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変身ロワイアルその6

701変身─ファイナルミッション─(4) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:51:22 ID:GU7jrFVA0



 ──宇宙。

 こちらでは、ウルトラマンゼロと蒼乃美希が、尚もウルトラマンノアの探索を続行していた。
 これまでと決定的に違うのは、二人の間にわずかばかりの希望が芽生えており、ある手がかりを持って宇宙の旅を続けている点だろう。
 無数の星を通り越し、ゼロは飛ぶ。

「おい美希……! 確かにこっちから声が聞こえたってのか?」
『ええ……!! 今、向こうから……!!』

 美希の感覚を頼りに、ゼロがマッハ7のスピードで進行する。
 そう──確かに美希の耳には、あの孤門一輝の声が届いたのである。
 ──美希がダークザギとの戦いで憎しみに没した時、孤門がかけたあの一言が、確かに「自分の居場所」を教えていたのだ。
 それこそが、二人の合図だ。



──諦めるな!──



 孤門の口癖であり、信念だった言葉。
 どんな苦難に直面した時も、その言葉一つで全てを晴らしてくれるそんな意味が込められた──とても大事な言葉。
 美希の脳裏に、それが直接届いたかのようだった。
 いや……これは、おそらく──あの時の言葉が、「忘却の海レーテ」を介して、時空を超えて届いた一言なのではないだろうか。

 そう、思った。
 あの時、かけてくれた言葉が、再び……孤門を助け出そうとしている。
 誰も真相を知る事はないが、かつて、孤門一輝という少年を助けた手と、その一言が──また、今度はそれより未来……そう、今の孤門を助けようとしている。
 そんな連鎖が、奇しくも孤門一輝の運命を支えている。
 ただのどこにでもいる優し気な男に見えて、実に奇妙な因果の集中している人間だ。

「──……わかった。美希、俺はお前を信じるぜ!」

 そんなゼロは、自分の持つ残りのエネルギーを全て使いかねない勢いで邁進する。
 どの道、手がかりなどないのだ。力を出し惜しみ、小出しにしながら探すよりも、美希の自信を信じるしかない。
 彼女は、孤門の声が幻聴だとも思っていないし、美希の確固たる自信だけは感覚としてゼロの中にも伝わってくる。
 これが、人間を信じるという事なのだ。

(ああ……親父……ほんとに、地球人って奴は……!!)

 ゼロの父は、かつて──何度となく、地球人を信じる事が出来なくなったらしい。
 しかし、醜さを知る一方で、多くの地球人のやさしさや温かさも知っていた。誰よりも地球人を愛したウルトラマンと自称する事もあった。

 ──アンヌ、アマギ、ソガ、フルハシ、キリヤマ……時として彼は、絆の芽生えた地球人の名をゼロに語った。
 そして、忘れてはならない……モロボシ・ダンの姿の元になった、薩摩次郎という男の名さえも。

 彼と同じ地球人への愛情は、あらゆるウルトラマンたちも持っているが、ウルトラセブンは特別だった。もし地球人たちが暴走し、宇宙の敵に回ったとして、彼はそれでも地球人の味方をするのではないかとさえ思う。
 自分の父は、正義より、愛を選ぶだろう。

 ……それは、ゼロも同じかもしれない。
 父親から受け継いだ、地球人との絆。──それを今、実感している。

 そして、ゼロは今から二人の地球人の名前を、己が信じる地球の名前として刻む。


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