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変身ロワイアルその6
843
:
80 YEARS AFTER(4)
◆gry038wOvE
:2018/02/20(火) 02:44:49 ID:gooP8PFs0
『――なら、あなたたちが彼女の願いを叶えてあげればいいじゃない』
◆
おれたちは、その瞬間、あまりにも唐突に、奇妙な声を訊いたのだ。
若い少女の声だった。頭の中に響いてくるような、エコーのかかったような声。
「えっ……?」
ふと、会話を中断して、おれと花華がそちらを見ると――深紅のドレスの少女がそこに立っていた。
『――』
長い黒髪をなびかせて、見た事もないほど白い肌で無表情にこちらを見ている少女。
それは、極めて心霊的で、この世のものとは思えないオーラを発して、花々の中に溶けていた。
「きみは――?」
花華とは、違う。もっと、透けているような何か。
おれは、オカルトは信じないが、その瞬間に背筋が凍った。
花華を見ても、彼女を知らないように見えた。
それどころか、おそらく誰が見ても――その少女に生気を感じる事はないだろうと思えた。
彼女に父や母がいて、平然と団欒している姿がまったく想像ができない。どこかの病院で白いベッドに横たわって外を見ているような、あるいは本当に森の奥深くに住んでいるかのような――そんな生活をしている想像しかできない、ありえないほどの、美人。
それはあまりに不気味で、見ている側の精神に支障を来すような膨大な不安をもたらしていた。
『……やっと見つけた、桜井花華――“もうひとりの私”。それに……そっちの名前は知らないけど、ついでにあなたも』
「きみは……一体、誰だ?」
『訊かれなくても後で全部説明するから。――とにかく、時間がないの。桜井花華には、全ての世界の因果律を守ってもらう使命がある』
「どういう事だ……?」
おれはさっぱりわけがわからなかった。
希望ヶ花市植物園に突如現れた少女――名も知らぬ少女。
しかし、それでいておれたちの事情をよく知っていると見える。そんな相手におれは警戒を解かない筈がない。
『だから、ついてくれば、後で全部説明するから。――とにかく。今は、私についてきてもらうわ』
次の瞬間、彼女の姿は小さな黒猫の姿へと変身し、突如その猫の前に現れたオーロラの中へと消えていった。
きわめて不可解な状況に違いなかった。特に、おれにとっては彼女以上に慣れていない事象である。
おれと花華は目を見合わせた。
さっきの質問は、一度は保留だ。それよりか、いま一度訊きたいのは、この後どうするか――彼女の変身した黒猫についていくか否かだ。
「探偵さん、とにかく行ってみましょう……! この反応は、管理されていない異世界です――」
それが、彼女の答えだった。
おれはそのまま、彼女の背中を追っていた。
◆
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