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変身ロワイアルその6
751
:
変身─ファイナルミッション─(8)
◆gry038wOvE
:2015/12/31(木) 22:02:41 ID:GU7jrFVA0
『俺を取り込もうとしたのが、運の尽きだ、ベリアル……!!』
ダークルシフェルとしてザギと融合した時点で、カイザーベリアルにはむしろ大きなハンデを敵に与えてしまったのと同義だ。
もし、ダークザギの意識がこのまま、完全にカイザーベリアルを乗っ取ってノアと戦う道を選んだならば、またノアとの間に生じるパワーバランスは変動したかもしれないが、ベリアルの意識が強く反映されたルシフェルには、これが限界であった。
ザギもベリアルを完全には乗っ取れず、ベリアルもまたザギを従える事が出来ず、中途半端な力しか発揮できない──それが、ダークルシフェル。
「奴は、相棒に……仲間に、恵まれてなかった、ってわけか……」
左翔太郎が呟いた。ダークルシフェルのそれは、仮面ライダーダブルと比べ、あまりに杜撰なコンビネーションだったと言えよう。
「……仲間っていうのは、利用するものじゃない……」
「支え合い、助け合うもの……」
最後に頼れるのは、信じられる仲間──それは、ここにいる全員がよく知っている。
自壊を始めようとするルシフェルをただ見送ろうとしたノアであったが、そんな時──ルシフェルから、声が発された。
『──そうだ……やれ、暁……!! そして、孤門……!!』
ふと見れば、それは石堀の声であり──変質するルシフェルの形状は、石堀光彦の顔を象っている。
「……!?」
彼は、わざわざ二人の男を名指しした。
その事実に驚きながらも、涼村暁と孤門一輝は、どこか納得したように彼の瞳を見つめた。
その表情は苦渋に満ちながらも、驚く暁と孤門に向けて頷いているように見えた。
「──石堀!?」
「石堀さん……!!」
二人は、それをダークザギ、とは呼ばなかった。
彼らにとって、ザギとして対峙した時間より遥か長く相手にしていた、石堀光彦という男の表情をわざわざ象った理由──それはわからない。
しかし、その理由を何となく想像した二人は、ザギと呼ぶ事が出来なかった。
『俺が動きを封じている隙に、コイツを消せ──!!』
彼の指示は、それだけだった。
ただ、動かずに、ダークルシフェルの行く末を見守ろうとしていたノアに向けて、せかすようにしてそう言う。
自分が抑え込める時間が僅かであると、そう悟ったのだろう。
「──……わかったぜ、石堀!」
暁が、言った。
なんだかんだで、石堀光彦といた時間は暁にとっても楽しかった……と言えなくもない。
とんでもない奴で、大事な仲間を殺した仇でもあった。ちょっと感じてた友情みたいなものを裏切った奴でもあった。
だが、最後の指示くらいは──聞いてやる。
『早くしろ!! こいつを、早く、無に返せッ!
時間がない……躊躇うな……俺を誰だと思っている!!
────そして、貴様らは、一体、何者だ!!』
押さえつけられる時間が僅かであるのか、彼はそう言った。
ダークザギの持つ力を、カイザーベリアルが上回ろうとしているのである。
急がなければ、
「──石堀隊員……こちら孤門。────了解!!」
目の前にいるのは、ナイトレイダー兼ガイアセイバーズの石堀隊員。
ここにいるのは、ナイトレイダー兼ガイアセイバーズの孤門隊員。
孤門一輝は、この時──そう思っていた。
『──』
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