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仮投下スレ

1 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/21(金) 00:00:06 ID:UbGMEgSk0
文字通り、SSの仮投下する場所です
ご利用は各々の判断に委ねます

211確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:11:19 ID:gwcMww/60

強固な甲殻に包まれた厚い筋肉に、刺々しい意匠を施した装飾を装備している。
しかしなにより注目すべきはその緑の目が見据える景色だろうか。
先程まで模っていたリントに似た姿はおろか、彼の他の形態のどれよりも研ぎ澄まされた視力や聴力などの第五感は彼の周囲の状況を恐ろしいまでに正確に把握することが出来る。
そして彼は次に目を瞑る。

視力という、木が鬱蒼と生い茂るこの場では少々効果が薄い五感の一つを自ら無くすことで、他の五感を更に研ぎ澄ますのだ。
そして、視力以上に彼が頼りにするのは、聴覚。
すべての音は、風が運んでくる。
故にガドルはその風からすべてを感じ取るのである。

──精神を集中させろ、全てを聞き逃すな──

──風のざわめく音、木々がその身同士をぶつけ合う音、木の葉の落ちる音──

──川の流れる音、砂利の擦れ合う音──

──自然の中にある音のみだ。この周辺には参加者はいないのかと一瞬思い──

──すぐに考え直した──

「砂利の擦れ合う音……だと?」

そう、元の世界ならいざ知らず、この場には参加者以外には基本的に生物が存在しない──少なくともガドルは一度も見ていない──はずである。
なれば、砂利が擦れ合う音を出せるのは……、参加者しか、いまい。

今一度精神を集中し、先程の音が聞こえた方向へ耳を傾ける。

──聞こえる。

よくよく聞けば、砂利の擦れ合う音が二カ所から発生している。
それだけではない。金属と金属のぶつかり合うような、ある意味聞き慣れた音まで聞こえてくるではないか。
つまりただ川沿いを友好的な参加者同士で歩いているというわけではなく、戦っているということだ。
なれば急がねばなるまい。共倒れなどという残念な結果になる前に、自分も戦いに参戦するのだ。

212確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:12:35 ID:gwcMww/60

そう考えるが早いか、彼は変身を解き、サイクロン号に跨がっていた。
自分に掛けられた制限は大体把握済みだ。
制限を掛けられているとはいえ、射撃態の能力を以てしてあの音の小ささならば、悠長にやっている暇は無い。

「待っていろ戦士たちよ……、この破壊のカリスマをな」

ブルルンと心地よい音を立てたバイクは、その名のとおり疾風の如く加速を開始する。
常人には耐えられぬスピードだろうが、ガドルには最早苦でも無かった。
バイクの上で身に風を感じながら、彼は思う。

──今度こそ、皆殺しだと。




「ふう、ここまで来れば、一安心だな」

誰も聞いていないのにそう呟くのは、メタリックイエローの戦士。
そしてその肩には、幾つかのデイパックと、そして一人の女性が抱えられていた。
彼は腰に巻いた不思議な形状のドライバーから、銀の装飾品が取り付けられた赤いガイアメモリを抜き取る。
それを感知したのか、彼の体からその鎧とスーツは消え去っていった。

後に残されたのは、石堀光彦という、どうにも冴えない一人の男である。
しかし彼を見くびるべからず。
ここまでの物語を見てきた読者諸君には最早必要ないどころか聞き飽きた説明かもしれないが、彼の正体はダーク・ザギ。
ウルトラマンの王と呼ばれるウルトラマンキングを倒したこともあるほどの実力者である。

「にしてもガドルの奴、案外あっさり引き下がったな」

彼が今思考するは、先程聞こえていたバイク音を出した主、ガドルに対することだった。
ガドルとは先程の戦いの少し前の時点にも、一度戦いを交わしている。
その際に神経断裂弾という奴やダグバという怪人に特に効くらしい弾丸を撃ち込み、自分たちは撤退した。

ガドルが発した放送に集められた好戦的な参加者との接触を避けるためである。
その理由故にガドルに止めを刺すことさえ惜しんだのだが、しかし奴はその後、決して遅くはない──勿論、暁と黒岩の漫才もどきがなければもっと早く移動できたことは否めないが──速さで移動していた自分たちに、いとも容易く追いついてきたのである。
そして今度は自分がこの場で手に入れた新しい能力、アクセルトライアルの能力によって、彼を見事打ち倒したわけである。

213確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:13:16 ID:gwcMww/60

だが、石堀も現状必ずしも殺し合いに乗らないとは決めていない上、もしも邪魔者を消してくれるのならそれは好都合とガドルをまたしても殺さず放置したのだ。
しかし自分のそんな人情深い──ザギ自体は人間ではない故、根本的に人情など無いのだが──配慮も知らず、ガドルはまたも自分たちを追跡してきたのである。
全くもって、迷惑極まりない。

「まぁでも、その分俺の撒き方が上手かったってことだよな」

冗談めいた言い方だが、しかしそれは事実だった。
アクセルとなって凪を抱き抱えあの場を離れたとき、彼はすぐさまブースターに変身し、足跡という自分の痕跡を消した。
バーニアによる空中移動の勝手は、先の戦いで大体把握済み。
なれば、ザギの真の姿でもナイトレイダーとしても空を飛び回っていた彼が周りの木にも凪にもデイパックにも一切の傷をつけずに飛ぶのは、容易なことだった。

幾らなんでもそれはあり得ないのではないかと言われても、あり得ると断言できるだけの材料が、彼にはある。
元々、ザギはウルトラマンの神、ウルトラマンノアをモチーフとして作られたウルティノイドである。
彼に取り付けられた自己進化システム、それはウルトラマンの力を借りずとも自分たちのことは自分たちで守れることを証明したかった科学者たちの英知の結晶だった。

……結局は、ザギ本人に邪悪な意志を植えつけるのに一役買っただけの代物にしかなりえなかったことは、ここでは深く触れないことにしよう。
まあ何にせよ、それのお陰でザギはアクセルブースターの能力を理解し、それに適応できるようにこの場で進化したのだ。
そう、二度目の使用で、破壊のカリスマを完璧に撒けるほどに。

「さて、これからどうするかな」

最早、彼の思考の中心にガドルはいない。
少なくとも次の放送までは恐らく会わないであろう存在のことを考えるのは、無駄でしかないからだ。
故に今の彼にとって一番思考すべきは、自分の今後である。

黒岩、いやメフィストが死ぬのをこの周辺で待つか?

──却下。悠長すぎる。

ウルトラマンの光を持つものを探し、動き回るのか?

──却下。手負いどころか意識すらいつ戻るかわからない凪を抱き抱えて当て所もなく彷徨うのは危険すぎる。

では、何が最善策か。
考えるまでもなかった。

「とりあえず、街に向かうか」

214確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:14:28 ID:gwcMww/60
花咲つぼみや一文字隼人とそこで合流するように決めていた上に、メフィストが向かった西側でも無い。
光を持つものと会える可能性もあるため、余程のことが無い限り、石堀はそちらに向かおうと考えたのだ。

「今の時間は……、よし、約束時間の三十分前には余裕で間に合いそうだな」

三十分前行動は紳士の基本だからなと。
そんな軽い冗談をかましながら、歩みだした彼の心は、言葉とは裏腹にどこまでも闇で染まっている。
しかしそれを僅か足りとも見せないから、彼は今まで自分に復讐を誓う女のすぐそばで、傍観者どころか味方として存在できたのだ。

それはこの場でも変わらない。
いやむしろ強敵を相手に単身突っ込んでいき、自身の胸中を察して溝呂木と戦わせてくれた上に無事生還した石堀に対し、凪は一仲間以上の感情を抱いているかもしれない。
そんなことは誰にもわからないが、しかし可能性はあるだろう。

もしかすると彼女の未来は、ダーク・ザギですら予測できない方向へと、転がりだしているのかもしれない。




「……音がしたのは、この辺りか」

ザッ、っと音を立てて鉄の馬より降り立ったのは、破壊のカリスマ、ゴ・ガドル・バである。
彼は「ゴ」特有の学習能力でバイクの扱いを短時間でマスターし、ここまでの道のりをかなりのスピードで走ってきたのだ。
さて戦闘をしていた者たちはどこにいるのかと耳を澄ませ目を凝らせば、川辺の方から強い気配がするではないか。
しかし、さてどんな者かと覗いてみた彼の目に写ったのは、想定外の出来事だった。

「……ッ!?」

戦闘が終わってしまっている、少々残念だが、しかしそんなことは目の前の光景に比べれば、些細なことだ。
そう大切なのは……、そこで倒れている者も、立っている者も、ガドルは知っていたことである。
そう、そこにいるのは、間違いなく自身が倒し、殺したはずの者たちだったのだから。

(どういうことだ……?)

瞬間、頭に浮かぶのは疑問。
倒れているもの──ナスカ・ドーパントも、立っているもの──ダークメフィストも、自身が間違いなく殺したはずである。
殺し損ねた、というのはあり得ない。
両者とも、最後の一撃の際自身がいつもリントを殺すときと同じ確かな手応えを感じたし、ドーパントとやらに変身した男──ガドルは名を知らないが、その名を園咲霧彦という──は文字通り燃え尽き風になったはずだ。
また、あれがかなり変わった逃走手段だったとも考え難い。あの男は戦いの最中で片腕と、下半身を失ったはずだからである。

そして全体的に"闇"を思わせる風貌をしている戦士に変身した男──これまた同様にガドルは名を知らないが溝呂木眞也という──には生身で剣を突き刺した。
出ている血も本物としか思えなかったし、何より呼吸が長時間止まったのを確認した。
演技にしては、出来すぎている。
故にどちらも間違いなく死んだと断言できるのだ。

215確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:15:26 ID:gwcMww/60

だのに。
だのにそうして殺したはずの存在が、なぜ目の前にいるのだ?
自身と同じように、生き返ったとでも?

馬鹿な、これは殺し合いの果てに生き残る最後の一人を決めるものではなかったのか。
まさか死人がゾンビとして死後も参加できるわけではあるまい。
では生き返らせたという考えも、却下ということになる。

なれば、一体何が正解なのか。
何をしているのかいまいち遅々として進まない目の前の状況を尻目に、ガドルは思考を巡らせる。
今までの常識はもちろん、ここで聞いた真偽の定まらないような話しも含めて深く思考するのだ、答えを逃さないように……!
と、そんなとき雷の様に彼の脳裏に浮かんだのは、「フクタイチョウ」が話していた興味深い言葉。

──彼の力が失われず誰かに受け継がれている事もあるかもしれないけれど……──

あの時は受け流してしまったが、思えばなかなか興味深い話だ。
「受け継がれる力」、なるほどそう考えれば合点はいく。
確かにクウガの力は遥か昔のリントの戦士からゴダイが受け継いだものである。
その例を、目の前の光景にも当てはめるとするなれば。
思えば、彼らはどちらも──というよりこの場にいる変身戦士は大体そんなものだが──何らかのアイテムを使って変身していた。

それを何らかの手段で手に入れることが出来れば。
或いは、力を"受け継ぐ"ことも可能なのかもしれない。
そんな些細なことを再確認して、ガドルは身震いした。
"この仮説があっているならば、自身と「あの」クウガの再戦は、まだ無くなったわけではない"と。
そんな時、ガドルが思考に専念しすぎて、目の前の状況から数秒気を逸らしていた正にその時に、そこに動きはあった。

「ム……」

筆舌には尽くしがたい音を立てながら、倒れているもの──ナスカ・ドーパントの変身が解除される。
さて、自分が全力のときに思い切り戦いたいたかったと考えた男の力を継いだ者は、果たしてどんな者なのか。

216確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:16:03 ID:gwcMww/60

結果そこに現れたのは、正に瀕死の重傷を負った、余りにも小さく脆そうな、少女だった。
女は砂利の上で体を捩らせながら呻き声を上げている。全身の至る所から覗く生々しい傷が、今までの戦闘に よるダメージがいかに激しかったかを物語っていた。

……力を受け継いだのが女性だったからといって、ガドルは特別落胆しなかった。
自身の同族の中にも、メのトップの実力を誇ったガリマ、ネットという極めて難しい文化を理解し活用したジャーザなど、一瞬気を抜けば自身もどうなるかわからないほどの実力者が揃っているのだから、差別など出来ようはずも無い。
そう、ガドルが真にその光景に落胆したときがあるとすれば、それはメフィストの変身が解除されたときだといえよう。

さて激闘を制した者は一体どんな参加者なのか、もしかしたら自分がもう会ったことのある参加者かもしれないなどと期待しながら一瞬辺りを覆った闇が晴れたとき。
そこにいたのは、先程自分が殺す価値もないと考えた、あの黒騎士だったのだから。

「……」

ガドルは、何も言わない。
いや、何も言えなかった。
自身が死力を尽くして殺した実力ある戦士の力を継いだ者同士の戦いに勝ったのは、あろうことか自分が完勝した事のある者だったのだ。

言いようも無い脱力感が、彼を襲う。
先程までの期待が嘘のように、彼ら彼女らと戦いたいという思いは、消えてしまっていた。
受け継いだ"力"にも、受け継いだ"者"にも、自分は勝っているのだ。

それらが合わさったところで、勝てる道理など、全くない。
それに少女は気絶しているし、黒騎士にも先程には無かった傷が見える。
故に今襲いかかっても、自身の満足するような戦いは出来るはずも無かった。

「……」

そこまで考えて、ガドルは、無言でその場から踵を返した。
逃走ではない。
戦士とも呼べないような実力のものが勝者になり得る様な戦場に身を投げたところで、幼稚園児の喧嘩に首を突っこむ中学生のようなもの、見苦しいにもほどがある。

この戦いからは、力を受け継ぐということはあり得る、ということを確認できただけでよしとしよう。
それが実感できただけでも無駄ではなかった。
そんな風に考えなければ、今までの行動が無駄にすぎない。

217確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:16:34 ID:gwcMww/60

消えぬ落胆の思いに気を沈めながら、しかしガドルは新たな可能性に心踊らせる。
今まで取るに足らんと倒してきた者たちも、或いは強力な力を受け継いでいるかもしれない、と。
今回は少々タイミングが悪かったが、体調を整え更なる力を身につけたのなら、あの黒騎士とも戦っても良いかもしれない。

そんなことを考えながら、彼は誰にも気づかれぬまま、サイクロン号に跨がり、その場を去って行ったのだった。


【1日目 午後】
【H−6/森】


【西条凪@ウルトラマンネクサス】
[状態]:ラーム吸収による意識不明状態、身体的ダメージ(小)
[装備]:コルトパイソン+執行実包(2/6) 、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×3(凪、照井、フェイト)、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×18、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×4)、
    テッククリスタル(レイピア)@宇宙の騎士テッカマンブレード、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、ランダム支給品1〜4(照井1〜3、フェイト0〜1)
[思考]
※あくまで意識不明となる前の思考です。
基本:人に害を成す人外の存在を全滅させる。
0:溝呂木……。
1:黒岩省吾をどうするべきか(その思いは更に強力に)、涼村暁の事は……。
2:状況に応じて、仮面ライダースカルに変身して戦う。
3:孤門と合流する。
4:相手が人間であろうと向かってくる相手には容赦しない。
5:黒岩省吾の事を危険な存在と判断したら殺す。
6:暗黒騎士キバ、ゴ・ガドル・バもこの手でいつか殺す。
[備考]
※参戦時期はEpisode.31の後で、Episode.32の前。
※さやかは完全に死んでいて、助けることはできないと思っています。
※まどか、マミは溝呂木に殺害された可能性があると思っています。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。
※黒岩省吾によってラームを吸収されました。そのため、黒岩省吾がラームを吐き出すか、死亡しない限りは意識不明のままです。


【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、凪を抱えて移動中。
[装備]:Kar98k(korrosion弾7/8)@仮面ライダーSPIRITS、アクセルドライバー+ガイアメモリ(アクセル、トライアル)+ガイアメモリ強化アダプター@仮面ライダーW、エンジンブレード+エンジンメモリ+T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×3(石堀、ガドル、ユーノ)、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2、不明支給品1〜4(ガドル0〜2(グリーフシードはない)、ユーノ1〜2)
[思考]
基本:今は「石堀光彦」として行動する。
0:凪の身体を守りながら、市街地に向かう(ただし爆発が起こったエリアや禁止エリアを避ける)。
1:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る。
2:今、凪に死なれると計画が狂う……。
3:孤門や、つぼみの仲間、光を持つものを捜す。
4:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する
5:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……。
[備考]
※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。
※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です(原作ではネクサスの光を変換する必要があります)。
※ハトプリ勢、およびフレプリ勢についてプリキュア関連の秘密も含めて聞きました。
※良牙が発した気柱を目撃しています。
※つぼみからプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について聞きました。
※殺し合いの技術提供にTLTが関わっている可能性を考えています。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。

218確認(仮投下) ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:17:09 ID:gwcMww/60








【1日目 午後】
【H−4/森付近】


【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(大)(回復中)、右脇に斬傷(回復中) 、肩・胸・顔面に神経断裂弾を受けたダメージ(回復中)、胸部に刺傷(回復中)、サイクロン搭乗中
[装備]:サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS、スモークグレネード@現実×2、トライアクセラー@仮面ライダークウガ、京水のムチ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×8(スバル、ティアナ、井坂(食料残2/3)、アクマロ、流ノ介、なのは、本郷、まどか)、東せつなのタロットカード(「正義」を除く)@フレッシュプリキュア!、ルビスの魔剣@牙狼、鷹麟の矢@牙狼
[思考]
基本:ダグバを倒し殺し合いに優勝する。
0:参加者を探す(黒岩、あかねは戦う価値がないので現状は放置)
1:凪、石堀を殺す。
2:強者との戦いで自分の力を高める。その中で、ゲームとしてタロットカードの絵に見立てた殺人を行う。
3:クウガを継ぐ者がいるなら、再戦し、今度こそ完全なる勝利を収める。
4:体調を整え更なる力を手に入れたなら今まで取るに足らんとしてきた者とも戦う。
※死亡後からの参戦です。
※フォトンランサーファランクスシフトにより大量の電撃を受けた事で身体がある程度強化されています。
※フォトンランサーファランクスシフトをもう一度受けたので、身体に何らかの変化が起こっている可能性があります。(実際にどうなっているかは、後続の書き手さんにお任せします)
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※ナスカ・ドーパント、ダークメフィストツヴァイを見て、力を受け継ぐ、という現象を理解しました。

219 ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:19:02 ID:gwcMww/60
以上で投下終了です。
タイトルがタイトルなので伝わりづらいですが「確認」をタイトルにしようと思っています。
初めてなので、色々至らぬところがあると思いますが、どうかご指摘のほどお願いします。

220 ◆p/mj97JjWE:2014/01/09(木) 19:23:19 ID:gwcMww/60
あ、言い忘れていましたが、>>206はミスです。
書式設定を直し忘れていたので……。
本投下の際には>>207から>>218までを投下しようと思います。

では、それ以外で指摘等ありましたらお願いします。

221 ◆OmtW54r7Tc:2014/01/09(木) 23:23:58 ID:rlxwSDZQ0
仮投下乙です!
ガドル閣下マジ激おこぷんぷん丸w
石堀にガチギレしたかと思ったらあかねと黒岩にガッカリしたり、なかなかに感情豊かだなあw
投下から一日経って、特に修正点の指摘が無ければ本スレに投下して大丈夫だと思いますよ
初投下お疲れ様でした!

222 ◆p/mj97JjWE:2014/01/10(金) 21:49:44 ID:gwcMww/60
えと、仮投下してから一日以上経ったので本投下、してもいいんですよね?
では早速本投下……したいところなのですが、当方今から少々の期間パソコンを使うことができなくなりそうですので、
どなたか代理投下していただいてもよろしいでしょうか。

図々しい物言いだと思いますが、どうかよろしくお願いします。

223 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:06:40 ID:Abv.3SKM0
放送案の仮投下をしていいみたいなので、仮投下を開始します。

224 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:08:43 ID:Abv.3SKM0

 夕方。時刻は午後六時。
 太陽も沈み、それと同時に夜の始まりを告げる。空は薄らと暗くなり始め、星はもう、少しずつ見え始めている。
 この殺し合いの参加者を迎えた星空が、再びその姿を現すのを、この中のうちの何人が目にする事になるのだろうか。 
 既に残る参加者は二十一名。これは、当初の参加者の三分の一を下回る。
 四十五名の命は、既にこの世になく、強さと運に助けられた三分の一だけが奇跡的にも、この綺麗な夕焼けと夜の始まりを見る事ができる。
 次は……誰が、一日の経過を体験する事ができるのだろう。

 また、放送が響く。これで三度目。
 飽きさせないためか、放送担当者はローテーションを採用している。
 今度の放送担当者は──

「参加者のみんなー、こんばんはー!! …………うーん? 声が小さいぞー! こんばんはー!!」

 上空に現れたホログラフィには、長髪に丸眼鏡の、おたく風の青年。だんだんと放送担当者のビジュアルが汚くなっているのは気のせいだろうか。
 まるで、ヒーローショーの司会のお姉さんのような挨拶の文句で、放送を切り出したこの男は、主催陣営の中でも屈指の変わり者である。

「……返事をくれないのか、寂しいなぁ。今回の放送担当者はこのボクッ! ダークザイドの闇生物ゴハットだよ! ……シャンゼリオ〜ン!! 仮面ライダー!! ウルトラマーン!! 魔戒騎士〜!! それにプリキュア〜!! こっちを見てるか〜い!? ……っと、このシャンゼリオンはボクを知らないんだっけ……」

 彼は闇生物ゴハット。ヒーローが大好きなオタクの闇生物であった。
 もし、シャンゼリオンこと涼村暁があの世界に留まり続けたなら、出会っていたであろう怪人。しかし、暁はここに連れてこられてしまった以上、彼と再会する事はなかった。
 それからしばらく、ゴハットの映像がその時のポーズのまま止まる。






 ……そして、また映像が動き出す。放送事故だろうか? 一部の参加者は気にしたかもしれないが、放送は続く。

「………………あー、ちょっと本部から苦情が来たので、今度は気を取り直していくよ。ゴハット・チェンジ!!」

 どうやら、主催側の都合に反する内容だったらしいので、今リアルタイムで注意を受けていた模様である。
 ともかく、おたくは、仰々しい掛け声とともに、人間の姿から闇生物の姿にチェンジする。青くグロテスクな十字の怪物で、腕の先は触手になっている。この触手を鞭にして戦うのだ。

「フフフフフフフ……ワッハッハッハッハッハ!! このゲームに招かれている参加者の諸君よ、気分はどうかね?」

 そして、変身した時、彼の様子が変わった。彼は二重人格というわけではないのだが、気分を盛り上げるための喋り方に替えたのである。実際のところ、ヒーロー好きなダークザイドの精神に違いはない。

「ここまで生き残った参加者の諸君には、もうこの放送について説明する事もなかろう……。では、まずは恒例の死亡者の名前から読み上げさせていただこうか……フッフッフ」

 悪の幹部になりきりながら、ゴハットが死亡者を読み上げ始める。

「相羽タカヤ、アインハルト・ストラトス、泉京水、梅盛源太、一文字隼人、西条凪、大道克己、バラゴ、溝呂木眞也、村雨良、モロトフ、ン・ダグバ・ゼバ。
以上12名。お勤めご苦労であった……」

 ゴハットは、そう言って、お辞儀をした。これも誰かのマネだろう。
 まあ、実際にこの中には、ゴハットが大好きなヒーローもいる。死亡者に対しては敬意を忘れていないのは事実だ。
 それでも、彼はそこから立ち上がる熱きヒーローの姿を、全てを背負い戦う戦士たちの姿を目に焼き付けるため、涙を呑んでヒーローたちの姿を見守っているのである。
 ちなみに、今回の死亡者の中に彼の期待を裏切る者はいなかった。ヒーローはヒーローらしく、悪役は悪役らしく、時に悲劇的な死に様を見せたのだ。

225 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:12:38 ID:Abv.3SKM0

「では、次に禁止エリアの発表をしよう。フッハッハッハッハッハッハ!! ……あの、ホントにこんな事で死なないでね?
 ……あー、気を取り直して、さあ、発表するぞ!
 19時に【G−9エリア】、21時に【B−6エリア】、23時に【E−4エリア】。以上の3つだ!」

 ともかく、禁止エリアの発表を終え、ゴハットは触手のようになった腕を身体の腰に乗せ、偉そうなポーズを取っている。
 実は、先ほどから結構アクションが激しい。

「さて、それでは最後にお楽しみの毎回変わるボーナスタイムだ!! ……今回は、一部制限の解除やこちらからの情報伝達!! ……あの、ボクもちょっとクイズを考えようと思ったんだけど、間に合わなかったんだぁ〜……ゴメン。
 ゴホン……あー、あー。では、放送が終わり次第、会場の設定でいじっていた一部設定を解除しに行く!! 制限がかかっていた対象者、また特別な連絡がある参加者の元には、我々が直々に制限解除の旨を伝えよう!!
 その時に余計な事は考えるなよ……? 我々はあくまでゲームマスター。ゲームの参加者に肉体的干渉ができる状態では現れない。つまりは、今と同じく、ホログラフで現れるからな!!」

 今のゴハットはあくまで完全なホログラムである。
 それと同じように、生存中の参加者にホログラムとして制限解放を伝えに行くという話だ。そのため、参加者にとっては主催にはむかう好機とは行かないだろう。
 次にその制限解除の条件を高らかに告げる事になった。

「……ただし! 今回もまた条件がある! その条件とは……ジャジャーン! 【今日の9時以降に、30分以上、参加者の誰にも見られず聞かれずに単独行動をする事】だ!
 ……参加者が誰も見てない&聞いてない状態で、一対一で会話という状況が必要だからな! とにかく、誰にも邪魔をされない状況である事をこちらが確認次第、こちらから使者を派遣し、かけられていた制限について説明する。
ちなみに、制限は一部の参加者にしかかけられていないぞ。一人になっても使者が現れない場合は、制限そのものが無い場合、または気づいていないだけで自分が他の参加者に監視・盗聴されている場合だ! まあ、常に一人で行動し続けるといいかもしれないな。
さて、今回の放送はこれにて終了だ。さらば、変身ヒーロー諸君! また会おう!! ワーッハッハッハッハッハッハ!! ワーッハッハッハッハハハハ…………フハハハハハハハハ……」

 ゴハットの姿が暗転する。
 第三回放送終了。







「あー! 楽しかった〜!!」

 ゴハットが主催者の待機する場所に帰ってくる。
 彼はスキップしている。変身は解いて、おたくの姿で、かなり嬉しそうだ。
 それを、他の主催陣は白い目で見つめる。
 加頭順は、殆ど面の色を変えずにゴハットのもとに顔を出した。

「……あの、ゴハットさん」

「はあい?」

 ゴハットは、加頭に話しかけられても、全く意に介さずに、惚けた表情で動きを止めた。
 加頭は、いくら感情を失いつつあるNEVERといえど、あからさまな機嫌の悪さを顔に出している。……いや、もしかすると、機械的に物事をこなしている彼だから、そう思ったのかもしれない。
 当のゴハットは、無神経なのか何なのかはわからないが、一向に気にする様子がなかった。加頭は咳払いをして続ける。

「特定の参加者に声をかけるような真似は困るのですが」

「……だって! ホラ見た? あのシャンゼリオンが、ボクの知らないところであんなに立派にヒーローをやっていたなんて、ボクは全然知らなかったんだよ!! 他のみんなもカッコいいな〜。今の彼らに声をかけられるなんて幸せじゃないか!! 全員の姿をナマで見られたおたくが羨ましいよ〜!!」

226 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:14:18 ID:Abv.3SKM0

「あの。彼らは私たちの敵です。私たちを殺しに来るかもしれませんよ?」

 加頭は表情を変えずに言った。しかし、ゴハットはそんな加頭の肩に手を置く。
 そして、チッチッチと舌で音を立てた後、彼は眉を寄せて言った。

「……もう。わかってないなぁ。……ボクは、彼らに 倒 さ れ た い んだよ! だからおたくらに協力しているんだ。いいかい!? 彼らは正義のヒーローだよ! 力を合わせて戦えば絶対に負けない! そして、死んだ戦士の魂を背負い、己の正義を貫く……カッコいいじゃないか! そんなヒーローたちに比べれば、ボクたちワルモノはちっぽけだ。いずれ倒される運命だよ? ほら、シャンゼリオンも……ヒロイン・暁美ほむらの死を乗り越えて成長してたじゃないか! 見たかい? あのシャンゼリオンがだよ!」

 ゴハットは、自分の立場を理解したうえで、こんな事が吐けるのだから、逆に神経が太いというレベルである。参加者として彼がいたら、一体どんなスタンスをとるだろう。
 直接、変身ヒーローの姿を見て歓喜するんじゃないだろうか。
 加頭は、呆れながらも、怒る事なく対処した。

「……わかりました。あなたは後で好きに倒されてください。……私たちを巻き込まずに」

「はーい! ……いやぁ……早く来ないかなぁ、楽しみだなぁ……。何て言って倒されようか……。フフ〜ンフフフ〜フン勇気を〜フフフ〜フフ〜フフ〜ち〜りばめ〜♪」

 ゴハットは、そのまま、鼻歌を歌いながら闇に消えていく事になった。幸いにも、彼がこの場で悪の主催者に殺される事はなかったらしい。

「……いいの? あれで」

 近くにいた吉良沢優が、茫然としながらも、加頭に言う。
 放送の原稿を書いている彼は、先ほど放送の脱線を注意した張本人だ。だから、放送をする場所から比較的近い所にいた。

「言うだけならタダです。それに、あの人は一応、変身者という分野について、あらゆる観点から分析をしているプロですから。監修役としては一番役に立っています。案外、腕も立つようですし」

「……ああ、そう……」

 吉良沢の姿も、納得してはいないだろうが、あまり興味もなかったので、すぐに闇に消えていった。
 加頭順だけが、この場所に取り残される。彼は、相変わらず表情を変えずに呟いた。

「まさか、ニードルさん以上に楽しげな放送をする方がいるなんて思いませんでした」







【サラマンダー男爵の場合】

「……さて」

 これはまた、加頭らのいた場所とは別である。椅子に座って、ため息をついたように言うのはサラマンダー男爵であった。
 サラマンダー男爵は、いま放送の終わりを知った。エクストリームメモリの管理は相変わらず続いているが、それが終わるときも終わるかもしれない。

「……フィリップ。お別れの時は近いかもな」

 サラマンダー男爵はエクストリームメモリに語り掛ける。

 そう、【左翔太郎】の制限は、このフィリップがいない事である。
 フィリップが主導となる「ファングジョーカー」、それからエクストリームメモリが必要になる「サイクロンジョーカーエクストリーム」への変身が不可能な現状では、左翔太郎──仮面ライダーダブルは万全ではない。
 それが原因で、ここまでの戦いでも、血祭ドウコクやン・ダグバ・ゼバを相手に最大限の力を発揮できなかった。主催側がこうしてフィリップを軟禁している事でバランスが制限されてしまっている事は言うまでもない。
 ここからは、フィリップ、ファングメモリ、エクストリームメモリが解放され、翔太郎はより強い力で戦うことができるようになるはずだ。

227 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:14:50 ID:Abv.3SKM0

(タイミングは、左翔太郎──あるいはダブルドライバーの所持者が、他の参加者と別行動を取り、一人になった時か)

 鳥篭の中を蠢いているエクストリームメモリとの別れ。別に惜しくもなかった。
 左翔太郎が一人で行動した時、サラマンダーは、彼のもとに使者として現れる。
 とはいえ、今のところ翔太郎は複数名で行動をしている。少なくとも、二十分以上の単独行動とは正反対の状況にある。
 自らそれを作る事もできるが、それは自らを危険な状況にする事でもあり、周りを危険に晒す事でもある。他の参加者も同じだが、集団行動をしている者はどんな裁量で行動するのかが見物でもある。
 主催側は、その判断に応じて制限解除をするのみだ。







【グロンギ族の場合】

「ダグバがやられたか」

 ラ・ドルド・グは、意外そうに呟く。グロンギの王、ダグバが死ぬ時は、全てのグロンギが滅んだ後だと思っていたが、そうはならなかった。
 ドルドも、ラ・バルバ・デ(バラのタトゥの女)も、ガドルも生きている状況で、まさかダグバが死ぬとは思わなかったのだろう。

「ガドルにも、どうやら、伝える時が来たようだな」

 バルバが呟いた。

「奴の事だ。知れば、必ずガミオを復活させるだろう」

 実は、ンのグロンギは、まだ会場からいなくなったわけではない。
 ン・ガミオ・ゼダ。遺跡に封印されていたグロンギの名前である。オオカミのグロンギであり、現状ではまだ封印が解かれていない。
 第一段階では、棺が開けられる事が条件となる。これは既にバラゴの手によって解放されている。
 第二段階では、ゴオマ、ガドル、ダグバが合計して九名の参加者を殺害した時に封印が解かれるという事だ。このゲゲルは、甘い設定ではないかと思ったが、案外他の変身者たちは彼らに立ち向かう力を持っていた。考えてみれば、グロンギを何体も葬ったクウガと並ぶ者たちがいるのだから当然だ。その結果、現状、犠牲者は七名のみとなっている。しかも、残るグロンギはガドルただ一人という追い込まれようである。

「……ゴ・ガドル・バ。いや……今はン・ガドル・ゼバと呼ぶべきか。夜に行く」

 【ゴ・ガドル・バ】には、特別な制限はない。
 ただ、彼にはこのゲゲルの事を伝える必要があった。言うなれば、これが今回の制限解放だ。
 バルバがそれを伝え、残る一人と戦うためのゲゲルリングをベルトに受けた瞬間から……彼は、【ン・ガドル・ゼバ】と名を改める。
 そして、もう一人の王──ン・ガミオ・ゼダに立ち向かう権利を得られるのである。
 ガドルは現状、単独行動を基本としている。もともと、他人と群れる性格ではない。







【死者たちの場合】

 この一室には、主に二日目以降が出番となる制限の解放者がいた。
 その対象者は、死者──いや、厳密には、現状ではその特殊能力を活かしきれず、「死亡者となっている者」である。
 そう、参加者の中には、一部に「制限」によって死亡“後”を制限されている者が何人かいた。……それはソウルジェムの濁りとともに魔女となる魔法少女であり、死とともに二の目を発動する外道衆だ。
 既に死亡カウントがなされている彼らに生還の権利はない。彼らが生還したとしても、ゲーム終了と同時に、自動的に死亡する手筈だ。あくまで、その最後の悪あがきとして、彼らに機会を与えるだけである。せいぜい、地獄に他人を道連れにする相手を探すのみという事だ。

228 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:16:05 ID:Abv.3SKM0
 殺し合いに影響を与えたとしても、魔女化した魔法少女が願いを告げられるはずもないし、最後の悪あがきで生き延びた外道衆に生きる機会を与える気もない。
 しかし、二の目も魔女化も立派な彼らのアイデンティティである。それを封じて戦わせるわけにはいかないが、巨大な敵というのは少しばかり平等性を損なう。涙を呑んでその命を、「一度目の死」で終わりにさせたが、二日目以降、マーダーが減った場合の「お邪魔虫」として覚醒させる事は問題ない。

「……ドウコク殿はまだ生き残っているか。まあ、順当でござるな」

 脂目マンプクは、巨大モニターに映る血祭ドウコクの姿を見て呟いていた。
 ここまで、目立ったバトルには参加せず、基本的には戦いを避けた行動が目立つ。しかし、それが幸いか、あるいは災いか。彼は、他の参加者と大した交流もないまま生き残った。
 このまま行けば、おそらく、21時30分にはドウコクに「二日目以降に二の目が解放される」と告げに行けるだろう。……まあ、ドウコクとしても、二の目などという悪あがきに頼る気はないだろうが。
 誰にとっても問題となるのは、筋殻アクマロだ。
 アクマロは、既に死亡カウントされているが、二の目は発動していない。つまり、彼の命はまだ「尽きていない」のである。二日目以降に復活が確定している。
 これについても、ドウコクには教えておくべきだろう。

「シンケンジャーは全滅。拙者の手間も随分と省かれたものだ」

 この場に招かれたシンケンジャーは、シンケンレッド、シンケンブルー、シンケンゴールド。その全員が死亡している。あとは、はぐれ外道の十臓も死亡したので、残るはドウコクのみだ。
 マンプクとしても、なかなか都合の良い状況だった。

「……魔法少女も、残るは佐倉杏子のみ。……とはいえ、魔女はまだいるわ」

 そう呟いたのは、ある時間軸で魔法少女の虐殺を行っていた少女・美国織莉子。彼女もまた、このマンプクという怪物とともにモニターを見ていた。
 サラマンダー男爵や吉良沢優もそうだが、特別乗り気ではないものの、手段のためにこの「主催者」という立場を利用している者もいる。織莉子もまた、同じだった。彼女は、見滝原を救うべく、この殺し合いの運営に協力する者だ。
 隣の怪物にさえ、もう慣れを感じ始めていた。少なくとも、お互いに裏切るような行動をしない限りは、敵対はしない。既に反抗して殺された老人がいるとも聞いている。
 それが見せしめとなって、より一層、主催陣営の連帯感は強まっている。

 織莉子は、杏子が単独行動した際に、魔女に関する説明を一からしなければならない。彼女はまだ、魔女化については知らなかったはずだ。面倒だが、ともかく、「ソウルジェムの濁り」を死因として死亡扱いになった参加者二名──美樹さやかと巴マミが魔女として覚醒する事についても教えなければならないだろう。
 暁美ほむらのように、あらかじめソウルジェムを割った者はともかく、巴マミや美樹さやかは濁りによってソウルジェムを割った。魔女化という運命は一日だけ封じられていたに過ぎない。

「私たちの世界の参加者も、残すところ一人」

 そう、暗いトーンで呟いたのはアリシア・テスタロッサ。その瞳は虚ろで、まるで感情を失くした人形のようだった。本来は優しい少女であるはずのアリシアも、今はそんな面影を持たない。
 冷淡に、ただ一人残ったヴィヴィオを見つめている。しかし、ヴィヴィオには特に大きな制限はない。ともかく、現状で唯一の同一世界の生存者という事で、強い興味を持っていただけである。
 すぐにアリシアは、ヴィヴィオに対する興味を失った。

「あとは、あの機械がどれだけ働いてくれるのか」

 彼女の興味が向いたのは、レイジングハート・エクセリオンの方であった。
 レイジングハート・エクセリオンは、娘溺泉の水を被っている。
 意思のある機械であるレイジングハート・エクセリオンには、呪泉郷の水によって変身する可能性がある。……いや、それを既にこちらで調整していたのだから、おそらく高い確率でレイジングハート・エクセリオンは若い娘の形になるだろう。
 何かの泉の水を被った鯖も同様かもしれない。
 とにかく、泉の水を浴びた者たちにかけられていた制限も、二日目以降はすべて解除されてしまう。
 おそらく、このままレイジングハート・エクセリオンはあの場に放置され続けるだろうから、アリシアは彼女のもとに向かい、全て説明する事になるだろう。まあ、彼女は参加者ではないのだが、突然人間にするわけにもいかない。

229 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:16:35 ID:Abv.3SKM0

「……アリシア、酵素を注入する時間よ」

 誰かがまた、深淵から現れた。

「ママ……」

 マンプクも織莉子もアリシアも、そこにやってきた一人の女性の姿を凝視した。
 彼女はアリシアの母──プレシア・テスタロッサである。その瞳には、どこか喜びや幸せが込められているようだった。かつては見られなかった笑顔がある。長年待ちわびたこの少女との再会を実感しているからだろうか。
 しかし、どこかやつれているようにも見えて、長い髪は顔に影を落としている。むしろ、その姿はかつてのプレシア以上に、廃れた体躯にも見える。

 アリシアの腕に、細胞維持酵素が注入される。これはアリシアが人ではなくなった証だ。

 酵素。
 この言葉からわかるように、アリシア・テスタロッサは、NEVERとして蘇っている。
 加頭や財団Xの援助があれば、魔術の力を使わずとも、人体蘇生を行う事ができたのだ。
 管理外世界に存在した予想外の技術に驚きつつも、プレシアはアリシアの体にそれを利用する事を許可した。もともと、このNEVERの技術を作り出した大道マリアの境遇はプレシアと酷似している。プレシアがこの技術に飛びつくのは当然であった。
 加頭をはじめとする数名の来訪者たちからの技術提供により、夢のアリサ生還を果たしたプレシアは、こうして再び“幸せ”な家庭を築いているのである。
 しかし、それがまた、プレシアの魔術に関する研究の日々をあっさりと覆す物だった事が、彼女の研究者としてのプライドを崩したのだろうか。何せ、NEVERの技術は魔術もないような世界が科学で生み出した代物なのだ。
 かつてに比べてどこか冷淡なアリシアへの違和感を、何とか飲み込もうとしていて、更に精神に負担がかかっている事もある。
 それが、プレシアをかつて以上に生気のない女性にしていた。

 アリシアが、このまま母への愛さえ失っていく事を、プレシアは本当に知っているのだろうか。
 織莉子は、そんな母子の様子を訝しげに見つめていた。

(……傍から見れば、親子というものはこんなにも愚かなものなのかしら)

 織莉子は、このプレシアが騙されている事にとうに気づいている。
 主催者の技術力ならば、こんな中途半端な蘇生を行うわけがないのだ。元の世界では死亡したはずの園咲霧彦やノーザが参戦している事を見れば明らかだろう。感情など失くさないまま、ありのままのアリサを取り戻す事ができるに違いない。
 しかし、それを知らないプレシアは、「アリシアを蘇らせる」以上の欲を持たず、親として子を助けるための安易な方法を選んだ。他の手段を探る事もなく、即決でこの方法を選んだ。そして、それから先、もっと優良な方法の存在を知らないままアリサを愛している。アリサの狂いに気づいているのだろうが、それを心が押し殺し、自分でも知らないままにアリシアに盲目的な愛を注いでいるのだ。それは、さながら大道マリアの生き写しのようであった。
 何にせよ、善意でアリシアを蘇らせるならば、NEVERとしての生など与えるはずがない。

 きっと、彼女たち親子は、その愛を主催陣営に利用されているのだ。
 NEVERとなった事による身体能力向上などが加頭たちにとって都合が良いのだろう。彼女のもとには、ガイアメモリも支給されているらしい。大道克己や泉京水、加頭順といったNEVERたちの様子を見ていると、この親子の身に降りかかっている状況を何ともいえない。

 ……まあ、織莉子も人の事を言えないだろう。それは自覚している。
 安易な奇跡や魔法に手を伸ばし、彼女たちと同じように殺し合いに加担している事には違いない。
 目の前の怪物がただの気まぐれで手を貸しているのを見ると、また随分と違う状況なのである。

「わからないものだな、人間というのは……」

 主催者によって手渡されたはぐれ外道・修羅の体を取り込んで「水切れ」を克服したクサレ外道衆の脂目マンプク。彼もまた、この親子たちを理解できずにそう呟いた。





230 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:17:10 ID:Abv.3SKM0



【加頭とニードルの場合】

「……西条凪、死亡か」

 加頭は呟いた。凪に特別興味はない。おそらく、吉良沢が多少興味を持っていた対象ではあるだろうが、彼が特に凪に肩を入れる事はなかったので、吉良沢はまだ、比較的淡々としている。
 加頭にとって、その出来事が特別なのは、ダークザギの予知能力から外れる出来事だったからである。要するに、予知能力の制限がちゃんと効いているらしいという証明であった。

 ……が。

(能力解放……これで、もうダークザギもより強い力で戦えるだろう……)

 21時からの制限解除の時。そこで石堀が単独行動をすればいい。そうすれば、予知能力制限を解除され、光還元の要である忘却の海レーテもまた、マップに解放されるだろう。
 この対象エリアはF−5の山頂部だ。これと、「強い憎しみを帯びた光」を得れば、石堀はダークザギとして復活する事ができる。

 この説明を聞けば、流石に石堀もスタンスを変えてくるだろう。
 デュナミストの憎しみを拡大させ、光を奪うために画策するに違いない。その果てに、ダークザギは復活する。
 殺し合いに乗る者は随分と減ったが、ダークザギが全力で戦えば相手にもならない存在が大半だ。その復活を以て、対主催陣営はほとんど手詰まりとなるだろう。
 まあ、優勝したらそれはそれで厄介ではあるのだが……。

(仮に優勝した場合の対策も充分。問題はないな……)

 無論、マルチバースを移動する能力はダークザギにも制限はかかるし、万一勝利して主催に反抗した場合の措置も加頭たちには残っている。
 それについて考えていた時、背後から男が声をかける。

「加頭さん、どうやら結城丈二という男、薄々ながら勘付いているようですね」

 加頭は気づかなかったが、どうやらこの場にニードルがいたらしい。
 結城丈二に対しては彼も随分と関心を示している。加頭が振り向くと、ニードルは、ニヤニヤと笑っていた。

「ええ」

 加頭順は、釣られて笑いはしないが、特別腹を立てる事もなかった。

「あまり察しが良すぎるのも困り物です」

 ニードルがそう言うが、やはり困っているようには見えない。

「我々が厳密には“主催者”ではない──まさか、そんな事に気づかれてしまうとは」

 加頭は少し俯いた。表情は変わらない。

 ……そう、実は、加頭たちは厳密にいえば、“主催者”ではないのだ。
 そう見せかけたフェイク──真の主催者の余興のための一員に過ぎない。あえて言うならば、ここにいる彼らは「真の主催者」を楽しませるための「影武者」である。この場にいる主催陣営は、全員、殺し合いの参加者たちと同じ「主催者を楽しませるための駒」なのだ。
 結城の仮説と同じく、加頭たちは、最後まで殺し合いを楽しませるために、「真の主催者」によって、「表向きの主催者」という役割を持たされた「参加者」たちなのである。

 加頭たち、表の主催陣営は、あくまで「ゲーム」としての殺し合いを盛り上げる。その過程で、全滅なりただ一人の勝者が出るなり……という結末に終われば、彼らにとっても御の字だ。真の主催者もまあ、それで満足するだろう。
 しかし、万が一、この殺し合いの果てに「正義」の陣営が脱出する事があるかもしれない。実際、脱出のための穴自体は意図的に作られており、その道順をたどる確率も高く出ている。

 そして、脱出した段階で、おそらく彼らは加頭たちと戦う事になる。それを万が一にでも打ち破った場合は、「悪」たる主催者が裁かれ、死んでいくだろう。
 加頭も、サラマンダーも、ニードルも、バルバも、ドルドも、ゴハットも、織莉子も、マンプクも、アリシアも、プレシアも倒された時、彼らは悪の打破を喜ぶだろう。それでここにいる誰もが満足して終わる。
 ……大方の物語は、だいたいそこで終わってしまう。
 全てが終わった安堵感の中で、彼らは元の世界に帰っていく。ハッピーエンドだ。

231 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:17:57 ID:Abv.3SKM0

 何も果たせていないのに、果たしたように錯覚して。
 諸悪は残っているのに、全て終わったのだと勘違いして。
 真の悪に気づかないまま、殺し合いを終えてしまう。

 そして、真の主催者は、誰にも知られず、姿を見せる事もなく、その様子を嗤い続ける。

 誰にも気づかれずに物語の外側ですべての登場人物を支配し、加頭たちの管理者。
 無限メモリー「インフィニティ」を手にして、加頭たち財団Xが存在したパラレルワールドを侵略し、管理した、諸悪の根源。
 その存在は、最後の最後まで加頭たちも絶対に秘匿し続けなければならない。

「……とはいえ、彼らはまだ、その仮説に確信を持っているわけではありません。問題はないでしょう」

 まあ、加頭もニードルも、まあ彼らが察し始めた事への危機感は持っていなかった。
 どうであれ、結城の説は仮説にすぎないし、それを知る二人が死ねばもう何も残らない。察したとしても、どうすれば良いのかなどわかるはずもない。
 首輪を外そうが、脱出しようが、そこから加頭たちが敗北する確率はごくごく少ないものだろうし、表向きの主催者である加頭たちの兵力も十分なので、今のところ敗北する事もなさそうである。
 加頭たち財団Xのバックアップは勿論、あらゆる世界からのスペシャリストの導入で、分は加頭たちの方にある。
 何名かの犠牲は出るだろうが、ゴールドメモリの所有者である加頭がそう簡単に負ける事もなさそうだ。脅威となるのはダークザギだが、彼への対策は加頭も練ってある。

「今はまだ、我々は主催者です。楽しむだけで良いじゃないですか……」

 ニードルがうっすらと笑みを浮かべながら言った。







【第三回放送ボーナス:制限解放】
21時以降に、「30分間誰にも見られず、誰にも聞かれない状態をキープする」事で、主催側から使者が派遣され、これまで架されていた制限とその説明、解除が行われます。
あくまでこれは一部の参加者のみが対象で、一定時間単独行動をしても発動しない場合があります(監視・盗聴されている場合も使者は現れません)。
また、解除される制限も一部に過ぎず、解除されたからといって全力全開で戦えるようになるわけではありません。

一部、明らかになっている内容は次の通りです。

【フィリップ、ファング、エクストリームの解放】
対象者は左翔太郎。使者はサラマンダー男爵。
フィリップ、ファングメモリ、エクストリームメモリを翔太郎のもとに解放されます。いずれも「支給品」という扱いではあるものの、フィリップには例外的に首輪が取り付けられます。
「星の本棚」の検索制限は健在であるものの、これは21時に別途で解放。その事については、今回伝えられません(左翔太郎、フィリップには伝えられないものの、結城丈二、涼邑零が知っています)。
また、21時までに左翔太郎が死亡した場合、ダブルドライバーを所有している人物に権限が移り、フィリップも譲渡されます。

【ゲゲルの情報公開】
対象者はゴ・ガドル・バ。使者はラ・バルバ・デ(バラのタトゥの女)。
それと同時に、「ゴオマ、ガドル、ダグバの合計殺害数が9名(残り2名)に達した時に、グロンギ遺跡からもう一人の王 ン・ガミオ・ゼダの復活が始まる」という情報が伝えられます。このゲゲルのカウントでは、ガドルの自殺・自滅はカウントに含まれません。
ガドルには、ダグバの死によって「ゴ」から「ン」へ昇格され、「ン・ガドル・ゼバ」への改名を認められる旨も伝えられます。
尚、ズ・ゴオマ・グ、ン・ダグバ・ゼバは対象者でしたが、死亡したため、適用資格が剥奪されました。

【二の目の解放】
対象者は血祭ドウコク。使者は脂目マンプク。
二日目(時刻不明)以降、二の目制限が解放され、筋殻アクマロが巨大化して復活する事について伝えられます。ドウコクもまた、一の目がなくなった時に、二日目以降に二の目が発動する事になります。
尚、アクマロは死亡カウントされているので、二の目の状態で生存する事はできず、生き残ったとしてもゲーム終了とともに死亡という形になります。首輪については不明。
死亡者である筋殻アクマロには一切この事が伝えられません。

232 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:19:12 ID:Abv.3SKM0

【魔女化】
対象者は佐倉杏子。使者は美国織莉子。
二日目(時刻不明)以降、魔女化制限が解放され、美樹さやか、巴マミが魔女化して復活する事について伝えられます。杏子もまた、ソウルジェムの濁りによって死亡した時に、二日目以降に魔女化が発動する事になります。
佐倉杏子は時間軸の都合上、魔女化についての知識を持たないため、それについても教えられます。
尚、さやかとマミは死亡カウントされているので、魔女の状態で生存する事はできず、生き残ったとしてもゲーム終了とともに死亡という形になります。

【呪泉郷】
対象者はレイジングハート・エクセリオン。使者はアリシア・テスタロッサ。
二日目(時刻不明)以降、呪泉郷制限が解放され、意思持ち支給品の呪泉郷制限が解除される事が伝えられます。鯖については詳細不明。
双生児溺泉のように泉そのものが枯れている泉の制限を解放するかも不明です。
レイジングハートは完全な支給品であるため、首輪は取り付けられません。

【忘却の海レーテの解放と予知能力に関する説明】
対象者は石堀光彦。使者は加頭順。
説明を聞いた時点でF−5山頂に忘却の海レーテが解放されます。説明内容もレーテについてです。
また、ダークザギとしての予知能力はフィリップと同様、1日目の21時に強制解除され、記憶制限も解除される事になります。

【その他の制限解放】
あくまで、上記は一例です。他にも一部の参加者にかけられている制限が解除される場合があります。
使者として現れる主催側の人間は、その参加者の関係者である可能性が高めです。ただし、吉良沢優のように存在を秘匿したがっている場合は関係者が姿を現さない場合があります。
複数の制限が同時に架されている可能性も否めませんが、今回はその制限に関する説明が行われ、制限は解除されます。
また、これ以降、対象者不在の制限が解除される場合があります。

【主催陣営について】
※【ゴハット@超光戦士シャンゼリオン】、【脂目マンプク@侍戦隊シンケンジャー(侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦)】、【美国織莉子@魔法少女まどか☆マギカ(魔法少女おりこ☆マギカ)】、【アリシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】、【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】が所属しています。
※アリシアはNEVERとして再生しているため、感情の希薄化と身体強化が始まっています。また、吉良沢のように非変身者に支給されるガイアメモリも所持しているようです。プレシアも同様かもしれません(描写されていないので、ガイアメモリ以外の物という可能性もあります)。
※加頭順をはじめとする主催者は、主に影武者の役割を担っており、本当の主催者は別にいます。加頭やニードルなどの一部の参加者はその事を自覚していますが、自覚しておらず、別の目的で参加させられている者もいます(吉良沢優、八宝斎など)。

233 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:20:12 ID:Abv.3SKM0
以上、投下終了です。
タイトルは一応、「第三回放送」の予定ですが、決まった時にちゃんと考えてつけようかなと思います。

234 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 00:29:55 ID:Abv.3SKM0
あ。もし矛盾点や誤字脱字があったら、それは指摘ください。期限内に直します。

235名も無き変身者:2014/03/12(水) 18:47:08 ID:ZWd5/o120
投下乙です。
矛盾点はありませんが、誤字を

>>229の部分

 織莉子は、このプレシアが騙されている事にとうに気づいている。
 主催者の技術力ならば、こんな中途半端な蘇生を行うわけがないのだ。元の世界では死亡したはずの園咲霧彦やノーザが参戦している事を見れば明らかだろう。感情など失くさないまま、ありのままのアリサを取り戻す事ができるに違いない。
 しかし、それを知らないプレシアは、「アリシアを蘇らせる」以上の欲を持たず、親として子を助けるための安易な方法を選んだ。他の手段を探る事もなく、即決でこの方法を選んだ。そして、それから先、もっと優良な方法の存在を知らないままアリサを愛している。アリサの狂いに気づいているのだろうが、それを心が押し殺し、自分でも知らないままにアリシアに盲目的な愛を注いでいるのだ。それは、さながら大道マリアの生き写しのようであった。
 何にせよ、善意でアリシアを蘇らせるならば、NEVERとしての生など与えるはずがない。


いくつか「アリサ」となっている部分がいくつかあります。

236名も無き変身者:2014/03/12(水) 18:47:46 ID:ZWd5/o120
「アリサ」となっている部分がいくつかあります、です。
すみません……

237 ◆gry038wOvE:2014/03/12(水) 21:45:16 ID:Abv.3SKM0
承知しました。
アリサはなのはの同級生ですねwww(紛らわしい…)
該当箇所はアリシアに訂正です。

238 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/12(水) 23:27:12 ID:rlxwSDZQ0
放送案、投下します

239 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/12(水) 23:28:47 ID:rlxwSDZQ0
時刻は午後六時を指し、夕闇に染まる空は徐々に暗い色を見せ始めている。
この殺し合いが始まってから18時間。
既に3度目となるそれは、始まった。


「参加者の諸君、よくぞここまで生き残った。私の名は片桐一樹、またの名を闇将軍ザンダーという」


現れたホログラムの人物は、歳は見たところ三十代から四十代あたり。
おそらく泉京水が生きていたならば興奮していたであろう、精悍な顔つきの男だった。


「貴様らの中には愚かにも反抗を企てているものもいるようだが、全ては無駄なことだ。貴様らが我々に歯向かうことなど、不可能なのだからな」


参加者たちを見下すような態度をとる片桐。
反抗は無駄だと、厳しい表情を崩さぬまま参加者一同に伝える。


「まずはこれまで通り、この6時間で死亡した者の名を発表する。相羽タカヤ、アインハルト・ストラトス、泉京水、梅盛源太、一文字隼人、西条凪、大道克己、バラゴ、溝呂木眞也、村雨良、モロトフ、ン・ダグバ・ゼバ。…以上12名だ」


淡々と死者の名を読み上げていく。
そこには死んでいった者達への哀悼の念などない。


「次に、禁止エリアを伝える。今回は19時に【G−9】、21時に【F−5】、23時に【E−3】だ。どこかのバカのように、禁止エリアで眠ってしまうことがないよう、気を付けることだな」


そのどこかのバカというのは、片桐もよく知る人物なのだが、そこまで語ることはしない。


「そして今回のボーナスだが…一言でいえば【情報】だ。21時にとある情報網の拡張を行う。一部の参加者には既にヒントが伝えられていると思うが、有効に使う事だ」


結城丈二と涼邑零にはおぼろげに伝えられた【地球の本棚】の拡張。
それが今回のボーナスであった。
ただし、結城達のもとに届けられたメモにあった地球の本棚やダブルドライバーという固有名詞は使わずにあくまで情報網の拡張ということを伝えるだけにとどまった。


「それと今回はとある制約についても伝える。19時以降、4人以上の参加者が百メートル圏内に集まった場合、首輪が点滅し、5分以内に離れなければ人数が3人以下となるように首輪を爆発させる!誰の首輪を爆発させるかはこちらの独断で決まる…くれぐれも必要以上に群れないことだ」

「ただし、参加者を二人以上殺した者はこの制約から外れ、密集人数の換算にも含まれないものとする」


これは、殺し合いに反対する対主催が集結しつつある状況を見ての主催側のバランス調整であった。
しかしこの制約を全員に設けた場合、対主催と殺し合いに積極的なマーダーの接触すら阻害する恐れがあるため、マーダーとしての実績があるものは制約から逃れるものとしたのだ。


「ちなみに現在この制約を外れているものはたったの3人だ。この話を聞いてどうするかは貴様らの自由だが、賢明な判断をすることだな」


皮肉のこもった嘲る口調でザンダーは語る。
ようするに彼が言いたいのは、「制約から逃れたければ殺せ」ということであった。


「これで放送を……ん?なんだ?」


突然、ホログラムが消える。
かと思えば、しばらくして再び現れる片桐の顔。

240 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/12(水) 23:29:48 ID:rlxwSDZQ0
「…最後に一つだけ貴様らにありがたい情報をくれてやる。間もなく、【究極なる者】が眠りから覚める」


究極なる者。
その言葉を聞いても、何のことなのか分からない者がほとんどだろう。
片桐の、次の言葉を聞くまでは。


「その者は、【ン】の名を持つ化け物だ。精々醜くあがくことだ」


そういうと再びホログラムは姿を消し、三度姿を現すことはなかった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「お疲れさまです。片桐さん」

放送原稿を担当する青年、吉良沢優は放送を終えた片桐にねぎらいの言葉をかける。

「すみません、途中で放送を中断することとなってしまって。彼らから伝えられた情報も伝達しておくべきだと判断したので」

そう述べる吉良沢の隣にいたのは、バルバとドルドであった。
あの時、一度放送が中断になったのは、吉良沢の指示であった。
吉良沢は、放送中部屋に入ってきた二人から究極なる者の復活を聞き、急遽放送の伝達内容に加えるよう片桐に指示したのだ。

「ふん、別に構わんが…貴様らが言っていた条件とやらを満たしたということか」

そういって片桐は放送の一時中断の原因となった二人の方を見る。
究極なる者。
グロンギ遺跡に眠り、バラゴにより封印が解かれたことは片桐や吉良沢も把握していたが、その存在が眠りから目を覚ます条件はバルバ達二人しか知らなかった。

「その通りだ」

2人の内、女の方――バルバが口を開く。
彼女の短い返答を引き継ぐ形で、ドルドが語る。


「究極なる者、ン・ガミオ・ゼダが目覚める条件――それは封印が解かれた後十三の命が散った時だった」
「なるほど、つまり復活の引き金となったのは――ダグバということですね」


吉良沢の言葉にバルバがコクリと頷く。
バラゴが封印を解かれる以前、既に殺し合いの場では32人の参加者が命を落としていた。
その後相羽シンヤが死んで放送を迎え…その後も死者の数は増えていき、そして数分前のン・ダグバ・ゼバの死をもって封印解除後十三番目の死者となった。

「まさか同じンの名を持つ王、ダグバの死が新たなンを目覚めさせることとなるとは…」
「旧き王は倒れ、新しい王が目覚めたというわけか…」

ドルドとバラゴは感慨深げにつぶやく。
彼らの言うように、皮肉にもグロンギの王の死が、新たなグロンギの王を生み出したのだ。

「ふん、くだらんな…私はモニター室へ戻らせてもらう」

片桐一樹こと闇将軍ザンダーは、放送室を後にする。
彼の役目は、モニタールームでの参加者の監視であった。


「新たな王、ン・ガミオ・ゼバか…」

2人のグロンギの話を聞いた吉良沢は、デスクに肘をつきながら、思案顔となる。
数分前に死亡したン・ダグバ・ゼバ。
バルバ達によれば思ったよりも振るわなかったという話だが、その実力は確かであり、早乙女乱馬によるベルト破壊による弱体化がなければあの場で倒されていたかもわからない凶悪な存在。
そして今、そのダグバと同等の力を持つ者が蘇ろうとしている。

241 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/12(水) 23:31:08 ID:rlxwSDZQ0
(みんな、負けないでくれ…)


その事実を前に、彼が出来るのはただ祈ることだけであった。
心に光を持つ者達が、強大な闇に押しつぶされないようにと。



「エクストリームメモリの監視、お疲れ様です。サラマンダー男爵」

そうねぎらいをかけるのは、財団Xに所属する男加頭順。
が、言葉とは裏腹にその無感情な表情からはねぎらう様子がまるで感じられない。

「あんた、それでねぎらってるつもりなのか?」
「そうは見えませんか?」
「いやいいよ。あんたがそういうヤツだってのはとっくに知ってるし」

はあ、と思わず男爵は溜息をつく。
何を考えているのか、心が見えにくいこの男はどうにも苦手だ。

「それで、一体何の用だ?」
「はい、あなたのエクストリームメモリの監視任務ですが…間もなく終了となります」

加頭の言葉に、男爵は目を丸くする。

「おいおい、仕事クビってわけか?」
「はい、そうです。3時間後、このエクストリームメモリは殺し合いの会場に転送します」
「…ああ、例の情報開示って奴と関係あるのか?」
「はい、他世界の情報を閲覧するには、このメモリで変身する必要がありますから」

エクストリームメモリを用いた仮面ライダーWの最強フォーム、サイクロンジョーカーエクストリーム。
W世界以外の他世界の情報を検索、閲覧するにはこのフォームの体中央にある「クリスタルサーバー」によるデータベースへのアクセスが必要であった。
つまり、変身しなければ拡張した情報を閲覧することは出来ないのだ。

「なるほどなぁ。それで、このメモリは3時間後どこに転送するんだ?左翔太郎の所へか?」
「いえ、メモリはある人のデイバックに転送させることにしました」
「ある人?」
「ええ、実はニードルさんが面白い趣向を考え付きましてね」

そう語る加頭の表情には面白そうな印象は感じられず、いつも通りの無感情な表情だった。
そんな彼を見て、やはりこいつは苦手だと感じるサラマンダー男爵であった。



「おい、ゴハット!ゴハット!どこにいるのだゴハット!」

モニター室に戻った片桐は、部下の名を叫んで部屋の中を歩き回っていた。
下っ端の一人にすぎないにも関わらず、自分以外に主催側としてこの場に呼ばれたもう一人の同士、ゴハット。
片桐は彼と共に監視作業を行っており、放送の間は監視と留守番を任せているはずであった。


「フフ…彼ならここにはいませんよ」


その時、誰かがモニター室に入ってきた。

「お前は、ニードル…」
「フフ…片桐さん。モニターをよく見てみてください」

242 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/12(水) 23:32:43 ID:rlxwSDZQ0
言われて、片桐は各参加者の姿を映し出したモニターを見る。


「なに!?」


モニターの一つを見て、片桐は驚愕する。
そこに映っていたのは…闇生物、ゴハットの人間姿だった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「到着!これで生のヒーロー達に会えるんだなあ!感激だなあ」

闇生物ゴハットは、非常にウキウキしていた。
これまで、モニター越しでしか見られなかったヒーロー達を、直接この目で見ることができるのだ。

「やっぱまずはシャンゼリオンかなあ?それとも仮面ライダー?あるいは…」
『ゴハットさん。目的を忘れてはいけませんよ』

通信機から聞こえてきたのは、ニードルの声。

「分かってるって!ヒーロー達を脅かす悪者として、がんばっちゃうよ〜」
『その意気です。それでは頼みましたよ』

そこで通信は切れた。

「そういえば、デイバックの中に役に立つ者を入れてるって言ってたっけ…」

ゴハットは、デイバックを探る。
出てきたのは、

「おお、これは!」

それは、本来参加者に支給する予定だったが、結局支給されることのなかったものだった。

「イエーイ!これでボクもヒーローだ!」

その支給されなかったものの正体は――


―JOKER!―


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「そういうわけで、ゴハットさんにはジョーカーとして殺し合いの舞台に乱入することとなりました」
「何がそういうわけだ!ふざけるな!貴様、何を考えている!?」

しれっとした顔をするニードルに、片桐は怒りの形相でつかみかかる。

「いえいえ、この殺し合いを盛り上げようと考えたまでですよ。加頭さんの了承も得られましたしね」
「部下である私に断りを入れるのが、筋ではないか!?」
「まあまあ、考えても見てください。現在の参加者達の状況は対主催者が俄然有利な状況で進んでいます。あなたも、そのような状況は好ましくないでしょう?」
「む…」

確かにニードルの言う通り、現在殺し合いに乗っているものと乗っていない者…どちらに状況が傾いているかと言われれば、後者であった。
殺し合いに乗っているものや危険人物は、数・質ともに決して悪くはない。
ただ、状況がまずいのだ。

対主催は、そのほとんどが市街地を目的地としている。
これは、一文字隼人の市街地合流の話がかなり多岐に渡って伝わったためだ。
一方でマーダー・あるいは危険人物と呼ばれる参加者は、市街地から離れたり、そちらに向かおうとしない奴らが多い
一応制約により大人数チームは作れないルールは敷いたが、これも首輪が解除でもされれば無意味なものとなり、実際に大チームを形成しているその場所では首輪の分析も行われようとしている。
いくら強力なマーダーが残っていると言えども、彼らにタイマンで互角に近い戦闘能力を持つ対主催者も多くおり、数の暴力に屈しかねない。

「だが、ゴハットをわざわざ連れてこなくとも、バルバの話ではまもなく究極なる者が…」
「ゴハットさんとこの話をした時には、ダグバもまだ死んでいませんでしたし、そもそも復活の条件すら聞かされてませんでしたから。いつ復活するかも分からない者を待つよりも、こちらで先に手を打とうと考えたまでですよ…フフ」
「ぐう…」

どうにも上手く言いくるめられているようで癪に障る。

「ち…話は分かった!俺は仕事に戻るから、貴様は出て行け!」
「フフ…ではごきげんよう、片桐一樹さん」

243 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/12(水) 23:33:27 ID:/i70pVZE0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


加頭順が去った後も、ニードルはエクストリームメモリの監視を続ける。
残り3時間の仕事を。

「ゴハットねえ」

加頭の話では、このエクストリームメモリは3時間後、彼のデイバックに転送させる予定らしい。
まあ、他の参加者のもとに渡すよりは、イレギュラーな彼の手元に置いた方がある意味公平性は保たれるかもしれないが…

ニードルはふと、一回目の放送の直前に彼と会話した時のことを思い出す。
仮面ライダーやら、プリキュアやらについて聞いてもいないのに熱烈に語ってきて、気持ち悪い奴だった…
そういえば、こんな話もしたな

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『それにしても、キュアムーンライトは最低のプリキュアだ!プリキュアなのに殺し合いに乗った上に仲間を殺すなんてヒーロー失格だ!』

あの言葉を聞いたとき、何故かイラついたのを覚えている。
それで、今までただ聞いてるだけだったのに、つい口を出してしまった。

『彼女だって、プリキュアである前に家族を想う一人の少女だったということだろう』
『ダメダメダメ!そんなんじゃダメなの!ヒーローっていうのは、ヒーローになったその瞬間から、小市民としての権利は捨てるものなの!おたく、そこんとこ分かってる!?』

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「ヒーローは小市民としての権利を捨てるもの…ね。俺にはそうは思えないがね」

ゴハットとの会話を思い出しながら、サラマンダー男爵は一人つぶやく。
プリキュアとの戦いに敗れ、オリヴィエと再び旅に出る前に、男爵はプリキュア達のファッションショーを見た。
そこにいたのは、伝説の戦士なんていう大仰な姿は感じられず、人としての営みを謳歌する…ただの少女達であった。

「あんたはどうなんだ?囚われの王子様」

エクストリームメモリの中のフィリップに声をかける。
当然、反応などあるはずがない。


「聞こえるわけないよな…まあ、残り3時間の付き合いだ。離れるときにはお別れくらい言わせてくれよな」


返答などないことを承知でメモリに話しかけながら、サラマンダー男爵はのんびりとした様子でメモリの監視作業を続けた。


【全体備考】
※主催側に【片桐一樹@超光戦士シャンゼリオン】と【ゴハット@超光戦士シャンゼリオン】がいます。モニター室で参加者の動向を監視するのが役目です
※ゴハットはジョーカーとして殺し合いの場に転送されました
 基本支給品以外の所持品として、通信機、T2ジョーカーメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーWが判明しています。
※条件を満たし、究極なる者ン・ガミオ・ゼバが蘇りました。
 間もなく復活すると思われます。
※エクストリームメモリは、21時以降ゴハットのデイバックに転送されます
 CJXに変身することによりW世界以外の世界の情報について閲覧できるようになります

244 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/12(水) 23:34:42 ID:rlxwSDZQ0
投下終了です
ヒーローオタクでかぶったw

245 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/13(木) 03:29:36 ID:rlxwSDZQ0
訂正。
>>243の前半部分、ニードルとなってるとこはサラマンダー男爵の間違いで、それと

『ダメダメダメ!そんなんじゃダメなの!ヒーローっていうのは、ヒーローになったその瞬間から、小市民としての権利は捨てるものなの!おたく、そこんとこ分かってる!?』

「ヒーローは小市民としての権利を捨てるもの…ね。俺にはそうは思えないがね」

この二つのセリフの『小市民としての権利』は『小市民としての幸せ』に変更です

246 ◆OmtW54r7Tc:2014/03/13(木) 03:31:34 ID:rlxwSDZQ0
あ、それとgry氏のも含めてですが、放送の名前の呼び順、一文字と源太が逆ですね

247双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:36:30 ID:Abv.3SKM0
本スレで投下中に、NGワードとかいう奴に抵触したっぽいので、いったん仮投下してみます。

248双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:37:05 ID:Abv.3SKM0
 血祭ドウコクの目の前には、巨大な嘆きのエネルギーの集合体が光っていた。
 位置はF−5(衛府之五)の山頂。不穏な光を見つけてやって来てみれば、そこにあったのは巨大な不可思議である。人々の嘆きや恐怖が集合し、それが集合する場所。
 青い光を発し、その中央に、どこかで見たような真っ赤な光を発するその施設。
 その名は、忘却の海レーテ──。

「こいつぁ一体……」

 然るドウコクでさえ、先ほどまでなかったはずのその物体に、不穏な気配を感じずにはいらなれなかった。このレーテには、人々がビーストを恐怖する負の記憶が封印されている。
 そんな場所だが、ドウコクがそんな物を知る由もない。
 ただ、その膨大な嘆きの力だけは彼も感じていた。

「……わからねえが、ただのデカブツってわけじゃなさそうだな」

 ともかく、他の参加者に比べれば、彼は動じない部類だっただろう。
 嘆き──そこから感じるマイナスエネルギーに不安を感じる事はなかった。
 血祭ドウコクの場合は、突如としてこれが現れた理由に不穏な気配を感じずにはおれなかった。
 これが今後、この殺し合いでどういう意味を持つのだろう。その疑問に答える者は何もない。

『──ドウコク殿』

 ふと聞こえたのは、ドウコクを呼ぶ声だ。
 血祭ドウコクを呼ぶ、何者か。──ドウコクは、瞬時に後方のその人物に向けて剣を振るった。
 何故、こんな行動に出たのか。
 それは簡単だ。相手は利用価値とは程遠く、また、ドウコクの知る人物──参加者外の存在であると、認識できたからだ。

「久しぶりだな……マンプク。いつぞやにテメエがくたばって以来じゃねえか」

 脂目マンプク。かつて、夏の陣にてシンケンジャーに敗北し、死亡したはずのクサレ外道衆の大将である。ドウコクが三途の川から掬いだしてやってみれば、ドウコクを家臣などと扱う傲慢さだ。
 まあ、ドウコクはそこを咎めるつもりはないし、何故彼がここにいるのかなど今更疑問に思う理由もない。
 彼が主催側からの使者である事は明白だ。
 昇竜抜山刀は、マンプクの喉元で止まっていたが、マンプクが動じる様子はなかった。

『ご挨拶ですな、ドウコク殿。拙者は目的を果たしに参上仕った次第。今ここに現れている私の体そのものは幻影でござる』

 そう言って、マンプクはドウコクの刃に指を通した。
 どこから、血を撒き散らすわけでもなく、指がちぎれるわけでもなく、まるで刀か指かのどちらかが存在しないようにすり抜けていった。
 なるほど、今ここでマンプクに余計な力を使う必要はなさそうだ。要件だけ話すべきだと思い、ドウコクは刀を下げる。

「で、テメエの目的ってのは何だ? この殺し合い、それにこのデカブツの話も聞きてえな……」
『手短に』

 そう、前置きしたうえで、マンプクは語る。

『……拙者はドウコク殿に、この殺し合いにおける縛りの解除──即ち、貴殿の死後、二の目が発動する事と、近々筋殻アクマロの二の目が解放される旨を申しに参ったのでござる』
「……何?」

 アクマロの二の目は、この殺し合いで発動していない。
 それらしい様子もなかったので、てっきりアクマロはこの殺し合いの会場では二の目になる事もできずに死亡したと思っていたが、どうやら何らかの縛りがかけられてアクマロが二の目を解放できずにいたのみだという話だ。

『言葉通りでござる。これは全て、アクマロ殿自身は知らない話。もしまみえる事があったら、アクマロ殿にはドウコク殿の口から説明していただきたい』
「フン……。まあいい。だが、とっととテメエも俺のもう一つの質問に答えろ」

 この殺し合いは何なのか、その問いにはマンプクはまだ答えていない。
 ドウコクに関心があるのは、アクマロがどうという話ではないのだ。あんな奴の話はもうどうでもいい。

249双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:42:14 ID:Abv.3SKM0
やっぱりしたらば全体のNGワードなのか…。数行刻みで仮投下してちょっと該当部分を探る事にします。

250双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:43:41 ID:Abv.3SKM0

『ドウコク殿、拙者はただ、この殺し合いの縛りを無くす事だけ教えに来た身でござる。ここでそれ以外の事を口にする義理はござらんのだ。この嘆きの海もまた、別の者には説明する事はあっても、ドウコク殿に話す義理はない』
「何だと……?」

 明確な叛逆だと受け取って良いのだろうか。──マンプクは何食わぬ顔で、説明を続けた。

『貴殿は、偶然この殺し合いに巻き込まれ、拙者は、偶然こちら側になれた。……それだけの事。残念な話だが、次に会って話す事があるとすれば、それは貴殿がこの殺し合いで二の目を使わずに勝ち残るができた時でござる。それまで、貴殿は命ではなく、駒。死んだシンケンジャーやはぐれ外道、アクマロ殿もまた同じ……壊れた駒でござる。何も知らぬまま、この殺し合いで好きに動けばいい……』

251双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:45:16 ID:Abv.3SKM0

 言葉の節々から、マンプクのかつてのような傲慢さが漂っていた。ドウコクにさえ、それは明確な反逆であると認識させた。
 これは戯れではない。現に、ドウコクの身を危険に晒している。

252双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:46:38 ID:Abv.3SKM0
マンプクは恩を仇で返そうとしているのである。

253双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:47:23 ID:Abv.3SKM0
ドウコクに奉公すべきであるマンプクは、一かけらの情も──外道衆にとって、この言葉は変かもしれないが──見せる様子がなかった。

254双大将再会 ◆gry038wOvE:2014/03/31(月) 14:48:13 ID:Abv.3SKM0
該当部分の表現を別の言い方に変えたら書き込めたので大丈夫だと思います。
ちょっと、実験みたいな感じで使ってすみません。何がNGだったのかはわからないまま…。

255 ◆gry038wOvE:2014/04/13(日) 16:32:27 ID:Abv.3SKM0
またまたNGワードです。

256名も無き変身者:2014/04/13(日) 16:33:43 ID:Abv.3SKM0
 あるいは、この状況下で平然と喜怒哀楽を顔に出せるのも、彼女の感情がNEVERの支配によって壊れかけている証であるともいえるだろう。大道克己、泉京水、堂本剛三、加頭順、そしてアリシア・テスタロッサ──ここまで五人のNEVERの姿を見ているが、確実に共通しているのは、「生命」という観念の有無だ。
 少なくとも、身内の死に一憂する事はあるだろうが、通りすがりの誰かが死んでも不快感さえ表さない。常人ならば、人の死に対して何かしらの不快感を得るはずだが、彼らはそれが無いのだ。そして、おそらく自身の死さえも、何とも思わないのだろう。
 アリシアもまた、本来なら誰かの死に対して感じるはずの「不快感」もなく、死に対して妙に達観し、諦観したような少女となっていた。

「眠れと言われても、最低九時半までは無理なんだ……」

 アリシアの徹頭徹尾、冷えた口調。──吉良沢も、こうしてアリシアと対面して話すのは殆ど初めての話だが、天使のような外見とのギャップは凄まじい。まだ呂律が回らないような年頃ながら、その言葉遣いも妙に鋭い。
 幸いなのは、敬語を使わない事だろうか。敬語を使い始めると、それこそかえって落ち着きすぎて恐ろしいほどである。プレシア・テスタロッサが忌み嫌ったフェイトの面影はどこにもない。彼女の生真面目さよりかは、アリシアの無邪気さそのままに、性格に支障をきたし始めているのがわかっていた。だからこそ、プレシアはこんな風に狂いを見せているアリシアを突き放す事もしない。母に対してはまだ少なからず甘えているようで、そこは大道克己に似通っているような気がした。
 吉良沢は、気にしない風に口を開いた。

「そうか……。それで、何の用?」
「……別に、何でもない。ただの暇つぶし」

 用がない……。それで吉良沢のところに来る理由もまた、何となくわかった。

 吉良沢にしろ、アリシアにしろ、異界の道具を使わなければ「変身」ができない同士、孤独なのだ。ダークザイドにも、外道衆にも、砂漠の使徒にも、グロンギ族にも、魔法少女にも、BADANにも、財団Xにも属さず、まあ言ってみれば完全な普通の人間。既に亡くなった八宝斎もそうだが、「ガイアメモリ」を支給されなければ変身もできない。
 魔法の素養があり、死者にまでなったアリシア。
 来訪者の声を聞いて、未来を予知する事も可能だったプロメテの子・吉良沢。
 常人に比べれば勿論、特殊な出生ではあるが、その中にもまだ変身能力は絡んでいない。充分まっさらな人間である二人だ。なんとも、自分が場違いな感じがしてならない。

257「Wish」 ◆gry038wOvE:2014/04/13(日) 16:34:45 ID:Abv.3SKM0

 尤も、変身などしたくもないだろうが……。
 いくら吉良沢でも、ガイアメモリという未知の道具の利用など、恐ろしくて仕方がない。これまでも散々その危険性を目の当たりにしてきた。ガイアメモリの危険性を知ったうえで、護身用とはいえ渡されたメモリを使用するのには躊躇がいるというものである。一応、安全利用するためのガイアドライバーは受け取っているが、それがあるからといって安心もできない。
 ともかく、吉良沢は顔色を変えずにアリシアに訊いた。

258「Wish」 ◆gry038wOvE:2014/04/13(日) 16:35:16 ID:Abv.3SKM0

「……丁度僕も退屈なんだ。気の合いそうな人はここには全くいない」
「そう」
「……君は、フェイト・テスタロッサと同じ世界の人間だね。言ってみれば彼女のオリジナルだ」

 複製に対する複製元──月影ゆりとダークプリキュアの奇妙な顛末を見ても、それを姉妹と呼ぶのに、吉良沢だけは、抵抗を持っていた。来訪者の伝えによってダークザギの出生を知っている彼は、ダークザギをウルトラマンノアの弟とは思わない。
 彼らはお互いの宿命上、殺し合わなければならない光と影である。
 まあ、フェイトやダークプリキュアの場合は、プレシアやサバーク博士のような、オリジナルと共通の親を持っているがゆえに、もう少しわかりやすい関係だが。

259「Wish」 ◆gry038wOvE:2014/04/13(日) 16:36:06 ID:Abv.3SKM0

「……お姉ちゃん、とも呼ぶかもしれない。そう、お姉ちゃんなんだよね、わたし」

260「Wish」 ◆gry038wOvE:2014/04/13(日) 16:37:19 ID:Abv.3SKM0
 アリシアは、そう言った。彼女は少なからずそう想っているのだろうかと吉良沢は思った。しかし、言葉のわりに他人行儀で、殆ど悲しみ、苦しみの感じられない声だった。フェイトに対して、「姉」として接する機会を一秒も持たなかったとはいえ、その死に対して一切の感情を見せる様子もない。


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