したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

変身ロワイアルその6

755変身─ファイナルミッション─(8) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 22:07:45 ID:GU7jrFVA0

「グゥッ……まだだ……次こそ貴様らを葬ってやる……!!」

 とはいえ、やはり──対抗策が無い今、次にベリアルがまた自分たちを攻撃して来れば、全員、それと同時に死ぬ事になる。
 ほとんどのメンバーの体力が尽きかけていた。

「……くっ……あと一歩だったのに……!!」

 ヴィヴィオが言って、ベリアルを見上げた。
 全員、変身が解除され、闘う術は残っていない。ヴィヴィオもクリスの力を借りられるほどの魔力が残っていない。
 変身。それが、それぞれの力を最大限に高め続けていたが、それが出来ない今となっては──と、誰もが、少し挫けかけた。

「いや」

 ────しかし。
 最後の最後で──ある一人の男が、口を開いた。

「……みんな、待ってくれ」

 そこにいたのは、響良牙である。
 全員がぼろぼろの身体と着衣で倒れこんでいる中、良牙だけは、よろよろになりながらも一人、立っていた。

「俺は……まだ何とかなる……」

 そう、彼だけは、変身をしなくても戦える。
 元々、彼にとっての変身は、むしろ戦闘能力を格段に低くする、“小豚”などへの変身である。今やそれも克服し、一人の人間として戦えるのだ。

「……だから、やってやるよ……俺が、最後に……一撃……」

 それだけではない。
 彼は、むしろ──“変身”などという物を、煩わしいとさえ思っていたのかもしれない。
 彼がこれから行う変身は、ただ一つでいい。
 たとえ、これからここにいる誰もが、一生、仮面ライダーやウルトラマンやプリキュアに変身できないとしても、

「────俺たちの、とっておきでな!」

 良牙の背を見ながら、それぞれが少し押し黙った。
 そんな時に、翔太郎が、彼の背に向けて言った。

「……今度は、信じていいんだな? 良牙……」

 先ほどの巨大化の事も忘れてはいないが、今度の良牙は先ほどよりもずっと本気に見えた。──その後ろ姿が、男の後ろ姿に見えたからだ。
 それは信頼できる男だけに許された男の背中だった。

「ああ……。元の世界のダチに教わった技が……まだ残ってるんだ──!!」

 良牙は、敵ではなく──味方の方に向き直って言った。
 それもまた、男の顔であった。友との約束を果たす為に、今、巨大な敵に立ち向かおうと言う、まさにそんな男の強い意志が作り上げている精悍な顔である。
 翔太郎は、自分が女だったら惚れちまうだろうな、などと思いながらも、笑いはせずに、彼の言葉を聞きいれた。
 誰もが──彼の言葉を耳に入れていた。
 ウルトラマンベリアルの手に、闇の波動が溜まっていった。

「俺も、こいつを必ず奴にぶつけるって約束した……まさかここでこんなチャンスが巡って来るなんて思わなかったぜ……」

 それから、良牙は、ゆっくりと、一人の少女のもとまで歩いて行った。
 そして、そこで、立ち止まり──少女の手を強く握った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板