも融通がきかず、どれだけ強かろうともテラカオス以外は蒼の汚染により問答無用でやられてしまうことになる。
だがテラカオス・ディーヴァは敗れてしまった。
黒き獣を止める手段はないと思われた。

そこへ盤上にテラカオス・リリカル(なのは)の存在が現れる。
彼女は歌姫以上のエントロピーを持ち、かつユーノから受け継いだ魔力反射能力を持っているらしく、ディーヴァ以上に黒き獣への勝ち筋が見えるのだ。
最悪、リリカルが敗れてもツバサは残り、逆にツバサが殺し合いの中で死んでもリリカルが残る可能性も出てくるのだ。
両方生き残ったら戦い合わせてどちらかを完成に導く。

「だがどうやって説得するつもりだい?
真実を教えると言っても、少なくともなのはの方は生き残れないよ。
彼女自身はもちろん、ユーノの方がそれを認められるかな?」

テラカオスは暴走した源泉から莫大な蒼を吸収した後、自身が世界の驚異とならないために自壊するようナノマシンにプログラミングされている。
テラカオスになったら最終的には助からないのだ。
依存と言えるまでに愛し合ってるなのはとユーノが事実を許容できるとはとても思えない。

「真実は教えますが、同時に嘘も教えます」
「具体的には?」
「計画の中にある、テラカオスに自殺プログラムがある点は隠蔽。助かる可能性を見せる。
エックスの遺した記録についても、テラカオスゼロが大災害を止めて散ったのではなく、後の騒乱で死んだことにしました」

なのはとユーノに改竄した計画と古代の記録を見せることで、あたかもテラカオス化しても助かる見込みがあるように見せかけるのだ。
希望が見えてくればこちらの指示にも従いやすくなるだろう。

341阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:33:11 ID:la.XL0sY0

「メフィラス、良い死に方はできそうにないね」
「尊き人類と世界を守る……その覚悟の上です」

悪質とまで言われたメフィラス星人のやり方と、強い覚悟にヤンはマスクの下で苦笑する。
その時、ヤンは自身の力が急速に抜けていく感覚が襲った。
身に覚えがある感覚だ。

「お……っと……お迎えがきたようだ……」
「ヤン提督…」
「穴が空いてしまったが…ベイダー卿のマスクとスーツはお返しする…
放送はモブ兵士にでも着せて……続けたまえ……」

アイコンタクトで後は任せたという視線をメフィラス星人に送り、コマンダーことヤン・ウェンリーは光となって消えた。
人間から見ると表情がわかりづらいメフィラス星人と、人間に近い見た目だが特に悲しい表情は見せてないように見える八雲紫。

しかし、ヤンやメディアを喪った感情に関しては、紫の手にセイバーの模型が握られていたことと、メフィラスが譲られた黒づくめの衣装をギュッと握り締めていたことが答えであろう……




「うッ……」
「ここは……」
「ようこそ、我らが主催陣営へ。ここは九州ロボの中だ」

なのはとユーノの二人がどこでもドアを抜けた先は九州ロボの格納庫。
そしてはやてより教えられた五大幹部の生き残り、ジャック・Oがいた。
ジャックの横には一台のTVが用意され、それは対主催二人にとって最も欲しい情報が映し出されていた……
なのはが最終的に死なねばならないという事実を除いて。



【ヤン・ウェンリー@銀河英雄伝説 死亡確認】
【メディア@Fateシリーズ 死亡確認】




【二日目・21時00分/東京の上空 九州ロボ】


【主催共通】
※予言の真実や古代に起きた出来事を知りました
※予言に必要な鎮魂歌を得ました
 九州ロボがミヤザキ産の器足り得る巨像であると知りました
 手元にはありませんが勇者が『ツバサ』、巫女が翔鶴とまどか、最良の九人が野球チームだと確信しました
※都庁同盟軍が予言や蒼、フォレスト・セルの罠について知っていることに気づいていません
※カオスロワちゃんねる管理人の存在にも気づいておらず、自分たちの手で掲示板を支配していると思い込んでいます

【ジャック・O@ARMORED CORE LAST RAVEN】
【状態】リンクスに改造
【装備】フォックスアイ(ネクストに魔改造)@ARMORED CORE、拳銃
【道具】ヒトマキナ・MS・TIEファイター×100、オーバードウェポン一式、古代のメモリーチップ
【思考】基本:世界滅亡を阻止するためにテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:都庁にいるフォレスト・セルを撃滅する作戦を立てる
1:0の前に(改竄を加えた)プロジェクトテラカオスとエックスの記憶を見せて
  ユーノ、なのはを我々の手駒に加える
2:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは抹殺する
3:アナキンの回収は後回し、後で何らかの方法での情報共有を行いたい
4:フォレスト・セルの撃滅が終わったら残滓(ツバサ)と翔鶴も回収したい
  鎮魂歌に最適な歌い手も見つけたい


【ココ・ヘクマティアル@ヨルムンガンド】
【状態】健康、九州ロボのファクター、ショタコン
【装備】九州ロボ、ライトセーバー@STAR WARS、拳銃
【道具】商品(兵器)、、ダークスパーク@ウルトラマンギン、スパークドールズ(ダークザギ)、スパークドールズ(八坂真尋)、モブ兵士×950、
     主催倉庫から持ち出した無数の支給品、力を失ったドラゴンボール
【思考】基本:ヨナ達を奪った大災害を防ぐべくテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:都庁にいるフォレスト・セルを撃滅する作戦を立てる
1:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは撃つ
2:不足の事態に備えて予備のテラカオスを作り出すことも念頭に入れる
3:真尋キュンprpr(死んだニャル子の分も愛でてあげる)
4:ヤン、メディア……
※スパークドールズ化した八坂真尋、ユーノを元に戻すにはダークスパークもしくはギンガスパークが必要です

342阿修羅姫:2019/04/19(金) 17:33:55 ID:la.XL0sY0


【メフィラス星人@ウルトラマン】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、タイム風呂敷、ビックライト、ダース・ベイダーの服とヘルメット、ボイスチェンジャー
【思考】
基本:アナキン達に従い、世界滅亡を防ぐ
0:改竄を加えたプロジェクトテラカオスとエックスの記憶を見せてユーノ、なのはを仲間に加える
1:尊い地球人が死ぬのは不本意だが、全滅回避のために多少の犠牲は止むなしと考えている
2:なるべく暴力は使いたくない
3:ところで遺跡の前のバサルモスの死体は結局なんだったのでしょう?
4:ヤンさんとメディアさんの犠牲は無駄にはしませんよ……!
※ユーノとなのはに見せるプロジェクトテラカオスの全容とエックスの記憶は
 完成したテラカオスの結末が生きている形に変わります


【八雲紫@東方Project】
【状態】健康
【装備】傘、扇子、スペルカード@東方Project
【道具】ソロモンの指輪、仙豆×55@ドラゴンボール、ネビュラスチームガン@仮面ライダービルド、ギアエンジン@仮面ライダービルド、セイバーの手作り模型
【思考】基本:幻想郷を守る為に主催を手伝う。
0:都庁にいるフォレスト・セルを撃滅する作戦を立てる
1:どのような事をしても幻想郷を守る
2:仲間と認めた存在の犠牲を無駄にはしない
※境界を操る能力に制限がかかっています



【テラカオス・リリカル(元 高町なのは)@魔法少女リリカルなのは?】
【状態】19歳の身体、ケモ耳、すごい罪悪感、テラカオス完成度50%
    一時的に正気を取り戻している、特別性の首輪
【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王
【道具】なし
【思考】基本:ユーノの安全を最優先
0:ユーノくんの身が危ないので今は主催に従う
1:ユーノを傷つけたギムレーは信用しない
  イチリュウチームに戻りたくない
2:レイジングハートまで失ってしまった……
※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在と日本に世界を襲った大災害が起こる未来を知っています
※ユーノの精液(四条化細胞+キングストーンの一部の力)を全身で受けた結果、テラカオス化汚染が譲渡されテラカオス候補者に。
 さらに風鳴翼の右腕を食べたことで完全にテラカオス化しました。
 特効薬でもフォレスト・セルやツバサの治療でも治せません。
※テラカオス化したユーノから受け継いだ能力として
 あらゆる攻撃を防いでエネルギーを吸収し、威力を数倍にして返す魔力の塊を発射できます
 ただしほぼ暴走状態に陥っており、ユーノ以外の敵味方に関係なく襲い掛かります
 またTCを扱うシャドウの危険を本能的に察知できるようになりました
※ユーノを通してツバサから奪ったキングストーンの能力として「ゲル化」ができるようになりました
 「ロボ化」は不明


【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
【状態】疲労(大)、19歳の身体、特別性の首輪
【装備】なし
【道具】なし
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ……?
0:なのはの身が危ないので今は主催に従う
1:全てにおいてなのはの安全を優先する
2:なのはを絶対に護るためにも、もっと力が欲しい
3:救済の予言の謎を解く
4:野田総理の死の原因を探りたい
5:いかなる理由があってもなのはを悲しませた主催者たちは絶対に許したくないが……クソッ!
※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました
※PSP版の技が使えます
※TC値と救済の予言の内容を知りました
※特効薬を使ったことでユーノ自身のテラカオス化は完全に浄化されました。

343:2019/06/13(木) 17:51:46 ID:SwoZ9ll60
なのはの突然のテラカオス化により、被害を受けたイチリュウチーム及びアウラの民。
彼らは特に怪我がひどいアナキンとギムレーを応急処理を施しつつ、最後のドラゴンネットワークで得たギムレーの有力情報と、追先ほどのなのはの暴走に関する情報を集団全体で共有した。

瘴気の正体であるテラカオス化ナノマシン。
聖帝軍が立川を焼いた真の理由。

大災害や沖縄異常気象の正体。
オシリスになりすましてドラゴンネットワークに罠を張った黒き獣。

歴史の影に葬られた古代文明ミヤザキとグンマー。
SNSカオスロワちゃんねる管理人が事件の黒幕である可能性。

そしてこれから向かう予定である都庁が予言の謎を解き明かし、テラカオスと野球選手以外の全てを手に入れたこと。

ギムレーはもたらしたものは間違いなく有益情報である。

……だが、ギムレーに仲間から向けられた目は賞賛よりも冷ややかなものであった。


「萃香やブリーフ博士は仕方ないとは思う……なのはがテラカオス化するなんて誰も予測できないんだからな
しかし、だからって殺そうとすることはなかったじゃねえか!」
「アンタのせいやでギムレー!
せっかく正気に戻ったなのはちゃんを殺そうとしなければ、ベルナドットさんやアウラの民の人も死ななかったんや!
それにユーノくんまで……私は絶対にアンタを許さへんでギムレー!」

ギムレーに対して怒りの声、ストレートに感情をぶつけたのはナッパとはやてであった。
その理由はギムレーが、テラカオス化したなのはの危険性にばかり目を取られてしまい、殺そうとしたこと。
さらにその奇襲もユーノが庇ったことで失敗に終わり、不信によるなのはの出奔と仲間から死者を出してしまったのだ。
なのは殺害もギムレーなりの理由があるにしろ、ほとんどの者から見れば軽率な行動に映ったのだ。

「何を言っているんだ。
ツバサも言っていたがなのははもう手遅れだった。
魔法は吸収されて倍返し、物理攻撃も効かない。捕まえることなんてできやしない。
おまけに薬は無くなって、ブリーフ博士は死んで薬の調達は難しくなった。
被害を最小限にするには彼女をあの場で殺すしかなかったんや!」

一方のギムレーも邪龍故のプライドのためか、理論の上でなのはを生かして無力化する方法がないとわかっているがために、仲間たちに謝ることはしなかった。
謝罪は筋違いだと思ったからだ。
残酷なやり方かもしれないが、実際誰が暴走したなのはを留めて置けるのか。

「それになのはとユーノは裸で抱き合っていたようだしな」
「なにハレンチなことを口にしてるんや!」
「エイズのように移ったってことさ。
ユーノのテラカオス化した細胞が精液を通してなのはに吸収されたんだ!
それしかユーノ治療しようとしたツバサのテラカオス因子がなのはに移った理由がない」

なのはの突然のテラカオス化に関する推理はあっていた。
実際、何人かは二人がいた一室から性行為をしていたと思わしき喘ぎ声を聞いている。
それまではなのはにテラカオス化の兆候は見られなかったし、他に考えられまい。

「はッ……だったらユーノもなのはも自業自得じゃないか。
危険で未知の病気にかかってる時にセックスを行う……バカの所業だ。
ブリーフ博士や萃香が死んだのも二人の責任じゃないのか?」
「ギムレー! アンタって人は!」
「落ち着けはやて! 亀の中で頭を冷やせ」
「アナキンさん! ちょっと待――」

だが推理は当たっていたとしても、ギムレーの余計な一言が仲間からの悪感情を刺激してしまう。
例えそれが正論であったとしても、仲間とギムレーとの間に大きな確執が生まれてしまった。
特にはやては今にも殴りかかりそうだったのでアナキンはやむを得ずココ・ジャンボの中に閉じ込めることにした。

344:2019/06/13(木) 17:52:46 ID:SwoZ9ll60


「シカシ、問題ガ増エテシマイマシタネ……」
「なのはちゃんを止めないと、被害が増えてしまう一方でぇす」
「今は誰もいないハズの伊豆諸島にいるようですが、いつ動き出して他の人を襲いかかってしまうか……」
(……となるとヤンとメディアはおそらく……すまない)

後は都庁に行って野球(闘い)しにいくだけとも言えたイチリュウチームだったが、なのはを追わないといけなくなった。
無視すれば甚大な被害を及ぼし、最悪テラカオス・ディーヴァ以上の被害をもたらしてしまう。
テラカオスであるツバサはなのはの因子を感知し、追うための手がかりを教えた。
ちなみに伊豆諸島は主催が出した禁止エリアの一つであり、既に誰もいないというのが参加者間の一般的な考えであった。
実はそこには主催の秘密基地があり、守護する二人のサーヴァントが潜伏していたことを主催リーダー格のアナキンは知っている。
しかし、テラカオスなのはとの戦力差、そして伊豆諸島から出られない特性上、二人はもう助からないだろうとアナキンは部下二人の生存を心の中で諦めることにした。

「しかし追ったところでどうする?
捕まえるどころじゃない……エネルギーは吸収反射・物理攻撃はゲル化して無効という厄介な能力がある。
それならイチローだろうがナッパだろうが、誰もなのはを捕まえられないぞ?」

蛮の言っていることは最もだった。
追いかけたところでいくつもの能力が彼女の捕縛を不可能な域に至らせている。
もしかしたら残存する参加者の中で誰もなのはを捕まえられないかもしれない。
それがイチリュウチームの頭を悩ませる。



「いや、一匹だけなのはを捕まえられる能力を持つ奴がいたホル!」
「なんだって? ホルス、そいつは一体……」

突如、ホルスが閃いた。
6/を始め、驚いたイチリュウチームの面子がホルスに注目する。

「オシリスだホル!
奴の能力はいかなる魔法・罠・モンスターの特殊効果が発動できないってものがあるホル!」
「あ!」
「なるほど、なのはちゃんの能力が魔法や特殊効果扱いなら希望も見えてくるか」

半ば不意打ちで人質も取られていたサーシェス、単純に攻撃力が高いドリスコルの乗るゼオライマーにこそ遅れを取ったが、オシリスが戦場に出れば、あらゆる特殊能力が無効化される。
相手は選ぶものの、事故さえ回避できれば最強クラスの参加者なのだ。

「あとは連携さえ取れればなのはを捕まえることも不可能じゃないか、だが……」
「肝心のオシリス様はおそらくDMC狂信者に捕まっています……今の私たちの戦力で救助は困難ですね」

放送で名前が流れない辺り、オシリスはまだ生きているようだが、最後に別れた時は瀕死状態だった。
殺されていないのならあのまま江戸川区に放置されているとは考えにくいのでドリスコルの手によってDMC狂信者に捕まってビックサイトに送られたと見た方が妥当だろう。

首輪を外し能力を開放したイチリュウチームとて狂信者の戦力が集中しているビックサイトに攻め込むのは危険である。
最悪返り討ちで全滅する危険さえある。
仲間集めをしようにもカオスロワちゃんねるは管理人による改竄、ドラゴンネットワークは黒き獣による侵入がわかった以上実質的にできない。
ならば都庁の戦力と合流してからビックサイトを攻め落とせば安全なのだろうが、その頃にはオシリスが殺されている危険やなのはがもっと手をつけられないほどパワーアップしている可能性がある。
時間的猶予さえないように思えた。


「僕がビックサイトへ行こう。皆は今すぐに都庁へ向かえ」

どうすれば良いのか、頭を悩ませる一行に対してギムレーがそう言うと、浦安の空を覆うほど大きかった邪龍ギムレー本体が動き出し、ギムレーがその肉体に飛び乗った。
突然のことに動揺するイチリュウチームたち。

「おい? どういうつもりだギムレー!」
「僕と本体でビックサイトに殴り込みをかけ、オシリスを奪還しにいく」
「いくら邪龍とはいえ……死ぬぞ」
「君が行くなら僕も行く」
「俺もだ!」

アナキンが苦言した通り、いくら絶大な力を持つ邪龍とはいえ、単身でビックサイトに攻め込むのは、数の上でも質の上でもわけが違う。
先程までギスギスしていたとはいえイチローやナッパも気にかかり、共に行くと言い出す。
しかし、ギムレーは同行を拒否した。

「ダメだ、君たちはすぐにツバサを連れて都庁へと向かうんだ。
本体の眼を通じて今感じ取ったけど、都庁に狂信者の戦力が向かっているところを見た」
「それは本当か?」
「規模からしておそらく最終攻撃をしかけるつもりだろう……予言の巫女・歌を歌える者・巨像がやられたらこの世界はおしまいだ。
一つでも多く戦力がいるだろうし、彼らを守るためにも早急に都庁へ合流するんだ」
「だが君一人では……」

345:2019/06/13(木) 17:53:16 ID:SwoZ9ll60

心配そうに見つめるイチローにギムレーは微笑んだ。

「大丈夫だ。僕だってバカじゃない。ちょっと狂信者のリーダーと交渉するだけさ」
「交渉?」
「オシリスを生きて返さないとこの巨体をビックサイトにぶつけてやるとね」

アクシズ落としならぬギムレー落とし。
だが、実際参加者でも随一の巨体を誇るギムレーが落下すればビックサイトとてひとたまりもないだろう。
ある意味能力よりもその質量は厄介であるだろう。

「おい、それは僕たちも危ないんじゃないか?」
「半分のブラフのつもりだけど、奴らもクラウザーの蘇生手段を失う羽目になるし、クラウザーの蘇生が目的じゃなかったら奴らは下っ端どもから求心力を失う。
仮に僕を倒したら体がビックサイトへ落ちてしまうことになるし、奴らも迂闊には攻撃できない。
そこを突いて、僕に立ち去って欲しかったらオシリスを返せというのさ」
「そういうことか、わかった……」
「奴らに邪龍の怒りを見せつけてやるよ」

自身満々げに言うギムレーと本体は仲間を置いて徐々に上空へと昇っていく。

「ここで一時のお別れだ。都庁で落ち合おう」
「ああ……それと」



「なのはくんの件もあって、さっきはギスギスしていたが、今でも僕やナッパは君を味方だと思ってる!」
「必ず、一緒に野球をして世界を救いに行こうぜ!」

お人好し故に、ギムレーがなのはを殺そうとしたことは許せない。
だがギムレーが何を思ってなのはを殺そうととしたかは仲間たちは(はやてなど一部を除いて)理解していた。
結果的に惨劇につながってしまったとはいえ、ギムレーの何から何まで否定する気にはなれなかったのである。

イチローやナッパはギムレーに向けて手を振り、ギムレーも無言ながら手を振って返したのだった。
やがてギムレー本体は上昇を終えて、ビックサイトへ向かっていった。



「サア、都庁ガ危ナイデス」
「ギムレーならたぶん大丈夫ホル、早いとこ出発するホル!」

イチリュウチームもまた、都庁へ向かうことにした。
飛べるものはそのまま、飛べない者は騎士のように竜化したアウラの民に跨り、空を舞う。



『離レタカラッテ アンシンスルナヨ アナキン』
「――――ッ!」
『イツデモ 我々ガ オマエヲミテイル』
(本当に抜け目のない奴め……)

よく見るとアナキンを乗せたスクーナー級ドラゴンは、先ほどのなのはの暴走で死んだアウラの民の屍兵である。
アナキンの行動を見張るお目付役として、比較的傷の浅かった死体をこっそり蘇生したのだ。
仮にイチリュウチームを裏切る真似をすれば、ギムレーによるなんらかの報復があるだろう。
訝しげに思いながらアナキンははやてを亀の中から出した。

「アナキンさん、ギムレーは!?」
「かくかくしかじかあって一時的に別行動中さ」
「チッ、二度と戻ってこなきゃいいんや! なのはちゃんを売女呼ばわりしくさってからに!」
(……戻ってこないとオシリスも戻らないからなのはを捕まえることもできないんだが。
それに奴は売女とまでは言ってないぞ)

はやてからギムレーへの不信感は最悪レベルだ。
ふたりっきりにすれば確実に喧嘩するほどである。
それ以上に、なのはの暴走や自分を除いた狸組の全滅によってはやての精神は大分追い詰められている。
フォースで心を探らずとも明らかにヒステリックになっており、典型的なASDを患っているかもしれない。

(彼女の存在は僕と対主催の繋がりを作ってくれるが、これはちょっと……まずい傾向かな)

346:2019/06/13(木) 17:53:53 ID:SwoZ9ll60



「ギムレー様……民の者が亡くなった責任が全くないとは私は思いません。
アウラの民もあなたに怒りを抱いているようです。
……ですが、私があなたの立場なら民を守るために同じことをしたかもしれない。
……どうかご武運を」
「サラ……」

サラマンディーネも民から死者が出たことに怒りを覚えていたが、頭ではギムレーの行動を理解していた。
気絶さえしていなければ民や仲間を守るためになのはを殺そうとする決断を自分も下したかもしれないのだ。
だから必要以上に相手を責めることはせず、仲間として無事な帰還を願ったのだ。
竜の背に乗る彼女のつぶやきを、隣で聞いていたナッパは聞いていた。



「ギムレーさん」
「絶対死ぬんじゃねえぞ」
「ベルナドットさんを死なされて、クリスさんもシマリスさんも彼を憎まないのですか?」

竜の背に乗りながら遠くなるギムレーを見つめるクリスとシマリスにギムレーへの憎しみはなかった。
はやてはあそこまで明確な怒りを見せていたのに……その理由を知るためにツバサは二人に尋ねた。

「ベルナドットのおっさんが死んだのは悲しいさ」
「でもあれは事故だったんですう。ギムレーさんを恨むのも筋違いですし、なのはちゃんに怒りの矛先をぶつけるのも間違ってる気がするんでぃす」
「不幸な事故の積み重ね、つーか、色々こんがらがっちまってああなっちまったというのが私とシマリスの見解だよ。
恨むんだったらこの世界を大災害で滅茶苦茶にしたカオスロワちゃんねるの管理人ぐらいだろうな」
「原因を作ったギムレーさんや直接仲間を殺したなのはさんを赦すというのですか?」
「ああ、むしろギムレーの奴、ベルナドットのおっさんたちを死に責任を感じたからこそ一人でビックサイトに向かっちまったんじゃないかとさえ思ってる」
「はいでぃす」

(生ける者ははやてさんのように他者を許せない者もいれば、この二人のように許すことができる者もいる。
他人を許すことも強さの一つなんですね……)

また一つ、何かを悟ったテラカオスの残滓たるツバサ。

しかし、次の瞬間、突然のだるさがツバサを襲い、竜の背の上で彼女うなだれた。


「ッ!?」
「どうした?」
「急に疲れのようなものが……!」

他の者にツバサのような症状は見られない。
ツバサだけが鉛のように体が重くなったようだ。





「おい! あそこに誰かいるぞ!」

地上に目を凝らしていた6/が何かを見つけたようだ。
イチリュウチームを背に乗せた一団の行軍が一時的にストップする。

「狂信者か?」
「いや、そうは見えねえけど……あそこだ、バイクに乗ってる!」

6/が言ったとおりに蛮が地上を見ると、背丈の小さい少年と、オシリスが見たら喜びそうな幼女、猫だか兎だかよくわからない生き物が地上からこちらに手を振って存在をアピールしている。


「良かった! イチローチームは無事みたいだ!」
「大きな竜は向こうへ飛んでいってしまったけど、有力対主催であるイチローたちが無事で良かったね」

地上で手を振っていたのは苗木と霧切、そしてインキュベーターだ。
未だに精神状態が回復していない霧切がよくわからず手を降り続ける横で苗木とインキュベーターはそれぞれの思惑を抱く。

(あの人たちの力さえあれば、都庁の魔物や拳王連合軍に復習して奴らを絶望の淵にたたき込める!!)
(どうやらテラカオス・ディーヴァがここにいるみたいだね、せいぜい利用させてもらうよ)




「どうする6/?」
「とりあえず降りて会ってみるぜ。敵なら殲滅、一般人なら保護。
戦えるやつならチームに引き入れだな」
「それじゃあ私もついていくぜ」
「それなら私も……」
「おまえは疲れでだるいんだろ? 空で休んでろ」
「見に行くだけなら四人もいらないでぃす、ツバサちゃんは僕と待ってましょう」
「決まりだな」

6/・蛮・クリスの三人は地上の二人と一匹の正体を確かめるために地上に降りることにした。
もし敵だとしてもイチローの投球やナッパの気弾なら一瞬で殲滅できるだろう。
地上に降りる三人は警戒しつつも、バックアップがあることを念頭にいれて降りていった。


だが、ツバサはなぜかあの三人組に対し、なんともいえない嫌な予感がするのだった。

347:2019/06/13(木) 17:54:14 ID:SwoZ9ll60




【二日目・21時30分/千葉県】

【イチリュウチーム】
※ギムレーとの情報共有を行いました。
※一部の死亡したアウラの民がギムレーの手で屍兵化しており、アナキンを監視しています。
※都庁に向かっています

【イチロー@現実?】
【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【サラマンディーネ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】
【ラミレス@横浜DeNAベイスターズ】
【白光炎隼神ホルス@パズドラ】
【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS】
【八神はやて@魔法戦記リリカルなのはForce】
【テラカオス・ディーヴァの残滓『ツバサ』@テラカオスバトルロワイアル十周目】
※魔法少女・霧切の対テラカオス・ディーヴァ用の結界の影響か、体のだるさとして症状があらわれています。
【シマリス@ぼのぼの】


【◆6/WWxs901s氏@カオスロワ書き手】
【美堂蛮@GetBackers-奪還屋-】
【雪音クリス@戦姫絶唱シンフォギア】
※この三名は苗木たちと接触のために地上に降りました。



【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【霧切響子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
※キュゥべえ以外、イチリュウチームに風鳴翼(ツバサ)がいることに気づいていません





巨大な、邪龍ギムレーの背の上。

(オシリスはまだ生きているだろうか……奴らのことだから、無事とは正直思えない。時間もそれだけ経っている)

ギムレーの冷静で冷徹な面はオシリスの無事は絶望的だと見ている。
放送が流れた後には殺されている可能性が高い。

(しかし狂信者にとってもオシリスの能力は惜しい。
洗脳か兵器への加工ぐらいは考えるだろう)

だが性格はともかく、オシリスの魔法・罠・特殊効果無力化能力はどこの組織も手が出るほど欲しいはずだ。
裏を返せば、数だのみだったDMC狂信者が連携次第で最凶の存在になる可能性さえある。
世界を救う必要があるのに、それを知ってか知らずか阻害する狂信者にオシリスの力を利用されるのは面白くない。

(まだ生きているなら御の字、何らかの兵器にされているにしても対主催の手中に収めていく必要がある。
オシリスの力を危険な奴らの手元には置けない!)

オシリスがどうなっているにしろ、生存を確かめ、その力をマーダー勢力に渡すわけにはいかなかった。
暴走したテラカオスなのはも、彼の能力なしでは捕縛も殺害もできない。
何をするにしてもオシリスの力が必要だった。



(殺害はまだしも、洗脳するにしろ兵器化するにしろ、まだ時間はかかるハズだ!
急げギムレー、この世界を大災害で破滅させないために!)

ギムレーは自分自身の肉体に急ぐように呼びかけ、飛翔スピードを上げた。


【二日目・21時30分/東京湾】
【ギムレー@ファイアーエムブレム 覚醒】
※オシリスの救助または力の回収のためにビックサイトに向かっています
※オシリスが艦むすになったことはまだ知りません

348進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:33:25 ID:kXi85SgM0
ここは都庁の世界樹の内部。
オオナズチがドラゴンネットワークを通じて手に入れた情報、そしてイチローチームもといドラゴンズとの同盟締結への切符は有益であった。
それらの情報は任務のために先にビックサイトへ向かった影薄組を除く、都庁同盟軍のメンバーに行き渡った。

邪竜ギムレーは味方であり、都庁や聖帝軍への誤解もイチリュウチーム限定であるが解けた。
そしてイチリュウチームには都庁の者たちが予言成就のために未だに手にしていないテラカオスの勇者と、野球チームを所持しており、合流は必須要項である。
そしてカオスロワちゃんねるは何者かに情報操作された危険な電子掲示板であり、沖縄に現れた黒き獣は死者を取り込み操る力とドラゴンネットワークにさえ侵入できる驚異の力を持っていること。
また、主催陣営のアナキン(かつてはやてが持ち出した情報にはそのような名前はなかったが、主催の誰かが化けている可能性がある)が手元にいるらしいので、イチリュウチームへ合流できれば真相へとさらに近づくことができそうだ。

貴重な情報収集手段であるカオスロワちゃんねるとドラゴンネットワークが事実上使えなくなったという恐ろしいこともあったが、これらの情報も確実に+に作用するだろう。


だが、希望への階段を上りだした彼らに試練が降り注ぐ。
行方不明だった聖帝軍先遣隊がクロコダインを除いて都庁へ合流できたのは良かったが、その先遣隊が連れたきた二人と一匹に問題があった。
都庁から見敵必殺のお触れが出ていたインキュベーターことキュゥべえ、仮面ライダーウィザード苗木誠、そして安倍総理すら瞬殺した最凶の魔法少女・霧切響子。
彼らが桑原・イリヤ・アイスシザースの三人と数10匹の魔物たちを紘太たちが離れている間に皆殺しにしたのだ。
そして、それから間を置かずにダオスの対空レーザーすらすり抜けた拳王連合軍からの直接攻撃および聖帝軍への挑戦状という名の脅迫。
世界樹とリンクしているまどかの傷は、世界樹自体の生命力による自己再生で治癒されるが、失った命までは戻らない。
これらが都庁同盟軍を少なからず焦らせるのは無理もない話だった。

「イリヤ……そんな……」
「桑原さん!」
『アイスシザース……おまえほど仲間に尽くした者は志半ばで死ぬべきではないはずなのに!』

特に悲しみの涙を流したのは亜久里、エリカ、氷竜。
死亡した三人のものと思われる肉片は、仲間のものへ運ばれた。
かつてマーラ様に殺されたサクヤたちのようにレストが復元を試みられるが、全員遺体の損壊と魔力の汚染がひどく、蘇生はおろか復元さえできなかった。

「ひどい……! これをキュゥべえがやったというの?」
「キュゥべえ自身の戦闘力は無いに等しいから、苗木や発狂していたらしい霧切が騙されてやったのかもしれないけど、全滅したホワイトベース組の生き残りや発狂したという話さえ嘘かもしれないわ。
人の言葉を喋れないアイスシザースはともかく、意思疎通のとれる桑原・イリヤがいて殺しにかかるのはおかしいし。
紘太が近くにいる以上、世間のようにヘルヘイムと誤解するわけもない……キュゥべえもそうだけど思惑を確かめる必要があるわ」
「ね、ねえ?! キュゥべえが都庁では見つけ次第殺されるべき悪党なんて始めて知ったんだけど、どういうこと!?」

さやかはいつの間にか都庁の間でキュゥべえが悪者扱いされてる吹聴に気づき、疑問をほむらやまどかに問いかけた。
ほむらとまどかは互いに目を見合わせたあと、一つ決心したようにさやかにキュゥべえへの真実を打ち明けた。



「……そんな」
「キュゥべえの目的は少女の願いを叶えて、世を乱す魔女と戦ってもらうことじゃない。
願いを餌に魔法少女を絶望させて魔女にし、その魔女を魔法少女に狩ってもらうマッチポンプを行うことでエネルギー資源を獲得することよ」
「真実を隠して女の子を騙す……カオスロワちゃんねるの管理人と同じなのかもしれない」

さやかが親友二人に教えられた真実はそれはそれは残酷であった。
恋心に付け入られ、心身共に傷ついて魔女を倒した先に待っているのは自身が魔女になるという絶望死。
敵として戦ってきた魔女も元々は自身と同じ魔法少女だったのだから。
キュゥべえは決してランプの中の魔人のような善き結果をもたらす存在ではなかったのだから。

349進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:34:38 ID:kXi85SgM0

「どうして、黙っていたの……?」
「……ごめんなさい。
時間遡行を繰り返した経験則上、この殺し合いが始まる前はあなた自身の精神がこの真実に耐えられないと思っていた。
だけど今は違う。
ここにはソウルジェムを浄化できるフォレスト・セルが存在して、この世界を探し歩けば魔法少女化さえ解く方法もきっとあると信じられる。
……何より、友達としてさやかさん自身の優しさや強さを信じたかったから」
「……そっか、ありがとう、ほむら、まどか」
「さやかちゃん!」

悲しみを浮かべる二人に対し、真実を知ったさやかの返答は微笑みだった。
ソウルジェムの濁りも小さく、動揺はあったようだが絶望で魔女化するには程遠い。

「あなた、絶望していないの?」
「まあ、人さまを騙していたキュゥべえへの怒りは感じたけどさ。
アタシよりももっともっと悲惨な目にあった人がいるのに、この程度で絶望なんかしてたら美希たちに笑われちゃうわよ。
どうせならキュゥべえの思惑を逆手に取って、超回復魔法少女さやかとして頑張っちゃえと思ってね」

これまでの殺し合いはさやかにとっても無駄ではなく、確かな精神的成長を促していた。
自身の不幸程度ではもう驚くことはない。

「それに……魔女ともこうやって仲良くできると知ったし」
『――♪』
「あ、シャルロッテそこにいたなっしかー」
『ぬいぐるみみたいな生物と戯れる天使さやか氏……萌えますぞwww』
「この子見ているとアタシが魔女になってもなんとかなりそうな気がしてくるわ」

ふなっしーの支給品である魔女シャルロッテは子犬のようにさやかのように懐いていた。

(ほむらちゃん、あれって)
(ええ、あの魔女はかなり危険な存在なんだけど……主催の技術なのか大災害の影響なのかわからないけど、味方には危害を加えないようになっているみたい。
あれもまた、さやかの精神を悪化させない要員になっているのかも)

ちなみにこの世界線のマミさんはシャルロッテにマミられていません。
なので未来を見てきたほむらはまだしも、まどかやさやか目線でのシャルロッテへの恨みはこれっぽっちもなかったのだ。
魔物と触れ合ったことで人外への警戒心が薄れている点も大きい。



『コホン、我が天使の悩み事は片付いて何よりですが、苗木と霧切が何者であれ、キュゥべえにイチリュウチームと接触されると厄介ですぞ』
「ええ、奴の騙し方は巧みよ。せっかく盟友になれるかもしれないギムレー・イチローとのパイプも喪失する危険があるわ」
『カオスロワちゃんねるやドラゴンネットワークももう宛にはできない以上、連絡を取る手段がない。
どうにか早く合流し、奴の危険を伝えねば』

現場に残されたバイクの轍から苗木は千葉方面に逃げたと推察できる。
千葉にはイチリュウチームがあり、都庁に対抗できる戦力は狂信者や拳王連合軍以外だとここしか残されていない。
ギムレーは聡明だが、万が一の場合、嘘の情報を植えつけられて再び疑念を持たれる危険が有る。

「だったら、俺の力で苗木と接触してみるぜ」
「そういえばアンタ、極になればワープに似た能力があるって言ってたね」
「大阪の時は首輪のせいでできなかったが、今度こそやってやるぜ!」

そう言った聖帝軍の一員である葛葉紘太は、チルノの前で極アームズで変身する。
制限解除になったクラックを使ってのワープで苗木が向かう千葉へ先回りを可能にする。
……そのハズだった。

「よし、このまま一気に……ってうわあああああ!!」
「紘太!!」

しかし紘太もとい鎧武の体は押し戻され、大ダメージを受けた。
ダメージ自体はさやかがすぐに回復魔法で治療させたが、肝心のクラックから覗き見える(本物の)ヘルヘイムの森は大地震でも起きたかのようにグチャグチャであった。

「あ、あのヘルヘイムが……何が起きてるんだ!」
「これは蒼による汚染だ! この前僕が披露して失敗したゲートリジェクトのそれとそっくりだ」

レストはかつて冥府を含んだ異世界の境界をつなぐ魔法、ゲートリジェクトを行使しようとして蒼の力で弾かれた。
ヘルヘイムもまた異次元からの蒼による汚染を受けていたのだ。


――葛葉紘太……


突如、紘太にとって関わり深い人物の声が森の中から聞こえた。
その人物は幽霊のように佇んでいる。

350進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:35:26 ID:kXi85SgM0

「DJサガラ!?」
「お笑い芸人のぐっさんじゃねーか!」
「高津さん、シリアスが崩れるから静かに!」

それはヘルヘイムの森そのものの意志であり、ある意味ノーデンスにも並ぶ神とも言える存在――DJサガラ。
だが本来なら誰にも滅ぼされることはない存在が、今にも消えようとしている。

「ボロボロじゃないか、大丈夫か!?」
『申し訳ないが、ヘルヘイムの森はここまでのようだ。
宇宙から来た謎のエネルギーの直撃を受け、森はすぐにでも崩壊せんとしている』
「ヘルヘイムの森も蒼を食らったのか……!」

ヘルヘイムの森を滅ぼせるのは、ノーデンスでさえ耐え切れなかった蒼。それしか考えられない。

『重ねて申し訳ないが黄金の果実を巡るライダーバトルは今日をもって終了とする……今後はインベスやこちらの植物が君の世界にやってくることもないだろう』
「なんだって!?」

悩みの種だったアーマードライダー同士の争いやヘルヘイムが無くなることはいつもの紘太なら願ったり叶ったりと言えたが、今はヘルヘイム以上に危うい状況だけに素直に喜べない。

「待ってくれ、せめてアンタの口から都庁の世界樹がヘルヘイムじゃないことを世間に説明を……」
『無理だ、森の死まで時間がない。
……だが、ここまで戦わせてきた君に何もよこさないのも失礼だ。
ヘルヘイムが滅んでも最後の力で果実の力……ロックシードは使えるようにはしておこう。
ワープ以外ならばこれまで通りに使えるハズだ』
「サガラ!」
『済まない紘太、差し出がましいようだが宇宙の未来を頼……む……』

クラックの中でDJサガラは倒れ、煙のように消滅する。
そしてヘルヘイムの森も枯れると同時に崩壊し、クラックは閉じたのだった。


【DJサガラ(ヘルヘイムの森)@仮面ライダー鎧武 消滅】
※蒼による消滅のため、どのような手段を用いても復活できません


「なんてこった……」

ヘルヘイムの消滅を前にして紘太は落胆しつつ、変身を解く。
追うためのワープ能力喪失はもちろんのことだが、本物のヘルヘイムが消滅したことで都庁の世界樹がヘルヘイムの森ではないと証明する手段も同時に失ってしまった。

「キュゥべえを追うことも、ここがヘルヘイムの森じゃないと教えることも……」
「気を落とすな紘太、希望はまだある」
「機動性のある誰かが追えればキュゥべえに間に合うかもしれませんし、ヘルヘイムに関しても都庁があえて悪役を演じることで混乱を収める小町の偶像計画が用意されています」
「サウザー、闇、本当にすまねえ」

まだ万策は尽きていないと、紘太は仲間に励まされる。
もちろんワープや本物のヘルヘイムがあった方が諸々の問題解決への近道にはなったろうが、無いなら無いで次善策を用意するだけである。


「さて、もう一つの問題は拳王連合軍から送られてきたコレだ」

サウザーが提示したのは、さやかが見つけた野球ボール。
その中には聖帝軍への挑戦状と電車ごっこロープが入っていた。
それをこの場にいる面子が回し読みする。

「聖帝軍が9時までにたどり着けなければ東京を無差別に攻撃するですって!?」
「宣戦布告のついでに殺戮を行い、さらに従わねば関係のない参加者も含めて攻撃する……拳王連合軍は地獄すら生ぬるい悪鬼としか形容できません」

都庁同盟軍の中でも特に拳王連合軍を忌み嫌うアルルーナとエリカは憤慨する。
だがこれまで行ったMAP破壊から察するにブラフとも思えない。
実際にやる気はなくとも、マジでやりかねない感を引き立てているのが拳王連合軍の恐ろしいところである。

「だけどこれ普通に考えたら罠だよ。都庁と聖帝軍を分離させようっていう意図が透けて見えるよ」
「こんな奴ら、野球で真面目にやり合う必要はねえ。
ちょいと卑怯だがダオスのレーザーで先制攻撃して倒しちまえ。
ピンポイントで撃ち込めば余計な被害も出ないだろ」

イオリの言うとおり、実際にこれは都庁同盟軍の戦力を割いて2分するための計略であるし、レイジの先制攻撃案も合っている気がした。
だがスマホ越しのダオスの返答はNOだった。

『残念だが奴らに私のレーザーは届かない』
「なんでだよ?」
『地球というのは丸い、丸いということは向こうが地平線の向こうに隠れている場合、直進するレーザーは地形に阻まれて絶対に届かないのだ。
奴らがいる横浜スタジアムは世界樹天辺から見えない辺り、こちらの攻撃は当たることはない
「マジかよ……じゃあなんで向こうの投球は届いたんだ!?」
『野球ボールは重力の影響を受けて放物線を描いて飛んでいる。
だからレーザーよりも地平線に隠れた相手を効率的に攻撃できるのだ』

これまで大量の敵を塵に変えてきたダオスレーザーだがレーザーの性質上用途に限界はあった。
他の攻撃手段に曲射特性はあってもピンポイントで当てるには精度不足か、射程外だ。

351進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:36:23 ID:kXi85SgM0

「じゃあせめて、向こうから降りかかる攻撃だけここのダオスさんとまどかさんのレーザーで防ぎ続ければ」
『それもダメだ。我々を攻撃したのは感知できないところからして消える魔球。
私はおろかレストやセルでさえ察知不可能だったステルス攻撃を再び放たれたら対空防御は絶対に不能。
魔力のバリアは世界樹の外までは伸びんし、敵は拳王連合軍だけではなく狂信者とも戦わねばならん以上、とても現実的とは言えん』
「そんな……」
『せめて影薄組と過ごす内にステルスに耐性ができていたらしい小町がいてくれれば防衛も楽だったんだが、ビックサイトに向かった彼女を今更呼び戻すこともできんし、できても狂信者との戦争が長引いてしまう』

彼方が横浜スタジアムにいる限り同盟軍側から攻撃する手段がないことを知り、肩を降ろすビルダーズコンビ。
ちなみに拳王連合軍はそこまで考えて横浜スタジアムに布陣したわけではないが、結果的に直接攻め込む以外では打つ手なしの一等地に足を踏み入れたのだ。


「ふッ、だったら話は早い。
向こうが野球で殺し合いをしたのならば、望み通りに我ら聖帝軍が出向こう!
そして奴らにはこれまでの横暴の罰として最良の戦士の儀式のための薪になってもらうぞ」
『直接戦いに行くつもりか?』

ラオウら拳王連合軍と戦う覚悟を決めたサウザーに一同がどよめく。

「無茶です聖帝様! きっと罠に決まってます!」
「さやかよ、心配してくれる気持ちは有難いが、前進制圧以外に手はない。
それに我々聖帝軍は拳王連合軍と渡り合えんほど弱いと思うか?」
「そうは思いませんけど……」
「我ら聖帝軍は罠ごと制圧してくれるわ! そうだろ闇?」
「ええ、サウザーと同じく私もちょうど同じ考えでした」

罠と知っていても拳王連合軍を倒す満々である、サウザーと闇。
二人の頼もしい言葉には他の聖帝軍の士気も上がっていた。

「ダオス、聖帝軍が都庁から離れることで戦力は確かに2分されるが、それは我々が拳王連合軍を討ち取れば問題もある程度解決する。
神樹の奥の手もあれば、狂信者は物の数ではないはずだ」
『……よかろう、必ず拳王連合軍を倒してくれ』
「この聖帝に任せろ」


聖帝軍は拳王連合軍制圧のため、横浜スタジアムへの派遣が決定した。
その一方、キュゥべえ追跡の件もまとまろうとしていた。

『ではギムレーたちへの接触は我輩が行いますぞww向こうへのパイプを用意したのは我輩ですしなwww』
「私も行くわ」

キュゥべえを追跡し、イチリュウチームと接触する班に立候補したのはオオナズチとほむらである。

「大丈夫なの? ほむらちゃん?」
『えらく強いロリがいる話だし私かウォークライが飛んだ方が戦力的にも良くないか?』
『おまえやウォークライが飛んでると目立ちすぎるだろJKw
魔物は悪役扱いされているのに途中にいる参加者や狂信者から攻撃を受けるまずぞww
そいつらを倒したり無力化しながら進んだら時間がかかりすぎるだろwww
それに比べて我輩は他には無い透明化能力を持っているのでステルス性はピカイチだから結果的に一番早くつけるわけですなwwww』
『確かに』
『……まあ、頼みの綱のドラゴンネットワークが使えなくなり、戦闘力も低く都庁の防衛には向かない我輩は仕事がないニートになりかねないですしなww消去法的にこれしか仕事がないんですぞwwww』
「私の場合は……単純にキュゥべえの悪辣さを一番理解しているからかしらね。
奴についてしっかりと危険を伝えられるのはループを繰り返した私だけ。
透明化したオオナズチの背に乗れば、ステルス性の恩恵も受けられる」

ひとまずイチリュウチームに接触する班はオオナズチとほむらに定まりつつあった。
ここで聖帝軍側からも立候補者が出る。

「待ってくれ、苗木や霧切は騙されてるだけというケースもある。
あいつらの交渉には顔も知らない二人じゃ厳しいだろう。
顔見知りである俺も連れていってくれないか?」
「いや、紘太は戦力的に拳王連合軍との戦いに必要なっしー、聖帝軍から離れるべきじゃないなっしー。
だから……オイラが行くなっし」
「ふなっしー?」

紘太が最初に名乗り出たが、すぐ後にふなっしーも名乗り出た。

「あ、適当に言ったんじゃないなっしよ。
聖帝軍じゃ一番弱いのはオイラなっし、戦いになれば足でまといになりかねないし。
それでいて苗木たちとそれなりの繋がりがあるのはオイラだから、キュゥべえを追いかけるのが一番役割に合ってるかなと思ったなっし」

352進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:36:52 ID:kXi85SgM0

ふなっしーは冷静に自分の戦闘能力を計算し、ドラゴンハートの補正ありでもダントツで低いと判断。
基本的に彼の戦闘は支給品任せであり、地の戦闘力は一般人のイオリ並。
それにイオリはガンダムに乗って戦うレイジのアシストとして必要な存在であるが故、ふなっしーは自身をチャオズのように激しい野球にはついてこれないと判断し、別の道を模索した結果、苗木・霧切交渉の道を選んだのだ。

「確かに理には適ってるけど……アンタ自身の本音はどうなの?」
「ホントはオイラもみんなと野球したかったなっし……でもカオスロワの野球は遊びじゃない……苗木たちも説得しなきゃいけない。
そうなるとオイラは身を引かなければと思ったなっし……」
「ふなっしー……」

チルノの言葉通り、紘太が離れるぐらいならばふなっしーが抜けた方が戦力的に安定する。
しかしふなっしーもまた、みんなと野球がしたかったのだ。
彼の拳は己の弱さに対して固く握られて震えており、この決断もまた辛かったのだ。

「……わかったふなっしー、苗木たちはおまえに任せる。
だけど俺たちは必ずここに返ってくる」
「最後の試合はおそらくイチリュウチーム。優勝を決める最後の試合には出てくれるね?」
「うん、ありがとうなっしー」

同じく関西を旅した紘太とチルノは、ふなっしーとの約束をした。
そしてふなっしーはオオナズチの背中に乗る前に二匹の意志持ち支給品を聖帝軍に預けた。

『世話になったなふなっしー、おかげで毒も怪我も完治した』
『拳王連合軍との試合に行けないおまえの変わり、俺と姉さんが聖帝軍を支えるぜ』
「千早、デストワイルダー、頼むなっしー」

フロワロの毒に侵されていた千早も都庁にて完治。
デストワイルダー共々、聖帝軍の戦列に加わった。


キュゥべえを追いかけるオオナズチの背には、ほむら、ふなっしー、シャルロッテが跨り。
未だ療養中のきらりと魔雲天を除いた聖帝軍の九人と二匹も電車ごっこロープの輪の中に入った。
それを見送るは都庁の者たち。

「頼むぜふなっしー!」
「ほむらちゃん、必ず生きて帰ってきてね」
「ええ、キュゥべえの目論見をこの手で打ち砕いてくるわ。
あなたに正しい保健体育の知識を授けるまで私は死なない」
「聖帝様、ご武運を!」
「応、期待して待っていろ!」
『ぐぬぬぬ、我が天使さやかは聖帝にご執心かよチキショーwww……』
「……ドンマイなっしー」


そして、戦士を決戦地へ運ぶ列車と、黒い翼は羽ばたいた。

オオナズチは飛んだ直後に透明化し、夜のとばりも手伝って敵味方から見えなくなる。
反対に聖帝軍は新宿を出た直後に狂信者や聖帝軍を敵対視する対主催から攻撃を受けるが、「試合前の軽いトレーニング」と思いつつ、スイスイと攻撃を躱していった。


『影薄組に続いて聖帝軍やオオナズチたちも旅立ったか……さあ、総員持ち場につけ。
旅立った戦士たちが帰ってこれる場所として必ずここを死守するのだ』

ダオスの指示を受け、都庁に残った者たちは各々が防衛戦の準備を始める。
カオスロワちゃんねるの動向を見る限り、狂信者は港区に集まっているらしい。
おそらく狂信者による三度目の襲撃が決行されるのだろう。
未来を切り開くためになんとしても戦い抜かねばならなかった。

353進撃の聖帝 羽ばたけ黒い焔:2019/06/21(金) 11:39:01 ID:kXi85SgM0




【二日目・20:30/東京都 新宿都庁世界樹】
※オオナズチがドラゴンネットワークで握った情報・紘太たちが得た情報が、影薄組以外に行き渡りました。


【都庁同盟軍】


【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】



【キュゥべえ追跡班】
※キュゥべえが向かったと思われる千葉県へ向かいました。

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】
【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】



【聖帝軍】
※拳王連合軍がいる神奈川県の横浜スタジアムに向かいました。
※戦力として千早とデストワイルダーがふなっしーから譲渡されました

【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(円亜久里)@ドキドキプリキュア!】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】

354永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:38:01 ID:SvHJfywU0
指揮官級狂信者の一人、サイコマンは防衛隊長であるセルベリアの指示に従い。
ビックサイトに繋がる下水道を守っていた。
暗くジメジメして悪臭のする空間だが防衛を疎かにすれば、かつて狂信者とその協力者が都庁の世界樹を地下から攻めようとしたこともあり、逆に都庁やその他の勢力からビックサイトが奇襲を受ける危険がある。
そのため、セルベリアに指定された指揮官級狂信者やモブ狂信者もまた、クラウザーさんの蘇生術を守るために地下の警備に努めていた。
それだけでなく落とし穴に全自動のセントリーガンにレーザートラップなど、物騒な罠も待ち受けている。
一定以下の参加者ならば道を間違えただけで致命傷である。

さらにそれらをくぐり抜けても、ビックサイトに続く地下道には頑丈な門が設置されており、合言葉を言わないと突破ができない。
さらにその門には必ずサイコマンのような万人が用意されている。
門を無視して壁を破壊して進もうとすれば、騒ぎを聞きつけた地上から数千規模の兵隊がやってくる。
これは姿が見えず、潜入能力に特化した影薄組に対してセルベリアが考案した防衛策である。
いくら影薄組とはいえ、門番を説得でもしない限り、突破はできないとの判断だ、
合言葉までは信者でない限りわからないからである。




今もまた、サイコマンが配置された場所からそう遠くない場所で、迷い込んだか侵入しようとした参加者が犠牲になり、SATUGAI・レ○プされ肉の塊と成り果てた。
サイコマンもまた、電撃使いの少年をマグネットパワーや技で瀕死に追い込んだ後、頭を潰してSATUGAIした。


【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA's 死亡確認】
【ひろし@ドラベース 死亡確認】
【結城梨斗@To LOVEる 死亡確認】
※トラップまたはモブ狂信者に殺される

【天野銀次@GetBackers-奪還屋- 死亡確認】
※サイコマンによる頭部破壊


「ニャガニャガ、他の狂信者の方々も頑張っているようですねえ。
セルベリアの張った罠の数々も手伝って、首輪も外れていない参加者には遅れを取ってないご様子」

モブ狂信者側もこれまでの強化(実戦や薬物などの肉体改造)もあり、以前よりも楽に参加者を狩れるようになってきた。
それでもチート以上の参加者相手には十数名規模の戦死者が出るが、モブ狂信者ならば腐るほど数がいるため、すぐ補充される。
そして数のゴリ押しで潰されるのだ。


(……狂信者の熱心な辛抱ぶりには感服の至り。ですが……)


心の中で狂信者仲間を褒め讃えつつも、サイコマンの表情には影が浮かんでいる。
それはまるで諦めているかのような――

(この宇宙はもう滅日を迎える、源泉から降り注ぐ蒼の力によって)

355永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:38:34 ID:SvHJfywU0



時間を遡ると個人的考え的には殺してはならなかったテルミの殺害など、考えもなしに手当たり次第に参加者を殺し回る狂信者上層部の方針に対して説教するためにビックサイトへ戻ったサイコマン。
彼が気にしているテルミが完全消滅、むしろ野放しにした方がまずかったと思うのだが、そこは重大な話じゃないので置いておこう。

説教しようとしたが「ろくに働いてねえ、てめえと話すことなんてねーよ(意訳)」と門前払いを喰らってしまい、上層部と直接会うことはできなかった。
途方に暮れていた彼だが、そこで彼は沖縄に発生した異常気象を知る。

その異常気象を知った瞬間、彼の中で超人の神々による封印されていた記憶が蘇ったのだ。

(ディーさんやドリスコルさんがクラウザーさんのものだと崇めているが、あれは古の時代にあった大災害の発端「蒼」によるもの!
蒼はこの世界全ての者に必要不可欠であると同時に、いかなるものにも滅びをもたらすエネルギー!
その危険度は友情パワーなどとは比較にならない!)

サイコマンは狂信者である以前にもっとも神に近い超人である完璧超人始祖。
遠い過去に起きた事変を今になって思い出したのだ。
世界を終わらせかねなかった大災害、神ですら止めらない最悪クラスの自然災害。

だが彼は、思い出した記憶を狂信者仲間に打ち明けることはなかった。

その理由は。


(だが、真実を打ち明けたところで頭の固い、そしてクラウザーさん第一主義な狂信者たちが認めるわけがない。
蒼がクラウザーさんさえ滅ぼす力があるなど、信じるわけがない。
さらに言えば私自身、どうやって太古の大災害を乗り切ったか思い出せないんですよねえ……)


サイコマンが思い出した記憶は完全ではなく、あまりにも中途半端だった。
大災害を乗り切る鍵がテラカオスなどとは全く思えない。
既に亡くなっている悪魔将軍がテラカオスをただただ危険な存在と見なし、カオスロワを根本から誤解していたように、サイコマンも同じように中途半端に記憶を回復させてしまったのだ。

(救済の予言とかネットで流行ってますけど、アレはどう考えてもただの悪戯ですからね。
それに踊らされる野球チームとかアホかバカとしか言えませんよ)

思い出せないせいで、救済の予言も今のサイコマンにはただの妄文にしか思えない。
まあ、こいつは草加とテルミぐらいしかろくに会ってないし、明確にテラカオス化してるとわかる参加者にも会ってなかった。
極めつけは拳王連合軍を除く対主催集団や主催、おまけにセルベリアでさえ予言の真実や進行状況をを仲間以外では秘匿しているため、サイコマン(および一般参加者)からは生き延びるために必死こいてるぐらいにしか見えないのだ。
そんな環境なら世界は滅ぶしかないと思うのも致し方ないだろう。

356永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:39:06 ID:SvHJfywU0

しかし、世界が滅ぶならばクラウザーさんが蘇る意味もない。
ではなぜ、未だに狂信者に手を化しているのか?

(世界はどうせ滅ぶ、なら私がするべきことは、この世界が消える前に一曲でも多くクラウザーさんの音楽を聴くのです!
そのためにもっともっと、生贄を捧げなければ!!)

サイコマンは世界の存続よりも、クラウザーさんの声が彩る刹那的な享楽を選んだのだ。
世界の消滅や記憶の復活は間に合わず、自分一人で今さら世界を救えるわけもないと見切りをつけ、ただひたすらにクラウザーさんに尽くすことを決めたのだ。
平たく言えば諦めたのだが、彼の表情は先程までよりは確かに微笑んでいた。

(ニャガニャガ、世界の破滅が止められないとわかれば、もう何も怖くない。
私はただただ、クラウザーさんに尽くすだけ!
そのためなら仏に会えば仏をレイ○し、テルミに会えばテルミを○イプ!
シルバーマンが協力してくれないのならばシルバーマンもレ○プするだけ!)

サイコマンの胸中はクラウザーさんに埋め尽くされていた。他がどうでもいいと思うほどに。

「クラウザーさんの一番のファンはディーやドリスコル、私をこんな場所に押し込めたアバズレのセルベリアでもなくこの私。
見ていてくださいクラウザーさん! これから私はもっともっと生贄を捧げて行きますよ!」

最後の言葉は胸中ではなく、口に出し、クラウザーさんへの強い忠誠をサイコマンは口に出していた。
あと地味に臭くて汚い下水道警備をセルベリアに押し付けられた件は根に持っている様子。


「ニャガニャガニャガニャガ!!」

狂気を帯びた決意を胸に一人自信に満ちた大笑いを浮かべるサイコマン。



ところが彼の声は唐突に途切れた。
次の瞬間、どこかで見覚えのある剣――テルミことカズマ=クヴァルが所持していた剣が視界に入ったと思いきや、サイコマンの首を跳ね飛ばしたからだ。
呑気に笑っていた彼には反撃や防御する暇さえなかった。


【サイコマン@キン肉マン 死亡確認】


「ひええ……ちょっと首を斬れたら御の字程度だったのに、本当に恐ろしい切れ味だ。南無三」

サイコマンの首を跳ね飛ばしたのはストライダー御用達の光剣サイファー、それを握るの小町だ。
ラスボス級の敵さえ一撃死もありうるサイファーに、ドラゴンハート+ベジータを倒した時に得た莫大な経験値で超強化された小町。
片方だけならまだしも、両方合わさることでサイコマンの超人強度を上回る殺傷力での暗殺を可能にしたのだ。
その周囲には彼女の仲間である影薄組のメンツも控えている。


狂信者を挫くために都庁から考案されたビックサイト潜入作戦に乗った影薄組。
セルベリアは無論、彼らに対する対策を罠などで行っていた。
が、少しばかり計算違いがあった。
影薄組がハイテク技術の塊であるデモニカスーツを着用しており、敵の出現を察知する機能、罠のダメージを軽減する機能、自己回復機能、その他の便利機能により、地下を難なく突破してきたこと。
小町がデモニカのCOMPに入ることで間接的にステルス化の恩恵を受け、サイファーを手に入れたことで問題視されていた低火力がクリアされ、相手が悪くなければ指揮官級狂信者でも暗殺を可能にしたことである。

そして電撃使いを殺害した直後には、サイコマンはステルス状態である影薄組に方位されており、あかりが小町を召喚し背後から闇討ちしたのである。
ちなみにサイコマンがサイファーを凌ぎきっても周囲の四人から袋叩きにされていたため、影薄組の気配を察知してない限り生き残れたかは怪しい。

357永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:39:48 ID:SvHJfywU0

「ステルスキル成功っすね」
「ええ、周囲の狂信者にも気づかれてない鮮やかな手並みでした」

逆に言えば暗殺に成功していないと影薄組とてサイコマンには苦戦していた可能性さえある。
そもそも正面戦闘になって騒ぎになり、侵入を気づかれた時点で潜入作戦は失敗。
警備を厳重にされてビックサイト侵入がより困難になる。
世界滅亡までの時間が残されていない影薄組にはそんな事態は許せなかった。

「間に合わなくてごめんね……」
「本当は黙祷の一つでも捧げてえが、俺たちには時間がねえ」
「世知辛いが、せめて極楽に行けるよう祈るしかないね」

到着が遅れたことでサイコマンに殺された参加者に悲しみの表情を浮かべるあかりたち。
だが感傷に浸る時間さえ影薄組には残されていない。
酷な話だが、参加者の死体は野ざらしにする他なかった。


「よし、門番は倒した。次は門だ」

小町はサイコマンの後ろにあった門に視線を移す。
調べると機械診断による合言葉が必要だったが、これはモモの活躍によってクリアされる。

『合言葉…“まずは”』
「――貴様の大好きな電動ベッドや電動コケシにおける電力消費量を考えろ エコを語るのはその後にしな」
『認証レ○プ もとい 認証確認、オトオリクダサイ』

セルベリア最大の誤算は、東横桃子がクラウザーさんの信者がいたこと。
狂信者のように狂ってはいないが、名言を一字一句間違えずに即答できる信者が敵の中にいるとは考えていなかった。
せめて門番が生きていれば阻止もできただろうが、その門番はあまりにもあっさりとやられてしまった。

「東横さん…よくそんな長ゼリフ覚えてましたね」
「“まずは”で始まるクラウザーさんの名言はこれしかないっすよ。
ちょっと黒子くん、なんで引いているんすか?」
「ところで電動コケシてなあに? あかり聞いたことないんだけど?」
「それはもうちょっと大人になってから知ろう、な? 日之影兄さんとの約束だぞ」
「…ま、何にせよ、モモが味方にいてくれたおかげでビックサイトに侵入できるわけだ、ヨカッタヨカッタ」

小町はすぐにCOMPに入り、一行は門の先へ進んだ。
ちなみにサイコマンの死体はディパックに詰め込んだ後、重りをつけて下水の底に沈めた。
死体が発見されるまで数時間はかかるだろう。

『さあ、野郎ども、ここからが正念場だよ!』
「どんな罠が待ち構えているかわからないから、最大限警戒して行きましょう」
「ホントは怖いっすけど、都庁のみんなやクラウザーさん自身のためにも」
「もう、主人公がどうとか関係ない、一女の子として世界を救う手伝いをしてみせる!」
「やれやれ、たった五人で一万人以上はいる敵本拠地に侵入か。
……だが、割となんとかなりそうな気がするぜ」

影薄組はとうとう、狂信者の総本山であるビックサイトに侵入した。
失敗すれば死が待っていると思われる潜入作戦。
だが五人は例え最後の一人になっても、大災害から世界を救うために戦い続けるだろう。

358永遠のクラウザー:2019/06/28(金) 13:40:02 ID:SvHJfywU0




【二日目・21時40分/東京・ビッグサイト地下】

【小野塚小町@東方Project】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
    あかりのCOMPの中
【装備】サイファー@ストライダー飛竜
【道具】基本支給品一式
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:何か必要があるまではCOMPの中に待機する
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:もう二度と仲間を置いて行こうとしない
4:変なの(セルベリア)に因縁つけられちまったね
5:時が来たらヘルヘイム扱いされた都庁の長ダオスを倒す演技をして世間の混乱を収める
※ダオスとの情報交換で、カオスロワちゃんねるの信憑性に疑問を持っています(フェイ・イェンにもたらされた情報より、少なくとも都庁の悪評は天魔王軍による仕業だと理解しました)
※予言やテラカオスの真実を知りました
※小鳥発案の偶像計画のため、表向きは都庁の敵のフリをしています


【日之影空洞@めだかボックス】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】己の拳、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:小町や仲間を全力で守る
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:めだかに変わって世界を救わなきゃならないのが先代生徒会長の辛いとこだな。
※予言やテラカオスの真実を知りました


【東横桃子@咲-Saki-】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】猟銃@現実、斬鉄剣@ルパン三世、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】支給品一式、スマホ、謎の物質考察メモ、筆記用具
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:狂信者の暴走はクラウザーさん信者である私が絶対止める!
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:……多少落ち着いたっすけど、拳王連合軍だけは絶対に報いを受けてもらうっす
※予言やテラカオスの真実を知りました


【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【状態】健康、首輪解除、超冷静、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】ウィンチェスターM1912、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】死出の羽衣@幽々白書
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
1:仲間を全力支援、パス回しが僕の役目
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:平和な世界でみんなとバスケがしたいですね
※予言やテラカオスの真実を知りました


【赤座あかり@ゆるゆり】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】エンシェントソード@Minecraft、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】マムルの肉@風来のシレン
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する!
0:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者に殺し合いをやめさせる!
1:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
2:都庁のみんな、あかりたちが戻ってくるまで無事でいてね……
3:世界の危機を前に主人公かどうかは関係ない! 世界のために頑張ってる人全員が主人公!
※予言やテラカオスの真実を知りました

359名無しなんじゃないのー☆:2019/06/28(金) 15:27:13 ID:eB5D5slg0
サイコマンwwwww
でも突き抜けた信者って意味では相当だったな
ところで違ったら悪いんだけど、モモの合言葉「電動ベッド」じゃなくて「回転ベッド」じゃなかったけ?

360名無しなんじゃないのー☆:2019/06/28(金) 15:45:09 ID:SvHJfywU0
うん、ごめん ミスってた
見直しが甘かったので該当のレスだけ直しておくで

361名無しなんじゃないのー☆:2019/06/28(金) 15:50:37 ID:SvHJfywU0
>>357修正

「ステルスキル成功っすね」
「ええ、周囲の狂信者にも気づかれてない鮮やかな手並みでした」

逆に言えば暗殺に成功していないと影薄組とてサイコマンには苦戦していた可能性さえある。
そもそも正面戦闘になって騒ぎになり、侵入を気づかれた時点で潜入作戦は失敗。
警備を厳重にされてビックサイト侵入がより困難になる。
世界滅亡までの時間が残されていない影薄組にはそんな事態は許せなかった。

「間に合わなくてごめんね……」
「本当は黙祷の一つでも捧げてえが、俺たちには時間がねえ」
「世知辛いが、せめて極楽に行けるよう祈るしかないね」

到着が遅れたことでサイコマンに殺された参加者に悲しみの表情を浮かべるあかりたち。
だが感傷に浸る時間さえ影薄組には残されていない。
酷な話だが、参加者の死体は野ざらしにする他なかった。


「よし、門番は倒した。次は門だ」

小町はサイコマンの後ろにあった門に視線を移す。
調べると機械診断による合言葉が必要だったが、これはモモの活躍によってクリアされる。

『合言葉…“まずは”』
「――貴様の大好きな回転ベッドや電動コケシにおける電力消費量を考えろ エコを語るのはその後にしな」
『認証レ○プ もとい 認証確認、オトオリクダサイ』

セルベリア最大の誤算は、東横桃子がクラウザーさんの信者がいたこと。
狂信者のように狂ってはいないが、名言を一字一句間違えずに即答できる信者が敵の中にいるとは考えていなかった。
せめて門番が生きていれば阻止もできただろうが、その門番はあまりにもあっさりとやられてしまった。

「東横さん…よくそんな長ゼリフ覚えてましたね」
「“まずは”で始まるクラウザーさんの名言はこれしかないっすよ。
ちょっと黒子くん、なんで引いているんすか?」
「ところで回転ベッドと電動コケシてなあに? あかり聞いたことないんだけど?」
「それはもうちょっと大人になってから知ろう、な? 日之影兄さんとの約束だぞ」
「…ま、何にせよ、モモが味方にいてくれたおかげでビックサイトに侵入できるわけだ、ヨカッタヨカッタ」

小町はすぐにCOMPに入り、一行は門の先へ進んだ。
ちなみにサイコマンの死体はディパックに詰め込んだ後、重りをつけて下水の底に沈めた。
死体が発見されるまで数時間はかかるだろう。

『さあ、野郎ども、ここからが正念場だよ!』
「どんな罠が待ち構えているかわからないから、最大限警戒して行きましょう」
「ホントは怖いっすけど、都庁のみんなやクラウザーさん自身のためにも」
「もう、主人公がどうとか関係ない、一女の子として世界を救う手伝いをしてみせる!」
「やれやれ、たった五人で一万人以上はいる敵本拠地に侵入か。
……だが、割となんとかなりそうな気がするぜ」

影薄組はとうとう、狂信者の総本山であるビックサイトに侵入した。
失敗すれば死が待っていると思われる潜入作戦。
だが五人は例え最後の一人になっても、大災害から世界を救うために戦い続けるだろう。

362南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:05:51 ID:o.mIVu0g0
――21:00 横浜スタジアム

「ラオウもう、時間だぞ」

それを口にした平等院だった。
横浜スタジアムには横浜港から既に移動を終えた拳王連合軍が到着していた。
彼らは聖帝軍と(一方的に)約束をした21時の刻限まで待ち続けたが、聖帝軍はまだ到着していない。

「いや、奴らはきっと来る…そんな気が俺にはする」
「しかし、ヘルヘイムと聖帝軍を分断しようとしている俺たちの思惑に気づかれているかもしれない」
「東京がどうなろうが、意地でもヘルヘイムから離れないってケースもあるんじゃねえの?」
「それもありうるか」

翔鶴の提案した作戦は名案かもしれんかったが、平等院とMEIKOが言った通り戦力分断の計画に気づかれてない可能性もゼロではない。
聖帝軍が横浜スタジアムにやってこないかもしれないのだ。

「仕方がないですね、約束通り東京を攻撃しましょう」

さらりと恐ろしいことを言ったヤンホモことムネリンを仲間たちは批判する。

『ちょっと待って! 東京攻撃はブラフだったハズでしょ?!』
「ブラフと気づかれた可能性もあります。
大丈夫大丈夫、無差別攻撃をするってわけじゃない。
攻撃するのはこの世界に害を成してるヘルヘイムに限定しますから」
「攻撃はヘルヘイムに限定…それなら誰も困らない」
「間違ってもサーフ提督がいるビッグサイトには攻撃しないでよね?」

ムネリンの投球による攻撃はヘルヘイム(都庁)のみ。
いくら難攻不落の都庁でも、投球で執拗に攻撃され続ければ根を上げて聖帝軍を繰り出してくるだろう。
さっそく投球の構えを取ったムネリンだが、その手に持っていた野球ボールを別の場所から飛んできた轟速球により弾かれた。

「なにっ!?」
「そこまでだ! 拳王連合軍!」
「あなたたちの好きにはさせません」

ムネリンや、他の者たちが轟速球が飛んできた方向を見ると、そこには毅然と立っているターバンたち…もとい聖帝軍の9人と2匹がそこにはいた。
無論、ムネリンによる都庁攻撃を阻止した者は、このターバンたちである。

「約束通り、この聖帝と自慢の軍団が来てやったぞラオウ!」
「フンッ、少しばかり遅刻してるぞサウザー」
「妨害があったものでな」
「逃げずに来たことだけは褒めてやろう」

聖帝軍は狂信者や、誤解によって対主催参加者からも命を狙われている。
電車ごっこロープで向かう最中でその者たちに攻撃を受けたが、ドラゴンハートで強化された聖帝軍の機動力はモブの攻撃にはかすりもせず横浜スタジアムに到着した。
遅刻にしてもせいぜい、一分かからないかぐらいだ。

363南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:06:32 ID:o.mIVu0g0

「あ、あいつは…!」
『あの二匹、生きていたのか!』
「おい、どうしたジョジョ?」

何やら聖帝軍にいる虎二匹に驚いている様子の上条とシャドーマン。

「ディオ、あの虎たちは大阪でシャロやエスパー伊東を殺した奴らの支給品だ!」
「なんだって! それは本当か!」
「」

上条は覚えている。
大阪で戦った怪しい男二人に付き添い、敗走した二匹の虎を。
その虎が聖帝軍側にいた。

「…そうか!
ラオウたちとホワイトベース組の話をした時、なぜかシャロたちを襲った件の話が出てこないからもしやと思ってたけど、そういうことだったのか!」
『おいどういうことだよジョジョ!? 俺たちにもわかるように説明してくれ!』


「つまり、大阪でのホワイトベース組の戦いに聖帝軍も関与してたってことさ!」
『そもそもの争いの発端は誤解…シャロたちが無惨に殺されたから、我々も怒りに駈られて反撃に出た。
だが実際は、ホワイトベース組とは別のグループがいて、シャロら仲間を暗殺した。
そして怒りに囚われた我々は和解のチャンスをみすみす逃してしまったというわけだ』
『つまり大阪の戦いは聖帝軍の差金によって起こったって言いたいのか?』

仲間たちは無惨なオブジェとして大阪の街中に飾られ、拳王連合軍の怒りを煽りホワイトベース組と抗争をするハメに。
上条は仲間殺害の下手人たちを殺したが、その下手人たちはホワイトベースとは最初から無関係だった。
誤解から殺し合うように仕組まれていた、と上条は分析する。

「ひどい…! それなら提督たちが死んでしまわれたのも……!」
『全部あいつらのせいってことか…!!』
「見間違えるハズがねえ。シャドーマンと一緒に戦った虎を奴らが持っているのが何よりの証拠だ」
「聖帝軍は皆殺し確定だな。チビがいようがなんだろうがもう容赦しねえ」

千早とデストワイルダー、および二匹を所持する聖帝軍に拳王連合軍は殺意の目を向ける。


「なにがなんだかわからんが、この俺が率いる聖帝軍に勝手ないちゃもんをつけおってからに!」
「千早とデストワイルダーがそんなことするわけないでしょ!!」
『妄言だ! 私たちはむしろ飼い主を殺された被害者よ』
『奴らの言葉に耳を貸すなよ』

一方的に殺意を向けられた聖帝軍もまた、拳王連合軍に向けて敵意をぶつける。
実際のところ、虎二匹及び新城たちは聖帝軍ではなく主催の差金であり、拳王側はそこまで頭が回らなかった。
聖帝側も虎二匹が主催の支給品だったことまでは気づかず、虎二匹も復讐がしたいために聖帝軍には正体を隠すのであった。


「なんにせよ、拳王連合軍と聖帝軍が揃ったみたいね。
邪魔が入る前に裏世界転送マシンを起動するわよ!」
『インドラ!』

瑞鶴は二つのチームが揃ったことを契機に、サーフから託された裏世界転送マシンを起動する。
すると横浜スタジアムを二チームごと眩い光が包んだ。
聖帝軍が目を開けると、そこには横浜スタジアムに似た空間だが、肌で感じる空気がまるで違う。
スタジアムの外は赤い血と真っ暗な闇を混ぜたような色の何かで覆われており、まるで地獄にでもいると錯覚させる。
まるで自分たちがいる横浜スタジアムだけが隔絶されたようだった。

「ここはどこだ、そこの侍娘!」
「狂信者やマーダーに大事な試合を邪魔されないための異次元転送を行ったわ。
そして私たち拳王連合軍か聖帝軍、勝った側しか元の世界には戻れない。
ちなみに制限時間もあって、三時間経ったらこの異世界は崩壊する。
敗者は取り残されて、異世界ごと消滅する仕様だから注意してね」

装置を起動した瑞鶴曰く、ここは勝った側しか元の世界に戻れないデスマッチ野球会場であるらしい。

「敗者は消え去り、勝者だけが生き残る。
まさに北斗と南斗の決着をつけるには打って付けの場所ではないか聖帝サウザー?」
「…そうだな、拳王ラオウ。
雌雄を決すぞ、南斗と北斗、そして俺の聖帝軍と貴様の拳王軍、どっちの野球チームが最良の戦士に相応しいかを決めるためにな!」

サウザーはいきなりの異世界転送に最初だけ驚きはあったものの、今は冷静であった。
仲間であるターバンたちと共に、いかに難敵である拳王連合軍を倒すかだけを考えていた。

364南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:07:24 ID:o.mIVu0g0



まずはスタメンと配置を発表しよう。



『拳王連合軍 布陣』

川崎宗則         1番ショート
クロえもん        2番サード
ラオウ          3番キャッチャー
プニキ          4番レフト
MEIKO           5番ピッチャー
平等院鳳凰        6番センター
謎のヒロインX      7番ファースト
上条(+シャドーマン)  8番セカンド
ディオ(+デューオ)   9番ライト

(代打・代走)
翔鶴(+ロックマン)
ハクメン
瑞鶴(+メーガナーダ)



『聖帝軍 布陣』

円亜久里         1番ショート
葛葉紘太         2番ファースト
金色の闇         3番セカンド
サウザー         4番キャッチャー
千早           5番ライト
デストワイルダー     6番レフト
高津臣吾         7番ピッチャー
レイジ(+ガンダム)   8番センター
チルノ          9番サード

(代打・代走)
イオリ・セイ
犬牟田宝火


「僕にもガンダムが残っていれば…」
「気に病む必要はない、僕も極制服がないから戦力は下の下だ。
だが、それでもやることはある!」

聖帝軍側は戦闘力が低いイオリと犬牟田は止むなくベンチ送りにし、運動能力は高い支給品の虎二匹をチームメンバーとして選出。
ベンチとはいえガンダムの修理やデータ収集などの仕事はあり、サポーターとしての力を発揮する。


一方、拳王連合軍。

『僕と翔鶴さんがベンチ送りなんて……』
「今はいないタクアンさん曰く、戦力の温存的な意味もあるそうです」
「私も野球なんてしたことないし、仕方ないけどしばらく応援ね翔鶴姉」
『インドラ』

光兄妹、瑞鶴とメーガナーダ、ハクメンもベンチである。
能力は高いのだが、練習試合でスタメン落ち級のポカをやらかしたロックマン、新参者の瑞鶴と仲魔、野球をやったことなどないハクメンにチームワークを行わせるのは難しいと判断されたらしい。
ちなみにハクメンは聖帝軍からマガトを感じてないが…

(ヘルヘイムというマガトを庇う者もマガトに同じ。
世界のためにも犠牲になってもらおう)

ベンチから出次第、戦う気満々であるようだ。





そして、拳王連合軍VS聖帝軍……異世界の横浜スタジアムにて運命の一戦が開幕。

365南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:08:45 ID:o.mIVu0g0


先行は拳王連合軍、後攻は聖帝軍!



第一回表。

マウンドに立つはブルースワローのスーツをまとった高津臣吾。
対するは拳王軍一番手である川崎宗則だ。
奇しくも、メジャーリーグ経験者とメジャーリーガーの対決だ。

「宗則…おまえも地に落ちたな、イチローが嘆くぞ」
「イチローさんは絶対僕に振り向いてくれる!
あなたのようなメジャーリーガーってだけでイチローさんの足元に及ばない人に負けるわけには行きません」
「ほざけ!」

高津はまず一球、轟速球を投げるが、ムネリンはこれを打つ。
ホームランコースだ!

「なに!?」
「ふッ、僕だってイチローさん以外の選手の研究ぐらいはする。
あなたの投球の癖は研究済みですよ!」

試合が始まる前にムネリンは聖帝軍の面子で唯一野球選手である高津を危険視し、テープを何度も再生するなどしてどんな球を投げてくるかを事前学習していた。
腐ってもメジャーリーガー、覚えてしまえばいくらでも叩きようがある。

「…おまえは知らないだろうが、俺はピッチャーであると同時に」
「!?」
「ブルースワローなんだぜ!」

しかし、頭上を高速で飛んでいくボールを飛行能力に優れたジェットマン・ブルースワローの力を使って高津はキャッチ。
ムネリンはアウトになり、ホームランは阻止された。

「ふう、いきなり冷や汗かいたぜ」

高津だけでなく、聖帝軍のメンバーも同じ感想を心の中で漏らした。

「ぐぬぬぬ、次こそは…!」

反対に出鼻をくじかれたムネリンは悔しそうに、ベンチに戻っていった。



二番手に現れたのはクロえもん。
得意のブラックホール打ちによるヒットを狙うが……

「ダメだ…早すぎて間に合わねえ!」

ブラックホール打ちとはバットを高速で渦上に回転させて真空を発生させ、ボールを吸い寄せて強引に打つ打法だ。
だが高津の容赦ない弾丸速球は真空を作り出すよりも早く、キャッチャーであるサウザーのミットの中に吸い込まれていく。
この回でのクロえもんの打席は空振り三振となった。

「畜生、これがプロの力だって言うのか…!」
「狸にしては素質があるようだが、残念だがこの試合で負けて死んでもらうぞ」
「俺もアンタが敵で残念だよ!」

攻撃が失敗に終わったとはいえ闘志と殺意を鈍らせることなく、次の打者であるラオウと交代した。



(噂に聞く拳王……凄まじいオーラだが、どんな実力か見せてもらうぜ)

打席に立つラオウは数メートル離れていてもわかるくらいのオーラを放っていった。
仮に聖帝軍が死線を潜らずにここにやってきてしまった場合は、ほぼ全員失神・失禁しているレベルである。


そしてこの回のラオウの攻撃は……


「ストライク!」「ストライク!!」「ストライクーバッターアウト!」


空振り三振で終わり、聖帝軍と攻守交代となった。


「拳王連合軍もたいしたことないですね」

拳王第一回の攻撃は高津一人で抑えこめたともいえ、初っ端のムネリンのヒット以外は危ない局面もなかったことに闇は安堵し、同時に肩透かしを喰らった気分になった。

「…いや、そうでもない」
「ああ」
「え? サウザー?」

だが闇や他のメンバーの余裕を打ち破ったのは他でもない高津とサウザーのバッテリーだった。

366南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:09:33 ID:o.mIVu0g0

「宗則の奴は言わずもがな、クロえもんという奴も素質だけはピカ一だ。
何より、ラオウ…虎視眈々と大打撃を狙っていて、少しでもヒットしたら危なかった。
俺の場合は技術でなんとか押し切ったようなもんだぞ」
「しかも奴め、一打席目はわざと犠牲にして高津の投球を体で覚えようとしていたきらいがある」
「そんなことが?」
「実際にバッターに一番接触するピッチャーとキャッチャーじゃないとわからないだろうからな。
気を抜くと絶対に追い抜かれる…気を引き締めなければ」

格闘家としては最強クラスである南斗聖拳の頂点サウザーと、メジャーリーグにいたこともある高津だからこそわかる、拳王軍の危険性だった。
余裕…というより油断しかけた闇もまた、気を引き締められるのだった。


「ちょっと、ちょっと、全然点が取れてないじゃないですが!」
「狼狽えるな謎のアルトリア・ヒロインドラゴン。奴の球は覚えた。次は必ず打つ」
「応よ! これまでの雑魚とは違うのは十分わかったぜ」
「イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん」

ラオウたちもまた、一回表だけの失敗で失敗が衰えることなく、次の打席にかけるのだった。




一回裏、聖帝軍の一番やりは円亜久里ことキュアエース。
変身の上にドラゴンハート補正で獲得したエンジェルフォームで打席に立つ。
最初から最大能力で闘うつもりのようだ。

「ラブにイリヤ……多くの人が犠牲になりました。
だがこの犠牲を無駄にはせず、悪と戦います!」

これまで散ったプリキュアや仲間たちに思いを馳せながら戦乙女プリキュアはバットを握り、ピッチャーである修羅・MEIKOを見据える!

「美しさは正義の証 ウインクひとつであなたのハートを射抜いて差し上げますわ!」
「御託がうるせえ、殺すぞ」

極めて野性的な殺意を露とも隠そうともせずにMEIKOはキュアエースを睨み、MEIKOボールを投げた。
MEIKOボールはキュアエースに向かって投げつけられるか…と聖帝軍は思ったが、そんなことはなく、しっかりとラオウのキャッチャーミット磨けて飛んでいき、ワンストライクが入る

(以外と野球としては正攻法!? だけど高津さんより早くない。同じ球なら次は打てる!)

初球は見逃したが、その代わりにキュアエースは球速を目で測り、次にかけることにする。
そして第二球…コースも球速もまったく同じ投球がきた!

「今だ! はああああああああああああああああ!!!」

キュアエースは一回の打席に全力を振り絞ってバットを振り、それは見事にボールにクリーンヒットした。
これには聖帝軍ベンチから歓声が飛びそうになる。

……だが。

「!? 重いッ! この球、重すぎる」
「きゅ、キュアエース!」

打ったMEIKOボールはあまりにも重く、プリキュア番外戦士の全力をもってしても打ち返すことはできなかった。
ボールがバットに当たって跳ね返るどころか、バットの方が大きく押されており、そして……


「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」

メキメキゴキゴキバキバキ。
とても殺しきれない威力にバットを握っていたキュアエースの両腕が折れて、さらに体を支えていた腰も粉々に折れた。
そこからキュアエースの上半身が一回転・二回転し、胴体の骨と臓腑が全部潰しながら、血を吐いて地面に倒れた。
仲間が駆け寄るが既に手を遅れであり、キュアエースの端正だった顔は激痛で歪んで白目を向き、口からは夥しい血と潰れた心臓がはみ出していた……


【ターバンのガキ(円亜久里)@ドキドキプリキュア! 死亡】


ちなみに投げられたMEIKOボールはしっかりと投球コースを外れることなく、ラオウのミットに収まった。
ストライク。そして打者が死亡した場合は自動的にアウトである(からくりドーム戦参照)


「へッ、ハートを射抜かれたのはおまえの方だったな」
「よくも亜久里を、絶対に許さねえ!!」

今しがた殺した少女を徹底的に見下すMEIKO。
それに対し、次の打席を控えていた紘太は激昂してMEIKOに掴みかかろうとするが、犬牟田に止められる。

367南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:11:33 ID:o.mIVu0g0

「落ち着け紘太! ここで乱闘なんてやったら、反則で退場だぞ」
「しかしアイツは亜久里を……!」
「向こうは『ルールは破っていない』!
亜久里が彼女の球を打てなくて『たまたま死んでしまった』だけなんだ」
「クソッ! マジかよ」

犬牟田が言うとおり、MEIKOは反則になるようなことは何もしていない。
むしろピッチャーがバッターを直接攻撃して殺害しても許されるのがカオスロワ式野球。
責任は死んだ側の方にあるのだ。

「惜しかったな、おまえが掴みかかっていれば、ひとり反則退場で減らせたのに」
「アイツ…!!」
「口車に乗るなよ紘太」
「乱闘沙汰による退場は亜久里だって望んでません。
向こうは12も選手がいるのに、こちらは10人だけ。
減れば減るほど不利になります」

なおも煽り続けるMEIKOに怒る紘太を高津に続いてサウザーと闇も抑え、なんとか乱闘だけは避けた。

しかしながら、仲間である少女の惨死はこれまで野球の試合をしたことがない聖帝軍にカオスロワ式野球の恐ろしさを教え、戦慄させるには十分だった。

「うわッ!」

戦死したキュアエースの次に鉱太が続くがMEIKOボールの相手ではなかった。
鉱太は三球中一球だけヒットしたが、亜久里と同じく絶大なパワーの前にヒットとして打球を飛ばすこと叶わず。
幸い極アームズによる防御力のおかげでダメージを受けこそすれ、死ぬことなかった。

「すまねえ、闇……」
「大丈夫です休んでいて鉱太」

サウザーに肩を担がれる形でベンチに戻っていく紘太を見送り、ターバンをかけて金髪美女の暗殺者・金色の闇がバッターボックスに入った。
そして、MEIKOボールが襲いかかってくる。
このまま見送り三振をすればダメージを受けることも死ぬこともないだろう。

「だけど聖帝軍の信念は前進制圧。
媚びることも引くことも私はしません」

そして、金色の闇の腕にバットごしに重い衝撃が伝わる。
闇のからだのあちこちから鮮血が飛ぶ。

「闇!」

サウザーや仲間たちは思わず叫ぶが、闇自身はあくまで冷静に対処した。

闇はなぜラオウがキャッチャーであるのか考え、その答えをだした。
至極単純にMEIKOの暴力すぎて強すぎる投球にラオウ以外が耐えられないのだ。
そこで闇は自身の変身能力を使い、筋肉をラオウ並に変化させた。

「ム、ムキムキになった!?」

どこぞのビスケの如く顔以外マッチョになった闇のシュールな光景に面食らう聖帝軍・拳王軍。
だが、それが功を成したのか、凄まじい筋力から放たれる打力によりMEIKOボールは打たれ、そして凄まじい勢いで一塁方向に飛んでいった。

「こっちに来た! だけどこの程度なら」

一塁を担っていたヒロインXは飛んできた打球を取った。

「え? ぎゃああああああああああ!!!」

だが、次の瞬間、彼女の体はふわりと浮き上がり、そのまま近くのドームの壁までぶっ飛んでいった。
マッチョ化闇による打球の威力が強すぎたために、体重がたった42キロしかないヒロインを吹っ飛ばしたのだ。
土煙が収まったころには、横浜スタジアムの壁の一つにクレーターと、その中心に四肢がバラバラになり臓物を撒き散らした瀕死のアルトリアタイプのサーヴァントがいた。

「ヒロインX…クソッタレ、これはもう助からん」

ライト担当のディオが駆け寄るもとき既に遅し、ヒロインXの体は消滅間近であった。

「だけど……なんとかボールだけは取れましたよ……」

ヒロインXのひしゃげた腕にはちゃんと野球ボールが握られていた。
これで聖帝軍はスリーアウトでチェンジである。

「残念ですが私はここまでです……
も、もっともっとセイバーを借りたかった………ガクッ」

謎のアルトリア・ペンドラゴンは志半ばで倒れる後悔を胸に抱きながら消滅した。

【謎のヒロインX@Fate/Grand Order 死亡】


「てめえ……」
「なんですか、私も『ルールは破ってません』よ?
たまたま打ち返した球で偶然死んだだけです」

MEIKOは闇を睨みつけるが、闇は冷静かつ辛辣に返す。
カオスロワ式野球は責任は死んだ側の方にあるのだ。

「チッ、あれがMEIKOボールの全てだと思うなよ。
本気のMEIKOボールはあんなに遅くない。
今まではお試しコースだ。次から本気出すからな」
「望むところ」

本当だったら乱闘でもしたいほどの怒りがMEIKOにはあったが、ここで退場すべきではないと思い、ぐっと堪えてベンチへと帰る。
闇もまたマッチョ化を解いて、仲間のいるベンチへ戻った。

368南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:12:27 ID:o.mIVu0g0
最初に出迎えたのはサウザーであった。

「闇、大丈夫か?」
「大丈夫です、見た目ほど大したダメージは負っていません。
…亜久里の仇のためにも先制点をもぎ取りたかったところですが」
「いや、良い、おまえは十分に頑張った。
点こそ取れなかったが、奴らに仕返しができたことで我らの士気も回復した」
「スカっとしたぜ、さすがは俺たちの副リーダーだ!」

闇がMEIKOの投球を打ち、ヒロインXを討ち取ったことは亜久里の死で落ち込んでいた聖帝軍の士気を上げさせることに繋がった。
少なくとも拳王連合軍は絶対に倒せない敵ではないと思わせたことは大きい。

「試合はまだ始まったばかり、点こそまだないが向こうもそれは同じ!
この調子で戦い、死んでしまった亜久里のためにも必ず勝つぞ!!」

サウザーの鼓舞がベンチ内に響き渡り、聖帝軍の士気を上げた。





一方その頃、拳王軍ベンチ。

『アルトリアさん…』
「…変な人で善人と呼べるか正直微妙でしたが、死んで欲しくはありませんでした」

またひとり、戦いの中で仲間が死んでしまったことに悲しみや怒りの感情を募らせる選手たち。

「ロックマン、そして翔鶴よ」
『ラオジさん…』
「うぬらの気持ちはわかるが、まだ戦いは終わっていない。
真の戦いはこれからだ、謎のヒロインXの犠牲を無駄にしたくないのなら気を引き締めろ」

ラオウは怒りと悲しみをコントロールするよう仲間たちに促す。
冷静さを失えば勝てるものも勝てなくなるからだ。

「プニキ、次は貴様の番からだ」
「はいよ、ロビカスと百エーカーで鍛えた打法を見せてやるよ」

二回表の一番打者は拳王連合軍きっての強打者、プニキ。
彼がバッターボックスに入った瞬間、二回表が始まる。

両軍現在、無得点。戦死者一名ずつ。果たして先制点を掴むでしょうか?

369南北決戦の地! ヨコハマ!!:2019/07/03(水) 17:13:40 ID:o.mIVu0g0


【二日目・21時30分/神奈川県・異世界横浜スタジアム】
※あと2時間30分で異世界は消滅。
 それまでに点数が低いチームが消滅する異世界に閉じ込められるため、負けたチームは全員死亡します(移籍した場合は不明)



【聖帝軍】

【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】
(支給品選手枠)
千早@皇国の守護者
デストワイルダー@仮面ライダー龍騎


【拳王連合軍】

【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】
【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】
【ラオウ@北斗の拳】
【平等院鳳凰@新テニスの王子様】
【MEIKO@VOCALOID】
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【シャドーマン@ロックマンエグゼ】
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【デューオ@ロックマンエグゼ4】
【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】
【川崎宗則@現実?】
【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】
【ハクメン@BLAZBLUE】
【瑞鶴@艦隊これくしょん】

370名無しなんじゃないのー☆:2019/07/03(水) 18:45:24 ID:o.mIVu0g0
>>368修正
セイバーを借りたかった→セイバーを狩りたかった

371 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/06(土) 15:10:53 ID:BV5shed.0
都庁同盟軍+DMC狂信者(襲撃部隊)で予約

372 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:15:40 ID:bSdwsiAM0
投下します

373ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:16:25 ID:bSdwsiAM0
新宿に大きく聳える都庁の世界樹。
ここを根城とする都庁同盟軍は侵攻してくるであろうDMC狂信者の大軍団に対して防衛の準備をしていた。
ビッグサイトに潜入させた影薄組、拳王連合軍の迎撃に向かった聖帝軍、キュゥべえを追跡するオオナズチたちは皆気がかりで

あったが、これまで以上に激しい攻撃をしてくるであろう狂信者に備える必要は十分にあった。

ここは未だ日本全国としては知られていない滅びの日、二度目の大災害を阻止するための対主催最後の砦として絶対に負けては

ならない。
戦果を上げて帰ってくるであろう、遠征に向かった戦士たちのためにも。



「……よし、書き上がった」

世界の謎と予言の真実が明かされた時からずっと、カヲルは都庁にある部屋の一つで数枚の楽譜と歌詞を書いていた。
遊んでいたわけではない。
救済の予言の一つである全てを虜にする歌――鎮魂歌をテラカオス内部に入るであろう死者に捧げるために絶対に必要な仕事で

あった。

「カヲルくん、歌ができたのね」
「小鳥さん」

ダオスの秘書である小鳥がカヲルの様子を見にきたようだ。
彼女はカヲルから楽譜を渡される。
そして小鳥を前にカヲルはバサラから受け継いだギターを手に、演奏を始める。





「直感に従って作ったものだけど、どうかな?」
「…………ええ、良いと思うわ。
 すごく死んだ人を悼む気持ちが伝わってくる」
「ありがとう」

小鳥は少年の思い想いを詰め込んだ鎮魂歌を聞き、じんわりと涙を滲ませる。
死者ではないのでどこまで予言に通じるかはわからないが、きっと死者を悼み、生者のために力を貸してくれるだろうと信じら

れる力が歌にはあった。

「それはよかった。なら歌詞は小鳥さんが預かって欲しい」
「え? どうして!」
「人手不足だから、僕もエヴァに乗って都庁を防衛するつもりです」

カヲルは戦いに出るつもりだった。
戦死したり渾身の一作が戦いの中で紛失することを恐れたために、小鳥に預けることにしたのだ。

「待って、あなたの役割は歌! 救済の予言を完遂できるなら立派な仕事よ。
神樹さんの秘密兵器もあるし、狂信者とは戦わなくていいじゃない!」
「いや、万が一ということもある。
セルやまどかちゃんがやられても世界は破滅を迎えてしまう。
エヴァ四号機に乗れるのは僕だけだし、そうなると巫女と器の命を守る可能性は上げた方がいい」
「でも……」

少年の決意に小鳥は惑いを隠せない。

「それに救済の予言の内容的には、大切なことは歌い手じゃなくて鎮魂歌の方。
ハートさえこもっていれば誰が歌っても差して問題じゃないさ。
これからの戦い、何が起こるかわからない……ひょっとしたらこの歌を歌うのは僕じゃなくて、あなたや声を取り戻したきらり

さん、もしくは他の誰かかもしれない。
その時に備えて、歌だけは遺していきたい……僕やバサラ、都庁同盟軍が生きて戦った証として」

カヲルは自分が今後の展開で死ぬ場合も計算に入れて、書き上がった遺品である小鳥に預けようと言うのだ。
小鳥は彼の気持ちを理解しつつ、大人としての答えを出す。

「わかったわ、この歌は預かっておく。
でも、あなたも必ず生き延びてこの歌を歌って欲しいの。
カヲルくんの代わりはこの世に誰もいない、死んでしまえばあなた自身の音楽を聞くことは二度となくなってしまう。
バサラでも使徒でもない、世界に唯一の歌が失われてしまうのは悲しい。
それに歌は一人で歌うより、みんなで歌う方が楽しい、だから必ず帰ってきて歌を取り返しにきなさいね」
「……ありがとう。
僕の代わりは誰もいない、歌は一人より皆か。
バサラの代わりを務めることに固執していた僕には嬉しい話だ」

小鳥の言葉を聞いてカヲルは微笑んでいた。

そんなやりとりをしていた、彼らに地面を揺らすほどの振動が襲う。

「きゃ!? 地震?」
「いや、これは!」

―SATUGAIせよ SATUGAIせよ―

カヲルがバッと外を見ると、港区方面より数万人はいるであろう狂信者の大部隊が世界樹がある新宿を目指していた。

「とうとう来たか」
「カヲルくん!」
「小鳥さんはダオスさんのところに戻って! 僕はエヴァで行く!」
「ええ!」

カヲルと小鳥は急いでそれぞれの配置である、世界樹の麓と天辺へと駆けていった。

374ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:17:02 ID:bSdwsiAM0
天辺では魔王ダオスが厳かに戦いの準備をしていた。

「よし、来たな……」
「ダオスさん!」
「小鳥は今すぐ、天ぷらを揚げろ。
それからギムレーの話もありカオスロワちゃんねるは信用ならないが……それでも新宿以外の大雑把な戦況を見るには必要だ。

ネットの動きに目を凝らしておけ」
「はい!」

都庁の魔物を主体とした同盟軍は、これまでの戦いにより疲弊しており、現在進行してくる狂信者と比べれば圧倒的に数で劣る


しかし、ドラゴンハートなどの各種恩恵により実際の人数の数十倍の戦力は持っており、特にチームワークは折り紙つきだ。
物量に任せた集団や、質に任せただけの作戦では打ち破ることはできず、何度も襲いかかってきた狂信者をレベル上げの経験値

に変えてきた。
故に、狂信者が相手なら数だけで竦む者は同盟軍に誰もいなかった。

「流石に本腰を入れてきたようだが、少しばかり遅かったな。
エリカ、神樹! 神々の黄昏の使用を許可する!」
「あれは一発しか撃てません」
『再確認だが本当に良いのか?』
「我々にはやることが山積みなのにここで消耗するわけには行かん。
拳王の外道どもは儀式の薪に使った方が良いだろうし、主催が九州ロボに乗ってきた場合は墜落の危険でどのみち使えん。
いかな狂信者とはいえ、あれだけの数を一瞬で失えば組織も傾き、大人しくせざる追えないだろう」

一度しか使えない禁断奥義『神々の黄昏』。
使用すれば相手集団は一瞬で死ぬ。
ダオスはここでの人命や力の消費は愚策と考え、ここでの使用を決断した。

『へッ、そうと決まれば!』
「まどかちゃん、術の効力を上げるためにセルと融合、続けて神樹と融合して!」
「はい!」

エリカは発射前に対ハザマ軍団戦で使用したフォレスト・セルと神樹の合体状態で臨む。
融合することで術の威力と効果範囲が大きくなり数万人の狂信者をすっぽり覆うことができるほどになった。

『よし、禁断の奥義行くぜ!』
「多少の撃ち漏らしが出るかもしれん。他の者も神樹だけに頼らず迎撃を用意」

合体神樹だけでなく、後ろに控えているエヴァ四号機、ドラゴン軍団、アルルーナにレスト、その他の戦えるモブFOEも攻撃の準

備をする。
これまで散々レベルを上げたため、これだけの数でも敵の殲滅は容易であろう。
さやかはいざという時の回復係として世界樹の中に残り、非戦闘員である魔雲天(人間)ときらりは地下の方で待機する。
世界樹にいる都庁同盟軍全ての者が固唾を飲んで推移を見守った。

『チャージ完了! いくぜ、神々の黄――』















「……? どうしたの神樹? なぜ撃たないの?!」

神樹はいつになっても、神々の黄昏を放たなかった。
エリカの疑問に対して神樹は呟く、ひどく怯えたような声で。

『あいつらなんてことを……』
「暗くてよく見えない! ウォークライ、明かりを!」

要領を得ない神樹の言葉に、レストは配下のウォークライに火球を放たせた。
ただしそれは狂信者に直接当てるのではなく、近くの瓦礫にあてて燃焼させて照明にするためである。
すると、向かってくる狂信者の正体を目にして、神樹が驚いていた理由を他の者も理解し、同時に戦慄した。

敵はMSとかヨロイなどのロボットがメインだ。
だがそこは対して問題ではない。頭数含めて予測可能な敵であった。
予想だにしてなかった手段を用いてきたからこそ、驚愕しているのだ。


――死にたくない!!――
――助けて!!――
――ガオォォォン!!――

『あのクソ野郎ども……人質を取ってやがる!
その人質をロボットの装甲に貼り付けてやがる!』

375ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:18:02 ID:bSdwsiAM0

狂信者が操るロボットの前面には数匹ずつ、生きた魔物が磔刑のように貼り付けられていた。
今まで都庁に合流できなかったグンマーの魔物たちが捕らえられ、磔にされていたのだ。

「なんてこと、これじゃ高火力広範囲の攻撃ができない!!」
「卑怯者めえ!」

アルルーナとレストが敵を非難するが、無理もない。
これではいくらレベルを上げたところで、敵を攻撃……特にダオスレーザーなどの広範囲攻撃ならば尚更するわけにはいかない

のだから。

「それだけおまえたちは、我々を本気にしたということだ」
「!?」

怒り戸惑うレストたちの前になにかが転移しようとしていた。
最初に中から現れたのはディパックとそこから溢れ出る大量の水だ。

「うわっぷッ! これは海水!?」

水の正体は、大量の海水。
しかし大量といっても溺れるほどではない。
深さ十数cm程度の水たまりが広範囲に出きるだけでこれ自体に直接の害はなかった。

問題なのは次に転移してきた存在だ。

レストら迎撃部隊の中央に現れしは次元連結システムを使って転移してきた最悪の冥王、黒塗装のグレートゼオライマー。

「敵!」

多くのモブ魔物が人質を伴って侵攻してくる敵に気を取られる中、レストら歴戦の戦士たちの反応は素早かった。
グレートゼオライマー相手に繰り出される世界樹ノ剣――全状態異常95%付与、体力吸収。攻撃力は女装鎧であるソウルアーマー

の力で40倍。レストのレベルの高さも相まって直撃すればガンダムまでなら確実に消し飛ぶ。
追撃にアルルーナはアシュラマンさえ一撃で葬った冷気の一撃、フロストスマイルを放つ。
幸い、転移に耐えられない都合かゼオライマーの装甲に人質は磔られていない。
倒すのは問題なかったハズだが。

「当たらねばどうということはない! フットワーク、そして分身!」
「なんですって!」
「重そうな見た目の割になんて敏捷性!」

格闘攻撃を確実に躱すスキル・フットワーク、そして必中攻撃以外は確実に躱す分身。
ゼオライマーに乗るドリスコルはこれらを使って、攻撃を凌ぐ。

「ダオスさん! 援護を!」
「ダメだ! 味方が近すぎる!」
「これじゃ撃てないよ!」

ダオスやまどかも追撃に加わろうとしたが、敵と味方の距離が近すぎたためにレーザーや他の攻撃も発射できない。
それはエヴァ四号機に乗るカヲルや氷竜・ウォークライとて同じだ。
相手が泡を食っている攻撃のチャンスを得たドリスコルは反撃を行う。

「Jカイザー、バラージュ!!」
「「うわあああああああああああああああ!!」」

八罫ロボの一体、月のローズセラヴィーの技であるレーザー攻撃を回転しながら放つゼオライマー。
周辺にいたレストやアルルーナは高い回避力と防御力のおかげで大した打撃を受けなかったが、二人未満実力であるモブ魔物は

そうとは行かず、数十匹の魔物が一気に蒸発し、同時に爆炎を引き起こした。

「今だ! 奴を斬れ、天龍!」
「応!」

一瞬だけ開いたゼオライマーのハッチから眼帯の艦むす、天龍が現れる。
水浸しになった地面に降り立った天龍は、ウォータースケートの要領で水上を猛ダッシュする。
その機動力は圧巻であり、レスト含めた前衛の誰も追うことはできず、捕まえようとするものを嘲笑うかのように障害になって

いたモブ魔物を天龍は腕の刀でバッサバッサと、滑らかに辻斬りしていく。

376ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:18:41 ID:bSdwsiAM0

「へへん、艦むすは水上だと機動力が地上の数倍から数百倍まで跳ね上がるんだぜ!
世界最高水準な俺をウスノロなおまえたちが捕まえられるわけがねえよ!」
「艦むすだって……!?」

レストには確かに聞こえた。
古代ミヤザキが使用した人口巫女――艦むすの言葉。
彼女の言葉に嘘がなければ、その艦むすが目の前にいるのだ。

「見つけたぜ、俺の標的は――ロリコン臭がするおまえだ!」
『くッ、ミラーシールド!』

天龍が狙いを定めたのは前衛に盾要員として出ていた氷竜もとい氷嵐の支配者。
氷竜は急いで万能属性攻撃さえ無力化するカウンタースキル・ミラーシールドを発動する。

\  さいごのガラスをぶち破れ〜    /
 *      \ 見慣れた景色をけりだして〜 /*
  *  ( \/ /_∧   <./|   /| +     /\___
   + ..ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
。     / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/ * /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
   +     i⌒ヽ  ./   ̄>__  + 。    ..|| |::
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\  + .|| |::
 *  ..i    | /ヽ   ヽ  *∠__/   ̄ +  *..|| |::
     ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>  *    || |::
  。    \|  )  ̄  ./V   *     。   .|| |::
____  .ノ ./⌒)∧ /  ..+_________||___
  。  / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|
    //    し'  / /\ + ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
※天龍です


『馬鹿な!?』

氷でできたミラーシールドはガラス細工のように簡単に破られた。
マーラ戦の時のように奇襲で首がもげてミラーシールドが貼れなくなったり、きらり戦の時のようにステータスを強制的に一桁

にされたわけでもなく、完璧なミラーシールドは「最初から発動していない」かのように容易く破壊された。
直後に天龍の砲撃が氷竜の三つある首の内、左右一本ずる粉砕、胸部にも一撃をもらい、残った一本の頭の口から吐血し、地上

に倒れた。

『氷竜! 今いくぞ!!』

比較的動けたウォークライとドラゴンの部隊が空から氷竜を助けようとする。
ブレス攻撃などは味方を巻き添えにして危険だが、単体攻撃である爪や牙ならば。
そう考えて天龍に襲いかかろうとするが、ここで狂信者たちの迎撃に合う。

「やらせはせんよ」
「目標をセンターに入れてスイッチ!」
「(味方の邪魔をするのは)やめてくださいよ本当に!」
「ビーム喰らって死のう、な?」
『邪魔をするなーーーッ!!』

数多のモブ狂信者の乗るロボット兵器、初号機F型装備、フェネクスにユニコーン、そしてゼオライマー自体の攻撃により、氷竜

を助けようとしたドラゴンの多くが撃ち落とされた。
ウォークライは妨害してきた狂信者たちに怒号を上げるが、それで狂信者が止まるわけではなく、弾幕射撃により他の同盟軍の

味方の誰もが、自陣営にいながら氷竜を助けに行くことができなかった。

氷竜自身も周囲の味方を巻き添えにしない貫く氷槍や三連牙で抵抗するが、天龍はこれを刀でカッキンカッキンと弾き、砲撃と

斬撃で急速に流血させていき、みるみる内に満身創痍にさせた。

『お、俺を一瞬でロリコンと見抜いた嗅覚!
そして相対しただけで魔法や罠を無力化する能力……貴様もしやオシリスの……』

氷竜は目の前の少女の性癖や能力から正体をなんとなく察し、まさかと思い問いかける。
しかし天龍は冷酷な瞳を向けつつ、障壁を貼れなくなった氷竜の残った最後の首を斬り落とした。

「……そいつはもう死んだよ、今の俺は軽巡洋艦の天龍だ」


【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】


「氷竜さん! そんなぁー!!!」

同盟軍の心の声を代弁するかのようにまどかは悲痛な叫びを上げる。
氷竜の死はそれだけ呆気なく、無惨であった。

377ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:19:20 ID:bSdwsiAM0

『よくも同胞を……!』

漸く敵の弾幕をくぐり抜けたウォークライが飛来し、天龍に爪の一撃を食らわせんとする。
しかし、それより早くゼオライマーが天龍を庇うように彼女の目の前に転移し、先制が逆転するスキルによって、先に仕掛けた

ハズのウォークライより先に攻撃する。

「ファースト」
『がッ!』
「まだだ!」

ウォークライはゼオライマーの拳で弾き飛ばされるが、入れ替わりでレストが渾身の力で切りかからんとする。
だが、ゼオライマー『戦闘から一方的に逃げる』スキルを。

「エスケイプ」
「!?」
「じゃあの」

復讐の刃を放とうとしたレストを嘲笑うかのように、ゼオライマーと天龍は次元連結システムによって転移し、次の瞬間に狂信

者の陣営に舞い戻っていた。
ドリスコルが使用したスキルは敵の攻撃そのものをキャンセルし、一撃離脱を可能にする『エスケイプ』。
味方が使うとヌルゲー化し、敵が使うとウザったいことこの上ない戦闘スキルである。
今の戦闘でそれを察したレストは舌打ちする。

「チッ、この嫌らしさは、単に欠点を突いてきた魔神皇の比じゃない」



狂信者陣営側に戻ったドリスコルと天龍。

「トラ、トラ、トラ。大成功だぜ」
「ああ、奇襲は成功だ。厄介になるかもしれぬ氷竜の殺害にも成功した」

天龍が氷竜を最初に狙ったのは、彼の持つスキルであるミラーシールドを危険視したからである。
ミラーシールドはどんな攻撃も跳ね返す盾であり、最悪ゼオライマーの最大火力である烈メイオウ攻撃さえ自分たちに戻ってく

る危険が有る。
単に跳ね返すだけならレストやフォレスト・セルにもできるようだが、レストは自分しか防御できず、セルは物理攻撃と術(エ

ネルギー)のどちらかしか選択できないのは先の敗北からデータを収集済みだ。
そしてオシリス譲りの能力により、戦闘になれば相手の魔法・罠・特殊効果を殺せる天龍によって氷竜のミラーシールドは発動

することなく、抹殺を可能にした。

それでも高い火力は都庁には残っているのだが、そのための人質装甲である。

「人質の存在が、都庁同盟軍の攻撃を渋らせている。
ギリギリまでクラウザーさんへの生贄に捧げなくて正解だった。
奴らを殺すには物量や質、策だけでは足りなかったのだ……一番必要だったのは心を抉るような卑劣さだ」
「狂信者で評判最悪の俺たちからしてみれば失うもんなんて何もないしなー」
「そうだな、さて、モブ狂信者どもの士気が高い内にゆるりと進軍させるか」

指揮官であるドリスコルの指示に従い、人質を盾にしながらロボット部隊が進軍を始める。
一方の都庁側は満足に攻撃できず防戦一方になるしかなかった。

378ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:20:05 ID:bSdwsiAM0


「ダオスさん……どうしましょう」
「クッ……今までで一番辛い戦いになるだろうが……」

同盟軍の長であるダオスは苦渋の決断を迫られた。
大火力による攻撃は人質を殺してしまう、人質を無視すれば少なくともモブ狂信者のロボット軍団だけは一掃できる。
しかし、それをやってしまえば戦争で滅び、現代の苦境を招いた古代グンマー・古代ミヤザキと何も変わらなくなってしまう。

「小鳥、全員に伝達しろ。
人質は何匹いるかわからんが、流石に全部の機体に載せているわけではないだろう。
それぞれで役割を分担する。
レスト、ウォークライ、アルルーナ、カヲルは主軸になっている狂信者を優先的に狙え!
その他の魔物は人質救助を優先し、範囲攻撃は使わずに肉弾戦で中のパイロットだけ殺せ。
私とまどか、セルと神樹は世界樹の防御に徹し、人質の救助が済んだら、一気に狂信者を殲滅する。
……それまで地上の部隊には一切の支援ができんとな」
「厳しい戦いになりますね」
「今は耐えてもらうしかない」

小鳥はスマホや伝令係の魔物を通して味方に指示を伝達。
ダオス、まどか及びセルと神樹は高出力のレーザーを敵ではなく敵の攻撃に対して向けることで、世界樹への被害を無くす。

「奴らめ、撃ち落とした時の被害を考えてわざと低く飛んでいるな……煩わしい奴らめ。」

ゼオライマー、ホモのガンダム二機はあえて低空を飛んでいた。
撃墜すればすぐ下にいる人質が巻き添えになるからだ。
そして、自分を含めて命の価値が低い狂信者は無遠慮に攻撃をしかけてくる。
地上でロボット軍団と白兵戦を繰り広げる魔物たちは苦戦を強いられていた。

「ファースト!」
「デュエル!」
「オールヒット!」
「ブラストショット!」
「フィックスDMGIII」
「マイナスショットIII!」
「エスケイプ!」
「ウィークポイント!」

『ぎゃあああああああああ!』
『こいつら、鬱陶しい!!』

モブだけを見た場合地の能力では魔物側が何枚か上手ではあったが、狂信者側は人質を取ってる上に、ドリスコルから渡された

のであろう所持スキルの数々が、魔物たちの攻撃力を削ぐ。
攻撃の先制権はスピードに関係なく奪われ、連携が取れない一体一の戦いに強制的に持ち込まれ、回避力に関係なく全弾命中。
転倒させられて何もできず、200近いダメージがなぜか半分以下の80固定にさせられたり、ちょっとかすっただけで攻撃力を激減


攻撃しては逃げられ、挙句まだある程度HPに余裕があるのに部位破壊させられる……そしてレーザーによる支援砲火ができなく

なったので倒しても倒しても中々減らない。
戦闘やドラゴンハートで強化されたハズのモブ魔物が何匹も犠牲になった。

ドリスコルの引き連れた軍団はこれまで以上に能力やスキルだけで勝つのは難しい相手であった。
だが、魔物たちもただ黙ってやられるつもりはなく、苦戦しながらもロボットを範囲攻撃を使わずに戦闘不能に追い込み、パイ

ロットを殺した後に人質を救助。
少しずつであるが、人質の魔物を世界樹の中へ保護することができた。


そんななか、ひとつの因縁の決着が今、始まろうとしていた。

「エヴァ初号機……それに乗ってるのはシンジくんなのか?」
「カヲルくん、君がそっち側にいるのが僕には理解できないよ」

白と紫のエヴァを通して銃を向け合う二人の少年たち。
本来なら親友になれた者同士が、敵同士としてとうとう戦場で出会ってしまったのである。

「カヲル、ひょっとしてあれに乗っている彼は君の親友の……」
「ああ。シンジくんの相手は僕に任せてくれないか?
彼の戦い方を知ってるのは僕だけだから……」
『すまん、ここは任せたぞ』

エヴァンゲリオンの相手は同じエヴァンゲリオンに任せ、レストたちはドリスコルや天龍を討つべく、追いかける。
氷竜を殺した艦むす、そしてこの攻撃部隊の総司令官と思われる男を倒せば、活路を見いだせるからである。


(ふッ……お膳立ては済ませたぞ、ゼロ、あとはおまえ次第だ)
「みんな……ダメ……この戦いは」
「うるさいメス豚は耳レ○プ」
「いやあああああああああああああ!!!」

ゼオライマーの中で再び意識が戻った次元連結システムもといカレンが何かを言いかけたが、ドリスコルが彼女の苦手なDMCの曲

を音量いっぱいで流したため、誰にも聞こえず阻止された。

379ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:20:52 ID:bSdwsiAM0



世界樹内部1F、そこにはさやかや彼女に従う魔物が負傷した魔物や人質の治療を行っていた。

『すまない、本当に助かった……』
「私にはこれしかできないからね、ただひたすら治すだけよ」

さやかはもはや、自分がまどかやほむらのように戦闘に向いていないことを認め、逆に戦闘で前線から離れられないまどからに変わって後方で回復魔法を振るっていた。
必死に治療し、激しい戦場にも関わらず魔物を安心させるために笑顔で励ますさやかの姿はまさにナイチンゲールのようだった。

(うッ……もうソウルジェムが真っ黒!)

しかし、怪我人が矢継ぎ早にくる環境では穢れが貯まるのも早い。
すぐに黒ずんだジェムが、外の戦いは地獄めいていると語っている。

『一番回復能力があるとはいえ無理するな』
『補給のためにフォレスト・セルに穢れを吸ってもらえ』
「ごめん。
こんな時に魔女になるわけには行かないしちょっとだけ離れる」

さやかは穢れを取るために一時的に現場を離れた。

「早く戻らないと……」

世界樹の入口、戦場から運ばれてくる魔物の数は増える一方。
それがさやかに焦りをもたらした。


そこで肩を支えあう、互いに傷ついた二匹の魔物と目があった。
オスと思われる魔物が、弱々しい声でさやかに語りかける。

『そ、そこの人間……俺の話を聞いてくれ』
「待って、今は他の仲間の治療が……」
『敵の、狂信者の作戦に関わる重大なことなんだ……』
「なんですって!?」

人質など汚い手を使ってきたドリスコルの部隊に、まだ奥の手があるのか。
それが本当なら早くダオスや皆に伝えないといけない。

『俺はもうもたん……おまえに情報を渡したい……もっと近くに……耳を貸してくれ』
「待って、治癒魔法を……ダメだ、ソウルジェムが持たない、クッ」

今にも死にそうな魔物だが、現在のさやかには回復できる魔力がない。
悔しい思いをしながらもせめて、死に物狂いで集めてきた情報だけは無駄にしないために魔物に耳を傾けた。



『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様は俺の命令に従え』


「イエス、ユアハイネス」


さやかが魔物「だと思っていた何か」はさやかが近づいてきた瞬間、両腕で頭を掴んで強引に目を合わせさせた。
そして見てしまったのだ、目の中の紋章――絶対遵守のギアスを。
さやかはこの瞬間から、このギアスの持ち主の兵士となってしまった。

『うまく侵入できたな』
『ええ、鮮やかでした。さすがお兄様!』

さやかが魔物だと思っていた二匹の正体はカギ爪団の現在の首魁であるルルーシュと義理の妹である深雪である。

(仕事をしないと評価が低かったサイコマンだが、彼の残した技術――オーバーボデイの方は大いに役に立ったよ)

サイコマンが狂信者にもたらした技術、オーバーボデイ。
二人は着ぐるみのようにオーバーボディで魔物に偽装をしていた。
偽装は完璧で少なくとも視覚や嗅覚ではそこらのモブ魔物と判別不能。
ちなみに負っていた怪我はそれっぽく見せた血糊である。

380ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:21:23 ID:bSdwsiAM0



実はこれまでの作戦は全部ルルーシュことゼロの発案である。
これまでの都庁と狂信者の戦闘経緯から、都庁同盟軍は仲間である魔物に対して「仲間意識」が強すぎること……言ってしまえば「非情さ」が欠如していることを見越していた。
おそらく戦況をひっくり返す核兵器的な奥の手もあると推測していたが、人質を取られればそれも使用不可。
そして人質を救助しようとして、偽装したルルーシュと深雪を内部に招き入れてしまうのである。

(ふふッ、奴らは気づいてませんね、助けた人質の半分はオーバーボデイを纏ったカギ爪団の構成員と深海棲艦)
(しかも残り半分は、実際に都庁に合流できずにはぐれた魔物。
気づいたら気づいたで都庁内部は疑心暗鬼でパニックになる)

同盟軍が必死になって助けている人質の半分はスパイ。
今はルルーシュの合図を待って大人しく待機しているようだが、内部で暴れでもしたらどうなるだろうか。

(狂信者はかつてデスマンティスを使ってスパイ作戦を行ったが、肝心のスパイが私情に走り、後詰めの部隊は作戦もヘチマもない連中だったために失敗に終わった。
だが、今度は違う。
俺はただスパイを内部に入れるだけでなく、内部にスパイを作り出せる絶対遵守のギアスを持っている。
味方に甘い奴らが、この少女のようにただ操られただけの少女を撃てるかな?)

ルルーシュは心の中でほくそ笑む。

『おっと、作戦はまだ始まったばかりだ。
深雪は手はず通り、そのマスターボールでフォレスト・セルを捕獲しろ』
『はい、お兄様!』

作戦のプランの内には深雪が持つ、マスターボールによるセル捕獲がある。
このマスターボールはサーフによる魔改造を受けているため、持ち主がいても確実に捕まえることができる逸品。
スキルやステータスの高さはまったく関係なく何であれ捕獲可能。
何より都庁で最強の能力を誇るフォレスト・セルを捕まえてしまえば、トレーナーのレベルの都合でセル自体を操ることはできなくても都庁の戦力はガタ落ちし、世界樹陥落を容易にするという寸法である。
魔物に扮した深雪は背後からこっそりと忍び寄り、不意打ちで捕まえようというのだ。

『俺はこの娘に都庁の内部を案内させてもらう』
『危険ではないですか?』
『ギアスで洗脳できそうな奴を狙って兵隊を増やしていく、俺のことなら心配しなくて良い』
『敵地の中でなんと勇敢な……さすがお兄様!』

いつもの「さすおに」のやりとりの後、ルルーシュと深雪は一時の別れをした。
人質に偽装した狂信者仲間の手で巧妙に隠されたせいか周囲の魔物たちは、スパイが紛れ込んだことに気づいていない。

『さあ、俺を案内しろ、さやか』
「はい」



『……都庁には悪いが、テラカオスに纏わる必要な情報や資材を奪い、今後の役に立ちそうな人材以外は全滅してもらう。
ナナリーの蘇生のためにはどうしても犠牲がいる。
大災害を防げようとも、そのあとの世界にナナリーがいてくれないと俺はダメなんだ……!』

妹への愛に狂った男、ルルーシュの瞳にもまた、ギアスの他に松本と似たような狂気を孕んでいた。

381ヘルコロシアム ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:21:55 ID:bSdwsiAM0



【二日目 22時00分/東京都 新宿都庁世界樹】


【都庁同盟軍】
※全てを虜にする歌→鎮魂歌がカヲルの手によって作成されました
 楽譜は小鳥が預かっています


【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
※ルルーシュのギアスによって操られました。



【DMC狂信者 都庁侵攻部隊】
※モブ狂信者は人質を盾に侵攻しています。
 その人質の半分はオーバーボデイで偽装したカギ爪団構成員&深海棲艦です。

【ドリスコル@フロントミッション】
【天龍(元オシリス)@艦隊これくしょん】
【道下正樹@くそみそテクニック】
【遠野@真夏の夜の淫夢】
【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン】

【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
※オーバーボデイで魔物に偽装中。
※四条化した魔理沙の死体を道下から譲渡されました。

【司波深雪@魔法科高校の劣等生】
※オーバーボデイで魔物に偽装中。
※魔改造マスターボールをドリスコルから譲渡されました。
 フォレスト・セルを捕まえる予定。

382 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/08(月) 12:22:13 ID:bSdwsiAM0
投下終了です

383 ◆hphChNhqkE:2019/07/08(月) 21:25:22 ID:gQE7x2c.0
ぬああ、まさか書いてる途中にパート被ってたとは……
とはいえやってみたいネタもあったし、都庁+侵攻狂信者で予約します
同パート連続が不味かったら取り下げます

しかし鍵にしていた氷竜がやられたのは痛い

384名無しなんじゃないのー☆:2019/07/09(火) 20:06:35 ID:RphnMIXs0
同パート連続は大丈夫だと思いまっせ
続きが早く読みたいです

385名無しなんじゃないのー☆:2019/07/10(水) 18:42:35 ID:JL6BoiV20
すっごい今更なツッコミなんだが、オシリスの魔法罠無効は「オシリスに対する弱体等」のみの無効化だったような……
あとセルのセルメンブレンも「発動ターンの自軍に対するあらゆる攻撃を無属性に変換し増幅反射」
だから物理も魔法も特殊攻撃も全部反応する。カウンターがばらけてるのは3の禍神さんと旧セル(ここのセルは鳴き声から新セル)
次の人がもう書き始めてるからほんと今更だが、まあサーフの改造で強化された感じでなんとかなるかな

386 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/11(木) 20:49:20 ID:rO/JzHOQ0
把握ガバすいません、明日無難な範囲で修正したSSを投下してみます
(話の大筋・死亡者は変化しません)

387 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:15:22 ID:qctHHCRw0
修正版投下します
カヲルくんが歌を創る下りは全く同じなので、そこまではカットして投下します

388ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:16:03 ID:qctHHCRw0
天辺では魔王ダオスが厳かに戦いの準備をしていた。

「よし、来たな……」
「ダオスさん!」
「小鳥は今すぐ、天ぷらを揚げろ。
それからギムレーの話もありカオスロワちゃんねるは信用ならないが……それでも新宿以外の大雑把な戦況を見るには必要だ。
ネットの動きに目を凝らしておけ」
「はい!」

都庁の魔物を主体とした同盟軍は、これまでの戦いにより疲弊しており、現在進行してくる狂信者と比べれば圧倒的に数で劣る。
しかし、ドラゴンハートなどの各種恩恵により実際の人数の数十倍の戦力は持っており、特にチームワークは折り紙つきだ。
物量に任せた集団や、質に任せただけの作戦では打ち破ることはできず、何度も襲いかかってきた狂信者をレベル上げの経験値に変えてきた。
そもそも、フォレスト・セルのセルメンブレンで自軍はあらゆる攻撃を受け付けずに跳ね返す。
故に、狂信者が相手なら数だけで竦む者は同盟軍に誰もいなかった。

「流石に本腰を入れてきたようだが、少しばかり遅かったな。
エリカ、神樹! 神々の黄昏の使用を許可する!」
「あれは一発しか撃てません」
『再確認だが本当に良いのか?』
「我々にはやることが山積みなのにここで消耗するわけには行かん。
拳王の外道どもは儀式の薪に使った方が良いだろうし、主催が九州ロボに乗ってきた場合は墜落の危険でどのみち使えん。
いかな狂信者とはいえ、あれだけの数を一瞬で失えば組織も傾き、大人しくせざる追えないだろう」

一度しか使えない禁断奥義『神々の黄昏』。
使用すれば相手集団は一瞬で壊滅させられる。
ダオスはここでの人命や力の消費は愚策と考え、ここでの使用を決断した。

『へッ、そうと決まれば!』
「まどかちゃん、術の効力を上げるためにセルと融合、続けて神樹と融合して!」
「はい!」

エリカは発射前に対ハザマ軍団戦で使用したフォレスト・セルと神樹の合体状態で臨む。
融合することで術の威力と効果範囲が大きくなり数万人の狂信者をすっぽり覆うことができるほどになった。

『よし、禁断の奥義行くぜ!』
「多少の撃ち漏らしが出るかもしれん。他の者も神樹だけに頼らず迎撃を用意」

合体神樹だけでなく、後ろに控えているエヴァ四号機、ドラゴン軍団、アルルーナにレスト、その他の戦えるモブFOEも攻撃の準備をする。
これまで散々レベルを上げたため、これだけの数でも敵の殲滅は容易であろう。
さやかはいざという時の回復係として世界樹の中に残り、非戦闘員である魔雲天(人間)ときらりは地下の方で待機する。
世界樹にいる都庁同盟軍全ての者が固唾を飲んで推移を見守った。

『チャージ完了! いくぜ、神々の黄――』















「……? どうしたの神樹? なぜ撃たないの?!」

神樹はいつになっても、神々の黄昏を放たなかった。
エリカの疑問に対して神樹は呟く、ひどく怯えたような声で。

『あいつらなんてことを……』
「暗くてよく見えない! ウォークライ、明かりを!」

要領を得ない神樹の言葉に、レストは配下のウォークライに火球を放たせた。
ただしそれは狂信者に直接当てるのではなく、近くの瓦礫にあてて燃焼させて照明にするためである。
すると、向かってくる狂信者の正体を目にして、神樹が驚いていた理由を他の者も理解し、同時に戦慄した。

敵はMSとかヨロイなどのロボットがメインだ。
だがそこは対して問題ではない。頭数含めて予測可能な敵であった。
予想だにしてなかった手段を用いてきたからこそ、驚愕しているのだ。


――死にたくない!!――
――助けて!!――
――ガオォォォン!!――

『あのクソ野郎ども……人質を取ってやがる!
その人質をロボットの装甲に貼り付けてやがる!』

389ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:16:43 ID:qctHHCRw0

狂信者が操るロボットの前面には数匹ずつ、生きた魔物が磔刑のように貼り付けられていた。
今まで都庁に合流できなかったグンマーの魔物たちが捕らえられ、磔にされていたのだ。

「なんてこと、これじゃ高火力広範囲の攻撃ができない!!」
「それだけじゃない、セルメンブレンみたいな敵に攻撃を反射する防御技も使えない!
反射してロボットが大爆発したら人質の魔物も巻き添えだ。卑怯者めえ!」

アルルーナとレストが敵を非難するが、無理もない。
これではいくらレベルを上げたところで、敵を攻撃……特にダオスレーザーなどの広範囲攻撃ならば尚更するわけにはいかないのだから。

「それだけおまえたちは、我々を本気にしたということだ」
「!?」

怒り戸惑うレストたちの前になにかが転移しようとしていた。
最初に中から現れたのはディパックとそこから溢れ出る大量の水だ。

「うわっぷッ! これは海水!?」

水の正体は、大量の海水。
しかし大量といっても溺れるほどではない。
深さ十数cm程度の水たまりが広範囲に出きるだけでこれ自体に直接の害はなかった。

問題なのは次に転移してきた存在だ。

レストら迎撃部隊の中央に現れしは次元連結システムを使って転移してきた最悪の冥王、黒塗装のグレートゼオライマー。

「敵!」

多くのモブ魔物が人質を伴って侵攻してくる敵に気を取られる中、レストら歴戦の戦士たちの反応は素早かった。
グレートゼオライマー相手に繰り出される世界樹ノ剣――全状態異常95%付与、体力吸収。攻撃力は女装鎧であるソウルアーマーの力で40倍。レストのレベルの高さも相まって直撃すればガンダムクラスの装甲までなら確実に消し飛ぶ。
追撃にアルルーナはアシュラマンさえ一撃で葬った冷気の一撃、フロストスマイルを放つ。
幸い、転移に耐えられない都合かゼオライマーの装甲に人質は磔られていない。
倒すのは問題なかったハズだが。

「当たらねばどうということはない! フットワーク、そして分身!」
「なんですって!」
「重そうな見た目の割になんて敏捷性!」

格闘攻撃を確実に躱すスキル・フットワーク、そして必中攻撃以外は確実に躱す分身。
ゼオライマーに乗るドリスコルはこれらを使って、攻撃を凌ぐ。

「ダオスさん! 援護を!」
「ダメだ! 味方が近すぎる!」
「これじゃ撃てないよ!」

ダオスやまどかも追撃に加わろうとしたが、敵と味方の距離が近すぎたためにレーザーや他の攻撃も発射できない。
それはエヴァ四号機に乗るカヲルや氷竜・ウォークライとて同じだ。
相手が泡を食っている攻撃のチャンスを得たドリスコルは反撃を行う。

「Jカイザー、バラージュ!!」
「「うわあああああああああああああああ!!」」

八罫ロボの一体、月のローズセラヴィーの技であるレーザー攻撃を回転しながら放つゼオライマー。
周辺にいたレストやアルルーナは高い回避力と防御力のおかげで大した打撃を受けなかったが、二人未満の実力であるモブ魔物はそうとは行かず、数十匹の魔物が一気に蒸発し、同時に爆炎を引き起こした。

「今だ! 奴を斬れ、天龍!」
「応!」

一瞬だけ開いたゼオライマーのハッチから眼帯の艦むす、天龍が現れる。
水浸しになった地面に降り立った天龍は、ウォータースケートの要領で水上を猛ダッシュする。
その機動力は圧巻であり、レスト含めた前衛の誰も追うことはできず、捕まえようとするものを嘲笑うかのように障害になっていたモブ魔物を天龍は腕の刀でバッサバッサと、滑らかに辻斬りしていく。

「へへん、艦むすは水上だと機動力や戦闘力が地上の数倍から数百倍まで跳ね上がるんだぜ!
世界最高水準な俺をウスノロなおまえたちが捕まえられるわけがねえよ!」
「艦むすだって……!?」

レストには確かに聞こえた。
古代ミヤザキが使用した人口巫女――艦むすの言葉。
彼女の言葉に嘘がなければ、その艦むすが目の前にいるのだ。

390ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:18:16 ID:qctHHCRw0

「どうして誰も止められないの!?」
『あ、あの女が異常に早くて強いのもあるが、デバフに麻痺や混乱を招く攻撃をしても全然効果がないんだ!』
『罠もダメだ!』
「あいつ、無敵状態になれるスキルでもあるの!?」

アルルーナが束になっても天龍を追い詰められない理由をモブFOEに問いかけるが、返ってきたのは天龍への恐れであった。

「見つけたぜ、俺の標的は――ロリコン臭がするおまえだ!」
『くッ、ミラーシールド!』

天龍が狙いを定めたのは前衛に盾要員として出ていた氷竜もとい氷嵐の支配者。
氷竜は急いで万能属性攻撃さえ無力化するカウンタースキル・ミラーシールドを発動する。

「なるほど、攻撃を仕掛けると反射されるタイプの『特殊効果』もしくは『罠』だな。ということは!」


\  さいごのガラスをぶち破れ〜    /
 *      \ 見慣れた景色をけりだして〜 /*
  *  ( \/ /_∧   <./|   /| +     /\___
   + ..ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
。     / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/ * /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
   +     i⌒ヽ  ./   ̄>__  + 。    ..|| |::
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\  + .|| |::
 *  ..i    | /ヽ   ヽ  *∠__/   ̄ +  *..|| |::
     ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>  *    || |::
  。    \|  )  ̄  ./V   *     。   .|| |::
____  .ノ ./⌒)∧ /  ..+_________||___
  。  / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|
    //    し'  / /\ + ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
※天龍です


『馬鹿な!?』

氷でできたミラーシールドはガラス窓のように簡単に破られた。
マーラ戦の時のように奇襲で首がもげてミラーシールドが貼れなくなったり、きらり戦の時のようにステータスを強制的に一桁にされたわけでもない、完璧なミラーシールドでもあったにも関わらずだ。
直後に天龍の砲撃が氷竜の三つある首の内、左右一本ずつ粉砕、胸部にも一撃をもらい、残った一本の頭の口から吐血し、地上に倒れた。

『氷竜! 今いくぞ!!』

比較的動けたウォークライとドラゴンの部隊が空から氷竜を助けようとする。
ブレス攻撃などは味方を巻き添えにして危険だが、単体攻撃である爪や牙ならば。
そう考えて天龍に襲いかかろうとするが、ここで狂信者たちの迎撃に合う。

「やらせはせんよ」
「目標をセンターに入れてスイッチ!」
「(味方の邪魔をするのは)やめてくださいよ本当に!」
「ビーム喰らって死のう、な?」
『邪魔をするなーーーッ!!』

数多のモブ狂信者の乗るロボット兵器、初号機F型装備、フェネクスにユニコーン、そしてゼオライマー自体の攻撃により、氷竜を助けようとしたドラゴンの多くが撃ち落とされた。
ウォークライは妨害してきた狂信者たちに怒号を上げるが、それで狂信者が止まるわけではなく、弾幕射撃により他の同盟軍の味方の誰もが、自陣営にいながら氷竜を助けに行くことができなかった。

氷竜自身も周囲の味方を巻き添えにしない貫く氷槍や三連牙で抵抗するが、天龍はこれを刀でカッキンカッキンと弾き、砲撃と斬撃で急速に流血させていき、みるみる内に満身創痍にさせた。

『お、俺を一瞬でロリコンと見抜いた嗅覚!
そして魔法や罠を無力化する防御能力……貴様もしやオシリスの……』

氷竜は目の前の少女の性癖や能力から正体をなんとなく察し、まさかと思い問いかける。
しかし天龍は冷酷な瞳を向けつつ、障壁を貼れなくなった氷竜の残った最後の首を斬り落とした。

「……そいつはもう死んだよ、今の俺は軽巡洋艦の天龍だ」


【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】


「氷竜さん! そんなぁー!!!」

同盟軍の心の声を代弁するかのようにまどかは悲痛な叫びを上げる。
氷竜の死はそれだけ呆気なく、無惨であった。
助けたくとも一切の援護はできなかった。
大技は氷竜や周辺の味方を巻き込んでしまい、セルメンブレンはなぜか天龍相手には反射されず盾としての効果も発揮しないからだ。

『よくも同胞を……!』
「許さないぞ!」

空からは漸く敵の弾幕をくぐり抜けたウォークライが、地上からは追いついたレストの挟撃が天龍に一撃を食らわせんとする。

391ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:19:12 ID:qctHHCRw0
しかし、それより早くゼオライマーが天龍を庇うように彼女の目の前に転移し、『戦闘から一方的に逃げる』スキルを使用する。

「エスケイプ」
「!?」
「じゃあの」

復讐の一撃を放とうとした者を嘲笑うかのように、ゼオライマーと天龍は次元連結システムによって転移し、次の瞬間に狂信者の陣営に舞い戻っていた。
ドリスコルが使用したスキルは敵の攻撃そのものをキャンセルし、一撃離脱を可能にする『エスケイプ』。
味方が使うとヌルゲー化し、敵が使うとウザったいことこの上ない戦闘スキルである。
今の戦闘でそれを察したレストは舌打ちする。

「チッ、この嫌らしさは、単に欠点を突いてきた魔神皇の比じゃない」



狂信者陣営側に戻ったドリスコルと天龍。

「トラ、トラ、トラ。大成功だぜ」
「ああ、最初の奇襲は成功だ。厄介になるかもしれぬ氷竜の殺害にも成功した」

天龍が氷竜を最初に狙ったのは、彼の持つスキルであるミラーシールドを危険視したからである。
ミラーシールドはどんな攻撃も跳ね返す盾であり、最悪ゼオライマーの最大火力である烈メイオウ攻撃さえ自分たちに戻ってくる危険が有る。
単に跳ね返すだけならレストやフォレスト・セルにもできるようだが、レストは装備による自動発動、セルは自軍全域まで広げてしまうので、こちらが人質を盾にすると攻撃力が現象する。
氷竜はタイミングや防御対象を自由に選んで使用できるため、防御面では厄介ではあった。
だが天龍が持つオシリス譲りの能力により、相手からの魔法・罠・特殊効果を殺せる天龍によって氷竜のミラーシールドは発動することなく、抹殺を可能にした。

それでも高い火力は都庁には残っているのだが、三竜の最後の一匹が亡くなったことで士気と指揮力は減退。
高すぎる攻撃力も人質という肉の盾の前では生かせまい。
少なくともドリスコルは敵の攻勢を削ぐ簡単な方法を、イチロー戦で学習済みであった。

「人質の存在が、都庁同盟軍の攻撃を渋らせている。
尋問・拷問のためにギリギリまでクラウザーさんへの生贄に捧げなくて正解だった。
奴らを殺すには物量や質、策だけでは足りなかったのだ……一番必要だったのは心を抉るような卑劣さだ」
「狂信者で評判最悪の俺たちからしてみれば失うもんなんて何もないしなー」
「そうだな、さて、モブ狂信者どもの士気が高い内にゆるりと進軍させるか」

指揮官であるドリスコルの指示に従い、人質を盾にしながらロボット部隊が進軍を始める。
一方の都庁側は満足に攻撃できず防戦一方になるしかなかった。


「ダオスさん……どうしましょう」
「クッ……今までで一番辛い戦いになるだろうが……」

同盟軍の長であるダオスは苦渋の決断を迫られた。
大火力による攻撃は人質を殺してしまう、人質を無視すれば少なくともモブ狂信者のロボット軍団だけは一掃できる。
しかし、それをやってしまえば戦争で滅び、現代の苦境を招いた古代グンマー・古代ミヤザキと何も変わらなくなってしまう。

「小鳥、全員に伝達しろ。
人質は何匹いるかわからんが、流石に全部の機体に載せているわけではないだろう。
それぞれで役割を分担する。
レスト、ウォークライ、アルルーナ、カヲルは主軸になっている狂信者を優先的に狙え!
指揮官や隊長格を倒せば敵も混乱する。
その他の魔物は人質救助を優先し、範囲攻撃は使わずに肉弾戦のみで中のパイロットだけ殺せ。
私とまどか、セルと神樹は世界樹の防御に徹し、人質の救助が済んだら、一気に狂信者を殲滅する。
……それまで申し訳ないが、地上の部隊には一切の支援ができんとな」
「厳しい戦いになりますね」
「今は耐えてもらうしかない」

小鳥はスマホや伝令係の魔物を通して味方に指示を伝達。
ダオス、まどか及びセルと神樹は高出力のレーザーを敵ではなく、世界樹に直接降りかかる敵の攻撃に対して向けることで、世界樹への被害を無くす。

「奴らめ、撃ち落とした時の被害を考えてわざと低く飛んでいるな……煩わしい奴らめ。」

ゼオライマー、ホモのガンダム二機はあえて低空を飛んでいた。
レーザーで撃墜でもすればすぐ下にいる人質が巻き添えになるからだ。
そして、自分を含めて命の価値が低い狂信者は無遠慮に攻撃をしかけてくる。
地上でロボット軍団と白兵戦を繰り広げる魔物たちは苦戦を強いられていた。

「ファースト!」
「デュエル!」
「オールヒット!」
「ブラストショット!」
「フィックスDMGIII」
「マイナスショットIII!」
「エスケイプ!」
「ウィークポイント!」

『ぎゃあああああああああ!』
『こいつら、鬱陶しい!!』

392ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:19:53 ID:qctHHCRw0

モブだけを見た場合、地の能力では魔物側が何枚か上手ではあったが、狂信者側は人質を取ってる上に、ドリスコルから渡されたのであろう所持スキルの数々が、魔物たちの攻撃力を削ぐ。
攻撃の先制権はスピードに関係なく奪われ、連携が取れない一体一の戦いに強制的に持ち込まれ、回避力に関係なく全弾命中。
転倒させられて何もできず、200近いダメージがなぜか半分以下の80固定にさせられたり、ちょっとかすっただけで攻撃力を激減。
攻撃しては逃げられ、挙句まだある程度HPに余裕があるのに部位破壊させられる……そしてレーザーによる支援砲火ができなくなったので倒しても倒しても中々減らない。
戦闘やドラゴンハートで強化されたハズのモブ魔物が何匹も犠牲になった。

ドリスコルの引き連れた軍団はこれまで以上に能力やスキルだけで勝つのは難しい相手であった。
だが、魔物たちもただ黙ってやられるつもりはなく、苦戦しながらもロボットを範囲攻撃を使わずに戦闘不能に追い込み、パイロットを殺した後に人質を救助。
少しずつであるが、人質の魔物を世界樹の中へ保護することができた。


そんななか、ひとつの因縁の決着が今、始まろうとしていた。

「エヴァ初号機……それに乗ってるのはシンジくんなのか?」
「カヲルくん、君がそっち側にいるのが僕には理解できないよ」

白と紫のエヴァを通して銃を向け合う二人の少年たち。
本来なら親友になれた者同士が、敵同士としてとうとう戦場で出会ってしまったのである。

「カヲル、ひょっとしてあれに乗っている彼は君の親友の……」
「ああ。シンジくんの相手は僕に任せてくれないか?
彼の戦い方を知ってるのは僕だけだから……」
『すまん、ここは任せたぞ』

エヴァンゲリオンの相手は同じエヴァンゲリオンに任せ、レストたちはドリスコルや天龍を討つべく、追いかける。
氷竜を殺した艦むす、そしてこの攻撃部隊の総司令官と思われる男を倒せば、活路を見いだせるからである。



「人質の盾は防御としては有効……だが、これだけで決定打を与えるのは苦しいか」

ゼオライマーのコクピットの中でドリスコルは呟く。
確かにダオスやセルの攻撃は自陣営に全く届かず、モブ魔物にも被害を与えているが、都庁の世界樹を確実に倒し切るにはこれだけでは足りない。
反射能力無しでも圧倒的な防御能力を持つセル・神樹が世界樹を守る防壁となっており、遠巻きからのゼオライマーによる攻撃さえ防いでいる。
いくら天龍がスキル殺しの能力を持っているからとはいえ、単身で突っ込ませて殺させるほどドリスコルも馬鹿ではない。
グレートゼオライマー及び現状の狂信者では最大火力であろう烈・メイオウ攻撃を懐から浴びせれば確実な打撃を与えられるかもしれないが、些か博打がすぎる。

人質もいつかは全員奪還されて、狂信者が逆に殲滅される危険がある。
故に都庁軍が気づいていない水面下では別の作戦が展開されていた。

(ふッ……お膳立ては済ませたぞ、ゼロ、あとはおまえ次第だ)
「みんな……ダメ……この戦いは」
「うるさいメス豚は耳レ○プ」
「いやあああああああああああああ!!!」

ゼオライマーの中で再び意識が戻った次元連結システムもといカレンが何かを言いかけたが、ドリスコルが彼女の苦手なDMCの曲を音量いっぱいで流したため、誰にも聞こえず阻止された。



世界樹内部1F、そこにはさやかや彼女に従う魔物が負傷した魔物や人質の治療を行っていた。

『すまない、本当に助かった……』
「私にはこれしかできないからね、ただひたすら治すだけよ」

さやかはもはや、自分がまどかやほむらのように戦闘に向いていないことを認め、逆に戦闘で前線から離れられないまどからに変わって後方で回復魔法を振るっていた。
必死に治療し、激しい戦場にも関わらず魔物を安心させるために笑顔で励ますさやかの姿はまさにナイチンゲールのようだった。

(うッ……もうソウルジェムが真っ黒!)

しかし、怪我人が矢継ぎ早にくる環境では穢れが貯まるのも早い。
すぐに黒ずんだジェムが、外の戦いは地獄めいていると語っている。

『一番回復能力があるとはいえ無理するな』
『補給のためにフォレスト・セルに穢れを吸ってもらえ』
「ごめん。
こんな時に魔女になるわけには行かないしちょっとだけ離れる」

さやかは穢れを取るために一時的に現場を離れた。

「早く戻らないと……」

世界樹の入口、戦場から運ばれてくる魔物の数は増える一方。
それがさやかに焦りをもたらした。

393ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:20:18 ID:qctHHCRw0


そこで肩を支えあう、互いに傷ついた二匹の魔物と目があった。
オスと思われる魔物が、弱々しい声でさやかに語りかける。

『そ、そこの人間……俺の話を聞いてくれ』
「待って、今は他の仲間の治療が……」
『敵の、狂信者の作戦に関わる重大なことなんだ……』
「なんですって!?」

人質など汚い手を使ってきたドリスコルの部隊に、まだ奥の手があるのか。
それが本当なら早くダオスや皆に伝えないといけない。

『俺はもうもたん……おまえに情報を渡したい……もっと近くに……耳を貸してくれ』
「待って、治癒魔法を……ダメだ、ソウルジェムが持たない、クッ」

今にも死にそうな魔物だが、現在のさやかには回復できる魔力がない。
悔しい思いをしながらもせめて、死に物狂いで集めてきた情報だけは無駄にしないために魔物に耳を傾けた。



『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様は俺の命令に従え』


「イエス、ユアハイネス」


さやかが魔物「だと思っていた何か」はさやかが近づいてきた瞬間、両腕で頭を掴んで強引に目を合わせさせた。
そして見てしまったのだ、目の中の紋章――絶対遵守のギアスを。
さやかはこの瞬間から、このギアスの持ち主の兵士となってしまった。

『うまく侵入できたな』
『ええ、鮮やかでした。さすがお兄様!』

さやかが魔物だと思っていた二匹の正体はカギ爪団の現在の首魁であるルルーシュと義理の妹である深雪である。

(仕事をしないと評価が低かったサイコマンだが、彼の残した技術――オーバーボディの方は大いに役に立ったよ)

サイコマンが狂信者にもたらした技術、オーバーボディ。
二人は着ぐるみのようにオーバーボディで魔物に偽装をしていた。
偽装は完璧で少なくとも視覚や嗅覚ではそこらのモブ魔物と判別不能。
ちなみに負っていた怪我はそれっぽく見せた血糊である。



実はここまでの作戦は全部ルルーシュことゼロの発案である。
これまでの都庁と狂信者の戦闘経緯から、都庁同盟軍は仲間である魔物に対して「仲間意識」が強すぎること……言ってしまえば敵だけでなく味方にも向けるべき「非情さ」が欠如していることを見越していた。
おそらく戦況をひっくり返す核兵器的な奥の手もあると推測していたが、人質を取られればそれも使用不可。
そして人質を救助しようとして、偽装したルルーシュと深雪を内部に招き入れてしまうのである。

(ふふッ、奴らは気づいてませんね、助けた人質の半分はオーバーボディを纏ったカギ爪団の構成員と深海棲艦)
(しかも残り半分は、実際に都庁に合流できずにはぐれた魔物。
気づいたら気づいたで都庁内部は疑心暗鬼でパニックになる)

同盟軍が必死になって助けている人質の半分はスパイ。
今はルルーシュの合図を待って大人しく待機しているようだが、内部で暴れでもしたらどうなるだろうか。

(狂信者はかつてデスマンティスを使ってスパイ作戦を行ったが、肝心のスパイが私情に走り、後詰めの部隊は作戦もヘチマもない連中だったために失敗に終わった。
だが、今度は違う。
俺はただスパイを内部に入れるだけでなく、内部にスパイを作り出せる絶対遵守のギアスを持っている。
味方に甘い奴らが、この少女のようにただ操られただけの少女を撃てるかな?)

ルルーシュは心の中でほくそ笑む。

『おっと、作戦はまだ始まったばかりだ。
深雪は手はず通り、そのマスターボールでフォレスト・セルを捕獲しろ』
『はい、お兄様!』

作戦のプランの内には深雪が持つ、マスターボールによるセル捕獲がある。
このマスターボールはサーフによる魔改造を受けているため、持ち主がいても確実に捕まえることができる逸品。
スキルやステータスの高さはまったく関係なく何であれ捕獲可能。
何より都庁で最強の能力を誇るフォレスト・セルを捕まえてしまえば、トレーナーのレベルの都合でセル自体を操ることはできなくても都庁の戦力はガタ落ちし、世界樹陥落を容易にするという寸法である。
魔物に扮した深雪は背後からこっそりと忍び寄り、不意打ちで捕まえようというのだ。

『俺はこの娘に都庁の内部を案内させてもらう』
『危険ではないですか?』
『ギアスで洗脳できそうな奴を狙って兵隊を増やしていく、俺のことなら心配しなくて良い』
『敵地の中でなんと勇敢な……さすがお兄様!』

いつもの「さすおに」のやりとりの後、ルルーシュと深雪は一時の別れをした。
人質に偽装した狂信者仲間の手で巧妙に隠されたせいか周囲の魔物たちは、スパイが紛れ込んだことに気づいていない。

『さあ、俺を案内しろ、さやか』
「はい」

394ヘルコロシアム 修整版 ◆/8LcLyQ/fI:2019/07/12(金) 09:21:01 ID:qctHHCRw0



『……都庁には悪いが、テラカオスに纏わる必要な情報や資材を奪い、今後の役に立ちそうな人材以外は全滅してもらう。
ナナリーの蘇生のためにはどうしても犠牲がいる。
大災害を防げようとも、そのあとの世界にナナリーがいてくれないと俺はダメなんだ……!』

妹への愛に狂った男、ルルーシュの瞳にもまた、ギアスの他に松本と似たような狂気を孕んでいた。



【二日目 22時00分/東京都 新宿都庁世界樹】


【都庁同盟軍】
※全てを虜にする歌→鎮魂歌がカヲルの手によって作成されました
 楽譜は小鳥が預かっています


【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【ターバンのレスラー人間(ザ・魔雲天)@キン肉マン】

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
※ルルーシュのギアスによって操られました。



【DMC狂信者 都庁侵攻部隊】
※モブ狂信者は人質を盾に侵攻しています。
 その人質の半分はオーバーボディで偽装したカギ爪団構成員&深海棲艦です。

【ドリスコル@フロントミッション】
【天龍(元オシリス)@艦隊これくしょん】
【道下正樹@くそみそテクニック】
【遠野@真夏の夜の淫夢】
【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン】

【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
※オーバーボディで魔物に偽装中。
※四条化した魔理沙の死体を道下から譲渡されました。

【司波深雪@魔法科高校の劣等生】
※オーバーボディで魔物に偽装中。
※魔改造マスターボールをドリスコルから譲渡されました。
 フォレスト・セルを捕まえる予定。

395 ◆hphChNhqkE:2019/07/15(月) 18:36:37 ID:1sfJCahU0
予約していた都庁と狂信者で投下します


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