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変身ロワイアルその6

732変身─ファイナルミッション─(7) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 21:37:59 ID:GU7jrFVA0
 これは、まだ巨塔が崩れるより少し前の時間の戦いなのだから。

「シュッ!!」

 ウルトラマンノアの鋭いパンチが、カイザーベリアルの腹の上に叩きこまれる。
 超重力波動を炸裂させながら、ノア・パンチがカイザーベリアルの腹部を抉る。
 それを受けたカイザーベリアルの体は、ダメージを受けたというよりも、まるでバランスを崩したように後方に大きくよろめいた。
 少し腹を抑える。──が、次の瞬間には攻撃体勢へと移っていた。

「おぉら──ッ!!!」

 ベリアルも負けてはいない。
 後ろにバランスを崩しながらも、右脚を大きく上げて、ノアの腹部に、同じように豪快なキックを叩きこんだ。彼自身の身体も大きく揺れる。
 どこかスローモーションにも見えるが、だからこそ、その脚には重さが籠っていた。彼の体重や体格が、鈍く重い一撃を敵に与える力に代わっているのである。
 ノアたれども、打撃を受けて無事には済まない。

「クッ……!!」

 痛みは、その中にある戦士たちにも伝った。
 それに加えて、更に──味を占めたように、ベリアルはその腕を振るいあげる。

「フッハッハッ……!!!」

 巨大な爪がノアの頭上に叩きつけられる。実に鋭利なその爪が叩きつけられるという事は、出刃包丁で殴りつける攻撃とほとんど同義である。
 彼らの耐久性を人間の硬度でたとえれば、それは致命傷にもなりうると言えるだろう。
 ノアも当然ながら、脳が揺れるような痛みを覚え、身体を休めるように数歩後退する。しかし、代打はいない。休んでいてもベリアルは続けて攻撃するに違いない。

『──くそっ! やっぱり強え!!』

 左翔太郎の意識が、ノアの中で苦渋を舐めた。
 ノアも──その中にいる彼らも、攻撃の手ごたえを殆ど感じていない。
 これまでに蓄積された人々の絶望を全て貪るようにして強くなったベリアルは、既にダークザギさえも上回る実力を獲得しているのだ。

「フン、こいつがゼロと戦う為に強くなった俺様の力さ……ッッ!!
 そして、俺はこの力で全てのウルトラ戦士を倒し、神さえも超えるのだ──ッッ!!!!」

 そう、かつて、カイザーベリアルは、ウルトラマンゼロに敗北し、肉体を失った亡霊と化した。そして、怨念の鎧カイザーダークネスを纏う事でゼロを圧倒し、彼の仲間を次々と葬り去ったのである。
 だが、結局はまたゼロに敗れた。
 幸いにも、ゼロが巻き戻した時間の中でこうして肉体を取り戻し、全宇宙の支配を実行していたのだが──よもや、ウルトラマンノアなどという強敵と戦う事になるとは、彼も思わなかっただろう。
 しかしながら、その伝説の戦士さえも圧倒する程に己が力が高まっているという事実を実感し、ベリアルは内心歓喜もしていた。
 ゼロと再び戦えるというだけでなく、神とさえ崇められるノアと戦わせてもらえるとは──。

『何故だ、ベリアル……! お前はウルトラマンなんじゃないのか……!!』

 零の意識が、ノアを通してベリアルへと語る。
 かつて見た、暗黒の魔戒騎士とも、自らとも、そして鋼牙とさえも重なる「暗黒に落ちた戦士」を前に、そう問わずにはいられなかったのかもしれない。
 ベリアルは、零の言葉に全く耳を貸す事もなく、両手を十字に組み、そこから赤黒いエネルギーを発射した。

「──フンッ、俺にそんな言葉は無駄だァッ!!」

 デスシウム光線──!

 ウルトラ戦士たちが発射するスペシウム光線や、それに似た攻撃を、邪に染まったデスシムの力で発射する一撃である。
 デスシウム光線は、真っ直ぐな光としてウルトラマンノアに向けて放たれた。
 ベリアルもまた、元々はウルトラマンである──こんな芸当が出来るのは当然として、もう一つ、ウルトラ戦士らしい「的」を選択するまでも早かった。
 ウルトラマンノアの胸に輝くエナジーコアを狙い撃つ。


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