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変身ロワイアルその6
705
:
変身─ファイナルミッション─(5)
◆gry038wOvE
:2015/12/31(木) 20:56:03 ID:GU7jrFVA0
頭上の空で、照らしていた闇が晴れ、丁度今、白夜の時が始まったのを、深い爆煙の中に残る彼らが知る由もない。
これほどのエネルギーを浴びせなければ、ユートピアを打ち破る事はできなかったのである。
しかし──まだ、加頭順という男の生体反応はこの世から消えてはいなかった。
「はぁ……はぁ……」
ダブル、エターナル、シャンゼリオンの同時攻撃を受けながらも、尚、──加頭順という男は生きている。
ただし──それが、これまでのように悲観的で、戦士たちの劣勢を煽るような物ではなくなっていたのは確かである。
何せ、NEVERやベリアルウィルスの力も及ばぬほどの極大のダメージを受けた彼の全身は、既に消滅を始めており、身体は粒子に塗れている。辛うじて、ベリアルウィルスの残滓が彼の肉体崩壊を遅くさせ、生命維持だけが辛うじて可能になっている程度だ。
もはや、子猫の敵にすらならない。
「くっ……!」
既に、敵に食らいつく牙はなかった。
戦意も戦闘力も失ったよろよろの身体。焼けこげたタキシードと、乱れた頭髪。生身の人間ならば火傷を負った皮膚。
残りの寿命は、あと数分といったところだろう……。
彼自身は、まだそんな自覚を持っていないかもしれないが──。
「ば……馬鹿な……はぁ……はぁ……」
ベリアルによって力を受けたはずの自分が、成す術もなく敗北している事に加頭は納得がいかないままだった。
プライドが、それを現実として受け止めるのをしばし拒否した。
……今の勝負は何だったのだ?
闇の力を大量に取り込んだはずの自分が──ベリアルに次ぐ力を持つはずの自分が、数日前までは拘束されて殺し合いを演じていた、数えるほどの駒に敗れている。
「この私が……」
無意識に加頭が向かっていたのは、マレブランデスの牙城である。巨大な黒い腕の中に眠る、己の恋人のもとへと、辿り着くかもわからない歩を進めているのだ。それはもはや本能的な魂の動きだった。
常人ならば、既に歩むのを辞めていたに違いない。彼なりに譲れない執念があったという事に違いなかった。
一歩を踏みしめるごとに、彼の身体からは彼を構成する物質が消失していく。
「この私が……負けるはずが……!」
うわごとのように、現実を否定する。今の彼には、それしかできなかった。
と、そんな彼の目の前に、「なにものか」が立ちすくんでいる姿が見えた。
濃霧のように視界を消し去る煙の中で、シルエットだけがこちらに見えている。
真っ黒なシルエットに警戒を示したが、加頭が立ち止まったままそれを少し眺めていると、自ずとシルエットはこちらに歩いてきた。
「あなたは……!」
そこにいるのは、一糸纏わぬ姿でこちらを見つめる一人の白い肌の女性だった。
全裸を恥じらう事もなく、アンドロイドであるかのような真顔で、加頭に視線を合わせている。──彼女の顔を、加頭が忘れる筈が無かった。
その姿を見るなり、加頭の頬が緩んだ。
「──」
園咲冴子。
あの培養液の中から、自力で脱して来たのだ。ようやく、冴子の蘇生が完了したという事である。
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