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変身ロワイアルその6

724変身─ファイナルミッション─(6) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 21:27:14 ID:GU7jrFVA0
 彼の力でさえも及ぶかわからない強敵──それが、ノア。
 しかし、やはり……こんな敵を、ベリアルは待っていたような気がする。

「まったく……遅いぜ、本当に! ヒヤヒヤさせんな!」

 絶狼が茶化すように言う。
 しかし、カイザーベリアルを眼前にした彼が、とにかくこの男の到着を待っていたのもまた事実だ。
 それに──今のところ、死傷者は出ていない。
 孤門が遅れたせいで死んだ仲間は一人としておらず、むしろ、彼が来たのは丁度良いタイミングであったと言えよう。

「……ここにいる私たちは、みんな無事です!! 孤門さん!!」

 そこにヴィヴィオの姿があった事に、孤門は少し目を丸くした。
 レイジングハートが既にいるので、ダミーメモリによって体だけ形作っているのでない事はすぐにわかった。
 悪戯としては少々悪質であるから──おそらく、そこにいるのはヴィヴィオ本人だ。

『生きていたんだ……ヴィヴィオちゃん……!』

 ノアは、そんなヴィヴィオに向けて頷いた。
 それから、すぐに、カイザーベリアルの方を向いた。

「……──」

 彼は、確かに待っていた。
 自分と同じ土俵で戦う、別の敵を──。
 しかし──ノアは、些かカイザーベリアルよりも実力が上回る存在でもある。
 どちらが勝つのか──それは、カイザーベリアルにもわからない。
 スパークドールズ化ではなく、もう一つの秘策も持ち合わせていたが、それよりも……まずは、自分だけの力で小手調べをしようとした。



『────ああ……!! みんな、一緒に戦おう!!』



 ウルトラマンノアが──孤門が、地上の仲間たちに呼びかける。
 見上げる彼らは、きょとんとした顔だった。

「俺たちが……」
「一緒に……?」

 一緒に戦う……と。
 しかし、今の自分たちには、カイザーベリアルと戦えるだけの力があるだろうか。この大きさでいる限り──。
 そんな彼らの内心の疑問に答えるように、意識を飛ばす。

『共に肩を並べて困難に打ち勝てる絆……それを持つ者みんなが、「光」なんだ。
 僕達の間に絆がある限り……みんな、最後まで一緒に戦える──!!』

 地上にいた者たちは、皆、呆然とした。
 全員でウルトラマンと同化するという事なのだろうか。
 それが可能だというのか──。


「──そうだ……! あたしたちなら出来る!!
 みんな……あたしのソウルジェムに手を──!!」


 しかし、杏子が、いち早く孤門の言葉を理解し、そこにいる全員に呼びかけた。
 それと同時に、戸惑っていた誰しもが彼女の言っている事を、納得したようだ。
 このソウルジェムには、ウルトラマンの光が注ぎ込まれている──このソウルジェムに向けて力を発すれば、全員がウルトラマンになれる。

 人間はみな、自分自身の力で光になれる──。
 かつて、世界中の人々の力を借りて、邪神ガタノゾーアと決戦したウルトラマンがいた。
 それと同じに……決して、ウルトラマンは一人だけが変身する物ではないのだ。

「……ああ! わかった!」


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