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変身ロワイアルその6

692変身─ファイナルミッション─(3) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:40:38 ID:GU7jrFVA0
 しかし、そう思う事で、加頭の気持ちは少し楽になったようであった。相手が格下であるという認識を再度持つ事で、敵に対する言い知れぬ不安からは解放される。

「無様だな……シャンゼリオン……ッ! ──決め台詞ひとつ言えないとは!」

 傷つき倒れかけているシャンゼリオンを前に、ユートピアは叫んだ。
 しかし、自分の声も断末魔のように掠れており、頭に血が上ったかのように意識も朦朧としているのをユートピアは実感している。
 だからこそか、彼は無計画に攻撃を続けた。
 ──たとえ無計画であっても、少しの優位を実感してはいたが。

「こちらもだ! ──シャイニングアタック!」

 一陣の風は、先ほどシャンゼリオンがユートピアに行ったように、ユートピアからシャンゼリオンに向けて放たれる。
 クリスタルパワーの粒子複合体がユートピアの姿を形成し、シャンゼリオンに向けて一直線に飛んでいく。
 シャンゼリオンもまた、再びユートピアに向けて叫んだ。

「うおおおおおおおおおおおおおおりゃあああッッ!!! シャイニングアタック・セカンドォォォォッッ!!!!」

 二つのシャイニングアタックは空中で激突する。
 クリスタルパワーによって形成されたシャンゼリオンの力と、まがい物が作り出したユートピアの力は同時に敵の懐に食らいつこうと牙を剥く。
 シャンゼリオンの体力からすれば、他の連中と違い、ここで負ければ死は確実だ。
 死にもの狂いの声をあげ、ユートピアを威嚇する。



 そして──二つの力は爆発する。







 ──ゼロと美希は、宇宙の星空の中を彷徨っていた。

 自分がどこにいるのかは、はっきりとは認識していなかった。
 ウルトラマンノアを探す旅は過酷を極めている。未だ、似たような景色の中で、塵のような小惑星をノアのスパークドールズと見紛うばかりである。
 外部世界の介入がなく、この宇宙が模造品の無人の世界である以上、誰かからの導きや案内は、頼れなかった。
 信じられるのは己の勘だけだった。

「クソッ……! 見つからないぜ……!」

 時の概念も、二人にとっては無意味だ。
 あるのは、擦り減っていく体力と、散漫になっていく集中力。この二つが時間の役割を果たしているかのようである。
 空を泳ぎながら思うのは、果たしてこの不安定な距離を縮める奇跡はどうすれば起こるのかという事だ。

 諦めるな、という言葉を信じる。
 それしかない。
 だから、何度も心の中で唱える。

 諦めるな。

 諦めるな。

 諦めるな。

 諦めるな────!

 そして、ふと……そんな声は、ゼロ達の中で反芻する言葉となってきた。
 無限を捜索する中で、彼ら二人の中で重なるようにして、ずっと、息をするように反響していく言葉。
 それが何度繰り返された頃か──。
 二人以外の誰かが、同じ言葉を口にした。



──諦めるな!──






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