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変身ロワイアルその6

689変身─ファイナルミッション─(3) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:36:58 ID:GU7jrFVA0

「ぐあああああああああああああああああッッ――――!!」

 まるで、これ以上、ユートピアに力を貸す事を拒んでいるかのようだった。
 ユートピアの再生能力よりも早く──リンカーコアは亀裂を走らせていく。
 ──そして。

「くっ……!!」

 ぱりんっ……! と。
 暗闇に染まったリンカーコアが、その直後には音を立てて崩壊する。ユートピアの中に埋め込まれた無数の一つが──世界最高の硬度を持つ打撃を受け手も崩れないような力が、この一撃で……。

(こんな……バカなっ……!?)

 しかし、ヴィヴィオが叩きこんだのは、簡単な一撃ではなかった。
 ユートピアの持っていた力は、僅か一日と保たれず、「本物」に敗れたのである。──そう、それは彼の持つコアの力の全てにおいて変わらない事である。
 彼は、遥か後方に吹き飛ばされ、土の上をのたうち回る。

「そんな……馬鹿な……ありえない!」

 だが、自分がいとも簡単に膝をつくという事実が、彼には信じる事が出来なかった。真実は今自分が置かれている状況とは異なる物だと言い聞かせる為か、彼は全身全霊をあげて立ち上がる。
 胸から火花を散らし、全身にダメージを受けながらも……。

「クソッ……」

 想定外だ、とユートピアは内心で想った。
 ──逆風は吹いたはずだ。
 ベリアルは新たな力を授けてくれた。それは絶対無敵の力だった。彼らを確かに圧倒しうるエネルギーを持っていた。
 しかし……──それを、一瞬でも超える力を、彼らは持っているというのだ。
 まさか、このコアが一つでも破壊され、ユートピアが地面をのたうち回る事になるなどとは、彼自身全く思わなかったのである。

「ナイス、ヴィヴィオちゃん! 次は、俺だぜ!」

 そして、そんなユートピアにすかさず立ち向かっていくのは、超光戦士シャンゼリオンであった。
 又の名を、涼村暁。
 ──ユートピアの双眸には、そもそもここに来るはずのない戦士の姿が映っていた。
 先ほどからこの場にいたのはわかっている──だが、何故、我先にと自分を攻撃しに来るのか、ユートピアにはわからずいた。

「涼村……暁ッ……!」

 彼がこちら側につかなかったのは、ユートピアにとって小さな誤算だった。
 暁という男のデータを見る限り、彼は酷く利己的な人間であるはずだ。何の人の運命を狂わせたかわからないどうしようもないクズ男。
 そんな彼がベリアルに立てつくはずがない。
 自分や、自分の世界を犠牲にしてまで──ベリアルと戦おうとするはずがない。
 彼がベリアルを倒すという事は、即ち、それは彼自身の手で自らの世界を壊すスイッチを入れる事と同義だ。
 彼はこの戦いに勝利したとしても、消えるのだ。NEVERとは異なり、彼がその死を恐れぬはずがないだろう。

「貴様……!」

 だというのに。

「ぐっ……!!」

 ……今、ユートピアの胸に“突き刺さっている物”は何か──。
 この固い刃物。既に、ユートピアに食い込んだ、光の刃。
 それはまさしく、反逆の証ではないか。

「シャンゼリオンめ……!」


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