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仮投下スレ

143『第一回放送』 ◆gry038wOvE:2012/06/24(日) 10:05:34 ID:FFfJQo0g0

 それから、何人かの参加者は時が止まるような感覚を覚えただろう。あるいは、加頭自身もそうだったのかもしれない。
 だが、死んだ人間のために時間を割いていては、この先とても大事なことを聞き逃してしまうこととなる。
 だから、ここで現実を受け入れきれなかった人間は、後で自分にそれが跳ね返ってくることになる。




【】




「次に、禁止エリアの発表です。これを聞き逃すと皆さんの命にも関わるので、聞き逃すことのないようお気をつけください。
 それでは、今後6時間で禁止エリアとなる区域の発表です。

 7時にE10エリア、9時にG3エリア、11時にB5エリア

 以上3エリアとなります。
 まだ時間も経っていないので、今回はまだ皆さんが自由に行動できるようソフトに選びましたが、次回以降はどうなるかわかりません。

 ──────さて、以上が第一回放送となります。
 おおよその流れは掴めましたか?
 万が一、大事な人の名前が呼ばれたとしても、まだ勝機はありますので、安心してください。
 それでは、6時間後に皆さんが再びこの放送を聞くことが出来るよう……」


「ピンポンパンポ〜ン♪」




【】




 万が一、大事な人の名前が呼ばれたとしても…………。
 そうだ、彼は今、その人の名前を呼んだ。
 そして、その人の魂が再び現世に現れることを、彼自身も十二分に望んでいる。


 園咲冴子さん。


 ……こんなに早く心がぶれてしまうとは。────彼女が死ぬのは、もっと後だと思っていた。
 何にせよ、彼はショックだった。心の底よりショックだったのだ。
 今頃気づいたが、随分と美しい名前である。他の17人の名前を呼ぶときは何も感じなかったのに、この名前だけは特別だった。


 いや、まだきっと大丈夫だ。
 死者18名の魂はまだ何処かに存在している。進行役に過ぎない彼は詳しくは知らないが、この戦いで死んだ人間の魂はどこかに現存するらしい。
 例えば、ソウルジェムを砕かれたほむらやマミの場合でも、確かにそうである。
 むしろ、彼女たちは奇跡と魔法のある世界の住人なのだから、まあ生き返ることができるのは当然といえば当然かもしれない。


 とにかく、冴子はまだ、完全には死んでいない。


 加頭はそう信じていた。
 実際のところ、100パーセント本当に信じていいのかどうかはわからないが、それは加頭にそう信じさせるほどの力の持主が加頭の上に立っているということなのである。
 それに、加頭だって、一度死んでいるのだ。────この名簿の中にもある、大道克己という男の手によって。
 だから、疑う余地もないし、やがて「彼女も自分と同じ、死んだ人間になれる」────彼女が加頭に近付いていく、そんな期待と高揚さえ感じ始めていた。


 既に、放送を聞いた各々がなんらかの反応を起こしている。
 その様子を見に行くため、彼は放送室を出た。────園咲霧彦や、井坂深紅朗の様子が気になったのだ。
 本来、大道克己やバラゴの様子も気になるのだが、それは霧彦や井坂が冴子の死をどう受け止めたかを確認してからでいい。



【】


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