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変身ロワイアルその6
828
:
80 YEARS AFTER(3)
◆gry038wOvE
:2018/02/16(金) 18:22:47 ID:wTASm/Rk0
「いえ、こちらこそ……。それにしても、良いお店ですね」
そう恐縮しながらおれと合わない意見を告げたのを横目に、おれはさっさと食べ終えた。
食事に時間をかけすぎてしまうのも良くはない。健康や美容の為にどうかは知らない。おれが朝飯にありつきたかったのは、缶以外の温かいコーヒーを飲むくらいの余裕が欲しかったのと、一応の朝飯が食べたかったためだ。
それが案外、コーヒーが美味くもなくまずくもなく、むしろパンの方が美味かったので、どこか調子の外れた気分になる。そんな日もある。
花華はまだパンケーキを食べているが、食事については急かされる事もなくマイペースに食っている。何にでも時間をかけるのは女の性だ。
おれは、その待合時間ならば見事に利用してみせようと思った。
……おれは、再び日記を手に取る。
ページをぱらぱらとめくり、まだ目にしていないページへ。そこには、遂に左翔太郎に依頼を行った日の事が記されていた。
……未解決ファイルに記された公的な記録とともに、こうした個人での記録が残っているのは見事な事だ。日付は7月の終わりごろ。高校生となった彼女の夏休みであった。
前後には、高校で出来た友人の事も書いてあるが、必然的に量が多くなるのは長期休暇を利用した『かつての友人』とのふれあいだ。
おれは、それを花華に見せてやろうかと思ったが、それより先に自分で一度目を通して見せた。
『7月30日
今日は、風都にお邪魔しています。翔太郎さんや杏子、それから亜樹子さんのいる鳴海探偵事務所へ、ある依頼に伺いました。本当は美希も連れて行きたかったのですが、今月も忙しいようで、私だけで向かう事になりました。
(中略)
久々に会った杏子は、すっかり風都に詳しくなっていて、いくつかの名所を案内してくれました。――ところで、依頼の方はどうなんでしょう……?
それでも風都の人たちは温かく、びっくりするほど巨大なナルトの風麺のラーメンはおいしく、相変わらずとても良い街でした。
希望ヶ花市も良い街なのですが、私は翔太郎さんほど自分の街に詳しくはありません。街を愛する事もとても素晴らしい事なんですよね。(後略)』
……まあ、外から見て、事件に遭わなけりゃ、あの街も良い街に見える事だろう。人口も多く活気はあって明るい。だが、当時から犯罪都市には違いなく、ガイアメモリなんていう恐ろしい実験が繰り広げられていたような場所だ。
住めばわかる。便利な街だが、必ずしも「良い」だけの街とは言い切れない。おれが個人的に気に入っているだけだ。少なくとも、少女には向いていない。
とにかく、最初はほとんど観光同然の内容だった。
当然だ。今のように、探偵がその日すぐにでも依頼に向かえるほど暇ではあるまい。この探し物の依頼も、風都を出なければ調査する事はできないし、左探偵はアクティヴな性格だったようだが、街から出るのは嫌う。調査はしばらく後になるだろう。
おれは、そんな想いを抱えながら、花咲家に二人が訪問する記述を待った。
『8月3日
杏子と翔太郎さんが私の家にいらっしゃいました。用件は、以前依頼した件についての調査です』
……数日後だった。
案外、当時からこの事務所は暇だったのだろうか。
その日の日記は当然、そこから先も続いている。
『様々な事を聞かれ、室内も多少探したようですが、結局見つからなかったとの事でした。それから、10日には私が生まれた実家の方を調査してくれるとの話でした。
確かにあの件の後も私の手元にあったはずなんですが……。
しかし、そこまでしてくれるのは本当にありがたく、二人とも二歳になったふたばとを楽しそうにあやしていました。
ただ、翔太郎さんが抱えた時には突然大泣きしてしまい、翔太郎さんのスーツに粗相をしてしまったので……(後略)』
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