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カオスロワ避難所スレ
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「……なんで、て言われても」
「はい論破。じゃ、オレ急いでるんで、これで失礼」
すたすたとスクランブル交差点から立ち去るティガニキ。
なんとも言えない顔でそれを末原は見つめる。傍らで死んだ少女と見比べる。
こんな――こんなことがあっていいのか?
こんな理不尽が、カオスが、あっていいのか?
圧倒的な暴力で全てを捻じ曲げられ、これまでの理屈や戦術が何もかもが通用しない。
それはまるで、末原が屈辱を噛みしめることになったあの大将戦のようで――。
「待ちな」
塞ぎこみそうになった末原の隣。
鋭い目をした男が……千石うぐいすが、ティガニキに向かって声をかけた。
「お?」
そして拾ったボールを投げる。
特別変な回転が掛かっているわけでもない・しかし速いストレート。
その球威に気付いたティガニキは振り返り、難なくグラブにその球を収める。
ティガニキがうぐいすの方を見る。うぐいすはギラついた目で獣を見返し、言った。
「一級勝負」
「?」
「お前が投げた球、俺がホームランできるかどうか。ダービーしねえか?
さっきの放送で呼ばれた千石うぐいすと末原恭子ってのは俺らのことだ。
だから、お前が勝てば――俺らを野田総理に引き渡すことで簡単に阪神を潰せるぜ」
「ちょ、うぐいす君!?」
「ただし。俺が勝ったら。お前は金輪際、人を殺すのをやめろ」
「はぁ?」
乾いた笑いをしたティガニキをよそに、
デイパックから金属バットを取り出したうぐいすはバッターボックスの構えを取る。
「ビビってんのか? ピッチャー。阪神潰すんだろ?
そしたらこの天才野球少年たるうぐいす様一人潰せないようじゃ名折れだぜ」
「……煽るじゃねえかガキ。見てただろ、オレの球は“消える”ぞ」
「はっ、そんなん“見え見え”や」
「ちょい、ちょ、うぐいす君! いきなり何してんねん!? なんで勝負になってんの!?」
「ほうほうほう。いいぜ受けてやる――。このティガニキに喧嘩打ったこと、後悔するがいい」
話が見えないまま勝負モードに入った二人に困惑する末原。
しかし一度始まってしまったバッターとピッチャーの勝負場は「聖域」となる。
止めることは叶わない。
ティガニキはわりとノリノリでマウンド(交差点の中央)に。
うぐいすは少し下がって横断歩道の始点に。キャッチャーは無し。一級勝負。
ピッチャー第一球、投げた。
+++++++++++
末原は空を見上げた。
カキーンと小さく音がして、ボールが空へと打ちあがったからだ。
バッターのもとにたどり着くまで完全に消えていたボールが姿を現し、また空の雲に被さって消えた。
うぐいすは打ったのだ。特大のホームランを。
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