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変身ロワイアルその6

681変身─ファイナルミッション─(2) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:26:08 ID:GU7jrFVA0

「──ッ!」

 疾走の一秒。

「……っ!!!!!!!!!!!!」

 つぼみの声にならない悲鳴が聞こえたのは、エターナルの腕の中だった。
 真下を見ると、エターナルローブの中に、もう一人分の影がある。
 ──まさか。

「まさかっ……!!」

 ユートピアが一瞬で距離を縮め、潜んだのは、エターナルのローブの、“内側”だったのである。
 狙いは、エターナルとブロッサムだった。──それに気づいたのは、ユートピアが攻撃を始めるよりも、些か遅かった。

「なっ──!!」

 仮面ライダーエターナル自身と、キュアブロッサムが潜んでいたローブの“内側”に、目くるめく“理想郷の杖”の炎の鉄槌が下される。
 最早、炎のエネルギーが充填された今、回避の術はない。
 このエターナル最大の防御壁こそが、同時に、絶対的に逃げ場のない檻となったのである──。

「──死ね!」

 ──爆発。

 エターナルローブの内側で、膨大なエネルギーが貯蓄され、「トライアル」の効果の終わりとともに炸裂する──。
 装甲さえも黒く焦がす一撃。一つの部屋に閉じ込められたまま、殆どゼロ距離で核弾頭が光る事に等しい一撃であった。
 それを受ければ、いかに変身した彼らでさえ、容易く耐えうる事が出来まい。

「──ぐあああああああああああああああ……ッッッ!!!!!!」
「──きゃああああああああああああああ……ッッッ!!!!!!」

 これまでの戦いで、二人ともまだ出した事のない、巨大なダメージの悲鳴。
 エターナルローブが衝撃のあまり、弾け飛び、空へと泳いでいく。
 そこから吹き飛ばされたのは、変身が解けかねないほどの負傷をし、それぞればらばらに地面と激突する事になったエターナルとブロッサムである。
 それはさながら、抱え込んだ花火が炸裂したかのような攻撃だっただろう。
 ──迂闊であった。

「良牙……!!」
「つぼみ……!!」

 ライトニングノアの一撃に倒れていた仲間たちが、手を伸ばしながら、彼ら二人の名を呼ぶ。
 辛うじて、良牙もつぼみも生きているようだが、一瞬、彼らの命を本気で心配した程であった。
 それによって、「黄金」の力が思った以上であるのを実感する──勿論、この力がなければ死んでいただろう──が、それでも、二人が極大なダメージを受けもだえ苦しんでいるのは事実に違いない。
 死者たちが齎した思念はそれだけ強いという事だった。
 誰より実感しているのは──魔戒騎士たる涼邑零だっただろう。

「──」

 そして──敵が今、エターナルローブの力さえも打ち消す、自らに等しい力を持っているという事も、彼らはすぐに理解できた。
 安心できる暇などなかった。

「……見たか」

 ──見れば、爆心地で、ユートピアは悠々と立ち構えていた。
 理想郷の杖を後ろ手に構えて、背を曲げる事なく立っているユートピアには、ダメージを受けた様子もまるでない。
 いや、それも、彼は──瞬時に回復する事が出来るのだ。
 自爆技でさえ彼にとってはほとんど意味のない話である。
 それ故に、ユートピアは確かに、最強の「魔王」としてその場に君臨していた。


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