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変身ロワイアルその6

754変身─ファイナルミッション─(8) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 22:06:31 ID:GU7jrFVA0



「ウガァァァァァ……!!!」

 地上で、弱ったカイザーベリアルが吼える。
 いや、それはカイザーベリアルではなかった。
 かつてウルトラ戦士として戦った、赤と銀のアーリースタイルにまで、姿が巻き戻ったウルトラマンベリアルの姿である。

「ウウウウウウウッッ……」

 巨体を揺らし、自らにあったウルトラ戦士としての善意と、カイザーベリアルとしての悪意のせめぎ合いの中で、微かにだが、悪意が押し返そうとしているのが、今のベリアルの姿であった。
 ノア・無限シルエットの拳パンチの直撃は、ダークザギを盾にするようにして回避したが、それでもその慈愛の塊は、ベリアルに確かな葛藤を与えている。

「くっ……まだ……まだ戦うつもりなのか……あいつも……」

 変身が解除された戦士たちは、朝日が昇り始めた空をバックにしながら蠢くウルトラマンベリアルを、ぼろぼろの身体で倒れながら、見上げていた。
 これがかつてのベリアル──と、少し思いながら。

「おのれ……ダークザギィィィッ!!!!! ガイアセイバーズゥゥゥゥゥッッッ!!!!!!!!! ゼロォォォォォォ……!!!!! グアアアアアアアッ……!!!!!」

 あらゆる戦士への怨念を抱きながら、まだ力を余らせているベリアル。
 たとえ、姿が戻っても、ベリアルの中に降り積もった怨念はそのままだった。ベリアルはやはり、急激に善意が湧きあがってくる反動で、微かな悪意が肥大化しようと反抗しているに過ぎないのだが──それでも、ガイアセイバーズを殺すという意志が残っている。
 ベリアルがどれだけ弱っているとしても、変身できない彼らには、もはや成す術は無かった。

「……まだ憎しみに囚われ続けるのか──ベリアル!」

 カラータイマーが鳴り響き、自らも膝をつく中で、ゼロがそう叫んだ。
 やはり彼ももう戦闘能力は残っておらず、ベリアルの怨念を振り払う事や倒す事は叶わないだろう。
 そして、何より、ここで倒してしまう事は、ベリアルに与えられた一撃──慈愛を否定してしまう事に他ならなかった。
 かつて出会ったウルトラマン、慈愛の戦士コスモスと同じ理想を、ベリアルにまで掲げようとして、そして、ここまでベリアルを葛藤させているプリキュアという戦士たちの想いを……。

「……ガイアセイバーズ、そしてゼロ……! こうなったら、貴様らも道連れだ……最後の力で貴様らもろともこの世界を潰してやるッッ!!!!」
「──!?」

 ──だが、ベリアルは無情であった。
 残っている僅かな力を右腕に充填する。そこから放った闇弾で、この地上にいる小さな人間たちを一斉に消し去ろうとしたのだ。
 勿論、これを受ければ、人間たちは一たまりもないに違いない。
 その場が戦慄した──そして、ベリアルに仇なす者の叫びがあがった。

「……くそ、なんでだよ……ベリアル!! お前だって、ウルトラマンだろォがァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 ゼロが、残り僅かな体力を振り絞り、小さな人間たちの前に立ったのである。
 それは、ウルトラ戦士として刻み込まれた、地球人を守る本能と使命の齎した結果と言っていい。──気づけばそうしてしまうのが彼らの性だった。
 それに抗う戦士は、ただ一人。──ここにいる、「ベリアル」という名のウルトラマンだけであった。

「くっ……!!」

 地球人を庇ったゼロの身体に、ベリアルの一撃が直撃する。
 ゼロの身体は大きく吹き飛ばされ、地面に落下した。

「ぐあああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!」
「ゼロ!!!!!」

 ゼロの巨体が大きく倒れ、大地が揺れる。シフォンを抱く美希が、ゼロに向けて絶叫する。
 しかし、今の一撃で、ベリアルも大きく体力を消耗したらしく、最充填には時間がかかりそうだ。


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