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バーチャルリアリティバトルロワイアル Log.04

11Secret of Ai ◆k7RtnnRnf2:2019/06/15(土) 14:54:03 ID:BduzRs3k0
「ユイが特別……確か、キリトや岸波白野にとっては協力者であり、対主催生徒会の一員だったな。
 学園での戦いを生き延びたから、ただのプレイヤーではないと思ったが……彼女は何者なんだ?」

 一方で、面識があるであろうオーヴァンは榊に尋ねる。

「ふむ、そういえばオーヴァンは知らないのだったな。
 彼女はSAOを司るカーディナルシステムより生まれたAIであり、あの茅場明彦によって生み出されたのさ。彼女の性能はすさまじく、現実世界におけるあらゆる情報を容易く吸収し、もはやゲームの登場人物に収まらないほどに成長した!
 詳細こそは伏せるが、彼女は今も成長している。それこそ、我々が手中に収めれば……神の座に至る道も、作ることができるだろう」

 そこまで語り終えた途端、ユイの画像が消滅する。
 成長するAI……すなわち、フォルテが持つゲットアビリティプログラムと同等のスキルを持った存在だろう。フォルテが力を求めるならば、ユイは知恵を蓄積させ続けている。
 榊の言いなりになるのは癪だが、ユイとやらをGMの元に連行させなければ、道は開かれないだろう。

「……そいつをキサマたちの元に連れてくれば、キリトと戦えるのだな」
「もちろんだ。彼女の身柄さえ確保すれば、後は何をしようが君たちの自由。
 キリトたちと好きなように戦っても構わん。そしてフォルテとオーヴァンで雌雄を決しようと、また残る対主催生徒会のメンバーを自力で探そうと……我々は一切関知しない。
 もっとも、何かゲームのバグを報告してくれるのであれば……私も相応の評価はするが」
「フン。生憎だが、俺はキサマなどの評価や目的とやらに興味はない。だが、たかがAIの一体を捕まえるなど造作もない」
「そう言ってくれるなら、私としても大いに助かるよ!」

 すると、榊の背後に設置されたカオスゲートが大きく回転する。このカオスゲートを利用すれば、キリトたちがいるネットスラムへと辿り着けるはずだ。

「そしてもう一つだけ教えよう!
 ユイはあのキリトの娘だそうだ! もしも、娘が捕らわれたりしたら……父はどうなるかなぁ?」
「なるほど……ならば、ユイとやらは奴を苦しめる絶好の手段にもなり得るのか」
「その通りだ! 君がキリトを否定するのなら、ただデリートするのではなく……ユイを我々の元に連れてくればいい!
 正気を失い、何をするのか実に見物じゃないか!」

 榊の叫びと共に、キリトが守ろうとしたレンという少女の姿が浮かび上がった。
 かつての戦いのように、キリトを徹底的に苦しめてやればいいと榊は言いたいはずだ。こればかりはフォルテも異を唱えることはなく、むしろキリトを憎悪に突き落とし、『負』の感情で新たなる力を引き出せるはずだ。

「では、キリトたちの元に向かうがいい! このカオスゲートの向こう側こそが、君が決着をつけるにふさわしい場所だ!」

 榊が叫んだ瞬間、フォルテは駆ける。幾度となくぶつかり続けた宿敵を葬り、己が力を証明するためにも……



     2◆◆



「フフッ、性急だねぇ……我々としてもありがたいが、本来の使命を忘れてしまわないか心配だよ」

 フォルテが消えた後、皮肉のこもった笑みを浮かべる榊はオーヴァンに視線を向ける。フォルテの代わりに、ユイだけでも捕らえろという意図を、オーヴァンはすぐに察した。


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