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変身ロワイアルその6
727
:
変身─ファイナルミッション─(7)
◆gry038wOvE
:2015/12/31(木) 21:32:34 ID:GU7jrFVA0
ゼロの目の前には、巨大な支配力の塔がそびえたっていた。塔は円筒状であり、見る限り横幅はウルトラマンの何倍もある。だが、その左右の端が視えるだけマシであった。
その塔の上には、「果て」という物がない。勿論、厳密にはどこか途切れる場所があるはずなのだが、やはり宇宙に続く軌道エレベーターのように伸びており、ウルトラマンの視力が見つめてもその高さを計る事は出来ないのである。
かつて支配者メビウスが貯蓄したエネルギーの比ではないほどの力が溜められたタンクは、カイザーベリアルがこの殺し合いで積み重ねた物の結晶だ。
「すげえな……こいつは」
ゼロもそれを見て息を飲んだ。
彼らの前にあるのは、その塔の「根」であった。ウルトラマンが数十人集って輪を作ってようやく収まるほどの外周だが、それでもこの果てなき塔を支えるには小さい塔……。
だが、それが脆さでもある。根元から崩すのは難しくはなさそうだ。
そして、この巨大なシステムを司る「核」が、妖精シフォンだった。ウルトラマンゼロの視力は、根のあたりに埋め込まれているシフォンの全容を捉える事には成功している。
何せ、その周囲が完全なる荒野で、見えている物といえば、永久に水かさを増し続けるそのFUKOのタワーだけなのである。
ゼロは、飛行をやめ、滞空した。
その塔の数千メートル手前で、塔の根元にいる小さなパンダの赤ん坊のような生物を見て、自分の中の「美希」にその情報を伝達した。
意識を送られた美希は、それを見て、再三の確認のように頷いた。
「シフォン……!」
今、自分たちが見つけるべき対象こと、シフォンは目の前に居るのだ。
シフォンは今、悲しんでいる。──世界を支配する為に、自らの存在が道具として利用されている事に……。
その想いが、今、遠くで、シフォンの隈のような両目から流れ出ているような気がした。かつても、こうしてメビウスによって利用された彼女を……再び、誰かが利用している。
彼女にシフォンの姿をしっかりと見せ、安心させた所で、ゼロは、シフォンを助けるべく、素早く空を駆けた。今からは四の五の言うよりも、やはり体を動かし、一刻も早くシフォンを救うべきだと判ずるのは当然だ。
だが。
「ん……?」
彼らが飛翔していると、遥か前方で砂の中が不気味に蠢いた。やはり、一面の砂漠の中、FUKOのエネルギーが野ざらしという訳でもなかったのだろう。
砂漠がむくむくと山を作り出していく。どうやら、砂の中二何かが潜り込んでいるらしい。
まるで蟻地獄の正反対で、空が砂に削られていくようだった。
そこから何が現れるのは、ゼロは微かに動揺した。
「──!?」
次の瞬間──その中から全身を晒したのは、あの仮面ライダー1号や2号と同じように、飛蝗の顔をした「仮面ライダー」の姿である。
だが、よく見れば、やはり1号や2号などの旧式仮面ライダーとは決定的に違う外形であった。
「──仮面ライダー……じゃない……!?」
「強い憎しみに溢れた姿……これは一体……!」
そう、その全身は真っ赤な業火に包まれており、仮面ライダーたちと……いや、このウルトラマンゼロと比しても巨大な姿をしているのだ。──それが何者なのかは、ゼロにも美希にもわからない。
直後に、それは、数百メートルまで肉薄したゼロに向けて、自ら、野太い声で名乗りを上げたのだった。
『フン。現れたか、ウルトラマンゼロ。──……我が名は仮面ライダーコア』
仮面ライダーコア。
それが、彼の名前であった。ある時空においては、仮面ライダーダブルと仮面ライダーオーズの二人のライダーによって倒された、「仮面ライダーの悲しみ」の結晶こそ、この怪物の正体である。
だが、今回の彼は、ただそれだけの存在ではなかったらしい。
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