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変身ロワイアルその6

688変身─ファイナルミッション─(3) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:34:44 ID:GU7jrFVA0

 ディバインバスターの粒子の中を駆け巡る一陣の風は、真っ向勝負を挑んでいた。
 ──気づけば、それは黒いバリアジャケットに戻っている。ヴィヴィオはヴィヴィオとして、最後の一撃をユートピアにぶつけに来ているのだ。

「──アクセル」

 今度は小細工もなく、ただ、普段と同じように拳を構え、向かっていく。
 その中に込められた想い。怒り。悲しみ。……それらは、これまでとはまた少し色合いの異なる物であったが、拳の一撃は常に変わっていく。
 ヴィヴィオの拳には、今、彼女を想う母や友たちの想いが乗せられている。
 ユートピアは、そんな事を知りもせず、ディバインバスターのエネルギーが消えていく中で、そんなヴィヴィオの拳を、これまた真っ向から迎え打とうとしていた。

 この程度の攻撃ならば、まだ受けられる。──そんな自信があったのかもしれない。
 避ける暇があるかないかよりも、力を持った故の慢心が大きくそれを左右した。
 強すぎる力は、時として、その人間の危機回避能力を麻痺させる。──プライドと自信が、「回避」という判断と頭の中でせめぎ合い、結果として勝利してしまうのだ。
 だが、その自信は──次の瞬間、打ち砕かれる。



「────スマーーーーーッッッシュ!!!」



 ヴィヴィオの拳は、ただユートピアの胸に叩きこまれただけだというのに。
 その魔力に、彼は胸を抉るような強烈な痛みを覚えた。
 心臓から血液が駆け巡っていくように、痛みは波紋となって頭のてっぺんまで伝播した。
 脳髄が揺れる。彼の中で何かが罅割れる。
 ユートピアにとって意表の一撃にして、ヴィヴィオたちにとって会心の一撃であった。

「ぐっ……」

 ぴきっ……。
 罅割れたのは、「魔力」のコア──即ち、リンカーコアだ。
 ベリアルから受け取ったユートピアの幾つものコアは、一つが拒絶を始めた。
 それはユートピアに骨折にも似た強い苦しみを与える。


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